JP2002080215A - 多結晶半導体インゴットの製造方法 - Google Patents

多結晶半導体インゴットの製造方法

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JP2002080215A
JP2002080215A JP2000267829A JP2000267829A JP2002080215A JP 2002080215 A JP2002080215 A JP 2002080215A JP 2000267829 A JP2000267829 A JP 2000267829A JP 2000267829 A JP2000267829 A JP 2000267829A JP 2002080215 A JP2002080215 A JP 2002080215A
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crucible
ingot
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semiconductor
silicon
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Motoharu Yamazaki
基治 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多結晶シリコン半導体をルツボ内で融解した後
に、凝固させてインゴットを製造する際に、得られるイ
ンゴットに残存する応力による歪を緩和する。 【解決手段】内部の中空部分が逆角錐台形状になるよう
に、底面1bに対して各側壁1aの内面が傾斜状態にな
ったルツボ1に多結晶シリコン半導体を充填して、この
多結晶シリコン半導体を加熱して融解した後に、下部か
ら上方に向かって冷却して一方向凝固させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多結晶半導体インゴ
ットを製造する方法に関し、特に、適切な形状のルツボ
を使用して、内部に残存する応力による歪を低減するこ
とができる多結晶半導体インゴットの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】太陽電池としては、通常、光電効率およ
び品質の安定性に優れた単結晶シリコン半導体が使用さ
れている。IC等に使用される単結晶シリコン半導体
は、通常、種結晶等を用いて単結晶を成長させて、円柱
状のインゴットを製造し、製造されたインゴットから切
り出されている。このような単結晶シリコン半導体イン
ゴットの製造方法では、複雑な製造工程が必要であるた
めに、容易に製造することができず、しかも、製造コス
トがかかるという問題がある。
【0003】太陽電池を、エネルギー源として広範囲に
使用するためには、太陽電池を、より低いコストにて容
易に製造できることが必要である。このために、種結晶
を使用することなく安価に製造することができる多結晶
シリコン半導体を使用した太陽電池の開発が要望されて
いる。
【0004】多結晶シリコン半導体は、一般的には、石
英(酸化珪素:SiO2)製のルツボに、原材料である
固体の多結晶シリコンを充填して、そのシリコンを加熱
して融解させた後に、融解された多結晶シリコンを、黒
鉛製のルツボに流し込んで凝固させることによって、イ
ンゴットとされる。また、真空中または不活性ガス中に
おいて、石英製のルツボにて多結晶シリコンを融解させ
た後に、ルツボを傾けて、黒鉛製のルツボに、直接、融
解された多結晶シリコンを流し込む半連続鋳造法によっ
てインゴットを製造する方法も知られている。
【0005】さらには、真空中において、石英製のルツ
ボ内にて融解されたシリコンを、そのルツボ内にて、直
接、凝固させる熱交換法(Heat Exchange Method)によ
ってインゴットを製造する方法も開発されている。ま
た、石英製のルツボにて融解されたシリコンを凝固させ
る際のルツボの冷却に、水冷によって冷却された鋼板を
用いる技術も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】融解状態になった多結
晶シリコン半導体を、そのまま石英製のルツボ内にて凝
固させてインゴットを製造する場合には、多結晶シリコ
ン半導体が凝固する際にその体積が膨張する。その結
果、多結晶シリコンは、ルツボの内面にて体積の膨張が
拘束されて、凝固した多結晶シリコン半導体の内部、特
に、ルツボの内面にて大きな拘束力を受ける部分に、応
力による歪が内蔵されたままとなる。
【0007】インゴットに歪が内蔵されると品質低下を
招き、半導体としての光学的あるいは電気的な特性が低
下し、太陽電池等として用いる際の発電効率が悪くなっ
てしまう。また、応力が大きくなると、機械的な割れ等
も生じてしまう。
【0008】融解したシリコンが多結晶シリコン半導体
が凝固する際に発生する応力を緩和するために、特開平
11−011924号公報には、内壁と外壁との間に空
隙が形成された2重構造のルツボを使用する構成、およ
び、底面がそれぞれ櫛形状に形成された複数部分に分割
されて、各部分が内外方向にスライドするようになった
ルツボを使用する構成が開示されている。しかしなが
ら、このように、ルツボ自体の構成が複雑であるため
に、ルツボが高価になり、経済性が損なわれるおそれが
ある。
【0009】実開昭58−22936号公報には、多結
晶シリコン半導体のインゴットを製造する際に、融解状
態になったシリコンが流し込まれる石英製の鋳型の側面
を傾斜面とすることによって、凝固した多結晶シリコン
半導体のインゴットを容易に取り出すことができる構成
が開示されており、また、特開平11−240710号
公報には、金属シリコンを凝固させて精製することによ
って太陽電池用の高純度シリコン半導体を製造する際
に、融解状態になったシリコンが流し込まれる金属鋳型
の内面を傾斜面とすることにより、凝固したインゴット
を容易に取り出すようにして、シリコンインゴットの製
造に要する時間を短縮する構成が開示されている。
【0010】しかしながら、これらの公報に開示された
技術は、凝固したシリコンを容易に取り出すようにする
ために、融解状態になったシリコンが流し込まれる鋳型
の内面を傾斜面とするものである。
【0011】本発明の目的は、内部に残存する応力によ
る歪を緩和することができ、光電変換効率に優れた多結
晶シリコン半導体のインゴットを製造することができる
多結晶半導体インゴットの製造方法の提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の多結晶半導体イ
ンゴットの製造方法は、内部に底面側になるにつれて順
次断面積が減少した逆角錐台形状の中空部分が形成され
るように、底面に対して各内面がそれぞれ傾斜状態にな
ったルツボに半導体材料を充填し、該材料を加熱して融
解させた後に、該材料の融解液を、該ルツボ内にて下部
から上方に向かって冷却して一方向凝固させることを特
徴とする。
【0013】前記半導体材料がシリコンである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。
【0015】図1は、本発明の多結晶半導体インゴット
の製造方法の実施に使用される装置の概略構成図であ
る。この装置は、例えば、多結晶シリコン半導体のイン
ゴットを製造するために使用され、誘導加熱炉を構成す
る密閉容器16を有している。密閉容器16の内部に
は、石英(酸化珪素:SiO2)製のルツボ1が配置さ
れるようになっており、密閉容器16は、その内部の雰
囲気を、密閉状態で保持するようになっている。
【0016】図2は、密閉容器16の中央部に配置され
るルツボ1の断面図である。ルツボ1は、上面が開放さ
れた中空の直方体状に構成されている。ルツボ1の各側
壁1aは、底面1b側になるにつれて順次断面積が小さ
くなった倒立四角錐台形状の中空部分が内部に形成され
ており、各側壁1aのそれぞれの内面が、底面1bに接
近するにつれて、順次、相互に接近するように、それぞ
れ角度θにて傾斜している。各側壁1aの外面は、それ
ぞれ垂直に形成されており、従って、各側壁1aは、そ
れぞれの上端の幅寸法βに対して底面1bに接近に近接
した下端の幅寸法αが大きくなっている。ルツボ1内に
は、半導体材料の多結晶シリコン15が充填される。
【0017】図1に示すように、ルツボ1が内部に収容
される密閉容器16内には、ルツボ1を支持する台座5
が配置されている。台座5は、回転および昇降駆動機構
14によって、垂直軸回りに回転可能および昇降可能に
なっている。また、台座5の内部には、冷却槽13内の
冷却水が循環されるようになっている。
【0018】台座5の上部には、耐火断熱材製の支持台
4が嵌合されるようになっており、この支持台4の上面
は、グラファイト、カーボン等によって構成されたカバ
ー3aによって覆われている。ルツボ1は、支持台4の
上面を覆うカバー3a上に載置されて、支持台4が台座
5の上部に嵌合されることによって、台座5に対して同
心状態で配置されるようになっている。
【0019】台座5上に配置されるルツボ1は、各側壁
1aの外面が、それぞれの上端部を除いて、カバー3b
によってそれぞれ覆われている。各カバー3bは、支持
台4の上面を覆うカバー3aと同様に、グラファイト、
カーボン等によって構成されている。
【0020】密閉容器16の上部には、誘導加熱コイル
7が配置されている。誘導加熱コイル7は、密閉容器1
6の上面に沿って配置されるとともに、密閉容器16の
上部側壁の内面に沿っても配置されている。
【0021】密閉容器16の上部には、誘導過熱コイル
7にて覆われるように、グラファイト、カーボンなどの
発熱体8が設けられている。発熱体8は、ルツボ1の上
部を覆うように配置されており、台座5および台座5上
に配置されるルツボ1の下部を取り囲むように配置され
た熱絶縁体9aによって支持されている。また、発熱体
8を支持する熱絶縁体9aは、この熱絶縁体9aの下部
を除いて、他の熱絶縁体9bによって覆われている。
【0022】発熱体8は、誘導加熱コイル7によって誘
導加熱されるようになっている。ルツボ1を上方から加
熱すれば、ルツボ1の内部の多結晶シリコン15を、上
方から底部に向かって融解させることができる。
【0023】ルツボ1の底面の温度は、熱電対6によっ
て検出される。
【0024】ルツボ1の上方には、ルツボ1の内部に対
して、上方から臨むようにパイロメータ10が取り付け
られている。発熱体8の温度は、制御用熱電対11によ
って検出される。熱電対6および制御用熱電対11の出
力は、制御装置12に入力され、誘導加熱コイル7によ
る加熱状態が制御される。
【0025】密閉容器16は、前述したように、内部を
密閉状態に保持するようになっており、ルツボ1内にて
融解状態になった多結晶シリコンの融解液に、外部の酸
素ガス、窒素ガス等が流入しないように密閉されて、真
空または不活性ガス等の不活性な雰囲気に保持される。
【0026】このような構成の装置により、多結晶シリ
コン半導体のインゴットの製造方法が、次のように実施
される。まず、ルツボ1に原料の多結晶シリコン15を
充填して、カバー3aにて覆われた支持台4上に配置す
る、そして、ルツボ1が載置された支持台4が、ルツボ
1が密閉容器16内の台座5に嵌合される。そして、密
閉容器16の内部が、所定の不活性な雰囲気に保持され
ると、誘導加熱コイル7が誘導加熱される。これによ
り、発熱体8が発熱し、その輻射熱によって、ルツボ1
内に収容された材料の多結晶シリコン15が、上方から
加熱される。そして、材料の多結晶シリコン15が融解
温度に達することにより、多結晶シリコン15が、順
次、融解され、その融解液は、ルツボ1の底面1bに向
かって流下する。
【0027】この場合、回転および昇降駆動機構14に
よって、台座5が回転される。これにより、ルツボ1内
の材料の多結晶シリコン15が均一に加熱されて融解状
態とされる。ルツボ1は、密閉容器16の上部に設けら
れた発熱体8によって加熱され、しかも、ルツボ1が下
方から冷却されているために、多結晶シリコンは、ルツ
ボ1内にて、上方から底部に向かって、融解される。
【0028】材料の多結晶シリコン15が全て融解した
状態になっていることが、パイロメータ10によって確
認されると、ルツボ1は冷却される。
【0029】冷却槽13からの冷却水で台座5を冷却す
れば、ルツボ1内の材料の多結晶シリコン15は、底部
から凝固を開始する。
【0030】この場合、回転および昇降駆動機構14に
よって、台座5が、順次、下降され、ルツボ1は、発熱
体8から、順次、遠ざけられる。これにより、このよう
に融解状態の多結晶シリコン15は、ルツボ1の底部か
ら上方に向かって順次冷却されるために、ルツボ1の底
部から上方に向かう一方向凝固が行われる。
【0031】ルツボ1は、図2に示すように、各側壁1
aの内面が、それぞれ底面に接近するにつれて順次相互
に接近するように傾斜した状態になっているために、シ
リコン融解液15aが下側から凝固する際に、各側壁1
aの傾斜した内面に沿って応力が加わり、各側壁1aの
近傍部分において、凝固時における体積膨張によって発
生する応力が緩和される。これにより、製造される多結
晶シリコンインゴット15bは、内部に残存する応力に
よる歪が緩和される。
【0032】図3は、各側壁2aの厚さが、上下方向に
一定であって、各側壁2aの内面が底面2bに対してそ
れぞれ直角になった従来のルツボ2の内部において、融
解状態になったシリコンが凝固する状態を示す概略図で
ある。ルツボ2内にて、シリコン融解液15aが凝固す
る場合には、各側壁2aの内面が底面2bに対して垂直
になっているために、シリコン融解液15aが凝固する
ときの体積膨張によって、各側壁2aの内面に対して応
力が加わることになる。その結果、凝固したシリコンイ
ンゴット15bの内部に、応力による歪が残存すること
になる。
【0033】次に、多結晶シリコンインゴットの製造方
法について、図4に示すフローチャートに基づいて、さ
らに詳しく説明する。
【0034】多結晶シリコンインゴットの製造作業が開
始されると(図4のステップa0参照、以下同様)、ま
ず、準備されたルツボ1に対して、多結晶シリコン(ポ
リシリコン)を、例えば、140kg程度充填する(ス
テップa1)。
【0035】多結晶シリコンがそれぞれ充填されたルツ
ボ1は、加熱準備のために、支持台4上に載置されて、
支持台4が、図1に示す装置の密閉容器16内に設けら
れた台座5上にそれぞれ嵌合される(ステップa2)。
なお、この場合、台座5は、冷却槽13から供給される
冷却水によって冷却されている。
【0036】このような状態になると、誘導加熱が開始
され(ステップa3)、誘導加熱コイル7に約7KHz
の周波数の交流電流が供給されて、誘導加熱コイル7が
される。これにより、発熱体8の温度が上昇し、発熱体
8からの輻射熱によって、支持台4上のルツボ1が加熱
されて、ルツボ1に収容された多結晶シリコン半導体が
加熱される。
【0037】密閉容器16内の温度が、シリコンの融解
温度である約1420℃以上に加熱されると、ルツボ1
内の多結晶シリコン半導体は、上部から下部に向かっ
て、融解が進む。
【0038】この場合、密閉容器16内の温度が一定に
なるように、制御装置12によって、誘導加熱コイル7
に供給する電力が制御されて、密閉容器1内の温度が制
御される(ステップa4)。また、台座5は、所定方向
に、1r.p.m.の速度で回転される。
【0039】その後、パイロメータ10によって、ルツ
ボ1内の多結晶シリコン半導体が融解されていることを
確認する(ステップa5)。
【0040】ルツボ1内の多結晶シリコンが融解状態に
なっていることが確認されると、ルツボ1内の温度が徐
々に低下するように、誘導加熱コイル7に供給される電
力を低下させつつ、台座5を下降させて、ルツボ1内の
融解状態になった多結晶シリコン半導体の凝固を開始さ
せる(ステップa6)。この場合、ルツボ1の冷却速度
は、1℃/h、ルツボ1の下降速度は、10mm/hと
される。また、台座5は、多結晶シリコン半導体が凝固
する際の温度むらを低減するめに、1r.p.m.の速度
で回転される。ルツボ1内の多結晶シリコンの表面の放
射温度は、パイロメータ10によって検出されており、
パイロメータ10は、シリコンの融解液である液体が、
凝固して固体のシリコンインゴットになったときの放射
率の変化も検出している。
【0041】その後、多結晶シリコンの凝固が完了して
いるか否かを、ルツボの冷却速度の変化等に基づいて判
断する(ステップa7)。
【0042】凝固が完了すると、冷却を開始し、冷却が
終了すると、製造されたインゴットを取り出す(ステッ
プa8)。これで、インゴットの製造は終了する(ステ
ップa9)。
【0043】なお、上記実施の形態では、ルツボ1が石
英材にて構成されている場合について説明したが、これ
に限るものではなく、グラファイト、窒化珪素、窒化硼
素等の耐火物、タンタル、モリブデン、タングステン等
の高融点金属などによって構成されていてもよい。
【0044】また、上記実施の形態では、多結晶シリコ
ンインゴットの製造方法について説明したが、本発明
は、シリコン以外の半導体材料にも同様に適用すること
ができる。
【0045】<実施例>以下、本発明の実施例について
説明する。
【0046】本実施例では、図2に示す、内部の中空部
分が逆四角錐台形状の2種類の石英製のルツボを使用し
た。なお、各ルツボ1は、その底面1bの一辺の長さが
55cm、高さが40cmであって、各側壁1aの上端
の厚さが、それぞれ12mmになっている。各ルツボ1
は、各側壁1aの下端の厚さが、それぞれ22mmおよ
び32mmになっている。従って、底面1bに対する各
側壁1a内面の傾斜角度θが、それぞれ、91.3度お
よび92.9度になっている。
【0047】準備された2種類のルツボに対して、原料
のポリシリコンを、それぞれ、約140kgずつ、それ
ぞれ充填し、図4に示すフローチャートに基づいて、シ
リコンインゴットをそれぞれ製造した。
【0048】内面がテーパー状になった2種類の各ルツ
ボ1からは、それぞれ、四角錐台形状のインゴットが製
造された。
【0049】本実施例の四角錐台形状の各インゴット
は、それぞれ、125mm立方の16個の直方体が得ら
れるようにカッティングした。この場合、図5に示すよ
うに、各インゴット15bは、それぞれ、四角錐台形状
になっているために、傾斜した各側面近傍部分15c
が、水平な各端面に垂直な平坦面にそれぞれなるように
カッティングして、図5に斜線で示す切除部分15をそ
れぞれ切除した。
【0050】このようにして、直方体状のインゴット1
5bがそれぞれ得られると、各インゴット15bから、
16個の立方体のブロックが得られるように、各インゴ
ット15bをそれぞれカッティングした。この場合、ま
ず、一方の水平な端面において、縦方向および横方向に
それぞれ4分割する分割線15dをそれぞれ形成して、
その水平な端面を各分割線15dによって16等分し
た。そして、形成された分割線に沿って、垂直方向に深
さ125mmにわたって、それぞれカッティングし、1
25mmの深さにおいて、水平方向にカッティングする
ことにより、一辺が125mmの16個のブロックを得
た。
【0051】図6(a)は、四角錐台形状のインゴット
15bから、切除部15cを切除して、16個のブロッ
クが切り出された状態を示す平面図である。インゴット
15bの各側面の向きを、上部より見て、それぞれ、
N、W、S、Eとして示す。なお、N−S方向とW−E
方向とは相互に直交している。そして、各ブロックに対
して、識別番号No.1〜16を付した。各ブロックの
識別番号は、N方向およびW方向のコーナーに位置する
ブロックをNo.1とし、N方向からS方向にかけて、
また、W方向からE方向にかけて、順番に付した。
【0052】そして、インゴット15bの外周側に位置
した識別番号No.2のブロックと、インゴット15b
の中央部側に位置した識別番号No.6のブロックにつ
いて、多結晶シリコン半導体としてのライフタイム(電
荷の寿命)をそれぞれ測定した。各ブロックのライフタ
イムは、各ブロックに光を照射した際に、図6(b)に
示すように、各ブロックのS方向の面において、底面か
ら100mm上方の位置に、底面に平行な直線状部分に
発生した電荷の寿命(μs)を測定することによって得
た。測定されたライフタイム値が大きいほど、光電変換
効率が良く、太陽電池の半導体材料として好適であると
されている。
【0053】側壁1aの下端の厚さが、それぞれ22m
mであり、底面1bに対する側壁1aの内面の傾斜角θ
が約91.3度になったルツボ1によって得られたイン
ゴット15bの識別番号No.2およびNo.6の各ブ
ロックのライフタイムの測定値は、それぞれ、6〜10
(μs)、10〜15(μs)であった。また、側壁1
aの下端の厚さが、それぞれ32mmであり、底面1b
に対する側壁1aの内面の傾斜角θが約92.9度にな
ったルツボ1によって得られたインゴット15bの識別
番号No.2およびNo.6の各ブロックのライフタイ
ムの測定値は、それぞれ、10〜15(μs)、10〜
15(μs)であった。結果を表1に記載する。
【0054】比較のために、図3に示すルツボ2を使用
して多結晶シリコン半導体のインゴットを製造した。ル
ツボ2は、各側壁2aが上下方向に一定の12mmの厚
さになっており、従って、底面2bに対する各側壁2a
の内面の傾斜角θが90度になっている。そして、前記
実施例と同様に、製造されたインゴットから、125m
m立方のブロックをカッティングし、得られた識別番号
No.2およびNo.6のブロックのライフタイムを測
定した。識別番号No.2およびNo.6の各ブロック
のライフタイムの測定値は、それぞれ、5〜7(μ
s)、10〜15(μs)であった。結果を表1に併記
する。
【0055】
【表1】 インゴットを形成する際の体積膨張による応力の緩和を
考慮していない従来のルツボ(底面に対する内面の傾斜
角が90度)を用いて製造されたインゴットの外周側に
位置する識別番号No.2のブロックのライフタイム
は、5〜7μsと小さくなっているが、インゴットの中
心部分に位置する識別番号No.6のブロックは、体積
膨張時における応力の影響がほとんどないために、ライ
フタイムは、10〜15μsと大きくなっている。
【0056】これに対して、底面に対する側壁内面の傾
斜角が91.4度および92.9度と90度よりも大き
くなったルツボによって形成された各インゴットでは、
外周側に位置する識別番号No.2のブロックのライフ
タイムは、それぞれ、6〜10μsおよび10〜15μ
sになっている。なお、この場合の中心側に位置する識
別番号No.6のブロックのライフタイムは、それぞ
れ、10〜15μsと、比較例のインゴットとほぼ同様
の値になっている。
【0057】このように、ルツボの底面に対する各側壁
内面の傾斜角度が、90度よりも大きくなっており、し
かも、その傾斜角度が大きくなるほど、形成されたイン
ゴットの外周側において、体積膨張による応力の影響の
ある部分が切除されていることにより、インゴット外周
側から切り出されるブロックも、インゴットの中央部に
位置するブロックと同様のライフタイムが得られる。
【0058】このように、ルツボ1の底面1bに対する
各側壁1a内面の傾斜角度を、90度よりも大きくする
と、得られるインゴットは、内部に残存する応力による
歪を小さくすることができるが、その反面、インゴット
は、水平な各端面に対する傾斜角度が大きくなり、所定
の形状のブロックをインゴットからカッティングする際
に、切除される部分が多くなり、経済性が損なわれるお
それがある。しかしながら、インゴットにおける切除さ
れる部分には、インゴット形成時の体積膨張による組織
的および機械的な応力が残存しているために、適度な大
きさに切除することが望ましい。このために、ルツボの
底面に対する各側壁内面の傾斜角は、91度から93度
程度が適切である。
【0059】
【発明の効果】本発明の多結晶半導体インゴットの製造
方法は、このように、ルツボの内面の傾斜面に沿って、
多結晶半導体を凝固させるようにしているために、形成
されるインゴットが体積膨張する際に内部に残存する応
力による歪を緩和させることができる。従って、多結晶
半導体シリコンのインゴットを光電変換効率に優れた状
態で形成することができ、得られたインゴットから得ら
れるブロックは、太陽電池に好適に使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多結晶半導体のインゴットの製造方法
である多結晶シリコン半導体の製造方法の実施に使用さ
れる装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】その装置に使用されるルツボの断面図であり、
また、シリコンを凝固させるときに体積膨張によって歪
が発生する状態も簡略的に示している。
【図3】従来の多結晶半導体のインゴット製造方法に使
用されるルツボの断面図であり、また、シリコンを凝固
させるときに体積膨張によって歪が発生する状態も簡略
的に示している。
【図4】本発明の多結晶半導体のインゴットの製造方法
の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1の装置から得られるインゴットからブロッ
クを切り出す際のカッティング方法を説明するための平
面図である。
【図6】(a)は、インゴットから切り出されるブロッ
クを説明するための平面図、(b)は、そのブロックの
ライフタイムの測定箇所を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ルツボ 3a、3b カバー 4 支持台 5 台座 6 熱電対 7 誘導加熱コイル 8 発熱体 9 熱絶縁体 10 パイロメータ 11 制御用熱電対 12 制御装置 13 冷却槽 14 回転および昇降駆動機構 16 密閉容器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に底面側になるにつれて順次断面積
    が減少した逆角錐台形状の中空部分が形成されるよう
    に、底面に対して各内面がそれぞれ傾斜状態になったル
    ツボに半導体材料を充填し、該材料を加熱して融解させ
    た後に、該材料の融解液を、該ルツボ内にて下部から上
    方に向かって冷却して一方向凝固させることを特徴とす
    る多結晶半導体インゴットの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体材料がシリコンである請求項
    1に記載の多結晶半導体インゴットの製造方法。
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