JPWO2011074321A1 - 太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2011074321A1
JPWO2011074321A1 JP2011546019A JP2011546019A JPWO2011074321A1 JP WO2011074321 A1 JPWO2011074321 A1 JP WO2011074321A1 JP 2011546019 A JP2011546019 A JP 2011546019A JP 2011546019 A JP2011546019 A JP 2011546019A JP WO2011074321 A1 JPWO2011074321 A1 JP WO2011074321A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release agent
silicon
mold
silicon nitride
nitride powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011546019A
Other languages
English (en)
Inventor
佐藤 賢次
賢次 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
JX Nippon Mining and Metals Corp
Toho Titanium Co Ltd
Original Assignee
JNC Corp
JX Nippon Mining and Metals Corp
Toho Titanium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JNC Corp, JX Nippon Mining and Metals Corp, Toho Titanium Co Ltd filed Critical JNC Corp
Publication of JPWO2011074321A1 publication Critical patent/JPWO2011074321A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22DCASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
    • B22D25/00Special casting characterised by the nature of the product
    • B22D25/02Special casting characterised by the nature of the product by its peculiarity of shape; of works of art

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)
  • Mold Materials And Core Materials (AREA)

Abstract

Feに起因する表層のキャリアライフタイムの短い領域が実質的に排除された多結晶シリコンを製造するための方法を提供する。窒化ケイ素粉末にバインダー及び溶媒を混合してできた離型剤を鋳型に均一に塗布し、該鋳型内で溶融シリコンを凝固させることを含む多結晶シリコンの製造方法であって、窒化ケイ素粉末中に不純物として含まれるFe濃度をx(原子ppm)とし、鋳型に塗布した離型剤の厚みをy(μm)とすると、x≦5.0、20≦y≦100、及びx×y≦100を満たすことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。

Description

本発明は、太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法に関する。
太陽電池は光エネルギーを直接電気に変えることのできる半導体の一種である。地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な排気ガスを出すことなく発電できることからクリーンな発電方法として注目を浴びており、一般家庭用の電源としても普及し始めている。太陽電池は基板として使用する半導体によっていくつかの種類に分類することができるが、シリコン系と化合物系に大別することができる。現在、市場に供給されている太陽電池の大半はシリコン系である。シリコン系の太陽電池は更に単結晶型と多結晶型に分けられるが、低コスト化に有利であるため、多結晶型が主流となっている。
多結晶シリコンの製造方法の一つとして、溶融シリコンを鋳型で育成・凝固させるキャスト法が知られている。鋳型としては石英坩堝や黒鉛坩堝が使用される。この際、シリコンの鋳型への固着を防ぐとともに、凝固時の熱応力によるシリコンの割れを防ぐ目的で、鋳型内面に窒化ケイ素(Si34)からなる離型剤が塗布されるのが一般的である。
ところで、多結晶シリコン中に不純物が含まれているとそれが極微量であっても変換効率など電池性能に悪影響を与えるため、一般に6N以上の高純度のシリコンが要求される。このため、多結晶シリコンの製造中に離型剤に含まれる微量のFe、C、Al及びCaなどの不純物がシリコン内へ拡散してシリコンの純度を下げることがないように、離型剤は不純物を含まない高純度のものを使用することが望まれる。不純物の中でもFeはシリコンへの拡散定数が大きいため、離型剤から確実に除去することが特に望まれる。
そこで、特開2007−261832号公報(特許文献1)では、窒化ケイ素離型剤粉末に水を加えた混合物に対して、ボールミルによる混練とテフロン(登録商標)コート磁気攪拌子を用いた攪拌を繰り返すことにより、窒化ケイ素離型剤粉末に含まれるFe濃度を20ppm以下に低減可能であることが記載されており、実施例では5ppmまでFe濃度を低減したことが記載されている。
特開2007−261832号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば窒化ケイ素離型剤中に含まれるFe濃度を5ppm程度にまで減少させても未だ不十分であり、依然として多結晶シリコンの育成中にFeが離型剤からシリコン側へ拡散し、キャリアライフタイムの短い領域をシリコン表層に形成することが分かった。キャリアライフタイムは太陽電池の変換効率に直結するため、高い変換効率を得るためには、多結晶シリコンが長いキャリアライフタイムを有することが望ましい。また、キャリアライフタイムの短いシリコン表層を端材として削り取ると、歩留まりが低下してしまうという問題も生じる。
そこで、本発明はFeに起因する表層のキャリアライフタイムの短い領域が実質的に排除された多結晶シリコンを提供することを課題の一つとし、そのような多結晶シリコンを製造するための方法を提供することを別の課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、離型剤中のFe濃度を単に抑制するだけでは足りず、鋳型に塗布する離型剤の厚みも制御することが重要であり、窒化ケイ素離型剤中のFe濃度と鋳型に塗布する離型剤の厚みが所定の関係を満たしたときにはじめて、Feに起因する表層のライフタイムの短い領域が実質的に消滅することを見出した。
具体的には、離型剤の材料として窒化ケイ素を用い、離型剤中のFe濃度をx(原子ppm)とし、鋳型に塗布した離型剤の厚みをy(μm)とすると、x≦5.0、20≦y≦100、x×y≦100を満たす条件で離型剤を塗布した鋳型内で多結晶シリコンを製造したときには、ライフタイムが良好な領域が急激に広がることを見出した。当該製法で得られた多結晶シリコンは、表面未研磨の状態で最表面のFe濃度が1原子ppm以下となり、典型的には検出下限以下(10ppb以下)にまで低下する。Fe濃度が1原子ppm以下の場合には、Feによるライフタイムへの悪影響は無視できる(K.A. Yamakawa, “The Effects of Impurities on the Performance of Silicon Solar Cells”, JPL Publication, September 1, 1981)。再表面のFe濃度が1原子ppm以下であると、拡散の原理によりそれよりも内部のFe濃度は更に低くなる。
従って、本発明は一側面において、窒化ケイ素粉末にバインダー及び溶媒を混合してできた離型剤を鋳型に塗布し、該鋳型内で溶融シリコンを凝固させることを含む多結晶シリコンの製造方法であって、窒化ケイ素粉末中に不純物として含まれるFe濃度をx(原子ppm)とし、鋳型に塗布した離型剤の厚みをy(μm)とすると、x≦5.0、20≦y≦100、及びx×y≦100を満たすことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法である。
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は一実施形態において、窒化ケイ素粉末中のFe濃度は、塩酸又は王水と窒化ケイ素粉末とを接触させる工程を経て低減されており、当該工程は超音波中及び/又はFeを材料としない粉砕媒体を用いた粉砕機中で行われる。
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は別の一実施形態において、x≦1.0である。
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は更に別の一実施形態において、30≦y≦80である。
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は一実施形態において、x×y≦30である。
本発明に係る多結晶シリコンの製造方法は更に別の一実施形態において、塩酸又は王水は温度が60〜100℃である。
本発明は更に別の一側面において、離型剤と接触した結晶面のキャリアライフタイムが5μsec以上である多結晶シリコンである。
本発明によれば、離型剤中に不純物として含まれるFeに起因する表層のライフタイムの短い領域が実質的に排除された多結晶シリコンが得られるため、材料歩留まりが良く、変換効率の高い太陽電池が作製可能となる。
<1.離型剤の調製>
本発明において使用する離型剤は窒化ケイ素粉末を材料とし、これをバインダー及び溶媒からなる溶液中に混合してスラリー状にすることで製造可能であるが、市販されている窒化ケイ素粉末では含有するFe濃度が高い(10ppm以上であるのが典型的である。)ので、本発明に直接使用することはできない。そこで、窒化ケイ素粉末中のFe濃度を低減することがまず必要となる。
窒化ケイ素粉末中のFe濃度を低減する方法としては、特許文献1に記載のように、窒化ケイ素粉末に水を加えた混合物に対して、ボールミルによる混練とテフロン(登録商標)コート磁気攪拌子を用いた攪拌を繰り返す方法が知られているが、十分ではない。仮に可能だとしても、そのような濃度を達成するのに必要な工程及び時間が長くなってしまう。
そこで、本発明では窒化ケイ素粉末中のFe濃度を効率よく低下させるために、鉄を効果的に溶解可能な塩酸又は王水と窒化ケイ素の粉末とを接触させることとする。そして、当該接触を超音波中及び/又はFeを材料としない粉砕媒体を用いたボールミルや振動ミル等の粉砕機中で行う。このような構成とすることで、より短時間でFe濃度を所望のレベルに低減することが可能となる。超音波による撹拌やボールミルを用いた混練を併用することにより、窒化ケイ素粉末の凝集が容易に解けるので、窒化ケイ素粉末中に混在しているFe成分と酸との接触効率が高まり、Fe成分の溶け出しが効率的に行われることとなる。使用する窒化ケイ素粉末は粒径が小さい方が接触効率が高くなるため好ましく、例えば中央粒径(d50)で1μm以下とするのが望ましい。
ボールミルを使用する場合はFeを材料としない粉砕媒体を用いることが二次汚染を防止する上で好ましく、例えばナイロン、PVC、PP、PE、ABSなどの樹脂や窒化ケイ素を材料とするボールを使用することができる。樹脂の場合は窒化ケイ素粉末に樹脂成分が混入したとしても、その後のアニール工程で揮発するので二次汚染の抑制効果がある。一方、超音波は二次汚染の心配が全くないという点でボールミルよりも優れている。超音波及びボールミルはそれぞれ単独で使用してもよく、両者を組み合わせて使用することも可能である。窒化ケイ素粉末からFeを溶解させるのに必要な時間は目標とするFe濃度に応じて適宜設定すればよい。
塩酸又は王水は室温(15〜25℃)の水溶液として用いてもよいが、60〜100℃程度、好ましくは80〜100℃の加熱水溶液として使用するのがFeの溶解性能の観点で望ましい。水溶液中の酸濃度としては塩酸においては2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%とすることが効率的なFeの溶解のために望ましい。上限値を定めたのは濃度が濃すぎても溶解速度が低下するからである。
このようにして窒化ケイ素粉末を酸と接触させた後は、その後のアニール工程でアニール炉の腐食や腐食による汚染を最小限にするために超純水による洗浄を行うことが望ましい。本発明において目標となる窒化ケイ素粉末中のFe濃度は、この後処理を終えた後の段階で、5.0原子ppm以下である。窒化ケイ素粉末中のFe濃度が5.0原子ppmを超えると、鋳型に塗布する離型剤の厚みを薄くしたとしてもFeの拡散によってライフタイムの短い領域がシリコンの表層に生じることは避けられないからである。また、離型剤の厚みを薄くし過ぎると離型剤本来の役目を果たさなくなるという問題も生じるからである。窒化ケイ素粉末中のFe濃度は好ましくは3.0原子ppm以下であり、より好ましくは1.0原子ppm以下であり、更により好ましくは0.5原子ppm以下である。
後処理を終えた窒化ケイ素粉末は、慣用のバインダー及び溶媒と混合することで離型剤が調製される。バインダーとしては、限定的ではないが、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、MC(メチルセルロース)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、EC(エチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、ワックス、でんぷんが挙げられ、純度や塗布する時の粘度が適当であることからPVAが好ましい。溶媒としては、限定的ではないが、水やアルコールが挙げられ、取り扱いの容易さから水が好ましい。窒化ケイ素粉末、バインダー及び溶媒の混合比率は特に制限はなく、塗布するときの粘性を考慮して適宜設定すればよいが、一例として、窒化ケイ素粉末100gに対して、バインダー100g、溶媒100gとすることができる。
<2.離型剤の鋳型への塗布>
離型剤の調製後は、適当な形状及び寸法をもつ鋳型の内面に離型剤を塗布する。離型剤は均一な厚みで塗布することが好ましい。鋳型としては、限定的ではないが、一般に石英坩堝や黒鉛坩堝を使用することができる。塗布の方法としては、スプレー、へら、及び刷毛による塗布が挙げられるが特に制限はない。鋳型に塗布する離型剤の厚みは、薄すぎると離型剤としての役目を果たさず、逆に厚すぎると鋳型から剥離しやすくなる。従って、鋳型に塗布する離型剤の厚みは20〜100μmとすることが必要であり、30〜80μmとするのが好ましい。
本発明においては更に、離型剤に使用する窒化ケイ素粉末中のFe濃度をx(原子ppm)とし、鋳型に塗布した離型剤の厚みをy(μm)とすると、x×y≦100となる条件で離型剤を塗布することが重要になる。x×y>100だと、離型剤からシリコンへFeが拡散することによるライフタイムへの悪影響が生じてしまう。逆にx×y≦100とすると、急激にライフタイムの良好な領域が広がる。窒化ケイ素粉末中のFe濃度の低減と同時に離型剤の厚みも制御することが肝要である。好ましくはx×y≦50であり、より好ましくはx×y≦30であり、更により好ましくはx×y≦20である。
離型剤を鋳型へ塗布した後は、溶媒及びバインダーを除去するために鋳型をアニールする。アニールは当業者に公知の任意の方法で行えばよいが、例えば、大気中で鋳型を850〜950℃に加熱し、3〜5時間当該温度に保持し、その後に冷却することで実施することができる。加熱時の高温によって溶媒及びバインダーは蒸発又は熱分解して離型剤から除去される。
<3.多結晶シリコンの製造>
上記のようにして得た鋳型を用いて多結晶シリコンを製造する方法としては、限定的ではないが、高純度のシリコンを溶融して鋳型に注ぎ、鋳型内で育成・凝固させるキャスト法が挙げられる。高純度のシリコンを得る方法としては例えばシーメンス法が知られている。この方法は、純度97%程度の金属シリコン原料を塩化した後、精製・還元することで、11N以上の高純度シリコンを得るというものである。多結晶は坩堝に原料を入れ、坩堝の底から一方向に凝固を実施することで育成することができる。具体的には、適当な温度勾配をもった炉内で溶融シリコンを入れた鋳型を移動する又は炉の温度を下げることで、容器の底から順次溶融試料を一方方向に凝固させる方法である。
本発明に係る多結晶シリコンは、離型剤中に含まれる不純物Feに起因する表層のライフタイムの低下が実質的に排除されており、劇的にライフタイムの良好な領域が広がることになる。具体的には、従来方法では多結晶の離型剤の接触面から2cm程度まで1μsec以下の領域が存在していたが、本発明により多結晶の離型剤の接触面においても5μsec以上が典型的に得られる。
<4.測定方法>
本発明において使用される各種の特性値は以下の方法で測定することにする。
離型剤に使用する窒化ケイ素粉末中のFe濃度は、JISK0133−2007に準拠してICP−MSで測定する。実施例ではAgilent社製型式7500CSのICP−MSを使用した。
鋳型に塗布した離型剤の厚みは、離型剤を塗布する前の鋳型の重量と、離型剤を塗布してから溶媒及びバインダーを蒸発させた後の重量とを測定して塗布した窒化ケイ素の重量を算出し、塗布した窒化ケイ素の重量(g)/3.44(g/cm3)/坩堝内面の表面積(cm2)の計算式によって測定する。
シリコンのライフタイムはヨウ素を用いたケミカルパッシベーション法により測定する。測定手順は以下の通りである。育成した結晶をウェハー状に切断し、表面を#600のサンドペーパーでラッピング後、フッ硝酸でエッチングし鏡面とする。結晶をビニールの袋にいれ、結晶表面に薄くほぼ均一になるようヨウ素メタノール溶液で満たす。ライフタイムの測定はマイクロPCD法により行い、使用装置はSEMI LAB社のWT2000を用いて測定した。測定方法は具体的にはSEMI MF1535−1106に記載されたとおりの方法で実施した。
以下に本発明を実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<例1(比較例)>
窒化ケイ素粉末(宇部興産社製SN−E10、比表面積:9〜13m2/g、Fe濃度<100ppm、中央粒径:約0.5μm)を200g用意した。当該粉末試料中のFe濃度を測定したところ、10.0原子ppmであった。これを200mLのPVA及び200mLの水と混合し、窒化ケイ素が均一に分散したスラリー状の離型剤を調製した。この離型剤を石英坩堝(コバレントマテリアル社製グラッサン(商品名)ルツボ、純度:99質量%(SiO2)、形状:内側の寸法で幅190mm×奥行き190mm×高さ300mm)の内面に均一に刷毛により塗布した。その後、離型剤を塗布した石英坩堝を大気中で950℃×3時間焼成し、PVA及び水を除去した。このとき、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みは50μmであった。
次に、シーメンス法で製造された11Nの高純度シリコン10kgを用意した。上記で得られた離型剤を塗布した石英坩堝中に、該シリコンのチャンク原料をチャージした。原料をチャージした坩堝はブリッジマン炉に設置され、減圧下、アルゴン雰囲気中で1500℃まで昇温し、シリコンを完全に溶解した後、一方向凝固を実施して多結晶シリコンを製造した。育成速度は10mm/hrで育成時間は15時間、降温時間は12時間とした。得られた多結晶シリコンを取り出した後、バンドソーで縦に割り、#600のサンドペーパーでラッピング後に表面をフッ硝酸エッチングした後、先述したヨウ素パッシベーション法を用いてライフタイムの面内測定を実施したところ坩堝に接している底辺部、側面部で1μsec未満であった。
<例2(比較例)>
窒化ケイ素粉末を、20℃の塩酸(10質量%)中に浸漬してテフロン(登録商標)コート磁気撹拌子により5時間撹拌することにより洗浄し、その後超純水中に浸漬し、上澄み除去を複数回実施する後処理をした。処理後の窒化ケイ素粉末中のFe濃度は5.0原子ppmであった。その他は、例1と同様にして離型剤を調製した。また、離型剤の石英坩堝への塗布及び多結晶シリコンの製造も例1と同様の条件で実施した。その結果、シリコンのライフタイムは1μsec未満であった。
<例3(比較例)>
石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを20μmとした他は、例1と同様の条件で離型剤の調製、離型剤の石英坩堝への塗布、及び多結晶シリコンの製造を実施した。その結果、シリコンのライフタイムは1μsec未満であった。
<例4(比較例)>
石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを10μmとした他は、例2と同様の条件で離型剤の調製、離型剤の石英坩堝への塗布、及び多結晶シリコンの製造を実施した。その結果、結晶が坩堝に固着し、結晶割れが生じた。結晶として評価できなかった。
<例5(比較例)>
窒化ケイ素粉末を80℃の塩酸(10質量%)中に浸漬して超音波撹拌することにより1時間洗浄し、その後上澄みを除去し、超純水で洗浄、上澄みの除去を5回繰り返した。処理後の窒化ケイ素粉末中のFe濃度は1.0原子ppmであった。その他は、例1と同様にして離型剤を調製した。また、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを200μmとした他は、離型剤の石英坩堝への塗布を例1と同様の条件で実施した。その結果、シリコンのライフタイムは1μsec未満であった。
<例6(発明例)>
窒化ケイ素粉末を80℃の塩酸(10質量%)中に浸漬して超音波撹拌することにより1時間洗浄し、その後上澄みを除去し、超純水で洗浄、上澄みの除去を5回繰り返した。処理後の窒化ケイ素粉末中のFe濃度は1.0原子ppmであった。その他は、例1と同様にして離型剤を調製した。また、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを100μmとした他は、離型剤の石英坩堝への塗布及び多結晶シリコンの製造を例1と同様の条件で実施した。その結果、離型剤と接触した部分のシリコンのライフタイムは5μsecであった。
<例7(発明例)>
超音波撹拌の時間を2倍にした他は、例6と同様の条件で離型剤の調製、離型剤の石英坩堝への塗布、及び多結晶シリコンの製造を実施した。その結果、窒化ケイ素粉末中のFe濃度は0.5原子ppm、離型剤と接した部分のシリコンのライフタイムは25μsecとなった。
<例8(発明例)>
石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを50μmとした他は、例6と同様の方法で離型剤分散液の調製、離型剤の石英坩堝への塗布、及び多結晶シリコンの育成を実施した。その結果、離型剤と接した部分のシリコンのライフタイムは25μsecであった。
<例9(発明例)>
窒化ケイ素粉末200gと60℃の塩酸(10質量%)400mLの混合物を、ナイロン製のボール(Φ10mm)を1200個入れたボールミル(Φ240mm×H220mmのナイロン製ポット)で3時間72rpmの回転数で混練した。その後、テフロン(登録商標)製のメンブレンを用いてろ過し、ろ過後の窒化珪素粉末と超純水800mLを混合してナイロン製のポットに入れ、30分間72rpmの回転数で洗浄処理した。ろ過から超純水洗浄までの工程は繰り返して行い、合計で5回実施した。処理後の粉末試料中のFe濃度は2.0原子ppmであった。その他は、例1と同様の条件で離型剤を調製した。また、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを50μmとした他は、離型剤の石英坩堝への塗布及び多結晶シリコンの製造を例1と同様の条件で実施した。その結果、離型剤と接した部分のシリコンのライフタイムは5μsecとなった。
<例10(発明例)>
窒化ケイ素粉末200gと60℃の塩酸(10質量%)400mLの混合物を、ナイロン製のボール(Φ10mm)を1200個入れたボールミル(Φ240mm×H220mmのナイロン製ポット)で3時間72rpmの回転数で混練した。その後、テフロン(登録商標)製のメンブレンを用いてろ過し、ろ過後の窒化珪素粉末と超純水800mLを混合してナイロン製のポットに入れ、30分間72rpmの回転数で洗浄処理した。ろ過から超純水洗浄までの工程は繰り返して行い、合計で5回実施した。上記処理した窒化ケイ素をさらに、100℃の塩酸(10%)中に浸漬して超音波洗浄を行い、上記同様の後処理(ろ過及び超純水洗浄を5回実施)をした。これにより得られた窒化ケイ素粉末中のFe濃度は0.1原子ppmであった。その他は、例1と同様にして離型剤分散液を調製した。また、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを100μmとした他は、離型剤の石英坩堝への塗布及び多結晶シリコンの製造を例1と同様の方法で実施した。その結果、離型剤と接した部分のシリコンのライフタイムは150μsecであり、結晶内部のライフタイムと同様な値となった。
<例11(比較例)>
窒化ケイ素粉末200gと60℃の塩酸(10質量%)400mLの混合物を、ナイロン製のボール(Φ10mm)を1200個入れたボールミル(Φ240mm×H220mmのナイロン製ポット)で3時間72rpmの回転数で混練した。その後、テフロン(登録商標)製のメンブレンを用いてろ過し、ろ過後の窒化珪素粉末と超純水800mLを混合してナイロン製のポットに入れ、30分間72rpmの回転数で洗浄処理した。ろ過から超純水洗浄までの工程は繰り返して行い、合計で5回実施した。処理後の粉末試料中のFe濃度は2.0原子ppmであった。その他は、例1と同様の条件で離型剤を調製した。また、石英坩堝に塗布した離型剤の厚みを70μmとした他は、離型剤の石英坩堝への塗布及び多結晶シリコンの製造を例1と同様の条件で実施した。その結果、離型剤と接した部分のシリコンのライフタイムは1μsecとなった。
表1に、上記の結果をまとめた。表1から分かるように、x≦5.0、20≦y≦100、及びx×y≦100のすべてを満たすケースでは、多結晶シリコンのライフタイムが急激に改善している。
Figure 2011074321

Claims (7)

  1. 窒化ケイ素粉末にバインダー及び溶媒を混合してできた離型剤を鋳型に塗布し、該鋳型内で溶融シリコンを凝固させることを含む多結晶シリコンの製造方法であって、窒化ケイ素粉末中に不純物として含まれるFe濃度をx(原子ppm)とし、鋳型に塗布した離型剤の厚みをy(μm)とすると、x≦5.0、20≦y≦100、及びx×y≦100を満たすことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
  2. 窒化ケイ素粉末中のFe濃度は、塩酸又は王水と窒化ケイ素粉末とを接触させる工程を経て低減されており、当該工程は超音波中及び/又はFeを材料としない粉砕媒体を用いた粉砕機中で行われる請求項1記載の製造方法。
  3. x≦1.0である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 30≦y≦80である請求項1〜3何れか一項記載の製造方法。
  5. x×y≦30である請求項1〜4何れか一項記載の製造方法。
  6. 塩酸又は王水は温度が60〜100℃である請求項2〜5何れか一項記載の製造方法。
  7. 離型剤と接触した結晶面のキャリアライフタイムが5μsec以上である多結晶シリコン。
JP2011546019A 2009-12-14 2010-10-20 太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法 Pending JPWO2011074321A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009283002 2009-12-14
JP2009283002 2009-12-14
PCT/JP2010/068511 WO2011074321A1 (ja) 2009-12-14 2010-10-20 太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2011074321A1 true JPWO2011074321A1 (ja) 2013-04-25

Family

ID=44167087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011546019A Pending JPWO2011074321A1 (ja) 2009-12-14 2010-10-20 太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20120251426A1 (ja)
EP (1) EP2514715A1 (ja)
JP (1) JPWO2011074321A1 (ja)
CN (1) CN102712481A (ja)
TW (1) TW201124568A (ja)
WO (1) WO2011074321A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012090543A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 宇部興産株式会社 多結晶シリコンインゴット鋳造用鋳型、並びにその離型材用窒化珪素粉末、その離型層用窒化珪素粉末含有スラリー及びその鋳造用離型材
CN102794387B (zh) * 2012-08-17 2014-07-23 沭阳县壹陆捌助剂经营部 铅酸蓄电池铸焊用脱模剂及其制备方法
US20160141442A1 (en) * 2013-07-31 2016-05-19 Christoph SACHS Use of silicon nitride as a substrate and a coating material for the rapid solidification of silicon
JP2018065710A (ja) * 2016-10-18 2018-04-26 信越化学工業株式会社 多結晶シリコン塊、多結晶シリコン棒、および単結晶シリコンの製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07215714A (ja) * 1994-01-28 1995-08-15 Sharp Corp 多結晶シリコン製造方法および多結晶シリコン製造用坩堝
JP2002080215A (ja) * 2000-09-04 2002-03-19 Sharp Corp 多結晶半導体インゴットの製造方法
JP2006247698A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Kyocera Corp 鋳造装置及びこれを用いたシリコン鋳造方法
JP2007261832A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Sumco Solar Corp 窒化珪素離型材粉末、離型材の作製方法及び焼成方法
WO2008026688A1 (fr) * 2006-08-30 2008-03-06 Kyocera Corporation Procédé de formation d'un moule pour la production d'un lingot de silicium, procédé de production d'un substrat pour élément de cellule solaire, procédé de production d'un élément de cellule solaire et moule pour la production d'un lingot de silicium

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4279657A (en) * 1980-01-30 1981-07-21 General Electric Company Light-transmitting silicon nitride
DE69401994T2 (de) * 1993-06-11 1997-07-31 Shinetsu Chemical Co Verfahren zur Herstellung von Siliciumnitridpulver hohem Alpha-Gehalt
EP1739209A1 (en) * 2005-07-01 2007-01-03 Vesuvius Crucible Company Crucible for the crystallization of silicon

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07215714A (ja) * 1994-01-28 1995-08-15 Sharp Corp 多結晶シリコン製造方法および多結晶シリコン製造用坩堝
JP2002080215A (ja) * 2000-09-04 2002-03-19 Sharp Corp 多結晶半導体インゴットの製造方法
JP2006247698A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Kyocera Corp 鋳造装置及びこれを用いたシリコン鋳造方法
JP2007261832A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Sumco Solar Corp 窒化珪素離型材粉末、離型材の作製方法及び焼成方法
WO2008026688A1 (fr) * 2006-08-30 2008-03-06 Kyocera Corporation Procédé de formation d'un moule pour la production d'un lingot de silicium, procédé de production d'un substrat pour élément de cellule solaire, procédé de production d'un élément de cellule solaire et moule pour la production d'un lingot de silicium

Also Published As

Publication number Publication date
CN102712481A (zh) 2012-10-03
TW201124568A (en) 2011-07-16
WO2011074321A1 (ja) 2011-06-23
US20120251426A1 (en) 2012-10-04
EP2514715A1 (en) 2012-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5153636B2 (ja) シリコンインゴット製造用鋳型の形成方法、太陽電池素子用基板の製造方法、および太陽電池素子の製造方法
KR101431360B1 (ko) 다결정 실리콘 잉곳의 제조 방법 및 다결정 실리콘 잉곳
US20090130014A1 (en) Silicon recycling method, and silicon and silicon ingot manufactured with that method
JP5637220B2 (ja) 多結晶シリコンインゴット鋳造用鋳型及びその製造方法並びに多結晶シリコンインゴット鋳造用鋳型の離型材用窒化珪素粉末及びそれを含有したスラリー
JP5637221B2 (ja) 多結晶シリコンインゴット鋳造用鋳型及びその製造方法並びに多結晶シリコンインゴット鋳造用鋳型の離型材用窒化珪素粉末及びそれを含有したスラリー
JP5930637B2 (ja) 離型剤用窒化ケイ素粉末およびその製造方法
US8647747B2 (en) Hybrid silicon wafer and method of producing the same
JPWO2011074321A1 (ja) 太陽電池用多結晶シリコン及びその製造方法
CN109704782B (zh) 一种用于光伏多晶硅生产的Si2N2O陶瓷粉体的制备方法
KR20140005221A (ko) 다결정 실리콘 잉곳 주조용 주형, 그리고 그의 이형재용 질화규소 분말, 그의 이형층용 질화규소 분말 함유 슬러리 및 그의 주조용 이형재
JP6329733B2 (ja) 半導体ウェハのエッチング方法、半導体ウェハの製造方法および半導体ウェハの結晶欠陥検出方法
JP5972660B2 (ja) コロイドシリカの製造方法及びcmp用スラリーの製造方法
JP5901448B2 (ja) 離型剤用窒化ケイ素粉末
CN114540951B (zh) 一种回收利用硅泥制备多晶硅锭的方法
JP4116914B2 (ja) シリコン鋳造用鋳型の製造方法、シリコンインゴットの製造方法
JP2021508311A (ja) トリクロロシランを調製するためのシリコン顆粒、及び関連する製造方法
JP6304477B2 (ja) 炭化珪素粉粒体及びその製造方法
JP6337389B2 (ja) 炭化珪素粉粒体の製造方法
JPWO2013132629A1 (ja) 高純度シリコンの製造方法、及びこの方法で得られた高純度シリコン、並びに高純度シリコン製造用シリコン原料
CN103124693B (zh) 硅锭制造用容器
JP2012017222A (ja) ハイブリッドシリコンウエハ及びその製造方法
JP2004174527A (ja) 多結晶シリコンインゴットの鋳造方法、それに用いるシリコン鋳造用鋳型、およびそれに用いる離型材
JP4845722B2 (ja) シリコン原料の製造方法
CN109913929B (zh) 一种铸锭坩埚贴膜及其制备方法
CN117438391B (zh) 一种高热导率3C-SiC多晶基板及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130924

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140218