JP2006256894A - 炭化珪素焼結体用原料およびそれを用いて得られる炭化珪素焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シリコンウェーハの研削加工に際して大量に発生し、産業廃棄物として処理されてきた廃スラリーを有効し、併せて炭化珪素焼結体用の原料を安価に供給に利用する。
【解決手段】 本発明の炭化珪素焼結体用原料は、シリコンインゴットの研削加工工程から副正成する廃スラリーを遠心分離器で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジを処理して得られる。また、本発明の炭化珪素焼結体は、炭化珪素及びシリコンともシリコンインゴットの切削加工工程から副正成するものであることを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の炭化珪素焼結体用原料は、シリコンインゴットの研削加工工程から副正成する廃スラリーを遠心分離器で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジを処理して得られる。また、本発明の炭化珪素焼結体は、炭化珪素及びシリコンともシリコンインゴットの切削加工工程から副正成するものであることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、シリコンインゴットの加工工程で発生する切削粉および使用済み切削砥粒の有効利用に関する。
トランジスター、ICチップ等を製造するためのシリコンウェーハは単結晶シリコンをスライスして得られる。ウェーハを切り出す方法は、ウェーハの大面積化(シリコンインゴットの大径化)に伴い、ウェーハ平坦度の維持・向上、スライス時のブレード厚さによるロスを減少させるため、外周刃、内周刃を使用するダイヤモンドソー方法からワイヤソーを使用する方法(特許文献1参照)、即ち切り代が少なくなる方法へと、進化して来ている。他方、太陽光発電に使用されるシリコンウェーハは、半導体用と同様、シリコン結晶(単結晶、多結晶シリコンインゴット)をスライスして得られるが、半導体用のようにスライス後のウェーハを研磨する必要がなく、アズスライスの状態で使用されること及び安価なことが求められているため、半導体用より薄いウェーハが求められている。そのためスライス方法は、ワイヤソーの独壇場となっている。
半導体用、太陽電池用共に加工枚数は増大の一途を辿り、スライス工程で使用する砥粒の使用量も年々膨大な量となっており、使用後のスラリーは産業廃棄物として処理されるのが通例であり、その有効利用が求められていた。
他方、高温強度、耐熱衝撃性、耐食性等に優れるため種々の用途に利用されている炭化珪素焼結体が知られている(非特許文献1参照)。その製法は、
(1)原料炭化珪素に焼結助剤を添加し、ホットプレス、常圧プレス、ラバープレス、押出機等で成形後焼結する方法、
(2)炭化珪素及び炭素との混合粉末の成形体を高温焼結過程で、シリコン蒸気又は溶融シリコンと反応させる方法(反応焼結法)、
等が採用されているが、原料SiCを安価、多量かつ安定的に入手することが求められている。
他方、高温強度、耐熱衝撃性、耐食性等に優れるため種々の用途に利用されている炭化珪素焼結体が知られている(非特許文献1参照)。その製法は、
(1)原料炭化珪素に焼結助剤を添加し、ホットプレス、常圧プレス、ラバープレス、押出機等で成形後焼結する方法、
(2)炭化珪素及び炭素との混合粉末の成形体を高温焼結過程で、シリコン蒸気又は溶融シリコンと反応させる方法(反応焼結法)、
等が採用されているが、原料SiCを安価、多量かつ安定的に入手することが求められている。
本発明は、シリコンウェーハの研削加工に際して大量に発生し、従来は産業廃棄物として処理されてきた廃スラリーを有効に利用し、併せて炭化珪素焼結体用の原料を安価に供給することを課題とする。
本発明の炭化珪素焼結体用原料は、シリコンインゴットの研削加工工程から副正成する廃スラリーを遠心分離器で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジを処理して得られる。また、本発明の炭化珪素焼結体は、炭化珪素及びシリコンともシリコンインゴットの切削加工工程から副正成するものであることを特徴とする。
本発明の方法は、使用後のスラリーを遠心分離器で処理するか、ろ過器でろ過して得られたコンクなスラッジを使用する以外、特別な添加剤を添加するとかの格別の手段の追加事項は不要であって、安価、多量かつ容易に炭化珪素焼結体用の原料を提供することが可能になる。なお、スラリー中に含有する切削Si分は、半導体用及び太陽電池用共に、純度は6ナイン(99.9999%)以上のレベルにあり、得られた炭化珪素焼結体の品質を劣化する要素はない。また、切削Siの粒径は1〜5μmのため、粉砕の必要も、粉砕に伴う不純物混入もない。更に、使用後スラリーを処理し、含まれる有効成分を再利用するため、廃棄物量を激減でき、経済性に優れる。
シリコンウェーハの加工工程で発生する切削材を含む廃液または廃油(廃スラリー)は、従来は産業廃棄物として処理されていたが、本発明は、その有効利用について鋭意検討した結果なされたものである。即ち、前述のごとく、炭化珪素焼結体の製造法の内、焼結助剤を使用する焼結法において、金属Siを使う方法の原料組成は「SiC+Si+(その他添加剤)」であるのに対し、スライス加工で発生する切削廃液をろ過後の固層組成も「SiC+Si+(その他添加剤)」と同一である。即ち、シリコンの加工工程で副成正する固層は、そのまま炭化珪素焼結体の原料として有効に再利用できることを見出し、本発明に至ったものである。
また、反応焼結法は、「SiC+C」に有機バインダーを添加して成形・脱脂した後、炭素(C)と溶融Siとを反応させて目的とする焼結体を得るものである。他方、廃スラリーから回収された固層組成は「SiC+Si」である。これに有機バインダーを使用して成形後、酸素の存在しない系で加熱することにより、有機バインダーが炭化(脱脂)され炭素(C)が二次的に生成することになる。即ち、回収固層組成は「SiC+Si+C」となるため、脱脂後の成形体を「Si+C→SiC」となる反応温度以上に熱すれば反応燒結法による炭化珪素燒結体が得られることを併せて見出し、本発明に至ったものである。なお、燒結後のSiCはβ体である。
また、反応焼結法は、「SiC+C」に有機バインダーを添加して成形・脱脂した後、炭素(C)と溶融Siとを反応させて目的とする焼結体を得るものである。他方、廃スラリーから回収された固層組成は「SiC+Si」である。これに有機バインダーを使用して成形後、酸素の存在しない系で加熱することにより、有機バインダーが炭化(脱脂)され炭素(C)が二次的に生成することになる。即ち、回収固層組成は「SiC+Si+C」となるため、脱脂後の成形体を「Si+C→SiC」となる反応温度以上に熱すれば反応燒結法による炭化珪素燒結体が得られることを併せて見出し、本発明に至ったものである。なお、燒結後のSiCはβ体である。
半導体用及び太陽電池用を問わずシリコンウェーハの加工は、切削砥粒(SiC)を切削液(または油)中に分散したスラリーが利用されている。加工後(使用後)の廃スラリーは、研削工程で削り取られたSi及びワイヤーの消耗に伴うFeがプラスされた組成となる。使用後のスラリーをろ過したあとの固層組成は、SiC+Si+Feで、その比率は加工業者の違いによっても変動するが、夫々50、20、2質量%が平均的なものである。今平均粒径11.5μ(#1000)のSiC砥粒を使用したときの廃スラリー中の平均粒径は順に10.5、2、1.5μmである。
切削油を使用した場合、分散材として1μm以下のクレイを微量含んでいるが、廃スラリー中にはこれら分散材由来の微粉は粒度分布測定装置において確認できるレベル以下まで低下する。結果として、廃スラリー粘度は低下するが、残存固層中の組成には変化がない。なお、粒度分布の測定は電気抵抗法を採用した。
他方、SiC焼結体の標準仕込み組成及び粒径は、1μ以下の微粉を除けばこれらの値にほぼ等しい。従って、固層を合目的的に処理すれば、そのまま炭化珪素焼結体用の原料として利用できる筈である。
切削油を使用した場合、分散材として1μm以下のクレイを微量含んでいるが、廃スラリー中にはこれら分散材由来の微粉は粒度分布測定装置において確認できるレベル以下まで低下する。結果として、廃スラリー粘度は低下するが、残存固層中の組成には変化がない。なお、粒度分布の測定は電気抵抗法を採用した。
他方、SiC焼結体の標準仕込み組成及び粒径は、1μ以下の微粉を除けばこれらの値にほぼ等しい。従って、固層を合目的的に処理すれば、そのまま炭化珪素焼結体用の原料として利用できる筈である。
廃スラリーの処理は、使用後のスラリーを遠心分離器で処理するか、ろ過器でろ過し、コンクなスラッジとし、基本的にはこのものを乾燥すれば炭化珪素燒結体用の原料が得られる。なお、炭化珪素焼結法は脱脂工程を経るため、本工程で残存する有機物は炭化あるいは蒸発揮散するので、必ずしも固層を水洗する必要はないが、目的によっては、溶媒やアルカリ水または酸で処理し切削工程で混入したSiC以外の混入物を除去し、所望の固層組成として回収することも可能である。
半導体用シリコンウェーハは、ウェーハ表面を使用するため、ウェーハに加工後表面の研磨を必要とする。そのため、ウェーハの厚さは厚くなる。その厚さは、ウェーハ径にもよるが、300mmウェーハでは900〜950μmである。
半導体用シリコンウェーハは、ウェーハ表面を使用するため、ウェーハに加工後表面の研磨を必要とする。そのため、ウェーハの厚さは厚くなる。その厚さは、ウェーハ径にもよるが、300mmウェーハでは900〜950μmである。
ウェーハ径が大きくなるに従い、ウェーハの加工方法もダイヤモンド砥粒を円盤に電着した所謂ダイヤモンドソー(内周刃、外周刃)からワイヤソーに進化してきている。
ダイヤモンドソーが用いられるのは、シリコンインゴット径が6インチ、時として8インチまでである。ダイヤモンドソーの欠点は、盤径が大きくなれば、強度を維持するために、ソーを厚くする必要があることである。厚くなれば、切り代も多くなり、高価なインゴットのロスとなる。従ってインゴット径が8インチ以上ではワイヤソーによる切断が必須となっている。
ダイヤモンドソーによる切り代ロスはmm単位であるのに対して、ワイヤソーによるそれは、150〜200μm程度である。
ダイヤモンドソーが用いられるのは、シリコンインゴット径が6インチ、時として8インチまでである。ダイヤモンドソーの欠点は、盤径が大きくなれば、強度を維持するために、ソーを厚くする必要があることである。厚くなれば、切り代も多くなり、高価なインゴットのロスとなる。従ってインゴット径が8インチ以上ではワイヤソーによる切断が必須となっている。
ダイヤモンドソーによる切り代ロスはmm単位であるのに対して、ワイヤソーによるそれは、150〜200μm程度である。
他方、太陽電池用のウェーハは、発電コストの低減のため、可能な限り薄いものが求められている。また、半導体用のように表面研磨加工が不要なため厚さは薄くてもよく、170〜350μm程度である。従って、太陽電池用のウェーハの加工は専らワイヤソー加工となっている。
シリコンウェーハの切断加工時に使用するSiC砥粒径は、10〜20μm品が主流である。
SiCは、硅石を炭素で還元して得られる通称アチソン法と呼ばれる方法により工業的に多量に生産されている。アチソン法で得られた塊状品(α−SiC)を粉砕したものが研削用砥粒として販売されている。
シリコンウェーハの切断加工時に使用するSiC砥粒径は、10〜20μm品が主流である。
SiCは、硅石を炭素で還元して得られる通称アチソン法と呼ばれる方法により工業的に多量に生産されている。アチソン法で得られた塊状品(α−SiC)を粉砕したものが研削用砥粒として販売されている。
研削スラリーは、(1)オイル系と、(2)水溶性系の2種類が知られている。
オイル系組成は、鉱物油にソルビタン誘導体、分散剤(主としてクレイ)、界面活性剤、乳化剤を混合したもので、水に不溶である。水溶性系は水にプロピレングリコール、界面活性剤、乳化剤を混合したものである。以下、オイル系研削液の調整方法について説明する。
研削スラリーの配合割合は、SiC砥粒100部当りオイル100〜120部(比重0.9)である。十分に撹拌した後、スラリー貯槽に貯えられる。次いで、スラリーは、ワイヤが600〜1000m/分(マルチワイヤソーの場合)で走行する加工装置に供給されインゴットを切断加工し、ウェーハにする。ワイヤーに同伴された砥粒により、シリコンインゴットは徐々に切断が進行する。切断の進行とともに切削工程で削り取られたSi及びワイヤーの消耗に伴うFeを含むスラリー液が廃出される。
オイル系組成は、鉱物油にソルビタン誘導体、分散剤(主としてクレイ)、界面活性剤、乳化剤を混合したもので、水に不溶である。水溶性系は水にプロピレングリコール、界面活性剤、乳化剤を混合したものである。以下、オイル系研削液の調整方法について説明する。
研削スラリーの配合割合は、SiC砥粒100部当りオイル100〜120部(比重0.9)である。十分に撹拌した後、スラリー貯槽に貯えられる。次いで、スラリーは、ワイヤが600〜1000m/分(マルチワイヤソーの場合)で走行する加工装置に供給されインゴットを切断加工し、ウェーハにする。ワイヤーに同伴された砥粒により、シリコンインゴットは徐々に切断が進行する。切断の進行とともに切削工程で削り取られたSi及びワイヤーの消耗に伴うFeを含むスラリー液が廃出される。
切り代(切り幅)は、ブレード厚さ又はワイヤー径と、供給する砥粒径により決まる。
ワイヤソーの場合、切り幅(t)はt=d+3a(d:ワイヤー径、a:砥粒径)で示される。従って、ワイヤー径が細いほど、及び砥粒径が小さいほど、切り幅は細くなり、ウェーハ収率(収得率)は向上する。現在実用されているワイヤー径は120〜150μm、平均砥粒径は主に10〜12μmなので、切り幅は150〜200μmとなる。
削り取られたSiの平均粒径は、2μm(粒度分布範囲は6μm以下)、及びワイヤーの摩耗に伴うFeのそれは1.5μm(同4μm以下)である。
ワイヤソーの場合、切り幅(t)はt=d+3a(d:ワイヤー径、a:砥粒径)で示される。従って、ワイヤー径が細いほど、及び砥粒径が小さいほど、切り幅は細くなり、ウェーハ収率(収得率)は向上する。現在実用されているワイヤー径は120〜150μm、平均砥粒径は主に10〜12μmなので、切り幅は150〜200μmとなる。
削り取られたSiの平均粒径は、2μm(粒度分布範囲は6μm以下)、及びワイヤーの摩耗に伴うFeのそれは1.5μm(同4μm以下)である。
なお、このほかに加工時に砥粒の破壊も進行するため、平均粒径5μm前後のSiC断片が発生するが、その量は1〜5%と極めて少ない。また、前述したクレイの他にシリコンインゴット(ワーク)を接着剤を使用してワーク台座に固定するための当て板(カーボン、ガラス)を使用するが、この当て板(ダミー板)も加工時に削り取られ廃スラリー中に混入するが、量はSi切粉よりはるかに少なく、その粒径も1μm以下で本発明に支障をきたす要因とならない。
以上から、使用後のスラリー中に含まれる固層の組成は、使用前SiC、破断SiC、切削SiそれにFeが主なもので、その他のものは極わずかである。固層の組成比率はワイヤソーの送りスピードにも左右されるが、平均してSiC100部に対し、Si20〜30部、Feは3〜5部であるのが通例である。なお、ダイヤモンドソーの場合は、ソーから離脱したダイヤモンド粒(30〜60μm)が混入するが、その割合は少なく1%以下のため、目的とする最大粒径以下になるように篩分けすれば焼結上支障はなく、本目的の障害とならない。
ワイヤソー切断の場合、半導体用は円筒状シリコンインゴットから円形ウェーハに、太陽電池用は角柱インゴットから矩形ウェーハに加工される。従って、円形ウェーハの加工は切削開始初期、中期、後期でワイヤー張力を調整することが要求されるため、切削速度は遅いという欠点があるものの環境対策上、切削液は水溶性系を使用する例が多い。他方、太陽電池用矩形ウェーハの加工は、切削開始から終了まで張力変更の必要はなく、生産性を重視する仕様のため、オイル系を使用する例が多い。
以上から、使用後のスラリー中に含まれる固層の組成は、使用前SiC、破断SiC、切削SiそれにFeが主なもので、その他のものは極わずかである。固層の組成比率はワイヤソーの送りスピードにも左右されるが、平均してSiC100部に対し、Si20〜30部、Feは3〜5部であるのが通例である。なお、ダイヤモンドソーの場合は、ソーから離脱したダイヤモンド粒(30〜60μm)が混入するが、その割合は少なく1%以下のため、目的とする最大粒径以下になるように篩分けすれば焼結上支障はなく、本目的の障害とならない。
ワイヤソー切断の場合、半導体用は円筒状シリコンインゴットから円形ウェーハに、太陽電池用は角柱インゴットから矩形ウェーハに加工される。従って、円形ウェーハの加工は切削開始初期、中期、後期でワイヤー張力を調整することが要求されるため、切削速度は遅いという欠点があるものの環境対策上、切削液は水溶性系を使用する例が多い。他方、太陽電池用矩形ウェーハの加工は、切削開始から終了まで張力変更の必要はなく、生産性を重視する仕様のため、オイル系を使用する例が多い。
使用後スラリーの発生量は供給量に比例する。また、使用後のスラリーは、このままイ.産業廃棄物として処理されるか、ロ.遠心分離器を使用し、分散油を回収する(特開2002−117147号公報、特開2004−82247号公報)あるいはSiCを回収する(特開平8−168950号公報)、ハ.遠心分離器中に残存する固層をアルカリで処理してSiを溶解除去しSiCを回収(特開平11−48146号公報)する、次いでこのものを酸で洗浄してFe分をカットした後、湿式サイクロンセパレータで分級しバージンに近いSiC砥粒を回収する(特開2002−28866号公報)方法と大別して3法が知られている。
これら方法の目的は高価なSiC砥粒あるいは研削液の回収再利用である。同時に廃棄物量の低減である。しかし、一度使用された後に回収されたSiC砥粒形状は、研削に必要な鋭角性に欠け、バージンSiCと比し切削能力は劣り、回収SiC100%のみの使用には限界がある。通常バージン中に回収SiCを10〜50%混合して使用するのが通常である。本発明は、ロ及びハの方法を同時に満足することが出来るため、発生する産業廃棄物を大幅に減少させることが可能となる。即ち、廃スラリーから分離された液層は、未使用スラリー液と混合・再利用し、残った固層は炭化珪素焼結体用の原料に有効利用できる。
コンクなスラッジは、廃スラリーを遠心分離器で処理することにより得られる。得られたコンクなスラッジは、そのまま乾燥すれば炭化珪素焼結体用の原料が得られることになるが、廃スラリー中には1μm以上の粒と前述の通り1μm以下の微粉が数%含むために強い粘性を示し、容易にロ過器でロ過・分離することは困難である。従って、遠心分離処理するのが効率的であるが、その他の方法との併用も採用できる。例えば、初回は低速回転(500G)の遠心分離で粗粒を回収し、次いで細粒を含む液を更に高速(1500G以上)で遠心分離する等がそれに該当する。
遠心分離されたコンクなスラッジの乾燥は、スラッジ中の固層濃度に左右される。
スラッジ中の固層濃度が70%以上、好ましくは80%以上である。乾燥方法は、流動乾燥機が利用出来るが、その他当業界で公知の方法、例えば真空乾燥機で処理すること等も可能である。乾燥後、乾燥中に凝集・生成した粗粒を篩い分けし、炭化珪素燒結体用原料とする。なお、水洗せずにSi、Feを含んだまま乾燥しても、本目的とする炭化珪素燒結体用原料として支障となるものはない。
コンクな廃スラッジ中に含まれるSiを除去したい場合、固層を2〜10%のアルカリ水で処理したのち、処理液を遠心分離することにより除去することが出来る。なお、アルカリ水で処理することにより、スラッジ中に含まれる1μm以下の微粉も同時に除去でき、固層組成はSiCとFeとなる。更に、Fe分を除去する必要がある場合は、固層を1〜10%の塩酸水で処理することにより、Fe粉は水に溶け、残部はSiCとなるので、これを乾燥すれば珪素燒結体用原料として回収できる。
他方、コンクな廃スラッジ中に含まれる1μm以下の微粉を除去し乾燥を容易にするために、溶剤を使用することも可能である。
溶剤は水溶性研削液を使用した場合、アセトン、THF(テトラヒドロフラン)及び灯油等が、水溶性研削液を使用した場合、メタノール、エタノール及びIPA(イソプロピルアルコール)等のアルコール類が使用できる。これら溶剤の使用量は固層濃度80%の廃スラッジ100部に対し、10〜50部、好ましくは20〜30部である。なお、本発明が主とする目的は、Siを除去しないことにあるため、アルカリ水を使用しないで、コンクなスラッジ液をそのまま乾燥するか、溶剤を使用し、微粉を除去する方法が望ましい。
廃スラリーから遠心分離器により分離された液はフイルターで微分をカットし、未使用研削液と混合して再利用できる。
これら方法の目的は高価なSiC砥粒あるいは研削液の回収再利用である。同時に廃棄物量の低減である。しかし、一度使用された後に回収されたSiC砥粒形状は、研削に必要な鋭角性に欠け、バージンSiCと比し切削能力は劣り、回収SiC100%のみの使用には限界がある。通常バージン中に回収SiCを10〜50%混合して使用するのが通常である。本発明は、ロ及びハの方法を同時に満足することが出来るため、発生する産業廃棄物を大幅に減少させることが可能となる。即ち、廃スラリーから分離された液層は、未使用スラリー液と混合・再利用し、残った固層は炭化珪素焼結体用の原料に有効利用できる。
コンクなスラッジは、廃スラリーを遠心分離器で処理することにより得られる。得られたコンクなスラッジは、そのまま乾燥すれば炭化珪素焼結体用の原料が得られることになるが、廃スラリー中には1μm以上の粒と前述の通り1μm以下の微粉が数%含むために強い粘性を示し、容易にロ過器でロ過・分離することは困難である。従って、遠心分離処理するのが効率的であるが、その他の方法との併用も採用できる。例えば、初回は低速回転(500G)の遠心分離で粗粒を回収し、次いで細粒を含む液を更に高速(1500G以上)で遠心分離する等がそれに該当する。
遠心分離されたコンクなスラッジの乾燥は、スラッジ中の固層濃度に左右される。
スラッジ中の固層濃度が70%以上、好ましくは80%以上である。乾燥方法は、流動乾燥機が利用出来るが、その他当業界で公知の方法、例えば真空乾燥機で処理すること等も可能である。乾燥後、乾燥中に凝集・生成した粗粒を篩い分けし、炭化珪素燒結体用原料とする。なお、水洗せずにSi、Feを含んだまま乾燥しても、本目的とする炭化珪素燒結体用原料として支障となるものはない。
コンクな廃スラッジ中に含まれるSiを除去したい場合、固層を2〜10%のアルカリ水で処理したのち、処理液を遠心分離することにより除去することが出来る。なお、アルカリ水で処理することにより、スラッジ中に含まれる1μm以下の微粉も同時に除去でき、固層組成はSiCとFeとなる。更に、Fe分を除去する必要がある場合は、固層を1〜10%の塩酸水で処理することにより、Fe粉は水に溶け、残部はSiCとなるので、これを乾燥すれば珪素燒結体用原料として回収できる。
他方、コンクな廃スラッジ中に含まれる1μm以下の微粉を除去し乾燥を容易にするために、溶剤を使用することも可能である。
溶剤は水溶性研削液を使用した場合、アセトン、THF(テトラヒドロフラン)及び灯油等が、水溶性研削液を使用した場合、メタノール、エタノール及びIPA(イソプロピルアルコール)等のアルコール類が使用できる。これら溶剤の使用量は固層濃度80%の廃スラッジ100部に対し、10〜50部、好ましくは20〜30部である。なお、本発明が主とする目的は、Siを除去しないことにあるため、アルカリ水を使用しないで、コンクなスラッジ液をそのまま乾燥するか、溶剤を使用し、微粉を除去する方法が望ましい。
廃スラリーから遠心分離器により分離された液はフイルターで微分をカットし、未使用研削液と混合して再利用できる。
SiCは共有結合性の物質のため、高温強度、耐熱衝撃性、耐食性等化学的に極めて安定であるが、焼結して高密度化させることが困難であるという欠点がある。そのため、炭化珪素焼結体を製造する方法として前述した(1)原料炭化珪素に焼結助剤を添加し、ホットプレス、常圧プレス、ラバープレス、押出機等で成形後焼結する方法、(2)炭化珪素及び炭素との混合粉末の成形体を高温焼結過程で、シリコン蒸気又は溶融シリコンと反応させる方法(反応焼結法)、等が採用されている。
焼結助剤としては、Si金属やSiO2等のシリコン系、B2O3等の硼素系、Al2O3等のアルミニウム系、BeO等のベリリウム系及びY2O3等の希土類元素系が知られている。
焼結助剤としては、Si金属やSiO2等のシリコン系、B2O3等の硼素系、Al2O3等のアルミニウム系、BeO等のベリリウム系及びY2O3等の希土類元素系が知られている。
焼結助剤を使用した場合の焼結では、焼結に際して助剤に起因する低融点の物質が生成する。また、反応焼結においては、未反応のSiが残り、いずれの場合も高温での機械的強度が低下するという難点があるものの、用途に見合った焼結方法を採用することによって、任意の形状品が容易に得られる。
炭化珪素焼結体はボイラー等の燃焼装置フィルター、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガス浄化装置用ハニカムフイルター、半導体用拡散チューブや拡散炉中で使用されるウェーハ受け具(治具)、高温反応用反応管等多くの用途に使用されている(特開2002−253916号公報、特開2002-326879号公報、特開昭53−114670号公報、特開昭54−90967号公報)。
炭化珪素焼結体はボイラー等の燃焼装置フィルター、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排気ガス浄化装置用ハニカムフイルター、半導体用拡散チューブや拡散炉中で使用されるウェーハ受け具(治具)、高温反応用反応管等多くの用途に使用されている(特開2002−253916号公報、特開2002-326879号公報、特開昭53−114670号公報、特開昭54−90967号公報)。
焼結助剤を使用する方法、反応焼結法ともに、その主要成分はSiCである。SiC以外のその他の添加物(助剤)は、(イ)焼結助剤を使用する方法では添加した助剤が、(ロ)反応焼結法ではSiである。そしてこれら第二成分が、高温での焼結体物性を左右する結果となっている。しかし、本発明による回収原料は常に一定割合のものが供給できるので添加助剤の変動に伴い物性が左右される危険性はない。また、価格の安い焼結体(部材)の要求がある場合、α−SiC含有量の低い、即ちβ−SiC分の多い安価な原料を使用する場合があるが、そのようなケースでは、焼結中にβ−SiC粒の成長や、不純物量の変動に伴う強度のバラツキが発生し良品歩留が低下するという欠点がある。本発明で得られるSiCはα−SiC含有量がほぼ100%であり、かつ安定的に要求する製品を提供できるメリットがある。
他方、固層中のFeを酸で処理して除去し、SiCとSiのみにしたものを、焼結することも可能である。また、回収された組成(成分)はSiC―Si―Feのみのため、このままの状態でも焼結できるが、他の成分を添加した後に焼結することも可能である。例えば、炭素を添加し反応焼結を行う例がそれに該当する。なお、コンクな廃スラリーから回収された固層を使用し、炭化珪素焼結体を製造する焼結方法は、当業界公知の方法を採用できる。また、従来から知られている各種焼結助剤の使用は、これを妨げるものではない。
他方、固層中のFeを酸で処理して除去し、SiCとSiのみにしたものを、焼結することも可能である。また、回収された組成(成分)はSiC―Si―Feのみのため、このままの状態でも焼結できるが、他の成分を添加した後に焼結することも可能である。例えば、炭素を添加し反応焼結を行う例がそれに該当する。なお、コンクな廃スラリーから回収された固層を使用し、炭化珪素焼結体を製造する焼結方法は、当業界公知の方法を採用できる。また、従来から知られている各種焼結助剤の使用は、これを妨げるものではない。
本発明は、このように焼結方法の選択が容易である。そればかりか、回収固層をそのまま焼結する場合、従来技術のように、SiC以外の添加物を混合する工程が不要という、他のメリットもある。
以下、図1〜3に電子顕微鏡写真(反射電子像)を示し、粒子の表面状態について説明する。図1は使用前SiC、同2は使用後回収・精製されたSiCの、同3は廃スラリー中から微粉を含む液を遠心分離器でカットした後の乾燥SiCの電子顕微鏡写真(同)である。図2から、使用後回収・精製されたSiC粒の表面状態は鋭角部が欠落し細粒が混入していることが理解できる。また、図3の廃スラリー中から微粉を除去したSiCの表面は、SiC表面に切削工程で削り取られたSi及びFeがSiC表面に均一に付着していることが見て取れる。なお、図3で白く写っている点(粒)はFeで、SiC及びSiの区別はできない。以上の電子顕微鏡写真から、本発明で得られた回収SiCは、焼結に支障なく、均一な製品を製造可能なことが理解できる。
以下、図1〜3に電子顕微鏡写真(反射電子像)を示し、粒子の表面状態について説明する。図1は使用前SiC、同2は使用後回収・精製されたSiCの、同3は廃スラリー中から微粉を含む液を遠心分離器でカットした後の乾燥SiCの電子顕微鏡写真(同)である。図2から、使用後回収・精製されたSiC粒の表面状態は鋭角部が欠落し細粒が混入していることが理解できる。また、図3の廃スラリー中から微粉を除去したSiCの表面は、SiC表面に切削工程で削り取られたSi及びFeがSiC表面に均一に付着していることが見て取れる。なお、図3で白く写っている点(粒)はFeで、SiC及びSiの区別はできない。以上の電子顕微鏡写真から、本発明で得られた回収SiCは、焼結に支障なく、均一な製品を製造可能なことが理解できる。
[炭化珪素焼結体用原料の製造]
(スラリーの調整)
切削油(商品名メディフロート、理化工業(株)製)を撹拌下、SiC粒度#1000(シナノランダムGP、累積高さ50%点の平均粒子径11.5μm、信濃電気精錬(株)製の商品名)を混合し、スラリーを調整した。混合割合は、100:120部とした。スラリー粘度は370cPだった。
(スライス工程)
150mm角、長さ250mmの太陽電池用多結晶シリコンインゴットをワイヤソーマシン(高取(株)製)にセットし、ワイヤースピード650m/分、上記で調整したスラリー供給量100リットル/分、ワイヤーピッチ0.4mmで切断加工を行った。使用したワイヤー径は0.15mmを用いた。なお、使用後のスラリー粘度は330cPに低下していた。
(スラリーの調整)
切削油(商品名メディフロート、理化工業(株)製)を撹拌下、SiC粒度#1000(シナノランダムGP、累積高さ50%点の平均粒子径11.5μm、信濃電気精錬(株)製の商品名)を混合し、スラリーを調整した。混合割合は、100:120部とした。スラリー粘度は370cPだった。
(スライス工程)
150mm角、長さ250mmの太陽電池用多結晶シリコンインゴットをワイヤソーマシン(高取(株)製)にセットし、ワイヤースピード650m/分、上記で調整したスラリー供給量100リットル/分、ワイヤーピッチ0.4mmで切断加工を行った。使用したワイヤー径は0.15mmを用いた。なお、使用後のスラリー粘度は330cPに低下していた。
(使用後スラリーからコンクなスラリーの回収)
使用後スラリーを遠心分離装置にかけ、固層含有量80%のコンクなスラッジを分離した。回転数1500G。
分離した固層を取り出して真空乾燥(温度500℃)後、15μm以下の粗粒を篩い分けし、その組成及び粒度を測定した。その結果、SiC、Si、Feの組成比は質量比で夫々100、22、4であった。Fe分は酸処理せずに固層に残して次工程用原料とした。
なお、遠心分離機から出てきた回収液は、フイルターで微粉を除去し、未使用液/回収液の比率を50/50部の割合で混合して再利用した。
使用後スラリーを遠心分離装置にかけ、固層含有量80%のコンクなスラッジを分離した。回転数1500G。
分離した固層を取り出して真空乾燥(温度500℃)後、15μm以下の粗粒を篩い分けし、その組成及び粒度を測定した。その結果、SiC、Si、Feの組成比は質量比で夫々100、22、4であった。Fe分は酸処理せずに固層に残して次工程用原料とした。
なお、遠心分離機から出てきた回収液は、フイルターで微粉を除去し、未使用液/回収液の比率を50/50部の割合で混合して再利用した。
[炭化珪素焼結体の製造1]
重量比で固層100部、メチルセルローズとヒドロキシプロピルセルローズ(信越化学(株)製)7部、界面活性剤(ラウリル酸カリウム、日本油脂製)0.5部、エチレングリコール0.2部及び水24部をニーダーで混練し可塑性混合物とした。このものを真空土練機でシリンダー状に成形した後、ラム式押出し機を使用し縦横20×20mm、開口幅1.5mm、隔壁厚さ0.35mm、長さ150mmのハニカム成型体を得た。
この成型体を130℃の熱風で乾燥後、チッソガス下500℃で脱脂処理した。脱脂後の成型体は、加熱による亀裂の発生は認められなかった。次いで、アルゴンガス下、10℃/分の速度で1500℃まで昇温した後、1550℃で10分間焼結し、ハニカム状炭化珪素焼結体を得た。気孔率は57%、気孔径15μm、熱膨張係数は4.3×10-6/℃で、ハニカム構造体としての応用に耐えるものであった。
重量比で固層100部、メチルセルローズとヒドロキシプロピルセルローズ(信越化学(株)製)7部、界面活性剤(ラウリル酸カリウム、日本油脂製)0.5部、エチレングリコール0.2部及び水24部をニーダーで混練し可塑性混合物とした。このものを真空土練機でシリンダー状に成形した後、ラム式押出し機を使用し縦横20×20mm、開口幅1.5mm、隔壁厚さ0.35mm、長さ150mmのハニカム成型体を得た。
この成型体を130℃の熱風で乾燥後、チッソガス下500℃で脱脂処理した。脱脂後の成型体は、加熱による亀裂の発生は認められなかった。次いで、アルゴンガス下、10℃/分の速度で1500℃まで昇温した後、1550℃で10分間焼結し、ハニカム状炭化珪素焼結体を得た。気孔率は57%、気孔径15μm、熱膨張係数は4.3×10-6/℃で、ハニカム構造体としての応用に耐えるものであった。
[炭化珪素焼結体の製造2]
酸で処理し、Fe分を除いた固層(SiC+Si)とフェノールレジンを質量%で90:18の割合で混合した。このものを2.0tの静水圧下5cm角×厚さ1cmの板状に成型した。次いでアルゴンガス雰囲気中で600℃に加熱し充分に脱脂・炭化し[SiC+Si+C]とした後、同ガスの存在下に1400℃まで70℃/分の昇温速度で加熱し、1400℃から1500℃まで10℃/分で昇温し部分反応焼結反応を行った。
得られた板を、4×50×2mmの試験片に切り出して曲げ強度を測定したところ、50t/cm2だった。比重3.0で、半導体用拡散チューブや冶具に使用可能である。
上記で得られた物性値は[未使用SiC+C粉+フェノールレジン]から成型体を作り、次いで脱脂した後(脱脂した後の成型体を、仮焼体という)、この仮焼体に[溶融Si]を反応させて得られる反応焼結法炭化珪素体の製造法により、炭素を混合する工程が不要であり、物性も同等以上であった。
酸で処理し、Fe分を除いた固層(SiC+Si)とフェノールレジンを質量%で90:18の割合で混合した。このものを2.0tの静水圧下5cm角×厚さ1cmの板状に成型した。次いでアルゴンガス雰囲気中で600℃に加熱し充分に脱脂・炭化し[SiC+Si+C]とした後、同ガスの存在下に1400℃まで70℃/分の昇温速度で加熱し、1400℃から1500℃まで10℃/分で昇温し部分反応焼結反応を行った。
得られた板を、4×50×2mmの試験片に切り出して曲げ強度を測定したところ、50t/cm2だった。比重3.0で、半導体用拡散チューブや冶具に使用可能である。
上記で得られた物性値は[未使用SiC+C粉+フェノールレジン]から成型体を作り、次いで脱脂した後(脱脂した後の成型体を、仮焼体という)、この仮焼体に[溶融Si]を反応させて得られる反応焼結法炭化珪素体の製造法により、炭素を混合する工程が不要であり、物性も同等以上であった。
[炭化珪素焼結体の製造3]
アルカリ、次いで酸で処理し、Si及びFe分を除いた固層を使用し、固層、炭素紛(天然黒鉛粉、平均粒径5μm,日本黒鉛工業(株)製)、シリコンワニス(KR220、信越化学工業(株)製)を質量%比で62、29、9の割合のものをトルエン溶液中で湿式混合した。乾燥した後に解粉し、金型寸法9×24cmの型を用いて厚さ15cmになるよう静水圧1.5t/cm2の圧力で成型した(一次成型体)。これを6×6.5×1.2cmの細片に切り出した後、0.1mmHgの真空下、1550℃の抵抗加熱炉内で溶融Siと1時間接触させてSiC−Si焼結体(二次成型体)を得た。密度は3.12g/cc、曲げ強さは5.2t/cm2だった。
本焼結法の特徴は、結合剤にシリコンワニスを使用しているため、一次成型体とした後の強度が強いことにある。従って、一次成型体を得た後、最終製品の目的、所望する形状に応じて、必要な機械加工を施し、次いで溶融シリコンと反応させて二次成型体を得ることが出来る。
アルカリ、次いで酸で処理し、Si及びFe分を除いた固層を使用し、固層、炭素紛(天然黒鉛粉、平均粒径5μm,日本黒鉛工業(株)製)、シリコンワニス(KR220、信越化学工業(株)製)を質量%比で62、29、9の割合のものをトルエン溶液中で湿式混合した。乾燥した後に解粉し、金型寸法9×24cmの型を用いて厚さ15cmになるよう静水圧1.5t/cm2の圧力で成型した(一次成型体)。これを6×6.5×1.2cmの細片に切り出した後、0.1mmHgの真空下、1550℃の抵抗加熱炉内で溶融Siと1時間接触させてSiC−Si焼結体(二次成型体)を得た。密度は3.12g/cc、曲げ強さは5.2t/cm2だった。
本焼結法の特徴は、結合剤にシリコンワニスを使用しているため、一次成型体とした後の強度が強いことにある。従って、一次成型体を得た後、最終製品の目的、所望する形状に応じて、必要な機械加工を施し、次いで溶融シリコンと反応させて二次成型体を得ることが出来る。
[炭化珪素焼結体の製造4(参考例)]
炭化珪素焼結体用原料の製造のスラリーの調整に使用したものと同一の未使用炭化珪素を使用した以外、炭化珪素焼結体の製造3と同じ反応焼結方法で焼結体を得た。焼結体の曲げ強度は5.1t/cm2だった。なお、炭化珪素焼結体の製造3の結果と比較して、強度が若干小さめに出た。この理由は、アチソン法で得られたSiC塊を粉砕機で微粉化する工程で粒に生じたクラック(弱点部)が、シリコンのスライス工程において磨耗により消滅した結果ではないかと思われる。
上記1〜3の焼結結果から、シリコン加工工程から回収した固層は、
a.Si及びFe除去をおこなわないそのままの固層(SiC+Si+Fe)、
b.Fe除去品(SiC+Si)、
c.Si及びFe除去品(SiC)
のいずれもが、炭化珪素焼結体用原料として充分に再利用できることが解る。
炭化珪素焼結体用原料の製造のスラリーの調整に使用したものと同一の未使用炭化珪素を使用した以外、炭化珪素焼結体の製造3と同じ反応焼結方法で焼結体を得た。焼結体の曲げ強度は5.1t/cm2だった。なお、炭化珪素焼結体の製造3の結果と比較して、強度が若干小さめに出た。この理由は、アチソン法で得られたSiC塊を粉砕機で微粉化する工程で粒に生じたクラック(弱点部)が、シリコンのスライス工程において磨耗により消滅した結果ではないかと思われる。
上記1〜3の焼結結果から、シリコン加工工程から回収した固層は、
a.Si及びFe除去をおこなわないそのままの固層(SiC+Si+Fe)、
b.Fe除去品(SiC+Si)、
c.Si及びFe除去品(SiC)
のいずれもが、炭化珪素焼結体用原料として充分に再利用できることが解る。
本発明は、シリコンウェーハの加工工程で発生する使用済みスラリーを固層、液層ともに有効に活用でき、産業廃棄物の大幅な減少に貢献できる。
Claims (8)
- シリコンインゴットの切削加工工程から副正成するコンクな廃スラリーを処理・回収して得られる固形分(SiC+Si)を原料とすることを特徴とした炭化珪素焼結体用原料。
- 前記コンクな廃スラリーは、水溶性または非水溶性切削液を使用してシリコンインゴットからウェーハに加工する工程から発生したものである請求項1に記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 固形分の回収方法が、廃スラリーを遠心分離機で処理するか、ろ過器でろ過することにより得られるコンクな廃スラリー(スラッジ)をそのまま乾燥するか、または水洗・乾燥して得られたものである請求項1または請求項2に記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 固形分の回収方法が、廃スラリーを遠心分離機で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジを酸で処理し、切削工程で発生した鉄系切削微粉を除去し、次いでそのまま乾燥するか、または水洗・乾燥して得られたものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 固形分の回収方法が、廃スラリーを遠心分離機で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジをアルカリ水で処理して切削工程で発生したSi微粉を除去し、次いで酸で処理して鉄分系の切削微粉を除去したものをそのまま乾燥するか、または水洗・乾燥して得られたものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 固形分の回収方法が、廃スラリーを遠心分離機で処理するか、ろ過器でろ過した後のコンクなスラッジを溶媒で処理し、溶媒を除去後またはそのまま乾燥して得られたものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 固形分の回収方法が、廃スラリーを遠心分離機で処理するか、ろ過器でろ過した後のスラッジを溶媒で処理し、溶媒を除去した後の固層をアルカリ、または/及び酸で処理しそのまま乾燥するか、または水洗・乾燥して得られたものである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の炭化珪素焼結体用原料。
- 炭化珪素及びシリコンの混合物を焼結して得られる炭化珪素体であって、炭化珪素及びシリコンとの混合物がシリコンインゴットの切削加工工程から副正成するものである請求項1〜請求項7のいずれかに記載の炭化珪素焼結体用原料から製造された炭化珪素焼結体。
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JP2005075240A JP2006256894A (ja) | 2005-03-16 | 2005-03-16 | 炭化珪素焼結体用原料およびそれを用いて得られる炭化珪素焼結体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102229792A (zh) * | 2010-09-16 | 2011-11-02 | 蒙特集团(香港)有限公司 | 一种太阳能硅片切割砂浆 |
WO2012165841A2 (en) * | 2011-05-31 | 2012-12-06 | Enbion Inc. | Method of manufacturing silicon carbide-containing heat storage material from waste silicon sludge |
JP2014532030A (ja) * | 2011-10-13 | 2014-12-04 | サン−ゴバン セラミック マテリアルズ アクスイェ セルスカプ | SiCを基礎材料とする緻密セラミック製品の製造方法 |
-
2005
- 2005-03-16 JP JP2005075240A patent/JP2006256894A/ja active Pending
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CN102229792A (zh) * | 2010-09-16 | 2011-11-02 | 蒙特集团(香港)有限公司 | 一种太阳能硅片切割砂浆 |
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WO2012165841A3 (en) * | 2011-05-31 | 2013-03-28 | Enbion Inc. | Method of manufacturing silicon carbide-containing heat storage material from waste silicon sludge |
KR101257458B1 (ko) | 2011-05-31 | 2013-04-23 | 한국세라믹기술원 | 실리콘 슬러지로부터 탄화규소 축열재를 제조하는 방법 |
CN103732561A (zh) * | 2011-05-31 | 2014-04-16 | 恩必安有限公司 | 用废硅泥制造含碳化硅的储热材料的方法 |
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