JP2006342035A - 石炭灰の改質化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 石炭灰の粒子を微粒化することによって焼結体の材料をはじめとした石炭灰の有効利用を促進する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】 石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、石炭灰を改質化することによって、石炭灰の有効利用を促進する技術に関する。
火力発電所や工場などから排出される石炭灰は、廃棄物として埋め立て等により処分されるのが一般的であるが、近年における環境意識への高まりによって、この石炭灰を再資源化あるいは再利用するための技術が盛んに研究されるようになってきている。例えば、特許文献1には、石炭灰などの低純度シリカ含有物原料に融剤を所定量配合した配合原料を黒鉛存在下、窒素ガス雰囲気下又はメタン混合ガス雰囲気下で高温で反応させることによりセラミックス繊維材料を製造することを特徴とするセラミックス繊維材料の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、石炭灰を微細化した後、有機溶媒と水の混合溶媒中で撹拌・振蕩し、石炭灰中の炭素分を有機相中に分離・除去することにより、微細化・脱炭素化した石炭灰を得ることを特徴とする石炭灰改質方法が開示されている。さらに、特許文献3には、石炭灰の再資源化技術の1つとして、石炭灰を焼結させて焼結体を形成する技術が開示されている。
石炭灰を焼結して得られた焼結体は、例えば、触媒用担体、炉壁材、耐摩耗性部品、半導体材料などのセラミックス製品として利用できる可能性がある。しかしながら、石炭灰をそのまま焼結したのでは、石炭灰の粒度が大きすぎる、あるいは、石炭灰に不純物が含まれているなど理由により、焼結用材料としては不適当であり、石炭灰を焼結体材料に適する性状に改質化できる技術の登場が強く望まれていた。
そこで本発明は、石炭灰の粒子を微粒化することによって焼結体の材料として適する性状に改質化できる技術を提供することを課題とする。
そこで本発明は、石炭灰の粒子を微粒化することによって焼結体の材料として適する性状に改質化できる技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、石炭灰に炭素を混合して窒素雰囲気下で加熱することにより、石炭灰が焼結体を形成するのに適した性状に改質化されることを見出して、以下の発明を完成した。
(1)石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(2)上記(1)に記載の石炭灰の改質化方法であって、混合工程では、石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上1.5以下となるように炭素源を混合することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の石炭灰の改質化方法であって、加熱工程では、混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で1200℃以上1700℃以下の温度で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(4)上記(1)から(3)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法であって、加熱工程では、混合工程で得られた混合物を10atm以下の圧力下で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法であって、炭素源は、カーボンブラックであることを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(6)上記(1)から(5)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法により改質化された石炭灰を、1000℃以上1700℃以下の温度でかつ窒素が存在する雰囲気下で、10atm以下の圧力下で焼結することにより得られる焼結体。
(1)石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(2)上記(1)に記載の石炭灰の改質化方法であって、混合工程では、石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上1.5以下となるように炭素源を混合することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(3)上記(1)または(2)に記載の石炭灰の改質化方法であって、加熱工程では、混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で1200℃以上1700℃以下の温度で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(4)上記(1)から(3)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法であって、加熱工程では、混合工程で得られた混合物を10atm以下の圧力下で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法であって、炭素源は、カーボンブラックであることを特徴とする石炭灰の改質化方法。
(6)上記(1)から(5)のうちいずれかに記載の石炭灰の改質化方法により改質化された石炭灰を、1000℃以上1700℃以下の温度でかつ窒素が存在する雰囲気下で、10atm以下の圧力下で焼結することにより得られる焼結体。
本発明によれば、石炭灰を微粒化することが可能であるとともに、石炭灰を焼結体の材料として適した性状に改質化することが可能である。
本発明に係る石炭灰の改質化方法は、石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法である。
本発明に係る石炭灰の改質化方法において、混合工程では、石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上1.5以下となるように炭素源を混合することがより好ましい。加熱工程では、混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で1200℃以上1700℃以下の温度で加熱することがより好ましい。
[石炭灰について]
本発明に係る石炭灰の改質化方法では、原料として石炭灰を使用する。この石炭灰は、石炭が燃焼した後に生ずる灰のことである。一般的に、石炭灰の主要な成分は、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等である。石炭灰の組成は、JIS A 6201に公的な基準値が定められている。本発明に係る方法では、例えば、火力発電所の炉内から発生するフライアッシュあるいはボトムアッシュなどと呼ばれる石炭灰を使用することができる。
本発明に係る石炭灰の改質化方法では、原料として石炭灰を使用する。この石炭灰は、石炭が燃焼した後に生ずる灰のことである。一般的に、石炭灰の主要な成分は、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等である。石炭灰の組成は、JIS A 6201に公的な基準値が定められている。本発明に係る方法では、例えば、火力発電所の炉内から発生するフライアッシュあるいはボトムアッシュなどと呼ばれる石炭灰を使用することができる。
[炭素源について]
本発明に係る石炭灰の改質化方法では、石炭灰に対して炭素源を混合する。この炭素源とは、炭素の供給源のことであり、炭素原子(C)をその構成原子として含んでいる物質全般のことを指している。炭素源としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛の様な炭素製品はもちろん、微粉炭、廃タイヤなどを使用することができる。この中では、カーボンブラックを使用するのが特に好ましい。
本発明に係る石炭灰の改質化方法では、石炭灰に対して炭素源を混合する。この炭素源とは、炭素の供給源のことであり、炭素原子(C)をその構成原子として含んでいる物質全般のことを指している。炭素源としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛の様な炭素製品はもちろん、微粉炭、廃タイヤなどを使用することができる。この中では、カーボンブラックを使用するのが特に好ましい。
[混合工程]
混合工程では、石炭灰に対して炭素源を混合する。混合方法は特に制限するものではないが、例えば、石炭灰に対して炭素源を加えてボールミルによる粉砕しながら混合することが可能である。この混合工程では、石炭灰に対して、重量比で「炭素源/石炭灰」が0.1以上3.0以下(より好ましくは、「炭素源/石炭灰」が0.1以上1.5以下)となるように炭素源を混合する。ここでいう重量比とは、乾燥基準の重量比のことである。石炭灰に対してこのような割合で炭素源を混合することによって、石炭灰に含まれるシリカ(SiO2)の窒化を促進することが可能になる。
混合工程では、石炭灰に対して炭素源を混合する。混合方法は特に制限するものではないが、例えば、石炭灰に対して炭素源を加えてボールミルによる粉砕しながら混合することが可能である。この混合工程では、石炭灰に対して、重量比で「炭素源/石炭灰」が0.1以上3.0以下(より好ましくは、「炭素源/石炭灰」が0.1以上1.5以下)となるように炭素源を混合する。ここでいう重量比とは、乾燥基準の重量比のことである。石炭灰に対してこのような割合で炭素源を混合することによって、石炭灰に含まれるシリカ(SiO2)の窒化を促進することが可能になる。
[加熱工程]
加熱工程では、混合工程において得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下(より好ましくは、1200℃以上1700℃以下)の温度で加熱する。この温度範囲で加熱することによって、以下の(1)式の反応が促進される。(1)式の反応が促進されることによって、石炭灰中のシリカ(SiO2)の窒化が促進される。また、シリカの窒化に伴って、石炭灰が微粒化されるので、石炭灰が焼結体を形成するのに適した性状に改質化される。
3SiO2+6C+2N2 → Si3N4+6CO ・・・(1)
加熱工程では、混合工程において得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下(より好ましくは、1200℃以上1700℃以下)の温度で加熱する。この温度範囲で加熱することによって、以下の(1)式の反応が促進される。(1)式の反応が促進されることによって、石炭灰中のシリカ(SiO2)の窒化が促進される。また、シリカの窒化に伴って、石炭灰が微粒化されるので、石炭灰が焼結体を形成するのに適した性状に改質化される。
3SiO2+6C+2N2 → Si3N4+6CO ・・・(1)
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
実施例1では、石炭灰に炭素源を混合して高圧窒素雰囲気下で加熱して得られる試料の評価を行う。表1に、実施例1で使用する石炭灰の成分表を示す。実施例1で使用する石炭灰は、火力発電所の炉内から発生するフライアッシュを採取したものである。
実施例1では、石炭灰に炭素源を混合して高圧窒素雰囲気下で加熱して得られる試料の評価を行う。表1に、実施例1で使用する石炭灰の成分表を示す。実施例1で使用する石炭灰は、火力発電所の炉内から発生するフライアッシュを採取したものである。
表1に示す性状の石炭灰に対して、炭素源としてのカーボンブラックを加えてボールミルにより混合・粉砕したものを振動減圧乾燥機で乾燥し、その後にメッシュパスして混合粉末を得た(混合工程)。得られた混合粉末を、窒素が存在する雰囲気下でHIP(熱間静水圧プレス)により加圧しながら熱処理した後に(加熱工程)、600℃の大気中で熱処理することで未反応のカーボンを取り除いて得られた試料の評価を実施した。カーボンブラックは、三菱化学(株)製カーボンブラック#2700Bを使用した。このカーボンブラックの平均粒径は13nmであり、比表面積は370m2/gである。加熱工程における加熱条件は、1400℃、1550℃、1700℃の3条件で実施した。加熱工程における加熱時間は、いずれも5時間で実施した。HIPによる加圧条件は、いずれも2000atmで実施した。石炭灰に対するカーボンの混合量は、炭素源/石炭灰の比率が重量比で0.26,1.3,2.6となるように実施した。これらの実施条件をまとめたものを以下の表2に示す。
図1〜図9には、表2のNO.1〜NO.9の条件により得られた試料の電子顕微鏡による写真をそれぞれ示す。また、図20には、原料として使用した石炭灰の電子顕微鏡による写真を示す。図1〜図9に示すように、炭素源/石炭灰の重量比=0.26の条件により得られた粉末は、加熱温度が異なる毎に粒子径に若干違いが見られるが、粒子の形状はほとんどが球状であり、原料となる石炭灰との形状の差異はあまりなかった。これに対して、炭素源/石炭灰の重量比=1.3,2.6に条件により得られた粉末は、いずれの加熱温度においても、原料粉末に見られた直径数十μm程度の球状粒子が極端に減少しており、粉末のほとんどが数μm程度の微細な粒子に変化していた(図2、3、5、6、8、9参照)。さらに、原料粉末では粒子のほとんどが球形であるのに対して、炭素源を混合して加熱処理して得られた粉末では、粒子の形状が球形以外の様々な形状に変化していることが判明した。つまり、石炭灰にカーボンブラックを混合して高圧窒素雰囲気下で500℃以上1700以下の高温で加熱することによって、石炭灰の粒子径のみならず、石炭灰の粒子形状も大きく変化することが判明した。
また、石炭灰に対してカーボンブラックを加える量は、重量比で「炭素源(カーボンブラック)/石炭灰」が0.1以上3.0以下であることが好ましいことが判明した。
また、図1〜図9に示すように、加熱工程における加熱温度が高い方が、石炭灰の粒子がより微細になって改質化されることが判明した。このことにより、石炭灰の改質化のためには、加熱工程における加熱温度の範囲が1200℃以上1700℃以下であることが好ましく、1400℃以上1700℃以上がより好ましく、1550℃以上1700℃以下が最も好ましいことが判明した。
実施例2では、石炭灰に炭素源を混合して比較的低圧(1atm、10atm)の窒素雰囲気下で加熱して得られる試料の評価を行った。この実施例2では、実施例1と同じ種類の石炭灰を使用した。
この実施例2では、まず、表1に示す性状の石炭灰に対して、炭素源としてのカーボンブラックを加えてボールミルにより混合・粉砕したものを振動減圧乾燥機で乾燥し、その後にメッシュパスして混合粉末を得た(混合工程)。得られた混合粉末を、窒素が存在する雰囲気下で1atm、10atmの圧力をそれぞれ維持しながら熱処理した後に(加熱工程)、600℃の大気中で熱処理することで未反応のカーボンを取り除いて得られた試料の評価を実施した。カーボンブラックは、三菱化学(株)製カーボンブラック#2700Bを使用した。このカーボンブラックの平均粒径は13nmであり、比表面積は370m2/gである。加熱工程における加熱条件は、1450℃、1550℃、1700℃の3条件で実施した。加熱工程における加熱時間は、いずれも5時間で実施した。石炭灰に対するカーボンの混合量は、「炭素源(カーボン)/石炭灰」が重量比で0.26,1.3,2.6となるように実施した。これらの実施条件をまとめたものを以下の表3に示す。
図10〜図19には、表3のNO.10〜NO.19の条件により得られた試料の電子顕微鏡による写真をそれぞれ示す。図10〜図19に示すように、「炭素源(カーボンブラック)/石炭灰」の重量比=0.26の条件により得られた粉末は、加熱温度が異なる毎に粒子径に若干違いが見られるが、粒子の形状はほとんどが球状であり、原料となる石炭灰との形状の差異はあまりなかった。これに対して、「炭素源/石炭灰」の重量比=1.3,2.6の条件により得られた粉末は、いずれの加熱温度においても、原料粉末に見られた直径数十μmの球状粒子が極端に減少しており、粉末のほとんどが数μm程度の微細な粒子に変化していた。さらに、原料粉末では粒子のほとんどが球形であるのに対して、炭素源を混合して加熱処理して得られた粉末では、粒子の形状が球形以外の様々な形状に変化していることが判明した。特に、「炭素源/石炭灰」の重量比=1.3,2.6であり、かつ、加熱温度が1550℃,1700℃の条件では、柱状に変化した粒子の存在が認められた(図14、15、17、18)。つまり、石炭灰にカーボンブラックを混合して比較的低圧の窒素雰囲気下で1200℃以上1700以下の高温で加熱することによって、石炭灰の粒子径のみならず、石炭灰の粒子形状も大きく変化することが判明した。
また、カーボンブラックを加える量は、重量比で「炭素源(カーボンブラック)/石炭灰」が0.1以上3.0以下であることが好ましいことが判明した。
また、カーボンブラックを加える量は、重量比で「炭素源(カーボンブラック)/石炭灰」が0.1以上3.0以下であることが好ましいことが判明した。
また、図10〜図19に示すように、加熱工程における加熱温度が高い方が、石炭灰の粒子がより微細になって改質化されることが判明した。このことにより、石炭灰の改質化のためには、加熱工程における加熱温度の範囲が1200℃以上1700℃以下であることが好ましく、1450℃以上1700℃以上がより好ましく、1550℃以上1700℃以下が最も好ましいことが判明した。
実施例1と実施例2の結果を全体的に比較すればわかるように、1atmあるいは10atmの窒素雰囲気下で加熱した場合は、2000atmの窒素雰囲気下で加熱した場合よりも粒子の形状がより大きく変化することが判明した。また、図14と図19を比較すればわかるように、1atmの窒素雰囲気下で加熱した場合の方が、10atmの窒素雰囲気下で加熱した場合よりも、粒子の形状が短径でかつ柱状に大きく変化することが判明した。すなわち、石炭灰の改質化のためには、石炭灰に対して炭素源を混合した混合物を、10atm以下の比較的低圧の窒素雰囲気下で加熱することが好ましいことが判明した。
実施例3では、石炭灰に対して炭素源を混合した混合物を比較的低圧の窒素雰囲気下で加熱することにより得られた粉末のX線回折を行った。
図21には、表3のNO.10〜NO.12の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図22には、表3のNO.13〜NO.15の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図23には、表3のNO.16〜NO.18の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図24には、表3のNO.19の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。
図21には、表3のNO.10〜NO.12の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図22には、表3のNO.13〜NO.15の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図23には、表3のNO.16〜NO.18の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。図24には、表3のNO.19の条件により得られた試料のX線回折結果を示す。
図21に示すように、1450℃の加熱温度でかつ炭素源/石炭灰の重量比=0.26の条件により得られた粉末では、その結晶相はシリカのような酸化物がほとんどであった。これに対して、炭素源/石炭灰の重量比=1.3,2.6の条件により得られた粉末では、Si3Al6O12N2、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在が認められた。
図22に示すように、1550℃の加熱温度でかつ炭素源/石炭灰の重量比=1.3,2.6の条件により得られた粉末では、Si3Al6O12N2、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在がさらに多く認められた。炭素源/石炭灰の重量比=0.26の条件により得られた粉末においても、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在が認められた。
図23に示すように、1700℃の加熱温度では、炭素源/石炭灰の重量比=0.26,1.3,2.6のいずれの条件で得られた粉末においても、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在が多く認められた。
図24に示すように、1550℃の加熱温度でありかつ炭素源/石炭灰の重量比=1.3であるとともに、雰囲気圧力1atmの条件により得られた粉末では、炭化珪素の結晶相の存在が認められた。
以上の結果により、石炭灰に炭素源を混合して1atm以上10atm以下程度の窒素雰囲気下で加熱することによって、石炭灰を微細なサイアロンのような窒化物結晶相、あるいは、炭化珪素のような炭化物結晶相リッチ粉末へ改質化できることが判明した。
図22に示すように、1550℃の加熱温度でかつ炭素源/石炭灰の重量比=1.3,2.6の条件により得られた粉末では、Si3Al6O12N2、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在がさらに多く認められた。炭素源/石炭灰の重量比=0.26の条件により得られた粉末においても、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在が認められた。
図23に示すように、1700℃の加熱温度では、炭素源/石炭灰の重量比=0.26,1.3,2.6のいずれの条件で得られた粉末においても、サイアロンのような窒素を含む結晶相の存在が多く認められた。
図24に示すように、1550℃の加熱温度でありかつ炭素源/石炭灰の重量比=1.3であるとともに、雰囲気圧力1atmの条件により得られた粉末では、炭化珪素の結晶相の存在が認められた。
以上の結果により、石炭灰に炭素源を混合して1atm以上10atm以下程度の窒素雰囲気下で加熱することによって、石炭灰を微細なサイアロンのような窒化物結晶相、あるいは、炭化珪素のような炭化物結晶相リッチ粉末へ改質化できることが判明した。
実施例4では、原料となる石炭灰の粒径分布を測定するとともに、表3のNO.14及びNO.19の条件により得られた粉末の粒径分布を測定した。粒径分布は、沈降法により測定した。沈降法では被測定物の比重が必要となるが、それぞれX線回折結果から主な結晶相と推察されるシリカ、サイアロン、炭化珪素の値を使用した。
図25には、粒径分布の測定結果を示す。図25に示すように、NO.14及びNO.19の条件により得られた粉末の粒径分布曲線は、原料である石炭灰の粒径分布曲線よりも左側に大きくシフトしている。このことにより、本発明に係る石炭灰の改質化方法によって、石炭灰の微粒化が達成されることが証明された。
実施例5では、本発明に係る方法によって改質化された石炭灰を使用して焼結体を作製した。焼結体の作製条件は、以下の表4に示す通りである。焼結体の作製には、ホットプレス法と常圧焼結法の2種類を使用した。
ホットプレス法では、まず、改質化された粉末を金型にて一軸成形し、サイズが30mm×40mm×10mmの成形体を作製した。作製した成形体をホットプレス用カーボンモールドにセットした後に、このカーボンモールドを焼結炉内に設置して焼結を実施した。
常圧焼結法では、まず、改質化された粉末を金型にて一軸成形し、サイズが30mm×40mm×10mmの成形体を作製した。作製した成形体を常圧の焼結炉内に設置して焼結を実施した。
焼結炉は、ホットプレス法、常圧焼結法ともに、富士電波(株)製ハイマルチ5000炉を使用した。焼結炉における焼結温度は、1350℃(NO.1)及び1450℃(NO.2〜NO.6)に設定した。なお、焼結炉における焼結温度は、1000℃以上1700℃の範囲であれば焼結体を製造するのに十分である。
ホットプレス法では、まず、改質化された粉末を金型にて一軸成形し、サイズが30mm×40mm×10mmの成形体を作製した。作製した成形体をホットプレス用カーボンモールドにセットした後に、このカーボンモールドを焼結炉内に設置して焼結を実施した。
常圧焼結法では、まず、改質化された粉末を金型にて一軸成形し、サイズが30mm×40mm×10mmの成形体を作製した。作製した成形体を常圧の焼結炉内に設置して焼結を実施した。
焼結炉は、ホットプレス法、常圧焼結法ともに、富士電波(株)製ハイマルチ5000炉を使用した。焼結炉における焼結温度は、1350℃(NO.1)及び1450℃(NO.2〜NO.6)に設定した。なお、焼結炉における焼結温度は、1000℃以上1700℃の範囲であれば焼結体を製造するのに十分である。
表4のNO.1からNO.6の条件により得られた焼結体について、アルキメデス法によって密度を測定するとともに、曲げ試験にて強度を測定した。曲げ試験は、4点曲げで測定した。ただし、NO.2の条件により得られた焼結体については、試験片の長さの関係から、3点曲げで測定した。密度の測定結果、及び、曲げ試験の測定結果を以下の表5に示す。表5の番号(NO.)は、表4の番号(NO.)に対応している。つまり、表5の番号(NO.)は、表4の同じ番号(NO.)の条件により得られた焼結体の測定結果であることを示している。
表5に示す結果からわかるように、本発明に係る方法によって改質化された石炭灰を焼結して得られる焼結体は、密度がそれほど高くないにも拘わらず、いずれも高い強度を有していることが判明した。このことは、焼結体が内部に気孔を有していても十分な強度を備えていることを意味している。本発明に係る方法によって改質化された石炭灰を焼結して得られる焼結体は、市販の多孔質アルミナと同等あるいはそれ以上の高い強度を有している。このような焼結体は、ガス、水、金属用フィルター、摺動部材、触媒担体、燃料電池用部品、熱交換器用部品等に使用することが可能である。また、ディーゼル車から排出される浮遊粒子状物質用のフィルター(DPF)に使用することが可能である。
Claims (6)
- 石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上3.0以下となるように炭素源を混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で500℃以上1700℃以下の温度で加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする石炭灰の改質化方法。
- 請求項1に記載の石炭灰の改質化方法であって、
混合工程では、石炭灰に重量比で炭素源/石炭灰が0.1以上1.5以下となるように炭素源を混合することを特徴とする石炭灰の改質化方法。 - 請求項1または請求項2に記載の石炭灰の改質化方法であって、
加熱工程では、混合工程で得られた混合物を窒素が存在する雰囲気下で1200℃以上1700℃以下の温度で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。 - 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の石炭灰の改質化方法であって、
加熱工程では、混合工程で得られた混合物を10atm以下の圧力下で加熱することを特徴とする石炭灰の改質化方法。 - 請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の石炭灰の改質化方法であって、
炭素源は、カーボンブラックであることを特徴とする石炭灰の改質化方法。 - 請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の石炭灰の改質化方法により改質化された石炭灰を、1000℃以上1700℃以下の温度でかつ窒素が存在する雰囲気下で、10atm以下の圧力下で焼結することにより得られる焼結体。
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JP2005170784A JP2006342035A (ja) | 2005-06-10 | 2005-06-10 | 石炭灰の改質化方法 |
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