JP4348429B2 - 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素多孔体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4348429B2
JP4348429B2 JP2003360061A JP2003360061A JP4348429B2 JP 4348429 B2 JP4348429 B2 JP 4348429B2 JP 2003360061 A JP2003360061 A JP 2003360061A JP 2003360061 A JP2003360061 A JP 2003360061A JP 4348429 B2 JP4348429 B2 JP 4348429B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon nitride
porous body
powder
producing
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003360061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005119934A (ja
Inventor
建鋒 楊
達樹 大司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003360061A priority Critical patent/JP4348429B2/ja
Publication of JP2005119934A publication Critical patent/JP2005119934A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4348429B2 publication Critical patent/JP4348429B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filtering Materials (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

本発明は、窒化ケイ素多孔体及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、高気孔率と高強度を共に有する窒化ケイ素多孔体の製造方法に関するものである。
本発明は、優れた機械的特性を有し、例えば、高温雰囲気下又は腐食性雰囲気下でのガス分離用フィルター、発電用ガスタービン、熱交換器、エンジン、耐熱性材料のフィラー(強化材)等の材料として、更に高性能の新素材の開発が強く求められている窒化ケイ素セラミックスの技術分野において、40%以上の高い気孔率と20MPa以上の高い強度を共に有する高気孔率・高強度窒化ケイ素多孔体を製造することを可能とする新規窒化ケイ素多孔体の製造技術及びその製品を提供するものとして有用である。
本発明によって製造される窒化ケイ素多孔体は、窒化率が高く、高い気孔率、高い強度等を有し、例えば、高温燃焼ガスの集塵・浄化フィルターや発電用ガスタービン、宇宙往還機などに用いる耐熱性材料のフィラー(強化材)、又は金属マトリックス複合材料の補強材などとしての応用が期待される。
窒化ケイ素多孔体は、その柱状粒子の発達した組織により、優れた機械的特性を有しており、例えば、高温雰囲気下又は腐食性雰囲気下でのガス分離用フィルターや、その基材、又は金属マトリックス複合材料の補強材などとして期待されている重要なセラミックス材料である。これまでに、この窒化ケイ素多孔体の製造方法がいくつか提案されている。
その代表的な事例として、例えば、先行文献には、セラミックス多孔体及びその製造方法として窒化ケイ素粒子と、焼成により炭化ケイ素又は窒化ケイ素を生成し得るシリコーンオリゴマーを使用し、非酸化雰囲気中において焼結する方法が提案されている(特許文献1)。また、他の文献には、ケイ素の窒化物を含むアモルファス粉末を出発原料とし、成形体を窒素中で加熱して、均一な繊維状組織を有する窒化ケイ素基繊維状組織セラミックス多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献2)。
また、他の文献には、窒化ケイ素粒子と酸化物系結合相を有する混合粉末からなる成形体を窒素中で加熱して、焼結温度と焼結助剤の添加量の調整により窒化ケイ素セラミックス多孔体を製造する方法が提案されている(特許文献3)。しかし、これらの窒化ケイ素粒子やアモルファス粉末を出発原料とする方法は、窒化ケイ素の出発原料が比較的高価であるため、コストが高くなる、という問題がある。また、気孔率の制御も限られている。
金属ケイ素に窒素を直接反応させて窒化ケイ素焼結体を製造する直接窒化法においては、金属ケイ素粉末をそのまま窒化する方法と、金属ケイ素粉末を成形して成形物を得、この金属ケイ素成形物を窒化する方法があるが、緻密な焼結体の作製は難しいことが知られている。一方、この方法による多孔質窒化ケイ素セラミックスの作製にも問題がある。反応式:3Si+2N2 →Si3 4 で示される反応は重量と体積の増加があり、特に高気孔率の多孔体の作製が困難である。金属ケイ素粉末を使用する方法として、他の文献には、金属ケイ素粉末と窒化ケイ素粉末からなる混合粉体を出発原料とし、金属ケイ素粉末の窒化率が50%以下の多孔体を得る方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法では、金属ケイ素粉末の窒化率が50%以下であるため、窒化されずに残留する金属ケイ素粉末が多く、窒化ケイ素の優れた耐熱性、耐食性を損なう問題がある。また、金属ケイ素粉末は高価である。
高温での二酸化ケイ素の炭素窒化:3SiO2 +6C+2N2 →Si3 4 +6COの反応により、窒化ケイ素が得られる。この反応を利用して窒化ケイ素粉末の作製ができるが、この場合、幾つかの問題がある。1470℃以上では、炭化ケイ素が生成する危険があり、また1400℃以下では、大量の酸素を含み結晶化の悪い産物を生成する危険があるため、反応温度を厳密に制御する必要がある。また、反応は窒素流下で行われるため、物質のキャリーオーバーがしばしば起こる。
上記の反応を利用して多孔質窒化ケイ素セラミックスの作製の試みとしては、他の文献に、二酸化ケイ素粉末、炭素粉末及び平均粒子直径が5μm以下の金属ケイ素粉末を含む成形体を窒素中で熱処理することにより、窒化ケイ素を得る方法が提案されている(特許文献5)。しかし、この方法では、二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の合量が成形体中1〜20重量%しかないため、気孔率が20〜40%であり、高い気孔率を得ることは困難である。
特開平7−187845号公報 特開平10−67562号公報 特開2000−335985号公報 特開平1−188479号公報 特開2001−206775号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高い気孔率と高い強度を共に有する高気孔率・高強度窒化ケイ素の製造技術を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、二酸化ケイ素粉末、炭素粉末及び焼結助剤の酸化物を含む混合粉末に、窒化ケイ素種結晶を出発原料として使用すること、これらを特定のモル比で配合すること、これらの成形体を特定の条件下で予備熱処理及び焼結すること、により、所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、二酸化ケイ素と炭素の粉末に窒化ケイ素種結晶を加えて出発原料とし、炭素窒化により、窒化率の高い、高気孔率及び高強度の窒化ケイ素多孔体の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末に1〜10重量%の窒化ケイ素種結晶を含む混合粉体を成形した後、該成形体を窒素雰囲気中又は窒素を含む不活性雰囲気中において所定の昇温速度で、昇温して予備熱処理し、更に、所定の昇温速度で昇温し、焼結することにより、高気孔率と高強度を共に有する窒化ケイ素多孔体を製造する方法であって、
1)二酸化ケイ素粉末及び炭素粉末の平均粒子直径が、0.1〜10μmであること、
2)二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末におけるSiO /Cのモル比が、0.4〜0.6であること
3)成形体中に1〜20重量%の焼結助剤を有すること、
4)成形体を温度1700〜1900℃の窒素雰囲気中で焼結すること、
5)気孔率が少なくとも60%であり、かつ強度が少なくとも20MPaである窒化ケイ素多孔体を製造すること、
を特徴とする窒化ケイ素多孔体の製造方法。
)上記成形体に対して有機バインダーを0.1〜30重量%添加することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)二酸化ケイ素として、二酸化ケイ素、ケイ素のアルコキシド、アルキル、もしくはアルキルハライド化合物、フルオロケイ酸、石英、又は金属のケイ酸塩を使用することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)炭素として、炭素ブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、グラファイト、コークス、又は炭素の前駆体であるコークス性物質を使用することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)窒化ケイ素種結晶の形態が、α型、β型、あるいは非晶質の形態であり、平均粒径1μm以下の微粉であることを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)二酸化ケイ素粒子、炭素粉末、焼結助剤の酸化物粒子及び窒化ケイ素種結晶粒子を含む混合粉末を、プレス成形、押出成形、鋳込成形、又はシート成形により成形することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)成形体を、温度1100〜1600℃で予備熱処理することを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)熱処理時の昇温速度が、60〜600℃/hの範囲であることを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
)熱処理後焼結温度までの昇温速度が、60〜200℃/hの範囲内であることを特徴とする、前記(1)に記載の多孔体の製造方法。
10二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末に窒化ケイ素種結晶を添加した混合粉体の成形体を炭素窒化により焼結して作製された、高気孔率と高強度を共に有する窒化ケイ素多孔体であって窒化率が高く、気孔率が60〜75%、強度が20〜28MPaであることを特徴とする高気孔率・高強度窒化ケイ素多孔体。
11)前記(10)に記載の高気孔率・高強度窒化ケイ素多孔体を構成要素として含むことを特徴とする耐熱性・耐腐性構造部材。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、二酸化ケイ素粉末、炭素粉末、窒化ケイ素種結晶及び焼結助剤の酸化物を含む混合粉末からなる成形体を窒素雰囲気中で熱処理することにより、窒化ケイ素からなる多孔質体とすることを特徴とする窒化ケイ素多孔体の製造方法及びその製品である。
本発明では、高温での二酸化ケイ素の炭素窒化により、3SiO2 +6C+2N2 →Si3 4 +6COの反応を行い、窒化ケイ素多孔体を得る。その長所としては、(1)出発物質が安価である、(2)CO以外に放出される生成物がないため、得られた多孔体の中に残留物が少なく、多孔体の成分を制御しやすい、(3)反応により44%の重量損失があり、高い気孔率の多孔体を得ることができる、点があげられる。
窒化ケイ素種結晶の添加により、反応の際に、この窒化ケイ素が核として、反応及び相転移を促進し、窒化ケイ素柱状粒子の発達が得られるため、材料の機械的特性が向上することが期待できる。
本発明の窒化ケイ素多孔体の製造方法では、二酸化ケイ素粉末、炭素粉末及び焼結助剤の酸化物を含む混合粉末に、窒化ケイ素種結晶を添加した混合粉末からなる成形体を使用する。
二酸化ケイ素粉末及び炭素粉末の平均粒子直径は、0.1μm未満であると凝集しやすく、ハンドリングが困難となり、好ましくない。一方、平均粒子直径が10μmを超えると形成される多孔体の気孔の一部が大きくなりすぎるため、好ましくない。したがって、二酸化ケイ素粉末及び炭素粉末の平均粒子直径は、0.1〜10μmであることが好ましい。二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の純度としては、特に制限はなく、用途に応じてそれぞれ適宜選択される。なお、本発明では、二酸化ケイ素粉末と炭素粉末は、窒化ケイ素多孔体の製造時に気孔形成剤としても作用しているものと考えられる。
二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末におけるSiO2 /Cのモル比は、0.4〜0.6であることが好ましい。このモル比が0.4未満であると、二酸化ケイ素が焼結体内に残留し、得られる多孔体の耐食性や耐熱性が低下するので好ましくない。また、このモル比が0.6を超えると、焼結体内に炭素が残留し、窒化ケイ素柱状粒子の成長を阻害し、機械的特性が劣るため、好ましくない。
焼結助剤の含有量としては、成形体中、1〜20重量%であることが好ましい。1重量%未満であると、成形体の焼結ができないため、好ましくなく、一方、20重量%を超えると、多孔体の収縮率が大きく高気孔率が得られにくい、あるいは大量のガラス相が粒界に残るため、好ましくない。
本発明の製造方法において、二酸化ケイ素粒子、炭素粉末、焼結助剤の酸化物粒子及び窒化ケイ素種結晶粒子を含む成形体を作製する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込成形、シート成形などの通常のセラミックス成形法が適宜採用される。なお、本発明では、成形に際して、上記混合粉末に有機バインダーを加えてもよい。このような有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール又はその変成物、でんぷん又はその変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂又はアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂又は酢酸ビニル系共重合体、等が例示される。このような有機バインダーの添加量は、成形体に対して0.1〜30重量%とすることが好ましい。なお、本発明では、気孔形成剤が成形体のバインダーの働きを兼ねるようにしてもよい。
本発明で用いる「二酸化ケイ素」とは、二酸化ケイ素それ自体、もしくは二酸化ケイ素の前駆体を表す。この前駆体は、例えば、ケイ素のアルコキシド、アルキル、もしくはアルキルハライド化合物、フルオロケイ酸、石英、及び前述した金属のケイ酸塩である。この「二酸化ケイ素」には、二酸化ケイ素及び前駆体の混合物も含まれる。これらのうち、二酸化ケイ素それ自体の形態が好ましい。
本発明で用いる「炭素」とは、任意の形態の炭素を表す。この炭素として、例えば、松煙のような広い範囲の木炭から選ばれる炭素ブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、グラファイト、コークス等が用いられる。また、この「炭素」には、炭素の前駆体であるコークス性物質も含まれる。そのようなコークス性物質としては、熱硬化性バインダー、例えば、フェノール樹脂(特に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリウレア、もしくはポリカルボネートが例示される。炭素ブラック及び/又は炭素の前駆体との混合物も利用可能である。これらのうち、炭素ブラックの形態が好ましい。
本発明で用いる「焼結助剤」とは、焼結の高温領域においてガラス状態に変化する金属酸化物を表す。これらは、酸化物の1つ、もしくはそれ以上の成分と反応してガラス相ができる混合物を含む。そのような金属酸化物の例として、イットリア、アルミナ、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。
本発明で用いる「窒化ケイ素種結晶」とは、任意の形態の窒化ケイ素を表す。この種結晶は、例えば、α型、β型、あるいは非晶質のいずれでもよい。これらとして、平均粒径1μm以下の微粉末を用いることが好ましい。
成形体を予備熱処理する条件としては、温度1100〜1600℃で熱処理することが好ましい。温度が1100℃以下であると、二酸化ケイ素粒子の窒化が不十分であり、あるいは反応速度が遅いため、好ましくない。また、温度が1600℃を超えると、反応速度が速すぎるため好ましくない。
熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、60〜600℃/hの範囲内であることが好ましい。昇温速度が60℃/h以下であると処理時間が長くなるため、好ましくない。また、600℃/hを超えると熱処理過程で二酸化ケイ素粉末と炭素粉末との反応でガスが急激に発生し、多孔体が破損するため、好ましくない。
予備熱処理した成形体を焼結する条件としては、窒素雰囲気下の温度1700〜1900℃で、1〜8時間熱処理することが好ましい。温度が1700℃以下であると、二酸化ケイ素粒子の窒化が遅い、あるいは粒成長が十分でなくなるため、好ましくない。また、温度が1900℃を超えると、粒成長が大きすぎるため、好ましくない。温度保持時間が1時間以下であると、焼結が不充分となり、好ましくなく、8時間を超えると、粒成長が大きすぎるため、好ましくない。
熱処理後焼結温度までの昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、60〜200℃/hの範囲内であることが好ましい。昇温速度が60℃/h以下であると、多孔体の作製時間が長くなるので、好ましくない。また、昇温速度が200℃/hを超えると、加熱過程で二酸化ケイ素粉末と炭素粉末との反応でガスが急激に発生し、多孔体が破損するため、好ましくない。
なお、本明細書では、二酸化ケイ素の反応率は、重量変化から算出している。すなわち、二酸化ケイ素と炭素の混合物の窒化による窒化ケイ素の生成反応:3SiO2 +6C+2N2 →Si3 4 +6COは、3モルの二酸化ケイ素が6モルの炭素と2モルの窒素と反応して1モルの窒化ケイ素となる。
この反応式から、二酸化ケイ素と炭素の混合物の重量変化は、(3×Si+4×N)/(3×Si+6×O+6×C)=140/252=0.56となる。すなわち、モル比がこの反応式に従う二酸化ケイ素と炭素の混合物は、二酸化ケイ素が全て窒化ケイ素になったとすると、重量増加率Δwidealは−0.44となる。
窒化率は、実際の重量増加率ΔwをΔwidealで除して求める。仮に、実際の重量増加率Δwが−0.4であった場合は、窒化率=0.4/0.44となり91%と計算される。しかし、窒化ケイ素種結晶や焼結助剤、あるいはより多くの炭素や二酸化ケイ素を添加した場合には、重量増加率Δwidealは−0.44×[ 反応できる(SiO2+C)の重量割合] となる。
本発明により、(1)高気孔率(例えば、61〜75%)と高強度(例えば、20〜28MPa)を共に有する窒化ケイ素多孔体を製造することができる、(2)本発明の方法により、均一に発達した微細な柱状粒子の組織を有する高気孔率で高強度の窒化ケイ素多孔体が得られる、(3)二酸化ケイ素と炭素の粉末に窒化ケイ素種結晶を加えて出発原料とし、炭素窒化により、化率の高い、高気孔率及び高強度の窒化ケイ素多孔体を低コストで製造するプロセスを提供できる、(4)高温雰囲気下、又は腐食性雰囲気下で好適に用いられる耐熱性構造部材の材料として有用な高気孔率で高強度の窒化ケイ素多孔体を提供できる、(5)上記窒化ケイ素多孔体からなる耐熱性構造部材を提供できる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜8
(1)焼結体の製造
0.8μmの平均粒径を持つ二酸化ケイ素原料粉末にSiO2 /Cのモル比が0.45−0.5になるように炭素粉末を添加し、更に、5重量%のイットリアと5重量%のα型窒化ケイ素種結晶粒子を添加し、出発原料とした。なお、炭素粉末の平均粒径は30nmであり、窒化ケイ素粒子の平均粒径は0.5μmであった。
この出発原料を、メタノールを分散媒とするボールミルによって、24時間、混合粉砕した。これらの混合物について、真空エバポレータを用いてメタノールを除去し、更に、120℃で真空乾燥後、250メッシュの篩いを通過させ、混合粉末を得た。
この混合粉末を5mm×50mmのプレス金型に充填し、成形圧9.8MPaで一軸加圧を行い、5mm×5mm×50mmの成形体を得た。この成形体を窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で1500℃まで昇温し、更に、昇温速度3℃/分で1750〜1800℃まで昇温し、6気圧の加圧窒素中、2時間の焼結を行い、焼結体を得た。
(2)焼結体の特性
得られた焼結体について、アルキメデス法により比重と気孔率を測定し、JIS R−1601により室温4点曲げ強度を測定した。また、X線を用い結晶相を同定するとともに、焼結体の破壊断面の微細組織を観察した。なお、各試料において、気孔径は、水銀ポロシメータによって測定した。これらの密度、気孔率、気孔径、強度及び結晶相の測定結果を表1に示す。また、上記焼結体の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×5000)を図1に示す。
なお、比較のため、窒化ケイ素種結晶を添加しない焼結体を同じプロセスにより作製した。得られた焼結体(比較例1〜3)について評価を行った結果を表1に合わせて示す。また、この焼結体の破断面のSEM写真(×5000)を図2に示す。
図1及び図2から明らかなように、種結晶を添加した試料では、均一に発達した微細な柱状粒子が得られたのに対し、種結晶無添加の試料では、得られた粒子が粗く、柱状粒子が発達していない。
また、表1から明らかなように、本実施例では、高い気孔率と高い強度を共に有する多孔質窒化ケイ素焼結体を得ることができることが確認された。
以上詳述したように、本発明は、窒化ケイ素多孔体及びその製造方法に係るものであり、本発明により、窒化ケイ素種結晶を添加した二酸化ケイ素と炭素の混合粉末を出発原料として、窒素雰囲気中の反応により、微細な柱状粒子を有する高気孔率・高強度の多孔質窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。本発明の窒化ケイ素多孔体の製造方法は、経済性にも優れており、その窒化ケイ素多孔体は、高温雰囲気下又は腐食性雰囲気下でのガス分離用フィルターや、その基材、発電用ガスタービン、熱交換器、エンジン、宇宙往還機などに用いられる耐熱性材料のフィラー(強化材)、又は金属マトリックス複合材料の補強材などとして幅広い用途が期待される。
5重量%窒化ケイ素種結晶を添加した試料の破断面のSEM写真(1750℃、2時間焼結)を示す。 窒化ケイ素種を添加していない試料の破断面のSEM写真(1750℃、2時間焼結)を示す。

Claims (11)

  1. 酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末に1〜10重量%の窒化ケイ素種結晶を含む混合粉体を成形した後、該成形体を窒素雰囲気中又は窒素を含む不活性雰囲気中において所定の昇温速度で、昇温して予備熱処理し、更に、所定の昇温速度で昇温し、焼結することにより、高気孔率と高強度を共に有する窒化ケイ素多孔体を製造する方法であって、
    1)二酸化ケイ素粉末及び炭素粉末の平均粒子直径が、0.1〜10μmであること、
    2)二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末におけるSiO /Cのモル比が、0.4〜0.6であること
    3)成形体中に1〜20重量%の焼結助剤を有すること、
    4)成形体を温度1700〜1900℃の窒素雰囲気中で焼結すること、
    5)気孔率が少なくとも60%であり、かつ強度が少なくとも20MPaである窒化ケイ素多孔体を製造すること、
    を特徴とする窒化ケイ素多孔体の製造方法。
  2. 上記成形体に対して有機バインダーを0.1〜30重量%添加することを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  3. 二酸化ケイ素として、二酸化ケイ素、ケイ素のアルコキシド、アルキル、もしくはアルキルハライド化合物、フルオロケイ酸、石英、又は金属のケイ酸塩を使用することを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  4. 炭素として、炭素ブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、グラファイト、コークス、又は炭素の前駆体であるコークス性物質を使用することを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  5. 窒化ケイ素種結晶の形態が、α型、β型、あるいは非晶質の形態であり、平均粒径1μm以下の微粉であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  6. 二酸化ケイ素粒子、炭素粉末、焼結助剤の酸化物粒子及び窒化ケイ素種結晶粒子を含む混合粉末を、プレス成形、押出成形、鋳込成形、又はシート成形により成形することを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  7. 成形体を、温度1100〜1600℃で予備熱処理することを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  8. 熱処理時の昇温速度が、60〜600℃/hの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  9. 熱処理後焼結温度までの昇温速度が、60〜200℃/hの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔体の製造方法。
  10. 二酸化ケイ素粉末と炭素粉末の混合粉末に窒化ケイ素種結晶を添加した混合粉体の成形体を炭素窒化により焼結して作製された、高気孔率と高強度を共に有する窒化ケイ素多孔体であって窒化率が高く、気孔率が60〜75%、強度が20〜28MPaであることを特徴とする高気孔率・高強度窒化ケイ素多孔体。
  11. 請求項10に記載の高気孔率・高強度窒化ケイ素多孔体を構成要素として含むことを特徴とする耐熱性・耐腐性構造部材。
JP2003360061A 2003-10-20 2003-10-20 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4348429B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003360061A JP4348429B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003360061A JP4348429B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005119934A JP2005119934A (ja) 2005-05-12
JP4348429B2 true JP4348429B2 (ja) 2009-10-21

Family

ID=34616027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003360061A Expired - Lifetime JP4348429B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4348429B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5224293B2 (ja) * 2009-07-15 2013-07-03 独立行政法人産業技術総合研究所 反応焼結基窒化ケイ素セラミックス及びその製造方法
JP5503236B2 (ja) * 2009-09-18 2014-05-28 株式会社クボタ セラミックフィルター及びセラミックフィルターの製造方法
US8992651B2 (en) 2012-03-28 2015-03-31 Kubota Corporation Ceramic filter and method for manufacturing the same
EP4071110A4 (en) * 2019-12-05 2024-01-03 Tokuyama Corporation METHOD FOR PRODUCING METAL NITRIDE
CN112299857B (zh) * 2020-11-16 2022-06-03 德州启源空调设备有限公司 一种风阀阀体材料及其制备工艺
CN112707744A (zh) * 2020-12-30 2021-04-27 松山湖材料实验室 一种多孔氮化物陶瓷及其制备方法
CN113563088B (zh) * 2021-07-30 2023-06-13 淄博国创中心先进车用材料技术创新中心 多孔氮化硅陶瓷零件及其制造方法
CN114790107B (zh) * 2022-04-29 2023-05-09 江苏大学 一种利用多晶硅切割废料在低温下制备SiO2-Si3N4复合陶瓷的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005119934A (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4348429B2 (ja) 窒化ケイ素多孔体及びその製造方法
WO2005049525A1 (ja) 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体
JP4041879B2 (ja) セラミックス多孔体及びその製造方法
JP2003246676A (ja) サイアロンセラミックス多孔体及びその製造方法
JPS6212663A (ja) B4c質複合体およびその製造方法
JP3570676B2 (ja) セラミックス多孔体及びその製造方法
Hagen et al. Preparation and properties of porous aluminum nitride–silicon carbide composite ceramics
Li et al. Carbothermal reaction of silica–phenol resin hybrid gels to produce silicon nitride/silicon carbide nanocomposite powders
JP2004067484A (ja) 耐火物及びその製造方法
JP4958353B2 (ja) 窒化アルミニウム粉末及びその製造方法
JP2658944B2 (ja) 窒化珪素−窒化チタン系複合セラミックス及びその製造方法
JP4542747B2 (ja) 高強度六方晶窒化硼素焼結体の製法
JPH1179848A (ja) 窒化珪素質焼結体
JP3318466B2 (ja) 窒化珪素質焼結体およびその製造方法
JP3271123B2 (ja) 窒化珪素と窒化硼素との複合体の製造方法
JP2671539B2 (ja) 窒化珪素焼結体の製造方法
JPH0463028B2 (ja)
JPH11335172A (ja) 多孔質炭化珪素焼結体の製造方法
JP3567001B2 (ja) 炭化珪素と窒化珪素の複合焼結体の製造方法
JP2024053480A (ja) 窒化ケイ素焼結体の製造方法
JPS6344713B2 (ja)
JPH06316465A (ja) 窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JPH05148034A (ja) 窒化珪素質焼結体の製造法
JPH08277166A (ja) 窒化ケイ素質焼結体用窒化ケイ素粉末ならびに窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法
JPS63117962A (ja) 炭化珪素質焼結体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050502

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090618

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4348429

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term