JP3318466B2 - 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 - Google Patents
窒化珪素質焼結体およびその製造方法Info
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- JP3318466B2 JP3318466B2 JP13355095A JP13355095A JP3318466B2 JP 3318466 B2 JP3318466 B2 JP 3318466B2 JP 13355095 A JP13355095 A JP 13355095A JP 13355095 A JP13355095 A JP 13355095A JP 3318466 B2 JP3318466 B2 JP 3318466B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温から1000℃の
高温までの強度特性に優れ、且つ耐熱衝撃抵抗に優れた
自動車用部品やガスタ−ビンエンジン用部品等に使用さ
れる窒化珪素質焼結体とその製造方法に関する。
高温までの強度特性に優れ、且つ耐熱衝撃抵抗に優れた
自動車用部品やガスタ−ビンエンジン用部品等に使用さ
れる窒化珪素質焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、窒化珪素質焼結体は、耐熱
性、耐熱衝撃性および耐酸化性に優れることからエンジ
ニアリングセラミックス、特にタ−ボロ−タ−等の熱機
関用として応用が進められている。
性、耐熱衝撃性および耐酸化性に優れることからエンジ
ニアリングセラミックス、特にタ−ボロ−タ−等の熱機
関用として応用が進められている。
【0003】この窒化珪素質焼結体を作製するには、焼
結助剤としてY2 O3 などの希土類酸化物やAl
2 O3 、AlNなどのアルミニウム化合物、SiO2 な
どを添加して焼成して緻密化することが特公昭52−3
649号、特公昭58−5190号にて提案されてい
る。
結助剤としてY2 O3 などの希土類酸化物やAl
2 O3 、AlNなどのアルミニウム化合物、SiO2 な
どを添加して焼成して緻密化することが特公昭52−3
649号、特公昭58−5190号にて提案されてい
る。
【0004】また、このような焼結体に対しては、さら
にWやMoなどのケイ化物を分散させることにより特性
の改善を図ることも特公昭63−62474号等に提案
されている。
にWやMoなどのケイ化物を分散させることにより特性
の改善を図ることも特公昭63−62474号等に提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】これらの焼結助剤に
おいては、希土類酸化物とAl2 O3 を併用することに
より、低温で液相が生成されるために、焼結性が高めら
れ、比較的低温焼成で緻密化することが可能であり、室
温強度や1000℃の高温強度もある程度向上させるこ
とができる。
おいては、希土類酸化物とAl2 O3 を併用することに
より、低温で液相が生成されるために、焼結性が高めら
れ、比較的低温焼成で緻密化することが可能であり、室
温強度や1000℃の高温強度もある程度向上させるこ
とができる。
【0006】しかしながら、実用面からは、強度として
は低く、ケイ化物を分散した系でも強度が高信頼性を得
るには不十分であり、さらなる強度の向上が望まれてい
る。
は低く、ケイ化物を分散した系でも強度が高信頼性を得
るには不十分であり、さらなる強度の向上が望まれてい
る。
【0007】また、窒化珪素質焼結体は、耐熱衝撃性に
対してはセラミックスの中でも最も優れた材料である
が、その耐熱衝撃性は800℃程度であり、この熱衝撃
性に対してもさらなる改善が求められている。
対してはセラミックスの中でも最も優れた材料である
が、その耐熱衝撃性は800℃程度であり、この熱衝撃
性に対してもさらなる改善が求められている。
【0008】よって、本発明の目的は、室温から高温ま
で自動車用部品やガスタ−ビンエンジン用部品等で使用
されるに充分な機械的特性、特に室温から1000℃の
高温までの抗折強度に優れ、耐熱衝撃抵抗に優れた窒化
珪素質焼結体およびその製造方法を提供するにある。
で自動車用部品やガスタ−ビンエンジン用部品等で使用
されるに充分な機械的特性、特に室温から1000℃の
高温までの抗折強度に優れ、耐熱衝撃抵抗に優れた窒化
珪素質焼結体およびその製造方法を提供するにある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、焼結体
の機械的、熱的特性を高めるためには、焼結体の主結晶
相および窒化珪素相の粒界に存在する副相を制御するこ
とが重要であるという見地に基づき検討を重ねた結果、
β−窒化珪素結晶相、希土類元素、珪素、アルミニウ
ム、酸素および窒素からなる粒界相を含む焼結体中に、
微細なSi2 N2 O結晶粒子とWケイ化物粒子を分散さ
せたところ、強度と耐熱衝撃性が向上することを見いだ
した。
の機械的、熱的特性を高めるためには、焼結体の主結晶
相および窒化珪素相の粒界に存在する副相を制御するこ
とが重要であるという見地に基づき検討を重ねた結果、
β−窒化珪素結晶相、希土類元素、珪素、アルミニウ
ム、酸素および窒素からなる粒界相を含む焼結体中に、
微細なSi2 N2 O結晶粒子とWケイ化物粒子を分散さ
せたところ、強度と耐熱衝撃性が向上することを見いだ
した。
【0010】即ち、本発明の窒化珪素質焼結体は、β−
窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪素、アルミニウム、
酸素および窒素からなる粒界相を含む窒化珪素焼結体中
に、平均粒径3〜20μmのSi2 N2 O結晶粒子と平
均粒径0.5〜10μm以下のWケイ化物粒子を分散さ
せたことを特徴とし、かかる焼結体を作製する方法とし
て、窒化珪素を主成分として、希土類酸化物粉末、酸化
アルミニウム粉末とともに、平均粒径3μm以下のSi
O2 粉末及びW化合物粉末を添加混合して成形体を作製
した後、この成形体を10torr以下の減圧中800
℃〜1400℃の温度で加熱することによりSi2 N2
O結晶及びWケイ化物粒子を析出させた後、非酸化性雰
囲気中で1600〜2000℃の温度で焼成し緻密化す
ることを特徴とするものである。
窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪素、アルミニウム、
酸素および窒素からなる粒界相を含む窒化珪素焼結体中
に、平均粒径3〜20μmのSi2 N2 O結晶粒子と平
均粒径0.5〜10μm以下のWケイ化物粒子を分散さ
せたことを特徴とし、かかる焼結体を作製する方法とし
て、窒化珪素を主成分として、希土類酸化物粉末、酸化
アルミニウム粉末とともに、平均粒径3μm以下のSi
O2 粉末及びW化合物粉末を添加混合して成形体を作製
した後、この成形体を10torr以下の減圧中800
℃〜1400℃の温度で加熱することによりSi2 N2
O結晶及びWケイ化物粒子を析出させた後、非酸化性雰
囲気中で1600〜2000℃の温度で焼成し緻密化す
ることを特徴とするものである。
【0011】以下、本発明を詳述する。本発明の窒化珪
素質焼結体は、β−窒化珪素を主結晶相とするものであ
るが、この窒化珪素結晶粒子間には、焼結助剤に基づく
希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含
む粒界相が存在する。
素質焼結体は、β−窒化珪素を主結晶相とするものであ
るが、この窒化珪素結晶粒子間には、焼結助剤に基づく
希土類元素、珪素、アルミニウム、酸素および窒素を含
む粒界相が存在する。
【0012】本発明によれば、上記の焼結体中に、平均
粒径が3〜20μm、好ましくは5〜15μmのSi2
N2 O結晶粒子と、平均粒径が0.5〜10μm、好ま
しくは1〜5μmのWケイ化物粒子を分散させることが
重要である。なお、Wケイ化物としては、具体的にはW
Si2 、W5 Si3 などがある。
粒径が3〜20μm、好ましくは5〜15μmのSi2
N2 O結晶粒子と、平均粒径が0.5〜10μm、好ま
しくは1〜5μmのWケイ化物粒子を分散させることが
重要である。なお、Wケイ化物としては、具体的にはW
Si2 、W5 Si3 などがある。
【0013】これらの分散粒子の粒径を上記に限定した
のは、Si2 N2 O結晶粒子が20μmより大きい、あ
るいはWケイ化物粒子が10μmより大きいとそれ自身
が破壊源となり焼結体の強度を低下させてしまい、目的
の強度が得られないためである。また、Si2 N2 O結
晶粒子が3μmより小さかったり、Wケイ化物粒子が
0.5μmより小さいとピニング効果が低下し、目的の
強度、耐熱衝撃性が得られない。
のは、Si2 N2 O結晶粒子が20μmより大きい、あ
るいはWケイ化物粒子が10μmより大きいとそれ自身
が破壊源となり焼結体の強度を低下させてしまい、目的
の強度が得られないためである。また、Si2 N2 O結
晶粒子が3μmより小さかったり、Wケイ化物粒子が
0.5μmより小さいとピニング効果が低下し、目的の
強度、耐熱衝撃性が得られない。
【0014】また、Si2 N2 O結晶粒子と、Wケイ化
物粒子とを分散させることにより、お互いの相の核形成
速度が促進し、より多くの結晶粒子が生成する。しか
も、その後の粒成長は、お互いに抑制しあうため、単独
のときよりもより微細で、多量の結晶が生成する。ま
た、これらの結晶粒子は、窒化珪素結晶粒子の粒界に分
散される。
物粒子とを分散させることにより、お互いの相の核形成
速度が促進し、より多くの結晶粒子が生成する。しか
も、その後の粒成長は、お互いに抑制しあうため、単独
のときよりもより微細で、多量の結晶が生成する。ま
た、これらの結晶粒子は、窒化珪素結晶粒子の粒界に分
散される。
【0015】このSi2 N2 O結晶粒子は1〜20重量
%、特に3〜10重量%の割合で存在させることが望ま
しい。また、Wケイ化物は、1〜10重量%、特に2〜
5重量%の割合で存在させることが望ましい。
%、特に3〜10重量%の割合で存在させることが望ま
しい。また、Wケイ化物は、1〜10重量%、特に2〜
5重量%の割合で存在させることが望ましい。
【0016】また、本発明の焼結体は、焼結助剤成分と
して、Y、Dy、Er、Yb、Lu、Smなどの周期律
表第3a族元素を酸化物換算で1〜10重量%、特に3
〜7重量%、Alを酸化物換算で0.1〜10重量%、
特に2〜7重量%の割合で含有するのが、焼結性を高め
る上で望ましい。なお、周期律表第3a族元素の中で
は、Y、Er、Yb、Lu、Sm等が好適に挙げられ
る。これらの中でもYは安価に入手できる点で望まし
い。
して、Y、Dy、Er、Yb、Lu、Smなどの周期律
表第3a族元素を酸化物換算で1〜10重量%、特に3
〜7重量%、Alを酸化物換算で0.1〜10重量%、
特に2〜7重量%の割合で含有するのが、焼結性を高め
る上で望ましい。なお、周期律表第3a族元素の中で
は、Y、Er、Yb、Lu、Sm等が好適に挙げられ
る。これらの中でもYは安価に入手できる点で望まし
い。
【0017】次に、上記の焼結体を作製する方法として
は、まず、主原料粉末として窒化珪素粉末を用いる。窒
化珪素粉末としては、α−Si3 N4 、β−Si3 N4
のいずれでも用いることができ、それらの粒径は0.4
〜1.2μmが好ましい。
は、まず、主原料粉末として窒化珪素粉末を用いる。窒
化珪素粉末としては、α−Si3 N4 、β−Si3 N4
のいずれでも用いることができ、それらの粒径は0.4
〜1.2μmが好ましい。
【0018】次に、焼結助剤成分として、周期律表第3
a族元素酸化物粉末、酸化アルミニウム粉末を用いる。
W化合物としてはWO3 、WC、WN、WSi2 等いず
れでもかまわないが、安価で微粉末が得られやすいこと
からWO3 が好ましい。これら焼結助剤成分のうち、周
期律表第3a族元素酸化物を1〜10重量%、特に3〜
7重量%、酸化アルミニウム粉末を0.1〜10重量
%、特に2〜7重量%で添加する。また、Si2 N2 O
結晶粒子およびWケイ化物粒子を生成させるための原料
として、酸化珪素粉末およびW化合物粉末を添加する。
酸化珪素は1〜10重量%、特に2〜5重量%、W化合
物をWSi2 換算で1〜10重量%、特に2〜5重量%
の割合で添加する。
a族元素酸化物粉末、酸化アルミニウム粉末を用いる。
W化合物としてはWO3 、WC、WN、WSi2 等いず
れでもかまわないが、安価で微粉末が得られやすいこと
からWO3 が好ましい。これら焼結助剤成分のうち、周
期律表第3a族元素酸化物を1〜10重量%、特に3〜
7重量%、酸化アルミニウム粉末を0.1〜10重量
%、特に2〜7重量%で添加する。また、Si2 N2 O
結晶粒子およびWケイ化物粒子を生成させるための原料
として、酸化珪素粉末およびW化合物粉末を添加する。
酸化珪素は1〜10重量%、特に2〜5重量%、W化合
物をWSi2 換算で1〜10重量%、特に2〜5重量%
の割合で添加する。
【0019】なお、酸化珪素粉末およびW化合物は、い
ずれも平均粒径3μm以下の粉末を用いることが必要で
ある。これは、これらの粉末の平均粒径が3μmより大
きいと、Si2 N2 O結晶粒子が生成されず、また、微
細なWケイ化物粒子が形成されないためである。
ずれも平均粒径3μm以下の粉末を用いることが必要で
ある。これは、これらの粉末の平均粒径が3μmより大
きいと、Si2 N2 O結晶粒子が生成されず、また、微
細なWケイ化物粒子が形成されないためである。
【0020】このようにして得られた混合粉末を公知の
成形方法、例えば、プレス成形、鋳込み成形、押出し成
形、射出成形、冷間静水圧成形などにより所望の形状に
成形する。
成形方法、例えば、プレス成形、鋳込み成形、押出し成
形、射出成形、冷間静水圧成形などにより所望の形状に
成形する。
【0021】次に、この成形体を焼成するが、本発明に
よれば、焼結体中にSi2 N2 O結晶粒子およびWケイ
化物粒子を分散させるために、焼成に先立ち、成形体を
10torr以下の減圧中800℃〜1400℃の温度
域で加熱することが必要である。高温の減圧下で加熱す
ることにより、SiO2 及びW化合物と窒化珪素との反
応が促進され、かつ窒化や、反応の際に生成する一酸化
珪素や、窒素を成形体外部へ迅速に排出し、粒界相組成
の変化やボイドの生成を防ぐことができる。
よれば、焼結体中にSi2 N2 O結晶粒子およびWケイ
化物粒子を分散させるために、焼成に先立ち、成形体を
10torr以下の減圧中800℃〜1400℃の温度
域で加熱することが必要である。高温の減圧下で加熱す
ることにより、SiO2 及びW化合物と窒化珪素との反
応が促進され、かつ窒化や、反応の際に生成する一酸化
珪素や、窒素を成形体外部へ迅速に排出し、粒界相組成
の変化やボイドの生成を防ぐことができる。
【0022】この前処理において、10torr以上の
減圧下、あるいは800℃未満の温度ではいずれも生成
ガスの排出が十分でなく、Si2 N2 O結晶粒子及び、
Wケイ化物粒子の生成と粒成長が不十分で目的の強度が
得られない。また1400℃を越えると、窒化珪素自身
が分解し始めるからである。また、上記のようにSiO
2 及びW化合物の添加量が10重量%を越えると、Si
O2 及びW化合物と窒化珪素との反応が完全には行われ
ず粒子も巨大化する。また1重量%以下では、Si2 N
2 O結晶粒子及びWケイ化物粒子の生成量、粒径が不十
分でいずれも目的の強度が得られない。
減圧下、あるいは800℃未満の温度ではいずれも生成
ガスの排出が十分でなく、Si2 N2 O結晶粒子及び、
Wケイ化物粒子の生成と粒成長が不十分で目的の強度が
得られない。また1400℃を越えると、窒化珪素自身
が分解し始めるからである。また、上記のようにSiO
2 及びW化合物の添加量が10重量%を越えると、Si
O2 及びW化合物と窒化珪素との反応が完全には行われ
ず粒子も巨大化する。また1重量%以下では、Si2 N
2 O結晶粒子及びWケイ化物粒子の生成量、粒径が不十
分でいずれも目的の強度が得られない。
【0023】そして、上記のようにして熱処理した成形
体を公知の焼成方法、例えば、ホットプレス方法、常圧
焼成、窒素ガス圧力焼成、さらには、これらの焼成後の
熱間静水圧焼成(HIP)およびガラスシ−ルによるH
IP焼成等で焼成し、緻密化を図る。この時の焼成温度
は、高温すぎると主相であるβ−窒化珪素結晶が粒成長
し強度が低下するため、1600〜2000℃、特に1
650〜1850℃の窒素ガス含有の非酸化性雰囲気で
あることが望ましい。
体を公知の焼成方法、例えば、ホットプレス方法、常圧
焼成、窒素ガス圧力焼成、さらには、これらの焼成後の
熱間静水圧焼成(HIP)およびガラスシ−ルによるH
IP焼成等で焼成し、緻密化を図る。この時の焼成温度
は、高温すぎると主相であるβ−窒化珪素結晶が粒成長
し強度が低下するため、1600〜2000℃、特に1
650〜1850℃の窒素ガス含有の非酸化性雰囲気で
あることが望ましい。
【0024】なお、本発明の焼結体においては、上記の
成分以外に、Ti、Ta、V、Moなどの周期律表第4
a、5a、6a族金属や、それらの炭化物、窒化物、珪
化物、またはSiCなどを分散粒子やウィスカ−として
本発明の焼結体に分散させても特性を劣化させるような
影響が少ないことから、これらを周知技術の基づき、適
量添加して複合材料として特性の改善を行うことも当然
可能である。
成分以外に、Ti、Ta、V、Moなどの周期律表第4
a、5a、6a族金属や、それらの炭化物、窒化物、珪
化物、またはSiCなどを分散粒子やウィスカ−として
本発明の焼結体に分散させても特性を劣化させるような
影響が少ないことから、これらを周知技術の基づき、適
量添加して複合材料として特性の改善を行うことも当然
可能である。
【0025】
【作用】本発明によれば、粒界相を希土類元素、珪素、
アルミニウム、酸素および窒素により構成し、さらに、
微細で耐熱性が高く、しかも耐酸化特性に優れるSi2
N2 O結晶粒子及びWケイ化物粒子を分散含有させるこ
とにより高温における粒界相の軟化をこれらの粒子のピ
ニング効果により防ぐのである。それにより、窒化珪素
焼結体の耐熱衝撃性や室温から1000℃まで優れた強
度を付与することができる。
アルミニウム、酸素および窒素により構成し、さらに、
微細で耐熱性が高く、しかも耐酸化特性に優れるSi2
N2 O結晶粒子及びWケイ化物粒子を分散含有させるこ
とにより高温における粒界相の軟化をこれらの粒子のピ
ニング効果により防ぐのである。それにより、窒化珪素
焼結体の耐熱衝撃性や室温から1000℃まで優れた強
度を付与することができる。
【0026】また、Si2 N2 O結晶粒子とWケイ化物
粒子を同時に分散させることにより、お互いの粒子の核
形成速度が促進され、より多くの結晶粒子が生成する。
しかも、その後の粒成長はお互いに抑制しあうため、単
独で分散させた場合に比較してより微細で、多量の結晶
がそれぞれ生成させることができる。
粒子を同時に分散させることにより、お互いの粒子の核
形成速度が促進され、より多くの結晶粒子が生成する。
しかも、その後の粒成長はお互いに抑制しあうため、単
独で分散させた場合に比較してより微細で、多量の結晶
がそれぞれ生成させることができる。
【0027】また、Si2 N2 O結晶粒子およびWケイ
化物粒子を生成するために、焼成に先立ち、成形体を1
0torr以下の減圧中800℃〜1400℃の温度域
で加熱することにより、SiO2 及びW化合物と窒化珪
素との反応が促進され、かつ窒化や、反応の際に生成す
る一酸化珪素や、窒素を成形体外部へ迅速に排出し、粒
界相組成の変化やボイドの生成を防ぐことができる。
化物粒子を生成するために、焼成に先立ち、成形体を1
0torr以下の減圧中800℃〜1400℃の温度域
で加熱することにより、SiO2 及びW化合物と窒化珪
素との反応が促進され、かつ窒化や、反応の際に生成す
る一酸化珪素や、窒素を成形体外部へ迅速に排出し、粒
界相組成の変化やボイドの生成を防ぐことができる。
【0028】
実施例1 窒化珪素粉末(BET比表面積9m2 /g、α率98
%、酸素量1.2重量%)と各種の周期律表第3a族元
素酸化物粉末と酸化アルミニウム粉末、平均粒径が0.
5μmの酸化珪素粉末、平均粒径が2μmのW化合物粉
末を用いて、表1に示す組成になるように調合後、1t
/cm2 で金型成形した。成形体を炭化珪素質の匣鉢に
入れて表1の条件で前処理および焼成をおこなった。
%、酸素量1.2重量%)と各種の周期律表第3a族元
素酸化物粉末と酸化アルミニウム粉末、平均粒径が0.
5μmの酸化珪素粉末、平均粒径が2μmのW化合物粉
末を用いて、表1に示す組成になるように調合後、1t
/cm2 で金型成形した。成形体を炭化珪素質の匣鉢に
入れて表1の条件で前処理および焼成をおこなった。
【0029】得られた焼結体をJIS−R1601にて
指定されている形状まで研磨し試料を作製した。この試
料についてJIS−R1601に基づく室温および10
00℃での4点曲げ抗折強度試験を実施した。さらに、
所定の温度からの水中投下後のクラックの有無により耐
熱衝撃性を評価した。また鏡面仕上げを行ったサンプル
の光学顕微鏡観察によりSi2 N2 O結晶粒子及び、W
ケイ化物粒子の大きさを測定した。
指定されている形状まで研磨し試料を作製した。この試
料についてJIS−R1601に基づく室温および10
00℃での4点曲げ抗折強度試験を実施した。さらに、
所定の温度からの水中投下後のクラックの有無により耐
熱衝撃性を評価した。また鏡面仕上げを行ったサンプル
の光学顕微鏡観察によりSi2 N2 O結晶粒子及び、W
ケイ化物粒子の大きさを測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1および表2の結果によると、本発明に
基づきSi2 N2 O結晶粒子およびWケイ化物粒子を析
出させた本発明品は、いずれも室温で900MPa以
上、1000℃においても900MPa以上の優れた機
械的強度を示し、耐熱衝撃性も1000℃以上と高いも
のであった。
基づきSi2 N2 O結晶粒子およびWケイ化物粒子を析
出させた本発明品は、いずれも室温で900MPa以
上、1000℃においても900MPa以上の優れた機
械的強度を示し、耐熱衝撃性も1000℃以上と高いも
のであった。
【0033】これに対して、SiO2 及びW化合物の添
加量が1重量%よりも少ないか、または10重量%を越
える試料No.8、9、22、23、24は、本発明品に
比較して高温強度および耐熱衝撃性が低下した。また、
前処理における温度が800℃より低いか、もしくは1
400℃を越えるか、もしくは、15torrを越える
圧力下で処理した試料No.18、20はいずれも強度特
性および耐熱衝撃性が低下し、試料No.19はSiの溶
融が生じた。
加量が1重量%よりも少ないか、または10重量%を越
える試料No.8、9、22、23、24は、本発明品に
比較して高温強度および耐熱衝撃性が低下した。また、
前処理における温度が800℃より低いか、もしくは1
400℃を越えるか、もしくは、15torrを越える
圧力下で処理した試料No.18、20はいずれも強度特
性および耐熱衝撃性が低下し、試料No.19はSiの溶
融が生じた。
【0034】実施例2 窒化珪素粉末(BET比表面積9m2 /g、α率98
%、酸素量1.2重量%)とY2 O3 5重量%、Al2
O3 5重量%、SiO2 2重量%、WO3 、WSi2 、
WCのW化合物を(WSi2 換算)3重量%の割合で添
加し、SiO2 およびW化合物の平均粒径が表1の種々
のものを用いて調合後、1t/cm2 で金型成形した。
成形体を炭化珪素質の匣鉢に入れて1torr下の減圧
下で1100℃で5時間熱処理した後、窒素9気圧下、
1800℃で5時間焼成した。
%、酸素量1.2重量%)とY2 O3 5重量%、Al2
O3 5重量%、SiO2 2重量%、WO3 、WSi2 、
WCのW化合物を(WSi2 換算)3重量%の割合で添
加し、SiO2 およびW化合物の平均粒径が表1の種々
のものを用いて調合後、1t/cm2 で金型成形した。
成形体を炭化珪素質の匣鉢に入れて1torr下の減圧
下で1100℃で5時間熱処理した後、窒素9気圧下、
1800℃で5時間焼成した。
【0035】得られた焼結体をJIS−R1601にて
指定されている形状まで研磨し試料を作製した。この試
料についてJIS−R1601に基づく室温および10
00℃での4点曲げ抗折強度試験を実施し、さらに実施
例1と同様にして耐熱衝撃性を評価した。また鏡面仕上
げを行ったサンプルの光学顕微鏡観察によりSi2 N2
O結晶粒子及び、Wケイ化物粒子の大きさを測定した。
指定されている形状まで研磨し試料を作製した。この試
料についてJIS−R1601に基づく室温および10
00℃での4点曲げ抗折強度試験を実施し、さらに実施
例1と同様にして耐熱衝撃性を評価した。また鏡面仕上
げを行ったサンプルの光学顕微鏡観察によりSi2 N2
O結晶粒子及び、Wケイ化物粒子の大きさを測定した。
【0036】
【表3】
【0037】表3の結果によると、SiO2 粉末または
W化合物粉末の平均粒径が3μmを越える試料No.2
6、27、28はいずれも焼結体中に生成されたSi2
N2 O結晶粒子あるいはWケイ化物粒子の粒径が大きく
なり、その結果、室温強度、1000℃強度および耐熱
衝撃性のいずれも低下していた。これらの比較例に対し
て、その他の本発明に基づく試料は、いずれも抗折強度
および耐熱衝撃性に優れていた。
W化合物粉末の平均粒径が3μmを越える試料No.2
6、27、28はいずれも焼結体中に生成されたSi2
N2 O結晶粒子あるいはWケイ化物粒子の粒径が大きく
なり、その結果、室温強度、1000℃強度および耐熱
衝撃性のいずれも低下していた。これらの比較例に対し
て、その他の本発明に基づく試料は、いずれも抗折強度
および耐熱衝撃性に優れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/584 - 35/596
Claims (2)
- 【請求項1】β−窒化珪素結晶相と、希土類元素、珪
素、アルミニウム、酸素および窒素からなる粒界相とを
含む焼結体中に、平均粒径3〜20μmのSi2N2 O
結晶粒子と、平均粒径0.5〜10μmのWケイ化物粒
子とを分散含有させたことを特徴とする窒化珪素質焼結
体。 - 【請求項2】窒化珪素を主成分とし、焼結助剤として希
土類酸化物粉末および酸化アルミニウム粉末を添加し、
さらに平均粒径が3μm以下のSiO2 粉末を1〜10
重量%、平均粒径が3μm以下のW化合物をWSi2 換
算で1〜10重量%の割合で添加した混合物を成形した
後、この成形体を10torr以下の減圧中にて800
℃〜1400℃の温度で加熱してSi2 N2 O結晶粒子
及びWケイ化物粒子を析出させた後、非酸化性雰囲気中
で1600〜2000℃の温度で焼成したことを特徴と
する窒化珪素質焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13355095A JP3318466B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13355095A JP3318466B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 窒化珪素質焼結体およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08325061A JPH08325061A (ja) | 1996-12-10 |
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ID=15107442
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JP5111009B2 (ja) * | 2007-08-08 | 2012-12-26 | 京セラ株式会社 | 窒化珪素質セラミック製バルブの製造方法 |
-
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- 1995-05-31 JP JP13355095A patent/JP3318466B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH08325061A (ja) | 1996-12-10 |
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