JP2005349507A - クーラント再生装置及び廃スラリー再生システム、並びに、廃クーラントの再生方法及び廃スラリーの再生方法 - Google Patents

クーラント再生装置及び廃スラリー再生システム、並びに、廃クーラントの再生方法及び廃スラリーの再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークの加工に使用された後の廃スラリーを再生する際に排出される廃クーラントを、コストへの負担が大きい蒸留装置等を用いずに、安価に安定して再生することのできる廃クーラントの再生装置を提供する。
【解決手段】クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、該廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生するクーラント再生装置であって、少なくとも、前記廃クーラントを収容して加熱する前処理槽2と、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液供給手段3と、前記アルカリ溶液が添加されて前記前処理槽で加熱された廃クーラントを濾過する濾過機4とを具備することを特徴とするクーラント再生装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークの加工に使用された後の廃スラリーを再生する際に排出される廃クーラントを再生する再生装置及び再生方法、並びに、ワークの加工に使用された後の廃スラリーを再生する再生システム及び再生方法に関する。
通常、シリコンウエーハ等の半導体基板は、CZ法やFZ法等により単結晶インゴットを育成した後、この育成した単結晶インゴットをスライスして板状のウエーハを作製し、その後、ウエーハの外周の欠けを防止するための面取り工程、ウエーハの厚さのバラツキをなくすためのラッピング工程、加工歪みや汚染物を除去するためのエッチング工程、ウエーハの主表面を鏡面化する研磨工程等を順次行うことにより製造されている。
このような半導体基板の製造において、単結晶インゴットからウエーハをスライスする際には、ワイヤソーや内周刃切断機等を用いてスライス加工が行われている。例えば、CZ法等により育成した単結晶インゴットをワイヤソーにより切断する場合、軸が平行に配置されたローラー間に細いワイヤ(ピアノ線)が一定の間隔で螺旋状に巻回されており、このワイヤにシリコン単結晶インゴットを押圧し、その押圧部にSiC微粉等の砥粒をクーラント(分散剤)に分散して混合したスラリーを供給しながらワイヤを線方向に移動させることにより、0.3〜2mm程度の一定の厚さを有するウエーハを複数枚同時に切断することができる。
このワイヤソーによるスライス加工では、切断するワーク毎にスラリーが一定量交換され、使用後のスラリーは、例えば図5に示したように、スライス加工から廃スラリーとして排出される。ここで排出された廃スラリーは、その後スラリー再生装置31で遠心分離されることにより分離クーラント及び分離砥粒が回収される。このとき回収された分離クーラントは、その一部が再生スラリー調整装置32に送られ、残りの多くの部分は廃クーラントとして排出される。この廃クーラントには粒度の細かい切粉や砥粒が含まれている。そして、再生スラリー調整装置32では、その分離クーラントの一部が分離砥粒と混合され、さらに未使用の新砥粒と新クーラントとを補充することによって所望の品質を有する再生スラリーを調整することができ、ここで得られた再生スラリーは再びスライス加工に供給して用いることができる。
一方、スラリー再生装置31で分離クーラント及び分離砥粒が分離された残りの残部は、廃スラジとして排出される。このときスラリー再生装置31から排出される廃スラジには、主に、スライス工程で発生する比較的粒度の大きい切粉(例えば、シリコン切粉)や分離砥粒として回収されなかった砥粒が含まれている。そして、このような廃スラジや上記で分離クーラントから分離・排出された廃クーラントは、その後産業廃棄物として廃棄されていた。
しかしながら、上記のようにして排出される廃クーラントは、廃棄処理する際のコストが大きく、さらに廃棄処理時のエネルギー消費や廃クーラントの燃焼時に発生する二酸化炭素の排出等の環境問題への影響も懸念される上、クーラントコストの削減の点からも近年廃クーラントを有効に再生利用することが検討されてきている。
例えば、分離クーラントから排出された廃クーラントから、粒度の細かい切粉や砥粒等の固形分を除去して廃クーラントを再生利用するために、濾過機を用いることが検討された。しかしながら、廃クーラントに含有されている固形分は粒度が小さく、廃クーラントの粘度も高い。そのため、例えば廃クーラントから固形分を除去する際に濾過機のフィルターとして目の細かいものを用いた場合、フィルターが目詰まりして濾過を行うことができず、一方、目の粗いフィルターを用いた場合では、固形分もフィルターを通過してしまい固形分を除去できないことから、廃クーラントの濾過が非常に困難であり、実用性に乏しいという問題があった。
また、例えば特許文献1では、廃クーラントの再生方法として、廃クーラントの残留液体分を気化して微細固体分を乾燥粉末化する蒸留乾燥工程を行う方法を開示している。この特許文献1によれば、廃クーラントから気化させた残留液体分を冷却して液化することによって、廃クーラントの残留液体分からクーラント成分を抽出して再生クーラントとして再利用することができるとしている。
しかしながら、このような蒸留法を利用する廃クーラントの再生利用は、ランニングコストが高く、また設備も非常に高額なものとなるため、コストへの負担が大きいという問題があった。
特開2003−225700号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ワークの加工に使用された後の廃スラリーを再生する際に排出される廃クーラントを、コストへの負担が大きい蒸留装置等を用いずに、安価に安定して再生することのできる廃クーラントの再生装置及び再生方法を提供すること、さらには、このような廃クーラントの再生装置及び再生方法を利用して廃スラリーを安価に安定して再生できる廃スラリー再生システム及び廃スラリーの再生方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、該廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生するクーラント再生装置であって、少なくとも、前記廃クーラントを収容して加熱する前処理槽と、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液供給手段と、前記アルカリ溶液が添加されて前記前処理槽で加熱された廃クーラントを濾過する濾過機とを具備することを特徴とするクーラント再生装置が提供される(請求項1)。
このような廃クーラントを収容して加熱する前処理槽と、廃クーラントにアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液供給手段と、アルカリ溶液が添加されて前処理槽で加熱された廃クーラントを濾過する濾過機とを具備するクーラント再生装置であれば、廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントにアルカリ溶液供給手段でアルカリ溶液を添加し、また前処理槽で加熱を行った後に、その廃クーラントを濾過機で濾過できる装置とすることができる。このようにアルカリ溶液が添加されて加熱された廃クーラントを濾過機で濾過できる装置であれば、廃クーラント中に存在するSi微粒子等の細かい切粉を溶解するとともに廃クーラントの粘度を低下させることが可能となるため、廃クーラントを濾過する際に濾過機のフィルターが目詰まりするのを防止でき、廃クーラント中の固形分を容易に除去して再生クーラントを得ることができる。したがって、従来のように蒸留装置等の高価な設備を用いなくても、廃クーラントの再生を容易にかつ安定して行うことが可能となる。
このとき、前記アルカリ溶液供給手段は、前記前処理槽に収容されている廃クーラントにアルカリ溶液を添加するものであり、前記前処理槽は、廃クーラントを攪拌する攪拌手段を具備するものであることが好ましい(請求項2)。
このように、アルカリ溶液供給手段が前処理槽に収容されている廃クーラントにアルカリ溶液を添加するものであり、また前処理槽が廃クーラントを攪拌する攪拌手段を具備するものであれば、廃クーラントを前処理槽に収容した際にアルカリ溶液を添加するとともに、前処理槽で攪拌しながら加熱できる装置となるので、廃クーラントの再生を非常に効率的に行うことが可能となる。
さらにこの場合、前記クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いて加工するワークが、シリコンインゴットであることが好ましい(請求項3)。
本発明の再生装置は、このようにクーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてシリコンインゴットにスライス加工等の加工を施すことによって排出される廃クーラントを再生する際に特に好適に使用することができ、それにより、従来では高価な設備が必要とされた廃クーラントの再生を安価にかつ安定して行うことが可能となる。
また、本発明によれば、クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する廃スラリー再生システムであって、少なくとも、前記廃スラリーから分離クーラント及び分離砥粒を分離して回収するスラリー再生装置と、該スラリー再生装置で回収された分離クーラントから排出される廃クーラントを再生クーラントに再生するクーラント再生装置と、前記分離クーラント、分離砥粒、再生クーラント、及び未使用の新砥粒から再生スラリーを調整する再生スラリー調整装置とを具備し、前記クーラント再生装置が請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のクーラント再生装置であることを特徴とする廃スラリー再生システムを提供することができる(請求項4)。
このような前記本発明のクーラント再生装置を具備する廃スラリー再生システムであれば、前記のように廃クーラントの再生を安価にかつ安定して行うことができるため、廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収することができるものとなる。それにより、廃スラリーの再生処理におけるランニングコストを低減するとともに、スラリーに混合するクーラントのコスト削減を図ることができるため、ワークの製造コストを大幅に低減することが可能となる。さらに、本発明は、廃スラリーの再生の際に排出される産業廃棄物を低減し、かつ二酸化炭素の排出も抑制できるため、環境的にも非常に好ましい廃スラリー再生システムとなる。
この場合、前記再生する廃スラリーが、ワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットをスライスするスライス加工に使用されたものであることが好ましい(請求項5)。
本発明の廃スラリー再生システムは、ワイヤソーによるシリコンインゴットのスライス加工に使用された廃スラリーを再生する際に非常に好適に用いることができる。それにより、廃スラリーから排出される廃クーラントに、ワイヤソーのスライス加工で生じるシリコンインゴットの切粉や微細な砥粒が混入していても、廃クーラントの濾過を容易にかつ安定して行って再生クーラントを回収できるものとなるため、廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収し、再生スラリーを高い収率で安定して調整することが可能となる。
また、本発明によれば、クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、該廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生する廃クーラントの再生方法であって、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加して加熱を行った後、該加熱した廃クーラントを濾過することにより廃クーラントの再生を行うことを特徴とする廃クーラントの再生方法が提供される(請求項6)。
このような本発明の廃クーラントの再生方法によれば、廃クーラントにアルカリ溶液を添加して加熱を行うことにより、ワークの加工で生じた廃クーラント中に存在する微細な切粉を溶解し、かつその他の固形分を凝集させるとともに、廃クーラントの粘度を下げることができ、そしてその後、その廃クーラントを濾過することによって、フィルターが目詰まりせずに廃クーラントから微細な砥粒等の固形分を除去して再生クーラント回収することができる。したがって、従来のように蒸留装置等の高価な設備を用いなくても、廃クーラントの再生を低コストでかつ安定して行うことができる。
このとき、前記廃クーラントにアルカリ溶液を0.1質量%以上10質量%以下添加することが好ましい(請求項7)。
本発明において廃クーラントにアルカリ溶液を添加する際に、アルカリ溶液の添加量を0.1質量%以上10質量%以下、特に1質量%以上8質量%以下とすることにより、廃クーラントを濾過する際の濾過性を著しく向上させることできるため、濾過機で廃クーラントから回収される再生クーラントの回収率を一層高めることができる。
また、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加する際に、該廃クーラントのpHが6〜7となるようにすることが好ましい(請求項8)。
廃クーラントにアルカリ溶液を添加する際に、上記のように微細な切粉の溶解及び固形分の凝集を行うだけではなく、同時に廃クーラントのpHが6〜7となるようにすることにより、再生クーラントを回収した後再生スラリーを調整する際に、pHの調整を行わずに容易に再生スラリーを作製することができるため、再生処理の効率化を図ることができる。
さらに、前記廃クーラントを攪拌しながら、アルカリ溶液を添加して加熱することが好ましい(請求項9)。
このように廃クーラントを攪拌しながら、アルカリ溶液を添加して加熱することにより、廃クーラント中の微細な切粉の溶解及び固形分の凝集を効率的に行うとともに、それらの反応を一層促進することができるため、廃クーラントをより効率的に再生することができる。
またこの場合、前記廃クーラントを50℃以上100℃以下に加熱することが好ましい(請求項10)。
廃クーラントを50℃以上に加熱することにより、微細な切粉の溶解及び固形分の凝集の反応を著しく促進させるとともに、廃クーラントの粘度も大きく低下させることができるため、廃クーラントを濾過する際の濾過性が大幅に向上し、再生クーラントの回収を非常に安定して行うことができる。一方、廃クーラントを100℃を超えて加熱すると、廃クーラント中の水分が蒸発したり、クーラント成分の高分子が分解あるいは酸化してクーラント成分の組成が変化する恐れがあるので、廃クーラントの加熱温度は100℃以下にすることが好ましい。
さらに、前記廃クーラントを加熱して30分以上保持することが好ましい(請求項11)。
このように廃クーラントを加熱して30分以上保持することにより、微細な切粉の溶解及び固形分の凝集の反応を確実に生じさせることができるので、再生クーラントの回収を非常に安定して行うことができる。
また、本発明の廃クーラントの再生方法では、前記クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いて加工するワークを、シリコンインゴットとすることが好ましい(請求項12)。
本発明は、このようにクーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてシリコンインゴットにスライス加工等の加工を施した際に排出される廃クーラントを再生する場合に特に好適に適用することができ、それにより、従来では高価な設備が必要とされた廃クーラントの再生を安価にかつ安定して行うことが可能となる。
さらに、本発明によれば、クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する廃スラリーの再生方法であって、前記廃スラリーをスラリー再生装置で分離して分離クーラント及び分離砥粒を回収し、該スラリー再生装置で回収された分離クーラントから排出される廃クーラントを、前述の本発明の廃クーラントの再生方法を用いて再生した後、前記分離クーラント、分離砥粒、再生クーラント、及び未使用の新砥粒から再生スラリーを調整することによって廃スラリーの再生を行うことを特徴とする廃スラリーの再生方法を提供することができる(請求項13)。
このように前記本発明の廃クーラントの再生方法を利用して廃スラリーの再生を行う廃スラリーの再生方法であれば、スラリー再生装置で廃スラリーを分離して分離クーラント及び分離砥粒を回収した後、分離クーラントから排出される廃クーラントを本発明の廃クーラントの再生方法により蒸留装置等の高価な設備を用いずに安価に安定して再生クーラントとして再生することができるので、廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収することができる。そしてその後、廃スラリーから得られた分離砥粒、分離クーラント、再生クーラントを用い、さらに未使用の新砥粒を補充することにより、再生スラリーを安価に安定して調整することができる。このようにして廃スラリーを再生して再生スラリーを調整することにより、蒸留装置等の高価な設備を用いずに廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収することができるため、再生処理におけるランニングコストを低減するとともに、スラリーに混合するクーラントのコスト削減を図ることができるため、ワークの製造コストを大幅に低減することが可能となる。さらに、本発明によれば、廃スラリーの再生の際に排出される産業廃棄物を低減し、かつ二酸化炭素の排出も抑制できるため、環境にも優しい廃スラリーの再生を行うことができる。
このとき、前記再生する廃スラリーを、ワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットをスライスするスライス加工に使用されたものとすることが好ましい(請求項14)。
本発明の廃スラリーの再生方法は、ワイヤソーによるシリコンインゴットのスライス加工に使用された廃スラリーを再生する際に非常に好適に用いることができる。それにより、廃スラリーから排出される廃クーラントに、ワイヤソーのスライス加工で発生するシリコンインゴットの切粉や微細な砥粒が混入していても、廃クーラントの濾過を容易にかつ安定して行って再生クーラントを回収できるため、廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収し、再生スラリーを高い収率で安定して調整することができる。
本発明によれば、廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを、従来のような蒸留装置等の高価な設備を用いずに、容易に安定して再生利用することができる。それにより、廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で安価にかつ安定して回収することができるため、再生処理におけるランニングコストを低減するとともに、スラリーに混合するクーラントのコスト削減を図ることができるため、ワークの製造コストを大幅に低減することが可能となるし、さらに、廃スラリーの再生の際に排出される産業廃棄物を低減し、かつ二酸化炭素の排出も抑制できるため、環境にも優しい廃スラリーの再生を行うことができる。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、例えばワイヤソーによりシリコンインゴットをスライス加工したときに生じる廃スラリーを再生する際に、廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを、例えば前記特許文献1に記載されているような蒸留法を利用する高額な設備を用いずに、安価に安定して再生することのできる再生装置及び再生方法について鋭意実験及び研究を重ねた。その結果、廃スラリーから分離・排出される廃クーラントは、例えばシリコンインゴットをスライス加工した際に発生した平均粒径が1.1μm程度の微細なSi切粉や砥粒を含有していて粘度が非常に高いために、濾過によって固形分の除去ができず、再生クーラントの回収を困難にしていることがわかった。
そこで、本発明者等は、廃クーラントの粘度を低下させて廃クーラントを濾過する際の濾過性を向上させることができれば、蒸留等を行う高価な装置を用いなくても、安価な濾過機を用いて再生クーラントを容易にかつ安定して回収することが可能であると考え、さらに実験及び検討を重ねた結果、廃スラリーから排出される廃クーラントにアルカリ溶液を添加するとともに加熱を行うことによって、廃クーラント中の固形分を濾過により容易に除去して再生クーラントを安定して回収できることを見出し、本発明を完成させた。
先ず、本発明に係るクーラント再生装置について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。図1は、本発明のクーラント再生装置の一例を示す概略構成図である。
本発明のクーラント再生装置1は、クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、その廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生するクーラント再生装置であって、図1に示したように、廃クーラントを収容して加熱する前処理槽2と、廃クーラントにアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液供給手段3と、アルカリ溶液が添加されて前処理槽2で加熱された廃クーラントを濾過する濾過機4とを具備するものである。
このクーラント再生装置1において、前処理槽2は、廃クーラントを収容する本体部5と、この本体部5に収容された廃クーラントを加熱するヒーター6とからなるものであり、さらに本体部5の内部には収容した廃クーラントを攪拌する攪拌手段7が設置されている。また、前処理槽2の上方には廃クーラント中の微細なシリコン切粉とアルカリ溶液の反応によって発生する水素ガスを排気するための排気ダクト8が設けられている。
また、アルカリ溶液供給手段3は、アルカリ溶液を貯蔵するアルカリ溶液貯蔵タンク9と、この貯蔵タンク9から前処理槽2にアルカリ溶液を供給するアルカリ溶液供給ポンプ10からなり、供給ポンプ10でアルカリ溶液の流量を調節することにより前処理槽2内の廃クーラントに添加するアルカリ溶液の量を制御することができるようになっている。
上記濾過機4は、アルカリ溶液が添加されて前処理槽で加熱された廃クーラントを濾過して固形物を除去できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば図1に示すような一般的に使用されている脱水濾過機を用いることができる。この濾過機4は、ポンプ11によって前処理槽2から廃クーラントを吸引して濾過処理室12に供給し、濾過処理室12内に供給された廃クーラントをフィルター13で濾過して固形分を除去した後、その固形分の除去されたクーラント(再生クーラント)を再生クーラントタンク14に貯蔵し、一方フィルター13で除去した固形分を排出タンク15に排出するものである。また、濾過機4では、前処理槽2で加熱したアルカリ溶液の温度を維持するために、例えば、廃クーラントを濾過処理室12に搬送する配管に保温処理を施したり、また配管に銅管を巻き付けて蒸気加熱することもできる。
さらに、本発明のクーラント再生装置1は、例えばスラリー再生装置16で廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを収容する廃クーラントタンク17を具備しており、この廃クーラントタンク17に収容された廃クーラントをポンプ18を用いて前処理槽2に供給できるようになっている。
次に、上記のような本発明のクーラント再生装置を用いて、廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生する廃クーラントの再生方法について説明する。
本発明の廃クーラントの再生方法は、上記クーラント再生装置1を用いて、廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントにアルカリ溶液を添加して加熱を行った後、この加熱した廃クーラントを濾過することによって廃クーラントの再生を行うものである。
以下、図1を参照しながら本発明の廃クーラントの再生方法についてより具体的に説明する。
先ず、例えばクーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてシリコンインゴット等のワークにスライス加工を行うと廃スラリーが生じ、この廃スラリーはスラリー再生装置16で遠心分離等を施すことによって、分離クーラントと分離砥粒とがそれぞれ回収され、さらに、その得られた分離クーラントから廃クーラントが排出される(図5参照)。
本発明では、このスラリー再生装置16で分離された分離クーラントから排出される廃クーラントを一旦廃クーラントタンク17に収容し、一定量の廃クーラントが溜まったら、ポンプ18を用いて前処理槽2の本体部5に廃クーラントを所定量供給する。このとき、前処理槽2に例えば重量計が設置されていれば、本体部に供給された廃クーラントの量を正確に把握することができ、また液面警報器が設置されていれば、前処理槽2に廃クーラントが所定量供給されたときに廃クーラントの供給をポンプ18で容易に停止できるため、前処理槽2から廃クーラントが溢れ出るといった被害を確実に防止することができる。
前処理槽2の本体部5に所定量の廃クーラントが供給されたら、次に、廃クーラントを濾過する前の前処理として、アルカリ溶液供給手段3を用いてアルカリ溶液を廃クーラントに添加するとともに、前処理槽2のヒーター6で廃クーラントの加熱を行う。
本発明において、廃クーラントに添加するアルカリ溶液としては、NaOH、KOH、NaHCO、Ca(OH)、またはそれらの混合物等を必要に応じて適宜選択して用いることができ、また使用するアルカリ溶液の濃度についても特に限定されるものではない。このようなアルカリ溶液を廃クーラントに添加することにより、シリコンインゴットをスライス加工した際に発生した廃クーラント中の微細なSi切粉を溶解すると同時に、廃クーラント中に含まれているその他の固形分を凝集させることができる。また、このアルカリ溶液が添加された廃クーラントをヒーター6で加熱することにより、Si切粉の溶解及びその他固形分の凝集の反応を促進するとともに、廃クーラントの粘度を下げて廃クーラントの濾過性を向上させることができる。この場合、廃クーラント中の微細なシリコン切粉とアルカリ溶液との反応により水素ガスが発生するが、この水素ガスは排気ダクト8から排気することができる。
このとき、アルカリ溶液供給手段3でアルカリ溶液を廃クーラントに0.1質量%以上、特に1質量%以上添加することが好ましく、それにより、上述のような微細なSi切粉を溶解し、かつその他の固形分を凝集させる反応を確実に生じさせることができる。ここで、アルカリ溶液としてKOHを添加したときの廃クーラント中の固形分とKOHを添加してない廃クーラント中の固形分とを光学顕微鏡で観察した観察結果を図2に示す。図2に示したように、KOHを添加してない廃クーラントでは、非常に微細な固形分が大量に観察されるが、アルカリ溶液を添加することにより固形分の凝集が生じ、アルカリ溶液の添加量を増加させる程、固形分の凝集を促進できることがわかる。一方、廃クーラントにアルカリ溶液を添加し過ぎると、その後濾過機で廃クーラントを濾過した際に除去される固形分の体積が増え、その中に含まれて排出される廃クーラント量が多くなり再生クーラントの回収率を低下させる恐れがあるので、廃クーラントに添加するアルカリ溶液の量は、10質量%以下、特に8質量%以下にすることが好ましい。さらに、本発明では、アルカリ溶液の添加量は、廃クーラント中に含まれる固形分の分量に応じて適宜設定することができ、それにより、廃クーラントを濾過した際の再生クーラントの回収率を一層向上させることができる。
この場合、最終的に得られる再生クーラントのpHが6〜7となるようにするため、アルカリ溶液の添加を廃クーラントのpHが6〜7となるように行うことが好ましい。通常、シリコンインゴットをスライス加工するときにはpHが7程度の中性のスラリーが供給されるが、スライス加工で使用された廃スラリーから分離・排出される廃クーラントはpHが5程度の弱酸性を示す。したがって、廃クーラントから再生クーラントを回収して再生スラリーを調整する場合にはpHの調整を行う必要があるが、上記のように廃クーラントにアルカリ溶液を添加する際に、微細な切粉の溶解及び固形分の凝集を行うだけではなく、廃クーラントのpHが6〜7となるようにpHの調整も同時に行うことにより、濾過機で再生クーラントを回収した後、再生スラリーを調整する際に改めてpHの調整を行う必要がなく、再生スラリーを容易にかつ効率的に作製することができる。
また、前処理槽2で廃クーラントの加熱を行う際には、廃クーラントを50℃以上100℃以下に加熱することが好ましい。図3に、本発明者等の実験により得られた廃クーラントの温度と粘度との関係を示す。図3に示したように、廃クーラントは、温度が高くなるにつれて粘度が低下し、特に廃クーラントの温度が50℃以上になると、粘度は30mPa・s以下と非常に低い値を示すことがわかる。このように廃クーラントを50℃以上に加熱して粘度を小さくすることによって、その後廃クーラントを濾過する際の廃クーラントの濾過性を著しく向上させることができる。一方、廃クーラントを100℃よりも高い温度に加熱してしまうと、廃クーラント中の水分が蒸発したり、クーラント成分の高分子が分解あるいは酸化してクーラント成分の組成が変化する恐れがある。
さらに、上記のようにして前処理槽2で廃クーラントの加熱を行う際には、廃クーラントを所定の温度まで加熱してから30分以上保持することが好ましい。このように廃クーラントを加熱して30分以上の間保持すれば、微細な切粉の溶解及び固形分の凝集を確実に生じさせることができるので、廃クーラントの濾過性を一層向上させることができる。
このとき、前処理槽2の本体部5に収容されている廃クーラントを攪拌手段7で攪拌しながら、アルカリ溶液を添加してヒーター6で廃クーラントの加熱を行えば、微細な切粉の溶解及び固形分の凝集を促進して、これらの反応を非常に効率的に行うことができる。
その後、上記のようにアルカリ溶液が添加されて加熱された廃クーラントは、濾過機4のポンプ11で濾過処理室12に搬送され、この濾過処理室12内で廃クーラントをエアーで加圧することによりフィルター13で廃クーラントの濾過を行うことができる。この濾過処理室12に供給された廃クーラントは、前記のようにアルカリ溶液の添加の効果により微細なSi切粉は溶解しているとともにその他の固形分は凝集しており、さらに加熱の効果により廃クーラントの粘度も低下している。そのため、前処理槽2で前処理の行われた廃クーラントをフィルター13で濾過しても、フィルター13が目詰まりするのを防止でき、さらに濾過時間を短縮することもできるので、廃クーラントの濾過を容易にかつ効率的に行って、固形分の除去された再生クーラントを得ることができる。
そして、フィルター13で濾過された再生クーラントは、濾過処理室12の下部から再生クーラントタンク14に集められて回収することができ、一方、フィルター13で除去された固形分は、フィルター13を巻き取りローラー19で回転させることによって排出タンク15に排出することができる。
尚、濾過機4で廃クーラントを濾過する際、濾過機4の耐熱温度等により必要に応じて廃スラリーを例えば70〜80℃程度に調節(冷却)してからフィルターで濾過を行うことができる。また、ポンプ11で廃クーラントの供給量を制御することにより、例えば濾過処理室12に廃クーラントを数リッターずつのバッチ方式で自動供給して、連続的に廃クーラントの濾過を行うことも可能である。また、このように廃クーラントをバッチ方式で濾過機4に自動供給する場合、前処理槽2に廃クーラントが残存している間は、廃クーラントの攪拌を続けると共に廃クーラントを所定の温度に維持しておくことが好ましい。
以上のようにして廃スラリーから分離・排出された廃クーラントの再生を行えば、廃クーラントを濾過する前にアルカリ溶液の添加及び廃クーラントの加熱といった前処理を行うことにより廃クーラントの濾過性を向上させることができるため、従来の蒸留装置等のようなコストへの負担が大きい設備を用いなくても、廃クーラントの再生を容易にかつ安定して行うことができる。さらに、このようにして廃クーラントの前処理を行うことにより、濾過機のフィルターの寿命を延長させることも可能となる。
特に、本発明は、ワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットにスライス加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、その廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生する場合に特に好適に適用することができ、微細なSi切粉や砥粒を含有した粘度の高い廃クーラントを低コストで安定して再生することができる。尚、スラリーを構成するクーラントには、水溶性と油性とがあるが、本発明は、主に水溶性クーラントを再生する場合に適用されるものである。
次に、本発明に係るクーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する廃スラリー再生システム及び廃スラリーの再生方法について図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の廃スラリー再生システムの概略的な構成を示す構成概略図である。
図4に示した本発明の廃スラリー再生システムは、例えばワイヤソーによるシリコンインゴットのスライス加工で生じた廃スラリーを分離して分離クーラント及び分離砥粒を回収するスラリー再生装置21と、そのスラリー再生装置で回収された分離クーラントから排出される廃クーラントを再生クーラントに再生するクーラント再生装置22と、上記で得られた分離クーラント、分離砥粒、再生クーラント、さらに未使用の新砥粒から再生スラリーを調整する再生スラリー調整装置23とを具備し、クーラント再生装置22として、図1に示した前記本発明のクーラント再生装置1を用いるものである。
そして、本発明は、この図4に示した廃スラリー再生システムを用いて廃スラリーを再生する再生方法を提供することができる。以下、本発明の廃スラリーの再生方法について図4を参照しながら具体的に説明する。
本発明の廃スラリーの再生方法では、例えばクーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行った際に、特にワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットにスライス加工を行った際に生じる廃スラリーを再生することができる。一般的に、シリコンインゴットのスライス加工で生じた廃スラリーには、液状物として分散剤となるクーラント(例えばポリエチレングリコール)及び水が含まれており、また固形分としてシリコン、鉄及び微量の炭化珪素(砥粒)が含まれている。
このようなシリコンインゴットのスライス加工で生じた廃スラリーは、図4に示したようにスラリー再生装置21に運ばれ、例えばスラリー再生装置21で先ず1000G程度の1次遠心分離を行うことにより所定の粒度(例えば平均粒径が5〜10μm程度)を有する分離砥粒を回収し、次に3000G程度の2次遠心分離を行うことにより固形分の含有が少ない分離クーラントを回収することができる。
そして、この2次遠心分離によって回収された分離クーラントの一部は(例えば、回収された分離クーラントの15%程度)、分離砥粒と共に再生スラリー調整装置23に投入され、また分離クーラントの残りの部分は(例えば、回収された分離クーラントの85%程度)、廃クーラントとしてクーラント再生装置22に搬送されて、前記で説明した本発明の廃クーラントの再生方法により固形分を除去して再生クーラントとして再生される。尚、このとき、分離クーラントから再生スラリー調整装置23に投入される分量と、廃クーラントとして再生スラリー調整装置23に投入される分量との割合は特に限定されるものではなく、例えば、スラリー再生装置21で分離された分離クーラントを全て廃クーラントとしてクーラント再生装置22に投入し、再生クーラントに再生することもできる。
一方、スラリー再生装置21で分離砥粒及び分離クーラントが分離された廃スラリーの残部は、スライス工程で発生する比較的粒度の大きい切粉(シリコン切粉)や分離砥粒として回収されなかった砥粒を含む廃スラジとして排出される。そして、このスラリー再生装置21から排出された廃スラジや、またクーラント再生装置22で廃クーラントから除去された固形分は、その後産業廃棄物として廃棄される。
また、上記のようにしてクーラント再生装置22で再生された再生クーラントは、その後再生スラリー調整装置23に投入される。そして、この再生スラリー調整装置23では、投入された分離クーラント、分離砥粒、再生クーラントに未使用の新砥粒を補充して、それらを所定の割合で混合することにより、所望の品質を有する再生スラリーを調整することができる。このようにして再生スラリー調整装置23で調整された再生スラリーは、再びシリコンインゴットのスライス加工に供給して用いることができる。
尚、図4では、スラリー再生装置21と再生スラリー調整装置23とは、それぞれ別々に表されているが、本発明はこれに限定されず、例えばこれらのスラリー再生装置と再生スラリー調整装置とを一体のものとすることができる。
以上のようにして、ワークの加工によって生じた廃スラリーを再生することにより、蒸留装置等の高価な設備を用いずに廃スラリー中のクーラント成分を高い回収率で回収することができるため、再生処理におけるランニングコストを低減するとともに、スラリーに混合するクーラントのコスト削減を図ることができるため、ワークの製造コストを大幅に低減することが可能となる。さらに、本発明によれば、廃スラリーの再生の際に排出される産業廃棄物を従来よりも低減でき、かつ二酸化炭素の排出も抑制できるため、環境にも優しい廃スラリーの再生を行うことができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
先ず、新しいクーラントに未使用の新砥粒を分散させて新スラリーを作製した後、直径0.14mmのワイヤを使用したワイヤソーにより、新スラリーを供給しながらFZ法により育成した方位<100>のシリコン単結晶インゴットをスライスするスライス加工を行った。このとき、スライス加工に供給される前の新スラリーの比重及び粘度を測定したところ、比重は1.608、粘度は160mPa・sであった。
新スラリーを供給しながらシリコン単結晶インゴットのスライス加工を行った後、スライス加工で生じた廃スラリーを回収し、図4に示した廃スラリー再生システムを用いて廃スラリーの再生を行った。
先ず、スライス加工で生じた廃スラリーをスラリー再生装置21に搬送して1次遠心分離及び2次遠心分離を行うことによって分離砥粒及び分離クーラントを回収し、その回収した分離クーラントから廃クーラントを排出した後、その排出した廃クーラントをクーラント再生装置22に搬送して再生クーラントに再生した。尚、このとき行った廃クーラントの再生では、廃クーラントに添加するアルカリ溶液として5%KOH水溶液を用い、廃クーラントに5質量%の割合で添加した。そして、得られた分離砥粒、分離クーラント、及び再生クーラントを再生スラリー調整装置23に投入し、さらに未使用の新砥粒を補充して再生スラリー(再生クーラントを使った再生スラリー)を調整した。
また、比較のために、図5に示すように、スライス加工で生じた廃スラリーをスラリー再生装置31に搬送して分離砥粒及び分離クーラントを回収した後、回収した分離砥粒と分離クーラントの一部(分離クーラントから廃クーラントが排出されたもの)とを再生スラリー調整装置32に投入し、さらに未使用の新砥粒及び新クーラントを補充して再生スラリー(新クーラントを使った再生スラリー)を調整した。
そして、上記で調整した再生クーラントを使った再生スラリー、及び新クーラントを使った再生スラリーの比重及び粘度を測定したところ、新クーラントを使った再生スラリーの比重は1.616、粘度は175mPa・sであり、また再生クーラントを使った再生スラリーの比重は1.613、粘度は170mPa・sであることがわかった。以下の表1に、新スラリー、新クーラントを使った再生スラリー、及び再生クーラントを使った再生スラリーで測定した比重及び粘度の測定結果をまとめて示す。
Figure 2005349507
次に、FZ法により方位<111>のシリコン単結晶インゴットを2本育成した後、一方のシリコン単結晶インゴットは、ワイヤソーを用いて上記で作製した新スラリーを供給しながらスライス加工を行い、もう一方のシリコン単結晶インゴットはワイヤソーを用いて上記で調整した再生クーラントを使った再生スラリーを供給しながらスライス加工を行った。
その後、スライス加工によって得られたそれぞれのシリコンウエーハについて、ウエーハ中心部の厚さ、TV5、うねり、表面粗さ、加工歪の項目について評価を行った。尚、TV5とは、ウエーハの厚さのバラツキを意味しており、ウエーハ面内の中心点及びウエーハ外周部の4点でウエーハの厚さを測定するウエーハ面内5点測定を行い、その(最大値)−(最小値)の大きさで評価されるものである。また、ウエーハの加工歪については、アングルポリッシュによる測定を行うことにより評価した。これらの5項目について、異なるスラリーでスライス加工した2種類のウエーハを相対的に評価した評価結果を図6〜図10に示す。
さらに、上記新スラリー及び再生スラリーを用いてスライス加工したそれぞれのシリコンウエーハに、面取り、ラッピング、エッチングを順次行った後、得られたウエーハのそりを測定した。その測定結果を図11に相対的に示す。
図6〜図10に示したように、再生クーラントを使った再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハは、ウエーハ中心部の厚さ、TV5、うねり、表面粗さ、加工歪の項目についてほぼ同じような品質を示すものであることが確認された。また、再生スラリーで加工されたウエーハの外観検査を行ったところ、ウエーハの割れは観察されず、スライス不良が発生してないことも確認された。
さらに、図11に示したように、エッチングを行ったウエーハのそりを測定した結果、新スラリーでスライス加工したウエーハよりも、再生クーラントを使った再生スラリーで加工したウエーハの方がそりが小さく、また測定値のバラツキも少ないことから、品質の優れているウエーハであることが確認された。
以上の結果から、廃クーラントを再生した再生クーラントを用いて再生スラリーを作製しても、新スラリーと同等以上の性能を有するスラリーが得られることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記では主にワイヤソーによるスライス加工で生じた廃スラリーを再生する場合を例に挙げて説明を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばウエーハに研削や研磨を行った際に生じる廃スラリーを再生する場合にも同様に適用することができる。
本発明のクーラント再生装置の一例を示す概略構成図である。 アルカリ溶液を添加した廃クーラント中の固形分とアルカリ溶液を添加してない廃クーラント中の固形分を光学顕微鏡で観察した観察結果の写しを示した図である。 廃クーラントの温度と粘度との関係を示すグラフである。 本発明の廃スラリー再生システムを概略的に説明する概略説明図である。 従来の廃スラリーを再生するシステムを概略的に説明する概略説明図である。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハのウエーハ中心部の厚さについて相対的に評価した結果を示すグラフである。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハのTV5について相対的に評価した結果を示すグラフである。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハのうねりについて相対的に評価した結果を示すグラフである。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハの表面粗さについて相対的に評価した結果を示すグラフである。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハの加工歪について相対的に評価した結果を示すグラフである。 再生スラリー及び新スラリーを用いてスライス加工されたウエーハにエッチングを行った後のウエーハのそりについて相対的に評価した結果を示すグラフである。
符号の説明
1…クーラント再生装置、 2…前処理槽、 3…アルカリ溶液供給手段、
4…濾過機、 5…本体部、 6…ヒーター、 7…攪拌手段、
8…排気ダクト、 9…アルカリ溶液貯蔵タンク、 10…アルカリ溶液供給ポンプ、
11…ポンプ、 12…濾過処理室、 13…フィルター、
14…再生クーラントタンク、 15…排出タンク、 16…スラリー再生装置、
17…廃クーラントタンク、 18…ポンプ、 19…巻き取りローラー、
21…スラリー再生装置、 22…クーラント再生装置、
23…再生スラリー調整装置、
31…スラリー再生装置、 32…再生スラリー調整装置。

Claims (14)

  1. クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、該廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生するクーラント再生装置であって、少なくとも、前記廃クーラントを収容して加熱する前処理槽と、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液供給手段と、前記アルカリ溶液が添加されて前記前処理槽で加熱された廃クーラントを濾過する濾過機とを具備することを特徴とするクーラント再生装置。
  2. 前記アルカリ溶液供給手段は、前記前処理槽に収容されている廃クーラントにアルカリ溶液を添加するものであり、前記前処理槽は、廃クーラントを攪拌する攪拌手段を具備するものであることを特徴とする請求項1に記載のクーラント再生装置。
  3. 前記クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いて加工するワークが、シリコンインゴットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクーラント再生装置。
  4. クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する廃スラリー再生システムであって、少なくとも、前記廃スラリーから分離クーラント及び分離砥粒を分離して回収するスラリー再生装置と、該スラリー再生装置で回収された分離クーラントから排出される廃クーラントを再生クーラントに再生するクーラント再生装置と、前記分離クーラント、分離砥粒、再生クーラント、及び未使用の新砥粒から再生スラリーを調整する再生スラリー調整装置とを具備し、前記クーラント再生装置が請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のクーラント再生装置であることを特徴とする廃スラリー再生システム。
  5. 前記再生する廃スラリーが、ワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットをスライスするスライス加工に使用されたものであることを特徴とする請求項4に記載の廃スラリー再生システム。
  6. クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する際に、該廃スラリーから分離されて排出される廃クーラントを再生する廃クーラントの再生方法であって、前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加して加熱を行った後、該加熱した廃クーラントを濾過することにより廃クーラントの再生を行うことを特徴とする廃クーラントの再生方法。
  7. 前記廃クーラントにアルカリ溶液を0.1質量%以上10質量%以下添加することを特徴とする請求項6に記載の廃クーラントの再生方法。
  8. 前記廃クーラントにアルカリ溶液を添加する際に、該廃クーラントのpHが6〜7となるようにすることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の廃クーラントの再生方法。
  9. 前記廃クーラントを攪拌しながら、アルカリ溶液を添加して加熱することを特徴とする請求項6ないし請求項8の何れか一項に記載の廃クーラントの再生方法。
  10. 前記廃クーラントを50℃以上100℃以下に加熱することを特徴とする請求項6ないし請求項9の何れか一項に記載の廃クーラントの再生方法。
  11. 前記廃クーラントを加熱して30分以上保持することを特徴とする請求項6ないし請求項10の何れか一項に記載の廃クーラントの再生方法。
  12. 前記クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いて加工するワークを、シリコンインゴットとすることを特徴とする請求項6ないし請求項11の何れか一項に記載の廃クーラントの再生方法。
  13. クーラントに砥粒を分散させたスラリーを用いてワークに加工を行ったときに生じる廃スラリーを再生する廃スラリーの再生方法であって、前記廃スラリーをスラリー再生装置で分離して分離クーラント及び分離砥粒を回収し、該スラリー再生装置で回収された分離クーラントから排出される廃クーラントを、請求項6ないし請求項12の何れか一項に記載の廃クーラントの再生方法を用いて再生した後、前記分離クーラント、分離砥粒、再生クーラント、及び未使用の新砥粒から再生スラリーを調整することによって廃スラリーの再生を行うことを特徴とする廃スラリーの再生方法。
  14. 前記再生する廃スラリーを、ワイヤソーを用いてスラリーを供給しながらシリコンインゴットをスライスするスライス加工に使用されたものとすることを特徴とする請求項13に記載の廃スラリーの再生方法。
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