JP5173945B2 - クーラント再生方法およびスラリー再生方法 - Google Patents

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Description

本発明はクーラント再生方法およびスラリー再生方法に関する。詳しくは太陽電池用単結晶シリコン、太陽電池用多結晶シリコン、半導体集積回路用単結晶シリコンなどのシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーからクーラントを再生するクーラント再生方法と、それを用いたスラリー再生方法に関する。
太陽電池や半導体集積回路(ICチップ)用として広く用いられるシリコン単結晶または多結晶からなる薄板(以下、シリコンウェハ)の製造工程において、切断装置としてワイヤソーが広く使用されている。ワイヤソーのうち、一度に多数枚(例えば、100枚以上)の切断を行うように構成されたワイヤソーを、特にマルチワイヤソー(以下、MWSと表記)と呼ぶ場合がある。
すなわちMWSとは、複数のローラ間に螺旋状に巻回されたワイヤにワーク(本発明においてはシリコンインゴット)を押圧し、ワークとワイヤとの接触部にスラリーを供給しながらワイヤを移動させることによってワークを薄板状に切断する装置である。
また、ここで用いるスラリーとは、鉱油をベースとした油性クーラントまたは水を用いた水溶性クーラントに対し、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどからなる砥粒を混合したものである。
よって、ワイヤソーによる切断においては、切断が進むに従いワークの切屑がスラリー中に増加し、切断性能が低下する。一般に、スラリー中の切屑含有量が一定値に達すると、そのスラリーは使用済みスラリーとして排出される。
排出された使用済みスラリーは、燃焼処理(油性クーラントの場合)や濃縮処理(水性クーラントの場合)を経て、産業廃棄物として廃棄(埋め立て処分など)されるのが一般的である。このような産業廃棄物の処理は、燃焼や濃縮のためのコストやエネルギー消費による製品コスト(本発明においてはシリコンウェハ、そこから生産される太陽電池やICの価格)の増加原因であると共に、燃焼や埋め立てによる環境問題の一因となっている。
そこで従来、使用済みスラリーから砥粒やクーラントを再生する方法、されにはそれらを用いたスラリー再生方法が提案されてきた。
例えば、特開平11−156719号公報(特許文献1)には、ワイヤソーに用いた使用済みスラリーを第1の遠心分離機に導いて、回収砥粒と微細な切削屑及び破砕砥粒を含有する微粒混合液体とに分離し、続いて微粒混合液体を高密度電場内に通すことにより微粒混合液体中の微粒固体の粒径を増大させた後、第2の遠心分離機に導いて増径微粒固体と回収切削液体とに分離し、第1の遠心分離機により分離した回収砥粒と第2の遠心分離機により分離した回収切削液体を混合して再使用するスラリー再生方法が開示されている。
また、特開2000−190223号公報(特許文献2)には、使用済みスラリー中の砥粒の凝集粒子を破砕する破砕工程を備えたスラリー再生方法が開示されている。
また、本発明者らは特開2003−340719号公報(特許文献3)において、高密度電場や破砕工程といった特別な装置や方法を用いずとも、1回以上の遠心分離および/または蒸留工程を行うことにより、スラリー再生が可能であることを開示している。
特開平11−156719号公報 特開2000−190223号公報 特開2003−340719号公報
ところで、本発明者らは、水溶性クーラントを用いたスラリーを従来の方法を用いて再生すると、再生スラリーの粘度が増加する傾向があることを見出した。
但し、現行のシリコンウェハ製造時において再生スラリーがゲル化に至ることはなく、特許文献3による再生スラリーを用いたMWS自体に問題が起きるわけではない。なぜなら、一例として125W×125D×400Lのシリコンウェハを1度に4本切断し、厚さ180μm〜300μm程度のシリコンウェハを製造できるMWSを考えた場合、このレベルのMWSには通常200L程度のスラリータンクが備えられているので、1回の切断工程終了時点において、スラリー内に15重量%のシリコンが含まれることはないからである(なお、1回の切断時間は6〜12時間程度である)。
さらに切断工程終了後および/または切断工程中にスラリータンク中のスラリーの少なくとも一部を取り出して再度再生を行うか、または新スラリーと交換することによって、スラリータンク内のスラリーの粘度増加およびシリコン濃度の増加を抑制することも可能である。
しかしながら、再生スラリーの粘度増加自体を抑制できたほうが好ましいことは言うまでもない(例えば、ワイヤ交換などのためにMWSを停止した場合、停止時間によってはスラリータンク中の再生スラリーを全量排出する必要が生じる)。
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、再生スラリーの粘度増加を抑制できるクーラント再生方法を提供することを課題とする。
かくして、本発明によれば、砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーを少なくとも蒸留工程に付し、得られた蒸留クーラントから再生クーラントを得るクーラント再生方法であって、
前記蒸留クーラントが少なくとも5重量%の水と少なくとも80重量%のプロピレングリコールを含有し、前記蒸留クーラントに対して有機系弱酸を加える酸添加工程とアルカリを加えるアルカリ添加工程を少なくとも1回ずつ行って前記蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整する工程を含むクーラント再生方法が提供される。
また、本発明によれば、砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーから再生スラリーを得るスラリー再生方法であって、
上記のクーラント再生方法を用いて得られた再生クーラントに対し、新たな砥粒および/または前記使用済みスラリーから回収した回収砥粒を混合する混合工程を含むスラリー再生方法が提供される。
本発明者らは、再生スラリーの粘度増加の原因を確認するために、以下の実験を行った。
特許文献3の実施例1に開示した砥粒含有液(特許文献3における「重比重液」と同じ)を純水洗浄、乾燥して得られた回収砥粒と回収クーラント(特許文献3における「回収分散媒」と同じ)を準備し、回収砥粒と新クーラントを重量比1:1で混合し、ここに粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%及びFe粉重量1%を添加したもの(これを実験スラリーAとする)と、新砥粒と回収クーラントを重量比1:1で混合し、ここに粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%及びFe粉重量1%を添加したもの(これを実験スラリーBとする)を作製した。これらを室温で放置したところ、実験スラリーBが放置後約9時間経過時にゲル状になっていること(以下「ゲル化」と表記)が確認できた。また、実験スラリーBからは、継続してガスが発生していた。ここで、実験スラリーA及び実験スラリーBの、それぞれの9時間放置前後のpHを測定すると表1のようになった。
Figure 0005173945
なお、言うまでもないが、回収クーラント単独の放置実験において、ここに粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%添加したもの及びFe粉1重量%を添加した場合も、粘度増加が確認できた。以上の結果から、回収クーラントとFe+Si+水+反応因子の反応でゲル化が起こっているものと考えられる。
ここで使用した回収クーラントは、特許文献3の蒸留法にて得られたものを使用しており、回収クーラント中には、有機溶媒(ここでは、グリコール系溶媒を使用)と水のみが検出され、ごく微量のグリコールの変性物(酸化物)等が存在するのみであることがわかった。これを実証するために、回収クーラントから、水分を除去し、新砥粒と回収クーラント(水分除去品)を重量比1:1で混合し、ここに粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%添加したもの及びFe粉1重量%(これを実験スラリーCとする)を作製し、それぞれ室温で放置したところ、実験スラリーCが放置後約9時間以上経過してもゲル状にならないこと(以下「ゲル化」と表記)が確認できた。ただし、この場合、消防法の危険物に該当するため、大規模のスライス工場での使用は、不可能になる。
また、シリコンブロックを角加工する際に、水を使用し外周刃切断機(ODソー)でカットするケースがあるが、装置の防錆効果を得るために、アルカリ系の防錆剤を入れて、切断を繰り返しシリコン濃度が上昇して時にゲル化が発生することなどが確認されている。
以上より、粘度上昇(ゲル化)を抑制する物質が蒸留時に回収クーラントから除去されていること、また、Si+Na+水+Feの4物質による反応によってゲル化が発生することが考察できた。
本発明者らは、鋭意検討により、反応抑制剤として酸とアルカリを適当量混合することによって、スラリーのpHの上昇を抑え、スラリーの粘度を安定させることができることを見出した。
反応抑制原理については必ずしも明らかでないが、9時間放置前後のpHの推移から下記のように推測することができる。
1)回収クーラントのみ(添加剤なし)
前述した実験スラリーBに何も添加しない場合は、時間の経過により、下記の反応が右に進行すると思われる。結果として、OH-イオンの増加によるpHの上昇、水酸化ケイ素の生成によるゲル化、及び水素発生が起こる。
2Fe+4H2O→2Fe(OH)2+2H2
Si+8Fe(OH)2→Si(OH)4↓+4Fe23↓+6H2
2)回収クーラントに酸(例:CH3COOH)とアルカリ(例:NaOH)を添加
実験スラリーBに適当な量の酸とアルカリを添加したとき、まず初期状態、すなわちpHが低い領域においては、例えば下記の反応が進行し、pHの上昇が起きると考えられる。
2Fe+4H2O→2Fe(OH)2+2H2
このとき、水酸化ナトリウム水溶液が含まれることにより下記反応が進行し、鉄の反応による水中のOH-イオンの増加を抑制する効果が得られる。
Si+8Fe(OH)2→Si(OH)4↓+4Fe23↓+6H2
ところがpHがある程度以上になると、酸により下記反応などが進み、pHの上昇を抑制する。すなわち、酸とアルカリの共存によりゲル化及び水素発生を抑制する効果が得られる。特に、酸として弱酸を用いた場合、pHを9程度に安定させることができ、生産上望ましい。
NaOH+CH3COOH→CH3COONa+H2
Fe(OH)3+3CH3COOH→(CH3COO)3Fe+3H2
3)回収クーラントにアルカリ(例:NaOH)のみを添加
アルカリのみを添加した場合、前述したものと同様下記の反応が継続して進行すると考えられる。Feが存在する限りOH-イオンが供給され、pHの上昇が継続して起こる。
2Fe+4H2O→2Fe(OH)2+2H2
Si+8Fe(OH)2→Si(OH)4↓+4Fe2O3↓+6H2
ここで、pHが大きくなると、下記反応が急激に進行し、Si(ONa)4の生成によるゲル化及び水素発生が起こる。
Si+4NaOH→Si(ONa)4+2H2
4)回収クーラントに酸(例: CH3COOH)のみを添加
酸のみを添加した場合、下記反応により、Feの酸化によるpHの増加を抑制する効果がある。
2Fe+4H2O→2Fe(OH)2+2H2
Fe(OH)3+3CH3COOH→(CH3COO)3Fe+3H2
ところが、実施例1等で記載する通り、スライス工程のクーラントのpHは4以上9以下とすべきであるが、酸のみを添加してpHを4〜9の数値で安定させることは難しい。すなわち、pHが小さくなりすぎてシリコンを酸化させる可能性があるため実用上好ましくない。すなわち、酸とアルカリを共存させることにより、同一のpHの場合、クーラントに添加する酸の量を多くできるため、スライスのようなFe(ワイヤ屑)を供給しつづけるような環境の場合は、pHの制限がある以上、有効である。また、酸のみの添加の場合で上記条件を満足できるものとしては、クエン酸(水との固溶限界でpH4)などの有機系の酸を使用することにより、添加量を多くし、同様の効果を得ることも可能である。
本発明のクーラント再生方法によって得られた再生クーラントを用いることにより、再生スラリーのゲル化を抑制できる。すなわちMWSなどのワイヤソーにおいて使用しやすい再生クーラントおよび再生スラリーを得ることができる。
本発明の一実施形態のクーラント再生方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例3での処理の流れを示すフローチャートである。
以下,本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す内容は,例示であって,本発明の範囲は,図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
1.クーラント再生方法
図1のフローチャートを用いて、本発明の一実施形態のクーラント再生方法について説明する。
本実施形態のクーラント再生方法は、砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーを原料とし、この使用済みスラリーを少なくとも蒸留工程に付して得られた蒸留クーラントから再生クーラントを得るクーラント再生方法であって、前記蒸留クーラントに対して酸を加える酸添加工程とアルカリを加えるアルカリ添加工程を少なくとも1回ずつ行って前記蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整することを特徴とする。
以下、各構成要素について説明する。
1−1.蒸留クーラント
本実施形態の方法で用いられる蒸留クーラントは、使用済みスラリーに対して少なくとも蒸留工程を経ることによって得ることができる。
使用済みスラリーとは、砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出されるものである。シリコンインゴットの切断とは、例えば、MWSなどのワイヤソーを用いたシリコンインゴットのスライスや、ODソーを用いたシリコンブロックの角加工である。
水溶性クーラントとは、水に可溶なクーラントであり、プロピレングリコールおよび水を必須成分として含有するものである。また、この水溶性クーラントにおいては、プロピレングリコールおよび水の合計含有量が85重量%以上であり、さらに95重量%以上であるものが好ましい。残りの内訳としては、例えば、粘度調整などを目的として添加するベントナイト等である。砥粒は、炭化珪素などからなる。
蒸留クーラントは、上記使用済みスラリーに対して少なくとも蒸留工程を経ることによって得られるものであり、5重量%以上の水と80重量%以上のプロピレングリコールを含有する。換言すれば、蒸留クーラントは少なくとも5重量%の水と少なくとも80重量%のプロピレングリコールを含有し、残りの15重量%の内訳としては、水、プロピレングリコール、他の水溶性溶媒(ポリエチレングリコールなどの水溶性グリコールなど)のうち、1つあるいは2つ以上を挙げることができる。なお、使用済みスラリー由来の不純物を微量に含んでいる場合もある。
本実施形態では、上記使用済みスラリーに対して固液分離工程を行って得られた回収液に対して蒸留工程を行う場合について説明するが、上記使用済みスラリーに対して蒸留工程のみを行ってもよい。
本実施形態では、固液分離工程は、一次遠心分離工程及びその後の二次遠心分離工程で構成される。固液分離工程は、これ以外の方法(濾過や一段又は三段以上の遠心分離、又は濾過と遠心分離を組み合わせた方法)によって行ってもよい。
使用済みスラリーには再使用可能な砥粒が含まれている。そこで、1次遠心分離工程では、使用済みスラリーを1次遠心分離(好ましくは遠心力100〜1000G)することによって使用済みスラリーを回収砥粒と1次回収液とに分離する。回収砥粒は、そのままで、又は濃縮、洗浄、乾燥及び分級のうちの1つ以上の工程を経た後に、pH調整クーラント(後述)と混合されてスラリーの再生に利用される。
次に、1次回収液に対して二次遠心分離工程を行う。2次遠心分離工程では、1次回収液を2次遠心分離(好ましくは遠心力2000〜5000G)することによって1次回収液をスラッジと2次回収液とに分離する。スラッジは、そのままで、又は乾燥処理や一部材料の回収の後、廃棄(埋め立て処分など)されるのが一般的である。
なお、1次遠心分離、2次遠心分離に用いる装置(遠心分離機)としては公知の装置(例えばデカンタ型遠心分離機やバスケット型遠心分離機など)を単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。
次に、蒸留工程について説明する。蒸留工程は、使用済みスラリー又は固液分離工程からの回収液(1次回収液又は2次回収液)を蒸留する工程である。この蒸留工程によって使用済みスラリー又は回収液は、蒸留クーラントと残留分に分離される。残留分は、そのままで、又は乾燥処理や一部材料の回収の後、廃棄(埋め立て処分など)されるのが一般的である。蒸留工程に使用する蒸留装置としては、公知の装置を適宜用いることができる。例えば、1Lオーダーの2次回収液を蒸留するエバポレータであってもよいし、1tオーダーの2次回収液を蒸留する蒸留塔であってもよい。また、大気圧雰囲気下で蒸留を行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
1−2.中和処理工程
次に、蒸留クーラントのpHが4以上9以下ではない場合は、装置への負担を考えると、中和処理を施すのが望ましい。この中和処理は、一般的に行われる処理方法であり、後工程を含めた装置への負荷を減らすことが目的である。なお、蒸留クーラントのpHが4以上9以下である場合は、中和処理は、特に必要ない。
1−3.前処理工程
次に、蒸留クーラントに対して微粒子除去処理と還元処理の少なくとも一方からなる前処理工程を行うことが好ましい。この工程を行うことによって、蒸留クーラント中の不純物量を減少させることができる。後述する実施例で示すように、前処理工程を行って不純物量を減少させることによって放置時の粘度上昇を抑制することができる。不純物量は、濁度によって評価することができる。
なお、前処理工程において除去される不純物としては、シリコン微粒子(例えば、粒径0.01〜5μm程度の微粒子が考えられる)、ワイヤ由来の鉄微粒子(例えば、粒径0.01〜1μm程度の微粒子が考えられる)や鉄イオンまたは鉄系の微粒子、水溶性グリコールの変性物(蒸留クーラント作成時の熱により生成した酸化物などが考えられる)やグリコールや酸添加+pH調整に添加した有機物の炭化物などを挙げることができる。
以下、微粒子除去処理と還元処理について詳細に説明する。
(1)微粒子除去処理
微粒子除去処理は、蒸留クーラント中に存在している微粒子を除去する処理であり、例えば、活性炭処理、濾過、再蒸留のうちの少なくとも1つからなる。微粒子としては、シリコン微粒子(例えば、粒径0.01〜5μm程度の微粒子が考えられる)、ワイヤ由来の鉄微粒子(例えば、粒径0.01〜1μm程度の微粒子が考えられる)や鉄イオンなどが考えられる)などを挙げることができる。
活性炭処理は、蒸留クーラント中の不純物微粒子を活性炭に吸着させる処理であり、例えば、蒸留クーラント中に活性炭を混合及び攪拌し、その後、濾過によって活性炭を除去することによって行うことができる。この処理に用いられる活性炭としては、液相で用いられる粒状、粉末状の活性炭から適宜選択できる。
濾過に用いられる濾過材料としてはポリプロピレン、ポリエステルなどの有機材料やグラスファイバー、ケイソウ土などの無機材料からなるフィルタを挙げることができ、フィルタ形状としては、プリーツ形状を採る平膜フィルタ、中空糸フィルタなどを適宜選択できる。
また、再蒸留とは、蒸留クーラントをさらに蒸留する工程であって、単一の蒸留装置を用いてさらに1回または複数回の蒸留を繰り返し行う蒸留工程であってもよく、複数の蒸留装置を直列に並べて行う蒸留工程であってもよいが、好ましくは理論段数1〜100段の精密蒸留を行うことである。
(2)還元処理
還元処理とは、蒸留クーラント作成時に生成したグリコール酸化物などの酸化物を還元するための薬品処理をいう。このような酸化物を還元することによってグリコール酸化物を除去することができる。還元処理は、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムやリチウムアルミニウムハイドレート、ナトリウムボロンハイドライドなどをpH調整クーラントに対し、重量比で5ppm以上30ppm以下となるように添加し、50℃以上60℃以下で加熱することによって行うことができる。この還元処理は、温度も低温で、危険性も低く、比較的安価でできることが特徴である。
1−4.酸添加工程及びアルカリ添加工程
次に、蒸留クーラントに対して酸を加える酸添加工程とアルカリを加えるアルカリ添加工程を少なくとも1回ずつ行って前記蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整する工程を行う。これによってpH調整クーラントが得られる。酸添加工程とアルカリ添加工程の順序は、特に限定されず、どちらか一方を先に行ってもよく、これら両方を同時に行ってもよい。
酸添加工程とは蒸留クーラントに対して酸を加える工程である。蒸留クーラントに酸を加えることにより、ワイヤ屑酸化時に発生する水酸化イオンを抑制でき、スライス中に蒸留クーラント中の水酸化イオンの供給を阻止できるために、ゲル化を抑制できる。酸は、水溶液の状態で加えることが好ましい。
酸添加工程に使用する酸としては塩酸、硫酸などの無機酸であっても、酢酸、乳酸、クエン酸、蟻酸、酪酸、プロピオン酸、吉草酸などの有機酸であってもよいが、有機系弱酸が好ましく使用でき、クエン酸や乳酸(食品添加物であり、人体にも安全)が特に好ましい。有機酸を使用するメリットは、以下にあげる。
塩酸などの強酸の場合、前述した抑制反応は、液の性質がいかなる状況にもかかわらず、常に抑制反応が発生する。故に、Fe(ワイヤ屑)の発生する量に応じた分を添加する必要がある。上記の反応式に従うと、Fe(分子量:56)の混入量に対し、モル比で3倍の量の塩酸(分子量:37)が必要となる。例えば、1wt%のワイヤ屑(全量が酸化物になると仮定。)が入ってくるとすれば、約2wt%の濃度の塩酸を添加する必要がある。
クエン酸などの弱酸の場合、酸性領域では、反応しないが、pHで9程度になって初めて酸(H3(C657)・H2O、分子量:192.13)としての効果を示す。(一般的に緩衝作用と呼ぶ。)故に、Feの酸化反応により、液性が強アルカリにならないよう反応がおこるので、実態問題は、添加量としては、1wt%のワイヤ屑(全量が酸化物になると仮定。)が入ってくるとすれば、反応開始のpH8〜9程度で安定するので、約0.38wt%〜0.038wt%の添加量で済む。また、酸添加後のNaOH(分子量:40)の添加量も、塩酸の場合は、約2.1wt%が必要だが、クエン酸の場合なら、0.08wt%〜0.008wt%で済む。
なお、強酸とは、硫酸又はこれよりも強い酸を意味し、弱酸とは、硫酸よりも弱い酸を意味する。
また、酸添加後かつアルカリ添加前の蒸留クーラントのpHは、4以上であっても4未満であってもよい。
アルカリ添加工程とは、蒸留クーラントに対してアルカリを加える工程である。アルカリ添加工程に使用するアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましく用いられる。アルカリは、水溶液の状態で加えることが好ましい。
酸添加工程とアルカリ添加工程は、前記蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整するように行う。
pH調整を行う理由は、第1にクーラントのpHが4未満の場合にはMWSなどの使用装置に耐酸処理が必要となってコスト的に不利であること、第2にクーラントのpHが4未満の場合にはMWS使用中にワイヤ由来の鉄と酸が反応し、水素ガスを多量に発生するためにMWS使用継続が困難になる場合があることが考えられる。
2.スラリー再生方法
本発明の一実施形態のスラリー再生方法は、砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーを原料として再生スラリーを得るスラリー再生方法であって、上記のクーラント再生方法を用いて得られた再生クーラントに対し、新たな砥粒および/または前記使用済みスラリーから回収した回収砥粒を混合する混合工程を含む。
混合工程では、再生クーラントに対して新たな砥粒のみを混合してもよく、回収砥粒のみを混合してもよく、新たな砥粒と回収砥粒の両方を混合してもよい。砥粒の効率利用の観点からは、少なくとも回収砥粒(回収砥粒のみ又は新たな砥粒と回収砥粒の両方)を混合することが好ましい。また、混合工程では、再生クーラントに対して新たなクーラントを混合してもよい。
再生スラリーに含まれる全砥粒中の新砥粒比率は20重量%以下(好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下)が好ましい。この場合、砥粒の利用効率が高いからである。また、再生スラリーに含まれる全クーラント中の新クーラント比率は50重量%以下(好ましくは45重量%以下、特に好ましくは40重量%以下)が好ましい。この場合、クーラントの利用効率が高いからである。
以上の実施形態で示した種々の特徴は,互いに組み合わせることができる。1つの実施形態中に複数の特徴が含まれている場合,そのうちの1又は複数個の特徴を適宜抜き出して,単独で又は組み合わせて,本発明に採用することができる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
まず、以下の実施例1〜3に用いたMWSについて説明する。
ここで、クーラント再生方法としての必須工程は、蒸留クーラントに対する酸添加工程とアルカリ添加工程であり、その他の工程は任意工程である。従って、実施例1〜3に示す工程は一例にすぎないが、最も効率よくクーラントを再生する方法の一つであると考えられる。
実施例1〜3に用いたMWSは1回の切断工程で4本のシリコンインゴット(125W×125D×400L)をスライスし、シリコンウェハ(125W×125D×0.3L)を3200枚程度生産する装置であり、約200L〜400Lの容量を持つスラリータンクを備える装置(TOYOエイテック社製 E400SD)である。
次に、このようなMWSを用いたシリコンウェハ切断により得られた使用済みスラリーから、再生スラリーを得るクーラント再生方法の一例を実施例1として説明する。
<実施例1>
上記MWSに対し、市販の精製水とプロピレングリコールを重量比2:8で混合した水溶性クーラントと、砥粒(炭化珪素からなる、GC#800、比重:3.21)を重量比1:1で混合したスラリー480kg(比重:1.6)を使用してシリコンインゴットの切断を行った。
この切断工程において、シリコン切屑含有率が約12重量%以上となったスラリーを使用済みスラリーとして回収し、510kg(比重:約1.65)の使用済みスラリーを1次遠心分離機(IHI回転機械製遠心分離機使用)にて500Gの遠心力をかけて回収砥粒と1次回収液とに分離した。
1次遠心分離工程から得られた回収砥粒は290kgで、約30〜40重量%のクーラント成分を含んでいた。
また、1次遠心分離工程から得られた1次回収液は約220kgであり、これを2次遠心分離機(IHI回転機械製遠心分離機使用)にて3000Gの遠心力をかけてスラッジと2次回収液とに分離した。スラッジは約69kg(約20重量%のクーラント成分を含む)であった。
2次遠心分離工程から得られた2次回収液は約181kgであり、この2次回収液を真空蒸留装置(IHI回転機械製)を用いた蒸留工程(0.5Torrの減圧状態で200℃加熱)により蒸留クーラントと残留分に分離した。
残留分は約36kg(約15重量%のクーラント成分を含む)であり、スラッジと合わせて105kgの廃棄物が生じたことになる。よって本実施例によれば、従来のクーラント再生方法(例えば、2次回収液(使用済みスラリ)の50体積%(廃棄物:255kg)〜70体積%(廃棄物:357kg)を廃棄し、新たなスラリーと入れ替える方法)に比べて、廃棄物量が重量比で約59%〜71%削減されたことになる(255kg−105kg〜357kg−105kg)。
また、蒸留工程から得られた蒸留クーラントは10重量%の水と90重量%のプロピレングリコールの混合物、約145kgであり、初期のpHは3であった。今回は、中和処理が必要な場合のサンプルを用意した。蒸留クーラントのpHの発生頻度は、以下の表2のようになり、大半はpH4以上9以下の範囲である。
Figure 0005173945
このようなMWSによるシリコンインゴットの切断と、使用済みスラリーの処理を繰り返して蒸留クーラントを適当量製造した。まず、水酸化ナトリウム(濃度5wt%)を加えて中和(pH7)を行い、その後に、微粒子除去処理および還元処理を行った。今回は、ろ過処理および活性炭処理を選択した。詳細は実施例3にて後述する。
その後にクエン酸水溶液(濃度20wt%)を添加してpHを3にし、その後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10wt%)を添加してpHが6のクーラントサンプル(数値は1刻み)を作製した。pH測定にはガラス電極を用い、25℃において測定した。ただし、クエン酸で、pH4未満のものを作るのは非常に困難を要したため、pH4未満のものは、pH5まで、クエン酸を添加した後、乳酸を使用し、pH調整品を作成している。
次に、それぞれのpH調整クーラントサンプルに回収砥粒と新しい砥粒を重量比85:15で混合したものを重量比1:1となるように加えて、再生スラリーとした。
これら再生スラリーサンプルを用い、MWSによるシリコンインゴットの切断を行った。1回の切断工程に要した時間は約9時間であり、この時間内のスラリー状況を確認したところ、表3に示す結果を得た。
Figure 0005173945
これにより、pHが4以上9以下に調整された再生スラリー(これは蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整することによる再生スラリーである)を用いることにより、MWSによる良好なシリコンインゴット切断が行えることが分かった。
なお、pH1以上3以下の条件において「ガス発生によりスラリー供給ができず、切断継続不可」とあるのは、酸とワイヤ由来の鉄とが反応し、発生した水素ガスが、MWSにスラリーを供給するポンプに入り込むことにより、ポンプが空回りしてスラリーの搬送ができなくなったことを示す。
また、同液のゲル化までのスライス後の日数を調査した。28℃の環境に放置し、ゲル状態もしくは、固形化するまでの日数を調査した。表4に示す通り、pH4以上9以下で4日以上の耐久性があり、特にスライス工程での使用時間には問題がないことを確認した。
Figure 0005173945
本実施例では、蒸留時に発生する水及びグリコールを全量用いたが、グリコールのみを回収(蒸留時に除去または再蒸留時やその為の水分除去膜等を使用し、除去後、再度精製水を使用することになるが)しても同様の効果を確認できた。
また、酸及びアルカリを添加するpH調整工程前において、pHが6,8,及び9の蒸留クーラントについても同様の試作を行い、pHを4以上9以下に調整することで同様に切断継続可能時間を4日以上にする効果が得られることを確認できた。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様にMWSによるシリコンインゴットの切断と使用済みスラリーの処理を繰り返して蒸留クーラントを適当量製造し、pHが3である蒸留クーラントについて、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液のみを使用し、いかなる酸をも用いずpH調整を行った。
次に、実施例1と同様に、それぞれのpH調整クーラントサンプルに回収砥粒と新しい砥粒を重量比85:15で混合したものを重量比1:1となるように加えて、再生スラリーとした。
これら再生スラリーサンプルを用い、MWSによるシリコンインゴットの切断を行った。実施例1から1回の切断工程に要した時間は約9時間と分かっているので、この時間内のスラリー状況を確認したところ、表5に示す結果を得た。表5に示す通り、アルカリのみで調整して得られた再生クーラントはシリコンインゴットの切断が可能であることがわかった。
Figure 0005173945
<比較例2>
比較例2では、実施例1と同様にMWSによるシリコンインゴットの切断と使用済みスラリーの処理を繰り返して蒸留クーラントを適当量製造し、pH調整剤として酸のみを使用し、いかなるアルカリ溶液をも用いずpH調整を行った。ただし、比較例2では、pH調整工程前においてpHが10である蒸留クーラントを用いた。比較例2では、実施例1と同じ酸を用いた。
次に、実施例1と同様に、それぞれのpH調整クーラントサンプルに回収砥粒と新しい砥粒を重量比85:15で混合したものを重量比1:1となるように加えて、再生スラリーとした。
これら再生スラリーサンプルを用い、MWSによるシリコンインゴットの切断を行った。実施例1から1回の切断工程に要した時間は約9時間と分かっているので、この時間内のスラリー状況を確認したところ、表6に示す結果を得た。表6に示す通り、酸のみで調整して得られた再生クーラントはシリコンインゴットの切断が可能であることが分かった。
Figure 0005173945
<実施例2>
次に、本発明による再生スラリーの切断性能について説明する。
一般にMWSを用いた切断においては、切断性能を示す指標としてTTV(Total Thichness Variation:ウェハ内厚みムラ)を用いることが多い。よって、本実施例2においてもスラリー毎の切断性能の違いをTTVで評価した。
本実施例では、実施例1における再生スラリーサンプルのうち、pH7のものを使用することとし、これを再生スラリーAとした。
さらに、MWSによる再生スラリーAの使用(シリコンインゴットの切断)とスラリー再生を10回繰り返した時点での再生スラリーを再生スラリーB、および100回繰り返した再生スラリーを再生スラリーCとした。
新しい砥粒と水溶性クーラントだけからなる新スラリー、および再生スラリーA,B,Cを用いてシリコンインゴットの切断を行い、それぞれのTTVを比較した。その結果を表7に示す。
表7から、再生スラリーにおけるTTVと歩留まりは新スラリーを使用した場合と遜色ないことがわかった。なお、本実施例2においては、TTVが30μm以下を良品とみなし、不良品が2%以内、機械が正常に運転され、前記の泡の発生や使用済みスラリーにゲル化が発生しないことを判断基準とした。
なお、本実施例では、再生スラリーに対して水又はグリコールを適宜添加して水とグリコールの比率をほぼ一定に保った。
Figure 0005173945
なお、本実施例2におけるTTV測定には、ミツトヨ製のマイクロメーターを用いた。また、表3記載のTTVは、それぞれ約3000枚のシリコンウェハの平均値である。
<実施例3>
本実施例3においては、本発明における微粒子除去処理および還元処理の効果について説明する。濁度が5cm〜100cmまでのpH7の蒸留クーラントを用意し必要性を確かめた。酸を添加し後に、アルカリを添加して、pH7の液を使用し粘度を測定した。スラリーとしての粘度を測定するため、砥粒を重量比で1:1、粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%添加して作製した。結果を表8に示す。粘度1は初期、粘度2は2時間後を示している。それぞれ、蒸留時期の違うサンプルを5サンプル準備した。なお、濁度は、JIS K0101に準拠する方法で測定した。粘度は、ビスコテスター VT−04K(リオン製)を用いて測定した。
Figure 0005173945
表8のように、濁度が50cm以上あるものは、初期及び放置後に粘度変化が少ないが、濁度の悪いものは、多少の変化が存在する。蒸留クーラント中の不純物の反応による影響を受けているものと考察した。
次に、微粒子除去処理および還元処理の効果について説明する。図2は本実施例3を示すフローチャートである。
実施例1と同じ蒸留クーラントに対し簡易濾過(アドバンテック(株)製メンブランフィルタ(孔径5μm)を使用)をおこない、引き続き、(1)活性炭処理、(2)濾過、(3)再蒸留、(4)還元、の処理をそれぞれ行った。クエン酸水溶液(濃度20wt%)を添加してpHを2にし、その後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10wt%)を添加してpHを6とした。それぞれの工程に用いた材料、条件は以下の通り。
(1)活性炭処理:活性炭カラム(クラレケミカル(株)製活性炭PWを内径30mm、長さ1000mmのガラスカラムに充填したもの)を使用。吸着処理を3時間行い、これを濾過してクーラントと活性炭を分離した。
(2)濾過:アドバンテック(株)製メンブランフィルタ(孔径1μm)を使用し、減圧濾過にて1分あたり約100mlの流量で処理した。
(3)再蒸留:3口の攪拌可能なガラス容器(300ml)を使用し、圧力50mmHgにおいて180℃にて蒸留を行った。
(4)還元:チオ硫酸ナトリウムをpH調整クーラントに対し10ppmとなるように添加し、50℃で30分間加熱した。
また、活性炭処理を行ったクーラントの一部に対し、さらに(5)活性炭処理後還元を行ったが、この条件は(4)と同じである。
処理なしのクーラントをクーラントA,(1)〜(5)処理後のクーラントを再度簡易濾過して得られたクーラントをクーラントB〜Fとし、それぞれの不純物分析を行った。まず、得た溶液を500℃に加熱し、発生する蒸気(有機系の不純物分析、下表では、グリコールの変性物が対応)の分析をGCマススペクトル(島津製作所製ガスクロマトグラフ/質量分析計:GCMS−QP2010PLUS)にて実施した。同時に熱天秤(BRUKER社製:TG−DTA)にて、窒素ガス雰囲気で600℃に加熱し、シリコン、シリコン酸化物および鉄の粒度分析(日機装製マイクロトラック粒度分布測定装置:MT3000II使用)を実施した。さらに微粒元素特定のために、ICP−AES(島津製作所製ICP発光分析装置:ICPS−1000IV使用)を測定した。なお、本実施例3における微粒子径の測定限界は0.02μmである。クーラントA〜Fにおいて、不純物総量は、0.1wt%以下であった。
測定結果を表9に示す。
Figure 0005173945
これはあくまで一例であり、活性炭や濾過用フィルタの選択、蒸留装置の選択(理論段数など)によって結果は変わりうるが、これら(1)〜(5)の処理によって蒸留クーラント中の不純物が減少していることが分かった。
さらに、これらクーラントA〜Fそれぞれに粒径1〜5μmのシリコン粉末を15重量%添加して作製した再生スラリー(それぞれ実験スラリーA〜Fとする)を室温放置したところ、2時間放置時で実験スラリーA、Eの粘度が増加した(100CP→130CP)。他の実験スラリーの粘度に変化は認められず、実験スラリーA、Eの粘度もそれ以降24時間経過時点まで変化は見られなかった(それ以降測定を行っていない)。
この程度(100CP→130CP)の粘度変化はMWSに対して特に悪影響を及ぼすものではないが、活性炭処理、濾過処理、再蒸留処理を経た再生スラリーがより長期間の保存および/または使用に適したものであることが分かった。
なお、本実施例3における粘度測定にはリオン社製ビスコテスター:VT−03E型を用いた値を記載した。

Claims (5)

  1. 砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーを少なくとも蒸留工程に付し、得られた蒸留クーラントから再生クーラントを得るクーラント再生方法であって、
    前記蒸留クーラントが少なくとも5重量%の水と少なくとも80重量%のプロピレングリコールを含有し、前記蒸留クーラントに対して有機系弱酸を加える酸添加工程とアルカリを加えるアルカリ添加工程を少なくとも1回ずつ行って前記蒸留クーラントのpHを4以上9以下に調整する工程を含むクーラント再生方法。
  2. 前記蒸留クーラントに対して前記酸添加工程を行い、次いで前記アルカリ添加工程を行う場合において、前記酸添加工程後であって前記アルカリ添加工程前の蒸留クーラントのpHが4未満である請求項1に記載のクーラント再生方法。
  3. 前記蒸留クーラントに対して前記酸添加工程および前記アルカリ添加工程を行う前に微粒子除去処理および還元処理の少なくとも一方を施す前処理工程をさらに含む請求項1または2に記載のクーラント再生方法。
  4. 前記微粒子除去処理が、活性炭処理、濾過および再蒸留のうちの少なくとも1つである請求項3に記載のクーラント再生方法。
  5. 砥粒と水溶性クーラントを含むスラリーを用いたシリコンインゴットの切断の際に排出される使用済みスラリーから再生スラリーを得るスラリー再生方法であって、
    請求項1〜4のいずれか1つに記載のクーラント再生方法を用いて得られた再生クーラントに対し、新たな砥粒および/または前記使用済みスラリーから回収した回収砥粒を混合する混合工程を含むスラリー再生方法。
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