JP5474523B2 - 精製シリコン含有粉末回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精製シリコン含有粉末の回収方法に関する。詳しくは、不純物として二酸化シリコンを含む原料シリコン含有粉末から精製シリコン含有粉末を回収する方法に関するものである。
半導体産業や太陽電池産業では、高純度シリコンが使用されるが、最終製品となるシリコンは、半導体産業では原料シリコンインゴットの約30%程度、太陽電池産業では原料シリコンインゴットの約50%程度であり、残りはシリコンインゴット及びシリコンウェーハの加工工程で排出されるシリコン含有粉末として廃棄されている。
近年の太陽電池市場の拡大や、地球環境への配慮から、この様な高純度シリコンを含有する廃棄物から、シリコンを回収再生して太陽電池用などに再利用する技術の開発が望まれている。その方法として、回収したシリコン含有粉末を再溶融して、シリコンインゴット原料などにリサイクルする方法が提案されている。
シリコンウェーハ等の加工工程では、冷却、加工工具の保護及び研削屑又は切削屑の除去を目的として水単独または、水と水溶性クーラントの混合液や油性クーラントなどを加工部位に供給しながら加工がなされる。これらの加工工程で排出されるシリコン含有粉末は、いずれも粒子径が0.1μm〜数十μmの微粉末であり、非常に活性が高く、空気中の酸素や水分又は処理水との接触により、その表面の一部又は全体は二酸化シリコン(SiO2)からなる酸化被膜が形成されている。
また、上述のシリコン含有粉末は、加工工程において使用されるクーラントや摩耗した加工機由来の金属などの不純物で汚染されていることが多い。そのため、回収したシリコン含有粉末をそのままリサイクルすることはできず、シリコン含有粉末を再溶融して高純度シリコンに製造する前に、これらの酸化被膜や不純物を除去する必要がある。
再溶融の前段階のシリコン含有粉末の精製工程は、洗剤などを使用してクーラントを取り除く前処理と、薬液を使用した化学反応によりシリコン表面の酸化シリコン膜や微量金属を取り除くと共に、シリコン含有粉末を回収する回収精製処理とに大別される。
回収精製処理は、原料シリコン含有粉末を水中へ分散し、酸洗用水溶液によって酸化シリコン被膜や微量金属不純物を除去する酸洗工程、水によって洗浄する水洗工程、水洗後のシリコン含有粉末を脱水する固液分離工程、固液分離後のシリコン含有粉末を乾燥する乾燥工程の順で行われる。
例えば、特許文献1で開示されているように従来のシリコン含有粉末の回収精製方法では、酸洗工程としてフッ化水素酸と無機酸の混合溶液を用いた酸洗用水溶液によりシリコン含有粉末の表面酸化皮膜を除去し、あわせて鉄、アルミニウム、カルシウムなどの溶出除去を行っている。
また、特許文献2には、シリコンウェーハ等の加工工程で排出されるシリコン含有粉末と水分とを分離する方法として、シリコンウェーハの製造加工工程より発生するシリコン含有粉末を含む廃水に有機カチオン凝集剤及び高分子凝集剤を添加して上澄みと沈殿とに分離する方法が開示されている。
特開平5−33070号公報 特開平9−29263号公報
酸洗工程において、シリコン含有粉末表面の酸化被膜は、フッ化水素酸によって反応式(1)に示す反応にて溶解除去される。
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O (1)
フッ化水素酸水溶液中で酸化被膜が除去されたシリコン含有粉末からは、新たな金属シリコン面が露出する。その結果、下記反応式(2)で表されるように金属シリコンと、水との反応で容易に再酸化を受けることになり、また同時に水素ガスが発生する。
Si+2H2O → SiO2+2H2 (2)
すなわち、上記反応式(1)と上記反応式(2)は、反応系内にフッ化水素酸と水が共存する限り連続的に互いの反応が継続することを示している。このように二酸化シリコンの形成と溶解が繰り返されることによりシリコン成分が溶出するため、シリコン回収収率が低下するという問題がある。
また、本発明の対象であるシリコンウェーハ等の加工工程で排出されるシリコン含有粉末は粒子径が小さいため(0.1μm〜数十μm程度)、沈降しがたく、酸化被膜が除去されて表面が疎水化したシリコン含有粉末では、更に沈降しづらく、固液分離による精製後のシリコン含有粉末の回収が困難となる。また、一部のシリコン含有粉末は前記反応式(2)の反応により発生した水素ガスに同伴されて浮上し、精製処理液上にスカム状に堆積浮遊したスカム層を形成する可能性がある。スカム層の厚みは水素の発生量とともに増大するため、精製処理にはスカムの発生量を見越した大型の反応槽が必要になるとともに、浮遊したスカムの影響で精製処理の操作性が損なわれる場合がある。例えば、酸洗浄後の水洗が効率よく行えないため水量も増加したり、水洗後の固液分離操作が著しく悪化するなどの問題がある。
特許文献1で開示されている方法は、シリコン含有粉末の粒子径が20μm〜100μmと大きいため、精製処理時にスカムの発生は抑制され、固液分離操作が困難になる可能性は少ないが、上述した0.1μm〜数十μmの微粒子ではスカム発生及び固液分離操作性が著しく悪化するため、適応することが出来ない。
一方、特許文献2で開示されている方法は、シリコン含有粉末と水分とを分離するものであるが、回収されたシリコン含有粉末は、有機カチオン凝集剤及び高分子凝集剤を用いて単に凝集沈殿、分離しただけのものであり、不純物を多く含有しているため、そのままでは高純度シリコン原料として使用できるわけではない。
また、不純物除去のために特許文献2の方法に、特許文献1の酸洗工程を併用した場合は、酸洗工程から水洗工程まで一貫してスカム発生の抑制及び凝集沈降効果の維持ができないのが現状であり、工業的に実施するには必ずしも適当な方法ではなかった。
かかる状況下、本発明の目的は、原料シリコン含有粉末の表面酸化物や金属不純物等を除去すると共に、精製中のシリコン含有粉末表面の再酸化を回避して、効率的に回収可能な精製シリコン含有粉末の回収方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 表面の一部又は全体が、二酸化シリコンで被覆されている原料シリコン含有粉末を、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及び/またはHLB値が11以下であるアニオン系界面活性剤並びにフッ化水素酸を含有する酸洗用水溶液に接触させ、前記シリコン含有粉末の表面を洗浄し、シリコン含有粉末(a)とする酸洗工程と、
シリコン含有粉末(a)を水で洗浄し、シリコン含有粉末(b)とする水洗工程と、
シリコン含有粉末(b)を固液分離し、シリコン含有粉末(c)とする固液分離工程と、
シリコン含有粉末(c)を乾燥させる乾燥工程と、
を含む精製シリコン含有粉末回収方法。
<2> 前記原料シリコン含有粉末の体積平均粒径が、0.1μm以上20μm以下の範囲である前記<1>に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<3> 前記酸洗用水溶液が、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及びフッ化水素酸を含有する前記<1>または<2>に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<4> 前記HLB値が11以下のノニオン系界面活性剤が、ソルビタン系、ポリオキシエチレン系、グリセリン脂肪酸エステル系及びアルケニルコハク酸エステル系の界面活性剤からなる群より選ばれた1種以上である前記<1>乃至<3>のいずれかに記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<5> 前記HLB値が11以下のアニオン系界面活性剤が、アルケニルコハク酸である前記<1>乃至<4>のいずれかに記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<6> 前記酸洗用水溶液が、塩酸、硫酸からなる群より選ばれた1種以上の無機酸を更に含有する前記<1>乃至<5>のいずれかに記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<7> 前記酸洗用水溶液が、C5〜C35のパラフィン類、アゾール誘導体及びモルホリン誘導体からなる群より選ばれた1種以上の化合物を更に含有する前記<1>乃至<6>のいずれかに記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
<8> 前記乾燥工程において、不活性ガス雰囲気下、450℃以上でシリコン含有粉末(c)の乾燥を行う前記<1>乃至<7>のいずれかに記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
本発明により、原料シリコン含有粉末の精製処理時におけるスカムの発生を抑制し、同時に凝集沈降効果を発現させることでより効率的な精製処理が可能となり、精製中のシリコン含有粉末表面の酸化を最小限に抑制することができるため、高純度シリコン原料として再使用できるシリコン含有粉末を得ることができる。
本発明の実施例で用いた原料シリコン含有粉末(原料A)の体積粒度分布である。 本発明の実施例で用いた原料シリコン含有粉末(原料B)の体積粒度分布である。 本発明の実施例で用いた原料シリコン含有粉末(原料C1−1)の体積粒度分布である。 本発明の実施例で用いた原料シリコン含有粉末(原料C2−2)の体積粒度分布である。 本発明の実施例で用いた原料シリコン含有粉末(原料D)の体積粒度分布である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は表面の一部又は全体が、二酸化シリコンで被覆されている原料シリコン含有粉末を、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及び/またはHLB値が11以下であるアニオン系界面活性剤並びにフッ化水素酸を含有する酸洗用水溶液に接触させ、前記シリコン含有粉末の表面を洗浄し、シリコン含有粉末(a)とする酸洗工程と、シリコン含有粉末(a)を水で洗浄し、シリコン含有粉末(b)とする水洗工程と、シリコン含有粉末(b)を固液分離し、シリコン含有粉末(c)とする固液分離工程と、シリコン含有粉末(c)を乾燥させる乾燥工程と、
を含む精製シリコン含有粉末回収方法(以下、「本発明の回収方法」と呼ぶ場合がある。)に係るものである。
本発明において、「原料シリコン含有粉末」とは、精製前の原料となるシリコン含有粉末を意味し、「精製シリコン含有粉末」とは、本発明に係る工程を経て精製されたシリコン含有粉末を意味する。また、「シリコン含有粉末(a)」は、酸洗工程にて原料シリコン含有粉末を処理したものを意味し、「シリコン含有粉末(b)」は、水洗工程にてシリコン含有粉末(a)を処理したものを意味し、「シリコン含有粉末(c)」は、固液分離工程にてシリコン含有粉末(b)を処理したものを意味する。
本発明の回収方法の対象となる「原料シリコン含有粉末」とは、主に半導体産業や太陽電池産業における高純度シリコンの加工工程で排出される二酸化シリコンからなる酸化被膜で被覆されたものである。
この「原料シリコン含有粉末」としては、具体的には、半導体産業においては円柱状のシリコンインゴットの外周部を研削成型する際に発生する外周研削粉、シリコンインゴットをシリコンウェーハにスライス加工する際に発生するスライス粉、ウェーハ薄板化のためにウェーハ裏面を研削する際に発生するバックグラインド粉、太陽電池産業においては大型のキャストインゴットを太陽電池ウェーハサイズにブロック切断する際に発生するバンドソー粉、ブロック切断したシリコンインゴットをシリコンウェーハにスライス加工する際に発生するスライス粉などがある。
尚、これらの原料シリコン含有粉末には、遊離砥粒(炭化珪素:SiC)を用いてスライス加工する際に発生する砥粒(SiC)を含有するものも含まれる。
本発明の回収方法は、原料シリコン含有粉末の体積平均粒径が、0.1μm〜20μmであると効果的であり、好ましくは0.1μm〜10μmの範囲であると特に効果的である。これは、このような粒径を有するシリコン含有粉末(原料シリコン含有粉末及び精製中並びに精製後のシリコン含有粉末を含む)は液体中で極めて自然沈降しがたく、従来の技術では固液分離法による、シリコン含有粉末の回収が困難であり、さらにはシリコン含有粉末の比表面積が大きいため、表面が酸化されやすく、結果として精製処理後の精製シリコン含有粉末の単位重量当りの酸素含有量が増大するためである。
上述の半導体産業や太陽電池産業において排出される原料シリコン含有粉末は、いずれも粒子径が小さく、ほとんどの場合、表面の一部又は全体が酸化シリコンからなる酸化被膜で被覆され、加工工程において使用される切削冶具、砥石、クーラント、排水処理剤などに由来する金属不純物等で汚染されている場合がある。そのため、再溶融して高純度シリコンに製造する前に、原料シリコン含有粉末からこれらの酸化被膜や金属不純物を除去する必要がある。尚、原料シリコン含有粉末が、鉱油系クーラントなどの油分を含む場合には、酸洗工程の前工程として、蒸発又は有機溶剤、洗剤などを用いた洗浄等の方法で油分を除去する工程を更に設けることが好ましい。
本発明の対象である半導体産業や太陽電池産業において排出される原料シリコン含有粉末には、その発生経緯にもよるが、対シリコン含有粉末固形分基準で以下に示す不純物が含まれているのが通常である。
(1)酸素含有量(トータル酸素) 4〜10重量%
(2)金属不純物(Fe等) 0.1〜5重量%
(3)炭素含有量 0.1〜1重量%
なお、トータル酸素とは、シリコン含有粉末の単位重量当りの酸素含有量(重量%)である。
酸洗工程における原料シリコン含有粉末の酸洗用水溶液に接触させる場合の濃度は、特に制限はないが、原料シリコン含有粉末及び酸洗用水溶液の総量を100重量%として、通常5〜40重量%、好適には10〜35重量%である。5重量%未満では生産性が低いため好ましくない。40重量%を超えると流動性が悪化し、二酸化シリコンの除去が不十分となり、回収後の精製シリコン含有粉末における酸素濃度が多くなることがあるため好ましくない。
本発明の回収方法の特徴は、酸洗工程において、酸化シリコンを溶解する作用を有するフッ化水素酸のみならず、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及び/またはHLB値が11以下であるアニオン系界面活性剤を含む酸洗用水溶液を使用することにある。尚、本発明におけるHLB値は、下記式(3)で定義する小田法に準ずる式から算出した。

HLB値 = 無機性 ÷ 有機性 × 10 (3)

ここで、小田法のHLB値の算出方法は、界面活性剤の構成原子、分子、官能基、結合などに「無機性」、「有機性」の数値を割り当てて、それらを加算する方法であり、算出にあたっては文献「新・界面活性剤入門(藤本武彦著、1996、三洋化成工業株式会社)」第197〜198頁記載の無機性と有機性の数値を用いた。
この酸洗用水溶液を使用することで酸洗工程における、シリコンの再酸化に由来するスカムの発生を抑制できるのみならず、後述するようにシリコン含有粉末の凝集促進効果により後工程の水洗工程での水洗、ならびに固液分離工程での脱水が効率的に行え、更には酸洗工程から乾燥工程までの一連の工程において精製シリコン含有粉末の再酸化を低減する効果を同時に達成することができる。
尚、これらの効果は、本発明者らの検討の結果、実験的に見出されたものである。一方、HLBが11以下のカチオン系界面活性剤でも同様の検討を行ったが、カチオン系界面活性剤では同様の効果が認められなかった。
酸洗用水溶液に上述の界面活性剤を添加することでこのような効果を得ることができる理由について、現段階では完全に明らかではないが、以下のように推測される。上述のように本発明で規定された界面活性剤を含まない酸洗用水溶液では、上記反応式(1)及び反応式(2)の反応の繰り返しによりシリコン含有粉末表面での酸化被膜除去、再酸化(及び水素の発生)が繰り返されるが、本発明に係る酸洗用水溶液を使用すると、酸化被膜が除去された後の原料シリコン含有粉末の表面に前記界面活性剤が吸着し、該シリコン含有粉末の表面と水との接触を阻害するため、上記反応式(2)の反応が進行しない。そのため、酸化被膜が除去された原料シリコン含有粉末の再酸化と水素ガスの発生が抑制されるものと推測される。
また、酸化被膜に覆われた原料シリコン含有粉末の表面は親水性であり、一方酸化被膜が除去された後の原料シリコン含有粉末の表面は疎水性である。よって酸化被膜が除去された後の疎水性の原料シリコン含有粉末の表面に対して界面活性剤は親油基を配向させ、外側には親水基が存在していると考えられる。ここで水との親和性が低いHLB値が11以下の界面活性剤を選定すれば界面活性剤の親水基同士が会合し一方では疎水基同士が配向し、ミセル状の凝集体が形成され、酸化被膜が除去された後の原料シリコン含有粉末の酸化を防止すると共に、凝集沈降を促進するものと推測される。
上述の様な、本発明に使用される界面活性剤の具体例は、以下の通りである。
HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤としては、具体的には、ソルビタン系、ポリオキシエチレン(POE)系、グリセリン脂肪酸エステル系、アルケニルコハク酸エステル系が挙げられる。
ソルビタン系の場合は例えば、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート等が挙げられ、ポリオキシエチレン(POE)系の場合は例えば、POE(EO:2mol付加)アルキル(C:12)エーテル、POE(EO:3mol付加)アルキル(C:12〜13)エーテル、POE(EO:5mol付加)アルキル(C:11〜15)エーテル等が挙げられ、グリセリン脂肪酸エステル系の場合は例えば、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等が挙げられ、アルケニルコハク酸エステル系の場合は例えば、アルケニルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸ジエステルなどが挙げられ、これらは1種でも2種類以上を同時に使用してもよい。
これらの中でも、ソルビタンモノオレート、POE(EO:5mol付加)アルキル(C:11〜15)エーテル、アルケニルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸ジエステルが好ましい。
HLB値が11以下であるアニオン系界面活性剤としては、具体的には、アルケニルコハク酸及びその誘導体などが挙げられる。これらの中でも、アルケニルコハク酸が好ましい。
これらの界面活性剤の濃度は、固形分である原料シリコン含有粉末の量、粒径などを考慮して決定されるが、通常、原料シリコン含有粉末を含む酸洗処理液中濃度で、0.5重量%〜20重量%であり、好適には1重量%〜10重量%である。界面活性剤の濃度が、0.5重量%未満では原料シリコン含有粉末の表面を十分に被覆することができず、20重量%を超えると薬剤コストが増加するとともに水洗回数、廃液処理コストが増すため好ましくない。
尚、これらの界面活性剤は、酸洗工程において、原料シリコン含有粉末に十分接触すればよく、その方法は特に限定されない。例えば、フッ化水素酸のみを含む水溶液を原料シリコン含有粉末と接触させたのちに、前記界面活性剤を添加してもよい。一方で、フッ化水素酸によって酸化シリコン被膜が除去された原料シリコン含有粉末と水との反応に由来する水素の発生を効率よく抑制するためには、フッ化水素酸と原料シリコン含有粉末を接触させる前、或いは同時に界面活性剤を添加することが好ましい。
酸化被膜が除去された後の原料シリコン含有粉末の表面に吸着したこれらの界面活性剤の吸着力は強く、後工程の水洗工程や固液分離工程においても離脱し難いため、凝集や再酸化防止効果を維持することができる。
そのため、後述するように水洗工程では静置懸洗法、固液分離工程では吸引濾過法やフィルタープレス法など簡易な方法で処理することができる。
酸洗工程で用いるフッ化水素酸(HF)は、原料シリコン含有粉末の表面の二酸化シリコンからなる酸化被膜の除去効果を有する。
フッ化水素酸の濃度は、原料シリコン含有粉末の酸素含有量などを考慮して決定されるが、通常、原料シリコン含有粉末を含む酸洗処理液中濃度で、0.1重量%〜20重量%(HF純量換算)であり、好適には0.5重量%〜10重量%(HF純量換算)である。フッ化水素酸の濃度が、0.1重量%未満では二酸化シリコンの除去が十分に行えず、20重量%を超えると薬剤コストが増加するとともに水洗回数、廃液処理コストが増すため好ましくない。
また、酸洗用水溶液は、フッ化水素酸以外の酸成分として、塩酸、硫酸からなる群より選ばれた1種以上の無機酸を含むことが望ましい。これらの無機酸を含むことによって長周期型周期表における第4族〜第13族などの不純物元素を効果的に除去することができる。特に第11族の不純物元素を多く含有する場合には塩酸を含むことが望ましい。
無機酸の添加量は、原料シリコン含有粉末に含有される金属不純物の種類、量、並びに共存するフッ化水素酸の濃度によっても変化するが、通常、原料シリコン含有粉末を含む酸洗処理液中濃度で、0.1重量%〜20重量%(純量換算)の範囲である。
更に、酸洗用水溶液には、C5〜C35のパラフィン類、アゾール誘導体及びモルホリン誘導体からなる群より選ばれた1種以上の化合物(以下、「添加剤」と呼ぶ場合がある。)を含有することが好ましい。これらの化合物(添加剤)を含有することにより、酸洗中の原料シリコン含有粉末の凝集効果がより増大し、フロックの沈降速度が短縮させることができる。
これらの化合物(添加剤)の作用は完全に明らかではないが、酸洗中の原料シリコン含有粉末の表面に界面活性剤との相互作用により吸着することによって発現するものと推定される。これらの添加剤の添加量は、界面活性剤の添加量によっても変化するが、通常、原料シリコン含有粉末を含む酸洗処理液中濃度で、0.05重量%〜30重量%の範囲である。
これらの添加剤の具体例を示すと、C5〜C35のパラフィン類としては正パラフィン、分枝パラフィン、単環シクロパラフィン、二環シクロパラフィン、多環シクロパラフィン、単環芳香族炭化水素、二環芳香族炭化水素、多環芳香族炭化水素、縮合多環シクロパラフィン、縮合多環芳香族炭化水素、等が挙げられる。
アゾール誘導体としては、ベンゾトリアゾール系の1,2,3−ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール系の2−メルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。
モルホリン誘導体としては、モルホリン、チオモルホリン、イホスファミド、オキサジン、ベンゾフェノキサジンが挙げられる。
この中でも好ましくはC5〜C35のパラフィン、1,2,3−ベンゾトリアゾール、モルホリンであり、C16〜C22のパラフィンが特に好ましい。
これらの添加剤は、上述した界面活性剤と同様に後述する乾燥工程において、不活性ガス雰囲気において450℃以上で熱処理することでシリコン含有粉末表面から除去することが可能である。
尚、本発明に係る酸洗用水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば、緩衝剤やpH調整剤など他の添加成分を添加してもよい。但し、添加成分は、後工程の水洗工程、若しくは乾燥工程において、除去されるものを選択する必要がある。
酸洗工程における処理温度は、通常、室温〜90℃、好適には40℃〜80℃である。反応時間は原料シリコン含有粉末に含有される二酸化シリコンの量で適宜設定すれば良いが、通常1時間〜3時間である。
次に水洗工程、固液分離工程及び乾燥工程について説明する。
酸洗工程後の酸洗用水溶液には二酸化シリコン及び金属不純物が除去されたシリコン含有粉末(シリコン含有粉末(a))以外にも、液中に溶出したシリコン化合物及び金属不純物が存在する。次工程である水洗工程では、これらの可溶性不純物及びフッ化水素酸や無機酸の酸成分が除去される。
水洗の方法は、特に限定されないが、シリコン含有粉末(a)を沈降させ、清澄な上澄み液を交換する静置分離法が簡便な装置で実施可能なため好ましい。具体的には上澄み液がpH=5以上になるまで静置懸洗を繰り返すことが好ましい。尚、この静置分離法は、シリコン含有粉末(a)の凝集体が壊れ難く、凝集性が継続できるため、後工程の固液分離への移行が容易となるという利点もある。
シリコン含有粉末(a)を水洗した後のシリコン含有粉末(b)は、次工程の固液分離により脱水され、脱水ケーキとなる。
尚、「脱水ケーキ」とは、水洗後のシリコン含有粉末(b)を固液分離により脱水したものであり、固液分離により得られる固形分としてのシリコン含有粉末(シリコン含有粉末(c))以外にも、脱水過程で残存した水分や界面活性剤、添加剤など、完全に除去できないものを含んでいてもよい。
固液分離の方法としては、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離などの方法が適用できる。装置コスト及び脱水効率の面から吸引濾過または加圧濾過が好ましい。
尚、酸洗工程後のスラリー液を、そのまま濾過機で濾過し、通水洗浄で洗浄液pH=5以上になるまで水洗する方法を用いても構わない。
固液分離後の脱水ケーキは、次工程の乾燥工程にて乾燥され、シリコン再利用のための精製シリコン含有粉末となる。
乾燥の方法は、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥のいずれでも良いが、酸洗時に添加した界面活性剤等を効率的に除去するには加熱乾燥であることが好ましい。乾燥の雰囲気は、再酸化防止のため、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気で行われることが好ましい。脱水ケーキ中に残留する水分及び界面活性剤等を効率よく除去するには、水分除去を目的とした乾燥の後に、引き続いて界面活性剤等の有機物除去を目的とした高温乾燥が必要である。この場合、例えば450℃以上の温度で1時間〜3時間の加熱乾燥を行うことが好ましい。
次に本発明の回収方法における各工程についての好適な実施方法について説明する。尚、本発明は以下に述べる実施方法に限定されるものではない。
1)酸洗工程
酸洗工程はさらに以下の工程に分類できる。
[1]原料シリコン含有粉末濃度調整工程
[2]界面活性剤及び添加剤の添加工程
[3]フッ化水素酸及び無機酸の添加工程
[4]酸洗処理
[1]原料シリコン含有粉末濃度調整工程
本発明の回収方法では、酸洗用水溶液の成分としてフッ化水素酸及び無機酸を用い、加熱しながら原料シリコン含有粉末を処理することもあるため、これらの薬液及び処理温度に対して耐食性及び耐熱性等を考慮して処理装置の材質を選定する。例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質塩ビなどの樹脂系材質又はこれらでライニング等を施した攪拌機付き処理槽又は容器が挙げられる。
また、精製処理では上記反応式(2)及び金属不純物と無機酸との反応により水素ガスの発生を伴うため、処理槽、排気ライン、排ガス設備等には、水素ガスによる引火、爆発防止を考慮した設備を備える必要がある。
具体的な実施方法は、まず、処理槽に所定量のイオン交換水を仕込み攪拌する。引き続いて、所定量の原料シリコン含有粉末を室温で仕込み、攪拌下で混合分散させて原料シリコン含有粉末のスラリー濃度調整液を作製する。尚、原料シリコン含有粉末の形態は、その排出経緯で異なるが、粉末状、スラッジ状、スラリー状、いずれの形態でも構わない。
[2]界面活性剤及び添加剤の添加工程
次に、上記の原料シリコン含有粉末のスラリー濃度調整液に室温、攪拌下で所定量の界面活性剤及び添加剤を続けて添加し、所定時間、攪拌してこれらを均一に分散させる。尚、界面活性剤及び添加剤の添加順序は特に限定する必要は無く、どちらが先でも構わない。
[3]フッ化水素酸及び無機酸の添加工程
上記の界面活性剤及び添加剤が添加された原料シリコン含有粉末スラリー液に室温、攪拌下で所定量のフッ化水素酸及び無機酸を徐々に添加する。この時、上記反応式(1)の反応熱及び希釈熱による発熱を伴うため、スラリー液温度が後述する酸洗処理温度以下で徐々に添加することが好ましい。フッ化水素酸及び無機酸の添加順序はどちらが先でも構わないが、原料シリコン含有粉末表面の酸化膜を優先的に除去するためにフッ化水素酸を先に添加することが好ましい。また、発熱が激しい場合は、外部冷却により、スラリー液温度を所定温度範囲内に制御することが好ましい。
[4]酸洗処理
酸洗処理の目的は、原料シリコン含有粉末の表面酸化膜の除去及び金属不純物の除去であり、処理操作としては、前述の原料シリコン含有粉末/界面活性剤/添加剤/フッ化水素酸/無機酸の水スラリー液を攪拌下で室温〜90℃の所定温度で1時間〜3時間程度の処理することで、これらの除去対象物を可溶化して水層側に溶出させることで除去する。除去効率を高めるために加温することが好ましく、加温方法は外部加熱方式又は液中コイル式、ジャケット方式等を用いれば良く、特に制約はない。また、処理温度及び時間は、原料シリコン含有粉末の処理濃度、含有不純物量、酸洗薬液濃度などにもよるが、目的とする酸化膜及び金属等の不純物が除去できる条件を適宜決定すれば良いが、通常、40℃〜80℃で1時間〜3時間の処理で十分である。
2)水洗工程
酸洗操作が室温以上の温度で処理された場合は、水洗前に処理スラリー液を水洗操作が効率的に行える温度まで冷却することが好ましい。その冷却方法は、外部冷却方式又は液中コイル式ジャケット方式、水希釈方式など適宜選定すれば良く、特に限定されない。
水洗方法は、例えば、静置懸洗法、強制置換法などが挙げられる。
静置懸洗法を採用する場合は、処理槽側面に所定間隔で上澄み液抜き出し口を設ける。又は、処理槽上部から上澄み液を吸引抜き出しできる上下可動できる抜き出し管を設けるなどの装備を備えた処理槽を用いる。静置懸洗法の操作方法は、静置によりシリコン含有粉末を沈降させ、清澄な上澄み層を系外に抜き出した後、新たにイオン交換水を添加して攪拌後、静置する操作を繰り返すことで、水溶液中に溶解している不純物やフッ化水素酸、無機酸を除去する。水洗の目安としては、上澄み液がpH=5以上になるまで静置懸洗を繰り返すことで達成される。
一方、強制置換法を採用する場合は、固形分をフィルタープレスやヌッチェなどを用いて濾過分離後、イオン交換水で通水洗浄し、洗浄濾液がpH=5以上になるまで強制置換を繰り返すことで行われる。
以上の方法は、あくまで例示であり、処理スラリー液中に溶解している不純物やフッ化水素酸、無機酸が除去できる方法であれば特に限定されない。また、設備、装置に用いる材質は、フッ化水素酸、無機酸に対して耐食性があるものを選定する。例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、硬質塩ビなどの樹脂系材質又はこれらでライニング等を施したものが好ましい。
尚、上述の水洗工程で分別した酸洗用水溶液は、溶解した不純物量を考慮して酸洗用水溶液として再利用しても構わない。但し、回収精製されたシリコン含有粉末の精製度に影響しない範囲で再利用することが重要である。
3)固液分離工程
前述の静置懸洗法の場合は、最終の静置分離後の沈降層を、強制置換法と同様にフィルタープレスやヌッチェなどを用いて濾過することで固液分離を行い、最終的には圧搾等により含有水分を低減した脱水ケーキが得られる。
尚、固液分離の方法は脱水ケーキが得られる方法であれば特に限定されず、濾過法、遠心分離法、スプレードライ法、ロータリーキルン法などから適宜選定して構わない。
また、前記の脱水ケーキ中には、シリコン含有粉末以外にも界面活性剤や添加剤など水洗工程で完全に除去できないものを含んでいてもよい。
4)乾燥工程
乾燥設備は、アルゴンや窒素などの不活性ガスを通気できること及び室温〜500℃程度の温度範囲が制御可能な設備であれば特に限定されないが、例えば、箱型乾燥機や減圧乾燥、振動流動乾燥機、コニカルドライヤーなどが挙げられる。
乾燥工程の後に得られた精製シリコン含有粉末は、ただちに再溶融される場合においては、そのまま再溶融工程に供されるが、それ以外の場合において、保管時の再酸化を抑制するために、下記の梱包工程に行うことが好ましい。
5)梱包工程
乾燥後、60℃以下の温度まで乾燥設備を放冷又は冷却したのちに、精製シリコン含有粉末を取り出す。その後、密閉可能な袋状のフィルム製包材に入れ、アルゴンや窒素などの不活性ガスで気相部を置換して密閉する。この密閉操作の時に、減圧包装しても構わない。梱包工程では、包装容器中に空気(酸素)が混入し、精製シリコン含有粉末が再酸化されるのを防止することが重要であり、空気又は水分との接触を防ぎ、再酸化防止が図れるものであれば前記の方法に限定されない。
以上の様に、本発明の回収方法にて処理することにより、半導体産業及び太陽電池産業から排出されている体積平均粒径で、0.1μm〜20μmである原料シリコン含有粉末から、酸素濃度を、3.0%以下(対シリコン重量)、金属濃度を50ppm以下(対シリコン重量)とし、さらに乾燥を不活性ガス雰囲気下、450℃以上で加熱乾燥にて行うことにより、炭素濃度が0.05%以下(対シリコン重量)の精製シリコン含有粉末として、少なくとも80%以上、より好適な条件では90%以上の高収率で回収することができる。
このため、本発明の回収方法にて回収されたシリコン含有粉末(精製シリコン含有粉末)は、再溶融用シリコン原料として好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下、特に指定のない場合の%表示は、重量%を意味する。
使用した原料シリコン含有粉末、界面活性剤、添加剤、その他の化学物質、実験用使用機器、分析装置、中量試作設備は次の通りである。
「原料シリコン含有粉末」
実施例及び比較例に用いた、代表的な原料シリコン含有粉末の組成、不純物含有量等を表1に、体積粒度分布を図1〜5に示す。
Figure 0005474523
また、実施例及び比較例に用いた、原料シリコン含有粉末、界面活性剤、添加剤の種類及び酸洗液中濃度を表2,表3,表4に示す。尚、表2〜4において、界面活性剤の種類は次の略号にて記載した。
「界面活性剤」
・ソルビタンモノオレート、(略号:N1、ノニオン系)
・ソルビタントリオレート、(略号:N2、ノニオン系)
・グリセロールモノオレート(略号:N3、ノニオン系)
・POE(2)アルキル(C:12)エーテル、(略号:N4、ノニオン系)
・POE(3)アルキル(sec C:12〜13)エーテル、(略号:N5、ノニオン系)
・POE(5)アルキル(sec C:11〜15)エーテル、(略号:N6、ノニオン系)
・POE(7)アルキル(sec C:11〜15)エーテル、(略号:N7、ノニオン系)
・POE(20)ソルビタンラウレート、(略号:N8、ノニオン系)
・アルケニル(C:8〜18)コハク酸ハーフエステル、(略号:N9、ノニオン系)
・アルケニル(C:8〜18)コハク酸ジエステル、(略号:N10、ノニオン系)
・アルケニル(C:8〜18)コハク酸、(略号:A1、アニオン系)
・β―ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルマリン縮合物、(略号:A2、アニオン系)
・POE(2)ラウリルアミン、(略号:K1、カチオン系)
・ステアリルアミンアセテート、(略号:K2、カチオン系)
「添加剤」
尚、表2〜4において、添加剤の種類は略号にて記載した。
・パラフィン(C:5)、(略号:T1)
・パラフィン(C:9〜22)、(略号:T2)
・パラフィン(C:16〜22)、(略号:T3)
・パラフィン(C:25〜35)、(略号:T4)
・ベンゾトリアゾール、(略号:T5)
・モルホリン、(略号:T6)
「無機酸類」
・工業用弗酸 55%溶液 (ステラケミファ)
・工業用硫酸 98%溶液 (高杉製薬)
・工業用塩酸 35%溶液 (高杉製薬)
「高分子凝集剤」
・高分子カチオン系凝集剤:PVAD6450(ダイヤニトリックス社製)
「イオン交換水」 比抵抗6〜10MΩ
「実験用使用機器」
1)実験用反応容器:1Lポリプロピレン製反応容器(95mmφ×高さ200mm)
0.5Lポリプロピレン製反応容器(75mmφ×高さ165mm)
攪拌翼:テフロンコーティングを施したSUS製(翼径8mmの2枚翼)
スリーワンモーター
2)加熱装置:ヒーター付きウォーターバス
3)濾過装置:9mmφポリプロピレン製ヌッチェ、2Lガラス製ろ瓶、
アスピレーター吸引タイプ
4)乾燥機:後述の中量用試作設備の乾燥機を使用
「分析装置」
1)酸素窒素分析計:LECO社製 TC−436
2)炭素硫黄分析計:LECO社製 CS−444LS
3)誘導結合プラズマ発光分光分析計
:サーモンエレクトロン社製 XシリーズiCAP6300
4)粒度分布計 :Microtrac社製 MicrotracHRT
「中量用試作設備」
1)反応槽 230L SS+テフロン ライニング(菱化イーテック社 製作品)
円筒縦型平蓋下鏡 650Φ×700H
攪拌機:シンエイ化学機械社製 可変抵抗型
型式 :DTDP AZ-857 225rpm
モーター:住友金属工業 0.1kW
攪拌プロペラ材質:SS+テフロンコーティング
2)水洗槽 230L SS+塩ビ ライニング(菱化イーテック社 製作品)
円筒縦型平蓋下鏡 650Φ×700H
攪拌機:シンエイ化学機械社製 可変抵抗型
型式 :DTDP AZ-857 225rpm
モーター:住友金属工業 0.1kW
攪拌プロペラ材質:SS+テフロンコーティング
3)固液分離装置
日本濾過装置社製: 型式 PF−2.1C−30
470mm×8室PP製圧搾式手動型フィルタープレス
総濾過面積: 約2.1m2
総濾過容積: 約25L
濾室内ケーキ厚み:30mmt
濾過圧力:0.4MPa
圧搾圧力:0.5MPa
シリンダー締付圧力: 13MPa
濾板:PP製 (ヒシプレート:三菱樹脂社製)
PP製単式普通プレート 5枚
PP製圧搾プレート 4枚
濾布:P26-2C 通気度 20 (敷島カンバス株式会社製)
4)乾燥機
アドバンテック社製 DRH653WA−改(窒素雰囲気仕様)
内寸:W600×D600×H600(内容量:216L)
内装材質:SUS-304
使用温度範囲:常温+50℃〜500℃
乾燥容器:石英皿(寸法:W420×D250×H50 〔6枚〕)
5)ポンプ
イワキ社製:エアー駆動ダイヤフラムポンプ 〔5台〕
型式:YD−151VT 〔材質:PVDF/PTFE〕
能力:45L/min×0.4MPa
エアー源:オイルフリーベビコン(株式会社日立産機システム社製)
型式:2.2OU-9.5G5/6 〔材質:SS〕
能力:36Nm3×0.7MPa、5.5kW
内容積:0.17m3
最高使用圧力:1.08MPa
6)排ガス処理装置
セイコー化工機社製:TRS-F100Z 〔材質:FRP〕
外寸:Φ1000×2360H
能力 100m3/min
7)集塵機
ムラコシ社製 :ムラコシパルショック HMP−3000KA 〔材質:SS〕
能力:33m3/min
風量・静圧:1080m3/Hr 、2.85kPa
濾過面積:12m2
濾布材質:テフロン膜付・静電防止型
8)排水タンク
ダイライト社製:ユカテナーMER−B-ZG 〔2基〕
容量:1000L
寸法:W1134×D1134×H1541
実施例1
0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:31gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末A:56g(固形分54.1%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに攪拌下で界面活性剤(N4:POE(2)アルキル(C12)エーテル:3.0g)を添加して5分間攪拌して分散させた。続いて、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:10gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:30%、界面活性剤:3.0%、HF:2%である。
次に、約30分を要して液温度を70℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行った。
次に、このスラリー液をポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過して脱水ケーキとして取り出した。この脱水ケーキを、乾燥機を用いて窒素雰囲気下、500℃にて2時間保持して乾燥させることで精製シリコン含有粉末を得た。結果を表2に示す。
実施例2
界面活性剤に、N5:POE(3)アルキル(sec-C12〜13)エーテル 3.0gを用い、乾燥条件を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例3
界面活性剤に、N6:POE(5)アルキル(sec-C11〜15)エーテル 3.0gを用いた以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例4
界面活性剤に、N2:ソルビタントリオレート:1.5g、添加剤にT5:ベンゾトリアゾール(BTA) 1.5gを用い、乾燥条件を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例5
界面活性剤に、N2:ソルビタントリオレート 1.2g、添加剤にT2:パラフィン(C9〜22):1.8gを用い、乾燥条件を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例6
界面活性剤に、N3:グリセロールモノオレート 1.2g、添加剤にT2:パラフィン(C9〜22):1.8gを用い、乾燥条件を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例7
界面活性剤に、N1:ソルビタンモノオレート 1.5g、添加剤にT6:モルホリン:1.5gを用い、酸洗温度を60℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例8
界面活性剤に、N1:ソルビタンモノオレート 1.5g、添加剤にT5:ベンゾトリアゾール(BTA):1.5gを用い、酸洗温度を60℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例9
界面活性剤に、N1:ソルビタンモノオレート 1.2g、添加剤にT2:パラフィン(C9〜C22):1.8gを用い、酸洗温度を60℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例10
界面活性剤に、N4:POE(2)アルキル(C12)エーテル 1.2g、添加剤にT2:パラフィン(C9〜C22):1.8gを用い、乾燥条件を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例11
界面活性剤に、N6:POE(5)アルキル(sec-C11〜15)エーテル 1.5g、添加剤にT1:パラフィン(C5):1.5gを用いた以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例12
界面活性剤に、N6:POE(5)アルキル(sec-C11〜15)エーテル 1.2g、添加剤にT2:パラフィン(C9〜22):1.8gを用いた以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表2に示す。
実施例13
界面活性剤に、N6:POE(5)アルキル(sec-C11〜15)エーテル 1.5g、添加剤にT3:パラフィン(C16〜22):1.5gを用いた以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例14
界面活性剤に、N6:POE(5)アルキル(sec-C11〜15)エーテル 1.5g、添加剤にT4:パラフィン(C25〜35):1.5gを用いた以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例15
イオン交換水を72gに、原料シリコン含有粉末B:15g(固形分99.9%)仕込み、界面活性剤に、N1:ソルビタンモノオレート 1.5g、添加剤にT6:モルホリン:1.2g、T5:ベンゾトリアゾール(BTA):0.3gを用い、酸洗温度を60℃、乾燥温度を450℃で行った以外は実施例1と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例16
イオン交換水を43gに、フッ化水素酸の添加後に35%塩酸:28.8gを添加した以外は実施例15と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例17
0.5Lポリプロピレン製反応容器をウォーターバスにセットして、10%フッ化水素酸 20gを仕込み、攪拌しながら室温下で35%塩酸28.8g添加し、引き続いて、A1:アルケニルコハク酸、N9:アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN10:アルケニルコハク酸ジエステルの混合液(混合比率1:1:1)1.8g、T3:パラフィン(C16〜22)1.2gを添加して酸洗溶液を調整した。これに、温度上昇及び発泡状況に注意しながらシリコン含有粉末D:48g(固形分62.5%)を酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:30%、HF:2%、塩酸:10%、界面活性剤:1.8%、添加剤:1.2%である。
次に、約30分を要して液温度を70℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行った。
次に、このスラリー液をポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過して脱水ケーキとして取り出した。この脱水ケーキを、乾燥機を用いて窒素雰囲気下、450℃にて2時間保持して乾燥させることで精製シリコン含有粉末を得た。結果を表3に示す。
実施例18
界面活性剤に、A1:アルケニルコハク酸 1.8gを用いた以外は実施例17と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例19
20%フッ化水素酸 10g、界面活性剤のA1:アルケニルコハク酸、N9:アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN10:アルケニルコハク酸ジエステルの混合液(混合比率1:1:1) 0.75g、添加剤のT3:パラフィン(C16〜22)0.5g、イオン交換水3g、原料シリコン含有粉末D:57g(固形分62.5%)にした以外は実施例17と同じ操作を行った。結果を表3に示す。
実施例20
0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:63gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末C1−1:32g(固形分98.5%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を調整した。
これに攪拌下で界面活性剤N1:ソルビタンモノオレート:1.2g、添加剤T2:パラフィン(C9〜22)1.8gを添加して5分間攪拌して分散させた。続いて、温度上昇に注意しながら98%硫酸 5.1gを室温〜70℃の範囲で徐々に添加した後、70℃に昇温して、この温度で3時間保持して、酸洗前処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行い、最後に清澄な上澄み液:50gを吸引除去して酸洗前処理液(C1−2)を得た。
次に、イオン交換水:11gを添加した後、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:10gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加した。続いて、35%塩酸28.8gを添加して、約30分を要して液温度を70℃に昇温した後、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行った。
次に、このスラリー液をポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過して脱水ケーキとして取り出した。この脱水ケーキを、乾燥機を用いて窒素雰囲気下、450℃にて2時間保持して乾燥させることで精製シリコン含有粉末を得た。結果を表3に示す。
実施例21
1Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:200gを入れ、攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有廃液C2−1:133g(固形分35.5%、水性クーラント分:53.8%、水分:10.8%)を仕込み、更に10分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を調製し、次に、高分子カチオン系凝集剤:PVAD6450の0.5%水溶液 77g(対固形分 約8000ppm)を添加し、固形分を凝集させた。このスラリーをポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過を行った後、水性クーラントをほぼ除去したシリコン含有粉末脱水ケーキ(C2−2:固形分53.2%、水性クーラント分2.8%、水分44.5%)を得た。
次に、0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:37gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で前記のシリコン含有粉末脱水ケーキ(C2−2)58gを仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を調製し、これに界面活性剤N1:ソルビタンモノオレート 1.2g、添加剤T2:パラフィン(C9〜22)1.8gを添加して5分間攪拌して分散させた。続いて、温度上昇に注意しながら98%硫酸 5.1gを室温〜70℃の範囲で徐々に添加した後、70℃に昇温して、この温度で3時間保持して、酸洗前処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行い、最後に清澄な上澄み液:50gを吸引除去して酸洗前処理液(C2−3)を得た。
これ以降は、前記の実施例20と同様の操作を行い精製シリコン含有粉末を得た。結果を表3に示す。
実施例22
中量用試作設備を用いて、以下の試作を行った。
230L反応槽にイオン交換水を21kg入れた後、室温で攪拌を行いながら原料シリコン含有粉末スラッジA(固形分54.1%)56kgを仕込み、30分攪拌を行うことでシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を調整した。次に、界面活性剤N5:POE(3)アルキル(sec-C:12〜13)エーテルと添加剤T1:パラフィン(C:5)の混合液(混合比率1:1)を3.0kgを添加し、5分間攪拌して分散させた。続いて、温度上昇及び発泡状況に注意しながら10%フッ化水素酸:20kgを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:30%、界面活性剤:1.5%、添加剤:1.5%、HF:2%である。次に、反応槽ジャケットに1.8kg/cm2蒸気を通気して約30分を要して液温度を70℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、230L水洗層へポンプを用いて移送し、シリコン含有粉末を静置沈降させた。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行った。
次に、このスラリー液をポンプにて圧搾式手動型フィルタープレス(濾過面積2.1m2)に送液し、圧搾を行った後、得られたケーキを窒素雰囲気、500℃にて2時間乾燥させ、精製シリコン含有粉末28kgを得た。結果を表3に示す。
実施例23
界面活性剤に、N1:ソルビタンモノオレート 1.5kg、添加剤にT6:モルホリン:1.2kg、T5:ベンゾトリアゾール(BTA):0.3kgを、酸洗温度を60℃、乾燥温度を450℃で行った以外は実施例22と同じ操作を行い、精製シリコン含有粉末25kgを得た。結果を表3に示す。
実施例24
イオン交換水:34kg、原料シリコン含有粉末B:15kg(固形分99.9%)仕込み、フッ化水素酸を添加後に、35%塩酸28.8kgを添加し対外は、実施例23と同じ操作を行い、精製シリコン含有粉末12.5kgを得た。結果を表3に示す。
比較例1
0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:34gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末A:56g(固形分54.1%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:10gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加したところ、著しい発泡と共にスカム状の堆積浮遊層が処理液体積と同量程度、形成され、仕込み時の約二倍の液面上昇を生じた。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:30%、HF:2%である。
次に、約30分を要して液温度を60℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させてみたが、スカム層に変化は見られず、上澄み層も微粒子が浮遊して濁っており、沈降分離が不可能であったため、次工程の水洗を中止した。結果を表4に示す。
比較例2
特許文献1の処理方法を確認すべく、0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:27gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末A:28g(固形分54.1%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:35gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加したところ、著しい発泡と共にスカム状の堆積浮遊層が処理液体積と同量程度、形成され、仕込み時の約二倍の液面上昇を生じた。続いて、98%硫酸:10gを添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:15%、HF:7%、硫酸:10%である。
次に、約30分を要して液温度を60℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させてみたが、スカム層に変化は見られず、上澄み層も微粒子が浮遊して濁っており、沈降分離が不可能であったため、次工程の水洗を中止した。結果を表4に示す。
比較例3
特許文献2の処理方法を確認すべく、1Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:200gを入れ、攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有廃液C2−1:133g(固形分35.5%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに、次に、高分子カチオン系凝集剤:PVAD6450の0.5%水溶液 47g(対固形分 約5000ppm)を添加し、室温で10分間攪拌した後、攪拌を停止して凝集した固形分を沈降させた。次に、このスラリー液をポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過して脱水ケーキとして取り出した。この脱水ケーキを、乾燥機を用いて窒素雰囲気下、450℃にて2時間保持して乾燥させてシリコン含有粉末(C2−2)を回収した。表1及び表4に、この回収粉の不純物含有量を示すが、金属類、酸素含有量、炭素含有量が多い結果であった。
比較例4
0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:65gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末B:15g(固形分99.9%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:10gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加したところ、著しい発泡と共にスカム状の堆積浮遊層が処理液体積と同量程度、形成され、仕込み時の約二倍の液面上昇を生じた。続いて、98%硫酸:10gを添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:15%、HF:2%、硫酸:10%である。
次に、約30分を要して液温度を60℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させてみたが、スカム層に変化は見られず、上澄み層も微粒子が浮遊して濁っており、沈降分離が不可能であったため、高分子カチオン系凝集剤:PVAD6450の0.5%水溶液 15g(対固形分 約5000ppm)を添加し、5分間攪拌した後、攪拌を停止して静置したところ、スカムも含め凝集沈降した。次に、清澄な上澄み液を吸引除去し、除去した上澄み液と同量のイオン交換水を沈降したスラリー液に添加して5分間、攪拌して、再び静置沈降させた。この操作を繰り返して、上澄み液がpH=5になるまで静置懸洗を行ったが、PH3を過ぎたところから凝集状態が悪くなり、1回あたりの静置分離をするのに1時間程度要した。
次に、このスラリー液をポリプロピレン製ヌッチェを用いて吸引濾過して脱水ケーキとして取り出した。この脱水ケーキを、乾燥機を用いて窒素雰囲気下、400℃にて1時間保持して乾燥させることで精製シリコン含有粉末を得た。表4に、この精製シリコン含有粉末の不純物含有量を示すが、金属類、酸素含有賞、炭素含有量が多い結果であった。
比較例5
0.5Lポリプロピレン製反応容器にイオン交換水:31gを入れ、ウォーターバスにセットして攪拌を行いながら室温で原料シリコン含有粉末A:56g(固形分54.1%)を仕込み、更に30分間、攪拌を継続してシリコン含有粉末が均一に分散したスラリー液を得た。これに攪拌下で界面活性剤(N7:POE(7)アルキル(sec-C:11〜15)エーテルを3.0g)を添加して5分間攪拌して分散させた。続いて、温度上昇及び発泡状況に注意しながら20%フッ化水素酸:10gを酸処理設定温度以下の範囲で徐々に添加した。この時点での酸処理液中の原料スラリー濃度:30%、界面活性剤:3.0%、HF:2%である。
次に、約30分を要して液温度を70℃に昇温し、この温度で3時間保持して酸洗処理を行った。引続いて、加温を停止して30℃以下になるまで冷却した後、攪拌を停止してシリコン含有粉末を静置沈降させてみたが、凝集効果が得られず、上澄み層に微粒子が浮遊して濁っており、沈降分離が不可能であったため、次工程の水洗を中止した。結果を表4に示す。
比較例6
界面活性剤に、N7:POE(7)アルキル(C11〜15)エーテル 1.2g、添加剤に、T2:パラフィン(C9〜C22) 1.8gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例7
界面活性剤に、N8:POE(20)ソルビタンラウレート 3.0gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例8
界面活性剤に、N8:POE(20)ソルビタンラウレート 1.2g、添加剤に、T2:パラフィン(C9〜C22) 1.8gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例9
界面活性剤に、A2:β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン 3.0gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例10
界面活性剤に、K1:POE(2)ラウリルアミン 3.0gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例11
界面活性剤に、K1:POE(2)ラウリルアミン 1.2g、添加剤に、T2:パラフィン(C9〜C22) 1.8gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例12
界面活性剤に、K2:ステアリルアミンアセテート 3.0gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
比較例13
界面活性剤に、K2:ステアリルアミンアセテート 1.5g、添加剤に、T5:ベンゾトリアゾール 1.5gを用いた以外は比較例5と同じ操作を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005474523
Figure 0005474523
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本発明によると、効率的に高純度シリコン原料として再使用できる精製シリコン含有粉末が回収可能なため、工業的に有望である。

Claims (8)

  1. 表面の一部又は全体が、二酸化シリコンで被覆されている原料シリコン含有粉末を、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及び/またはHLB値が11以下であるアニオン系界面活性剤並びにフッ化水素酸を含有する酸洗用水溶液に接触させ、前記シリコン含有粉末の表面を洗浄し、シリコン含有粉末(a)とする酸洗工程と、
    シリコン含有粉末(a)を水で洗浄し、シリコン含有粉末(b)とする水洗工程と、
    シリコン含有粉末(b)を固液分離し、シリコン含有粉末(c)とする固液分離工程と、
    シリコン含有粉末(c)を乾燥させる乾燥工程と、
    を含むことを特徴とする精製シリコン含有粉末回収方法。
  2. 前記原料シリコン含有粉末の体積平均粒径が、0.1μm以上20μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  3. 前記酸洗用水溶液が、HLB値が11以下であるノニオン系界面活性剤及びフッ化水素酸を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  4. 前記HLB値が11以下のノニオン系界面活性剤が、ソルビタン系、ポリオキシエチレン系、グリセリン脂肪酸エステル系及びアルケニルコハク酸エステル系の界面活性剤からなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  5. 前記HLB値が11以下のアニオン系界面活性剤が、アルケニルコハク酸であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  6. 前記酸洗用水溶液が、塩酸、硫酸からなる群より選ばれた1種以上の無機酸を更に含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  7. 前記酸洗用水溶液が、C5〜C35のパラフィン類、アゾール誘導体及びモルホリン誘導体からなる群より選ばれた1種以上の化合物を更に含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
  8. 前記乾燥工程において、不活性ガス雰囲気下、450℃以上でシリコン含有粉末(c)の乾燥を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の精製シリコン含有粉末回収方法。
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