JP3415382B2 - 高純度珪素粉末の製造方法 - Google Patents

高純度珪素粉末の製造方法

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JP3415382B2 JP34564796A JP34564796A JP3415382B2 JP 3415382 B2 JP3415382 B2 JP 3415382B2 JP 34564796 A JP34564796 A JP 34564796A JP 34564796 A JP34564796 A JP 34564796A JP 3415382 B2 JP3415382 B2 JP 3415382B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度珪素粉末の
製造方法に関し、詳しくは太陽電池やセラミックスの原
料に供して好適な高純度珪素粉末を安価に、かつ、簡易
に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化学工業用に用いられる金属珪素は、通
常、純度が99.5%以上のものである。しかし、通常
の化学工業用金属珪素は、Fe、AlやCa等の不純物
を1,000ppm近く含有しているため、そのままで
は高純度が要求される太陽電池やセラミックスの原料と
することはできない。
【0003】ここで、上記Fe、AlやCa等の不純物
は、金属珪素の結晶粒子の界面及び内部に存在している
ことが知られている。このような金属珪素の結晶粒子界
面等に存在する不純物を除去する方法としては、金属
珪素を溶融して再結晶化させ、これを100μm以下に
粉砕して酸処理する方法(特開昭60−195015号
公報、特開昭60−195016号公報参照)や、金
属珪素を溶融せず、粒子径の大きい金属珪素粒子を高濃
度のHF、HClやHNO3 等の酸を用いて40〜90
℃で加熱処理する方法が提案されている。
【0004】しかし、上記の方法では、金属を一旦
1,500℃以上の高温で溶融させるため、エネルギー
コストが大きく、高価になるという欠点がある。また、
上記の方法では、金属珪素の粒子内部に点在する不純
物を除去することができないため、精製効率が低くなる
等の欠点がある。そこで、特開平6−107406号公
報には、純度が99.5%以上の金属珪素を50μm以
下に粉砕し、1〜5重量%のHF水溶液を用いて常温で
処理した後、ろ過、水洗する金属珪素の精製方法が開示
されている。
【0005】この精製方法では、まず金属珪素を50μ
m以下に粉砕する。これにより、金属珪素の結晶粒子の
界面及び内部に偏析ないし点在していた不純物が、粉砕
により微細化された粉粒体の表面に露出される。その
後、この粉砕により得られた金属珪素粉末をHF水溶液
で処理することにより、粉粒体表面に露出した不純物を
常温で容易に除去することができる。なお、粉砕された
金属珪素粉末の表面には、空気中の酸素との反応により
自然酸化膜(SiO2 )が形成されており、不純物を除
去するためにはこの自然酸化膜を予め除去しなければな
らないが、上記HF水溶液で処理することにより、この
自然酸化膜を除去することができる。したがって、この
方法によれば、安価に、かつ、簡易に高純度の珪素粉末
を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に開
示された技術では、不純物の除去を安定に行い得ないと
いう欠点がある。すなわち、HF水溶液で金属珪素粉末
を処理すると、まず金属珪素粉末の表面に形成されてい
るSiO2 膜(自然酸化膜)が下記(1)式の反応で溶
解する。これにより、金属珪素粉末の表面に存在する不
純物をHF水溶液中に分離、除去することが可能とな
る。
【0007】 SiO2 +4HF→SiF4 ↑+2H2 O …(1) 次に、SiO2 が溶解したときに発生したSiF4 (四
フッ化珪素、気体)が水に溶解し、H2 SiF6 (ケイ
フッ化水素酸)が生成する。このH2 SiF6が金属珪
素の表面を下記(2)式の反応で溶解させる。これによ
り、金属珪素粉末の内部に存在する不純物をHF水溶液
中に分離、除去することが可能となる。
【0008】 Si+H2 SiF6 →H2 ↑+Si2 6 ↑ …(2) ここで、上記(1)式で発生したSiF4 は常温で気体
(沸点:−65℃)であるため、反応容器の密閉度や気
温等により水に溶解する量が異なる。つまり、SiF4
が水に溶解することにより生成されるH2 SiF6 の濃
度は、反応容器の密閉度や気温等の影響を受けて不安定
になる。このため、上記(2)式の反応が不安定にな
り、不純物の除去量、特に金属珪素粉末の内部に存在す
る不純物を除去できる不純物の除去量にばらつきが生じ
やすくなる。
【0009】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、安価に、かつ、簡易に高純度珪素粉末を製造する
ことができ、しかも十分に安定して不純物を除去するこ
とのできる高純度珪素粉末の製造方法を提供することを
解決すべき技術課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1記載の高純度珪素粉末の製造方法は、金
属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハーの切り粉を使
用して、金属珪素粉末を得る工程と、上記金属珪素粉末
をH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する工程とからなるこ
とを特徴とするものである。
【0011】この製造方法では、最初からある程度濃度
の高いH2 SiF6 を用いることができるので、HF水
溶液を用い洗浄処理中の反応によりHFから生成された
2SiF6 を利用して金属系素粉末を洗浄する従来方
法と比較して、より安定に不純物を除去することが可能
となる。 (2)請求項2記載の高純度珪素粉末の製造方法は、金
属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハーの切り粉を使
用して、金属珪素粉末を得る工程と、上記金属珪素粉末
を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する工程とからなる
ことを特徴とするものである。
【0012】この製造方法では、H2 SiF6 水溶液で
洗浄処理する場合と同様、水酸化アルカリ水溶液によ
り、金属珪素粉末から不純物をより安定に除去すること
が可能となる。 (3)請求項3記載の高純度珪素粉末の製造方法は、金
属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハーの切り粉を使
用して、金属珪素粉末を得る工程と、上記金属珪素粉末
を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する第1洗浄工程
と、上記水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理した金属珪素
粉末をさらにH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する第2洗
浄工程とからなることを特徴とするものである。
【0013】この製造方法では、水酸化アルカリ水溶液
及びH2 SiF6 水溶液双方により不純物の除去効果が
発揮されるので、より安定に、かつ効果的に不純物を除
去することができる。また、水酸化アルカリ水溶液及び
2 SiF6 水溶液を併用することにより、第1洗浄工
程処理後の水溶液と、第2洗浄工程処理後の水溶液とを
混合することにより、酸とアルカリを中和させつつ排水
処理することができるので、排水処理費用の増加を抑え
ることができる。
【0014】(4)請求項4記載の高純度珪素粉末の製
造方法は、請求項1、2又は3記載の高純度珪素粉末の
製造方法において、上記金属珪素粉末は平均粒径が3〜
15μmであることを特徴とするものである。この製造
方法では、特定範囲の平均粒径をもつ金属珪素粉末を用
いることで、粒径が大きすぎることによる不純物除去効
果の低減や、粒径が小さすぎることによる固液分離操作
性の低下等の問題が発生することを防ぐことができる。
【0015】(5)請求項5記載の高純度珪素粉末の製
造方法は、請求項1記載の高純度珪素粉末の製造方法に
おいて、上記H2 SiF6 水溶液の濃度が7〜20wt
%であることを特徴とするものである。この製造方法で
は、特定範囲の濃度をもつH2 SiF6 水溶液を用いる
ことで、濃度が低すぎることによる不純物除去効果の低
減や、濃度が高すぎることによる排水処理コストの増加
等の問題が発生することを防ぐことができる。
【0016】(6)請求項6記載の高純度珪素粉末の製
造方法は、請求項2記載の高純度珪素粉末の製造方法に
おいて、上記水酸化アルカリ水溶液の濃度が0.05N
以上であることを特徴とするものである。この製造方法
では、特定範囲の濃度をもつ水酸化アルカリ水溶液を用
いることで、濃度が低すぎることによる不純物除去効果
の低減の問題が発生することを防ぐことができる。
【0017】(7)請求項7記載の高純度珪素粉末の製
造方法は、請求項1又は2記載の高純度珪素粉末の製造
方法における、上記洗浄工程において、金属イオンを含
まない界面活性剤を添加することを特徴とするものであ
る。この製造方法では、金属イオンを含まない界面活性
剤を添加することで、洗浄処理中においてH2 ガスやS
iF4 ガスが発生した時に洗浄溶液の体積が増加するこ
とを抑えることができ、界面活性剤を添加しない場合と
比較して、反応容器の小型化が可能となる。
【0018】(8)請求項8記載の高純度珪素粉末の製
造方法は、金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハー
の切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る工程と、上記
金属珪素粉末をアンモニア水で洗浄処理する工程とから
なることを特徴とするものである。この製造方法では、
酸では完全に溶解除去することが難しい元素、例えばN
a、K、CuやMoをアンモニア水により洗浄除去する
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の高純度珪素粉末の
製造方法について、実施形態を説明する。 (金属粉末準備工程)本発明の高純度珪素粉末の製造方
法では、金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハーの
切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る。
【0020】上記金属珪素としては、純度が99.5%
以上の化学工業用グレードの金属珪素を用いることが好
ましい。この純度が99.5%以上の化学工業用グレー
ドの金属珪素は、例えば、珪砂を電気炉中で炭素、マグ
ネシウム又はアルミニウムで還元する方法により製造す
ることができる。なお、このようにして得られた金属珪
素には、通常、不純物としてFe、AlやCa等が1,
000ppm前後含まれている他、UやTh等の放射性
元素も数十〜数百ppb含まれている。
【0021】金属珪素の粉砕には、例えば、回転円筒式
ボールミルや振動ボールミルを用いることができる。粉
砕後は、メッシュふるいなどでふるい分けするか、又は
サイクロン等の分級機を用いて粗い粒子を除去等するこ
とにより、所定粒径の金属珪素粉末を得ることができ
る。また、本発明の製造方法では、シリコンウエハーの
切り粉を使用して金属珪素粉末を得ることもできる。す
なわち、シリコンインゴットをウエハー状に切断する際
に発生する切り粉を、そのまま金属珪素粉末として利用
することができる。このシリコンウエハーの切り粉は、
平均粒径が5μm程度であるため、あらためて粉砕する
必要はない。またシリコンウエハーの切り粉は純度が比
較的高いため、珪素を高純度化する本発明方法に極めて
好適に用いることができる。
【0022】金属珪素粉末の平均粒径としては、3〜1
5μmとすることが好ましく、3〜7μmとすることが
特に好ましい。金属珪素粉末の平均粒径が15μmを超
えると、不純物(特にウラン)の除去効果が極端に低下
する。一方、金属珪素粉末の平均粒径が3μm未満で
は、粉砕時に異物混入が多くなったり、洗浄工程後に固
液分離操作する際の効率が低下したりするなどの問題が
ある。
【0023】(洗浄工程)本発明の高純度珪素粉末の製
造方法では、上記金属粉末準備工程後、金属珪素粉末
をH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する工程、金属珪素
粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する工程、金
属珪素粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理しさらに
2 SiF6 水溶液で洗浄処理する工程(第1及び第2
洗浄工程)、又は金属珪素粉末をアンモニア水で洗浄
処理する工程が実施される。以下、順に説明する。
【0024】H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する工程 従来、1〜5wt%程度のHF水溶液を用いて洗浄処理
を行っていたが、HFが金属珪素粉末の表面に形成され
たSiO2 膜(自然酸化膜)と反応した時に発生するS
iF4 は、常温では気体であり、また空気に比べ重い
(比重:3.56)ため、水と反応してH2 SiF6
なる。しかし、このHF水溶液による洗浄処理の反応で
は、H2 ガスも発生し、またSiF4 ガスは刺激臭があ
り有毒である。このため、上記洗浄処理を密閉された反
応容器内で行うことはできず、洗浄処理中は反応容器内
のガスをガス吸収装置により吸収、除去する必要があ
る。したがって、反応容器内のSiF4 濃度が不安定に
なり、このSiF4 が水と反応して生成されるH2 Si
6 の濃度も不安定になる。このH2 SiF6 は硫酸に
匹敵する強酸であるため、金属珪素粉末の表面に形成さ
れたSiO2 膜を溶解、除去した後は、HFよりもH2
SiF6 の方が金属珪素の溶解に貢献すると考えられ
る。よって、H2 SiF6 の生成濃度がばらつくと、不
純物の除去量もばらつき安定しないことになる。
【0025】この点、本発明方法では、洗浄工程におい
て、最初からH2 SiF6 水溶液を用いてこのH2 Si
6 により直接金属珪素粉末を処理するため、HF水溶
液を用いる従来方法と比べて、より安定に不純物を除去
することができる。また、H2 SiF6 はわずかに下記
(3)式のように分解してHFになるため、金属珪素粉
末の表面にSiO2 膜が形成されていても、H2 SiF
6 から分解、生成されたHFにより、金属珪素粉末の表
面に形成されたSiO2 膜を容易に溶解、除去すること
ができる。
【0026】 H2 SiF6 →2HF+SiF4 …(3) なお、上記(3)式から明らかなように、H2 SiF6
の分解によってもSiF4 ガスが発生するが、これはわ
ずかな量であり、H2 SiF6 の濃度がある程度濃い場
合は、その影響は少ないといえる。ここで、上記H2
iF6 水溶液の濃度は7〜20wt%とすることが好ま
しい。H2 SiF6 水溶液の濃度が7wt%未満である
と十分な不純物の除去効果が期待できず、一方20wt
%を超えると排水処理費用などのコストが増加するた
め、適当でない。
【0027】また、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する
工程は、密閉された容器内では行わないことが好まし
い。言い換えれば、この洗浄工程は強制排気された容器
内で行うことが好ましい。密閉容器内でH2 SiF6
溶液による洗浄処理を行うと、前記(2)式に示すH2
SiF6 と金属珪素との反応により発生するH2 ガス
や、上記(3)式に示すH2 SiF6 の分解反応により
発生するSiF4 ガスが密閉容器内に充満することによ
り、前記(2)式に示す反応が進まなくなるため、十分
な不純物の除去効果が期待できなくなるからである。
【0028】さらに、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理す
る工程においては、金属イオンを含まない界面活性剤を
添加することが好ましい。H2 SiF6 水溶液による洗
浄処理中、上述したようにH2 ガスやSiF4 ガスが発
生するため、初期の容量の3倍以上の容器容量が必要と
なる。そこで、金属イオンを含まない界面活性剤を添加
することにより、H2 SiF6 水溶液の表面張力を低下
させて、H2 ガスやSiF4 ガスが発生した時のH2
iF6 水溶液の体積が増加することを抑えることがで
き、界面活性剤を添加しない場合と比較して半分以下の
容器容量に抑えることができる。したがって、洗浄工程
で用いる容器を小型化することが可能となる。なお、金
属イオンを含まない界面活性剤を用いることから、金属
イオンによる汚染の心配はない。
【0029】上記金属イオンを含まない界面活性剤とし
ては、例えばポリカルボン酸アンモニウム等のアニオン
系界面活性剤や、ポリオキシエチレン誘導体等の非イオ
ン系界面活性剤を挙げることができる。また、この界面
活性剤の添加量としては、H 2 SiF6 水溶液に対して
0.1〜1vol%程度とすることができる。H2 Si
6 水溶液に対する上記界面活性剤の添加量が0.1v
ol%未満であると、界面活性剤添加による上記効果が
十分に期待できない。
【0030】なお、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する
工程は、金属珪素粉末にH2 SiF 6 水溶液を添加して
攪拌することにより行うことができる。金属珪素粉末に
対するH2 SiF6 水溶液の添加量としては、容量で3
〜5倍程度とすることができる。金属珪素粉末に対する
2 SiF6 水溶液の添加量が3倍未満であると不純物
の除去効果が低下し、一方5倍を超えると排水処理費用
が増加して好ましくない。
【0031】また、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する
工程における処理温度は、0〜40℃程度の範囲内で適
宜設定可能であり、エネルギーコスト低減の観点から常
温とすることが好ましい。また、H2 SiF6 水溶液で
洗浄処理する工程における処理時間は、5〜20時間程
度とすることができる。
【0032】そして、上記洗浄工程後は、ろ過等により
不純物を含むH2 SiF6 水溶液を分離、除去した後、
金属珪素粉末を水洗、乾燥することにより、高純度の珪
素粉末を製造することができる。したがって、金属珪素
粉末をH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する本発明方法に
よれば、安価に、かつ簡易に高純度の珪素粉末を製造す
ることができ、しかもHF水溶液で洗浄処理する従来方
法と比べて、より安定にウランを初めとする不純物を除
去することが可能となる。
【0033】また、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する
場合は、HF水溶液で洗浄処理する従来方法と比べて、
SiF4 ガスの揮発量が少なく、酸の濃度低下が少な
い。このため、従来のHF水溶液と比べて、H2 SiF
6 水溶液の繰り返し使用回数を増加させることができ、
コストを低減させることが可能となる。 水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する工程 金属珪素粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する場
合も、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する場合と同様
に、ウランを初めとする不純物を安定に除去することが
できる。
【0034】すなわち、水酸化アルカリ水溶液で金属珪
素粉末を洗浄処理すると、下記(4)式の反応により、
金属珪素を溶解させる。これにより、金属珪素粉末の内
部に存在する不純物を水酸化アルカリ水溶液中に分離、
除去することが可能となる。 Si+2OH- +H2 O→SiO3 2-+2H2 …(4) なお。金属珪素粉末の表面に形成されているSiO2
(自然酸化膜)は非常に薄いため、水酸化アルカリ水溶
液によって容易に溶解、除去することができる。ただ
し、この反応開始は多少時間はかかる(10〜15分程
度)。
【0035】ここで、上記水酸化アルカリ水溶液の濃度
は0.05N(規定)以上とすることが好ましい。水酸
化アルカリ水溶液の濃度が0.05N未満であると、十
分な不純物の除去効果が期待できない。ただし、水酸化
アルカリ水溶液の濃度を必要以上に高くしても不純物の
除去効率は変わらないため、水酸化アルカリ水溶液の濃
度の上限は、1N程度とすることができる。
【0036】また、上記水酸化アルカリ水溶液として
は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等
を用いることができる。なお、水酸化アルカリ水溶液で
洗浄処理する工程は、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理す
る場合と同様、密閉された容器内では行わないことが好
ましい。また、水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する工
程においては、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する場合
と同様、金属イオンを含まない界面活性剤を添加するこ
とが好ましい。
【0037】さらに、水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理
する工程は、H2 SiF6 水溶液で洗浄処理する場合と
同様、金属珪素粉末に水酸化アルカリ水溶液を添加して
攪拌することにより行うことができる。金属珪素粉末に
対する水酸化アルカリ水溶液の添加量としては、H2
iF6 水溶液と同様、容量で3〜5倍程度とすることが
できる。金属珪素粉末に対する水酸化アルカリ水溶液の
添加量が3倍未満であると、スラリーが泥状となって攪
拌が困難となり、不純物の除去効果も低下する。一方、
5倍を超えて添加しても、不純物除去効果は変わらな
い。
【0038】また、水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理す
る工程における処理温度としては、上記(4)式の反応
が発熱反応であるため、冷却して行った方が良いが、常
温でも十分な不純物除去効果を得ることができる。ま
た、水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する洗浄工程にお
ける処理時間は、反応がきわめて激しいため、H2 Si
6 水溶液で洗浄処理する場合よりも短くすることがで
き、15〜30分程度とすることができる。
【0039】そして、上記洗浄工程後は、ろ過等により
不純物を含む水酸化アルカリ水溶液を分離、除去した
後、金属珪素粉末を水洗、乾燥することにより、高純度
の珪素粉末を製造することができる。なお、水酸化アル
カリ水溶液を用いた場合は、アルカリ金属が金属珪素粉
末表面に残存し易くなるため、H2 SiF6 水溶液を用
いる場合と比較して、より十分に水洗する必要がある。
【0040】したがって、金属珪素粉末を水酸化アルカ
リ水溶液で洗浄処理する本発明方法によれば、安価に、
かつ簡易に高純度の珪素粉末を製造することができ、し
かもHF水溶液で洗浄処理する従来方法と比べて、より
安定にウランを初めとする不純物を除去することが可能
となる。 金属珪素粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理しさ
らにH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する工程(第1及び
第2洗浄工程) 上記で説明した方法により水酸化アルカリ水溶液で金
属珪素粉末を洗浄処理する(第1洗浄工程)。そして、
金属珪素粉末を十分に水洗した後、さらに上記で説明
した方法によりH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する(第
2洗浄工程)。
【0041】これにより、水酸化アルカリ水溶液及びH
2 SiF6 水溶液双方による不純物除去効果に加えて、
水酸化アルカリ水溶液による洗浄処理(第1洗浄工程)
後に残存し易いアルカリ金属をH2 SiF6 水溶液で洗
浄処理(第2洗浄工程)することができる。したがっ
て、H2 SiF6 水溶液又は水酸化アルカリ水溶液によ
る単独処理の場合と比較して、不純物除去効果をさらに
向上させることができるとともに、水酸化アルカリ水溶
液による単独処理の場合に残存し易いアルカリ金属の除
去も可能となる。
【0042】また、水酸化アルカリ水溶液及びH2 Si
6 水溶液を併用することにより、第1洗浄工程処理後
の水溶液と、第2洗浄工程処理後の水溶液とを混合する
ことにより、酸とアルカリを中和させつつ排水処理する
ことができるので、排水処理費用の増加を抑えることが
できる。 金属珪素粉末をアンモニア水で洗浄処理する工程 この製造方法では、酸では完全に溶解除去することが難
しい元素、例えばNa、K、CuやMoをアンモニア水
により洗浄、除去することができる。
【0043】したがって、上記、又はの洗浄工程
後に、さらにアンモニア水で洗浄処理することにより、
上記、又はの洗浄工程では溶解、除去しきれなか
ったNa、K、CuやMoの不純物を洗浄、除去するこ
とが可能となる。ただし、例えばシリコンウエハーの切
り粉のように、金属珪素粉末が元々高純度のものであれ
ば、上記、又はの洗浄処理を行うことなく、アン
モニア水により洗浄処理するだけでもよい。
【0044】このアンモニア水の濃度としては、その洗
浄効果の観点から、10%以上とすることが好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明の高純度珪素粉末の製造方法に
ついて、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)純度が99.5%以上の化学工業用グレー
ドの金属珪素を粉砕して、平均粒径5μmの金属珪素粉
末を準備した。一方、濃度が10wt%のH2 SiF6
水溶液を準備した。
【0046】そして、内面をテフロンライニングしたス
テンレス製容器(容量:50リットル)に、上記金属珪
素粉末5kg及び上記H2 SiF6 水溶液20kgを入
れた後、10時間攪拌し、洗浄処理した。次いで、処理
後の懸濁液をろ過器に移し、加圧ろ過でH2 SiF6
を除去した。その後、イオン交換水で洗浄し、乾燥して
高純度の珪素粉末を得た。
【0047】上記洗浄処理中、容器内の温度を0℃、常
温20℃、30℃、40℃と種々変更するとともに、上
記容器の密閉度を種々変更した場合のそれぞれについ
て、得られた高純度珪素粉末の不純物(ウラン)含有量
を誘導結合高周波プラズマ重量分析法(ICP−MS)
により測定した。その結果を表1に示す。なお、容器の
密閉度については、密閉とは完全に容器内を密閉した状
態、半開とは容器上方の開放部の面積を半分とした状
態、全開とは同開放部を全開した状態、強制排気とは容
器内をガス吸収装置により強制排気した状態をそれぞれ
示す。
【0048】
【表1】 表1から明らかなように、H2 SiF6 水溶液を用いる
本実施例においては、不純物の除去効果は洗浄処理中の
温度による影響をほとんど受けなかった。この結果、洗
浄処理中の温度はエネルギーコスト低減の観点から常温
20℃にすれば良いことがわかる。
【0049】また、洗浄処理中に反応容器を完全密閉す
ると不純物除去効果が低減したが、容器を半開、全開及
び強制排気した場合においては不純物除去効果がいずれ
も高かった。この結果、洗浄処理中は反応容器を完全密
閉状態にしないことが好ましいことがわかる。また、反
応容器内を強制排気した場合でも容器を半開又は全開状
態の場合と比較して不純物除去効果が低減しなかったこ
とから、最初からある程度濃度の高いH2 SiF6 水溶
液を用いることで、より安定に不純物を除去できること
がわかる。
【0050】(比較例1)濃度が10wt%のH2 Si
6 水溶液の代わりに、濃度が2wt%のHF水溶液を
用いること以外は、上記実施例1と同様である。得られ
た高純度珪素粉末について、実施例1と同様に不純物
(ウラン)含有量を測定した結果を表2に示す。
【0051】
【表2】 表2から明らかなように、HF水溶液を用いる比較例に
おいては、不純物の除去効果は洗浄処理中の温度が30
℃を超えると極端に低下した。これは、SiF 4 ガスの
揮発によりH2 SiF6 の生成量が減少し、有効な酸濃
度を確保できなかったためと考えられる。
【0052】また、洗浄処理中に反応容器を完全密閉す
ると不純物除去効果が低減した。これは、SiF4 ガス
やH2 ガスが容器内に充満することにより、前記(2)
式に示す反応が進まなくなったためと考えられる。ま
た、容器を半開又は全開状態にした場合と比較して、容
器を強制排気した場合の不純物除去効果が極端に低下し
た。これは、強制排気によりSiF4 ガス濃度、ひいて
はH2 SiF6 の生成量が極端に低下し、有効な酸濃度
を確保できなかったためと考えられる。
【0053】さらに、これらの結果より、HF酸は金属
珪素粉末の表面に形成されたSiO 2 の除去には有効に
作用するが、金属珪素の溶解にはHF酸よりもH2 Si
6の方が有効に作用することがわかる。 (金属珪素粉末の平均粒径と不純物除去効果との関係)
上記実施例1において、金属珪素粉末の平均粒径を2.
5μm、5μm、7μm、10μm、15μm、20μ
m、30μmと種々変更しつつ、高純度珪素粉末を製造
した。なお、容器内の温度は室温20℃とし、容器の密
閉度は半開状態とした。
【0054】得られた高純度珪素粉末のウラン含有量を
実施例1と同様に測定した結果を図1に示す。図1から
明らかなように、金属珪素粉末の平均粒径を15μm以
下、好ましくは10μm以下とすることにより、H2
iF6 水溶液による不純物除去効果を有効に発揮させる
ことができる。なお、金属珪素粉末の平均粒径を7μm
以下とすることにより、上記不純物除去効果を最大限に
発揮させることができ、平均粒径7μm以下においては
不純物除去効果の違いがみられなかった。このことか
ら、金属珪素粉末の平均粒径の下限は、洗浄処理後にお
ける固液分離操作性等を向上させる観点から、3μmと
することが好ましく、5μmとすることが特に好まし
い。
【0055】(H2 SiF6 水溶液の濃度と不純物除去
効果との関係)上記実施例1において、H2 SiF6
溶液の濃度を5wt%、7wt%、8wt%、10wt
%、15wt%、20wt%、25wt%と種々変更し
つつ、高純度珪素粉末を製造した。なお、容器内の温度
は室温20℃とし、容器の密閉度は半開状態とした。
【0056】得られた高純度珪素粉末のウラン含有量に
ついて、実施例1と同様に測定した結果を表3及び図2
に示す。
【0057】
【表3】 表3及び図2の結果から明らかなように、H2 SiF6
水溶液の濃度を高くすれば不純物除去効果が向上し、H
2 SiF6 水溶液の濃度を7wt%以上とすることによ
り、不純物の除去効果を十分に発揮させることができ
る。なお、H2 SiF6 水溶液の濃度が20wt%を超
える場合でも不純物除去効果が向上するが、必要以上に
2 SiF6 水溶液の濃度を高くすると、排水処理コス
ト等が増加するため、適当でない。このため、H2 Si
6 水溶液の濃度の上限は20wt%とすることが好ま
しい。
【0058】(洗浄処理用水溶液の使用回数と不純物除
去効果との関係)上記実施例1において、洗浄処理後の
2 SiF6 水溶液を他の金属珪素粉末の洗浄処理に繰
り返し用いることにより、H2 SiF6 水溶液の使用回
数と不純物除去効果との関係を調べた。比較のため、上
記比較例1においても、洗浄処理後のHF水溶液を他の
金属珪素粉末の洗浄処理に繰り返し用いることにより、
HF水溶液の使用回数と不純物除去効果との関係を調べ
た。
【0059】これらの結果を表4に示す。
【0060】
【表4】 表4から明らかなように、HF水溶液を用いる比較例1
においては、HF水溶液の繰り返し使用回数が3回以上
になると、不純物除去効果が極端に低下するのに対し、
2 SiF6 水溶液を用いる実施例1においては、H2
SiF6 水溶液の繰り返し回数が5回になっても、不純
物除去効果は実質的に低下しなかった。
【0061】(実施例2)金属イオンを含まない界面活
性剤としてのポリカルボン酸アンモニウムを、H 2 Si
6 水溶液に対して0.2vol%添加すること以外
は、基本的には上記実施例1と同様である。なお、容器
内の温度は室温20℃とし、容器の密閉度は半開状態と
した。
【0062】本実施例においては、金属イオンを含まな
い界面活性剤をH2 SiF6 水溶液に所定量添加してい
ることから、洗浄工程中におけるH2 ガスやSiF4
スの発生により水溶液の体積が増加することを抑えるこ
とができた。 (実施例3)H2 SiF6 水溶液を用いる代わりに、水
酸化アルカリ水溶液としての水酸化ナトリウム水溶液を
用いること以外は、基本的には上記実施例1と同様であ
る。
【0063】本実施例では、水酸化ナトリウム水溶液の
濃度を0.01N、0.05N、0.1N、0.5N、
1.0N、5.0Nと種々変更しつつ、高純度珪素粉末
を製造した。なお、容器内の温度は室温20℃とし、容
器の密閉度は半開状態とした。また、洗浄工程の処理時
間は30分とした。得られた高純度珪素粉末のウラン含
有量について、実施例1と同様に測定した結果を図3に
示す。
【0064】図3から明らかなように、金属珪素粉末を
水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する場合も、H2 Si
6 水溶液で洗浄処理する場合と同様に、ウランを初め
とする不純物を安定に除去することができる。そして、
水酸化アルカリ水溶液としての水酸化ナトリウム水溶液
の濃度を0.05N(規定)以上とすること、より好ま
しく、0.1N以上とすることにより、不純物除去効果
を効果的に増大させることができる。
【0065】また、水酸化アルカリ水溶液を用いる場合
は、洗浄工程における反応が極めて激しいため、H2
iF6 水溶液を用いる場合と比較して、洗浄処理工程に
おける処理時間を短縮することができた。なお、得られ
た高純度珪素粉末について、ウラン以外の不純物の定量
分析を行った結果、Naが15ppmとわずかに残存し
ていることが検出された。
【0066】(実施例4)上記実施例3において、水酸
化アルカリ水溶液としての水酸化ナトリウム水溶液(濃
度:0.1N)により洗浄処理した金属珪素粉末を、十
分に水洗した後、さらに上記実施例1と同様にH2 Si
6 水溶液により洗浄処理した。得られた高純度珪素粉
末について、実施例1と同様にウラン含有量を測定した
結果、0.2ppbとさらに低減していた。また、Na
の残存量も5ppm未満と低減していた。
【0067】この結果、水酸化アルカリ水溶液及びH2
SiF6 水溶液双方により不純物除去効果がさらに向上
するとともに、水酸化アルカリ水溶液による洗浄処理後
に残存し易いアルカリ金属をH2 SiF6 水溶液で洗浄
処理することができることが確認された。 (実施例5)前述の実施例ではいずれも化学工業用グレ
ードの金属珪素を粉砕して得られた金属珪素粉末を用い
る例について説明したが、本実施例ではシリコンインゴ
ットをウエハー状に切断する際に発生する切り粉をその
まま金属珪素粉末として用いた。なお、このシリコンウ
エハーの切り粉は平均粒径が5μm程度であった。
【0068】そして、前記実施例1の方法に準じて、上
記シリコンウエハーの切り粉を10wt%のH2 SiF
6 水溶液で洗浄処理した。なお、容器内の温度は室温0
℃とし、容器の密閉度は半開状態とした。次いで、前記
実施例1と同様に、ろ過、洗浄、乾燥して高純度の珪素
粉末を得た。
【0069】得られた高純度珪素粉末について、実施例
1と同様にウラン含有量を測定したところ0.6ppb
であり、化学工業用グレードの金属珪素を粉砕した金属
珪素粉末を用いる実施例1と同様の結果が得られた。 (実施例6)前記実施例1において、容器内の温度は室
温20℃とし、容器の密閉度は半開状態として、H2
iF6 水溶液により金属珪素粉末を洗浄処理した後、さ
らに濃度が10%のアンモニア水で洗浄した。
【0070】次いで、前記実施例1と同様に、ろ過、洗
浄、乾燥して高純度の珪素粉末を得た。得られた高純度
珪素粉末について、Moの含有量を測定したところ5p
pm未満であった。なお、アンモニア水で洗浄処理する
前のMo含有量は100ppmであった。すなわち、H
2 SiF6 水溶液によっては溶解、除去することのでき
ないMoを、アンモニア水によりほぼ完全に洗浄、除去
することができた。
【0071】なお、本実施例ではH2 SiF6 水溶液に
より洗浄処理した金属珪素粉末をさらにアンモニア水で
洗浄処理する例について説明したが、H2 SiF6 水溶
液の代わりに水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理した場合
も同様にアンモニア水でさらに洗浄処理することができ
るし、また金属珪素粉末が元々高純度であれば、H2
iF6 水溶液又は水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理する
ことなく、アンモニア水により洗浄処理するだけでもよ
い。
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の高純度珪
素粉末の製造方法は、特許請求の範囲に記載された構成
を採用することにより、金属珪素粉末に常温で洗浄処理
用水溶液を添加して攪拌するという極めて安価で、か
つ、簡易な方法により高純度珪素粉末を製造することが
でき、しかも珪素粉末中の不純物を十分に安定して除去
することができる。
【0073】また、洗浄処理用水溶液としてH2 SiF
6 水溶液を用いる場合、繰り返し使用が可能となるた
め、HF水溶液を用いる従来方法と比較して、酸の使用
量の低減や排水処理費用の低減等により、コスト低減を
図ることができる。さらに、水酸化アルカリ水溶液及び
2 SiF6 水溶液を併用する場合であっても、酸とア
ルカリで中和して排水処理することができるため、排水
処理コストの増大にはつながらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1に係り、金属珪素粉末の平均粒径
と、洗浄処理後の珪素粉末のウラン含有量との関係を示
す線図である。
【図2】本実施例1に係り、H2 SiF6 水溶液の濃度
と、洗浄処理後の珪素粉末のウラン含有量との関係を示
す線図である。
【図3】本実施例3に係り、水酸化ナトリウム水溶液の
濃度と、洗浄処理後の珪素粉末のウラン含有量との関係
を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 曠士 愛知県西加茂郡三好町大字明知字西山1 株式会社アドマテックス内 (56)参考文献 特開 平6−144822(JP,A) 森田悦郎,Si表面の洗浄工程の見直 しと新しい試み,応用物理,1990年,第 59巻第11号,P.79−80 森永均,半導体ウエット洗浄プロセス の化学1,クリーンテクノロジー,1996 年 2月 1日.vol.6 No. 2,P.77−80 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハ
    ーの切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る工程と、 上記金属珪素粉末をH2 SiF6 水溶液で洗浄処理する
    工程とからなることを特徴とする高純度珪素粉末の製造
    方法。
  2. 【請求項2】金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハ
    ーの切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る工程と、 上記金属珪素粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理す
    る工程とからなることを特徴とする高純度珪素粉末の製
    造方法。
  3. 【請求項3】金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハ
    ーの切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る工程と、 上記金属珪素粉末を水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理す
    る第1洗浄工程と、 上記水酸化アルカリ水溶液で洗浄処理した金属珪素粉末
    をさらにH2 SiF6水溶液で洗浄処理する第2洗浄工
    程とからなることを特徴とする高純度珪素粉末の製造方
    法。
  4. 【請求項4】上記金属珪素粉末は平均粒径が3〜15μ
    mであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の高
    純度珪素粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】上記H2 SiF6 水溶液の濃度が7〜20
    wt%であることを特徴とする請求項1記載の高純度珪
    素粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】上記水酸化アルカリ水溶液の濃度が0.0
    5N以上であることを特徴とする請求項2記載の高純度
    珪素粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】上記洗浄工程において、金属イオンを含ま
    ない界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1又
    は2記載の高純度珪素粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】金属珪素を粉砕して、又はシリコンウエハ
    ーの切り粉を使用して、金属珪素粉末を得る工程と、 上記金属珪素粉末をアンモニア水で洗浄処理する工程と
    からなることを特徴とする高純度珪素粉末の製造方法。
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