JP4497767B2 - 固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物 - Google Patents

固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンの切断加工に適し且つシリコンとの反応を抑制できる固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリコン、水晶、ガラス、セラミックス等の脆性材料、鋳鉄、銅、アルミニウム等の金属材料、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等のプラスチック材料等の加工材料の切断には、外周刃砥石、内周刃砥石及び遊離砥粒を用いたバンドソー、ワイヤソーあるいは固定砥粒バンドソーが、また、シリコンの切断にはIDブレード及び遊離砥粒を用いたバンドソーあるいはワイヤソーが使用されてきた。外周刃砥石、内周刃砥石及びIDブレードによる切断では加工材料の大型化への対応が難しく、また作業効率の面からも満足のいくものではなかった。また、バンドソーやワイヤソーによる切断では、スラッジが加工材料や工作機械に付着し作業環境を低下させる問題や、付着したスラッジを洗浄する工程が必要になる等の問題点があった。また、近年ではシリコンの切り屑をリサイクルすることが望まれているが、遊離砥粒方式では砥粒と切り屑の分離が困難である。
これらの問題に対し、金属線や非金属線に電着やレジンボンドを用いて砥粒を固定させた固定砥粒ワイヤソーが開発され(特開2001−54850号公報参照)、作業環境の改善や洗浄工程の簡略化等の効果が見られている。しかしながら、固定砥粒ワイヤソーに使用される加工液としてはこれまで軽油(砥粒加工学会誌,Vol.43,No.10,1999年、砥粒加工学会学術講演会講演論文集,1996年,p389、砥粒加工学会学術講演会講演論文集,2000年,p285)、水道水(砥粒加工学会誌、Vol.43,No.8,1999年、砥粒加工学会学術講演会講演論文集,1997年,p369)、遊離砥粒の分散ベース(砥粒加工学会学術講演会講演論文集,1997年,p369)等が試みられているがいずれも十分な成果を収めるに至っていない。また、近年では引火性の問題や作業環境の改善、加工後の洗浄工程の簡略化及び廃液処理等の点から加工液の水溶性化が進められており、固定砥粒ワイヤソーに使用される加工液についても水溶性の加工液の開発が求められていた。シリコンの場合は、一般材に比べて反応性が高く、酸あるいはアルカリと反応して水素ガスを発生するため、特に水溶性の加工液の場合は、加工液の性状によっては作業時に着火等の発生が予想され、シリコンとの反応を抑制する加工液が必要とされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点に鑑みてなされたものであり、シリコンの切断加工に適し且つシリコンとの反応を抑制できる水溶性加工液組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコンの切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物であって、該組成物が、(A)グリコール類、(B)カルボン酸、(C)水に溶解して塩基性を示す化合物、及び(D)水を含有し、各成分の配合量は、該(A)が10〜92重量部、該(B)が0.1〜2重量部、該(C)が0.1〜2重量部、該(D)が8〜90重量部[但し、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計は100重量部である。]であり、上記(A)グリコール類の分子量が70〜6,000であり、上記(B)カルボン酸の炭素数が10〜20であり、且つ、本組成物を水で10倍に希釈した際のpHが5.5〜9.5であることを特徴とする。ここで、「(B)、(C)を含有し」の意味は、(B)カルボン酸、及び(C)水に溶解して塩基性を示す化合物(以下、「塩基性剤」ともいう。)を含有する場合は、(a)カルボン酸と塩基性剤とを配合する場合、及び(b)カルボン酸と塩基性剤とから形成される塩を配合する場合、更には(c)この塩と、カルボン酸又は塩基性剤とを配合する場合の全てを含む意味に用いる。尚、この(a)の場合は、少なくとも反応して生成する塩を含み、各成分が等当量でない場合は過剰の一方の成分(カルボン酸又は塩基性剤)を含むこととなる。更には、上記「(B)及び(C)を含有する」の意味としては、この組成物中に水を含む場合は、上記の各成分(化合物)、即ち塩基性塩、カルボン酸及び/又は塩基性剤が、所定のイオン及び対イオンとなって組成物中に存在する場合も含む意味に広く用いる。以下についても同意味に用いる。
上記(C)水に溶解して塩基性を示す化合物がアルカノールアミン、アルキルアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる少なくとも1種であるものとすることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明する。
上記「(A)グリコール類」は、分子量が70〜6,000であれば、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合物、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの共重合物等のグリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレン共重合物のモノアルキルエーテル等の水溶性グリコール類が挙げられる。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記例示したグリコール類のうち、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール若しくはポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合物等が好ましい。
上記グリコール類の分子量は、好ましくは76〜6,000である。分子量が70未満では加工性能が十分でない場合があり、より高分子量では本組成物の粘度が高くなり好ましくない。
【0006】
本組成物は、(B)カルボン酸と、(C)水に溶解して塩基性を示す化合物と、から形成された塩(以下、「(E)塩」ともいう。)を含有するものとすることができる。尚、この場合は、前記に示すように、この塩を構成する酸及び塩基性剤を配合する場合、即ち配合して得られる塩も含む広い意味である。この(E)塩の例としては、カルボン酸のアミン塩、及びカルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0007】
上記「(B)カルボン酸」としては、炭素数が10〜20であるものを用いる。例えば、カプリン酸、ラウリン酸及びステアリン酸等の直鎖飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、イソステアリン酸等の分岐脂肪酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸及びリシノール酸等のヒドロキシ脂肪酸、環状カルボン酸、t−ブチル安息香酸及びp−ニトロ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。これらのうち、オレイン酸及びドデカン酸が好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、炭素数が小さいカルボン酸は、加工性能に寄与しない場合があり、炭素数が多すぎるものは加工時に気泡が多く発生する場合がある。
【0008】
上記「(C)水に溶解して塩基性を示す化合物」(以下、「塩基性剤」ともいう。)としては特に限定されず、例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン、アルカリ金属元素を含有する化合物及びアンモニア等が挙げられる。これらのうちアルカノールアミンが好ましい。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリノルマルプロパノールアミン、トリノルマルブタノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリターシャリーブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン及びN,N−ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記アルキルアミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン等が挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのアミンのうち、アルカノールアミンが好ましく、具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が好ましい。
【0009】
上記アルカリ金属元素を含有する化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらのうち、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
上記(E)塩の含有量、又は(B)カルボン酸及び(C)塩基性剤の合計量は、加工材料がシリコンの場合、上記(A)グリコール類を100重量部とした場合、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部である。0.1重量部未満では加工性能が不十分であり、一方、10重量部を超えると加工液と加工材料とが化学反応して水素ガスが発生する恐れがあり好ましくない。
【0011】
本発明において、所定量の(A)グリコール類、(B)カルボン酸、(C)塩基性剤、及び(D)水を含むもの(配合するものも含む。)とする。組成物を構成する上記(A)、(B)、(C)及び(D)の配合量は、上記(A)が10〜92重量部、上記(B)が0.1〜2重量部)、上記(C)が0.1〜2重量部、上記(D)が8〜90重量部である。但し、上記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計は100重量部である。
上記(A)の配合量が少なすぎる場合は加工性能が十分でないときがある。また、上記(B)の配合量が多すぎると加工液と加工材料とが化学反応して水素ガスを発生する恐れがある。また、上記(C)の配合量が多すぎると加工液と加工材料とが化学反応して水素ガスを発生する恐れがある。更に、上記(D)の配合量が多すぎると有効成分濃度が低くなり、十分な加工性能が得られない。
【0012】
本組成物は、任意の比率で水に可溶なものが好ましいが、これに限定されるものではない。また、本組成物を構成する各成分は、このグリコール類及び必要に応じて添加される水に溶解しているのが好ましい、即ち組成物全体として溶解しているのが好ましいが、これに限定されるものではない。溶解していない成分がある場合は、これを適宜の水を用いて溶解させて、使用することもできる。即ち、使用時に水で希釈して均一の溶液として使用することができる。
【0013】
本組成物のpHは、本組成物を水で10倍に希釈した際のpHが5.5〜9.5、より好ましくは5.8〜9.2、更に好ましくは6.0〜9.0、特に好ましくは7.0〜8.0である。シリコンは両性金属であるため、pH5.5未満の酸性又はpH9.5を超えたアルカリ性では切り屑が加工液と反応して水素が発生する場合があり、好ましくない。
【0014】
本組成物には、上記の成分以外に、加工材料に対して腐食、変色等の悪影響を及ぼさない物質であり、また、混合後の系の安定性に影響を及ぼさない物質であれば、加工性能に影響を及ぼさない範囲で、種々の添加剤を添加することができる。例えば、pH調整剤、消泡剤、酸化防止剤等を添加することができる。
このpH調整剤はとくに限定されず、無機塩基(前記の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)、有機塩基(前記のアルカノールアミン、アルキルアミン等)、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(前記のカルボン酸等)を用いることができる。これらのうち、グリコール類への溶解が優れる有機塩基(特にアルカノールアミン等)、有機酸が好ましい。更には、前記に示すカルボン酸アミン塩で調整することもできる。尚、使用時にpH調整して使用することもできる。
【0015】
本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物は、加工材料を切断加工する際に、そのまま用いてもよいし、水で適当な濃度に希釈して用いてもよい。水で希釈する場合の純分は好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは1〜15重量%である。
【0016】
本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物を用いてシリコンを以下の実施例において示す条件で切断加工すると、その切断速度は好ましくは0.69mm/min以上、通常、この上限は1mm/minである。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物について、試験例を挙げて、詳細に説明する。尚、試験例43〜46は、実施例であり、試験例47〜52は、比較例であり、試験例1〜42(表1〜表6)は、参考例である。
1.固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物の調製
表1〜8に示す配合割合の加工液組成物を調製した(試験例1〜52)。単位は重量部である。尚、表1〜8において用いた成分は以下のとおりである。
(1)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合物A;日本油脂社製、商品名「プロノン#201」、平均分子量2,000。
(2)ポリエチレングリコール;三洋化成社製、商品名「PEG6000S」、平均分子量6,000。
(3)ポリオキシエチレン;住友精化社製、商品名「PEO8」、平均分子量1,700,000〜2,200,000。
(4)ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合物B;ユシロ化学社製、商品名「R−B3050」、平均分子量3,000。
尚、エチレングリコールの分子量は62、プロピレングリコールの分子量は76である。
【0018】
【表1】
Figure 0004497767
【0019】
【表2】
Figure 0004497767
【0020】
【表3】
Figure 0004497767
【0021】
【表4】
Figure 0004497767
【0022】
【表5】
Figure 0004497767
【0023】
【表6】
Figure 0004497767
【0024】
【表7】
Figure 0004497767
【0025】
【表8】
Figure 0004497767
【0026】
2.性能評価
2−1.ソーダガラスの切断加工
表1及び表2に示す各組成の加工液組成物(試験例1〜14)を更に水で20倍に希釈した加工液を用いて、幅200mm、高さ50mm、長さ25mmのソーダガラスを加工材料とし、マルチ切断機(東綱機械製作所製)を用いて、ワイヤ線速600m/min、ワークフィード速度0.5mm/minでソーダガラスを高さ方向に切断した。このときの切断時間及び切断速度を表1及び表2に併記した。
【0027】
2−2.炭素鋼の切断加工
表3及び表4に示す各組成の加工液組成物(試験例15〜28)を更に水で20倍に希釈した加工液を用いて、幅20mm、高さ50mm、長さ100mmのS45C炭素鋼を加工材料とし、マルチ切断機(東綱機械製作所製)を用いて、ワイヤ線速300m/min、ワークフィード速度2.0mm/minでS45C炭素鋼を高さ方向に切断した。このときの切断時間及び切断速度を表3及び表4に併記した。
【0028】
2−3.ベークライトの切断加工
表5及び表6に示す各組成の加工液組成物(試験例29〜42)を更に水で20倍に希釈した加工液を用いて、幅50mm、高さ50mm、長さ50mmのベークライトを加工材料とし、マルチ切断機(東綱機械製作所製)を用いて、ワイヤ線速300m/min、ワークフィード速度2.0mm/minでベークライトを高さ方向に切断した。このときの切断時間及び切断速度を表5及び表6に併記した。
【0029】
2−4.単結晶シリコンの切断加工
表7及び表8に示す各組成の加工液組成物(試験例43〜52)を更に水で10倍に希釈し、pHを測定し、表7及び表8に併記した。また、この希釈した加工液(油剤濃度;5重量%)を用いて、幅200mm、高さ50mm、長さ30mmの単結晶シリコンを加工材料とし、マルチ切断機(東綱機械製作所製)を用いて、ワイヤ線速600m/min、ワークフィード速度1mm/minで高さ方向に切断した。このときの切断時間及び切断速度を表7及び表8に併記した。
【0030】
3.実施例の効果
単結晶シリコンの切断加工結果を示す表7及び表8より、試験例43〜46はいずれも、切断速度に優れ(0.69〜0.83mm/min)、加工性も優れていた。特に、分子量が76(試験例44)、3,000(試験例43、46)、6,000(試験例45)の場合は、いずれも切断速度が極めて大きく(0.69〜0.83mm/min)、加工性に極めて優れていた。尚、試験例47は、試験例50の組成のもの(pH;5.2)を、トリエタノールアミンをpH調整剤としてpHを中性側の8.0に調整したものであり、カルボン酸アミン塩を含まない組成物である。また、分子量が62(エチレングリコール、試験例48)、及び、1,000,000を超える試験例49の場合は、切断速度が各々、0.51mm/min、及び、0.44mm/minであり、上記試験例43〜46と比べるとやや悪かった。試験例52は、グリコール類を含有しない例であり、切断速度に劣る。
また、組成物のpHが5.2の場合(試験例50)、10.1の場合(試験例51)は、切り屑と加工液とが反応して水素ガスが発生したため、試験を中断した。
【0031】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、目的及び用途に応じて種々の態様とすることができる。即ち、前記実施例(試験例43〜46)においては、上記に示す所定分子量の所定種類のグリコール類を用いているが、これ以外のグリコール類、又は70〜6,000の範囲内であれば他の分子量を示すものであっても同様に優れる性能を示す。また、ドデカン酸とジエタノールアミンの所定量を配合しているが、所定量のこのアミン塩の形で配合することもできる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物は、固定砥粒ワイヤソーによる切断加工において切断速度が良好であり、加工液組成物として優れた性能を示す。

Claims (4)

  1. シリコンの切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物であって、該組成物が、(A)グリコール類、(B)カルボン酸、(C)水に溶解して塩基性を示す化合物、及び(D)水を含有し、各成分の配合量は、該(A)が10〜92重量部、該(B)が0.1〜2重量部、該(C)が0.1〜2重量部、該(D)が8〜90重量部[但し、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計は100重量部である。]であり、上記(A)グリコール類の分子量が70〜6,000であり、上記(B)カルボン酸の炭素数が10〜20であり、且つ、本組成物を水で10倍に希釈した際のpHが5.5〜9.5であることを特徴とする固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物。
  2. (A)グリコール類の含有量が90重量部、(B)カルボン酸の含有量が0.1重量部、(C)水に溶解して塩基性を示す化合物の含有量が0.1重量部、及び(D)水の含有量が9.8重量部である請求項1に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物
  3. シリコンの切断に用いられる固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物であって、(A)グリコール類90重量部、(B)カルボン酸0.1重量部、(C)水に溶解して塩基性を示す化合物0.1重量部、及び(D)水9.8重量部からなり、上記(A)グリコール類の分子量が70〜6,000であり、上記(B)カルボン酸の炭素数が10〜20であり、且つ、本組成物を水で10倍に希釈した際のpHが5.5〜9.5であることを特徴とする固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物。
  4. 上記(C)水に溶解して塩基性を示す化合物がアルカノールアミン、アルキルアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液組成物。
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