JP2010149102A - 消泡剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性研磨剤、水溶性塑性加工油剤及び水溶性洗浄剤等に使用される水溶性潤滑油剤における消泡剤(発泡抑制剤)を提供することを目的とする。
【解決手段】pHが8〜11.5の範囲内において等電位点を持つ特定のアミン化合物からなる消泡剤である。
【選択図】なし
【解決手段】pHが8〜11.5の範囲内において等電位点を持つ特定のアミン化合物からなる消泡剤である。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属加工及びその工程で使用される水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性研磨剤、水溶性塑性加工油剤に使用される水溶性潤滑油剤及び水溶性洗浄剤等における発泡抑制剤(消泡剤)およびその製造方法に関するものである。
従来から消泡剤においては、多くの提案がなされている。特許文献1においては、カチオン系ポリマーの消泡剤が提案されているが、ある程度の消泡効果はあるものの、流量の多い加工等においては、充分な消泡効果を期待できない。更には、特許文献2、特許文献3、特許文献4には、オキシアルキレン基をブロック重合又はランダム重合させた消泡剤が提案されているが、これらの消泡剤の中には、水に対する分散性が良くないため、水を含む発泡系に添加しても均一に分散しにくく、且つ長期使用に際しては油分と共に系外へ排出され消泡効果が消失する現象が見られるため十分でなかった。
特開平9−299711号
特開平9−313808号
特開平3−68401号
特開平1−135510号
本発明は、水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性研磨剤、水溶性塑性加工油剤及び水溶性洗浄剤等に使用される水溶性潤滑油剤における消泡剤(発泡抑制剤)およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定の化学的特性を持つ、すなわちpH8〜11.5の領域において等電位点を持つアミン化合物を液中に存在させることにより発泡性を抑制できることを発見し、本発明の消泡剤を完成させるに至った。
また、本発明の消泡剤は、上記のpH8〜11.5の領域において等電位点を持つアミン化合物が以下の一般式(1)〜(7)の構造を持つ化合物からなる群から選択されることを特徴とする。
また、本発明の消泡剤は、上記のpH8〜11.5の領域において等電位点を持つアミン化合物が以下の一般式(1)〜(7)の構造を持つ化合物からなる群から選択されることを特徴とする。
本発明は、水溶性潤滑剤に適用した場合において従来から切削・研削等の工程で問題とされていた潤滑油剤の発泡性を著しく抑制できる消泡剤である。
本発明の一般式(1)〜(7)で示される消泡剤としてのアミン化合物の製造方法は、アルキルアミン、アルカノールアミンとアルキルグリシジルエーテルをNaOH、KOH等の通常のアルカリ触媒存在下で付加させることにより製造出来る。使用するアミンについては、特に制限はないが付加反応により合成したアミン化合物がpH8〜11.5の範囲において等電位点を持つ構造体になることが必須条件である。なお、等電位点については、公知の分子シミュレーションから、コンピュータを用いて電離後の化合物全体の電荷平均が0となるpH(等電点)を計算することにより求めることができる。使用するソフトは、例えば「ChemAxon Marvin, Calculator 」が利用できる。
これらアミン化合物は単独でも各種アミンの混合系でも用いることが可能である。
一方、アルキルグリシジルエーテルはアルキル基が炭素数1〜8の中から任意に選択できるが好ましくは、炭素数2〜4で、特に好ましいのは炭素数4のブチルグリシジルエーテルである。
一方、アルキルグリシジルエーテルはアルキル基が炭素数1〜8の中から任意に選択できるが好ましくは、炭素数2〜4で、特に好ましいのは炭素数4のブチルグリシジルエーテルである。
具体的には、一般式(1)(6)(7)は、トリエタノールアミンとブチルグリシジルエーテルの反応物であり、一般式(2)は、シクロヘキシルアミンとブチルグリシジルエーテルの反応物であり、一般式(3)は、1,6-ヘキサンジアミンとブチルグリシジルエーテルの反応物であり、一般式(4)は、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミンとブチルグリシジルエーテルの反応物であり、一般式(5)はN-n-ブチルエタノールアミンとブチルグリシジルエーテルの反応物が例示される。
本発明は、前記の消泡剤の少なくとも1種を含有する水溶性潤滑油剤である。ここでいう水溶性潤滑油剤とは、使用分野には特に制限はないが、例えば金属加工及びその工程で使用される切削油剤、研削油剤、研磨剤、塑性加工油剤及び洗浄剤が挙げられる。
本発明の消泡剤を水溶性潤滑油剤へ添加する場合の配合量は、水溶性潤滑油剤組成物の原液全重量に対して1〜50重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1〜6重量%である。
水溶性潤滑油中には抗菌性、防錆性のために脂肪族カルボン酸およびアミンが用いられる。脂肪族カルボン酸は、その中でも炭素数5〜22の直鎖及び分岐状のカルボン酸又はジカルボン酸が用いることができ、好ましくは炭素数8〜12の脂肪族カルボン酸である。これらカルボン酸は単独又は混合物でも用いることができる。また、アミンはアルカノールアミン及びアルキルアルカノールアミン、アルキルアミンの中から任意に選択することができ、これらアミンは単独でも2種以上の混合系でも用いることができる。これらアミンの中で好ましくは、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ2−メチルプロパノール、ブチルエタノールアミンが用いられる。
さらに、本発明の水溶性潤滑油剤組成物には、所望により他の添加剤、例えば、脂肪酸エステル、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防錆剤を適宜配合してもよい。添加剤の配合量は、特に限定されず、常法に従って適宜調製すればよい。
本発明の水溶性潤滑油剤組成物は、水に希釈して使用される。希釈倍率は、一般には5〜100倍(重量)に希釈して使用されるが、被削材の材質等に応じて適宜選定すれば良い。
本発明の消泡とは、発泡を抑制する作用と生じている泡を破泡させる作用の両方を含むが、本発明の消泡剤は特に抑泡効果が高いものである。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明がそれら実施例に限定されることは意図しない。
表1に示す各成分(重量%)を配合して実施例1〜5及び比較例1〜2の水溶性潤滑剤の原液を調整した。
実施例1の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル32.5gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(1)に対応するアミン化合物(式(1)において、R1〜 R
3 は 炭素数4のアルキル基、R 4 〜R 6は炭素数2のアルキレン基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、9.593であった。
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル32.5gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(1)に対応するアミン化合物(式(1)において、R1〜 R
3 は 炭素数4のアルキル基、R 4 〜R 6は炭素数2のアルキレン基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、9.593であった。
実施例2の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキシルアミン25g、ブチルグリシジルエーテル65.6g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(2)に対応するアミン化合物(式(2)において、R1 , R 2は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.535であった。
攪拌機を備えたフラスコに、シクロヘキシルアミン25g、ブチルグリシジルエーテル65.6g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(2)に対応するアミン化合物(式(2)において、R1 , R 2は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.535であった。
実施例3の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン11.6g、ブチルグリシジルエーテル52g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(3)に対応するアミン化合物(式(3)において、R1は炭素数6のアルキレン基、R2 〜R5は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.783であった。
攪拌機を備えたフラスコに、1,6-ヘキサンジアミン11.6g、ブチルグリシジルエーテル52g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(3)に対応するアミン化合物(式(3)において、R1は炭素数6のアルキレン基、R2 〜R5は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.783であった。
実施例4の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキサンアミン15.6g、ブチルグリシジルエーテル39g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(4)に対応するアミン化合物(式(4)において、R1,R3,R4は炭素数4のアルキル基、R2は炭素数3のアルキレン基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、11.039であった。
攪拌機を備えたフラスコに、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキサンアミン15.6g、ブチルグリシジルエーテル39g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(4)に対応するアミン化合物(式(4)において、R1,R3,R4は炭素数4のアルキル基、R2は炭素数3のアルキレン基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、11.039であった。
実施例5の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、N-n-ブチルエタノールアミン11.7g、ブチルグリシジルエーテル26g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(5)に対応するアミン化合物(式(5)において、R1は炭素数2のアルキレン基、R2〜R4は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.195であった。
攪拌機を備えたフラスコに、N-n-ブチルエタノールアミン11.7g、ブチルグリシジルエーテル26g投入した。触媒としては、NaOHを重量換算で0.3%になるように添加し攪拌下、反応温度100℃にて3時間反応し一般式(5)に対応するアミン化合物(式(5)において、R1は炭素数2のアルキレン基、R2〜R4は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.195であった。
実施例6の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル21.6gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(6)に対応するアミン化合物(式(6)において、R1, R 4, R 6は炭素数2のアルキレン基、R2, R3は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、9.79であった。
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル21.6gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(6)に対応するアミン化合物(式(6)において、R1, R 4, R 6は炭素数2のアルキレン基、R2, R3は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、9.79であった。
実施例7の合成アミン化合物
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル10.8gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(7)に対応するアミン化合物(式(7)において、R1, R 2, R 3は炭素数2のアルキレン基、R4は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.02であった。
攪拌機を備えたフラスコに、トリエタノールアミン12.4g及びブチルグリシジルエーテル10.8gをいれ、触媒としてNaOHを重量換算で0.3%になるように投入し攪拌下、反応温度を90℃〜100℃に保ち4時間反応を行い一般式(7)に対応するアミン化合物(式(7)において、R1, R 2, R 3は炭素数2のアルキレン基、R4は炭素数4のアルキル基)を得た。反応生成物はFT-IRにより目的物であることを確認した。
この合成アミン化合物の等電位点のpHは、10.02であった。
比較例1の消泡添加剤は、三洋化成工業製サンヒビターNo.50を使用した。
比較例2の消泡添加剤は、アデカ製アデカポールDL-150を使用した。
[発泡性試験]
JIS−K−2518の装置を使用し、次の操作を行った。
1Lのメスシリンダーに190ml下記にて調整した試験液を採る。次にディフーザーストーンを通して空気を1000ml/分
×5分間吹き込み、発泡量(泡高さ)を観察する。
JIS−K−2518の装置を使用し、次の操作を行った。
1Lのメスシリンダーに190ml下記にて調整した試験液を採る。次にディフーザーストーンを通して空気を1000ml/分
×5分間吹き込み、発泡量(泡高さ)を観察する。
(試験液の調整)
実施例1〜7にて合成した合成アミン化合物を添加した水溶性潤滑剤組成物の原液を水道水で40倍(重量)に希釈したものおよび公知の消泡添加剤を添加した比較例1〜2の水溶性潤滑剤組成物の原液を水道水で40倍(重量)に希釈したものを試験液として用いた。
各実施例および各比較例のpHと発泡試験結果を表1に示した。
実施例1〜7にて合成した合成アミン化合物を添加した水溶性潤滑剤組成物の原液を水道水で40倍(重量)に希釈したものおよび公知の消泡添加剤を添加した比較例1〜2の水溶性潤滑剤組成物の原液を水道水で40倍(重量)に希釈したものを試験液として用いた。
各実施例および各比較例のpHと発泡試験結果を表1に示した。
本発明は、水溶性の油剤における発泡性抑制のための優れた消泡剤である。そのため本発明は、金属加工及びその工程で使用される水溶性切削油剤、水溶性研削油剤、水溶性研磨剤、水溶性塑性加工油剤及び水溶性洗浄剤等の水溶性潤滑油の分野にとどまらず製紙、パルプ、塗料、繊維、樹脂工業、廃水処理等の分野でも消泡剤としての効果が期待される。
Claims (4)
- pHが8〜11.5の範囲内において等電位点を持つアミン化合物からなる消泡剤。
- アミン化合物が一般式(1)乃至(7)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の消泡剤。
- 請求項2に記載の消泡剤の少なくとも1種を含有する水溶性潤滑油剤。
- アミン化合物が、アルキルアミンまたはアルカノールアミンと、アルキルグリシジルエーテルをアルカリ触媒存在下で反応させる工程にて製造される請求項1または2に記載の消泡剤の製造方法。
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JP2009092011A JP2010149102A (ja) | 2008-11-20 | 2009-04-06 | 消泡剤およびその製造方法 |
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2009
- 2009-04-06 JP JP2009092011A patent/JP2010149102A/ja active Pending
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