JP2002249796A - 水溶性油剤組成物 - Google Patents

水溶性油剤組成物

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JP2002249796A
JP2002249796A JP2001050593A JP2001050593A JP2002249796A JP 2002249796 A JP2002249796 A JP 2002249796A JP 2001050593 A JP2001050593 A JP 2001050593A JP 2001050593 A JP2001050593 A JP 2001050593A JP 2002249796 A JP2002249796 A JP 2002249796A
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oil
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carbon atoms
coolant
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Yasuo Yamanaka
康夫 山中
Eiji Niwa
栄次 丹羽
Reizo Fukushima
禮造 福嶋
Gensuke Ono
元輔 小野
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Kyodo Yushi Co Ltd
Hymo Corp
Original Assignee
Kyodo Yushi Co Ltd
Hymo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クーラント中に漏洩、混入する油溶性他油を
簡単に分離できる水溶性油剤組成物、及び非鉄金属材
料、セラミックス材料の加工時に発生する微小切粉の凝
集剤として使用できる水溶性油剤組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 構造式(1)又は(2)で表される高分
子カチオン化合物を含有する水溶性油剤組成物。 【化1】 但し、R1及びR2は、水素原子、炭素原子数1〜3のア
ルキル基、炭素原子数2〜12のヒドロキシアルキル
基、炭素原子数2〜12のヒドロキシアルコキシアルキ
ル基又はベンジル基を示し、R3、R4及びR5は、炭素
原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数2〜12のヒド
ロキシアルキル基、炭素原子数2〜12のヒドロキシア
ルコキシアルキル基又はベンジル基を示し、nは5〜3
00、mは5〜50、重量平均分子量は500〜50,
000である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削、研削加工を
はじめ塑性加工に広く適用できる金属加工用水溶性油剤
組成物に関し、特に、実際の切削・研削加工に使用した
場合、クーラント(希釈油剤)に油溶性他油が漏洩およ
び混入してもこれら他油が簡単に上層に分離され、その
結果、油剤性能が劣化せず長期間安定して使用出来る
為、周囲の作業環境を悪化させず、併せて廃液を出さ
ず、省資源地球環境汚染の防止に十分寄与する水溶性油
剤組成物に関する。本発明はまた、アルミニウム合金、
超硬合金、フェライト、シリコン、チタン合金等の非鉄
金属材料や、ガラス、酸化アルミニウム、窒化珪素等の
セラミックス材料の、研削加工(ラッピング、ポリッシ
ング加工)、切断加工、切削加工、塑性加工時に発生す
る微小切粉の凝集剤として使用できる水溶性油剤組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】切削、研削加工分野に広く使用される切
削油剤には、鉱油をベースにし、水に希釈しない不水溶
性切削油剤と、鉱油、界面活性剤、有機アミン等を含有
し、水に希釈する水溶性切削油剤とがある(JIS K
2241切削油剤 参照)。しかし、近年の生産性の向
上に伴い、機械加工条件に対する要求がますます厳しく
なってきた為、不水溶性油剤を適用していた切削、研削
加工分野においては、発煙、ミスト、引火等の問題が大
きくクローズアップされ、従来不水溶性油剤が使用され
ていた旋削、穴あけ、フライス等の切削加工や多くの研
削加工分野で不水溶性油剤に換わり水溶性油剤が広く使
用されるようになった。このような水溶性油剤の組成
は、切削、研削性を維持する為、不水溶性油剤の基油で
ある鉱油に界面活性剤、有機アミン等を添加し、水に希
釈出来る様にしたタイプのもの(通常:エマルションタ
イプと呼ばれる)が主体であった。確かに、この油剤
(原液)を水で約10〜50倍に希釈して使用した場
合、従来、不水溶性油剤で問題となった機械加工中の発
煙、ミスト、引火の問題は解決された。しかし、その反
面このタイプの油剤を使用すると、使用したクーラント
(エマルション)が腐敗しやすく(腐敗の為、悪臭を発
生し周囲の作業環境も悪化)、クーラントの性能劣化が
早く、その為、クーラントを短期間に頻繁に交換しなけ
ればならず、資源の無駄使い、地球環境汚染の一原因と
もなっていた。
【0003】その対策として、鉱油(不水溶性油剤の基
油)を含有させない油剤(通常ソリューブルタイプと呼
ばれる)や、鉱油の代替原料として腐敗性の少ない種々
のタイプの高分子ポリオキシアルキレングリコール化合
物を含有した油剤(通常シンセティックタイプと呼ばれ
る)やさらに切削油剤の腐敗(腐敗はクーラント中に繁
殖するバクテリアに起因)を防止する為の防腐剤、防黴
剤、殺菌剤の開発、さらに腐敗しにくい切削油剤原料を
種々検討し、これ等原料を使用し総合的に組合せて開発
した新しい水溶性切削油剤(通常:バイオスタティック
タイプまたは静菌タイプと呼ばれる)が近年広く市販さ
れている(特開昭51−149460号公報、特公昭5
8−5960号公報、特公平5−1316号公報、特公
平5−53872号公報、特公平6−31388号公報
等参照)。
【0004】上記水溶性油剤は、新液の場合、その防腐
性能は優れている。しかし、実際の機械加工に使用した
場合、機械加工に使用する被削材には油溶性焼入れ油や
防錆油、更に前加工で使用した油溶性切削油等が付着し
ており、これ等油溶性油剤が必ずクーラント中に混入す
る(この混入する油溶性油剤を一般に他油(トランプ・
オイル)と呼ぶ)。さらに、切削加工、研削加工を行う
工作機械(旋盤、フライス盤、ボール盤、歯切盤、円筒
研削盤、平面研削盤等)には、その工作機械を精度よく
摺動させる為、種々の油溶性潤滑油(油圧作動油、ギヤ
ー油、摺動面油等)が使用され、これらが使用している
水溶性油剤のクーラント中に漏洩、混入することは避け
られない。このように漏洩、混入する油剤も上記と同様
他油と呼ばれる。そして、これ等漏洩、混入した他油の
量は、クーラント中に通常1〜15質量%に達する。他
油の量を低減するために、従来よりクーラントのクーラ
ントタンクにオイルスクレーパー、オイルキャッチャー
等を取り付け、クーラント中の他油を分離回収すること
が行われている。又、長期間にわたって機械の運転を休
止するような場合に、クーラントに多量に浮遊した他油
を大型バキュームカーを用いて回収分離する等の非常に
非生産的な対策も行われている。
【0005】しかし、オイルスクレーパー、オイルキャ
ッチャー、バキュームカー等でクーラント中の他油を回
収するにしても、クーラント中に漏洩、混入した他油が
クーラント中より簡単に分離浮遊しなければ、混入した
他油をクーラント中より、分離回収する事は困難ないし
不可能である。さらに、上記に述べた鉱油(油溶性他油
に類似)を含有しない様、種々対策を行ってきた水溶性
油剤においても、その組成中には、油剤の特性を維持す
る為、種々の界面活性剤、有機アミン、無機塩基性化合
物、高分子ポリオキシアルキレン化合物等が含有され、
これらが、漏洩、混入する他油を乳化させる結果、他油
の分離を困難にしてしまうという問題もある。従って、
鉱油を含有せず、腐敗しにくい水溶性油剤も開発されて
はいるが、実際にこれをクーラントとして使用する場
合、クーラント中に他油が漏洩、混入することは回避で
きない。その結果、他油がクーラント中に完全に乳化さ
れ、クーラントがこれら他油の為に腐敗し短期間でクー
ラントの性能が低下してしまうのが通常であった。
【0006】また、アルミニウム合金、超硬合金、フェ
ライト、シリコン、チタン合金等の非鉄金属材料や、ガ
ラス、酸化アルミニウム、窒化珪素等のセラミックス材
料の、研削加工(ラッピング、ポリッシング加工)、切
断加工、切削加工、塑性加工時に発生する微小切粉は、
鉄鋼系金属の切粉のように簡単な磁力装置を用いてクー
ラントから除去することはできない。例えば、研削加工
において発生した微小切粉がクーラント中に分散し、研
削特性を低下する等の問題があった。従って、このよう
な微小切粉を凝集させ、クーラント中で沈降又は浮上さ
せてクーラントを清浄に維持することができれば、クー
ラントを長期間安定して使用でき、省資源、地球環境汚
染防止の観点から望ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、切削、研削加工をはじめ塑性加工に広く適用できる
金属加工用水溶性油剤組成物、特に、クーラント中に漏
洩、混入する油溶性他油を簡単に分離し、クーラントタ
ンクに設置してあるオイルスクレーパー、オイルキャッ
チャー等で容易に除去し、クーラントが常に他油を乳化
せず、他油の混入による、クーラントの腐敗や性能の劣
化、また、工作機械の壁や飛散した床の作業環境の悪化
を防止し、長期間安定して使用でき、廃液を出す回数を
減少させ、省資源化、および地球環境向上に寄与するこ
とができる水溶性油剤組成物を提供することである。本
発明の他の目的は、アルミニウム合金、超硬合金、フェ
ライト、シリコン、チタン合金等の非鉄金属材料や、ガ
ラス、酸化アルミニウム、窒化珪素等のセラミックス材
料の、研削加工(ラッピング、ポリッシング加工)、切
断加工、切削加工、塑性加工時に発生する微小切粉の凝
集剤として使用できる水溶性油剤組成物を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、下記の
構造式(1)で表される高分子カチオン化合物A及び下
記の構造式(2)で表される高分子カチオン化合物Bか
らなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する水溶性
油剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化2】 (但し、R1及びR2は、同一でも異なっていても良く、
水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数
2〜12のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜12
のヒドロキシアルコキシアルキル基又はベンジル基を示
し、R3、R4及びR5は、同一でも異なっていても良
く、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数2〜1
2のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜12のヒド
ロキシアルコキシアルキル基又はベンジル基を示し、n
は5〜300の整数、mは5〜50の整数であり、重量
平均分子量は500〜50,000である)。本発明の
第2は、さらに、脂環式アミン及び/又は芳香族アミン
を含有する上記第1の水溶性油剤組成物を提供するもの
である。本発明の第3は、さらに、炭素原子数6〜60
のカルボン酸と、該カルボン酸を中和水溶性化するのに
必要な塩基性物質を含有する上記第2の水溶性油剤組成
物を提供するものである。本発明の第4は、さらに、下
記構造式(3)〜(6)のポリオキシアルキレングリコ
ールの少なくとも1種を含有する上記第3の水溶性油剤
組成物を提供するものである。 (3)H−(EO)k −(PO)l −(EO)m −OH (4)H−(PO)p −(EO)q −(PO)r −OH (5)H−(EO/PO)t - (PO)u −(EO/PO)v −
OH (6)R6O(PO)w (EO)x H (但し、R6は、炭素原子数1〜6のアルキル基、PO
は−CH2 −CH(CH3)O−基、EOは−CH2
CH2 −O−基を示し、構造式(3)〜(6)の分子量
はそれぞれ1000〜30,000であり、k,l,m,p,q,
r,t,u,v,w,x は3〜500の整数である。(EO/PO)中
のEOとPOの比率は、5:95〜95:5(質量比)
である。)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に使用する構造式(1)で
表される高分子カチオン化合物A及び構造式(2)で表
される高分子カチオン化合物Bの分子量は、500〜5
0,000であり、好ましくは500〜30,000、
更に好ましくは1,000〜10,000の範囲であ
る。分子量が500未満では、クーラント中に漏洩、混
入する他油の分離効果が減少する。又、分子量が50,
000を越えると、他油分離の効果はそれ以上に増大し
ない反面、油剤(原液)の粘性が著しく増加してしま
う。
【0011】構造式(1)で表される高分子カチオン化
合物Aは、アンモニア又はアミン化合物A(HNR
12)(R1、R2は前記定義のとおりである)とエピク
ロロヒドリンとを重縮合することにより得られる。また
構造式(2)で表される高分子カチオン化合物Bは、ア
ンモニア又はアミン化合物A(HNR12)(R1、R2
は前記定義のとおりである)、アミン化合物B(R3
45)(R3、R4、R5は前記定義のとおりである)
とエピクロロヒドリンとを重縮合することにより得られ
る。アミン化合物Aとしては、アンモニア、モノメチル
アミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブ
チルアミン、イソブチルアミン、n−ヘキシルアミン、
n−オクチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、2−ヒドロキシプロピルアミン、ヒドロキシエチル
オキシエチルアミン等が挙げられる。アミン化合物Bと
しては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエ
タノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチル
アミノエタノール等が挙げられる。
【0012】さらに、高分子カチオン化合物A及びBの
添加量は、油剤(原液)中に0.01〜15質量%の範囲
が適当であり、好ましくは0.1〜5質量%が望ましい。
同化合物が0.01質量%未満では他油分離効果が劣り、
又15質量%を越えても増量効果が表れずコスト的にも
高くなり、油剤(原液)が非常に増粘し、取扱上問題が
ある。
【0013】本発明に使用する脂環式アミン及び/又は
芳香族アミンとしては、シクロヘキシルアミン、ジシク
ロヘキシルアミン、1,3−ビスメチルアミノシクロヘ
キサン等の脂環式アミン、アニリン、o−アルキルアニ
リン、m−キシレンジアミン等の芳香族アミン等が挙げ
られる。これ等のアミンは上記高分子カチオン化合物の
他油分離効果を向上する助剤であり、これ等のアミン化
合物をカチオン化合物と併用する事により、そのクーラ
ント中に漏洩、混入した他油の分離を著しく向上させる
事が出来る。これ等脂環式アミンおよび/又は芳香族ア
ミンの水溶性油剤(原液)への添加量は0.5〜15質量
%が適当であり、0.5質量%以下では、高分子カチオン
化合物と併用した場合、その他油分離の効果が十分に発
揮されないことがあり、又、15質量%を越えても、他
油分離の効果が飽和し、コスト的にも非常に高くなり、
さらに、水に対する溶解性も低くなる。従って、好まし
くは、1.0〜10.0質量%が望ましい。又、高分子カチ
オン化合物に対する、同アミン化合物の重量比率は1:
3〜1:50の範囲が望ましい。
【0014】さらに、本発明に使用される炭素原子数6
〜60のカルボン酸としては、モノカルボン酸及びジカ
ルボン酸が挙げられ、その具体例としては、カプロン
酸、カプリル酸、ノナン酸、ラウリル酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシス
テアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸、アラキン酸、ベヘン
酸、メリシン酸、イソノナン酸、ネオデカン酸、イソス
テアリン酸、油脂より抽出された大豆脂肪酸、ヤシ脂肪
酸、ナタネ油脂肪酸、石油より抽出されたナフテン酸
等;アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、モノ又は
ジヒドロキシアラキン酸;オレイン酸、リシノール酸、
リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の二
量体、三量体等の合成脂肪酸が挙げられる。これらのカ
ルボン酸の使用量は、原液中、1〜30質量%が適当で
ある。
【0015】本発明の組成物は、さらに上記カルボン酸
を中和水溶性化するのに必要な塩基性物質を含むことが
望ましい。このような塩基性物質としては、有機アルカ
ノールアミン、脂肪族アミン、及び同アミンにエチレン
オキサイドを1〜5モル付加した同アミン誘導体及び/
又はアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。これらの
塩基性物質は切削性、研削性、及び防錆性等を向上させ
る。これらの塩基性物質の使用量は、原液中、1〜40
質量%が適当である。有機アルカノールアミンとして
は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパ
ノールアミン、トリプロパノールアミン、N,N−ジメ
チルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールア
ミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチル
エタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン等
が挙げられ、脂肪族アミンとしては、炭素原子数8〜1
8の、第1級、第2級のアルキルアミン(例えば2−エ
チルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミ
ン、オレイルアミン等)及びこれ等のアミンにエチレン
オキサイドを1〜5モル付加した合成アミンやさらにイ
ソデシルアミン、イソステアリルアミン等が挙げられ
る。無機塩基性化合物としては、周期表1A族のアルカ
リ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム)等が挙げられる。これらの塩基性
物質の使用量は、上記カルボン酸を中和させるのに必要
な量以上であれば良い。塩基性物質の使用量がカルボン
酸の中和量より少ないとカルボン酸が十分に水に可溶化
しない。カルボン酸の使用量と塩基性物質の使用量の合
計量は、原液中、好ましくは2〜70質量%であり、さ
らに好ましくは5〜50質量%である。2質量%未満で
は、その特性効果が十分に発現しないことがあり、70
質量%を越え、塩基性物質が過剰の場合、塩基性が強
く、使用する作業者に皮膚炎を発生したり、さらにカル
ボン酸−塩基性物質の量が多く、界面活性性が強くな
り、漏洩、混入他油を完全乳化させる為、油剤の他油分
離性が低下する原因になる。
【0016】本発明の組成物に使用されるポリオキシア
ルキレングリコールとして好ましいものは、上記(3)
〜(6)の式で表されるものであり、これらの化合物を
添加することによって、油剤の切削性、研削性をさらに
向上させることができる。しかしながら、これらの化合
物は、漏洩、混入した他油を乳化し、油剤の他油分離性
に悪影響を与えるので、その添加量は、原液中、好まし
くは1〜50質量%であり、さらに好ましくは3〜30
質量%である。1質量%未満では油剤の切削性、研削性
の向上に寄与せず、50質量%を越えると油剤の他油分
離性を低下させ、又、切削性、研削性の向上が飽和して
しまい、油剤のコストを増大させる結果となる。
【0017】本発明の油剤組成物(原液)は、水(蒸留
水、脱イオン水、水道水、工業用水等)で10倍〜20
0倍に希釈し、クーラントとして切削加工、研削加工、
プレス加工、圧延加工、鍛造加工等の金属加工に使用さ
れるのが一般的である。また、本発明の油剤組成物(原
液)は、水(蒸留水、脱イオン水、水道水、工業用水
等)で10〜100倍に希釈し、非鉄金属材料やセラミ
ックス材料の、研削加工(ラッピング、ポリッシング加
工)、切断加工、切削加工、塑性加工時に発生する微小
切粉の凝集剤として使用される。
【0018】本発明に使用する高分子カチオン化合物A
及びBの合成法の一例を以下に示すが、本発明はこの合
成法に限定されるものではない。 合成例1(化合物Aの合成) コンデンサー、温度計、滴下洩斗及び撹拌機を取り付け
た四つ口フラスコに、50%ジメチルアミン水溶液8
9.2gと、蒸留水24.5gを仕込む。そこに、撹拌
下、40〜50℃に保ちながらエピクロロヒドリン10
0.9gを滴下漏斗で2時間かけて滴下し、その後、4
0〜45℃に約2時間保持してから、室温まで冷却し、
蒸留水76.4gを加えて、濃度50%のカチオン化合
物Aの水溶液300gを得た。この化合物Aの平均分子
量は約3000であった。 合成例2(化合物Bの合成) コンデンサー、温度計、滴下洩斗及び撹拌機を取り付け
た四つ口フラスコに、50%ジメチルアミン水溶液8
8.7g、30%トリメチルアミン水溶液48.5g、
蒸留水22.2gを仕込む。そこに、撹拌下、40〜5
0℃に保ちながらエピクロロヒドリン91.1gを滴下
漏斗で2時間かけて滴下し、その後、40〜45℃に約
2時間保持してから、室温まで冷却し、蒸留水49.5
gを加えて、濃度50%のカチオン化合物Bの水溶液3
00gを得た。この化合物Bの平均分子量は約2000
であった。
【0019】実施例1〜10、比較例1〜5 以下、表1の実施例及び表2の比較例により、本発明の
水溶性油剤をさらに詳細に説明する。なお表1及び表2
に例示した油剤組成物(原液)の組成は質量%である。実
際の工場の機械加工現場で使用している場合と同様に、
この原液を水道水で30倍に希釈したもの(クーラント)
について以下の性能試験を行った。
【0020】漏洩、混入他油分離性試験 30倍希釈油剤(クーラント)80mlに工作機械用潤滑
油(摺動面およびギヤー油兼用潤滑油:モービル石油製
バクトラNo. 2)20mlを720ml家電用ミキサー(東
芝製)に採取し、9000rpm で1分間作動させ、その
後この潤滑油混入希釈油剤(クーラント)を速やかに1
00mlメスシリンダーに移し、室温(25℃±3℃)で
24時間放置し潤滑油の分離状態を肉眼観察した。 判定 A:30分でほぼ完全に潤滑油を上層に分離し
(潤滑油−クーラントが完全にわかれる。)、下層のク
ーラントの外観は透明又は半透明。 B:3時間でほぼ完全に潤滑油を上層に分離し下層のク
ーラントの外観は透明又は半透明。 C:8時間でほぼ完全に潤滑油を上層に分離し下層のク
ーラントの外観は透明又は半透明。 D:24時間経過後、潤滑油は混合量の10〜50%程
しか上層に分離せず、下層のクーラントは潤滑油を乳化
している為、その外観は白濁(エマルション化)してい
る。
【0021】消泡性試験 30倍希釈油剤(クーラント)400mlを720ml家電
用ミキサー(東芝製)に採取し9000rpm で3分間作
動させ、その後このクーラントを500mlメスシリンダ
ー速やかに移し、泡の消えるまでの時間を測定する。 研削試験 30倍希釈油剤(クーラント)50Lを円筒研削盤のク
ーラントタンクに張り込み、下記研削条件で実際と同
様、研削実験を行い砥石を1回ドレッシング(目立て)
した時、何個の材料が研削可能かを調べる。1個目の材
料を研削した時の研削盤のモーターの消費電力値より3
0%上昇したときの電力値をもって砥石寿命とし、その
ときまでの被研削材料の加工個数により油剤の良否を判
定する。
【0022】 (研削諸元) 工作機械: 豊田工機製 円筒研削盤Gup−32 研削砥石: WA100K(405mmφ) 被削材: ベアリング鋼(50mmφ×10mm巾) 研削条件: 砥石周速: 2700m/min 切込み: 2mm/min 取代: 1mm 測定項目: 研削盤モーター電力(kw) クーラントタンク: 60L
【0023】切削性試験 30倍希釈油剤70Lをマシニングセンターマシンのク
ーラントタンクに張り込み、下記切削条件で切削試験
(転造タップ試験)を行い、転造タップが折損するまで
にタップ穴が何個開けられたかにより、油剤の良否を判
定する。 (切削諸元) 工作機械: 森精機製 マシニングセンターマシン 加工法: タップ加工 工具: 転造タップ(8mmφ) 材料: アルミニウム合金(AC4B 300 ×400 ×30mm) 下穴: 7.2mmリーマ仕上 (目くら穴) 測定項目: 転造タップが折損するまでにあけられた穴の個数 クーラントタンク: 100L
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】比較例
【0026】ポリオキシアルキレングリコール 1)日本油脂プロノン404(平均分子量6700) 2)日本油脂RiP528(平均分子量3200) 表1及び表2中「−」は該当する成分を含まないこと、
又は該当する試験を行わなかったことを意味する。
【0027】表1の実施例、表2の比較例の結果からも
わかるように、本発明の実施例1〜10の水溶性油剤組
成物(原液)はクーラント中に漏洩、混入する他油の分
離性に非常に優れており、さらに切削油剤の性能として
具備すべき、切削性、研削性の向上に寄与し、併せて消
泡性にも優れていることがわかる。これに対して、カチ
オン性化合物を含有しない比較例1〜5の油剤組成物
は、漏洩、混入他油の分離が悪く、他油によりクーラン
トが乳化され、白濁(エマルション)してしまってい
る。
【0028】実施例11及び比較例6 表3に示す組成の油剤を水道水で20倍に希釈し、50
Lをラッピングマシンのクーラントタンクに張り込み、
下記条件でラップ試験を行った。 ラップ条件: ラップ盤:汎用ラップ盤 砥石:ペレット式ダイヤモンド砥石(#100メッシ
ュ) ラッピング速度:30m/分 被削材:青板ガラス(8mmΦ×10mm)
【0029】
【表3】
【0030】実施例11では、高分子カチオン化合物の
凝集作用により、ガラス切粉が容易に沈降し、1000
枚加工しても、クーラント中にガラス切粉が分散するこ
とはなくラッピングが可能であった。これに対して、高
分子カチオン化合物を含まない比較例6では、250枚
加工した段階で砥石面にガラスの切粉が詰まり、それ以
上の加工は不可能であり、実験を中止した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 133/12 C10M 133/12 145/26 145/26 149/22 149/22 // C10N 10:02 C10N 10:02 20:04 20:04 30:00 30:00 Z 30:16 30:16 40:00 40:00 Z 40:22 40:22 40:24 40:24 A Z (72)発明者 丹羽 栄次 神奈川県藤沢市辻堂神台1の4の1 協同 油脂株式会社内 (72)発明者 福嶋 禮造 東京都品川区西五反田2−20−1 ハイモ 株式会社内 (72)発明者 小野 元輔 東京都品川区西五反田2−20−1 ハイモ 株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BB16C BB18C BB19C BE04C BE06C BE07C BE37C CB14C CE15C EA03C FA01 LA08 LA20 PA22 PA23 PA32 PA33 QA05 RA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の構造式(1)で表される高分子カ
    チオン化合物A及び下記の構造式(2)で表される高分
    子カチオン化合物Bからなる群から選ばれる少なくとも
    1種を含有する水溶性油剤組成物。 【化1】 (但し、R1及びR2は、同一でも異なっていても良く、
    水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数
    2〜12のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜12
    のヒドロキシアルコキシアルキル基又はベンジル基を示
    し、R3、R4及びR5は、同一でも異なっていても良
    く、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数2〜1
    2のヒドロキシアルキル基、炭素原子数2〜12のヒド
    ロキシアルコキシアルキル基又はベンジル基を示し、n
    は5〜300の整数、mは5〜50の整数であり、重量
    平均分子量は500〜50,000である)。
  2. 【請求項2】 さらに、脂環式アミン及び/又は芳香族
    アミンを含有する請求項1記載の水溶性油剤組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、炭素原子数6〜60のカルボン
    酸と、該カルボン酸を中和水溶性化するのに必要な塩基
    性物質を含有する請求項2記載の水溶性油剤組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、下記構造式(3)〜(6)のポ
    リオキシアルキレングリコールの少なくとも1種を含有
    する請求項3記載の水溶性油剤組成物。 (3)H−(EO)k −(PO)l −(EO)m −OH (4)H−(PO)p −(EO)q −(PO)r −OH (5)H−(EO/PO)t - (PO)u −(EO/PO)v −
    OH (6)R6O(PO)w (EO)x H (但し,R6は、炭素原子数1〜6のアルキル基、PO
    は−CH2 −CH(CH3)O−基、EOは−CH2
    CH2 −O−基を示し、構造式(3)〜(6)の分子量
    はそれぞれ1000〜30,000であり、k,l,m,p,q,
    r,t,u,v,w,x は3〜500の整数である。(EO/PO)中
    のEOとPOの比率は、5:95〜95:5(質量比)
    である。)
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