JP2003082336A - 水系ラップ液及び水系ラップ剤 - Google Patents

水系ラップ液及び水系ラップ剤

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JP2003082336A
JP2003082336A JP2001276045A JP2001276045A JP2003082336A JP 2003082336 A JP2003082336 A JP 2003082336A JP 2001276045 A JP2001276045 A JP 2001276045A JP 2001276045 A JP2001276045 A JP 2001276045A JP 2003082336 A JP2003082336 A JP 2003082336A
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JP2001276045A
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Taiga Kawamata
大雅 川俣
Masatoshi Horinouchi
雅敏 堀之内
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Adeka Corp
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Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨性能に悪影響を与えず、砥粒の分散安定
性及び沈降凝集した砥粒の再分散性に優れ、しかも環境
に対する悪影響がないラップ液及びラップ剤を提供する
こと。 【解決手段】 (A)成分として特定の構造を有する含
窒素化合物の、何れか1種又は2種以上の混合物からな
る砥粒分散剤;(B)成分として潤滑性基油;及び
(C)成分として水、を含有することを特徴とする水系
ラップ液、及び該ラップ液に砥粒を含有させた水系ラッ
プ剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体、セラミッ
クス、水晶、ガラス、超硬工具等の脆性材料を切断加工
又は研磨加工するために用いられる水系ラップ液、及び
これに砥粒を分散させた水系ラップ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】砥粒を分散させたスラリー状の加工剤
を、被加工物と工具の間に入れ両者に圧力を加えながら
相対運動をすることにより、被加工物の切断や表面研磨
を行なう加工方法がある。このような加工方法は、主
に、剪断変形では加工できない脆性材料、例えば、半導
体、水晶、ガラス、超硬工具等の加工に用いられてい
る。こうした加工で用いられる、砥粒を分散させた加工
液をラップ剤と呼ぶ。
【0003】このような加工方法では、砥粒は、あらか
じめ液に分散された形態で使用業者に供給されることも
あるが、輸送、及び貯蔵場所等の問題から、使用業者が
作業現場において、濃厚な加工液を必要に応じて水等で
希釈した後、砥粒を分散させて用いられることが多い。
本発明では、砥粒を分散させる前の濃厚な加工液をラッ
プ液、このラップ液を必要に応じて水等で希釈した後、
砥粒を分散させたものをラップ剤と呼ぶ。ラップ剤を用
いた研磨加工をラッピングと言うが、砥粒としてコロイ
ダルシリカ等の微粒子からなる研磨剤を用いた精密研磨
加工を、特にポリッシングと呼ぶ場合がある。
【0004】ラップ剤は通常、水、鉱油、合成油、油脂
等の液体に微細粉末状の砥粒を分散させたものである
が、加工精度を維持するためには、砥粒をラップ剤中に
長時間安定に分散させることが必要である。砥粒の分散
が不安定であると、砥粒の沈降や不均一分散が生じ、加
工能率及び加工精度が著しく低下する。特に、水系のラ
ップ剤においては、砥粒が沈降し易いため、ラップ剤に
おける砥粒の分散安定化は大きな課題である。
【0005】砥粒の分散剤としては、従来、アルキルフ
ェノールのエチレンオキサイド付加物が使用されてき
た。アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物
は、砥粒分散性等に優れた効果を示すが、難生分解性で
あるため、環境中へ放出された場合に長期間分解を受け
ず、環境を汚染する恐れがあった。また、近年ではノニ
ルフェノールが生物に対し擬似ホルモン作用を発現し内
分泌系を撹乱する作用があるのではないかといういわゆ
るエンドクリン問題の懸念もあり、アルキルフェノール
のエチレンオキサイド付加物についても代替品が模索さ
れていた。
【0006】アルキルフェノールのエチレンオキサイド
付加物を使用しない水系ラップ剤としては、特開平9−
36074号公報では、プルロニック型又はPO/EO
ランダム型のポリエーテル系界面活性剤を砥粒分散剤と
したラップ剤が提案されている。特開平10−2044
19号公報では、ポリアルキレングリコールの末端ジエ
ーテルを砥粒分散剤としたラップ剤が提案されている。
特開2000−63807公報では、脂肪族ジカルボン
酸と、アルコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付
加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロッ
クポリマー若しくは脂肪酸ジエタノールアミドとを含有
するラップ剤が提案されている。特開2000−160
142公報では、多価アルコールの部分エステル若しく
は部分エーテルとキレート化合物を含有するラップ剤が
提案されている。特開2000−345145公報で
は、炭素数6〜24のポリオキシエチレンモノアルキル
(又はアルケニル)エーテルを砥粒分散剤とするラップ
剤等が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
ラップ剤は、アルキルフェノールのエチレンオキサイド
付加物を砥粒分散剤とするラップ剤と比較し、砥粒の分
散性が不充分であるために砥粒が沈降し易く、また一度
沈降した砥粒はハードケーキと呼ばれる固い沈殿となる
ために再分散が困難であった。また、従来のラップ剤で
は、沈降した砥粒同士が凝集して大粒径の2次凝集粒子
となりやすく、沈降した砥粒を再分散させてそのまま用
いた場合には、被加工物の表面に微細な傷が発生しやす
いために、超音波分散機をかける等の方法により2次凝
集粒子を分解しなければならないという欠点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
検討し、特定の構造を有する砥粒分散剤が、研磨性能に
悪影響を与えず、砥粒の分散安定性及び沈降凝集した砥
粒の再分散性に優れ、しかも環境に対する悪影響がほと
んど無いラップ剤が得られることを見いだし本発明を完
成させた。即ち、本発明は、(A)成分として、下記の
一般式(1)〜(4) (式中、R1は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニ
ル基を表わし、A1Oはオキシアルキレン基を表わし、
aは0又は1以上の数を表わす。) (式中、R2はアルキレン基を表わし、R3は炭素数4以
上のアルキル基又はアルケニル基を表わし、X1は−(A
2O)b−Hで表わされる基、又は−R4−N{−(A 2O)b
−H}2で表わされる基を表わし、A2Oはオキシアルキ
レン基を表わし、bは0又は1以上の数を表わし、R4
はアルキレン基を表わす。) (式中、R5は炭素数2以上の直鎖アルキル基を表わ
し、X2はアルキル基、アルケニル基又は−(A3O)c
Hで表わされる基を表わし、A3Oはオキシアルキレン
基を表わし、cは0又は1以上の数を表わす。) (式中、R6は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニ
ル基を表わし、A4Oはオキシアルキレン基を表わし、
Yは水素原子又はメチル基を表わし、dは2以上の数を
表わす。)で表わされる含窒素化合物の、何れか1種又
は2種以上の混合物からなる砥粒分散剤;(B)成分と
して、潤滑性基油;及び(C)成分として、水を含有す
ることを特徴とする水系ラップ液、及び該ラップ液に砥
粒を含有させた水系ラップ剤である。また本発明は、こ
れらのラップ液又はラップ剤を使用した加工方法であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明の(A)成分につい
て説明する。本発明の(A)成分は、一般式(1)〜
(4)で表わされる含窒素化合物の、何れか1種又は2
種以上の混合物からなる砥粒分散剤である。一般式
(1)において、R1は炭素数が4以上のアルキル基又
はアルケニル基を表わす。炭素数が4以上のアルキル基
としては、例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシ
ル、トリデシル、テトラデシル、ヘシサデシル、オクタ
デシル、エイコシル、ドコシル、テトラコシル、トリア
コンチル等の直鎖アルキル基;2級ブチル、2級ペンチ
ル、2級ヘキシル、2級ヘプチル、2級オクチル、2級
ノニル、2級デシル、2級ウンデシル、2級ドデシル、
2級トリデシル、2級テトラデシル、2級ヘキサデシ
ル、2級ヘキサデシル等の2級アルキル基;イソブチ
ル、ターシャリブチル、イソペンチル、ネオペンチル、
ターシャリペンチル、イソヘキシル、イソオクチル、2
−エチルヘキシル、イソノニル、イソデシル、イソウン
デシル、イソトリデシル、イソステアリル、2−ブチル
オクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、
2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシ
ルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラ
デシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシル
オクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメ
チル分枝−イソステアリル等の分岐アルキル基等が挙げ
られる。
【0010】炭素数が4以上のアルケニル基としては、
例えば、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペ
ンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネ
ニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデ
セニル、オレイル等が挙げられる。炭素数が4以上であ
るこれらのアルキル基又はアルケニル基の中でも、炭素
数9〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、
デシル、ウンデシル、ドデシル、イソデシル、イソトリ
デシル、オレイルが更に好ましい。
【0011】一般式(1)において、A1Oはオキシア
ルキレン基を表わす。オキシアルキレン基としては、例
えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチ
レン等が挙げられ、中でもオキシエチレンが好ましい。
また、aは0又は1以上の数を表わし、1〜20が好ま
しく、1〜10が更に好ましく、1〜5が最も好まし
い。一般式(1)において、aが2以上の数である場
合、(A1O)aは、1種のオキシアルキレン基からなるポ
リオキシアルキレン基でもよく、2種以上のオキシアル
キレン基の混合からなる混合ポリオキシアルキレン基で
もよい。(A1O)aが混合ポリオキシアルキレン基である
場合は、そのうちの1種はオキシエチレンであることが
好ましく、更に(A1O)aで表わされる基の中のオキシエ
チレン基の含有量が50質量%以上であることが更に好
ましい。尚、一般式(1)の中には(A1O)aで表わされ
る基が2つあるが、これらは同一でも、それぞれ異なっ
ていてもよい。
【0012】一般式(1)において、aが1以上のもの
は、aが0のもの、即ち、N−アルキルアミン又はN−
アルケニルアミンにアルキレンオキサイドを反応するこ
とにより製造することができる。このようなN−アルキ
ルアミン又はN−アルケニルアミンとしては、例えば、
ブチルアミン、イソブチルアミン、2級ブチルアミン、
ターシャリブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルア
ミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2
級オクチルアミン、ノニルアミン、イソノニルアミン、
デシルアミン、イソデシルアミン、ウンデシルアミン、
イソウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルア
ミン、イソトリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘ
キサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルア
ミン、イソステアリルアミン、ブテニルアミン、ウンデ
セニルアミン、オレイルアミン、ヤシ油由来アルキルア
ミン、牛脂由来アルキルアミン、硬化牛脂由来アルキル
アミン、大豆油由来アルキルアミン等を挙げることがで
きる。また、アルキレンオキサイドとしては、例えば、
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド、テトラヒドロフラン(1,4−ブチレンオ
キサイド)等が挙げられる。アルキレンオキサイドを反
応させるには、公知の方法を用いればよく、反応させる
アルキレンオキサイドの種類に応じて、A1Oが決定さ
れる。
【0013】一般式(2)において、R2はアルキレン
基を表わす。アルキレン基としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、
ヘプチレン、オクチレン、ノニレン等が挙げられる。こ
れらのアルキレン基のなかでも、原料の入手のし易さか
ら、X1が−(A2O)b−Hで表わされる基である場合
は、エチレン、プロピレン及びヘキシレンが好ましく、
エチレン及びプロピレンが更に好ましく、プロピレンが
最も好ましい。X1が−R4−N{−(A2O)b−H}2で表
わされる基である場合は、モノアミンにアクリロニトリ
ルを付加して製造する場合が多いのでプロピレンが好ま
しい。
【0014】一般式(2)において、R3は一般式
(1)におけるR1と同義であり、炭素数が4以上のア
ルキル基又はアルケニル基を表わす。炭素数4以上のア
ルキル基又はアルケニル基の中でも、一般式(2)のR
3としてはノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ト
リデシル、オレイルが好ましく、デシル、ウンデシル、
ドデシル、オレイルが更に好ましい。X1は、−(A2O)
b−Hで表わされる基、又は−R4−N{−(A2O)b−H}
2で表わされる基を表わし、R4はアルキレン基を表わ
す。アルキレン基としては、R2で挙げたアルキレン基
を挙げることができる。R2とR4は同一でも、異なって
いてもよい。
【0015】A2Oはオキシアルキレン基を表わす。オ
キシアルキレン基としては、一般式(1)のA1Oで挙
げたオキシアルキレン基が挙げられ、なかでも、オキシ
エチレンが好ましい。また、bは0又は1以上の数を表
わし、0〜15が好ましく、0〜10が更に好ましく、
1〜8が最も好ましい。bが2以上の数である場合、
(A2O)bは、1種のオキシアルキレン基からなるポリオ
キシアルキレン基でもよいし、2種以上のオキシアルキ
レン基の混合からなる混合ポリオキシアルキレン基でも
よい。(A2O)bが混合ポリオキシアルキレン基である場
合は、そのうちの1種はオキシエチレンであることが好
ましく、さらに(A2O)bで表わされる基の中のオキシエ
チレン基の含有量が50質量%以上であることが更に好
ましい。尚、一般式(2)の中には(A2O)bで表わされ
る基が3つ又は4つ存在するが、これらは同一でも、そ
れぞれ異なっていてもよい。
【0016】一般式(2)において、bが1以上のもの
は、bが0のアミンにアルキレンオキサイドを反応させ
ることにより製造することができる。このような、bが
0であるアミンとしては、X1が−(A2O)b−Hで表わ
される基の場合としては、例えば、N−ブチル−エチレ
ンジアミン、N−オクチル−エチレンジアミン、N−
(2−エチルヘキシル)−エチレンジアミン、N−ドデ
シル−エチレンジアミン、N−オクタデシル−エチレン
ジアミン等のN−アルキル(アルケニル)エチレンジア
ミン類;N−ブチル−1,3−プロピレンジアミン、N
−オクチル−1,3−プロピレンジアミン、N−(2−
エチルヘキシル)−1,3−プロピレンジアミン、N−
デシル−1,3−プロピレンジアミン、N−ドデシル−
1,3−プロピレンジアミン、N−テトラデシル−1,
3−プロピレンジアミン、N−ヘキサデシル−1,3−
プロピレンジアミン、N−オクタデシル−1,3−プロ
ピレンジアミン、N−エイコシル−1,3−プロピレン
ジアミン、N−ヤシ油由来アルキル−1,3−プロピレ
ンジアミン、N−牛脂由来アルキル−1,3−プロピレ
ンジアミン、N−大豆油由来アルキル−1,3−プロピ
レンジアミン等のN−アルキル(アルケニル)プロピレ
ンジアミン類;N−ブチル−1,6−ヘキシレンジアミ
ン、N−オクチル−1,6−ヘキシレンジアミン、N−
(2−エチルヘキシル)−1,6−ヘキシレンジアミ
ン、N−ドデシル−1,6−ヘキシレンジアミン、N−
オクタデシル−1,6−ヘキシレンジアミン等のN−ア
ルキル(アルケニル)へキシレンジアミン類等が挙げら
れる。
【0017】X1が−R4−N{−(A2O)b−H}2で表わ
される基の場合としては、例えば、N,N−ビス(3−
アミノプロピル)ブチルアミン、N,N−ビス(3−ア
ミノプロピル)イソブチルアミン、N,N−ビス(3−
アミノプロピル)2級ブチルアミン、N,N−ビス(3
−アミノプロピル)ターシャリブチルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)ペンチルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)ヘキシルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)オクチルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)−2−エチルヘキシルアミ
ン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)2級オクチル
アミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ノニルア
ミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)イソノニル
アミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)デシルア
ミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルア
ミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)トリデシル
アミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)イソトリ
デシルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)テ
トラデシルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピ
ル)ヘキサデシルアミン、N,N−ビス(3−アミノプ
ロピル)オクタデシルアミン、N,N−ビス(3−アミ
ノプロピル)エイコシルアミン、N,N−ビス(3−ア
ミノプロピル)イソステアリルアミン、N,N−ビス
(3−アミノプロピル)ブテニルアミン、N,N−ビス
(3−アミノプロピル)ウンデセニルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)オレイルアミン、N,N−
ビス(3−アミノプロピル)ヤシ油由来アルキルアミ
ン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)牛脂由来アル
キルアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)硬化
牛脂由来アルキルアミン、N,N−ビス(3−アミノプ
ロピル)大豆油由来アルキルアミン等が挙げられる。
【0018】一般式(3)において、R5は炭素数2以
上の直鎖アルキル基を表わす。このような直鎖アルキル
基としては、エチル、プロピル、及び一般式(1)のR
1で挙げた直鎖アルキル基が挙げられ、中でも、炭素数
6〜20の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数8〜18
の直鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数10〜16の
直鎖アルキル基が最も好ましい。X2はアルキル基、ア
ルケニル基、又は−(A3O)c−Hで表わされる基を表わ
す。アルキル基又はアルケニル基としては、例えば、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ビニル、アリ
ル、プロペニル、イソプロペニル、一般式(1)のR1
で挙げたアルキル基及びアルケニル基等が挙げられる。
このような、アルキル基又はアルケニル基の中でもメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピルが好ましい。一般
式(3)において、A3Oはオキシアルキレン基を表わ
す。オキシアルキレン基としては、例えば、一般式
(1)で挙げたアルキレン基が挙げられ、中でもオキシ
エチレンが好ましい。また、cは0又は1以上の数を表
わし、0〜20が好ましく、0〜10が更に好ましく、
1〜7が最も好ましい。
【0019】cが2以上の数である場合、(A3O)cは、
1種のオキシアルキレン基からなるポリオキシアルキレ
ン基でもよいし、2種以上のオキシアルキレン基の混合
からなる混合ポリオキシアルキレン基でもよい。(A
3O)cが混合ポリオキシアルキレン基である場合は、そ
のうちの1種はオキシエチレンであることが好ましく、
更に(A3O)cで表わされる基の中のオキシエチレン基の
含有量が50質量%以上であることが更に好ましい。
尚、一般式(3)の中には(A3O)cで表わされる基が、
2つ又は3つ存在するが、これらは同一でも、それぞれ
異なっていてもよい。
【0020】一般式(3)で表わされる化合物のうち、
下記の一般式(10) (式中、X3はアルキル基、アルケニル基、又は−(A3
O)s−Hで表わされる基を表わし、sは0又は1を表わ
し、R5及びA3Oは一般式(3)と同義である。)で表
わされる化合物は、下記の一般式(11) (式中、R5は一般式(3)と同義である。)で表わさ
れるα−オレフィンオキサイドに、アンモニア、モノ若
しくはジアルカノールアミン、N−アルキル(又はアル
ケニル)アミン又はN−アルケニル(又はアルケニル)
アルカノールアミンを反応させることにより得ることが
できる。一般式(10)以外の一般式(3)で表わされ
る化合物は、一般式(10)で表わされる化合物に更に
アルキレンオキサイドを反応させることにより得ること
ができる。このようなα−オレフィンオキサイドとして
は、例えば、1−ブテンオキサイド、1−ペンテンオキ
サイド、1−ヘキセンオキサイド、1−オクテンオキサ
イド、1−デセンオキサイド、1−ドデセンオキサイ
ド、1−テトラデセンオキサイド、1−ヘキサデセンオ
キサイド、1−オクタデセンオキサイド、1−エイコセ
ンオキサイド、1−ドコセンオキサイド、1−テトラコ
センオキサイド、1−トリアコンテンオキサイド等が挙
げられる。
【0021】モノアルカノールアミンとしては、例え
ば、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、3−
プロパノールアミン、2−エチルエタノールアミン、4
−ブタノールアミン、6−ヘキサノールアミン等が挙げ
られる。ジアルカノールアミンとしては、例えば、ジエ
タノールアミン、N−ヒドロキシエチルイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、ビス(3−プロ
パノール)アミン、ビス(2−エチルエタノール)アミ
ン、ビス(4−ブタノール)アミン等が挙げられる。
【0022】N−アルキル(又はアルケニル)アミンと
しては、例えば、一般式(1)のaが0の場合に挙げた
N−アルキル(又はアルケニル)アミン、メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミ
ン等が挙げられる。N−アルケニル(又はアルケニル)
アルカノールアミンとしては、例えば、上記N−アルキ
ル(又はアルケニル)アミンの−NH2で表わされる基
の水素原子のうち一方を、ヒドロキシエチル、ヒドロキ
シプロピル、2−ヒドロキシイソプロピル等のアルカノ
ール基で置換したN−アルキル(又はアルケニル)アル
カノールアミンを挙げることができる。
【0023】また、一般式(10)で表わされる化合物
に反応させるアルキレンオキサイドとしては、例えば、
一般式(1)で挙げたアルキレンオキサイド等が挙げら
れる。一般式(10)で表わされる化合物にアルキレン
オキサイドを反応させる場合は、公知の方法により反応
すればよい。
【0024】一般式(4)において、R6は炭素数4以
上のアルキル基又はアルケニル基を表わす。このような
アルキル基又はアルケニル基としては、例えば、一般式
(1)のR1で挙げたアルキル基又はアルケニル基等が
挙げられる。アルキル基又はアルケニル基としては、炭
素数7〜19のアルキル基又はアルケニル基が好まし
く、炭素数9〜17のアルキル基又はアルケニル基が更
に好ましい。
【0025】A4Oはオキシアルキレン基を表わす。オ
キシアルキレン基としては、例えば、一般式(1)で挙
げたアルキレン基が挙げられ、中でもオキシエチレンが
好ましい。また、dは2以上の数を表わし、2〜20が
好ましく、2〜10が更に好ましく、3〜7が最も好ま
しい。(A4O)dは、1種のオキシアルキレン基からなる
ポリオキシアルキレン基でもよいし、2種以上のオキシ
アルキレン基の混合からなる混合ポリオキシアルキレン
基でもよい。(A4O)dが混合ポリオキシアルキレン基で
ある場合は、そのうちの1種はオキシエチレンであるこ
とが好ましく、更に(A4O)dで表わされる基の中のオキ
シエチレン基の含有量が50質量%以上であることが更
に好ましい。
【0026】一般式(4)で表わされる化合物は、R6
COOHで表わされる脂肪酸に、アンモニアを反応させ
て得られる脂肪酸アミド、脂肪酸にモノアルカノールア
ミンを反応させて得られる脂肪酸モノアルカノールアミ
ド、又は脂肪酸にN−メチルアルカノールアミンを反応
させて得られる脂肪酸N−メチルモノアルカノールアミ
ド等にアルキレンオキサイドを反応させることにより得
ることができる。R6COOHで表わされる脂肪酸にア
ンモニアを反応させて脂肪酸アミドとする反応は、公知
の方法を用いればよい。例えば、脂肪酸とアンモニアを
反応させて得られる脂肪酸のアンモニウム塩を、反応温
度100〜190℃で生成水を減圧下留去することによ
り脂肪酸アミドを得ることができる。
【0027】また、R6COOHで表わされる脂肪酸と
反応させるモノアルカノールアミン及びN−メチルモノ
アルカノールアミンとしては、例えば、一般式(3)で
挙げたモノアルカノールアミン及びN−メチルモノアル
カノールアミンを挙げることができる。R6COOHで
表わされる脂肪酸にモノアルカノールアミン又はN−メ
チルモノアルカノールアミンを反応させる方法は、公知
の方法を用いればよい。例えば、脂肪酸とモノアルカノ
ールアミン又はN−メチルモノアルカノールアミンを混
合し、100〜160℃の反応温度で反応させ、生成水
を減圧下留去することにより脂肪酸モノアルカノールア
ミド又は脂肪酸N−メチルモノアルカノールアミドを得
ることができる。
【0028】脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノールアミド
又は脂肪酸N−メチルアルカノールアミドにアルキレン
オキサイドを反応せる方法は公知の方法を用いればよ
い。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリ金属触媒の存在下、80〜150℃の反応温度で
アルキレンオキサイドを反応させることにより一般式
(4)で表わされる化合物を得ることができる。
【0029】以上で説明した、本発明の(A)成分であ
る一般式(1)〜(4)で表わされる砥粒分散剤は、ア
ルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物と比較し
て生分解性に優れているため、環境中に放出された後で
も残留することが少ない。また、構造中にノニルフェニ
ル基を持たないため、ノニルフェノールに由来する、い
わゆるエンドクリン問題への懸念が解消される。従っ
て、本発明の水系ラップ液又は水系ラップ剤が環境中に
排出されたとしても、環境への悪影響が極めて少ない。
【0030】また、本発明の(A)成分である砥粒分散
剤は、従来の砥粒分散剤より優れた砥粒分散安定性を有
している。具体的には、砥粒が沈降しにくく、砥粒が沈
降してしてもハードケーキ化せず砥粒の再分散が容易で
あり、しかも沈降した砥粒が2次凝集しにくいために、
砥粒を再分散してそのまま使用しても、研磨物の表面に
微細な傷が発生しにくいという利点である。
【0031】次に、本発明の(B)成分である潤滑性基
油について説明する。本発明の(B)成分である潤滑性
基油としては、公知の潤滑性基油が使用できる。こうし
た潤滑性基油としては、鉱油、合成油、油脂等が挙げら
れる。ここで、鉱油とは、天然の原油から分離、蒸留、
精製されるものをいい、パラフィン系、ナフテン系、あ
るいはこれらを水素化処理、溶剤精製したもの等が挙げ
られる。これらのなかには、いわゆるスピンドル油、マ
シン油、タービン油、シリンダー油と称されている鉱油
が含まれる。
【0032】パラフィン系又はナフテン系の鉱油として
は、40℃動粘度が0.5〜100mm2/s、好まし
くは1〜60mm2/sのものが好ましい。40℃動粘
度が0.5mm2/s以下の鉱油の場合は、加工能率や
被加工物の表面粗さが悪化し、100mm2/sよりも
高い場合は、加工後の被加工物の洗浄性が悪化すること
がある。また合成油とは、化学的に合成された潤滑油で
あって、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポ
リブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、リン酸
エステル、ケイ酸エステル、ポリアリールエーテル、ポ
リエーテル(ポリアルキレングリコールとも言う)、ポ
リフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、ア
ルキルベンゼン、アルキルナフタレン等である。また、
油脂とは、例えば、牛脂、豚脂、ナタネ油、ヤシ油、パ
ーム油、ヌカ油、大豆油あるいはこれらの水素添加物等
が挙げられる。
【0033】なかでも好ましいのはパラフィン系若しく
はナフテン系の鉱油、又は一般式(5)で表わされるポ
リエーテルである。 (式中、R7はモノオール又はポリオールから水酸基を
除いた残基を表わし、A5Oはオキシアルキレン基を表
わし、fは2以上の数を表わし、eはモノオール又はポ
リオールの水酸基の数と同数である1以上の数を表わ
す。)
【0034】一般式(5)で表わされるポリエーテルに
おいて、R7はモノオール又はポリオールから水酸基を
除いた残基を表わす。モノオールとしては、例えば、メ
タノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、2−ブタノール、2級ブタノール、タ
ーシャリブタノール、ペンタノール、2−ペンタノー
ル、2級ペンタノール、ネオペンチルアルコール、ター
シャリペンチルアルコール、ヘキサノール、2級ヘキサ
ノール、ヘプタノール、2級ヘプタノール、オクタノー
ル、2−エチルヘキサノール、2級オクタノール、ノナ
ノール、2級ノナノール、デカノール、2級デカノー
ル、ウンデカノール、2級ウンデカノール、ドデカノー
ル、2級ドデカノール、トリデカノール、イソトリデカ
ノール、2級トリデカノール、テトラデカノール、2級
テトラデカノール、ヘキサデカノール、2級ヘキサデカ
ノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコ
ール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノー
ル、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ミリシルア
ルコール、ラッセロール、テトラトリアコンタノール、
2−ブチルオクタノール、2−ブチルデカノール、2−
ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−
オクチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−
オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、
2−ドデシルヘキサデカノール、2−ヘキサデシルオク
タデカノール、2−テトラデシルオクタデカノール、シ
クロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタ
ノール、メチルシクロペンタノール、メチルシクロヘキ
サノール、メチルシクロヘプタノール、ベンジルアルコ
ール等のモノアルコール;フェノール、クレゾール、ジ
メチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノ
ール、ターシャリブチルフェノール、ペンチルフェノー
ル、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチ
ルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノー
ル、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシ
ルフェノール、フェニルフェノール、ベンジルフェノー
ル、スチレン化フェノール、p−クミルフェノール等の
モノフェノール;α−ナフトール、β−ナフトール等の
ナフトールが挙げられる。
【0035】ポリオールとしては、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタ
ンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,2−オクタンジオール、オクタンジオール(2
−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、2−ブチル−
2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−デカ
ンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テト
ラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、
1,2−オクタデカンジオール、1,12−オクタデカ
ンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、水素化ビスフェノールA、ソルバイド、メ
チルジエタノールアミン等の2価アルコール;グリセリ
ン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタ
ントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリ
オール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4
−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオー
ル、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−
2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタ
ン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−
1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパ
ン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、
ペンタメチルグリセリン(2,4−ジメチル−2,3,
4−ペンタントリオール)、トリエタノールアミン、ト
リイソプロパノールアミン等の3価アルコール;ペンタ
エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロー
ル、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,
4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサ
ンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパ
ン、ソルビタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2
−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,
N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エ
チレンジアミン等4価アルコール;アドニトール、アラ
ビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アル
コール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マン
ニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、
タロース、アロース等の6価アルコール;蔗糖等の8価
アルコール等が挙げられる。
【0036】eはR7(OH)eで表わされるモノオール又
はポリオールの水酸基の数と同数である1以上の数を表
わす。このようなモノオール又はポリオールの中でも、
炭素数1〜8のモノオール又は炭素数2〜20のポリオ
ールが好ましく、炭素数1〜6の1価のアルコール又は
炭素数2〜12の2〜4価アルコールが更に好ましい。
【0037】また、一般式(5)において、A5Oはオ
キシアルキレン基を表わす。オキシアルキレン基として
は、一般式(1)で挙げたオキシアルキレン基が挙げら
れ、なかでも炭素数2〜4のオキシアルキレン基である
ことが好ましい。一般式(5)の(A5O)fの部分は、エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオ
キサイド、テトラヒドロフラン(1,4−ブチレンオキ
サイド)、長鎖α−オレフィンオキサイド、スチレンオ
キサイド等のアルキレンオキサイド等を付加重合するこ
とにより得ることができる。付加させるアルキレンオキ
サイド等の重合形態は特に限定されず、1種類のアルキ
レンオキサイド等の単独重合、2種類以上のアルキレン
オキサイド等のランダム共重合、ブロック共重合又はラ
ンダム/ブロック共重合等であってよいが、ブロック共
重合の方が、被加工物の加工精度が向上し好ましい。
(A5O)fの部分が2種以上のオキシアルキレン基よりな
る混合ポリオキシアルキレン基である場合は、1種はオ
キシエチレン基であることが好ましく、オキシエチレン
基とオキシプロピレン基であることが更に好ましい。
【0038】(A5O)fの部分に含まれるオキシエチレン
基の好ましい含有量の範囲は、(A5O)fの部分の重合形
態により異なる。即ち、(A5O)fの部分がランダム共重
合である場合には、(A5O)fの部分に含まれるオキシエ
チレン基の含有量は、好ましくは5〜95モル%、より
好ましくは20〜80モル%、最も好ましくは40〜7
5モル%である。また、(A5O)fの部分がブロック共重
合である場合は、(A5O)fの部分に含まれるオキシエチ
レン基の含有量は、好ましくは5〜70モル%、より好
ましくは10〜50モル%である。(A5O)fの部分がオ
キシエチレン基の含有量70モル%以上のブロック共重
合である場合は、泡立ちが大きく作業性が低下すること
がある。
【0039】重合度fは2以上の数であり、一般式
(5)で表わされるポリエーテル化合物の数平均分子量
が、500〜50,000、好ましくは700〜20,
000、更に好ましくは800〜10,000となるよ
うな重合度fであることが好ましい。数平均分子量が5
00に満たない場合には、被加工物の加工精度が下がる
場合があり、50,000を超える場合には、加工の際
に周囲に飛び散って乾燥したラップ剤を洗浄しにくくな
る場合がある。
【0040】こうした、一般式(5)で表わされるポリ
エーテル化合物の中でも、被加工物の加工精度の点か
ら、下記の一般式(6)〜(9)で表わされるポリエー
テル化合物が好ましい。 一般式(6)〜(9)において、EOはオキシエチレン
基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わす。ま
た、オキシエチレン基の重合度g、j、k及びn、又は
オキシプロピレン基の重合度h、i、l及びmは、それ
ぞれ1以上の数である。
【0041】重合度g、h、i、j、k、l、m及びn
は、一般式(5)で表わされるポリエーテル化合物の場
合と同様に、一般式(6)〜(9)のポリエーテル化合
物の数平均分子量が、500〜50,000,好ましく
は700〜20,000、更に好ましくは800〜1
0,000となるような重合度であることが好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン基の含量が
一般式(6)又は一般式(8)においては5〜20モル
%、一般式(7)又は一般式(9)においては5〜50
モル%であることが好ましい。
【0042】本発明の水系ラップ液は、上記(A)成分
及び(B)成分に加えて、(C)成分である水を含有す
る。本発明の水系ラップ液において、(A)成分の含有
量はラップ液全量に対して3〜70質量%であることが
好ましく、5〜50質量%であることが更に好ましい。
(A)成分の含有量が3質量%未満の場合は、砥粒の分
散性及び分散安定性が低下することがあり、70質量%
を超える場合は、(B)成分の相対的な含有量が減り加
工精度が低下することがあるためである。また、(B)
成分の含有量はラップ液全量に対して10〜50質量%
であることが好ましく、15〜40質量%であることが
更に好ましい。(B)成分の含有量が10質量%未満の
場合は、加工精度が低下することがあるためである。ま
た、(C)成分の水の含有量は、ラップ液全量に対して
10〜80質量%であることが好ましく、15〜50質
量%であることが更に好ましい。(C)成分の水の含有
量が10質量%未満の場合は、(A)成分と(B)成分
が分離を起こすことがあり、80質量%を超える場合
は、ラップ液という濃厚液の形態で供給する意義が薄
れ、ラップ液の輸送、取り扱い、貯蔵場所等の問題が起
こるためである。
【0043】本発明の水系ラップ液は、工具及び機械等
の防錆のために、更に(D)成分として、防錆剤を含有
することが好ましい。防錆剤としては有機カルボン酸
塩、スルホン酸塩、酸性リン酸エステル塩、ホスホン酸
塩、無機酸塩、多価アルコール部分エステル、カルボン
酸アミド等が挙げられる。
【0044】有機カルボン酸塩を構成する有機カルボン
酸としては、例えば、オクタン酸(カプリル酸)、デカ
ン酸(カプリン酸)、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸
(ペラルゴン酸)、イソノナン酸、ラウリン酸、イソデ
カン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、イソステアリン酸、ウンデセン酸、オレイ
ン酸、リノール酸、アラキン酸、12−ヒドロキシステ
アリン酸、リシノール酸等の脂肪族1塩基酸;マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、ブラシル酸、アルケニルコハク酸等の脂肪族2塩基
酸;サリチル酸、アルキルサリチル酸、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリッ
ト酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンカル
ボン酸等の芳香族カルボン酸;ダイマー酸、トリマー
酸、ナフテン酸、9(又は10)−(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタデカン酸等が挙げられる。これらの中に
は、分散剤、乳化剤、油性剤又は防腐剤として作用する
ものもある。
【0045】スルホン酸塩を構成するスルホン酸として
は、例えば、石油スルホン酸、アルキルベンゼンスルホ
ン酸、α−オレフィンスルホン酸、ナフタレンスルホン
酸等が挙げられる。これらの中には、分散剤、乳化剤と
して作用するものもある。酸性リン酸エステル塩を構成
する酸性リン酸エステルとしては、オクタノールの(モ
ノ又はジ)リン酸エステル、ラウリルアルコールの(モ
ノ又はジ)リン酸エステル、オレイルアルコールの(モ
ノ又はジ)リン酸エステル、ブチルアルコールエトキシ
レートの(モノ又はジ)リン酸エステル、オレイルアル
コールエトキシレートの(モノ又はジ)リン酸エステル
等が挙げられる。これらの中には、分散剤、乳化剤とし
て作用するものもある。
【0046】ホスホン酸塩を構成するホスホン酸として
は、例えば、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒド
ロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等が挙げられ
る。また、無機酸としては(ポリ)リン酸、ケイ酸、ホ
ウ酸等が挙げられる。
【0047】これらの酸と塩を形成する塩基成分として
は、無機アルカリ、アミン等が挙げられる。無機アルカ
リとしては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等
のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属炭酸塩;水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、
酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物又はア
ルカリ土類金属酸化物等が挙げられる。
【0048】アミンとしては例えば、アンモニア;(モ
ノ、ジ、又はトリ)メチルアミン、(モノ、ジ、又はト
リ)エチルアミン、(モノ、ジ、又はトリ)プロピルア
ミン、(モノ、ジ、又はトリ)イソプロピルアミン、
(モノ、ジ、又はトリ)ブチルアミン、(モノ、ジ又は
トリ)オクチルアミン、(モノ、ジ又はトリ)2−エチ
ルヘキシルアミン、(モノ、ジ、又はトリ)デシルアミ
ン、(モノ、又はジ)ドデシルアミン、(モノ、又は
ジ)トリデシルアミン、(モノ、又はジ)テトラデシル
アミン、(モノ、又はジ)ヘキサデシルアミン、(モ
ノ、又はジ)オクタデシルアミン、(モノ、又はジ)オ
レイルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、1−(2−
アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、シ
クロヘキシルアミン、ベンジルアミン、モルホリン等の
アルキルアミン;(モノ、ジ、又はトリ)エタノールア
ミン、(モノ、ジ、又はトリ)イソプロパノールアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチル
エタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N
−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチ
ル)エタノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノー
ルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’
−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジア
ミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0049】また、多価アルコール部分エステルとして
は、例えば、グリセリン(モノ、又はジ)ラウレート、
グリセリン(モノ、又はジ)ミリステート、グリセリン
(モノ、又はジ)パルミテート、グリセリン(モノ、又
はジ)ステアレート、グリセリン(モノ、又はジ)オレ
ート等のグリセリンエステル;ジグリセリン(モノ、
ジ、又はトリ)ステアレート、ジグリセリン(モノ、
ジ、又はトリ)オレート等のジグリセリンエステル;ソ
ルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビ
タンパルミテート、ソルビタンスレアレート、ソルビタ
ンオレート等のソルビタンエステル等が挙げられる。こ
れらの中には、分散剤、乳化剤又は油性剤として作用す
るものもある。
【0050】また、カルボン酸アミドとしては、例え
ば、アルケニルコハク酸アミド、ラウリン酸モノエタノ
ールアマイド、ラウリン酸ジエタノールアマイド、ミリ
スチン酸モノエタノールアマイド、ミリスチン酸ジエタ
ノールアマイド、パルミチン酸モノエタノールアマイ
ド、パルミチン酸ジエタノールアマイド、ステアリン酸
モノエタノールアマイド、ステアリン酸ジエタノールア
マイド等が挙げられる。これらの中には、分散剤、乳化
剤、油性剤として作用するものもある。
【0051】こうした防錆剤の中でも、有機カルボン酸
塩が好ましく、中でも脂肪族2塩基酸塩が好ましい。ま
た、有機カルボン酸塩の有機カルボン酸と塩を形成する
塩基成分としては、アルカノールアミンが好ましい。
(D)成分である防錆剤の含有量は、ラップ液全量に対
して0.3〜30質量%であることが好ましく、0.5
〜10質量%であることが更に好ましい。(D)成分で
ある防錆剤の含有量が0.3質量%に満たない場合に
は、防錆効果が十分でない場合があり、30質量%を超
える場合には、相対的に(A)成分や(B)成分の含有
量が減少するので、加工精度が低下する場合がある。
【0052】本発明のラップ液においては、必要に応じ
て、増粘剤、乳化剤、消泡剤、溶剤、防腐剤、金属不活
性化剤等を添加することができる。また、これらは、本
発明のラップ液に砥粒を分散させてラップ剤とする段階
で添加してもよい。増粘剤としては、例えば、キタンサ
ンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリピロリ
ドン、ポリエチレンオキシド、水溶性ウレタン化合物等
が挙げられる。乳化剤としては、例えば、長鎖アルコー
ルエトキシレート、長鎖アルコールエトキシレート硫酸
エステル塩、長鎖アルコール硫酸エステル塩、アルキル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げ
られる。消泡剤としては、例えば、シリコーン油、フル
オロシリコーン油等が挙げられる。
【0053】溶剤としては、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
プロピレングリコール、グリセリン、ブチルセロソル
ブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールメチル
エーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ト
リプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレン
グリコールブチルエーテル等が挙げられる。
【0054】防腐剤としては、例えば、2−メチル−4
−イソチアゾリン−3−オン、5−クロル−2−メチル
−4−イソチアゾリン−3−オン、ベンズ−4−イソチ
アゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリ
ン−3−オン、デヒドロ酢酸、ピリジン−2−チオール
−1−オキシド塩、N,N’,N’’−トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、2,
2−ジブロム−2−ニトロトリエタノール、パラクロル
メタクレゾール、2−ブロム−2−ニトロ−1,3−プ
ロパンジオール、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベ
ンザルコニウム、1,2−ジブロム−2,4−ジシアノ
ブタンなどが挙げられる。金属不活性化剤としては、例
えば、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾー
ル、トリルトリアゾール、ベンドイミダゾール等が挙げ
られる。
【0055】本発明の水系ラップ液は、濃厚液を水で希
釈した後、砥粒を添加・分散させてラップ剤として、切
断加工、研磨加工等に使用される。水による希釈倍率
は、加工方法、加工条件、被加工物の種類、被加工物の
形状等によって異なるが、5〜150質量倍であること
が好ましく、10〜100質量倍が更に好ましい。水に
よる希釈する倍率が、150質量倍を超える場合は、砥
粒の分散安定性が低下することがあるためである。
【0056】本発明の水系ラップ剤に添加・分散させる
砥粒(ラッピング用研磨剤)は、通常用いられているも
のであればよい。例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタ
ン、酸化鉄、エメリー、酸化クロム、酸化セリウム、酸
化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ
素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウ
ム、炭化チタン、ダイヤモンド等が挙げられる。通常、
粒径は、3〜16μm程度である。
【0057】本発明の水系ラップ液に添加する砥粒の量
は、砥粒添加後の水系ラップ剤中の砥粒含有量が、水系
ラップ剤全量に対して、10〜60質量%であることが
好ましい。砥粒の配合量が10質量%未満では、加工効
率が低下することがあり、60質量%を超えると研磨剤
の粘度が上昇し作業性が悪化すると共に砥粒の分散安定
性が悪くなることがあるためである。
【0058】本発明の水系ラップ液又は水系ラップ剤
は、従来、水系ラップ剤が用いられてきた加工分野、即
ち、半導体、水晶、超硬工具、金属部品、ガラス、セラ
ミックス等の脆性材料の切断加工の分野、又は、研磨加
工の分野で使用することができる。切断加工の分野にお
いては、外周刃による切断法、内周刃による切断法、ワ
イヤソーによる切断法、ブレードソーによる切断法等の
様々な切断方法に使用できる。また、研磨加工において
は、被加工物の形状は、ウェーハのような平面状のもの
だけでなく、レンズのような曲面状のものや、ギアや歯
車のような複雑な形状をもつものの加工にも使用でき、
表面の超精密な仕上げ加工であるポリッシング加工にも
使用できる。
【0059】特に、半導体ウェーハの研磨加工において
は、研磨加工後のウェーハの清浄性が求められることか
ら、(B)成分としては一般式(5)で表わされるポリ
エーテル化合物が好ましく、中でも一般式(6)〜
(9)で表わされるポリエーテル化合物が更に好まし
い。こうした半導体ウェーハとしては、例えば、シリコ
ン、ガリウムヒ素、ガリウムリン、インジウムリン等の
ウェーハが挙げられる。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無
い限り質量基準である。また、以下の表中、「EO」は
オキシエチレン基の、「PO」はオキシプロピレン基の
略である。以下に示す化合物を用いて、表1に示す配合
比にて実施例1〜11及び比較例1〜10のラップ液を
配合した。
【0061】<A成分:砥粒分散剤> (A−1)ラウリルアミンのエチレンオキサイド4モル
付加物 (A−2)N−牛脂由来アルキル−1,3−プロピレン
ジアミンのエチレンオキサイド12モル付加物 (A−3)ラウリルアミンのプロピレンオキサイド2モ
ル、エチレンオキサイド6モル付加物 (A−4)2−ヒドロキシステアリルアミンのエチレン
オキサイド18モル付加物 (A−5)ヤシ油脂肪酸アミドのエチレンオキサイド6
モル付加物
【0062】<比較のための砥粒分散剤> (A’−1)ポリオキシエチレン(8)ノニルフェニル
エーテル (A’−2)ポリオキシエチレン(7)C12〜C14
飽和合成2級アルキルエーテル (A’−3)ポリオキシエチレン(8)C12〜C14
直鎖オキソアルキルエーテル (A’−4)ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテ
ル (A’−5)ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテ
ル (A’−6)グリセリンモノオレイン酸エステル (A’−7)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
【0063】<B成分:潤滑性基油> (B−1)HO−(EO)12(PO)30(EO)12−H (B−2)HO−(EO)3(PO)40(EO)3−H (B−3)HO−(PO)20(EO)20(PO)20−H (B−4) (B−5)HO−(EO)75−H (B−6)グリセリンのポリオキシエチレン/ポリオキ
シプロピレンランダム共重合付加物(EO含有量55モ
ル%、数平均分子量2500) (B−7)パラフィン系蒸留精製鉱油:40℃動粘度;
1.7mm2/s、沸点;220〜250℃ (B−8)パラフィン系溶剤精製鉱油:40℃動粘度;
32mm2/s (B−9)ビス(ドデシル)ベンゼン
【0064】<C成分:水> イオン交換水 <D成分:防錆剤> (D−1)オレイン酸トリエタノールアミン塩 (D−2)ドデカン二酸N−シクロヘキシルジエタノー
ルアミン塩
【0065】<その他の成分> プロピレングリコール(溶剤)
【0066】
【0067】(砥粒分散性評価試験)上記表1に示すラ
ップ液をイオン交換水にて50倍に希釈した液100m
lを共栓付き100mlメスシリンダーに取り、アルミ
ナ砥粒(フジミインコーポレーテッド製、FO#120
0)を20g加えた。この共栓付きメスシリンダーを1
00回、上下に振蘯して上記ラップ液に配合されたアル
ミナ砥粒を含む成分を分散、懸濁させてラップ剤とし
た。その後、メスシリンダーを静置し、沈降固相が最高
高さに達するまでの時間により砥粒分散性を評価した。
尚、砥粒分散性の評価判定は、以下の基準にて行った。 ◎:静置後60分以上で沈降した。 ○:静置後41〜60分で沈降した。 △:静置後21〜40分で沈降した。 ×:静置後20分以内で沈降した。
【0068】(砥粒再分散性評価試験)上記の砥粒分散
性評価試験後のメスシリンダーを、更に24時間静置し
た。この後、メスシリンダーを10回、上下に倒置させ
砥粒の再分散性を評価した。尚、砥粒再分散性の評価判
定は、以下の基準にて行った。 ○:砥粒が完全に再分散した。 △:一部沈殿が残った。 ×:ほとんど分散しなかった。
【0069】
【0070】表2の結果から明らかなように、本発明の
ラップ剤は、ノニルフェノールエトキシレート系の砥粒
分散剤を用いたラップ剤(比較例1及び比較例8)と同
程度で、他の砥粒分散剤を用いたラップ剤(比較例2〜
7、9及び10)よりも優れた性能を示している。
【0071】(切断加工試験)上記、砥粒分散性評価試
験及び砥粒再分散性評価試験と同様の組成のラップ剤を
使用し、マルチワイヤソーにて人工水晶(幅65mm、
高さ20mm、長さ170mm)及びシリコン単結晶
(直径102mm、長さ190mm)を以下の条件で切
断(スライシング)した。結果を表3に示す。 <切断条件> ワイヤの種類:SWPブラスメッキ ワイヤ線径 :0.16φmm ワイヤ張力 :1.5kg ワイヤ本数 :106本 ワイヤ繰出量:20m/min ラップ剤温度:20℃
【0072】
【0073】表3の結果から明らかなように、本発明の
ラップ剤の加工時間(切断に要した時間)は、ノニルフ
ェノールエトキシレート系の砥粒分散剤を用いたラップ
剤(比較例1及び比較例8)と同程度で、他の砥粒分散
剤を用いたラップ剤(比較例2〜7、9及び10)より
も短時間であり、本発明のラップ剤が優れた性能を有し
ていることをを示している。
【0074】(研磨加工試験)砥粒分散性評価試験及び
砥粒再分散性評価試験と同様の組成のラップ剤のうち、
実施例1〜8及び比較例1〜6のラップ剤を使用して、
直径102mmのシリコンウエーハについて研磨加工を
行なった。尚、各ラップ液についてそれぞれ約200枚
の研磨加工を行ない、研磨後のシリコンウエーハについ
て、擦り傷、割れ及びウエーハ表面の微小なクラックの
発生率(%)を求めた。また、実施例1〜8及び比較例
1〜6のラップ剤を48時間静置し、沈降した砥粒を攪
拌機を用いて再分散させたものについても同様に試験を
行った。結果を表4に示す。
【0075】
【0076】表4の結果から、ノニルフェノールエトキ
シレート系の砥粒分散剤を用いたラップ剤(比較例1)
では、配合直後の不良品発生率は少ないが、再分散後で
は増加しており、他の砥粒分散剤を用いたラップ剤(比
較例2〜7)では、配合直後から不良品発生率が多く、
再分散後では更に増加している。これに対し、本発明の
ラップ剤の不良品発生率は、配合直後だけでなく再分散
後においても少ない。このことは、本発明のラップ剤が
研磨性能及び砥粒の再分散性能に優れていることを示し
ている。
【0077】<生分解性試験>JIS−K0102(工
場排水試験方法)の生物化学的酸素消費量(BOD)測
定方法に準拠し、(A)成分である砥粒分散剤0.1重
量%水溶液についてBODを測定した。但し、JIS−
K0102に定められた放置日数は5日間であるが、本
試験では放置日数を21日間とした。結果を表5に示
す。
【0078】
【0079】表5の結果から明らかなように、本発明の
(A)成分であるA−1〜A−5のBODは、A’−1
よりも高く、A’−2、A’−5、A’−6と同程度で
ある。これは、A’−1(ノニルフェノールエトキシレ
ート)がほとんど生分解されないのに対し、A−1〜A
−5が、生分解されやすいことを示している。
【0080】
【発明の効果】本発明の水系ラップ液又は水系ラップ剤
は、優れた砥粒分散性、研磨加工性及び沈降した砥粒再
分散性を有しており、アルキルフェノール系の化合物を
使用していないため、化学物質が生物の内分泌系を撹乱
するというエンドクリン問題の懸念がない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 105/62 C10M 105/62 107/34 107/34 107/44 107/44 125/02 125/02 125/08 125/08 125/10 125/10 125/26 125/26 133/08 133/08 149/12 149/12 173/00 173/00 H01L 21/304 622 H01L 21/304 622D // C10N 10:06 C10N 10:06 10:08 10:08 10:12 10:12 10:16 10:16 20:06 20:06 Z 30:04 30:04 30:12 30:12 40:00 40:00 Z 40:22 40:22 Fターム(参考) 3C047 FF08 GG15 3C058 AA07 AC04 CB01 CB03 DA17 4H104 AA01Z AA04C AA12C AA13C AA22C AA26C BB43A BB44A BE04A BE04C CB14A CE19A CE19C DA02A EA08C EB10 FA03 FA04 FA05 FA08 LA02 LA06 PA22 QA01 RA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)成分として、下記の一般式(1)
    〜(4) (式中、R1は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニ
    ル基を表わし、A1Oはオキシアルキレン基を表わし、
    aは0又は1以上の数を表わす。) (式中、R2はアルキレン基を表わし、R3は炭素数4以
    上のアルキル基又はアルケニル基を表わし、X1は−(A
    2O)b−Hで表わされる基、又は−R4−N{−(A 2O)b
    −H}2で表わされる基を表わし、A2Oはオキシアルキ
    レン基を表わし、bは0又は1以上の数を表わし、R4
    はアルキレン基を表わす。) (式中、R5は炭素数2以上の直鎖アルキル基を表わ
    し、X2はアルキル基、アルケニル基、又は−(A3O)c
    −Hで表わされる基を表わし、A3Oはオキシアルキレ
    ン基を表わし、cは0又は1以上の数を表わす。) (式中、R6は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニ
    ル基を表わし、A4Oはオキシアルキレン基を表わし、
    Yは水素原子又はメチル基を表わし、dは2以上の数を
    表わす。)で表わされる含窒素化合物の、何れか1種又
    は2種以上の混合物からなる砥粒分散剤;(B)成分と
    して、潤滑性基油;及び(C)成分として、水を含有す
    ることを特徴とする水系ラップ液。
  2. 【請求項2】 (B)成分である潤滑性基油が、パラフ
    ィン系又はナフテン系の鉱油である請求項1に記載の水
    系ラップ液。
  3. 【請求項3】 (B)成分である潤滑性基油が、一般式
    (5) (式中、R7はモノオール又はポリオールから水酸基を
    除いた残基を表わし、A5Oはオキシアルキレン基を表
    わし、fは2以上の数を表わし、eはモノオール又はポ
    リオールの水酸基の数と同数である1以上の数を表わ
    す。)で表わされるポリエーテル化合物である請求項1
    に記載の水系ラップ液。
  4. 【請求項4】 (B)成分である潤滑性基油が、下記の
    一般式(6)〜(9) (式中、EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキ
    シプロピレン基を表わし、g及びhは1以上の数を表わ
    す。) (式中、EO及びPOは一般式(6)と同義であり、i
    及びjは1以上の数を表わす。) (式中、EO及びPOは一般式(6)と同義であり、k
    及びlは1以上の数を表わす。) (式中、EO及びPOは一般式(6)と同義であり、m
    及びnは1以上の数を表わす。)で表わされるポリエー
    テル化合物の、何れか1種又は2種以上の混合物である
    請求項1又は請求項3に記載の水系ラップ液。
  5. 【請求項5】 更に、(D)成分として防錆剤を含有す
    る請求項1乃至4の何れか1項に記載の水系ラップ液。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか1項に記載の水
    性ラップ液又はその希釈液に、更に砥粒を含有すること
    を特徴とする水系ラップ剤。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れか1項に記載の水
    系ラップ液又は水系ラップ剤を使用して被研磨材料を研
    磨する研磨加工方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか1項に記載の水
    系ラップ液又は水系ラップ剤を使用して半導体を研磨加
    工する研磨加工方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至6の何れか1項に記載の水
    系ラップ液又は水系ラップ剤を使用して被切断材料を切
    断する切断加工方法。
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