JP2003129080A - 切断加工用水溶性油剤 - Google Patents

切断加工用水溶性油剤

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JP2003129080A
JP2003129080A JP2001326052A JP2001326052A JP2003129080A JP 2003129080 A JP2003129080 A JP 2003129080A JP 2001326052 A JP2001326052 A JP 2001326052A JP 2001326052 A JP2001326052 A JP 2001326052A JP 2003129080 A JP2003129080 A JP 2003129080A
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Yasuo Yamanaka
康夫 山中
Tsutomu Oi
力 大井
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Kyodo Yushi Co Ltd
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Kyodo Yushi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油剤と遊離砥粒を混合し調製した液(スラリ
ー)において、スラリー中の砥粒の分散性、及び再分散
性に優れ、切断能率が良く、切断加工面の精度も優れ、
かつ切断加工後のスラリー除去の洗浄工程においても溶
剤等を使用せず容易に水で洗浄でき、併せて不水溶性油
剤のような引火性の心配もなく、切断加工機の表面や床
等にスラリーが飛散、付着堆積しても簡単に清掃がで
き、作業環境を悪化させることなく、生産性の向上に寄
与する切断加工用油剤を提供する。 【解決手段】 下記式(A)で表されるポリアレキレン
グリコール、及びカルボン酸と塩基性物質との塩を含有
することを特徴とする、切断加工用水溶性油剤。 R1O-((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))f-(CH2CH(CH3)O)n-R2 (A) (式中、R1及びR2のいずれか一方が水素原子であり、
他方が炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは1
〜50の整数を表し、((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))fはオ
キシエチレン基とオキシプロピレン基のランダム体を表
し、fは2〜100の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は切断加工用水溶性油
剤に関する。詳しくは、脆性材料の切断に使用する切断
加工用水溶性油剤に関する。脆性材料は電子産業分野で
広く使用されており、半導体ではシリコン・ガリウム砒
素、セラミックスではアルミナ・酸化ジルコニウム、ガ
ラスでは石英ガラス・ケイ酸ガラスといったものがあ
る。脆性材料の切断方法にはワイヤソー、ブレードソー
(バンドソー)等があり、この加工には油剤と遊離砥粒
との混合液(スラリー)を用いるのが一般的である。さ
らに詳細には、油剤と遊離砥粒を混合し調製した液(ス
ラリー)において、スラリー中の砥粒の分散性に優れ、
切断能率が良く、切断した面の精度も優れ、かつ、後工
程のスラリー除去の洗浄工程においても溶剤等を使用せ
ず簡単に水で洗浄でき、併せて不水溶性油剤のような引
火性の心配もなく、切断加工機の表面や床等にスラリー
が飛散、付着堆積しても簡単に清掃ができ、作業環境を
悪化させることもなく、生産性の向上に寄与する切断加
工用水溶性油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】硬度の高い脆性材料の切断加工には遊離
砥粒を用いてのワイヤソー、ブレードソー(バンドソ
ー)加工が加工能率・加工精度の観点から近年広く使用
されている。その折、砥粒と油剤を混合し、調整した液
(スラリー)が一般的に使用される。このスラリーに使
用される油剤は従来、混合する砥粒の分散性、分散安定
性の観点から不水溶性油剤(鉱物油・砥粒分散剤(油溶
性界面活性剤)・砥粒分散安定剤(有機又は/無機ベン
トナイト等)を含む)が広く使用されてきた。しかし、
近年の電子・半導体産業の著しい進歩により、その材料
である脆性材料の砥粒による切断加工においても生産性
の向上、切断した加工部品の加工精度の向上が求めら
れ、それとともに切断加工条件が著しく苛酷(高速切断
加工、高能率加工)になってきた。その結果、従来の様
々な不水溶性油剤と砥粒の混合スラリーでは、加工速度
の高速化による加工材料の熱膨張による寸法不良等によ
って加工精度が低下することになった。更に、油剤が引
火点を持つ危険物であること、加工後の洗浄工程におい
てスラリー除去を溶剤で行わなければならない、という
消防法上の問題、切断加工中の発煙、ミスト発生、スラ
リーの飛散による床、加工機周辺の作業環境の悪化等が
大きくクローズアップされ、問題となってきた。
【0003】この対策として、スラリー用の油剤として
水溶性油剤(通常原液タイプ)が注目され、ここ10年
間に渡り、次に示す様な種々の水溶性油剤の特許が出願
公開されている。例えば、特開平02−247978号公報、特
開平03−181598号公報、特開平04−216897号公報、特開
平04−218594号公報、特開平08−57847号公報、特開平0
8−60176号公報、特開平08−209184号公報、特開平09−
59666号公報、特開平09−194824号公報、特開平09−194
825号公報、特開平10−53789号公報、特開平10−110180
号公報、特開平10−204419号公報、特開平11-286693号
公報などがある。しかしこれらの技術は基本的にスラリ
ーの砥粒分散性、安定性を考慮するあまり、水溶性油剤
の粘度、スラリー粘度や密度に重点が置かれている。そ
れ故、もっとも重要な油剤の特性と被削材への切断性に
注目し、開発したものは見当たらない。また、特開平11
-286693号公報ではポリアルキレングリコールを限定し
ているが、アルキレングリコール100%では引火性の恐
れがあり、水溶性の特徴が失われる。
【0004】油剤の成分的な観点より見た場合、従来の
不水溶性油剤のスラリーに用いていた考え方を固定し、
従来通り砥粒の安定剤として有機ベントナイト又は無機
ベントナイト、又はカルボキシメチルセルロース、メチ
ルセルロース、キサンタンガム、ポリアクリル酸塩、ポ
リアクリル酸アミド等の水溶性増粘剤が使用されてきた
例が多々ある。しかし、有機ベントナイト又は無機ベン
トナイトを使用した場合、これらの化合物が水に不溶の
為、水溶性油剤(原液)の長期安定性の問題や、スラリ
ー粘度の増加、切断点へのスラリー浸透不良による加工
精度への影響などの問題が多発した。さらに水溶性増粘
剤は微生物の栄養源でなる物質が多く、長期間使用した
場合、スラリーが腐敗し、悪臭を発生し、作業環境上問
題が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、遊離
砥粒を用いて硬度の高い脆性材料を高能率、高精度に切
断加工するブレードソー、ワイヤソー等に使用する切断
加工用水溶性油剤を提供することである。本発明の他の
目的は、油剤と遊離砥粒を混合し調製した液(スラリ
ー)において、スラリー中の砥粒の分散性、及び再分散
性に優れ、切断能率が良く、切断加工面の精度も優れ、
かつ切断加工後のスラリー除去の洗浄工程においても溶
剤等を使用せず容易に水で洗浄でき、併せて不水溶性油
剤のような引火性の心配もなく、切断加工機の表面や床
等にスラリーが飛散、付着堆積しても簡単に清掃がで
き、作業環境を悪化させることなく、生産性の向上に寄
与する切断加工用油剤を提供することである。
【0006】本発明はさらに、有機ベントナイト又は無
機ベントナイトのようなスラリーの砥粒分散安定剤や、
さらにカルボキシメチルセルロースのような水溶性増粘
剤を使用せずに、水溶性油剤に砥粒を混合した液(スラ
リー)において砥粒分散性をある程度有して、特に機械
的攪拌を行った場合の砥粒再分散性に優れ、かつスラリ
ーに流動性が有り、切断点に容易に浸透し、併せて消泡
性に優れる、砥粒と混合してスラリーとして使用する切
断加工用水溶性油剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、切断加工用水溶
性油剤に特定のポリアルキレングリコールと、カルボン
酸と塩基性物質との塩を含有させることにより、優れた
油剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至
った。従って本発明は、下記式(A)で表されるポリア
レキレングリコール、及びカルボン酸と塩基性物質との
塩を含有することを特徴とする、切断加工用水溶性油剤
に関する。 R1O-((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))f-(CH2CH(CH3)O)n-R2 (A) (式中、R1及びR2のいずれか一方が水素原子であり、
他方が炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは1
〜50の整数を表し、((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))fはオ
キシエチレン基とオキシプロピレン基のランダム体を表
し、fは2〜100の整数を表す。)
【0008】本発明の好ましい実施態様として、さら
に、上記カルボン酸が下記(B)及び(C)から選ばれ
る少なくとも1種であり、及び塩基性物質が下記(D)
である切断加工用水溶性油剤が挙げられる。 (B)炭素原子数6〜12の直鎖のモノカルボン酸又は
ジカルボン酸 (C)炭素原子数6〜30の分岐のモノカルボン酸又は
ジカルボン酸 (D)上記カルボン酸を中和し、水溶性化するのに必要
な塩基性物質。 また、加工材料がシリコン系である場合、特にpHが2
0℃で5.0〜8.0の範囲とする切断加工用水溶性油
剤が望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用する式(A)にて示
されるポリアレキレングリコールにおいて、式中、R1
及びR2のいずれかの炭化水素基は、脂肪族でも芳香族
でもよく、好ましくは脂肪族であり、飽和でも不飽和で
もよく、また、直鎖でも分岐鎖でもよく、炭素原子数2
〜6が好ましい。特にR1が炭化水素基であるものが好
ましい。式中、nは1〜50の整数、好ましくは3〜1
0、より好ましくは3〜4である。式中、((CH2CH2O)/
(CH2CH(CH3)O))fは、オキシエチレン基とオキシプロピ
レン基のランダム体をあらわし、fは好ましくは2〜2
5の整数、より好ましくは5〜20の整数である。該ラ
ンダム体において、オキシエチレン基とオキシプロピレ
ン基のモル比は、2:8から8:2が望ましい。
【0010】式(A)で表されるポリアルキレングリコ
ールの分子量は、300〜6,000が適当であり、好ましくは
300〜5,000、より好ましくは300〜2,000である。分子量
が6,000を越えると、油剤の粘性が増加し、砥粒の再分
散性が低下し、さらに油剤の破泡性も低下し、結果とし
てスラリーの消泡性が低下し、切断加工性能の低下につ
ながる。さらに、スラリーの残渣物が非常に粘ちょう性
を帯び、切断加工機械、床等の汚れが増大し、作業環境
の悪化につながる。
【0011】本発明の切断加工用水溶性油剤(原液)中
の式(A)で表されるポリアルキレングリコールの含有
率は、3〜95質量%が適当であり、好ましくは10〜
80質量%、さらに好ましくは20〜60質量%であ
る。3質量%に満たないとスラリーの砥粒安定性が極端
に悪く、脆性材料の切断加工に寄与しないことがある。
一方95質量%を越えるとコストが高くなり、又原液の
粘ちょう性が高く、作業上問題となる。さらに場合によ
っては引火性を帯び、水溶性油剤の特徴が失われてしま
う。
【0012】式(A)にて示されるポリアレキレングリ
コールは、常法によって製造することができる。また、
市販品を使用することもでき、市販品の具体例としては
ユニセーフNUH−6450(日本油脂(株)製)など
がある。本発明の切断加工用水溶性油剤には、式(A)
で表されるポリアルキレングリコールを1種単独で、あ
るいは2種以上を併用して使用してもよい。
【0013】本発明において成分(B)として使用され
る炭素原子数6〜12の直鎖のモノカルボン酸又はジカ
ルボン酸の例としては、カプロン酸、カプリル酸、ノナ
ン酸、カプリン酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン
2酸などが挙げられる。本発明において成分(C)とし
て使用される炭素原子数6〜30の分岐のモノカルボン
酸の例としては、イソヘキサン酸、イソオクタン酸(C
8)、2−エチル−ヘキシル酸(C8)、イソノナン酸(C
9)、イソデカン酸(C10)、ネオデカン酸(C10)、イ
ソドデカン酸(C12)、イソステアリル酸(C18)、イ
ソエイコサ酸(C20)、イソトリデカ酸(C30)等があ
げられる。又、分岐ジカルボン酸の例としては、イソセ
バチン酸(C10)、イソドデカン2酸、イソステアリル
2酸(C18)、イソエイコサ2酸(C20)等があげられ
る。分岐脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸のより
好ましい例としては、炭素原子数8〜18のモノカルボ
ン酸及び/又はジカルボン酸が挙げられ、具体的には、
2−エチルヘキシル酸、イソノナン酸(C9)、ネオデ
カン酸、イソステアリン酸、イソドデカン酸(C12)等
が挙げられる。
【0014】これらの分岐のモノカルボン酸及び/又は
ジカルボン酸は、成分(D)の塩基性物質で中和させ、
カルボン酸塩として用いる。本発明において、成分
(B)及び(C)は単独でも混合して用いてもよく、混
合して用いる場合、混合比率(質量)は、好ましくは成
分(B):成分(C)=95:5〜5:95の範囲で、より
好ましくは成分(B):成分(C)=90:10〜10:9
0である。
【0015】本発明の成分(D)の塩基性物質は、成分
(B)、(C)のカルボン酸を中和し、水に可溶化するため
に添加するものであり、さらに油剤のサビ止め性を良好
に維持するという作用も有している。このような塩基性
物質の例としては、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミン;シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式アミン;こ
れらのアミンにエチレンオキサイドを1〜6モル付加し
た合成アミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン等が挙げられる。
【0016】また脂肪族アミンとしては、炭素原子数8
〜18の第一級又は第二級のアルキルアミン(例えば2
−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリル
アミン、オレイルアミン等)、これらのアミンにエチレ
ンオキサイドを1〜6モル付加した合成アミン、さらに
イソデシルアミン、イソステアリルアミン等の合成アミ
ンが挙げられる。さらに、2−メチル−2−アミノ−プ
ロパノール(AMP)も挙げられる。芳香族アミンとし
てはベンジルアミン、メタキシレンジアミンおよびこれ
らのアミンにエチレンオキサイドを1〜6モル付加した
合成アミンや、さらにその他としてジグリコールアミン
が挙げられる。無機塩基性物質としては、周期表1A族
のアルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等)が挙げられる。
【0017】加工材料である脆性材料が、シリコン系で
ある場合は、好ましい塩基性物質として、油剤のpH範
囲より考慮し、無機塩基性物質より有機塩基性物質が挙
げられる。特に、塩基性のマイルドなトリエタノールア
ミン、トリイソプロパノールアミン等の第3級アルカノ
ールアミンが望ましい。油剤中の成分(D)の含有量は、
成分(B)、(C)のカルボン酸をほぼ中和し水に可溶化す
るのに必要な量であり、且つ油剤のpHが5〜8となる
ような割合で添加される。一般に成分(B)、(C)のカル
ボン酸1モルに対して、有機アミン0.7〜1.0モル程度
が好ましい。塩基性物質の添加量がカルボン酸の中和量
未満ではカルボン酸を水に可溶化させることができな
い。成分(B)と成分(C)の合計の含有量は一般的に、2
〜50質量%が適当であり、好ましくは3〜40質量
%、さらに好ましくは5〜30質量%である。
【0018】本発明の切断加工用水溶性油剤には、その
他に、例えば下記の化合物を添加してもよい。 R1O-(CH2CH2O)a-(CH2CH(CH3)O)n'-R2 (I) (式中、R1及びR2は独立して水素原子及び炭素原子数
1〜10の炭化水素基から選ばれ、n′は0〜50の整
数を表し、aは1〜400の整数を表す)。 R1O-(CH2CH(CH3)O)b-R2 (II) (式中、R1及びR2は独立して水素原子及び炭素原子数
1〜10の炭化水素基から選ばれ、bは1〜300の整
数を表す)。 R1O-(CH2CH2O)c-(CH2CH(CH3)O)d-(CH2CH2O)e-(CH2CH(CH3)O)n'-R2 (III) (式中、R1及びR2は独立して水素原子及び炭素原子数
1〜10の炭化水素基から選ばれ、n′は0〜50の整
数を表し、c、d、eは同一でも異なっていてもよく、
それぞれ1〜200の整数を表す)。 R1O-(CH2CH(CH3)O)g-(CH2CH2O)h-(CH2CH(CH3)O)i-R2 (IV) (式中、R1及びR2は独立して水素原子及び炭素原子数
1〜10の炭化水素基から選ばれ、g、h及びiは同一
でも異なっていてもよく、それぞれ1〜200の整数を
表す。)
【0019】具体的に、式(I)で示される化合物の一例
として、式中、n′が0で、aが5〜20程度、特にa
が約10であってR1=水素原子、及びR2=水素原子で
あるポリエチレングリコールが挙げられる。式(II)で示
される化合物の一例として、式中、bが1〜3で、R1
=R2=水素原子であるプロピレングリコールからトリ
プロピレングリコールが挙げられる。また、式(III)で
示される化合物として、n′が0である場合、ブロック
タイプのポリアルキレングリコールの中で最も一般的な
プルロニック型ポリアルキレングリコールが挙げられ、
市販品としては三洋化成製:ニューポールPEシリーズ
や、日本油脂製:プロノンシリーズなどがある。式(IV)
で示される化合物としては、リバースタイプのポリアル
キレングリコールがあり、バスフ社25R−8がある。
【0020】本発明の切断加工用水溶性油剤は、上記成
分を水(工業用水、水道水、脱イオン水、蒸留水等)に
溶解することにより製造できる。水の含有量は一般に5
〜95質量%の範囲である。この際、必要に応じて一般
的なアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、防
腐剤、防カビ剤、非鉄金属防食剤、消泡剤、pH緩衝剤
等を適宜含有させてもよい。さらに砥粒混合時のスラリ
ーの性能に種々対応させるため、従来広く用いられてい
る上記(A)以外のポリアルキレングリコール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、さらにベントナイ
ト系化合物、セルロース系高分子化合物等を添加するこ
とも可能である。
【0021】
【実施例】実施例1〜5及び比較例1〜5 以下実施例および比較例により、本発明の脆性材料切断
用水溶性油剤を更に詳細に説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。表1〜2に記載した組成
(単位:質量%、イオン交換水を加えて全量100とす
る)に従って、実施例及び比較例の油剤を調製した。実
施例及び比較例において使用したアルキレングリコール
類は以下のとおりである。 式(A)で示されるポリアルキレングリコール:(A)−
1 n-C4H9−((CH2CH2O)/((CH2CH(CH3)−O))i−(CH2CH(CH
3)−O)j−H 平均分子量:約2000 ユニセーフNUH−6450
(日本油脂(株)製) 式(A)で示されるポリアルキレングリコール:(A)−
2 n-C4H9−((CH2CH2O)/((CH2CH(CH3)−O))l−(CH2CH(CH
3)−O)m−H 平均分子量:約1000 ユニルーブ60MB−11
(日本油脂(株)製) ポリアルキレングリコール(a) HO−(CH2CH2O)a−(CH2CH(CH3)O)b
−(CH2CH2O)c−H 平均分子量:約2000 プロノンPE−64(三洋化
成(株)製) プロピレングリコール:HO−(CH2CH(CH3)−O)−H 分子量:76
【0022】なお、表2において、比較例3〜5は以下
の通りである。 比較例3:水溶性切断加工油剤(市販品A) 比較例4:水溶性切断加工油剤(市販品B) 比較例5:不水溶性切断加工油剤(市販品C)
【0023】各例の油剤を用いて、以下のように試験し
た。試験結果を表1〜2に併せて示す。 (a)pH試験法 JIS−Z−8802 ガラス電極法により測定した。
【0024】(b)プラスチック容器膨張試験及び水素
ガス発生量の測定 250ml栓付プラスチック容器にワイヤソー切断加工機
から回収したシリコン微紛を15g採取し、実施例、比
較例の油剤150gを加え、完全に密栓し、室温で72
時間放置し、プラスチック容器の体積膨張率を測定し、
かつプラスチック容器中の水素発生量をガスクロマトグ
ラフィで測定した。尚、体積膨張率は次の式より計算し
た。 V=[(m3−m4)−(m1−m2)]/(m1−m2)×1
00 V=体積膨張率(%) m1=試験前のスラリー入りポリ容器の空気中の質量
(g) m2=試験前の水中につり下げて量って得た値(g) m3=試験後のスラリー入りポリ容器の空気中の質量
(g) m4=試験後の水中につり下げて量って得た値(g) 評価は以下の規準に従って行った。 水素ガスの爆発限界4%以上
【0025】(c)泡立ち試験(JIS K2518
石油製品潤滑油―泡立ち試験方法に準拠) 泡立ち試験は次の条件で行った。 装置:ディフューザーストーン スラリー量:300ml 空気吹込み量:8リットル/分 吹込み時間:60分 評価は以下の基準に従って行った。 起泡性 60分後の泡の高さ ○:200ml未満 △:200〜300ml ×:300ml超 消泡性 空気送りをストップさせた後5分後の泡の高さ ○:10ml未満 △:10〜50ml ×:50ml超
【0026】(d)砥粒分散安定性確認試験 実施例、比較例の各油剤100mlを200mlビーカー内
に採取し、次いで砥粒(GC#600)を100g(油剤:砥
粒=1:1)、シリコン微紛を10g加え、スパチュラ
を用い十分攪拌、分散を行いスラリーを作成した。次い
でこのスラリー50mlを100mlメスシリンダーに移し
室温で2時間放置し、砥粒分散安定性を肉眼で観察し
た。評価は以下の規準に従って行った。 ○:ほとんど分散している。均一のスラリーのままであ
る。 △:○〜×の間 ×:スラリーの上層約1/4が油剤となり砥粒分散安定
性が悪い。
【0027】(e)砥粒再分散性確認試験 上記(d)で試験を行ったスラリー入りの100mlメス
シリンダーを室温で48時間放置し、スラリー中の砥粒
をほぼ沈降させる。次に砥粒が沈降しているスラリー入
りのメスシリンダーを手で上下に20回静かに振とう
し、砥粒の再分散性を評価した。評価は以下の規準に従
って行った。 ○:砥粒が完全に再分散し、元のスラリーとほぼ同一と
なる。 △:○〜×の間。 ×:砥粒がメスシリンダー底部に固着し元のスラリーに
戻らない。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1及び表2の実施例、比較例の結果から
わかるように、実施例1〜5の油剤はpH8.0〜7.
0の範囲に入っており、ポリ容器の体積膨張率、および
水素ガスの発生量も少なかった。一方、比較例の1〜4
はpHが8.0以上であり、ポリ容器の体積膨張率は大
きく、水素ガスの発生量も多かった。泡立ち性について
は、比較例1及び2に比べて、実施例2及び3では起泡
性、消泡性ともに良好な結果が得られた。実施例4及び
5においても起泡性はやや劣るが、消泡性が優れるので
切断加工中に泡の蓄積といった問題は起こらない。砥粒
分散安定性、再分散性について、実施例2及び3はとも
に優れている。実施例4及び5は比較例2と比較例4
(市販の水溶性油剤)に比べて再分散性が優れている。
【0031】(f)切断性 実施例3の油剤と比較例5の油剤(不水溶性油剤)を使
用し、切断性の評価を行った。評価は実際のシリコンイ
ンゴットを用いて、下記の条件で行った。 切断装置;ワイヤソー 材料;シリコンインゴット 寸法;8インチφ×210mm×2本 ワイヤー径;0.18mm ワイヤー線速度;平均500m/min スラリー;油剤:砥粒GC#600(1:1) スラリー温度;20℃ 評価は加工切断面のTTV(Total Thickness Variation)
とWarp(うねり)を測定することで行った。TTV、Warp
は共に小さい値の方が加工精度が良好であることを示し
ている。
【0032】切断加工品の測定結果を以下に示す。 上記の切断結果より、実施例3の油剤は従来使用されて
いる比較例5の不水溶性油剤と比較して加工精度が大き
く向上したことが確認された。
【0033】
【発明の効果】本発明の切断加工用水溶性油剤を脆性材
料の切断に使用した場合、市販の不水溶性油剤を使用し
た場合と比較すると、明らかに良好な切断加工精度が得
られた。また本発明の切断加工用水溶性油剤は水溶性油
剤であるため、非危険物となり、また、後工程の洗浄に
溶剤を使用しない水洗浄が可能となった。他の一部の市
販の水溶性油剤と比較した場合、スラリーの泡の発生が
少ないことが大きな違いであり、加工精度も同等以上の
結果が得られた。更に、シリコン系の切断に対してはp
H範囲を限定することで、切断加工中及び終了後に廃棄
するスラリー中において、切断シリコン屑と油剤中の水
分との反応が抑制される結果、水素ガスの発生が極端に
少なく、廃スラリーのドラム缶保管や廃液処理作業、お
よび再生作業において非常に安定性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 129/34 C10M 129/34 129/40 129/40 129/42 129/42 129/76 129/76 145/36 145/36 145/38 145/38 // C10N 10:02 C10N 10:02 30:02 30:02 40:00 40:00 Z 40:22 40:22 Fターム(参考) 4H104 BB16C BB17C BB44A BB44C BB47C CB14A CB14C EA17C FA01 LA02 PA22 QA01 RA01 RA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(A)で表されるポリアレキレン
    グリコール、及びカルボン酸と塩基性物質との塩を含有
    することを特徴とする、切断加工用水溶性油剤。 R1O-((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))f-(CH2CH(CH3)O)n-R2 (A) (式中、R1及びR2のいずれか一方が水素原子であり、
    他方が炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは1
    〜50の整数を表し、((CH2CH2O)/(CH2CH(CH3)O))fはオ
    キシエチレン基とオキシプロピレン基のランダム体を表
    し、fは2〜100の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 カルボン酸が下記(B)及び(C)から
    選ばれる少なくとも1種であり、塩基性物質が下記
    (D)である、請求項1記載の切断加工用水溶性油剤。 (B)炭素原子数6〜12の直鎖のモノカルボン酸又は
    ジカルボン酸 (C)炭素原子数6〜30の分岐のモノカルボン酸又は
    ジカルボン酸 (D)上記カルボン酸を中和し、水溶性化するのに必要
    な塩基性物質。
  3. 【請求項3】 式(A)で表されるポリアルキレングリ
    コールの含有量が5〜95質量%である請求項1又は2
    記載の切断加工用水溶性油剤。
  4. 【請求項4】 式(A)で表されるポリアルキレングリ
    コールの分子量が300から6,000である請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の切断加工用水溶性油剤。
  5. 【請求項5】 式(A)で表されるポリアルキレングリ
    コールの含有量の合計が3〜97質量%、カルボン酸の
    含有量が2〜50質量%である請求項1〜4項のいずれ
    か1項記載の切断加工用水溶性油剤。
  6. 【請求項6】 塩基性物質が有機アミン及び/又は無機
    塩基性物質である請求項1〜5記載のいずれか1項記載
    の切断加工用水溶性油剤。
  7. 【請求項7】 塩基性物質がアルカノールアミン、脂環
    式アミン、脂肪族アミン、これらのエチレンオキシド付
    加物及びアルカリ金属水酸化物からなる群から選ばれる
    少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項記載
    の切断加工用水溶性油剤。
  8. 【請求項8】 水の含有量が5〜95質量%である請求
    項1〜7のいずれか1項記載の切断加工用水溶性油剤。
  9. 【請求項9】 脆性材料がシリコン系である場合、pH
    が20℃で5.0〜8.0の範囲である請求項1〜8の
    いずれか1項記載の切断加工用水溶性油剤。
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