JP2004256771A - 水溶性切研削油剤組成物及びその使用方法 - Google Patents

水溶性切研削油剤組成物及びその使用方法 Download PDF

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栄一 大胡
Masayuki Hosokawa
真幸 細川
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Abstract

【課題】クーラントが他油成分を潤滑成分として取り込み、切研削後の処理液を再度クーラントとして使用し、従来は分離・除去されてきた他油成分の廃棄量を削減し、環境負荷を少なくし、クーラントの金属加工性能の維持・向上と寿命の延長を図り、更にクーラントへの潤滑成分の補給量を削減して、クーラント原液の使用量が少ない水溶性切研削油剤組成物とその使用方法を提供する。
【解決手段】周辺環境で使用され混入する不水溶性成分又は難水溶性成分を分離せず,分散含有することができる組成であり,且つ該不水溶性成分又は該難水溶性成分を油骨成分として利用することを特徴とする水溶性切研削組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性切研削油剤組成物及びその使用方法に関し、更に詳しくは、水溶性切研削油剤組成物の希釈使用液(以下、「クーラント」という)は、他油成分を潤滑成分として取込むことができ、切研削後の処理液を再度クーラントとして使用し、クーラントの潤滑性能の維持と分離除去される廃油成分の削減を図る水溶性切研削油剤組成物及びその使用方法に関する。
本発明の組成物は、鋳鉄及び鉄鋼等の鉄系金属、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、銅及びそれらの合金等の非鉄金属、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素等のセラミックス等の切削、研削、切断、研磨及びタップ等の加工(以下、単に「切研削」という)に広く使用される。
また、圧延、引き抜き、プレス、鍛造、ロールフォーミング等の塑性加工や、摺動面用潤滑剤、高含水作動油としても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋳鉄及び鉄鋼等の切研削には、工具と被削材間の潤滑性の維持、加工面の冷却及び生じた切屑の洗浄等の目的で、切削油剤及び研削油剤等(以下「切研削油剤」という)が使用されている。切研削油剤としては、かつては不水溶性のものが多用されていたが、引火性であることや廃棄時の環境負荷の面から、近年では水溶性のものが多用されている。
しかし、切削用工作機械等には水溶性切研削油剤のクーラントの他にも例えば、摺動面用及び油圧作動油等の潤滑油成分、防錆油成分、その他の油溶性及び難水溶性の他油成分(以下、「他油成分」と記す)が使用されていて、これらの他油成分がクーラント中に混入してくる。また、前工程で使用された他油成分もクーラント中に混入して問題化するケースが数多く報告されている。
【0003】
例えば、従来の水溶性切研削油剤のクーラントに上記の他油成分が混入すると、混入した他油成分の多くはクーラントから分離し、分離・浮上油分として加工物や機械周りに付着して汚れの原因となり、ろ過装置の目詰まりを引き起こす等の問題点があった。また、分離・浮上油分中に水溶性切研削油剤組成物の一部成分が混入し、クーラントの不安定化を引き起こす問題点も指摘されている。
【0004】
これらの問題に対しては、これまで、できるだけ混入する他油成分をクーラント中から排除する方向で対策がとられていた。最も一般的な方法として、オイルスキマやデカンタ、更には遠心分離等の装置により混入する他油成分を取り除く方法が挙げられる。同様な方法として、木材より得られたファイバーを用いた油分分離方法が記載されている(例えば特許文献1参照)、また、吸着材を使用して混入する他油成分を効率的に除去する分離装置及び方法が記載されている(例えば特許文献2参照)。更に、昇降ガイドを利用した他油成分の分離装置・方法が報告されている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
しかし、これらの装置により他油成分を分離する方法では、装置の導入、維持管理の経費や分離した廃油の廃棄又は再生に要する経費などの経済的な問題と廃油の処理に伴う環境面への影響、更には分離の際に水溶性切研削油剤組成物の成分までが一緒に除去され、水溶性切削油剤をその分、補給・調製しなければならない等の問題点があった。
【0006】
一方、水溶性切削油剤等の組成面からも混入する他油成分をできるだけ分離すべく検討が行われている。例えば、特定のポリオール化合物を用いることによりオイル分離性に優れる水溶性潤滑剤組成物が得られることが報告されており(例えば特許文献4参照)、また、高分子カチオン化合物を含有させることにより混入する他油成分を効率的に除去する水溶性潤滑剤組成物が得られることが報告されている(例えば特許文献5参照)。
しかし、これらの油分分離性の良好な水溶性潤滑剤組成物を用いた場合には、クーラントの状態はある程度良好に保たれると思われるが、分離・除去された廃油の処理の問題は解決できておらず、コスト面及び環境の面から工程全体を考えた場合に、決して十分なシステムとは言えない。
他方、混入してくる他油成分の多くは、例えば、摺動面潤滑油及び不水溶性金属加工油等であり、本来潤滑剤として使用されていたものが多く、逆にこれらを有効に活用する方法については、これまで報告された例を見出すことはできなかった。
【0007】
【特許文献1】
特許第3038404号公報
【特許文献2】
公開特許第2001−25766号公報
【特許文献3】
公開特許第2001−198401号公報
【特許文献4】
公開特許第2002−226879号公報
【特許文献5】
公開特許第2002−249796号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、クーラントが混入する他油成分を潤滑成分として取り込み、この他油成分を含むクーラントを再度クーラントとして使用することにより、これまで分離・除去されてきた廃棄油量を削減して環境負荷を少なくし、クーラントの金属加工性能の維持・向上と寿命の延長を図り、更にクーラントへの潤滑成分の補給量を削減して、クーラント原液の使用量が少ない水溶性切研削油剤組成物とその使用方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に示す通りである。
1.周辺環境で使用され混入する不水溶性成分又は難水溶性成分を分離せず、分散含有することができる組成であり、且つ該不水溶性成分又は該難水溶性成分を潤滑成分として利用することを特徴とする水溶性切研削組成物。
2.水溶性切研削油剤組成物を下記の測定方法により測定した潤滑油の分離油層の容量が該水溶性切研削油剤組成物の下記希釈液に対して、5容量%以下である1.記載の水溶性切研削油剤組成物。
分離油層の容量の測定法:1000mlビーカーに濃度2.5質量%の水溶性切研削油剤組成物の希釈液500mlを採取し、この希釈液に対して潤滑油を3質量%添加し、液温25℃の条件下、ホモミキサーで6000rpm、10分間攪拌、乳化した後、直ちに100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量の測定。
3.2.に示す測定方法において、下記の式で計算される上記潤滑油の潤滑油乳化能力値が1.0〜120である1.又は2.に記載の水溶性切研削油剤組成物。
潤滑油乳化能力値=[潤滑油乳化濃度(質量%)/水溶性切研削油剤組成物の希釈濃度(質量%)]×100
4.乳化した上記潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである1.乃至3.のいずれかに記載の水溶性切研削油剤組成物。
5.重量平均分子量が500〜5,000,000であり、且つHLBが0〜20である高分子分散剤成分を上記水溶性切研削油剤組成物全量に対して、0.1〜70質量%含有される1.乃至4.のいずれかに記載の水溶性切研削油剤組成物。
6.上記高分子分散剤成分がマレイン化ポリブテン、ポリアルキレングリコール及びグリセリンの共重合物、12−ヒドロキシステアリン酸縮合物のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ポリカルボン酸型高分子アニオン、アリルエーテル共重合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びポリスチレンスルホン酸の群の中から選ばれる少なくとも1種である5.記載の水溶性切研削油剤組成物。
7.1.乃至6.のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後の処理液に該工程中に含まれる潤滑油成分を含有した場合でも、該潤滑油成分を分離する工程を経ず該処理液をクーラントとして再使用することを特徴とする水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
8.上記切研削後のクーラントを下記の方法で測定した潤滑油の分離油層が、該切研削後の処理液に対して5容量%以下となる該切研削後の処理液をクーラントとして用いる7.に記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
分離油層の容量の測定法:上記切研削後のクーラントを100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量の測定。
9.1.乃至6.のいずれかに記載の水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後の処理液には潤滑油及び該工程中に含まれる潤滑油を含有し、8.に示す測定方法において、下記の式で計算される潤滑油乳化能力値が1.0〜120となる該処理液をクーラントとして用いる7.又は8.記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
潤滑油乳化能力値=[潤滑油乳化濃度(質量%)/クーラントの濃度(質量%)]×100
10.乳化した上記研削後の処理液中の潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである7.乃至9.のいずれかに記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
【0010】
【発明の効果】
本発明の水溶性切研削油剤組成物は、クーラントに混入する他油成分をこのクーラントに取り込むことにより、他油成分の廃棄物量を低減できる。更にクーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属等の加工性能が優れる。
また、所定の方法で測定した分離油層の容量%が5以下である場合は、他油成分の取り込み能力が大きいため、他油成分の廃棄物量を低減でき、更にクーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属等の加工性能が優れる。
更に、所定の方法で測定した潤滑油乳化能力値が1.0〜120である場合は、他油成分取り込み量が適正であるため、他油成分の廃棄物量を低減でき、更にクーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属等の加工性能が優れる。
また、水溶性切研削油剤組成物の乳化した上記潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである場合は、乳化性が優れているため、より他油成分の廃棄物量を低減でき、更にクーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属等の加工性能が優れる。
更に、上記水溶性切研削油剤組成物が質量平均分子量500〜5,000,000であり、且つHLBが0〜20である高分子分散剤成分を0.1〜70質量%を含有する場合は、クーラント中に他油成分を効率的に取込むことができるため、より他油成分の廃棄物量を低減でき、クーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属加等の工性能が優れる。
また、水溶性切研削油剤組成物に使用する高分子分散剤成分がマレイン化ポリブテンとポリアルキレングリコール及びグリセリンの共重合物等である場合は、クーラント中に他油成分を効率的に取込むことができるため、特に他油成分の廃棄物量を低減でき、クーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属等の加工性能が優れる。
更に、本発明の水溶性切研削油剤組成物の使用方法は、クーラントが他油成分を潤滑成分として取り込み、この他油成分を含むクーラントを再度クーラントとして使用することにより、他油成分の廃棄物量を低減できる。更にクーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属加工性能が優れる。
また、切研削後のクーラントを所定の方法で測定した場合に、この切研削後の処理液に対して、潤滑油の分離油層が5容量%以下である場合の水溶性切研削油剤組成物の使用方法は、さらに多くの他油成分を抱き込むことができるため、より他油成分の廃棄物量を低減でき、クーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属加工性能が優れる。
更に、水溶性切研削油剤組成物の乳化した上記潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである場合の水溶性切研削油剤組成物の使用方法は、乳化性が優れているため、特に他油成分の廃棄物量を低減でき、クーラント原液の使用量を低減させることができ、且つ金属加工性能が優れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明の「水溶性切研削油剤組成物」は、切削加工、研削加工、切断加工、研磨加工、歯切り加工及びタップ加工(以下「切研削加工」という)のみならず、圧延、引き抜き、プレス、鍛造及びロールフォーミング等の塑性加工等や、摺動面潤滑油及び含水油圧作動油としても使用することができる。
この水溶性切研削油剤組成物は、周辺の環境で使用され混入してくる不水溶性成分又は難水溶性成分を分離することなく、この水溶性切研削油剤組成物に分散含有される。
即ち、切研削機械等に使用され、混入する他油成分と上記水溶性切研削油剤組成物の希釈液は分離することなく、上記水溶性切研削油剤組成物は上記の他油成分を分散して含有し、且つ、この不水溶性成分又は難水溶性成分を潤滑成分として利用できる。
即ち、上記分散して含有する他油成分を上記水溶性切研削油剤組成物の潤滑成分として利用する。
【0012】
この水溶性切研削油剤組成物は、下記の方法により測定した潤滑油の分離油層の容量が水溶性切研削油剤組成物の希釈液に対して、5容量%以下であることが好ましい。
この分離油層の容量の測定法は、1000mlビーカーに水溶性切研削油剤組成物に対して濃度2.5質量%の水溶性切研削油剤組成物の希釈液500mlを採取し、この希釈液に対して潤滑油を3質量%添加し、液温25℃の条件下、ホモミキサーで6000rpm、10分間攪拌、乳化した後、直ちに100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量を測定する。
上記測定方法において潤滑油はJIS K2238 VG68のものを使用する。
この分離油層の容量はより好ましくは4.8%以下、更に好ましくは4.6%以下、より更に好ましくは4.5%以下、より更に更に好ましくは、4.0以下、特に好ましく3.5以下である。
この分離油層の容量が5容量%を超える場合は、他油成分を効率的にクーラント中に取込むことができない場合がある。
【0013】
また、本発明の水溶性切研削油剤組成物は、上記測定方法により、潤滑油の分離油層の容量が水溶性切研削油剤組成物の希釈液に対して、5容量%以下であれば、特に制限は無く使用できるが、必要に応じて潤滑成分をあらかじめ水溶性切研削油剤組成物中に含有させることができる。
上記潤滑成分は、水溶性切研削潤滑剤に通常用いることができるものであれば、特に制限することなく用いることができる。例えば、鉱油、合成エステル、動植物油、α−オレフィン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、及びポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。これらのうちで、鉱油及び/又は合成エステルが好ましく用いられる。
【0014】
上記、鉱油としては、石油を蒸留精製して得られる成分を示し、水素添加や改質等の工程を経たものを使用できる。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。これらのうちで、スピンドル油が好ましく用いられる。
また、合成エステルとして、例えばラウリン酸メチル、オレイン酸メチル、ネオペンチルグリコールジオレート、トリメチロールプロパントリオレート、及びペンタエリスリトールテトラオレート等が挙げられる。これらの合成エステルのうちで脂肪酸炭素数は4〜28の範囲であれば特別な制限はなく、不飽和度、分岐構造が異なっても何れも使用できる。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。これらのうちでトリメチロールプロパントリオレートが好ましく用いられる。
動植物油脂としては、例えば、豚脂、牛脂、羊脂及び魚油等の動物性油脂、並びに菜種油、大豆油、やし油、及びパーム油等の植物性油脂が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
【0015】
また、α−オレフィン、ノルマルパラフィン及びイソパラフィンは構造や炭素数の制限は特にないが、好ましくは炭素数4〜50、より好ましくは炭素数5〜17の範囲であれば構造にかかわらず好ましい。ポリオキシアルキレングリコールについても分子量やアルキレングリコール付加モル数による制限は特にないが、アルキレングリコール付加モル数が2〜50の範囲であれば、より好ましい。
更にポリオキシアルキレングリコールについては、一つ又は二つ以上の末端がアルキル基、アルケニル基又は置換基を有するアルキル基でもよく、末端基とアルケニル基とがエーテル、エステル及びアミド等の結合により結ばれていてもよい。これらのうちの1種又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
【0016】
この潤滑油成分の含有量は、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、30質量%以下が好ましい。より好ましくは28質量%以下であり、更に好ましくは26質量%以下であり、より更に好ましくは24質量%以下である。水溶性切研削油剤組成物に対して潤滑油成分が30質量%を超える場合は、他油成分を効率的にクーラント中に取込むことができない場合がある。
【0017】
本発明の水溶性切研削油剤組成物の潤滑油乳化能力は、下記の式で計算される値が1.0〜120であることが好ましい。より好ましくは5.0〜120であり、更に好ましくは10〜120であり、より更に好ましくは20〜120である。
水溶性切研削油剤組成物の潤滑油乳化能力値が、1.0未満である場合は、潤滑油を取込む能力が不足して他油成分を効率的にクーラント中に取込むことができない場合がある。また、上記乳化能力値が、120を超える場合は、限度量を超える潤滑油が混入していることを示しており、浮上したり飛散したりする量が多くなるため好ましくない。
潤滑油乳化能力値=[(潤滑油乳化濃度)/(水溶性切削油剤の希釈濃度)]×100(濃度は何れも質量%で表される。)
ここで、潤滑油乳化濃度とは、水溶性切研削油剤組成物の希釈中に含まれる潤滑油成分の濃度をいい、以下の式で求めることができる。
潤滑油乳化濃度=潤滑油添加量−浮上油中の潤滑油量
また、浮上油中の潤滑油量は浮上した油層を秤量し、塩酸酸性下で酸分解した後、油層をジエチルエーテルで抽出する。更に、この抽出物をシリカゲルクロマトグラフィー(充填剤:和光純薬社製「ワコーゲルC200」、展開溶媒:n−ヘキサン)により精製して、浮上油層中の潤滑油成分比率を求める。
また、水溶性切研削油剤組成物の希釈濃度とは、水溶性切研削油剤組成物の原液を上記試験のために、希釈した場合の希釈液全体に対する水溶性切研削油剤組成物の原液の質量%をいう。
【0018】
また、本発明の水溶性切研削油剤組成物は、上記測定方法により、潤滑油の潤滑油乳化能力値が上記範囲であれば、特に制限は無く使用できるが、必要に応じて潤滑油を含有させることができる。この潤滑油の種類及び含有量は前記発明のものを適用できる。
【0019】
また、本発明の水溶性切研削油剤組成物は、前記した測定方法において、乳化した上記潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmであることが好ましい。この潤滑油の平均粒子径は、より好ましくは0.05〜10μmであり、更に好ましくは0.1〜7μmであり、より更に好ましくは0.1〜5μmである。
この潤滑油の平均粒子径が0.01μm未満の場合は、潤滑性能が不足する場合があるためであり、50μmを超える場合は、希釈液の安定性が低下し、液の分離を生じやすくなる場合があるためである。
上記平均粒子径はレーザー粒径測定装置(堀場製作所製「LA910」)で、測定したものである。
【0020】
この水溶性切研削油剤組成物は、重量平均分子量が500〜5,000,000の高分子分散剤成分を含むことが好ましい。この高分子分散剤成分の重量平均分子量は、より好ましくは500〜500,000であり、更に好ましくは1000〜300、000である。
分子量が500未満である場合は他油を乳化・分散する能力が不足する場合があるためであり、分子量が5,000,000を超える場合は、系及び分散剤の粘度が高くなり、取り扱いが困難になる場合があるためである。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーショオンクロマトグラフィー(GPC)による測定したものをいう。
【0021】
また、上記高分子分散剤のHLBは、0〜20(但し、0は除く)とすることができ、より好ましくは0〜15であり、更に好ましくは0〜10である。
HLBが20を超える場合は、親水性が強くなりすぎるため、原液及び希釈液の安定性が保てなくなる場合があるためである。
このHLBは、Griffinの以下の式で算出される。
HLB=20Mw/M(M:非イオン界面活性剤の分子量,Mw:親水性部分の分子量)
【0022】
更に、上記高分子分散剤の水溶性切研削油剤組成物100質量%中、含有量は、好ましくは0.1〜70質量%であり、より好ましくは0.5〜60であり、更に好ましくは1〜50である。
上記高分子分散剤の水溶性切研削油剤組成物に対する含有量が、0.1質量%未満である場合は、上記高分子分散剤の量が少量すぎるため、高分子分散材を添加した効果がでない場合がある。
また、これが70質量%を超える場合は、防錆成分、抗菌成分等の成分量が減少するため、防精性、抗菌性等の潤滑性以外の性能低下を引き起こす場合があるためである。
【0023】
上記のうち、好ましい組合せは高分子分散剤の質量平均分子量が500〜5,000,000、且つHLBが0〜20及び含有量が0.1〜70質量%であり、より好まし組合せは質量平均分子量が500〜500,000且つHLBが
0〜15及び含有量が0.5〜60質量%であり、更に好ましい組合せは、質量平均分子量が1000〜3,000、且つHLBが0〜10及び含有量が1〜50質量%である。
【0024】
上記高分子分散剤の種類は、具体的には、マレイン化ポリブテンを含む化合物、ステアリン酸縮合物のエステル、ポリアミン共重合物、ポリカルボン酸、アリル基を有するエーテルの(共)重合物、スルホン酸ホルマリン縮合物及びスチレン系共重合体とスルホン酸の化合物等の高分子重合物を用いることができる。
これらのうちで、マレイン化ポリブテンとポリアルキレングリコール及びグリセリンの共重合物、12−ヒドロキシステアリン酸縮合物のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ポリカルボン酸型高分子アニオン、アリルエーテル共重合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びポリスチレンスルホンサンが好ましく用いられる。これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
【0025】
この水溶性切研削油剤組成物は、必要に応じて乳化剤を添加することができる。
この乳化剤は、水溶性切研削油剤組成物に通常用いられるものが使用できる。例えば、脂肪酸、界面活性剤及びアルコール等が挙げられる。これらのうちで1種又は2種以上が使用できる。
上記脂肪酸としては、特に限定されず、通常の水系の潤滑油や金属加工油に使用されている炭素数6〜36のものが使用される。例えばカプロン酸、カプリル酸、ノナン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、ドデカン酸、オレイン酸、エルカ酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸、アラキン酸、ベヘン酸、メリシン酸、イソノナン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、油脂より抽出された大豆脂肪酸、ヤシ脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、石油より抽出されたナフテン酸等;アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、モノ又はジヒドロキシアラキン酸;オレイン酸、リシノール酸、リシノール酸縮合物、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の二量体、三量体等の合成脂肪酸が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上が使用できる。これらのうちで、ヤシ油脂肪酸、リシノール酸、エルカ酸、リシノール酸縮合物、ドデカン酸、及びオレイン酸が、好ましく用いられる。
これらの脂肪酸の使用量は、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
【0026】
上記界面活性剤としては特に限定されず、通常の水系の潤滑油や金属加工油に使用されているノニオン系、アニオン系、カチオン系及び両性系の各界面活性剤使用できる。
上記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリグリセリンアルキルエステル、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、アルキルアミンポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物等が挙げられる。
また、アニオン界面活性剤としては、脂肪酸金属塩又はアミン塩、カルボン酸金属塩又はアミン塩、アルキルスルフォネートの金属塩又はアミン塩、アルキル硫酸の金属塩又はアミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩又はアミン塩、アルキルリン酸の金属塩又はアミン塩等が挙げられる。
更に、カチオン系界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロライド及びアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型及びアミノカルボン酸塩型等が挙げられる。
上記の界面活性剤以外でも、加工対象とする金属に対する腐食性、反応性がなければ、特に支障なく使用することができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちでノニオン界面活性剤のC12アルコールEO/PO付加物が好ましく用いられる。
これらの乳化剤のうち、界面活性剤成分は、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、0〜30質量%含まれることが好ましい。より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%である。
【0027】
上記高級アルコールとしては、炭素数が好ましくは12〜18のものが用いられる。例えば、2エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコールおよびイソステアリルアルコール等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちで炭素数13又は15の分岐アルコールが好ましく用いられる。
これらの乳化剤のうち、アルコールは、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、0〜30質量%含まれることが好ましい。より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%である。
【0028】
上記乳化剤の含有量の合計は、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは25〜55質量%、更に好ましくは30〜50質量%である。乳化剤の添加量が上記範囲内にあると、クーラントが、他油成分を効率よく取り込むことができる。
【0029】
水溶性切研削油剤組成物は、必要に応じてアルカノールアミン、脂肪族アミン及びシクロヘキシルアミン等のアミン化合物、硫黄系、リン系、塩素系などの極圧添加剤成分、防錆剤成分、消泡剤成分、防腐剤成分、酸化防止剤成分、腐食防止剤成分、染料、香料及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基化合物等の各成分を本発明の要求する性能を阻害しない範囲で含有させることができる。
【0030】
上記アミン化合物としては炭素数2〜36のものが好ましく用いられる。例えば、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−エチル−1・3−プロパンジオール及びN−(βアミノエチル)エタノールアミン等が挙げられ、
脂肪族アミンとしては、例えば2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等の第1級、第2級アルキルアミンが挙げられる。
また、シクロヘキシルアミンとしては、ジシクロヘキシルアミンが挙げられる。
これらのうちで、モノプロパノールアミン及びジシクロヘキシルアミンが好ましく用いられる。これらのうちの1種のみを用いても良いし、又は2種以上を適宜組合せて使用することができる。
これらの使用量の合計は、水溶性切研削油剤組成物100質量%中、好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0〜35質量%、更に好ましくは0〜30質量%である。これらの使用量の合計が上記範囲であると、PH維持能力が高く、水溶性切研削油剤組成物が腐敗しにくい。
【0031】
上記極圧添加剤成分としては、硫化脂肪油等の硫黄系、亜鉛ジチオホスフェート等のリン系及び塩素化パラフィン等の塩素系のものが使用できる。
上記酸化防止剤としては、アミン系化合物、フェノール系化合物等を、上記防食剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール等を、それぞれ用いることができる。上記着色剤としては、染料や顔料を用いることができる。上記添加剤は、加工性能を低下させず、劣化等の組成物の品質低下を生じさせないものであれば、特に支障なく使用することができる。
【0032】
本発明の水溶性潤滑剤原液には、通常、水が配合される。この水の配合量については特に限定はないが、通常は、本発明の水溶性潤滑剤組成物100質量%中、5〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。この水の含有量を5質量%以上とすることにより、潤滑剤の粘度を低くして作業性の悪化を抑制することができるので好ましい。また、この水の含有量が50質量%以下とすることにより、潤滑成分の不足による潤滑性、防腐性、防錆性及び抗菌性の低下を抑制できるので好ましい。
【0033】
水溶性切研削油剤組成物の使用方法、クーラントの使用方法又は切研削方法は上記水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後のクーラントには、少なくとも該工程中に使用される潤滑油成分を含有し、この潤滑油を含むクーラントを再使用する。
本発明に用いる「水溶性切研削油剤組成物」は、前記発明で詳述したものを適用できるが、圧延、引き抜き、プレス、鍛造、及びロールフォーミング等の塑性加工や摺動面潤滑油、含水油圧作動油としても使用できる。
上記希釈液の濃度は、希釈液100質量%中、水溶性切研削油剤組成物の質量%をいい、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。上記範囲であると、水溶性切研削油剤組成物の粘度が適当であり、作業性が向上するため好ましい。
【0034】
本発明の水溶性切研削油剤組成物の使用方法等において、水溶性切研削油剤組成物の希釈直後においては、潤滑油等の潤滑成分が少ないため潤滑性が不足することが考えられるため、前記のようにあらかじめ潤滑油を添加しておく方法以外に次の方法で使用することもできる。
すなわち、使用初期はある程度の潤滑性を有する水溶性油剤(本発明の水溶性切研削油剤組成物であってもよいし、本発明以外の水溶性切研削油剤組成物であってよい)を使用し、本発明の水溶性切研削油剤組成物を補給用の油剤として使用することもできる。
また、初期に本発明の潤滑成分を含有した水溶性切研削油剤組成物を使用しなくとも、後で必要に応じて潤滑油又は廃棄他油成分を添加して潤滑性の向上をはかることもできる。
【0035】
この水溶性切研削油剤組成物の使用方法等において、上記水溶性切研削油剤組成物を希釈してクーラントとして使用する場合に、このクーラントは他油成分を潤滑成分として取込むことができ、切研削後の処理液を再度クーラントとして使用することができる。
従って、他油成分の廃棄量が低減できる。更に、取込んだ他油成分潤滑成分として利用できるため、クーラントへの潤滑油の補給量を削減することができる。
【0036】
上記水溶性切研削油剤組成物の使用方法は、上記切研削後の潤滑油を含むクーラントを下記の方法で測定した潤滑油分離油層が、切研削後の処理液に対して5容量%以下となる潤滑油を含むクーラントを再使用することが好ましい。
分離油層の容量の測定法は、上記使用後の希釈液を、直ちに100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量を測定する。
【0037】
上記水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後の処理液には少なくとも該工程中に含まれる潤滑油を含有し、前記測定方法において、下記の式で計算される潤滑油乳化能力値が1.0〜120となる該処理液をクーラントとして用いることが好ましい。より好ましくは5.0〜120であり、更に好ましくは10〜120であり、より更に好ましくは20〜120である。
潤滑油乳化能力値=[潤滑油乳化濃度(質量%)/使用後のクーラントの濃度(質量%)]×100
ここで、潤滑油乳化濃度とは、前記発明のものを適用することができ、使用後のクーラント濃度とは、エプトン法により測定された水溶性切研削油剤組成物の濃度をいう。
【0038】
更に、切研削後の処理液は、前記した測定方法において上記潤滑成分の平均粒子径が、0.01〜50μmとなる切研削後の処理液をクーラントとして用いることが好ましい。この潤滑油の平均粒子径は、より好ましくは0.05〜10μmであり、更に好ましくは0.1〜7μmであり、より更に好ましくは0.1〜5μmである。
【0039】
上記使用方法において、分離油層の容量%が大きくなり、潤滑乳化能力値が上記範囲外になり、又は潤滑油の平均粒子径が上記範囲外になる等の場合には、上記高分子分散剤、乳化剤、潤滑剤及び水等を補給する。この補給により分離油層の容量%及び潤滑乳化能力値が本発明の範囲にすることにより他油成分をクーラント中に効率よく取込むことができ、クーラントの性能維持ができる。
また、高分子分散剤、乳化剤(脂肪酸、界面活性剤、高級アルコール)、潤滑油、水、アルカノールアミン等のアミン化合物及びその他の添加剤についての種類及び含有量については、前記発明で詳述したものを適用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
以下、実施例により、本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)表1に示す組成を有する各種の切削油剤組成物(組成物1〜9)を調整し、この組成物を用いて試験を行い、実験例1〜7、比較例1〜2とした。表1において、組成物の数値は各組成物の全量に対する質量%を示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004256771
【0042】
【表2】
Figure 2004256771
また、試験結果を表2に示す。
上記表1において※印は以下のものを示す。
▲1▼脂肪酸
A:ヤシ油脂肪酸
B:リシノール酸
C:エルカ酸
D:リシノール酸縮合物(平均縮合度4)
E:ドデカン 2酸
F:オレイン酸
▲2▼ノニオン界面活性剤:C12アルコールEO付加物
▲3▼アルコール:炭素数13の分岐アルコール
▲4▼合成エステル:トリメチロールプロパントリオレート
▲5▼分散剤
A:マレイン化ポリブテン、ポリアルキレングリコール及びグリセリンの共重合物(ICI製「ハイパーマーA60」)
B:12−ヒドロキシステアリン酸縮合物のポリアルキレングリコールエステル(ICI製「ハイパーマーB246」)
C:ポリカルボン酸型高分子アニオンNa塩水溶液(日本油脂製)
D:アリルエーテル共重合物(日本油脂製「マリアリム AAB−0851」)
E:ポリオキシアルキレングリコールポリエチルポリアミン(第一工業製薬製「ディスコールN−509」)
【0043】
(2)評価方法
▲1▼乳化試験
潤滑油乳化試験には、表1の実施例1〜7の原液を2.5質量%及び比較例1、2の原液をそれぞれ4質量%、5質量%になるように水で希釈した。そこに潤滑油(Mobil社製「バクトラNO、2」)をそれぞれ3質量%加え、撹拌機を用いて6000rpmで10分間撹拌し、撹拌停止後直ちにメスシリンダに移し、25℃の条件下で3日静置した。このときの浮上した油分及び/又はクリーム層の比率を確認した後、シリカゲルカラムクロマトで潤滑油分を溶剤抽出し、定量した。
▲2▼潤滑試験
縦型マシニングセンタによるタッピングトルクを測定して、潤滑性を評価した。下穴加工条件は、TiNコーティングハイスドリル(Φ=13mm、V=40m/min、f=0.3mm/rev)、超硬リーマ(Φ=13.3mm、V=20m/min、f=0.3)であり、タップ加工は窒化タップ(M14×1.5、V=4.4m/min)で行い、トルクはキスラー社製の動力計で測定した。
▲3▼原液安定性試験
原液安定性は50℃で48時間静置した後の液の分離の有無を目視により調べた。液の分離が認められないものは問題なしとして、液の分離が若干認められたものを若干不安定とした。
【0044】
(3)実施例の効果
▲1▼比較例1(高分子分散剤を使用せず、潤滑成分を30質量%使用したもの)及び2(高分子分散剤を使用せず、潤滑成分を60質量%使用したもの)は、潤滑油3質量%を加えて、攪拌した場合、攪拌を停止すると直ちに潤滑油が分離浮上してくる。
即ち、上記比較例の水溶性切研削油剤組成物は、ほとんど他油成分を取り込むことができない。
また、分離油層がそれぞれ5.5容量%と大きく、また、潤滑油乳化能力値がそれぞれ、7.5及び2と小さい。更に、潤滑油浮上量がそれぞれ2.7及び2.9%と大きい。
また、タッピングトルクもそれぞれ1350mN・m及び1250mN・mと大きい。
▲2▼これに対して、実験例1〜7は潤滑油3質量%を加えて、攪拌した場合、攪拌を停止しても、潤滑油が分離浮上してくることはない。また、試験結果の全てに置いてバランスが取れていて、他油成分を取り込む能力が優れている。特に高分子分散剤A〜Eを用いたものは潤滑油乳化能力、タッピングトルクも良好な性能を示している。
▲3▼本願発明の実施例は、他油成分をクーラント中に効率的に取込むことができる。このため、廃棄する他油成分の減量ができ、且つ、潤滑成分の補給を減量することができ、タッピングトルクも良好であり、金属等の切削加工等に広く使用することができる。

Claims (10)

  1. 周辺環境で使用され混入する不水溶性成分又は難水溶性成分を分離せず、分散含有することができる組成であり、且つ該不水溶性成分又は該難水溶性成分を潤滑成分として利用することを特徴とする水溶性切研削組成物。
  2. 水溶性切研削油剤組成物を下記の測定方法により測定した潤滑油の分離油層の容量が該水溶性切研削油剤組成物の下記希釈液に対して、5容量%以下である請求項1記載の水溶性切研削油剤組成物。
    分離油層の容量の測定法:1000mlビーカーに濃度2.5質量%の水溶性切研削油剤組成物の希釈液500mlを採取し、この希釈液に対して潤滑油を3質量%添加し、液温25℃の条件下、ホモミキサーで6000rpm、10分間攪拌、乳化した後、直ちに100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量の測定。
  3. 請求項2に示す測定方法において、下記の式で計算される上記潤滑油の潤滑油乳化能力値が1.0〜120である請求項1又は2に記載の水溶性切研削油剤組成物。
    潤滑油乳化能力値=[潤滑油乳化濃度(質量%)/水溶性切研削油剤組成物の希釈濃度(質量%)]×100
  4. 乳化した上記潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物。
  5. 重量平均分子量が500〜5,000,000であり、且つHLBが0〜20である高分子分散剤成分を上記水溶性切研削油剤組成物全量に対して、0.1〜70質量%含有される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物
  6. 上記高分子分散剤成分がマレイン化ポリブテン、ポリアルキレングリコール及びグリセリンの共重合物、12−ヒドロキシステアリン酸縮合物のポリアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ポリカルボン酸型高分子アニオン、アリルエーテル共重合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びポリスチレンスルホン酸の群の中から選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の水溶性切研削油剤組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後の処理液に該工程中に含まれる潤滑油成分を含有した場合でも、該潤滑油成分を分離する工程を経ず該処理液をクーラントとして再使用することを特徴とする水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
  8. 上記切研削後のクーラントを下記の方法で測定した潤滑油の分離油層が、該切研削後の処理液に対して5容量%以下となる該切研削後の処理液をクーラントとして用いる請求項7に記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
    分離油層の容量の測定法:上記切研削後のクーラントを100ml共栓付きメスシリンダーに採取し、25℃で3日間静置したときの浮上した分離油層の容量の測定。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物の希釈液からなるクーラントを用いて切研削を行った場合、この切研削後の処理液には潤滑油及び該工程中に含まれる潤滑油を含有し、請求項8に示す測定方法において、下記の式で計算される潤滑油乳化能力値が1.0〜120となる該処理液をクーラントとして用いる請求項7又は8記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
    潤滑油乳化能力値=[潤滑油乳化濃度(質量%)/クーラントの濃度(質量%)]×100
  10. 乳化した上記研削後の処理液中の潤滑油の平均粒子径が、0.01〜50μmである請求項7乃至9のいずれか1項に記載の水溶性切研削油剤組成物の使用方法。
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