JP3947664B2 - 水系潤滑剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、潤滑基材として特定の構造のポリエーテル化合物を用いた水系潤滑剤、及びこの水性潤滑剤を含む水系難燃性作動油、水系金属加工油剤、水系ラップ液並びに水系ラップ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ポリエーテル化合物は、加水分解しにくい;水溶性のものも製造可能である;低粘度から高粘度のものまで製造可能である;温度による粘度変化が少ない等の長所を有しており、従来から、水−グリコ−ル系作動油、水系金属加工油等の含水系潤滑剤に使用されている。近年では産業の発達に伴い、吐出圧力のより高い油圧機器、より高速高精度の金属加工機器等が開発されており、こうした機器類には潤滑性の高い潤滑油が必要であり、ポリエーテル化合物を用いた水系潤滑剤にも更に高い潤滑性が要求されている。
【0003】
水系潤滑剤として利用できる潤滑性の高いポリエーテル化合物としては、少なくとも5ケの水酸基を有する多価アルコールのポリオキシアルキレン誘導体(特開昭54−105653号公報)、ポリアルキレンポリアミンのポリオキシアルキレン誘導体(特開昭54−129256号公報)、モノアルキル又はモノアルキルアリールポリアルキレングリコールの酸性リン酸エステル(特開昭59−38295号公報等)、ポリオキシプロピレンジアミンとジエポキシ化合物との反応物(米国特許4396499号公報)、ポリオキシプロピレンジアミンと疎水性脂肪酸との反応物(米国特許4795581号公報)等の種々のポリエーテル化合物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来知られているポリエーテル化合物は、ポリアルキレングリコールの酸性リン酸エステル以外は潤滑性が不十分であり、近年の要求される高い潤滑レベルの水系潤滑剤は得られなかった。また、ポリアルキレングリコールの酸性リン酸エステルを使用した水系潤滑剤は、高い潤滑性は得られるが、リン酸エステルが除々に加水分解を起こしてpHが低下し金属部材を腐食したり、リンを含有していることにより微生物が発生して腐敗したり、排水が河川を富栄養化したりするという問題点があった。
従って、本発明の目的は、腐敗や富栄養化の原因となるリン等の元素を含まず、特定の構造のポリエーテル化合物を使用した、潤滑性、分散性及び防錆性に優れた水系潤滑剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、分子中に1級アミノ基を有するポリエーテル化合物が、水系潤滑剤の基材とした場合、優れた潤滑性、分散性及び防錆性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は、下記の一般式(1)
【化3】
{式中、R1はアルキレン基を表わし;AOはオキシアルキレン基を表わし;Xは−(AO)nHで表わされる基、−R2−NH2(R2はアルキレン基を表わす)で表わされる基、又は炭化水素基を表わし;mは、Xが−(AO)nHで表わされる基である場合は0又は1以上の数、Xが−R2−NH2で表わされる基又は炭化水素基である場合には1以上の数を表わし;nは5〜150の数を表わす。}
で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物を含むことを特徴とする水系潤滑剤である。
【0007】
また、本発明は、前記水性潤滑剤を含むことを特徴とする水系難燃性作動油、水系金属加工油剤、水系ラップ液若しくは水系ラップ剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、R1はアルキレン基を表わす。アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられ、これらのうちでも炭素数2〜4のアルキレン基、即ち、エチレン、プロピレン、ブチレンであることが特に好ましい。
【0009】
又、一般式(1)の(AO)nの部分は、エチレンオキシサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(即ち、1,4―ブチレンオキサイド)、長鎖α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等を付加重合することにより得ることができる。アルキレンオキサイド等を付加することによって(AO)nの部分を形成する場合は、付加させるアルキレンオキサイド等によりAOが決定される。付加させるアルキレンオキサイド等の重合形態は特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイド等の単独重合、2種類以上のアルキレンオキサイド等のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等のいずれであってもよい。(AO)nの部分が2種類以上のアルキレンオキサイドの共重合により形成される場合には、そのうちの少なくとも1種類はエチレンオキサイドであることが好ましい。この場合には、(AO)n中のオキシエチレン基の含量は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。(AO)n中のオキシエチレン基の含量が90質量%よりも多い場合、一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物が常温では結晶化し易くなり、水系の潤滑組成物にした場合に、種々のトラブルを引き起こす場合がある。また、(AO)n中のオキシエチレン基の含量は50質量%以上が好ましい。50質量%よりも少ない場合には、一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物が水に不溶性となることがあるが、この場合であっても脂肪酸等の酸性物質を配合することにより1級アミノ基含有ポリエーテル化合物を水に可溶化又は分散化することができるため、このような状態で水系潤滑剤として使用することができる。
【0010】
nは5〜150が好ましく、10〜80が最も好ましい。nが150よりも大きい場合には、1級アミノ基の分子に占める含量が相対的に低下して、潤滑性が低下することがある。
【0011】
一般式(1)において、Xは、−R2―NH2で表わされる基、−(AO)nHで表わされる基、又は炭化水素基を表わす。ここで、R2はアルキレン基を表わし、アルキレン基としては、R1で挙げたアルキレン基と同一のものが挙げられる。R1とR2は、互いに同一でも良いし、異なっていても良い。
【0012】
Xが−(AO)nHで表わされる基である場合には、(AO)nの部分は一般式(1)の(AO)nの部分と同様の1種類のアルキレンオキサイド等の単独重合、又は2種類以上のアルキレンオキサイド等の共重合のものである。
Xが炭化水素基である場合には、これは炭素数1〜36のアルキル基、炭素数2〜36のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数5〜30のシクロアルキル若しくはシクロアルケニル基である。
【0013】
このような炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘシサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝−イソステアリル等のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等のアルケニル基;フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、スチレン化フェニル、p−クミルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基等が挙げられる。
これらのなかで、Xとしてはエチルアミノ基又は炭素数10〜20のアルキル基若しくはアルケニル基が特に好ましい。
【0014】
また、mは、Xが−(AO)nHで表わされる基である場合は0又は1以上の数を、Xが−R2―NH2で表わされる基又は炭化水素基である場合は1以上の数を表わす。しかし、あまりにmが大きい場合には、一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の粘度が高くなりすぎて製造が困難になる場合があることから、mは0〜10が好ましく、0〜8がより好ましく、1〜5が最も好ましい。
【0015】
本発明の水系潤滑剤に使用する前記一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の製造方法としては、例えば、(a)末端の水酸基がハロゲンで置換されたポリエーテルポリオール化合物とアンモニア又は下記の一般式(2)
【化4】
{式中、Yは、−AO−Hで表わされる基、−R2―NH2で表わされる基又は炭化水素基を表わし、mは、Yが−AO−Hで表わされる基である場合は0又は1以上の数、Yが−R2―NH2で表わされる基又は炭化水素基である場合は1以上の数を表わし、R1、R2及びAOは一般式(1)と同義である。}
で表わされるアミン化合物を反応させる方法、又は(b)前記一般式(2)で表わされるアミン化合物の1級アミノ基をケトン化合物でイミノ基として保護してから2級アミノ基にアルキレンオキサイドを反応させて、まずイミノ基含有ポリエーテル化合物とし、その後イミノ基からケトン化合物を除去して1級アミノ基とする方法等が挙げられる。
【0016】
このうち、(a)の方法は、mが1以上の数である場合、一般式(2)の1級アミノ基と2級アミノ基の間で、水酸基がハロゲンで置換されたポリエーテルポリオール化合物との反応性に差がないため、2級アミノ基のみを選択的にポリエーテル化することが困難であり、1級アミノ基を多く含んだポリエーテル化合物が得られず、最終生成物の潤滑性が劣る。また、(a)の方法では原料としてハロゲン化物を使用するため、最終生成物にはハロゲンイオンが残留し、特に水系作動油等の分野に使用する場合には金属部材の摩耗が増加することがある。これに対して、(b)の方法では、1級アミノ基をケトン化合物でイミノ基として保護してからアルキレンオキサイドを反応させるため、選択的に2級アミノ基をポリエーテル化することができる。また、(b)の方法では原料由来のハロゲンイオンが混入するという問題もない。したがって、一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の製造方法としては、(b)の方法が好ましい。
【0017】
一般式(2)で表わされるアミン化合物のうち、Yが−AO−Hで表される基であるアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−ヒドロキシブチルアミン、4−ヒドロキシブチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。Yが−R2−NH2で表わされる基であるアミン化合物としては、ジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、N,N”−1,2−エチレンジイル−(1,3−プロパンジアミン)等が挙げられる。また、Yが炭化水素基であるアミン化合物としては、例えば、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−ドデシル−1,3−プロパンジアミン、N−イソトリデシル−1,3−プロパンジアミン、N−テトラデシル−1,3−プロパンジアミン、N−オクタデシル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。なお、上記アミン化合物のうち、Yが−AO−Hで表される基であるアミン化合物を用いた場合、一般式(1)において、Xは−(AO)nHで表わされる基となる。
【0018】
また、(b)の方法で用いられるケトン化合物は、下記の一般式(3)
【化5】
(式中、R3及びR4は炭化水素基を表わす。)
で表わされるケトン化合物である。一般式(3)において、R3及びR4は炭化水素基であり、具体的には、例えば、一般式(1)のR2で挙げた炭化水素基と同一のものを挙げることができる。R3とR4はそれぞれ独立であり互いに同一でも異なってもよい。こうしたケトン化合物の中でも、R3及びR4が炭素数1〜10の炭化水素基であるケトン化合物が好ましい。さらにR3又はR4のどちらかが2級又は3級炭素を有する炭化水素基であるケトン化合物は、イミノ化合物にアルキレンオキサイドを反応する際のイミノ基の脱離等の副反応が少なく、より好ましい。
【0019】
一般式(2)で表わされるアミン化合物の1級アミノ基をケトン化合物でイミノ化する反応は、通常の方法により行なうことができる。反応例としては、一般式(2)で表わされるアミン化合物の1級アミノ基1当量に対して、0.5〜2当量のケトン存在下、100〜140℃に加熱し、脱水反応させることにより容易に1級アミノ基をイミノ化できる。なお、この反応においては、水と共沸する還流溶媒、例えば、トルエン、キシレン、プソイドクメン等を共存させて反応しても良い。
【0020】
なお、一般式(2)で表わされるアミン化合物とケトン化合物との反応により得られるイミノ化合物は、下記の一般式(4)で表わすことができる。
【化6】
{式中、Zは、−AO−Hで表される基、−R2―N=CR3R4で表される基又は炭化水素基を表わし、R1、R2、m及びAOは一般式(1)と同義であり、R3及びR4は一般式(3)と同義である。}
【0021】
一般式(2)で表わされるアミン化合物とケトン化合物との反応により得られるイミノ化合物に、アルキレンオキシドを反応させてポリエーテル化する反応は、通常のアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させてポリエーテル化する反応等と同様に、触媒の存在下、加熱しながらアルキレンオキサイドを加えれば良い。触媒としては、アルカリ金属触媒が好ましい。アルカリ金属触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等を挙げることができる。反応温度は70〜140℃が好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。なお、イミノ化する際にトルエン、キシレン、プソイドクメン等を使用した場合は、アルキレンオキシドを反応させる前に、該溶媒を除去しても良いし、除去せずにそのままアルキレンオキシドを反応しても良い。
【0022】
このあと、ポリエーテル化されたイミノ化合物は、加水分解することにより前記一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物とすることができる。この加水分解は、過剰の水の存在下、加熱処理することによって行われる。水は、イミノ基1当量に対して、1.2〜10当量であることが好ましく、1.5〜5当量であることが更に好ましい。反応温度は60〜120℃が好ましく、80〜100℃がさらに好ましい。
【0023】
本発明の水系潤滑剤は、一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物を含むことを特徴としている。本発明の水系潤滑剤は、高い潤滑性と防錆性を示し、また、固体潤滑剤や砥粒等の分散性にも優れている。これは、1級アミノ基及びオキシアルキレン基を有するといった、特定の構造からなるポリエーテル化合物を使用したことにあると推察される。
【0024】
本発明の水系潤滑剤は、水をベースとし、これに前記一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物及びその用途等により必要に応じてその他の添加物を加えて構成される潤滑剤である。本発明の水系潤滑剤中の1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の配合量は、例えば、水系難燃性作動油では通常10〜60質量%であり、好ましくは20〜50質量%であり、水系金属加工油剤では0.1〜50質量%であり、好ましくは1〜10質量%であり、水系ラップ液では、通常5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。
なお、研磨加工や切断加工に用いられる加工液のうち、砥粒を分散させたものをラップ剤という。水系ラップ剤では、輸送や保存の利便のために、通常、濃厚な原液を水で希釈してから砥粒を分散させて用いるが、この原液をラップ液と呼ぶ。
【0025】
本発明の水系潤滑剤は、一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物が水中に可溶化された、いわゆるソリューションタイプでも良いし、水に乳化若しくは分散されたエマルジョンタイプでも良い。なお、本発明の水系潤滑剤の一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の上記の配合量は、いわゆる原液状態の配合量であり、使用目的に応じて、原液のまま使用することができ、又、原液を水で2〜200倍程度に希釈して使用することも可能である。
【0026】
本発明の水系潤滑剤は、有機カルボン酸と併用することにより、その潤滑性を更に向上させることができる。また、この有機カルボン酸は、一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物が水に難溶性である場合には、かかるポリエーテル化合物を水に可溶化又は乳化分散する機能もある。これは、かかるポリエーテル化合物のアミノ基が有機カルボン酸と塩を形成することにより親水性が向上するためと考えられる。このような本発明で有用な有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、クエン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等のヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アルケニルコハク酸、ダイマー酸、トリマー酸、ナフテン酸、9(又は10)−(4−ヒドロキシフェニル)オクタデカン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、サリチル酸等が挙げられる。これらの有機カルボン酸のうち炭素数6〜36の脂肪族カルボン酸が好ましく、特に水系難燃性切削油、水系作動油剤等のような潤滑油の泡立ちが問題となる用途では、炭素数6〜10の脂肪族モノカルボン酸又は炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0027】
本発明の水系潤滑剤は、更に他の成分、例えば、油性剤、摩擦緩和剤、極圧剤、酸化防止剤、清浄剤、分散剤、消泡剤、凝固点降下剤、乳化剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防食剤、溶剤、塩基性化合物、固体潤滑剤、水性樹脂、砥粒等を含有することができる。
【0028】
油性剤としては、油性剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール;ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、オレイルアミド等のアミドおよびそのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。なお、これらの化合物のなかには、乳化性能、可溶化性能を有するものもある。
【0029】
摩擦緩和剤としては、例えば、ヘキサン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、オクタン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、デカン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、ラウリン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、ミリスチン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、パルミチン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、ステアリン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、オレイン酸(モノ、ジ、トリ)グリセリド、ソルビタンの脂肪酸エステル等のエステル類、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオホスフェート、ジンクジアルキルジチオホスフェート、ジンクジアルキルジチオカーバメート等の金属塩類等が挙げられる。なお、これらの化合物のなかには、防錆性能、乳化性能、可溶化性能を有するものもある。
【0030】
界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキル(アリール)エーテル、ポリエチレングリコールジアルキル(アリール)エーテル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオールエステル、ポリエーテルポリオール、アルカノールアミド、アルキルスルホン酸、(アルキル)ベンゼンスルホン酸、石油スルホネート等が挙げられ、これら界面活性剤は油性剤、増粘剤としても作用することがある。
【0031】
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、低分子ポリエーテル等が挙げられる。これら溶剤は、凝固点降下剤としても作用することがある。
【0032】
塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、(イソ)プロピルアミン、ジ(イソ)プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソノニルアミン等の(シクロ)ヒドロカルビルアミン類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアルキレンポリアミン類;ピリジン、ピペラジン等の環状アミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N−シクロヘキシルジエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。尚、これらの塩基性化合物は、酸性の摩擦緩和剤(脂肪酸、カルボン酸等)を中和して、その効果を増大させたり、pHを上げて微生物の増殖による本発明の水系潤滑剤の腐敗を防ぐ効果がある。またアミン類は、防錆剤、防食剤として作用する場合もある。
【0033】
固体潤滑剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸アルカリ土類金属塩、雲母、二塩化カドミウム、二ヨウ化カドミウム、フッ化カルシウム、ヨウ化鉛、酸化鉛、チタンカーバイド、窒化チタン、珪酸アルミニウム、酸化アンチモン、フッ化セリウム、ポリエチレン、ダイアモンド粉末、窒化ケイ素、窒化ホウ素、フッ化炭素、メラミンイソシアヌレート等が挙げられる。
【0034】
水性樹脂としては、例えば、(部分ケン化)ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン等の水溶性若しくは水分散性の樹脂が挙げられる。
【0035】
砥粒としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、エメリー、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウム、ダイアモンド等が挙げられる。通常、粒径は、3〜16μm程度である。
【0036】
本発明の水系潤滑剤は、従来、水系潤滑剤が使われてきた用途のうち、特に、水系作動油、水系切削油、水系研削油、水系ラップ液若しくは水系ラップ剤、砥粒を用いない水系研磨油、水系ダイキャスト油、水系塑性加工油(圧延、鍛造、押出し加工、曲げ加工、絞り加工、引抜き加工、剪断加工等)、水系熱伝送油等に好適に使用することができる。
【0037】
また、本発明の一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物は、防錆性に優れていることから、本発明の水系潤滑油では、従来配合されていたトリエタノールアミン等のアミン類の配合量を低減することができる。
【0038】
水系潤滑剤の形態は特に限定されず、エマルジョン系、ソリューション系でも良い。なお、本発明の一般式(1)で表される1級アミノ基含有ポリエーテル化合物の中には、水に溶解しにくいものもあるが、前述したカルボン酸、摩擦調整剤、界面活性剤等により、溶解、乳化又は分散して用いることができる。
【0039】
このような本発明の水系潤滑剤の具体的処方例としては、以下のようなものが挙げられる。
水系作動油の場合:
一般式(1)の1級アミノ基含有ポリエーテル化合物 10〜30質量%
有機カルボン酸 1〜5 質量%
溶 剤 0〜30質量%
塩基性化合物 0〜2 質量%
消泡剤 0〜1 質量%
酸化防止剤 0〜1 質量%
水 バランス
【0040】
水系切削油の場合:
一般式(1)の1級アミノ基含有ポリエーテル化合物 5〜60質量%
有機カルボン酸 0.5〜10質量%
塩基性化合物 0〜20質量%
防錆剤 0.5〜5 質量%
酸化防止剤 0〜1 質量%
水 バランス
なお、必要に応じてこれらをさらに水で10〜100倍に希釈して用いることもできる。
【0041】
水系塑性加工油の場合:
一般式(1)の1級アミノ基含有ポリエーテル化合物 1〜60質量%
有機カルボン酸 0.1〜10質量%
塩基性化合物 0〜30質量%
固体潤滑剤 0〜15質量%
水性樹脂 0〜15質量%
防錆剤 0.5〜5 質量%
酸化防止剤 0〜1 質量%
水 バランス
なお、必要に応じてこれらをさらに水で10〜100倍に希釈して用いることもできる。水性樹脂は、被加工物の表面に潤滑性被膜を形成してから塑性加工を行なう加工方法において、被膜形成成分として配合される成分である。
【0042】
水系ラップ液の場合:
一般式(1)の1級アミノ基含有ポリエーテル化合物 5〜50質量%
有機カルボン酸 1〜5 質量%
界面活性剤 1〜30質量%
塩基性化合物 0〜2 質量%
防錆剤 0〜1 質量%
酸化防止剤 0〜1 質量%
水 バランス
なお、この水系ラップ液を、通常、水で10〜100倍に希釈したものに砥粒を分散させたものが、水系ラップ剤として研磨加工や切断加工に用いられる。水系ラップ剤中の砥粒の含有量は、通常、1〜20質量%程度である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、「部」及び「%」は特に記載がない限り質量基準である。又、試料の調製及び評価には、脱イオン水を用いた。
【0044】
合成例:ポリエーテル化合物1
窒素ガス導入管、分水器及び撹拌装置を備えた5リットルオートクレーブにジエチルトリアミン52g(0.5モル)、メチルイソブチルケトン200g(2.0モル)を仕込み140℃、常圧で8時間反応させた。反応中に流出した水は窒素ガスを吹き込みながら分水器で随時除去した。反応終了後、過剰のメチルイソブチルケトンを100℃、減圧下で留去した。次いで、触媒として水酸化カリウム4.3gを仕込み、エチレンオキサイド748g(17モル)とプロピレンオキサイド2262g(39モル)の混合物を温度130℃、圧力10kg/cm2で付加させた。反応終了後触媒を除去し、水を60g添加し、110℃で4時間加水分解を行ない、遊離したメチルイソブチルケトンを除去した後、減圧下で過剰の水分を除去し、両末端に1級アミノ基を有し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドをランダムに付加した構造の、分子量約6000のポリエーテル化合物1を得た。なお、同様にして、原料のアミン化合物の種類、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(又はブチレンオキサイド)の量と比率を種々変えて、ポリエーテル化合物2〜8を得た。また、比較対照用のポリエーテル化合物として、アミン化合物に代えて種々の多価アルコールを用いて、同様にしてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加してポリエーテル化合物9〜14を、また、別法によりポリエーテル化合物15を得た。なお、分子量は水酸基値より求めた数平均分子量である。
ポリエーテル化合物1〜8の内容を表1に、ポリエーテル化合物9〜15の内容を表2にそれぞれ示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
なお、表1及び表2中のPO/EOの値はプロピレンオキサイドとチレンオキサイドの質量比であり、表1中のBO/EOの値はブチレンオキサイドとエチレンオキサイドの質量比である。
【0048】
<潤滑油試験>
ポリエーテル化合物1〜8を用いて表3に示す種々の組成の本発明の水系潤滑剤を調製した。同様にポリエーテル化合物9〜15を用いて表4に示す種々の組成の比較品の水系潤滑剤を調製した。なお、ポリエーテル化合物9〜14の水溶液にカプリン酸を添加した場合、カプリン酸が溶解しないため、トリエタノールアミンを添加した。
これらの種々の水系潤滑剤組成物について、その潤滑性を評価するため、下記の試験機器及び条件にしたがって摩擦係数及び防錆性を測定した。結果を表3及び表4に示す。
【0049】
摩擦係数試験:
試験機器:曽田式振子型摩擦試験機N II型(神鋼造機社製)
全荷重 :0.5kg
測定温度:40℃
【0050】
防錆性試験:
各水系潤滑剤組成物を水で20倍、30倍、40倍及び50倍に希釈し、この希釈液を試験液とする。ろ紙を敷いた直径5cmのシャーレに鋳鉄(FC250)の乾式切削切屑約7gを入れ、試験液の約2mlをろ紙上に注ぎ、シャーレの蓋をして、25℃で4時間静置する。この後、ろ紙上の錆の有無により以下の基準で判定した。
A:50倍希釈液で錆が見られない。
B:40倍希釈液では錆が見られないが、50倍希釈液で錆が見られる。
C:30倍希釈液では錆が見られないが、40倍希釈液で錆が見られる。
D:20倍希釈液では錆が見られないが、30倍希釈液で錆が見られる。
E:20倍希釈液で錆が見られる。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
<作動油としての評価>
ポリエーテル化合物1〜3及び9〜11を用いて、表5に示す配合組成の本発明品及び比較品の種々の作動油を調製した。これらの作動油について、以下の試験条件及び評価方法によって、水−グリコール系作動油としての評価を行なった。
【0054】
試験条件:
試験機 :ベーンポンプ(ベッカーズ社製、V−104C)
回転数 :1,200rpm
吐出圧力:140kg/cm2
ポンプ入口温度:50℃
運転時間:1,000時間
評価方法:
スラッジの付着:試験終了後のベーン及びカムリングへのスラッジの付着状況を下記の基準にて判定した。
○:スラッジの付着がない、又はほとんどない。
△:スラッジがやや付着している。
×:スラッジが多い。
摩耗量:試験前及び終了後のベーン及びカムリングの重量を測定し、その減少量の合計を摩耗量とした。
これらの測定結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
<切削油としての評価>
ポリエーテル化合物4〜8、9、13〜15を用いて、表6に示す配合組成の本発明品及び比較品の種々の切削油を調製した。これらの切削油について、以下の試験条件及び評価方法にて、水系切削油としての評価を行なった。
【0057】
潤滑性試験条件(ASTM D2670準拠):
試験機 :ファレックス型摩擦試験機
ピン(試験片)の材質 :AISI 3135
ブロック(試験片)の材質:AISI C−1137
回転数 :290rpm
荷 重 :600lb(272kg)
評価方法:
試験前及び終了後のピンの重量変化からの摩耗量を算出した。
これらの測定結果を表6に示す。
【0058】
防錆性試験:
各切削油を水道水で10倍に希釈し、この希釈液を試験液とする。ろ紙を敷いた直径5cmのシャーレに鋳鉄(FC250)の乾式切削切屑約7gを入れ、試験液約2mlをろ紙上に注ぎ、シャーレの蓋をして25℃で24時間静置する。この後、ろ紙上の錆の有無により以下の基準で判定した。
○:錆が見られない。
△:わずかに錆が見られる。
×:明らかに錆が見られる。
これらの結果を表7に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
<ラップ剤としての評価>
ポリエーテル化合物5〜7、9、13及び14を用いて、表8に示す配合組成の本発明品及び比較品の種々の配合組成物を調製し、この配合組成物100mlを共栓付き100mlメスシリンダーに取り、アルミナ砥粒(フジミインコーポレーテッドFO#1200)を20g加え、この共栓付きメスシリンダーを100回、上下に振盪してアルミナ砥粒を分散、懸濁させて本発明品及び比較品の種々のラップ剤を調製した。なお、後述するように、振盪してアルミナ砥粒を分散、懸濁させたラップ剤は、引き続き砥粒分散性試験に用いた。ラップ液を調製し、これらのラップ液について、以下の試験条件及び評価方法にて、ラップ剤としての評価を行なった。
【0062】
砥粒分散性試験:
アルミナ砥粒を加え、振盪してアルミナ砥粒を分散、懸濁させた直後の本発明品及び比較品の種々のラップ剤が入ったメスシリンダーを静置し、沈降固相が最高高さに達するまでの時間により砥粒分散性を評価した。なお、砥粒分散性の評価判定は、以下の基準にて行った。
◎:静置後60分を超えても完全に沈降しない。
○:静置後41〜60分で沈降した。
△:静置後21〜40分で沈降した。
×:静置後20分以内で沈降した。
【0063】
研磨試験:
各ラップ剤についてそれぞれ直径102mmのシリコンウエハ約200枚の研磨加工を行ない、研磨後のシリコンウエハについて、擦り傷、割れ、ウエハ表面の微小なクラックの発生率(%)を求めた。これらの結果を表9に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
<水系塑性加工油(圧延加工)としての評価>
ポリエーテル化合物4〜8、9、13〜15を用いて、表10に示す配合組成の本発明品及び比較品の種々の水性塑性加工油を調製した。これらの水性塑性加工油について、以下の試験条件及び評価方法にて、ロール圧延用塑性加工油としての評価を行なった。
使用機器:横型4段式圧延機(ツインドライブ)
ワークロール:径×幅 100mm×300mm
表面粗さ Ra=0.01μm
バックアップロール:径×幅 200mm×300mm
表面粗さ Ra=0.01μm
被圧延材:材質SPCC−SB(JIS G3141冷間圧延鋼板)
光沢度(Gs45°)700
厚さ×幅×長さ 1.0mm×40mm×800m
加工条件:圧延速度 200m/分
圧下率 30%
塑性加工油:温度50℃
流量6リットル/分、圧力5kgf/cm2で圧力機の入口よりロール及 び鋼板に直接供給した。
塑性加工油の潤滑性試験は、以下の条件で行なった。
潤滑性評価:1コイル(800m)圧延した時の焼付きキズの有無と表面光沢度(Gs 45°)により以下の基準で評価した。なお、表面光沢度はJIS Z8 741(鏡面光沢度−測定方法)に準拠して測定した。
・焼付き性の評価
○:焼付きキズが全く見られない。
×:焼付きキズが見られる。
・表面光沢度
◎:表面光沢度(Gs45°)が800以上
○:表面光沢度(Gs45°)が700以上800未満
×:表面光沢度(Gs45°)が700未満
【0067】
【表10】
【0068】
【表11】
【0069】
【発明の効果】
本発明の水系潤滑剤は、潤滑性及び防錆性が高く、砥粒の分散性も良好な水系潤滑剤として有用な1級アミノ基含有ポリエーテル化合物を提供したことにある。
Claims (7)
- 一般式(1)で表わされる1級アミノ基含有ポリエーテル化合物が、下記の一般式(2)
で表わされるアミン化合物の1級アミノ基をケトン化合物でイミノ基として保護してから2級アミノ基にアルキレンオキシドを反応させて、イミノ基含有ポリエーテル化合物とし、その後ケトン化合物を外して得られた化合物である、請求項1記載の水系潤滑剤。 - 更に、有機カルボン酸を含有する、請求項1または2記載の水系潤滑剤。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載の水系潤滑剤を含有することを特徴とする水系難燃性作動油。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載の水系潤滑剤を含有することを特徴とする水系金属加工油剤。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載の水系潤滑剤を含有することを特徴とする水系ラップ液。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載の水系潤滑剤を含有することを特徴とする水系ラップ剤。
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