JP2006273627A - 多結晶シリコンインゴットの鋳造方法 - Google Patents

多結晶シリコンインゴットの鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物濃度の高い領域は凝固点が低下し、周囲の凝固進行に取り残されて固液界面の凹型界面の内部へ不純物が偏析され、不純物濃度が著しく高くなっているため、凝固後の冷却の際に不純物濃度が過飽和となり異物として析出する問題があった。
【解決手段】一部が開放した鋳型内部にシリコン融液を保持しつつ凝固させる凝固工程を備えた多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、前記凝固工程において、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に太陽電池用多結晶シリコンを鋳造するのに適した多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に関する。
従来から太陽電池を形成するための半導体基板の一種として多結晶シリコンが用いられている。このような多結晶シリコンは、通常、黒鉛製の容器の内表面に離型材を形成した鋳型内に、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を注湯して凝固させることによって形成したり、鋳型内に入れたシリコン原料を一旦溶解した後、再び凝固させたりすることによって形成している。離型材としては、一般に、窒化珪素等の粉末を、適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、これを容器の内壁に塗布若しくはスプレー等の手段でコーティングすることが公知の技術として知られている。(例えば、非特許文献1参照)。
ところが、窒化珪素を黒鉛製鋳型の内表面に上記手段で塗布しシリコンを鋳造する場合、このような方法によって形成される窒化珪素膜は脆弱であることから、シリコン融液の凝固の際に、シリコン融液中へコーティング層の元素が溶出したり、コーティング層の破片が混入し溶解したりするため、シリコンインゴット中にコーティング層構成元素を起源とした異物が析出する場合が多い。このようなシリコンインゴット中の異物は、太陽電池特性を低下させるばかりでなく、析出してインゴットを切断・スライスする際に加工不良を生む原因となる場合が多い。
これを防止するため、コーティング層の強化が必要であるが、窒化珪素等の粉末を、適当なバインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとし、これを容器の内壁に塗布若しくはスプレー等の手段でコーティングする方法で形成されるコーティング層の強化には限界がある。したがって、凝固工程そのものへの対策も講じられている。たとえば、シリコン融液とコーティング層との物理的な接触を抑制する目的で行なわれる鋳型回転速度の低減がもっとも簡単な方法である。
鋳型を回転させながら固化させる目的は、装置内の温度バラツキを鋳型回転によって打ち消し、装置内温度バラツキに起因するインゴット中の温度分布不均一性を解消することにある。インゴット中の温度分布が不均一である場合、凝固過程において、インゴット内で冷却速度の違いに起因した熱応力が発生しインゴット中への転位導入を促進する結果、電気的品質に影響を及ぼしてしまう。鋳型回転の最初の段階では、鋳型内面に塗布したコーティング層とシリコン融液の間の摩擦力が駆動力となってコーティング層と接した部分のシリコン融液の回転運動が始まる。しかしシリコン融液中央側では鋳型の回転力が伝わっていないために回転速度が非常に小さい状態となっている。しばらく鋳型回転が継続されると、シリコン融液の粘性によってシリコン融液全体が鋳型と同じ回転速度を持つようになる結果、鋳型は回転しているが、見掛け上、鋳型とシリコン融液の回転速度が完全に同期し、鋳型内のシリコン融液は停止しているかのように見える。しかしながら、この状態を保つための駆動力は、前述の鋳型内面に塗布したコーティング層とシリコン融液の間の摩擦力であるから、鋳型の回転中は常にコーティング層に負荷が掛かった状態を維持していることになる。これは、コーティング層を物理的に破壊する確率を上げてしまうため、現実的には、装置内の温度バラツキを解消できる最低限の回転速度を付与する方法が一般的である。
15TH PHOTOVOLTAIC SPESIALISTS CONF. (1981), P576-P580, "A NEW DIRECTIONAL SOLIDIFICATION TECHNIQUEFOR POLYCRYSTALLINE SOLAR GRADE SILICON"
シリコン融液を鋳型内に充填した後、鋳型底部から上方に向かって一方向凝固させるような鋳造条件では、一般的に、溶質濃度の低い部分で且つ十分な過冷却が存在する場所に晶芽が生成し熱流の方向と平行な方向に突起状に成長する。立方格子型の結晶は(シリコンは体心立方格子に近いダイヤモンド型)、八面体の外形を呈して晶出をはじめる。結晶表面全面に渡って溶質の分布が均一であるなら、結晶は八面体の外形を保ち続けることが可能であるが、4つの{111}面からなるピラミッドにあっては、先端部分が最も偏析が少ない。従って、溶質濃度が最も低いため、この先端部分が優先的に成長し、デンドライトの主幹を形成する({100}面が<111>方向に成長)ようになる。次に偏析が少ないのはピラミッドの稜の部分であり、主幹から1次の枝として成長する。
このように、固液界面前面での不純物濃度分布が固液界面形状形成に大きな影響を及ぼす。また、不純物濃度の高い領域は凝固点が低下しているため(凝固点降下)、周囲の凝固進行に取り残される結果、取り残された凹型界面の内部へ不純物が偏析され、このような場所ではますます不純物の濃化が進むようになる。このような場所では不純物濃度が著しく高くなっているため、その後の冷却の際に不純物濃度が過飽和となり異物として析出してくるようになる。鋳型回転を低減させた場合には、シリコン融液の攪拌効果が著しく薄れてしまう結果、不純物濃化がさらに促進されるようになり、異物析出量が飛躍的に増大してしまう。
上記のような事情により、コーティング層の混入を防ぐ目的で最低限の回転速度を付与しながら凝固を行なう条件では、シリコン融液内の回転速度が低下する結果、融液内の攪拌効果が薄れ、コーティング層からの直接的な異物混入は防ぐことができるものの、融液内に溶け込んだ不純物が濃化した領域を形成する結果、逆にインゴット内に大量の異物発生を招いてしまうという問題があった。
上記目的を達成するために、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、一部が開放した鋳型内部にシリコン融液を保持しつつ凝固させる凝固工程を備えた多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、前記凝固工程において、前記シリコン融液の表面温度がこのシリコン融液の高さの半分の位置における側面融液温度よりも50℃以上高い状態を保ちつつ、このシリコン融液を凝固させるようにした。これにより、融液内の自然対流を促進し、凝固過程における不純物の局部濃化を抑制して不純物析出あるいは異常結晶成長のない凝固を行なうことが可能となる。
本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、前記凝固工程において、前記鋳型の上方から鋳型上部加熱手段によって、前記シリコン融液の表面を加熱するとともに、前記シリコン融液の表面積Swと、前記鋳型上部加熱手段のうち、融液表面側を直接加熱する有効加熱面積Saとが、0.3Sw≦Sa≦1.5Swの式を満たすようにした。このようにすれば、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上に保つことが容易となる。
本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、前記凝固工程において、前記鋳型の上方から鋳型上部加熱手段によって、前記シリコン融液の表面を加熱するとともに、前記シリコン融液の表面積Swと、前記シリコン融液表面と前記鋳型上部加熱手段の下面との距離hとが、0.1√Sw≦h≦1.5√Swの式を満たすようにした。シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上に保つことがさらに容易となる。
このような本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法によって作製した多結晶シリコンインゴットは、析出異物量が著しく少ないシリコンインゴットとなり、さらに融液表面温度と鋳型の間に効果的に温度勾配を設けているので、一方向凝固性に優れた高品質なものとなる。また、この多結晶シリコンインゴットから初期凝固層を除去した部分をスライスして得られる多結晶シリコン基板を用いて構成した太陽電池素子は、良好な電気的な特性を有するものとなる。
以上説明したように、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法は、一部が開放した鋳型内部にシリコン融液を保持しつつ凝固させる凝固工程を備えた多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、前記凝固工程において、前記シリコン融液の表面温度がこのシリコン融液の高さの半分の位置における側面融液温度よりも50℃以上高い状態を保ちつつ、このシリコン融液を凝固させるようにした。これにより、融液内の自然対流を促進し、凝固過程における不純物の局部濃化を抑制して不純物析出あるいは異常結晶成長のない凝固を行なうことが可能となるので、析出異物量が著しく少ないシリコンインゴットとなり、さらに融液表面温度と鋳型の間に効果的に温度勾配を設けているので、一方向凝固性に優れた高品質なものとなる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下に示す図は、本発明の一例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
図5は、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に用いられる鋳造装置の縦断面図である。図中、1は鋳型上部加熱手段、2は鋳型、4はシリコン融液、5a、5bは坩堝加熱手段、6は溶融坩堝、7は保持坩堝、8は出湯口を塞ぐシリコン原料、9は注湯管、11は融液高さの半分の位置における側面融液温度を測定するために設置された鋳型側面中央高さ部測温用熱電対を示す。
溶融坩堝6は、投入されたシリコン原料を内部に保持して加熱溶解してシリコン融液を鋳型2に注湯するものである。なお、溶融坩堝6で溶解されて鋳型2に注湯されたシリコン融液が冷却・凝固した多結晶シリコンインゴットは、例えば太陽電池用の多結晶シリコン基板材料等に用いられる。
溶融坩堝6は通常、高純度の石英等が用いられるが、シリコン原料の融解温度以上の温度において、融解、蒸発、軟化、変形、分解等を生じにくく、かつ太陽電池素子用基板として用いる場合、太陽電池特性を落とさない純度であれば特に限定されない。また、溶融坩堝6は高温になると軟化して、形を保てないために、グラファイト等からなる保持坩堝7で保持される。また、溶融坩堝6、保持坩堝7の寸法は、一度に溶解する溶解量に応じたシリコン原料を内包できる寸法とする。シリコン原料の溶解量は、およそ1kgから250kgの範囲である。
溶融坩堝6、保持坩堝7の周囲には坩堝加熱手段5a、5bが配置されている。これらの坩堝加熱手段によって、溶融坩堝6内部のシリコン原料を加熱溶融して、シリコン融液4とする。なお、これらの坩堝加熱手段としては、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイル等を用いることができる。
別の形式の溶解注湯例を図6に示す。溶融坩堝6の上縁部にはシリコン融液4を注湯させる傾動式注湯口10が設けられており、シリコン原料を溶解し、完全に融液となった後に坩堝を傾けて溶融坩堝6の上縁部にある傾動式注湯口10から下部に設置してある鋳型2にシリコン融液4が注湯される。また、溶融坩堝6の本体の形状は、特に図に限定されるものではない。
鋳造装置における凝固部の概略断面図を図1に示す。上記の溶融坩堝6、保持坩堝7の下部に配置される鋳型2は、一部、例えば上方に向かって開放した開放部を有し、出湯したシリコン融液をこの開放部によって受けるとともに、その内部においてこのシリコン融液を保持しつつ、下方から上方へ向けて一方向凝固させる役割を有する。この鋳型2の材質としては、例えば黒鉛などのカーボン材や石英等から成る。
また鋳型2の内表面部には離型材(不図示)を設けておくことが望ましい。この離型材は、例えば、窒化珪素(Si4)、酸化珪素(SiO)、炭化珪素(SiC)などの各粉体、又は混合粉を有機バインダーと溶剤とから構成される溶液中に混ぜ合わせて鋳型2の内面に塗布することによって形成することができる。このような各粉体又は混合粉を水溶液に混合してスラリー状とすれば、へら、刷毛、ディスペンサー等で塗布しやすくなるので好ましい。このような離型材を設けることによって、シリコン融液が凝固した後に鋳型2の内壁とシリコンインゴットとが融着することがなくシリコンインゴットを取り出すことができる。
鋳型2の周りには、鋳型側面からの抜熱を抑制するため鋳型断熱材3が設置される。鋳型断熱材3は耐熱性、断熱性等を考慮してカーボンフェルト等の材質が一般的に用いられる。また、鋳型2の下方には注湯されたシリコン融液を下方から抜熱して冷却・固化するための金属板等から成る冷却板(不図示)を設置しても良い。さらに、鋳型2を上方から加熱可能な、カーボンヒーター等から成る鋳型上部加熱手段1を配置し、これによって鋳型2に出湯したシリコン融液の表面を制御加熱し、下方から上方に向けた温度勾配をより正確に制御することができる。
なお、これらの鋳造装置は、真空容器(不図示)内に配置し、不活性ガス等の還元雰囲気下で行なうようにすることが、不純物の混入や酸化を防ぐ点で望ましい。
次に、上述した図5に示す鋳造装置を用いて、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法を実施する方法について説明する。
本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に係る注湯工程は、一部が開放した鋳型2に対して、その開放部から、シリコン原料を溶融させたシリコン融液を注ぎ込むものであり、以下のような手順で行なう。
[注湯工程]
(1)溶融坩堝6内に所定量のシリコン原料を投入する。
(2)坩堝加熱手段5a、5bによって、溶融坩堝6内部のシリコン原料を上方から加熱溶融して、シリコン融液とする。
(3)溶融坩堝6内部のシリコン原料が上方から溶解し溶融坩堝底部に設置されたシリコン原料8が溶解した瞬間に注湯口9より鋳型2内にシリコン融液が注湯される。
そして、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に係る凝固工程は、上述の注湯工程の後に行われ、鋳型2に注ぎ込んだシリコン融液4を内部に保持しつつ凝固させるものであり、以下のような手順で行なう。
[凝固工程]
(4)シリコン融液を鋳型2の内部に保持しつつ一方向凝固させ、多結晶シリコンインゴットを形成する。このとき、鋳型2の下方に配された冷却板や、鋳型2を上方から加熱する鋳型上部加熱手段1によって、鋳型2に対して下方から上方に向けて所定の温度勾配を付与しながら行なう。この時に、シリコン融液の表面温度は、例えば、放射温度計で測定するとともに、熱電対11によって、融液高さの半分の位置における側面融液温度を測定し、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の高さの位置の側面融液温度との温度差が50℃以上になるように上方からの加熱状態と下方からの冷却状態を調整する。
以上のようにして、多結晶シリコンインゴットの鋳造を行なえば、融液内の自然対流を促進し、凝固過程における不純物の局部濃化を抑制して不純物析出あるいは異常結晶成長の少ない凝固を行なうことが可能となる。しかしながら、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差が50℃未満の場合には、融液表面とシリコン融液内に自然対流の駆動力が生じにくく、効果的な対流が生じないため、発明の効果が薄い。
次に、図2、図3を用いて本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法のさらに好ましい実施態様について説明する。
上述したように、発明者は、シリコン融液内に所定の温度差を与えることによって、外部からの機械的な駆動力を付与することなく、シリコン融液内に自然対流を生じさせ得ることに着目し、鋭意研究の結果、鋳型上部加熱手段と融液表面幅との関係及び鋳型上部加熱手段下面とシリコン融液表面との間の距離を最適化し、簡単な幾何学的条件によって、シリコン融液内に不純物の濃化領域を生じさせない効果的な対流を起すことに成功した。具体的には以下に示すような条件で鋳造することが望ましい。
図2(a)は融液表面積Swに対し鋳型上部加熱手段有効面積Saが小さい場合、図2(b)は融液表面積Swに対し鋳型上部加熱手段有効面積Saが大きい場合、図3(a)は融液表面積Swと鋳型上部加熱手段有効面積Saが同じであるが、鋳型上部加熱手段下面と融液表面との間の距離hが融液表面積の平方根√Swより小さい場合、図3(b)は融液表面積Swと鋳型上部加熱手段有効面積Saが同じであるが、鋳型上部加熱手段下面と融液表面との間の距離hが融液表面積の平方根√Swより大きい場合を示す。
発明者は、上述のような条件で作製したインゴットから切出したシリコン基板表面に析出する異物数をカウントし詳細に検討した結果、まず、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差が50℃以上である場合に限りインゴット内部に析出する異物数が極端に減少することを見出し、本発明に到達した。
さらに、これらの温度条件を実現するには、融液表面積Swと鋳型上部加熱手段の内、融液表面側の加熱面積Saの関係が0.3Sw≦Sa≦1.5Swの範囲内とすることが効果的であることを見出した。Saが0.3Sw未満の場合には、鋳型上部加熱手段の加熱面積が小さ過ぎて融液表面全面を均一に加熱することができず、逆に1.5Swを超える大きさになると鋳型側面を加熱し過ぎる結果、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上に保つことが困難となる。
また、鋳型内にあるシリコン融液表面と鋳型上部加熱手段下面との距離hと融液表面積の平方根√Swの関係が0.1√Sw≦h≦1.5√Swの範囲内にすることが効果的であることを見出した。hが0.1√Sw未満の場合にはシリコン融液表面と鋳型上部加熱手段の距離が短すぎるため、シリコン融液表面から発生する一酸化珪素等の蒸発ガス除去のために融液表面に向けて吹き込んでいるアルゴンの排気経路を充分に確保できない結果、シリコン融液表面上で一酸化珪素、一酸化炭素等のガスが滞留し、シリコン融液表面から混入するようになるために好ましくない。一方、hが1.5√Swより大きくなると、鋳型上部加熱手段とシリコン融液との距離が長すぎるためにシリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上に保つことが困難になる。
なお、本発明の効果は、例えば、多結晶シリコンインゴットを凝固方向に対して略直交する方向にスライスして得られる基板に存在する直径φ10μm以上の異物を肉眼もしくは実体顕微鏡等を用いて全数カウントしその数で評価可能である。
以上説明したように、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法によれば、融液内の自然対流を促進し、凝固過程における不純物の局部濃化を抑制して不純物析出あるいは異常結晶成長の少ない凝固を行なうことが可能となるので、析出異物量が著しく少ないシリコンインゴットとなり、さらに融液表面温度と鋳型の間に効果的に温度勾配を設けているので、一方向凝固性に優れた高品質なものとなる。また、本発明の鋳造方法によって形成された多結晶シリコンインゴットから初期凝固層を除去した部分をスライスして得られる多結晶シリコン基板は高品質なものとなる。さらに、このような高品質な多結晶シリコン基板を用いて形成される太陽電池素子は良好な電気的な特性を有するものとなる。
本発明の理論的な背景を理解するために、本発明に係る状況をモデル化し非定常熱伝導・熱対流シミュレーションを行なった結果を図4に示す。
Sa=Sw、h=0.3√Sw、ΔT=60℃の場合の鋳型内シリコン温度分布のベクトル図を図4(a)に、Sa=Sw、h=1.7√Sw、ΔT=20℃の場合の鋳型内シリコン温度分布を図4(b)に示す。また、各々の場合における融液の対流速度分布を図4(c)、図4(d)に示す。図4(b)は鋳型上部加熱手段が鋳型から上部方向へ離れているためにシリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差が20℃と小さい結果、図中左側中央高さ付近に対流速度が極端に小さくなる領域(図中○部分)が発生しているのに対し、鋳型上部加熱手段を鋳型に近づけた(h=0.3√Sw)図4(a)の場合にはそのような領域が見出せない。これは、高温の融液表面分子が低温の鋳型側面温度に接触することによって急速に温度が低下した結果、温度の高い部分から周囲の低温部へ向かって表面張力の差により流れが発生し、表面高温部の体積減少を補償するために、下部から高温の流体が補給されたので、流れが継続的に生ずるようになったものと推測される。
以上のことから、外部からの機械的な駆動力を付与しなくても、シリコン融液表面温度と融液高さの半分の位置における側面融液温度差を50℃以上に保つことによって、融液内に不純物攪拌効果をもたらすような効果的な鉛直方向の対流を継続的に起すことが可能となるのである。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。
例えば、溶融坩堝から鋳型にシリコン融液を注湯する場合において、上記方法以外によって注湯しても構わない。例えば、鋳型上部加熱手段1は、図5に示す形態の場合は注湯経路確保のために中央部に貫通穴が必要であるが、図6に示す形態の場合にはこのような貫通穴は必要でないため、鋳型上部加熱手段は一体型で構わない。
また、シリコン融液を鋳型内に注湯せずに、鋳型内でシリコン原料を溶解し融液状態で保持した後に鋳型底面から一方向凝固させるような形態の場合にでも本発明は有効であり、鋳型上部加熱手段は図7のように変形させた形態でも構わない。
以下、上述で説明した図5に示す鋳造装置を用いて実施した本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法の実施例について説明する。
鋳型2としては、上方に開放した黒鉛製の鋳型を用いた。そして、石英からなる溶融坩堝6をグラファイトからなる保持坩堝7で保持し、溶融坩堝6内に100kgのシリコン原料を投入した。溶融坩堝6の周囲に坩堝加熱手段5a、5bを設け、加熱手段によって溶融坩堝6内のシリコン原料を溶解させた。
注湯に先立って、鋳型2の内表面温度を所定温度に保持した。溶融坩堝6内のシリコン融液の温度を上昇させ、溶融坩堝内のシリコン原料が完全に溶解した後に、溶融坩堝6の底部に開けた注湯口部分のシリコン原料8が溶解し、溶融坩堝6下部に配設された鋳型2内にシリコン融液を注湯した。
その後、鋳型2の下方に配された冷却板及び鋳型2を上方から加熱する鋳型上部加熱手段1によって、鋳型2に対して下方から上方に向けて温度勾配を付与するが、融液表面温度を放射温度計で、融液高さの半分の位置における側面融液温度を熱電対11で測定しながら、両者の温度差が50℃以上になるように保持しつつ一方向凝固させた。鋳造終了後に得られた多結晶シリコンインゴットを中央高さ方向に切断した後、高さ方向に垂直な方向にスライスして基板を作製した。
以上の方法によって得られた多結晶シリコン基板の異物量を計測した結果、実施例においては10μm以上の異物が0個/cmであったのに対し、従来例では、0.05個/cmであった。また、これらの基板を用いて、一般的なバルク型太陽電池素子を作製し、その特性として太陽電池変換効率を評価した。その結果、実施例においては、変換効率16.0%、従来例では15.6%であった。このように、実施例の本発明に係る多結晶シリコン基板を用いて形成した太陽電池素子は、従来例のものよりも良好な特性が得られたが、これは、本発明のシリコン鋳造方法により、シリコン融液内の自然対流が促進された結果、不純物の濃化領域が減少したためにシリコンインゴット内に捕捉される異物が無くなった結果、太陽電池変換効率を低下させる「異物部分でのリーク成分」が減少したためと推測する。以上のように実施例により本発明の効果を確認することができた。
本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に用いられる鋳型と鋳型上部加熱手段を説明する概略模式図である。 (a)、(b)は、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に係る鋳型と鋳型上部加熱手段との位置関係及び寸法を説明するための図である。 (a)、(b)は、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に係る鋳型と鋳型上部加熱手段との位置関係及び寸法を説明するための図である。 (a)〜(d)は、本発明の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に係る条件の数値解析結果を示すベクトル図である。 一般的な鋳造装置の一実施形態を示す図である。 一般的な鋳造装置の他の実施形態を示す図である。 (a)、(b)は本発明に係る鋳造装置の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 :鋳型上部加熱手段
2 :鋳型
3 :鋳型断熱材
4 :シリコン融液
5a :坩堝上部加熱手段
5b :坩堝側部加熱手段
6 :溶融坩堝
7 :保持坩堝
8 :注湯口を塞ぐシリコン原料
9 :注湯菅
10 :傾動式注湯口
11 :鋳型側面中央高さ部測温用熱電対
Sa :鋳型上部加熱手段の融液表面側の有効面積を、Sw :融液表面幅
h :鋳型上部加熱手段の下面と鋳型内のシリコン融液表面との間の距離

Claims (3)

  1. 一部が開放した鋳型内部にシリコン融液を保持しつつ凝固させる凝固工程を備えた多結晶シリコンインゴットの鋳造方法であって、
    前記凝固工程において、前記シリコン融液の表面温度がこのシリコン融液の高さの半分の位置における側面融液温度よりも50℃以上高い状態を保ちつつ、このシリコン融液を凝固させるようにした多結晶シリコンインゴットの鋳造方法。
  2. 前記凝固工程において、前記鋳型の上方から鋳型上部加熱手段によって、前記シリコン融液の表面を加熱するとともに、
    前記シリコン融液の表面積Swと、前記鋳型上部加熱手段のうち、融液表面側を直接加熱する有効加熱面積Saとが、次式を満たすようにした請求項1に記載の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法。
    0.3Sw≦Sa≦1.5Sw
  3. 前記凝固工程において、前記鋳型の上方から鋳型上部加熱手段によって、前記シリコン融液の表面を加熱するとともに、
    前記シリコン融液の表面積Swと、前記シリコン融液表面と前記鋳型上部加熱手段の下面との距離hとが、次式を満たすようにした請求項1に記載の多結晶シリコンインゴットの鋳造方法。
    0.1√Sw≦h≦1.5√Sw

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