JP4077712B2 - シリコンの鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコンの鋳造方法に関し、例えば太陽電池用半導体基板等の作製に用いられるシリコンの鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多結晶シリコン太陽電池などに用いられるシリコンウエハーは、シリコンを一方向凝固させて多結晶シリコン鋳塊を作り、これを200〜500μm程度の厚みにスライスすることにより製造されている。
【0003】
このシリコン鋳塊を作製するためのシリコン鋳造装置を図2に示す。
図2において、6は断熱壁、7は融解用ルツボ、8は保持用ルツボ、9は原料シリコン、10はルツボ側部の融解用加熱装置、11はルツボ上部の融解用加熱装置、12はシリコン融液を出湯するための出湯口、13はシリコン鋳塊、14は鋳型加熱装置、15は鋳型、16は冷却板である。
【0004】
鋳造装置の上部に原料シリコンを融解するための融解用ルツボ7が配置され、その外側に保持用ルツボ8が設けられる。融解用ルツボ7の内部には、原料シリコン9が入れられる。融解用ルツボ7と保持用ルツボ8の底部にはシリコン融液を出湯するための出湯口12が設けられている。融解用ルツボ7、保持用ルツボ8の側部と上部には融解用加熱装置10、11が配置されている。シリコン鋳造装置の下部には鋳型15が配置され、その下には冷却板16が設けられている。鋳型15の上部と側部には上記融解用ルツボ7から出湯されたシリコン融液の凝固を制御するための鋳型加熱装置14が配置される。
【0005】
融解用ルツボ7は耐熱性能とシリコン融液中に不純物が拡散しないこと等を考慮して例えば高純度の石英が用いられる。保持用ルツボ8は、石英等でできた融解用ルツボ7がシリコンの融解温度近傍の高温で軟化してその形状を保てないため、融解用ルツボ7を保持するためのものであり、その材質はグラファイト等が用いられる。融解用加熱装置10、11と鋳型加熱装置14は、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルが用いられる。鋳型15は材質がグラファイトや炭素繊維強化炭素材料などからなり、その内側に窒化珪素などを主成分とする離型材を塗布して用いられる。冷却板16はシリコン融液を冷却、凝固するためのものである。なお、融解用ルツボ7や鋳型15等はすべて真空容器(図示せず)内に配置される。
【0006】
このようなシリコン鋳造装置において、原料シリコン9を30kgから300kg程度、融解用ルツボ7の内部に入れて融解用加熱装置10、11により融解する。融解用ルツボ7内部ですべて融けたシリコンは出湯口12から出湯され、鋳型15の内部に注がれる。この注湯が終わったら融解用加熱装置10、11を切って冷却板16で鋳型15の底部を冷却しながら鋳型加熱装置14の出力を調整して一方向凝固させる。
【0007】
上述のような鋳造方法では、例えば数cmから10cm程度の径の大きい原料シリコンのみを使用した場合、シリコン原料同士の間に隙間が生じ、融解用ルツボ7の上部で融解してルツボ底部に流れてきたシリコン融液が出湯口12から漏れ出すということが発生していた。
【0008】
この漏れ出したシリコン融液は、冷えた鋳型15内に滴下して急速に凝固する。この急速に凝固したものは内部に気泡を多く含むとともに転位が大量に発生した非常に品質の悪いものとなる。特にシリコンが大量に漏れ出した場合、上述の急速凝固したものが本出湯時にも再融解することなく鋳塊内部に残って基板品質を大きく低下させるという問題があった。
【0009】
この対策として、従来は図3に示すように、ルツボ17の底部に出湯口23を有するノズル20を設け、さらにこのノズル20内の原料24を加熱するための第2の加熱手段22を設けていた。なお、図3において、17は融解用ルツボ、18は保持用ルツボ、19は原料融液、20はルツボ底部に設けられたノズル、21はルツボの形状を保持するためのグラファイトサセプターである。
【0010】
まず、融解用ルツボ17内のシリコン原料を融かし、その後第2の加熱手段22によりノズル20内のシリコン原料24を融かすことにより、融解用ルツボ17の上部で融解してルツボ底部に流れてきたシリコン融液が出湯口23から漏れ出すことを防いでいた。
【0011】
さらに、別の方法では原料シリコンの中から適当な大きさと形状の物を選んで融解用ルツボ17内の出湯口12の上において出湯口12に原料シリコンで栓をするようにしていた。
【0012】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0013】
【特許文献1】
特開平11−43318号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようなルツボ17の底部にノズル20を具備した鋳造装置においては、溶融ルツボ17とノズル20を一体化したものにする必要があり、このため溶融ルツボ17が非常に高額になり、かつ鋳造装置も第2の加熱手段22を設ける必要があり複雑で高額なものになってコストの上昇を招いていた。
【0015】
また、融解用ルツボ17内のシリコン原料をまず融かし、その後ノズル20内の原料を加熱して融かすため、鋳造時間が長くなるという問題もあった。
【0016】
また、原料シリコンの中から適当な大きさと形状の物を選んで融解用ルツボ17内の出湯口12の上の置いて出湯口12に原料シリコンで栓をする方法では、完全な栓をすることが難しく、どうしても融解用ルツボ7と原料シリコンの栓との間に隙間ができ、シリコン融液が出湯口12から漏れる。また、融解用ルツボ7の上部で最初に融解してルツボ底部に流れてきたシリコン融液が原料シリコンの栓を融かしてしまい、シリコン融液が出湯口12から漏れるということもあった。
【0017】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、構造が簡単でかつ本出湯前のシリコン融液の漏れ出しをなくして基板品質が低下することのないシリコンの鋳造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明のシリコンの鋳造方法では、シリコン原料をルツボ内で融解して底部に設けた開口部から出湯して下部に配置された鋳型で凝固させるシリコンの鋳造方法において、前記ルツボの底部側に平均粒径の小さいシリコン原料を入れるとともに、前記ルツボの上部側に平均粒径の大きいシリコン原料を入れて融解することを特徴とする。
【0019】
上記シリコンの鋳造方法では、前記平均粒径の小さいシリコン原料の平均粒径が850μm未満で総量の5〜50重量%であり、前記平均粒径の大きいシリコン原料の平均粒径が850μm以上で総量の95〜50重量%であることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づき説明する。
本発明に係る鋳造装置の全体構成は図2に示す鋳造装置と同じである。すなわち、鋳造装置の上部に原料シリコンを融解するための融解用ルツボ7が配置し、その外側に保持用ルツボ8が設ける。融解用ルツボ7の内部に原料シリコン9を入れる。融解用ルツボ7と保持用ルツボ8の底部にはシリコン融液を出湯するための出湯口12を設ける。融解用ルツボ7と保持用ルツボ8の側部と上部には融解用加熱装置10、11を設ける。シリコン鋳造装置の下部には鋳型15を配置し、その下には冷却板16を設ける。鋳型15の上部と側部には上記融解用ルツボ7から出湯されたシリコン融液の凝固を制御するための鋳型加熱装置14を配置する。
【0021】
図1は、本発明に係る原料シリコンの配置を示したシリコン融解用ルツボの断面図である。図1において、1は融解ルツボ、2は平均粒径の大きいシリコン原料、3は平均粒径の小さいシリコン原料、4は栓の働きをする原料シリコン、5は出湯口である。
【0022】
融解ルツボ1は、石英製で直径500〜700mm、高さ300〜500mmである。この融解ルツボ1の底部の中央には直径5〜10mm程度の出湯口5が設けられる。
【0023】
このような融解ルツボ1を上述の図2のようなシリコン鋳造装置にセットし、原料シリコンを入れていく。この融解ルツボ1内に原料シリコンを入れるに際して、まず出湯口5を塞ぐのに適当な大きさと形状の原料シリコンで出湯口5を塞ぐ。これは融解前に他の原料シリコンが出湯口5から落下するのを防ぐためである。
【0024】
次に、平均粒径の小さいシリコン原料約10kgを融解ルツボ1の底部に入れる。次に、平均粒径の大きいシリコン原料約60kgを平均粒径の小さいシリコン原料の上になるように入れる。
【0025】
この状態でシリコン鋳造装置内部を1から20KPa程度に減圧する。
【0026】
その後、融解用加熱装置10、11により1500℃近傍まで加熱して原料シリコンを融解する。まず上部の加熱装置11でルツボ1の上部から融解していく。すなわち、融解ルツボ1の上部側に入れた平均粒径の大きなシリコン原料が融け始め、融液は原料シリコンの隙間を通って下がってくるが、平均粒径の小さいシリコン原料のところで止まる。
【0027】
すなわち、平均粒径の大きいシリコン原料が全て融け、その後除々に平均粒径の小さいものが溶け出し、最後に栓用の原料シリコンが融けたときに、融解したシリコンは出湯口5から出湯されて鋳型の内部に注がれる。この注湯が終わったら融解用加熱装置10、11を切って冷却板16で鋳型15の底部を冷却しながら鋳型加熱装置14の出力を調整して一方向凝固させる。
【0028】
本発明者らは実験を重ねた結果、融解ルツボ1の底部側に入れる平均粒径の小さいシリコン原料の平均粒径が850μmを越すと出湯前に出湯口5から出てしまうことを見出した。
【0029】
さらに、この平均粒径850μm未満の原料シリコンの量は、融解ルツボ1に入れるシリコン原料総量の5重量%以上30重量%以下であることが望ましいことがわかった。5重量%未満であればシリコン融液が出湯する前に出湯口5から出てしまい、また50重量%を越すと不純物が多くなってでき上がった基板の品質が悪くなるためである。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るシリコンの鋳造方法によれば、ルツボの底部側に平均粒径の小さいシリコン原料を入れるとともに、前記ルツボの上部側に平均粒径の大きいシリコン原料を入れて融解することから、単純な構造の鋳造炉となり、かつ融解したシリコンの本出湯前の漏れ出しを防ぐことができ、でき上がったシリコンウエハーの品質を安定なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコンの鋳造方法を示す図である。
【図2】シリコン鋳塊を作製するためのシリコン鋳造装置の構造の例である。
【図3】従来のシリコンの鋳造方法を示す図である。
【符号の説明】
1・・・融解用ルツボ、2・・・平均粒径の大きいシリコン原料、3・・・平均粒径の小さいシリコン原料、4・・・栓の働きをする原料シリコン、5・・・出湯口
Claims (2)
- シリコン原料をルツボ内で融解して底部に設けた開口部から出湯して下部に配置された鋳型で凝固させるシリコンの鋳造方法において、前記ルツボの底部側に平均粒径の小さいシリコン原料を入れるとともに、前記ルツボの上部側に平均粒径の大きいシリコン原料を入れて融解することを特徴とするシリコンの鋳造方法。
- 前記平均粒径の小さいシリコン原料の平均粒径が850μm未満で総量の5〜50重量%であり、前記平均粒径の大きいシリコン原料の平均粒径が850μm以上で総量の95〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のシリコンの鋳造方法。
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