JP6401051B2 - 多結晶シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents

多結晶シリコンインゴットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば太陽電池用基板の製造に適した多結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
例えば、結晶系シリコン太陽電池には、単結晶型と多結晶型とがある。単結晶型のシリコン太陽電池は基板の品質が良いために高効率化が容易であるという長所を有する。これに対して、多結晶型のシリコン太陽電池は低コストで製造できるという長所がある。従って高品質な多結晶シリコン基板(以下、シリコン基板ともいう)を作製することによって、低コストで高効率な太陽電池が作製できる。
シリコン基板は、多結晶シリコンインゴット(以下、インゴットともいう)から作製される。このインゴットは、一般的にキャスト法(鋳造法)によって、離型材を塗布した鋳型内のシリコン融液を冷却し凝固させることによって製造される(例えば、下記の特許文献1を参照)。そして、インゴットの端部を除去し、所望の大きさ、形状に切断してブリックを作製し、さらにブリックを所望の厚みにスライスしてシリコン基板を得る。
ここで、インゴットの側部を、内部と比べて結晶粒径の小さい結晶とすることで、鋳造時にインゴットと接触している離型材、鋳型などから浸入する不純物の浸入を効果的に抑えることができる(例えば、下記の特許文献2を参照)。
特開平11−18711号公報 特開2007−15905号公報
鋳造時にインゴットの側部に結晶粒径の小さい層(以下、第1凝固層という)を形成するには、シリコン融液および鋳型の温度を制御して、鋳造初期にインゴットの側部を凝固させる必要がある。ところが、その際にシリコン融液の表面も凝固しやすい。シリコンは水と同様に、固体よりも液体の方が密度が大きい。このため、シリコン融液の表面で凝固した層(以下、第2凝固層という)は、氷のように融液表面に浮かぶ。
キャスト法によるインゴットの製造では、シリコン融液を鋳型の底部から上部へ向かう方向に一方向凝固させて、結晶粒界の方向を規定するとともに、偏析係数の小さな物質を最終凝固領域に集積させることが重要である。
従って、第2凝固層が形成されると一方向凝固が妨げられて、高品質なインゴットが得られにくい。
逆に第2凝固層が形成されないような製造条件では第1凝固層も形成されにくく、高品質なインゴットが得られにくい。
本発明は、上記課題を解決して、品質に優れた多結晶シリコンインゴットを容易に得るための製造方法を提供することを目的の1つとする。
本発明多結晶シリコンインゴットの製造方法は、底部および側部を有する鋳型を準備する鋳型準備工程と、シリコンからなる固体原料を加熱して溶融させたシリコン融液を前記鋳型内に設ける融液準備工程と、前記シリコン融液および前記鋳型の温度を制御して、前記シリコン融液と前記鋳型の前記側部との間に第1凝固層を、前記シリコン融液の液面部位に第2凝固層を、それぞれ形成する凝固層形成工程と、前記第1凝固層の少なくとも前記鋳型の前記底部から前記シリコン融液の半分以上の高さまでの範囲の凝固状態を維持しつつ、前記第2凝固層を前記鋳型の上方に位置させた鋳型上部加熱手段で加熱して溶融させる再溶融工程と、前記シリコン融液を下方から上方へ冷却して、前記シリコン融液を凝固させる凝固工程と、を有する。
上記の多結晶シリコンインゴットの製造方法によれば、離型材、鋳型などからの不純物の浸入を効果的に抑えることができる。これにより、シリコン融液および鋳型の温度を適切に制御できることから高品質な多結晶シリコンインゴットの製造が容易となる。
本発明に係る多結晶シリコンインゴットの鋳造方法に用いられる鋳造装置の一例の縦断面図である。 凝固層形成工程の様子を示す断面図である。 多結晶シリコンインゴットの略中央部を切断した断面を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態の例を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面はいずれも模式図であり、構成を簡略化して示している。また、各図における各種構造の形状、大きさおよび位置関係などは適宜変更し得る。
<多結晶シリコンインゴットの製造装置>
本実施形態のインゴットの製造装置(以下、鋳造装置という)について説明する。インゴットはキャスト法によって形成できる。キャスト法には、固体原料を同一の鋳型内で溶融させて凝固させる鋳型内溶解方式と、鋳型とは別の容器である坩堝を予め用意して、この坩堝内で溶融させた融液を鋳型に注いで凝固させる注湯方式とがある。注湯方式の場合は、鋳型内溶解方式に比べて、鋳型の温度等の制御と、融液の温度等の制御とを別々に行えることによって、簡便な装置を用いて鋳型および融液の制御を容易に行えるので好適である。以下、主に注湯方式の鋳造装置の例を説明する。
図1に示すように、鋳造装置Sは坩堝1および鋳型5を備えている。坩堝1は溶融坩堝1aおよび保持坩堝1bを有している。また、溶融坩堝1aの上部に注湯口2が設けられている。溶融坩堝1a内に投入されたシリコンからなる固体原料を加熱して溶融させて、シリコン融液4を作製する。このシリコン融液4は溶融坩堝1aの注湯口2から鋳型5内に注湯される。そして、鋳型5内に注湯されたシリコン融液4を冷却・凝固させて、図3に示すようなインゴット11を作製する。
以下に鋳造装置Sの具体的な構成について説明する。鋳造装置Sにはシリコンからなる固体原料を溶融するための溶解坩堝1aが配置されている。溶融坩堝1aは安定な材料からなる。ここで、安定な材料とは、固体原料の融解温度以上の温度においても、融解、蒸発、軟化、変形、分解などが生じにくいものであり、製造されるインゴットの特性に悪影響を与える物質が発生しない材料であればよい。溶融坩堝1aとして、例えば高純度の石英などが用いられる。ただし、この場合は溶融坩堝1aが高温になると軟化して、形を保てないので、グラファイトなどからなる保持坩堝1bで溶融坩堝1aが保持される。また、溶融坩堝1aおよび保持坩堝1bの寸法は、一度の鋳造で溶融する原料シリコンを内包
できる寸法とする。また、固体原料の溶融量は、例えば1〜250kg程度とする。
溶融坩堝1aおよび保持坩堝1bの周囲には加熱手段3が配置されている。加熱手段3によって、溶融坩堝1a内の固体原料を加熱溶融して、シリコン融液4とする。加熱手段3としては、例えば、抵抗加熱式のヒーターまたは誘導加熱式のコイルなどを用いることができる。
溶融坩堝1aの上部には、シリコン融液4を注湯させやすいように注湯口2が設けられている。注湯口2の位置は特に限定されない。ただし、図1に示すように溶融坩堝1aの上部に設けられた場合、固体原料を溶融し、完全にシリコン融液4となった後に溶融坩堝1aを傾けることによって、注湯口2から鋳型5内にシリコン融液4を注湯すればよい。
溶融坩堝1aおよび保持坩堝1bの下部に配置される鋳型5は、底部5a、側部5b、および上方に向かって開口した開口部5cを有する。鋳型5は注がれるシリコン融液4を開口部5cから受けるとともに、その内部においてこのシリコン融液4を保持しつつ、底部5aから上方へ向けて一方向凝固させる役割を有する。
鋳型5は、例えば黒鉛、炭素繊維強化炭素材料、石英またはセラミックス(シリカ、アルミナまたは窒化珪素等)などを用いることができる。また、鋳型5は1つの部材で構成されていてもよいし、1つの底部と複数の側部とを組み合わせた、分割および組み立てが可能な分割鋳型などで構成されてもよい。
また、鋳型5の内壁表面には、鋳型5と鋳型5内で固化したインゴットとが融着し、インゴットが破損しないように、離型材6が塗布されている。離型材6は以下のようにして鋳型5の内壁表面に設ける。まず、窒化珪素、炭化珪素もしくは酸化珪素などの粉末、またはそれら2種以上の混合粉末を、適当なバインダーと、溶剤(例えばポリビニルアルコール(PVA)と水)とに混合してスラリーにする。そして、このスラリーを鋳型5の内壁表面に塗布またはスプレーなどの手段でコーティングする。例えば、0.4〜0.6μm程度の平均粒径を有する窒化シリコンの粉体を濃度が5〜15質量%程度のPVA水溶液に混合してスラリー状として、これを鋳型5の内表面にコーティングする。その状態で鋳型5を自然乾燥またはホットプレートに載せて乾燥させて脱脂処理する。その後、鋳型5内に融液4を注湯、あるいは、鋳型5内に固体原料を投入して加熱溶融する。離型材6は、平均粒径などが異なる複数種類の粉体を混合したものであってもよい。
鋳型5の周りには、鋳型5の側部5bからの抜熱を抑制するために、断熱材(不図示)を設けてもよい。断熱材は耐熱性および断熱性などを考慮した材質のものが用いられる。断熱材としては、例えばグラファイトフェルトなど、主成分をカーボンとする材質が使用できる。
また、鋳型5の下方には鋳型5を固定するための鋳型台10を設け、さらにその下方に冷却板を有する冷却手段8を設置する。そして、鋳型5を固定した鋳型台10の下部に冷却手段8を接触または接近させることによって、鋳型5の底部5aから鋳型台10を通して抜熱し、シリコン融液4を下方から上方へ冷却する。つまり、鋳型5の底部5aから上方へ向かう方向にシリコン融液4を一方向凝固させる。冷却手段8は、例えばステンレスなどの熱伝導性のよい材質を用いることができ、冷却板の内部に水などの冷媒を循環させるなどの構造を有しているとよい。鋳型台10の材質としては、使用温度域で形状に大きな変形が無く、製造するインゴットの特性に悪影響を与える物質の発生が無い安定な材料であればよい。鋳型台10には、例えばセラミックス、石英、金属または黒鉛(グラファイト)などが使用できる。
鋳型5の上方には、カーボンヒーターなどから成る鋳型上部加熱手段9を配置している。これにより、鋳型5およびシリコン融液4を加熱して適切な温度に制御することで、図2に示す第1凝固層11aおよび第2凝固層11bを形成するとともに、シリコン融液4が下方から上方に向かって凝固するための温度勾配を形成することができる。
なお、これらの鋳造装置Sを構成する部材は、真空容器(不図示)内に配置し、不活性ガスなどの雰囲気下で行うようにすれば、不純物の混入、構成部材およびシリコン融液4の酸化などが生じにくくすることができるので望ましい。
<多結晶シリコンインゴットの製造方法>
次に、本実施形態のインゴットの製造方法について説明する。主な参照図面は図1および図2である。まず、製造方法の基本工程について説明する。本実施形態の製造方法は、鋳型準備工程、融液準備工程、凝固層形成工程、再溶融工程および凝固工程を有する。鋳型準備工程では、底部5aおよび側部5bを有する鋳型5を準備する。融液準備工程では、シリコンからなる固体原料を加熱して溶融させたシリコン融液4を鋳型5内に設ける。凝固層形成工程では、シリコン融液4および鋳型5の温度を制御して、シリコン融液4と鋳型5の側部5bとの間に第1凝固層11aを、シリコン融液4の液面部位に第2凝固層11bをそれぞれ形成する。再溶融工程では、第1凝固層11aの少なくとも鋳型5の底部5aからシリコン融液4の半分以上の高さまでの範囲の凝固状態を維持しつつ、第2凝固層11bを加熱して溶融させる。凝固工程では、シリコン融液4をその下方から上方へ冷却して、シリコン融液4を凝固させる。以下、各工程について詳述する。
[鋳型準備工程]
底部5aおよび側部5bを有する鋳型5を準備する。鋳型5の底部5aおよび側部5bの内壁は前述のように離型材6によってコーティングされている。
[融液準備工程]
溶融坩堝1a内に所定量のシリコンからなる固体原料を投入する。そして、固体原料を加熱手段3によって加熱し溶融させてシリコン融液4を作製する。同時に鋳型上部加熱手段9によって鋳型5を予め所定温度(予熱温度)に加熱しておく。鋳型5を予熱することによって、シリコン融液4を鋳型に注いだ時に、鋳型5の内壁面に被覆された離型材6がシリコン融液4との温度差により剥離損傷しにくくできる。これにより、シリコン融液4に剥離物が取り込まれにくくすることができるとともに、注ぎこまれたシリコン融液4が鋳型5内で急速に凝固しないようにできる。なお、鋳型5の予熱温度は、500℃〜1400℃であり、さらに好ましくは900℃〜1050℃である。
そして、坩堝1aの注湯口2から鋳型5内にシリコン融液4を注湯する。この注湯時のシリコン融液4の温度(注湯温度)は1430℃〜1580℃程度である。
[凝固層形成工程]
注湯されたシリコン融液4は、シリコンの融点よりも低い温度である鋳型5の内壁表面と接触したときに、熱が奪われて凝固し、鋳型5の内壁表面に沿って凝固する。
このとき前記融液準備工程において、予熱温度と注湯温度とを適切に制御する。これにより、鋳型5の側部5bの凝固層(第1凝固層11a)はシリコン融液4の上端まで急速に凝固するとともに、シリコン融液4の表面も融点以下に冷却されて、液面部位に第2凝固層11bが形成される。この時の様子を図2に示す。固体シリコンは上述のように液体シリコンよりも密度が小さいために、第2凝固層11bは融液表面に浮かぶ。この時に形成される第1凝固層11aの結晶粒径は10mm以下の微細な結晶粒となる。
凝固開始時のシリコン融液4および鋳型5の温度(注湯温度および予熱温度)が上記温度よりも低い場合でも、第1凝固層11aが形成されてシリコン融液4内に不純物の浸入を抑制することができる。ただし、凝固初期、すなわちインゴット11の底部に結晶欠陥の多い領域が形成されて、高品質なインゴット11を得ることが難しい。
一方、注湯温度および予熱温度が上記温度よりも高い場合は、所望の第1凝固層11aおよび第2凝固層11bが形成されず、高品質なインゴット11を得ることが難しい。
つまり、本実施形態の凝固層形成工程における注湯温度および予熱温度を適切に制御することによって、高品質なインゴット11を得ることができる。
[再溶融工程]
第1凝固層11aの少なくとも鋳型5の底部5aからシリコン融液4の半分以上の高さまでの範囲の凝固状態を維持しつつ、シリコン融液4の表面に形成された第2凝固層11bを鋳型上部加熱手段9で加熱することで再溶融させる。これにより、鋳型5内のシリコン融液4の表面温度をシリコンの融点よりも数℃から数十℃高い温度まで制御よく加熱できるとともに、第1凝固層11aの再溶融を低減することができる。
[凝固工程]
鋳型5内のシリコン融液4を下方から上方へ向かう方向に冷却し一方向凝固させて、インゴット11を形成する。このとき、鋳型5の下方に配された冷却板を有する冷却手段8、鋳型5を上方から加熱する鋳型加熱手段9などによって、鋳型5に対して下方から上方に向かって温度が低下する所定の温度勾配を付与しながら行う。
このように作製されたインゴット11は、図3に示すように、側面に平均粒径が10mm以下の第1凝固層11aが形成されている。第1凝固層11aはシリコン融液4と、鋳型5または離型材6との接触を低減して、シリコン融液4に鋳型5または離型材6起因の不純物が混入することを低減できる。同時に、結晶粒界に不純物をトラップすることによって、インゴット11と接触している鋳型5または離型材6から不純物の浸入を抑えることができる。また、結晶粒界によってインゴット11の側部からの転位の浸入を抑制することも期待できる。
また、本実施形態ではシリコン融液4の液面に第2凝固層11bを形成してから再溶融させることで、シリコン融液4の温度を好適に制御できる。このため、一旦形成された第1凝固層11aが再溶融しないようにして、インゴット11の高さの50%以上の高さに形成することができる。また、凝固開始時のシリコン融液4の温度を再現よく一定の温度範囲に収めることができるので、高品質なインゴット11を容易に製造することができる。
インゴット11の作製後は、インゴット11をさらに冷却して断熱材を設けた場合はこれを取り外す。そして、最後に鋳型5からインゴット11を取り出す。
<多結晶シリコンインゴット>
本実施形態で作製したインゴット11は、鋳型5の各部に対応する部位を有する。つまり、図3に示すように、インゴット11は、鋳型5の底部5aおよび側部5bに対応する部位を有する。インゴット11は、特に鋳型5の側部5bに対応する部位であって、底部から半分以上の高さhの範囲に、平均粒径が10mm以下、好ましくは3mm以下の第1凝固層11aを有する。
第1凝固層11aは、インゴット11の内部と比べて結晶粒径が小さく、ライフタイム
の平均値も内部と比較して2μsec以下と小さい。上述したように、第1凝固層11aの存在によって、インゴット11と接触している鋳型5および離型材6などからの不純物の浸入を効果的に抑えることができる。この結果、本実施形態に係るインゴットは、従来と比較して内部の不純物濃度が少ないインゴット11とすることができる。
本実施形態では、ライフタイムは例えばμPCD法(マイクロ波光導電率減衰法)などで測定されるライフタイム(τ)である。上記ライフタイムは、インゴット11の断面におけるライフタイムは、インゴットまたはブリックの略中心を通るように切断した縦断面において、SEMILAB社製WT−2000を用いて測定した。このとき、波長が1064nmの光源を照射して測定し、同一位置で8回測定した平均値を測定値とした。また、インゴット11の側面におけるライフタイムは、鋳造後のインゴット11の側面に付着している離型材6などを除去し、その後、側面に存在する凹凸を機械的研磨により平坦にした後、同様の方法で測定した。
また、平均粒径については、測定対象となる任意の位置において、任意の2点を結ぶ線を横切る粒界の数と上記2点間の距離(測定距離)とを測定した。そして、測定された粒界の数で測定距離を割った値を平均粒径とした。例えば30mm離した2点の間に、結晶粒界が10本観察された場合、平均粒径は3mmとなる。インゴットの各高さ位置における平均粒径は、図3に示されるように、インゴット11を縦に切断した際、インゴット11の底部からの各高さ位置(例えばインゴット11の底部から50%の高さの位置)における水平方向に位置する2点の間を横切る粒界の数を2点間の距離で割って平均粒径を求めた。
インゴット11の第1凝固層11aの厚みは、50mm以下であることが好ましい。第1凝固層11aは、数原子層でも存在していれば不純物の浸入を抑制することができる。第1初期凝固層11aは多結晶シリコンインゴット11を切断してブリックを製造する際に除去してもよい。 除去する厚みが薄い方が生産性およびコストの点から好ましいので
、第1凝固層の厚みは50mm以下であるとよい。
凝固工程において、シリコン融液4の外側に第1凝固層11aを有することにより、シリコン融液4が鋳型5および離型材6などに接触する時間を短縮できる。これにより、鋳型5および離型材6などからシリコン融液4に混入する不純物を低減できる。特に鋳型5または離型材6が窒素、炭素などを含む場合、インゴット11の凝固時に窒化シリコン、炭化シリコンなどの析出物が生成し、さらに析出物を起点として転位が生成することがある。このような転位は凝固の進行とともにインゴット11の上方へ引き継がれるとともに増殖し、転位密集部を形成することがある。
本実施形態では、シリコン融液4の外側に、鋳型5の底部5aからシリコン融液4の半分以上の高さ(図2のhの範囲)までの範囲に第1凝固層11aを残存させている。これにより、鋳型5および離型材6などに由来する不純物を低減できるのでインゴット11中の不純物、析出物、転位などの欠陥を低減して高品質なインゴット11が得られる。
図3において、第1凝固層11aの形成領域の高さは、上述したように、シリコン融液4および鋳型5の温度などの製造条件を制御することによって変化させることができる。ただし、第1凝固層11aの高さが90%以上の時は、シリコン融液4または鋳型5の温度が適温よりも低いことが考えられる。この場合、凝固初期にインゴット11の底部に結晶欠陥の多い領域が形成されて、高品質なインゴット11を得ることが難しい。
上記のようにインゴット11が適切な高さの第1凝固層11aを有することで高品質なインゴット11が作製できる。
インゴット11は、バンドソーなどで所定の形状と大きさのブリックに切断され、その後ワイヤーソーなどで所定の厚みにスライスする。これにより、ブリックからシリコン基板とすることができる。このシリコン基板は、上述の効果に加え、インゴット11の内部の不純物および異物が低減される。このため、切断・スライス加工において、不純物、異物を起因としたマイクロクラックおよび基板割れの発生、ワイヤー断線などのスライス不良を低減することができる。
このようなシリコン基板を使用して作成した太陽電池素子は、従来のシリコン基板よりも不純物濃度および転位密度が低減したシリコン基板を使用できる。このため、光の入射により発生した電子および正孔(光生成キャリア)の再結合が低減され、発電効率のよい太陽電池素子を提供できる。
上述したように、第1凝固層11aは一般的な凝固方法で得られるインゴット11の内部の結晶と比べて平均粒径が10mm以下と小さく、ライフタイムが2μsec以下とも小さい。さらに、第1凝固層11aはインゴット11の内部の結晶よりも先に凝固するため、結晶に含まれる不純物の密度が異なる。例えば、ドーパントしてホウ素、リンなどの偏析係数が1よりも小さい元素を添加すると、第1凝固層11aのドーパント濃度は、内部の結晶よりも小さく電気抵抗が大きくなる。
なお、本実施形態のインゴット11の製造方法は、上述の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。例えば、鋳造方法は、注湯方式でもよいし、鋳型内溶解方式でも構わない。シリコン融液4および鋳型5の温度制御手段として、それらに吹き付ける不活性ガスの流量を制御してもよい。また、鋳型5の底部に、インゴット中のシリコン結晶の結晶方位または結晶粒形状もしくは結晶粒径を規定するための種結晶または粒状物を載置してもよい。
1 :坩堝
1a :溶融坩堝
1b :保持坩堝
2 :注湯口
3 :加熱手段
4 :シリコン融液
5 :鋳型
6 :離型材
8 :冷却手段
9 :鋳型上部加熱手段
10 :鋳型台
11 :シリコンインゴット
11a:第1凝固層
11b:第2凝固層

Claims (4)

  1. 底部および側部を有する鋳型を準備する鋳型準備工程と、
    シリコンからなる固体原料を加熱して溶融させたシリコン融液を前記鋳型内に設ける融液準備工程と、
    前記シリコン融液および前記鋳型の温度を制御して、前記シリコン融液と前記鋳型の前記側部との間に第1凝固層を、前記シリコン融液の液面部位に第2凝固層を、それぞれ形成する凝固層形成工程と、
    前記第1凝固層の少なくとも前記鋳型の前記底部から前記シリコン融液の半分以上の高さまでの範囲の凝固状態を維持しつつ、前記第2凝固層を前記鋳型の上方に位置させた鋳型上部加熱手段で加熱して溶融させる再溶融工程と、
    前記シリコン融液を下方から上方へ冷却して、前記シリコン融液を凝固させる凝固工程と、
    を有する多結晶シリコンインゴットの製造方法。
  2. 前記鋳型準備工程において、前記鋳型は少なくとも前記側部の内壁に離型材層を設けたものを用いる、請求項に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。
  3. 前記融液準備工程において、予め用意した坩堝に前記固体原料を入れて、前記固体原料を前記坩堝内で溶融させたシリコン融液を、前記鋳型内に前記坩堝から注入する、請求項1または請求項2に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。
  4. 前記再溶融工程において、前記第1凝固層は少なくとも前記鋳型の前記底部から前記シリコン融液の90%の高さまでの範囲を凝固状態に残す、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。
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