JP2006076828A - バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、印字物、インクジェット記録方法及び被記録媒体の製造方法 - Google Patents

バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、印字物、インクジェット記録方法及び被記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被記録媒体や印字物に用いたときに耐水性や発色性に優れる染料となるバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、この複合体を含む被記録媒体を提供する。
【解決手段】バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体は、澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成して得られたものであり、更に好ましくはコハク酸を添加し、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加えて攪拌する製造方法で得られる。複合体は、BET比表面積が5〜500m/g、一次粒子の平均粒子径が250nm以下、二次粒子の平均粒子径が3.0μm以下である。被記録媒体は、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む。印字物は、被記録媒体に画像が形成されたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、インクジェット記録用被記録媒体、この被記録媒体を用いたインクジェット記録方法、印字物及び被記録媒体の製造方法に関する。
インクジェット記録方法は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである。インクジェット記録方法は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像―定着が不要などの特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像などの記録方法として種々の用途において急速に普及している。又、多色インクジェット記録方法により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。更に、作成部数が少なくて済む用途においては、多色インクジェット記録方法は写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
上述のようなインクジェット記録方法に適した被記録媒体としては、所謂、上質紙・ボンド紙(商標)などに代表される普通紙タイプと、上質紙などの紙、合成紙、合成樹脂フィルムなどの支持体上にインク受容層を設けた塗工紙タイプに大別される。塗工紙タイプはインクジェット記録された画像の品位に優れることから、高品質を要求される用途において使用され、近年では光沢タイプのインクジェット記録シートも上市され需要を伸ばしている。
インクジェット記録方法に適した被記録媒体として、近年、炭酸カルシウムを顔料として用いるものが注目されている。
既に粒子径0.5〜30μmの中空球状バテライト型結晶系炭酸カルシウムを含む嵩高の中性紙が提案されている(例えば特許文献1参照)。又、
カルサイト型結晶系を有する炭酸カルシウムを含有する被記録媒体が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。更に、カルサイト若しくはアラゴナイト型結晶系を有する特定の比表面積の炭酸カルシウムを含有する被記録媒体や(例えば特許文献4参照)、特定の粒子径を有する炭酸カルシウムよりなるインク受容層を有する被記録媒体が提案されている(例えば特許文献5参照)。
ところが、これらの提案による被記録媒体は、インクジェット記録方法による記録に用いた場合、被記録媒体のインク吸収性や表面性はコントロールできるものの、画像を形成している染料の耐水性や発色性、機械的強度については満足なものが得られなかった。
そこで、バテライト型構造を有する炭酸カルシウムを顔料、あるいは抄紙内添用として用いる提案がなされている(例えば特許文献6参照)。
しかしながらこの提案によっても、画像を形成している染料の耐水性や発色性については十分に満足なものが得られていないのが実情である。
特公平4―50435号公報 特公平7―4962号公報 特公平7―4963号公報 特公平7―4964号公報 特公平11―20301号公報 特開2001―162923号公報
本発明は、染料の発色性、及び耐水性に優れ、且つインク吸収性、機械的強度に優れたインクジェット記録方法による記録に好適に使用することができる、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む被記録媒体、インクジェット記録用被記録媒体、この被記録媒体を用いたインクジェット記録方法、印字物及び被記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記に鑑み鋭意研究した結果、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする被記録媒体、顔料とバインダーからなるインク受容層を基材に設けた被記録媒体において、顔料としてバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする被記録媒体及びインクジェット記録用被記録媒体、繊維状物質に、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を内添して抄紙してなることを特徴とする被記録媒体及びインクジェット記録用被記録媒体を発明するに至った。
また本発明者は、インクジェット記録用被記録媒体に印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として上記本発明の被記録媒体を使用することを特徴とするインクジェット記録方法、印字物、及びバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む分散液を、基材上に塗布するか、又は繊維状物質を含むスラリー中に添加して抄紙することを特徴とする被記録媒体の製造方法を発明するに至った。
本発明は、澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成し、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を得るため、不安定なバテライト型結晶系炭酸カルシウム部分がカルサイト型結晶系に転移することなく、安定なバテライト型結晶系炭酸カルシウムを得ることができ、更に、これを用いることで染料の発色性、及び耐水性に優れ、且つインク吸収性、機械的強度に優れたインクジェット記録方法による記録に好適に使用することができる、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む被記録媒体、インクジェット用被記録媒体、この被記録媒体を用いたインクジェット記録方法、印字物及び被記録媒体の製造方法が提供される。
以下、本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、インクジェット記録用被記録媒体、この被記録媒体を用いたインクジェット記録方法、印字物及び被記録媒体の製造方法について、詳細に説明する。
本発明におけるバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体は、例えば澱粉を溶解させた水中に、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え、例えば30℃の恒温槽中で一日以上攪拌することで得られる。
塩化カルシウムと炭酸アンモニウムの反応だけでは、得られる炭酸カルシウムの結晶系は通常カルサイトであるが、澱粉と複合させることにより、不安定なバテライト結晶系炭酸カルシウム部分がカルサイト系に転移することなく、安定なバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が得られる。
この場合、複合される澱粉量があまりに少ないと、バテライト型結晶系炭酸カルシウム部分がカルサイト型結晶系に転移してしまう。一方、添加する澱粉量があまりに少ないと、詳細を後述するバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の平均粒子径が大きくなり過ぎ、また粒子径もばらついたものになる可能性がある。粒子径が澱粉量に大きく依存するためである。
逆に、添加する澱粉量があまりに多いと、澱粉の水への溶解性が悪くなり、反応の進行を阻害する。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体は、澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成し得られることを特徴とし、そのバテライト型炭酸カルシウムの合成方法は、特に限定されるものではなく、上記の塩化カルシウムと炭酸アンモニウムとの反応以外にも、例えば、水酸化カルシウムと炭酸ガスとの反応などが挙げられる。ただしX線構造回折測定において、炭酸カルシウム部分の結晶構造がバテライト型結晶系であることが確認されたものでなくてはならない。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体において、バテライト型結晶系炭酸カルシウム部分と澱粉との複合比は何ら制限されるものではないが、カルサイト型結晶系への転移に対する安定性や、粒子径の制御、反応の進行を考慮すると、上記製造方法において、塩化カルシウムmol数に対する澱粉のグルコースユニットのmol数の比率(澱粉のグルコースユニットのmol数/塩化カルシウムmol数)は0.1以上50以下が好ましい。ただしX線構造回折測定において、炭酸カルシウム部分の結晶構造がバテライト型結晶系であることが確認されたものでなくてはならない。
上記バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の製造方法において、澱粉を溶解させた水中にコハク酸を添加し、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え、例えば30℃の恒温槽中で一日以上攪拌することで、更に安定で、二次粒子径が小さく粒子径の揃ったバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が得られる。
コハク酸の添加量は特に制限されるものではないが、あまりに少ないと上記効果が小さく、あまりに多いと、系中のカルボキシル基濃度が高過ぎ、カルシウムイオンへの配位が強過ぎることから、炭酸カルシウムの結晶化が阻害されてしまうため、塩化カルシウムmol数に対するコハク酸のmol数の比率(コハク酸のmol数/塩化カルシウムmol数)は1以上10以下が好ましい。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の製造方法において、用いられる澱粉は、水溶性のものであれば特に制限されるものではなく、その種類、分子量などにおいて、自由に選択して用いることが可能である。例えば、用いる澱粉の種類としては、通常の澱粉、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフレッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉などが挙げられる。
本発明におけるバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の形状は、通常、球状となるが、これに限定されるものではなく、例えば、円板状などであってもよい。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体のBET比表面積は、好ましくは5〜500m/gの範囲であり、より好ましくは10〜400m/gの範囲である。
BET比表面積が5m/gよりも小さい場合には、インク中の染料を十分に吸着、固定することができなくなり、染料の発色性や耐水性が低下する可能性がある。また、BET比表面積が500m/gよりも大きい場合には、塗工層中の毛細管径が大きくなり過ぎることに起因し、インク中の溶媒の吸収性が低下する可能性があるとともに、顔料としてのバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を、基材上に均一に塗布できなくなる可能性がある。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の一次粒子の平均粒子径は、好ましくは250nm以下、より好ましくは160nm以下であり、特に下限はない。
バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の一次粒子の平均粒子径は、製造時の、澱粉の使用量、コハク酸の使用量、反応時の攪拌条件、反応時の濃度などの因子に影響を受ける。このため、所望の粒子径を得るようにこれらの因子を制御する。一次粒子の平均粒子径が上記範囲内にあることは、特にインキ中の染料を十分に吸着、固定し、染料の発色性や耐水性が良好になるという点で好ましい。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の平均粒子径は、好ましくは、3.0μm以下、より好ましくは2.5μm以下であり、特に下限はない。
バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の平均粒子径は、製造時の澱粉の使用量、コハク酸の使用量、反応時の攪拌条件、反応時の濃度などの因子に影響を受ける。このため、所望の粒子径を得るようにこれらの因子を制御する。二次粒子の平均粒子径があまりに大きい場合、発色性が損なわれる可能性があり、またスラリー化した際の分散性が悪化する可能性が高い。またバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の粒子径はできるだけ揃っていることが好ましく、特に顔料として用いた場合、より粒子径の揃っている方が、光沢感のある被記録媒体が得られ、スラリー化したときの分散性も優れる。ただしBET比表面積5〜500m/gの範囲を満たしていることが好ましい。
本発明の被記録媒体は、少なくともバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする。例えば、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が、繊維状物質中に、原料調整の段階から内添された構成のもの、又は基材上にバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、及びバインダーを含むインク受容層を設けた構成のもの等である。
炭酸カルシウムの中で、バテライト型結晶系の構造を有するものは、インク中の染料の定着性が良く、他の結晶系の構造を有する炭酸カルシウムと比較して染料の耐水性が優れており、被記録媒体の塗工用顔料及び填料に用いる材料としては最も好ましい。
このバテライト型結晶系炭酸カルシウムが澱粉との複合体になることで、バテライト型結晶系炭酸カルシウム単独のものよりもより一層親水性が向上し、インク中の染料の定着性、染料の耐水性が更に優れ、より染料の発色性及び耐水性に優れ、且つインク吸収性に優れた、インクジェット記録方法による記録に好適に使用することができる被記録媒体、インクジェット記録用被記録媒体更には印字物が提供される。また、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体自身が接着能力を有するため、機械的強度に優れた好適なインクジェット記録方法及び被記録媒体の製造方法が提供される。
本発明の被記録媒体において、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体に、他の顔料を併用することは、何ら制限されるものではない。
他の顔料としては、従来公知の軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、プラスティックピグメント、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、ゼオライト、ケイソウ土、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
上記複合体を他の顔料と併用する場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が、全顔料固形分100質量部の内数として少なくとも10質量部以上、30質量部以上配合されることが好ましく、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の配合量が少な過ぎると本発明の効果が十分には得られない。
本発明の被記録媒体がインク受容層を有する形態の場合には、本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体とともに用いる、インク受容層を構成するバインダーとしては、水溶性高分子及び水分散性高分子の中から自由に選択して用いることが可能である。
例えば、通常の澱粉、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフレッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉などの澱粉類、ポリビニルアルコール又はその変性体(カチオン変性体、アニオン変性体、シラノール変性体)、ゼラチン、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物及びこれらをカチオン化したもの、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合ラテックス、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリア又はメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。これらの水溶性高分子及び水分散性高分子は、単独で用いることも二種類以上を併用することも可能である。
顔料(バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、及び他の顔料を含む)とバインダーの固形分質量混合比は、顔料:バインダー=1:1〜30:1の範囲で任意に選択することが可能である。より好ましい範囲は、顔料:バインダー=5:1〜25:1である。顔料に対するバインダーの配合比が上記範囲よりも少ない場合は、インク受容層の機械的強度が不足して、インク受容層にひび割れや粉落ちが発生し易くなり、上記範囲よりも多い場合は、インク受容層の細孔容積が少なくなって、インクの吸収性が低下する可能性がある。
本発明における顔料及び接着剤から構成されるインク受容層には、必要に応じて他の成分を配合して構わない。例えば、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤等が好適に用いられる。
本発明における被記録媒体の基材としては、例えば、ノーサイズプレス原紙、あるいは澱粉、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることができる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合もある。一連の操業で、塗布、乾燥された印刷用塗工紙は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
基材としては、他にも例えばポリエチレン等を用いたレジンコート紙類、熱可塑性フィルム類などが挙げられる。熱可塑性フィルムは、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロール、ポリエチレン、ポリカーボネート等の透明フィルムや、顔料の充填又は微細な発泡により不透明化したフィルムを用いることができる。
本発明における被記録媒体の基材が上記原紙であるとき、使用されるパルプは特に制限されるものではなく、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に、古紙パルプが挙げられ、必要に応じて単独で用いることも二種類以上を併用することも可能である。
なお、古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に記されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。更に具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙、などのプリンター用紙、及びPPC用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上紙、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留まりパルプ含有紙などが使用され、この場合、印字、複写、印刷、非印刷を問わない。
本発明における被記録媒体の基材が上記原紙であるとき、抄紙方法における抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機が適宜使用できる。
本発明における被記録媒体において、基材上にインク受容層を形成する方法としては、上記のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を有する顔料及びバインダーを含む分散液を塗工機を用いて基材上に塗布・乾燥する方法を用いることができる。
塗布方法は特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種メタードフィルムトランスファー、エアナイフ、ロッド、ダイレクトファウンテン、スプレー、ブレードなど各方式を適宜使用して構わない。
分散液の塗布量は、乾燥固形分質量換算で好ましくは0.5〜60g/m、更に好ましくは5〜45g/mである。又、必要に応じて塗布後にカレンダーロール等を用いてインク受容層の表面平滑を良くすることも可能である。
又、本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を内添したタイプの被記録媒体は、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体又はその分散液を、抄紙工程において繊維状物質を含むスラリー中に添加する内添法を用いて製造することが好ましい。
この場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量は、この場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量は、パルプ固形分100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部である。バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量が上記範囲内にあることで本発明の目的は十分に達成される。かかる方法では、必要に応じて紙力向上剤、歩留まり向上剤、着色剤を同じに添加して用いることができる。歩留まり向上剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ジシアンジアミドホルマリン縮合物等のカチオン性歩留まり向上剤、アニオン性ポリアクリルアマイド、アニオン性コロイダルシリカ等のアニオン性歩留まり向上剤を単独で用いることも二種類以上を併用することも可能である。
本発明における被記録媒体は、インクジェット被記録媒体としての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するような被記録媒体として用いることもでき、更に、複写機・プリンターなどに広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する被記録媒体としても用いることもできる。
以下に、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の実施例について説明する。
なお、以下の説明において、得られたバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の各特性の測定、評価に用いた方法は、次のとおりである。
BET比表面積は、島津製作所製アキュソーブ2100Eを用いて、得られたバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を、十分加熱・脱気してから窒素吸着脱離法を用いて測定した。
X線構造回折測定は、理学電機製X線回折装置を用いて行った。
形状観察は、SEM(日本電子製SCANNING MICROANALYZER JXA―840)を用いて行った。
(実施例1)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体aの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液20mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを、30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体aという。)を得た。
複合体aは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体aは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体aの一次粒子は150nm、二次粒子は1.8μm、BET比表面積は16m/gであった。
(実施例2)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体bの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液35mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体bという。)を得た。
複合体bは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体bは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体bの一次粒子は120nm、二次粒子は1.2μm、BET比表面積は24m/gであった。
(実施例3)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体cの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、300回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体cという。)を得た。
複合体cは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体cは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体cの一次粒子は170nm、二次粒子は3.2μm、BET比表面積は6m/gであった。
(実施例4)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体dの製造>
400mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.8gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液35mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体dという。)を得た。
複合体dは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体dは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体dの一次粒子は260nm、二次粒子は2.8μm、BET比表面積は8m/gであった。
(実施例5)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体eの製造>
400mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.8gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、300回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体eという。)を得た。
複合体eは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体eは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体eの一次粒子は230nm、二次粒子は3.4μm、BET比表面積は4m/gであった。
(比較例1)
<カルサイト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体fの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.08gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体fという。)を得た。
複合体fは、炭酸カルシウム部分がカルサイト型結晶系であることが確認された。
(比較例2)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムgの製造>
硝酸カルシウム4水塩を236g、尿素120g、及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを0.36gを混合し、密閉容器中にて、120℃で12時間加熱して反応をさせた。この反応生成物に360gの水を加えて、濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウム(以下、炭酸カルシウムgという。)を得た。
炭酸カルシウムgは、バテライト型結晶系であることが確認された。また、炭酸カルシウムgは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、炭酸カルシウムgの一次粒子は240nm、二次粒子は1.4μm、BET比表面積は13m/gであった。
以上説明した実施例1〜5及び比較例1、2の生成物の物性測定結果を表1にまとめて示す。
Figure 2006076828
表1から明らかなように、適量の澱粉を加えて得られた各実施例の生成物は、炭酸カルシウム部分の結晶系がバテライト型である炭酸カルシウムと澱粉との複合体であることがわかる。
つぎに、被記録媒体の実施例を説明するに先立ち、被記録媒体に使用する被記録媒体用基材について説明する。
<被記録媒体用基材hの製造>
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として上記複合体aをパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/mとなるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/mの被記録媒体用基材(以下、基材hという。)を製造した。
<被記録媒体用基材iの製造>
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として軽質炭酸カルシウムTP−121(奥多摩工業社製)をパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/mとなるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/mの被記録媒体用基材(以下、基材iという。)を製造した。
<被記録媒体用基材jの製造>
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として上記方法により製造した炭酸カルシウムgをパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/mとなるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/mの被記録媒体用基材(以下、基材jという。)を製造した。
つぎに、上記の被記録媒体用基材を用いた被記録媒体の実施例を説明する。
なお、以下の説明において、被記録媒体のインクジェット記録評価に用いた方法は、次のとおりである。
染料の発色性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、黒インクでベタ印字した部分の画像濃度を目視で判定を行った。後述する表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
耐水性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、カラーインクの文字印字部分について、水滴を1滴垂らし自然乾燥後、文字のにじみ具合を目視で判定した。表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
インク吸収性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、カラーインクの文字印字部分の溢れを目視で判定した。表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
機械的強度は、デニソンワックス(粘着力の異なるワックス棒、数字の大きいほど粘着力が強い)を使用し、アルコールランプで溶かしたワックス棒を被記録媒体表面に立てて、15分放冷後、ワックス棒をはがしたときの、被記録媒体の状態を見て評価した。表2中、剥けの起こらない最高の番号で示すが、16A以上のものは16Aとして表示した。通常14Aでは問題なく、13A以下では実用上問題がある。
(実施例6)
前記複合体aを、固形分質量濃度が53%になるように水中に分散させた。この際、分散剤としてアロンT―40(東亜合成社製)を対顔料固形分100質量部に対して1.0質量部使用した。この分散液に、市販スチレンブタジエン共重合ラテックスを対顔料固形分100質量部に対して6質量部、市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC)を対顔料固形分100質量部に対して0.1質量部添加し、最終固形分質量濃度が48%になるように水を添加し調整した。得られた塗工液を上記基材i上に、ロッドコーターを用いて、乾燥固形分質量換算で20g/mになるように塗布して被記録媒体を得た。
(実施例7)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体bを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(実施例8)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体cを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(実施例9)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体dを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(実施例10)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体eを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(比較例3)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体fにした以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(比較例4)
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記炭酸カルシウムgを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
以上説明した実施例6〜10及び比較例3、4の被記録媒体のインクジェット記録評価結果を表2にまとめて示す。
Figure 2006076828
表2の結果から明らかなように、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む各実施例の被記録媒体は、染料の発色性、及び耐水性に優れ、且つインク吸収性、機械的強度に優れるため、インクジェット記録方法による記録に好適に使用することができる。
つぎに、上記実施例6〜10と異なり、本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含まない塗工液を前記した被記録媒体用基材h、i、jに塗布する実施例について説明する。
(実施例11)
市販カルサイト型結晶系炭酸カルシウムTP―121を、固形分質量濃度が55%になるように水中に分散させた。この際、分散剤としてアロンT―40(東亜合成社製)を対顔料固形分100質量部に対して1.0質量部使用した。この分散液に、市販スチレンブタジエン共重合ラテックスを対顔料固形分100質量部に対して8質量部、市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC)を対顔料固形分100質量部に対して0.15質量部添加し、最終固形分質量濃度が50%になるように水を添加し調整した。得られた塗工液を、実施例1の複合体aを填料として使用した前記被記録媒体用基材h上に、ロッドコーターを用いて、乾燥固形分質量換算で18g/mになるように塗布して、被記録媒体を得た。
(比較例5)
被記録媒体用基材hに代えて、TP−121を填料として使用した前記被記録媒体用基材iを用いた以外は、全て実施例11と同様に調製して被記録媒体を得た。
(比較例6)
被記録媒体用基材hに代えて比較例2の炭酸カルシウムgを填料として使用した前記被記録媒体用基材jを用いた以外は、全て実施例11と同様に調製して被記録媒体を得た。
以上説明した実施例11及び比較例5、6の被記録媒体のインクジェット記録評価結果を表3にまとめて示す。
Figure 2006076828
表3の結果から明らかなように、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を基材に含む被記録媒体は、染料の発色性、及び耐水性に優れ、且つインク吸収性、機械的強度に優れ、インクジェット記録方法による記録に好適に使用することができる
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む被記録媒体の活用例としては、インクジェット被記録媒体としての使用に留まらない。
本発明の被記録媒体は、包装用紙、衛生用紙、段ボール原紙、紙器用板紙を除く、情報、画像などを記録する目的で用いられる全ての被記録媒体に適用できる。
また、本発明の被記録媒体は、例えば、インクジェット被記録媒体、電子写真用転写紙、熱転写受像紙、感圧複写用紙、感熱記録用紙、OCR用紙,OMR用紙、写真用印画紙、印刷用塗工紙、書籍用紙、上質紙などに適用できる。

Claims (13)

  1. 澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成して得られることを特徴とするバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  2. 澱粉を溶解させた水中に、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え攪拌する製造方法で得られることを特徴とする請求項1記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  3. 澱粉を溶解させた水中に、コハク酸を添加し、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え攪拌する製造方法で得られることを特徴とする請求項1記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  4. BET比表面積が5〜500m/gであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  5. 一次粒子の平均粒子径が250nm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  6. 二次粒子の平均粒子径が3.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする被記録媒体。
  8. 顔料及びバインダーからなるインク受容層が基材上に設けられ、顔料として前記バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする請求項7記載の被記録媒体。
  9. 繊維状物質に前記バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を内添して抄紙してなることを特徴とする請求項7記載の被記録媒体。
  10. 請求項7〜9の何れか1項に記載の被記録媒体からなるインクジェット記録用被記録媒体。
  11. 請求項7〜10の何れか1項に記載の被記録媒体又はインクジェット記録用被記録媒体に画像が形成されてなることを特徴とする印字物。
  12. 請求項1〜6の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む分散液を、基材上に塗布するか、又は繊維状物質を含むスラリー中に添加して抄紙することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
  13. 請求項10記載のインクジェット記録用被記録媒体に印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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