JP2006076828A - バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、印字物、インクジェット記録方法及び被記録媒体の製造方法 - Google Patents
バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体、被記録媒体、印字物、インクジェット記録方法及び被記録媒体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体は、澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成して得られたものであり、更に好ましくはコハク酸を添加し、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加えて攪拌する製造方法で得られる。複合体は、BET比表面積が5〜500m2/g、一次粒子の平均粒子径が250nm以下、二次粒子の平均粒子径が3.0μm以下である。被記録媒体は、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む。印字物は、被記録媒体に画像が形成されたものである。
【選択図】なし
Description
カルサイト型結晶系を有する炭酸カルシウムを含有する被記録媒体が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。更に、カルサイト若しくはアラゴナイト型結晶系を有する特定の比表面積の炭酸カルシウムを含有する被記録媒体や(例えば特許文献4参照)、特定の粒子径を有する炭酸カルシウムよりなるインク受容層を有する被記録媒体が提案されている(例えば特許文献5参照)。
しかしながらこの提案によっても、画像を形成している染料の耐水性や発色性については十分に満足なものが得られていないのが実情である。
また本発明者は、インクジェット記録用被記録媒体に印字を行うインクジェット記録方法において、被記録媒体として上記本発明の被記録媒体を使用することを特徴とするインクジェット記録方法、印字物、及びバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む分散液を、基材上に塗布するか、又は繊維状物質を含むスラリー中に添加して抄紙することを特徴とする被記録媒体の製造方法を発明するに至った。
塩化カルシウムと炭酸アンモニウムの反応だけでは、得られる炭酸カルシウムの結晶系は通常カルサイトであるが、澱粉と複合させることにより、不安定なバテライト結晶系炭酸カルシウム部分がカルサイト系に転移することなく、安定なバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が得られる。
この場合、複合される澱粉量があまりに少ないと、バテライト型結晶系炭酸カルシウム部分がカルサイト型結晶系に転移してしまう。一方、添加する澱粉量があまりに少ないと、詳細を後述するバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の平均粒子径が大きくなり過ぎ、また粒子径もばらついたものになる可能性がある。粒子径が澱粉量に大きく依存するためである。
逆に、添加する澱粉量があまりに多いと、澱粉の水への溶解性が悪くなり、反応の進行を阻害する。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体は、澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成し得られることを特徴とし、そのバテライト型炭酸カルシウムの合成方法は、特に限定されるものではなく、上記の塩化カルシウムと炭酸アンモニウムとの反応以外にも、例えば、水酸化カルシウムと炭酸ガスとの反応などが挙げられる。ただしX線構造回折測定において、炭酸カルシウム部分の結晶構造がバテライト型結晶系であることが確認されたものでなくてはならない。
本発明のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体において、バテライト型結晶系炭酸カルシウム部分と澱粉との複合比は何ら制限されるものではないが、カルサイト型結晶系への転移に対する安定性や、粒子径の制御、反応の進行を考慮すると、上記製造方法において、塩化カルシウムmol数に対する澱粉のグルコースユニットのmol数の比率(澱粉のグルコースユニットのmol数/塩化カルシウムmol数)は0.1以上50以下が好ましい。ただしX線構造回折測定において、炭酸カルシウム部分の結晶構造がバテライト型結晶系であることが確認されたものでなくてはならない。
コハク酸の添加量は特に制限されるものではないが、あまりに少ないと上記効果が小さく、あまりに多いと、系中のカルボキシル基濃度が高過ぎ、カルシウムイオンへの配位が強過ぎることから、炭酸カルシウムの結晶化が阻害されてしまうため、塩化カルシウムmol数に対するコハク酸のmol数の比率(コハク酸のmol数/塩化カルシウムmol数)は1以上10以下が好ましい。
BET比表面積が5m2/gよりも小さい場合には、インク中の染料を十分に吸着、固定することができなくなり、染料の発色性や耐水性が低下する可能性がある。また、BET比表面積が500m2/gよりも大きい場合には、塗工層中の毛細管径が大きくなり過ぎることに起因し、インク中の溶媒の吸収性が低下する可能性があるとともに、顔料としてのバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を、基材上に均一に塗布できなくなる可能性がある。
バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の一次粒子の平均粒子径は、製造時の、澱粉の使用量、コハク酸の使用量、反応時の攪拌条件、反応時の濃度などの因子に影響を受ける。このため、所望の粒子径を得るようにこれらの因子を制御する。一次粒子の平均粒子径が上記範囲内にあることは、特にインキ中の染料を十分に吸着、固定し、染料の発色性や耐水性が良好になるという点で好ましい。
バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の平均粒子径は、製造時の澱粉の使用量、コハク酸の使用量、反応時の攪拌条件、反応時の濃度などの因子に影響を受ける。このため、所望の粒子径を得るようにこれらの因子を制御する。二次粒子の平均粒子径があまりに大きい場合、発色性が損なわれる可能性があり、またスラリー化した際の分散性が悪化する可能性が高い。またバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の二次粒子の粒子径はできるだけ揃っていることが好ましく、特に顔料として用いた場合、より粒子径の揃っている方が、光沢感のある被記録媒体が得られ、スラリー化したときの分散性も優れる。ただしBET比表面積5〜500m2/gの範囲を満たしていることが好ましい。
他の顔料としては、従来公知の軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、タルク、水酸化アルミニウム、プラスティックピグメント、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、ゼオライト、ケイソウ土、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
上記複合体を他の顔料と併用する場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体が、全顔料固形分100質量部の内数として少なくとも10質量部以上、30質量部以上配合されることが好ましく、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の配合量が少な過ぎると本発明の効果が十分には得られない。
例えば、通常の澱粉、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフレッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉などの澱粉類、ポリビニルアルコール又はその変性体(カチオン変性体、アニオン変性体、シラノール変性体)、ゼラチン、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物及びこれらをカチオン化したもの、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合ラテックス、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリア又はメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。これらの水溶性高分子及び水分散性高分子は、単独で用いることも二種類以上を併用することも可能である。
基材としては、他にも例えばポリエチレン等を用いたレジンコート紙類、熱可塑性フィルム類などが挙げられる。熱可塑性フィルムは、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロール、ポリエチレン、ポリカーボネート等の透明フィルムや、顔料の充填又は微細な発泡により不透明化したフィルムを用いることができる。
この場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量は、この場合、バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量は、パルプ固形分100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部である。バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の内添量が上記範囲内にあることで本発明の目的は十分に達成される。かかる方法では、必要に応じて紙力向上剤、歩留まり向上剤、着色剤を同じに添加して用いることができる。歩留まり向上剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ジシアンジアミドホルマリン縮合物等のカチオン性歩留まり向上剤、アニオン性ポリアクリルアマイド、アニオン性コロイダルシリカ等のアニオン性歩留まり向上剤を単独で用いることも二種類以上を併用することも可能である。
なお、以下の説明において、得られたバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体の各特性の測定、評価に用いた方法は、次のとおりである。
BET比表面積は、島津製作所製アキュソーブ2100Eを用いて、得られたバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を、十分加熱・脱気してから窒素吸着脱離法を用いて測定した。
X線構造回折測定は、理学電機製X線回折装置を用いて行った。
形状観察は、SEM(日本電子製SCANNING MICROANALYZER JXA―840)を用いて行った。
(実施例1)
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体aの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液20mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを、30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体aという。)を得た。
複合体aは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体aは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体aの一次粒子は150nm、二次粒子は1.8μm、BET比表面積は16m2/gであった。
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体bの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液35mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体bという。)を得た。
複合体bは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体bは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体bの一次粒子は120nm、二次粒子は1.2μm、BET比表面積は24m2/gであった。
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体cの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)8.1gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、300回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体cという。)を得た。
複合体cは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体cは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体cの一次粒子は170nm、二次粒子は3.2μm、BET比表面積は6m2/gであった。
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体dの製造>
400mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.8gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これに、0.5mol/Lのコハク酸水溶液35mLを十分に混和させ、更に、塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体dという。)を得た。
複合体dは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体dは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体dの一次粒子は260nm、二次粒子は2.8μm、BET比表面積は8m2/gであった。
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体eの製造>
400mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.8gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、300回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体eという。)を得た。
複合体eは、炭酸カルシウム部分がバテライト型結晶系であることが確認された。また、複合体eは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、複合体eの一次粒子は230nm、二次粒子は3.4μm、BET比表面積は4m2/gであった。
<カルサイト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体fの製造>
500mLの水中に溶性澱粉(和光純薬製)0.08gを添加し、80℃で2時間加温した後、室温まで冷却した。これを塩酸、アンモニア水を用いてpH8.5に調整した。これに、0.5mol/Lの塩化カルシウム水溶液10mLと、0.5mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液10mLとを同時に、それぞれ0.2mL/分の速度で添加した。これを30℃の恒温槽中で24時間、100回転/分で攪拌し、生成物を濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウムと澱粉との複合体(以下、複合体fという。)を得た。
複合体fは、炭酸カルシウム部分がカルサイト型結晶系であることが確認された。
<バテライト型結晶系炭酸カルシウムgの製造>
硝酸カルシウム4水塩を236g、尿素120g、及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを0.36gを混合し、密閉容器中にて、120℃で12時間加熱して反応をさせた。この反応生成物に360gの水を加えて、濾過、洗浄、乾燥させることで、炭酸カルシウム(以下、炭酸カルシウムgという。)を得た。
炭酸カルシウムgは、バテライト型結晶系であることが確認された。また、炭酸カルシウムgは、球状の一次粒子が集合し、更に大きな球状の二次粒子になっていることが確認された。また、炭酸カルシウムgの一次粒子は240nm、二次粒子は1.4μm、BET比表面積は13m2/gであった。
<被記録媒体用基材hの製造>
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として上記複合体aをパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/m2となるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/m2の被記録媒体用基材(以下、基材hという。)を製造した。
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として軽質炭酸カルシウムTP−121(奥多摩工業社製)をパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/m2となるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/m2の被記録媒体用基材(以下、基材iという。)を製造した。
濾水度450mlcsfのLBKP100質量部からなるパルプスラリーに填料として上記方法により製造した炭酸カルシウムgをパルプ固形分100質量部に対して8質量部、両性澱粉Cato3210(王子ナショナルスターチアンドケミカル社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.8質量部、硫酸バンドをパルプ固形分100質量部に対して1質量部、中性ロジンサイズ剤としてNeuSize 738(ハリマ化成社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.35質量部、歩留まり向上剤としてNR―11LS(ハイモ社製)をパルプ固形分100質量部に対して0.02質量部を添加して、長網抄紙機で抄造して、表面サイズプレス液の澱粉糊液として酸化澱粉MS3800(日本食品化工社製)を液濃度6質量%になるように調整し、塗工量が両面で1.5g/m2となるように塗工を行い、マシンカレンダー掛けをして坪量64g/m2の被記録媒体用基材(以下、基材jという。)を製造した。
なお、以下の説明において、被記録媒体のインクジェット記録評価に用いた方法は、次のとおりである。
染料の発色性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、黒インクでベタ印字した部分の画像濃度を目視で判定を行った。後述する表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
耐水性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、カラーインクの文字印字部分について、水滴を1滴垂らし自然乾燥後、文字のにじみ具合を目視で判定した。表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
インク吸収性は、EPSON製インクジェットプリンターPM―780Cを用いて評価画像印字した後、カラーインクの文字印字部分の溢れを目視で判定した。表2中、Aは特性が良好、Bは事実上問題ない範囲で良好、Cは事実上問題あり、Dは特性が不良であることを示す。
機械的強度は、デニソンワックス(粘着力の異なるワックス棒、数字の大きいほど粘着力が強い)を使用し、アルコールランプで溶かしたワックス棒を被記録媒体表面に立てて、15分放冷後、ワックス棒をはがしたときの、被記録媒体の状態を見て評価した。表2中、剥けの起こらない最高の番号で示すが、16A以上のものは16Aとして表示した。通常14Aでは問題なく、13A以下では実用上問題がある。
前記複合体aを、固形分質量濃度が53%になるように水中に分散させた。この際、分散剤としてアロンT―40(東亜合成社製)を対顔料固形分100質量部に対して1.0質量部使用した。この分散液に、市販スチレンブタジエン共重合ラテックスを対顔料固形分100質量部に対して6質量部、市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC)を対顔料固形分100質量部に対して0.1質量部添加し、最終固形分質量濃度が48%になるように水を添加し調整した。得られた塗工液を上記基材i上に、ロッドコーターを用いて、乾燥固形分質量換算で20g/m2になるように塗布して被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体bを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体cを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体dを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体eを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記複合体fにした以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
分散液の顔料を、複合体aに代えて前記炭酸カルシウムgを用いた以外は、全て実施例6と同様にして調製し、被記録媒体を得た。
(実施例11)
市販カルサイト型結晶系炭酸カルシウムTP―121を、固形分質量濃度が55%になるように水中に分散させた。この際、分散剤としてアロンT―40(東亜合成社製)を対顔料固形分100質量部に対して1.0質量部使用した。この分散液に、市販スチレンブタジエン共重合ラテックスを対顔料固形分100質量部に対して8質量部、市販カルボキシメチルセルロース系増粘剤(CMC)を対顔料固形分100質量部に対して0.15質量部添加し、最終固形分質量濃度が50%になるように水を添加し調整した。得られた塗工液を、実施例1の複合体aを填料として使用した前記被記録媒体用基材h上に、ロッドコーターを用いて、乾燥固形分質量換算で18g/m2になるように塗布して、被記録媒体を得た。
被記録媒体用基材hに代えて、TP−121を填料として使用した前記被記録媒体用基材iを用いた以外は、全て実施例11と同様に調製して被記録媒体を得た。
被記録媒体用基材hに代えて比較例2の炭酸カルシウムgを填料として使用した前記被記録媒体用基材jを用いた以外は、全て実施例11と同様に調製して被記録媒体を得た。
本発明の被記録媒体は、包装用紙、衛生用紙、段ボール原紙、紙器用板紙を除く、情報、画像などを記録する目的で用いられる全ての被記録媒体に適用できる。
また、本発明の被記録媒体は、例えば、インクジェット被記録媒体、電子写真用転写紙、熱転写受像紙、感圧複写用紙、感熱記録用紙、OCR用紙,OMR用紙、写真用印画紙、印刷用塗工紙、書籍用紙、上質紙などに適用できる。
Claims (13)
- 澱粉を溶解させた水中でバテライト型結晶系炭酸カルシウムを合成して得られることを特徴とするバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- 澱粉を溶解させた水中に、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え攪拌する製造方法で得られることを特徴とする請求項1記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- 澱粉を溶解させた水中に、コハク酸を添加し、塩化カルシウムと炭酸アンモニウムを加え攪拌する製造方法で得られることを特徴とする請求項1記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- BET比表面積が5〜500m2/gであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- 一次粒子の平均粒子径が250nm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- 二次粒子の平均粒子径が3.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする被記録媒体。
- 顔料及びバインダーからなるインク受容層が基材上に設けられ、顔料として前記バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含むことを特徴とする請求項7記載の被記録媒体。
- 繊維状物質に前記バテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を内添して抄紙してなることを特徴とする請求項7記載の被記録媒体。
- 請求項7〜9の何れか1項に記載の被記録媒体からなるインクジェット記録用被記録媒体。
- 請求項7〜10の何れか1項に記載の被記録媒体又はインクジェット記録用被記録媒体に画像が形成されてなることを特徴とする印字物。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のバテライト型結晶系炭酸カルシウムと澱粉との複合体を含む分散液を、基材上に塗布するか、又は繊維状物質を含むスラリー中に添加して抄紙することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
- 請求項10記載のインクジェット記録用被記録媒体に印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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