JP2013203860A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率等を著しく向上させることができるポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂に、表面処理炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、表面処理炭酸カルシウムが、アラゴナイト型炭酸カルシウムに、コハク酸及び安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を表面処理した表面処理炭酸カルシウムであることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂に炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂組成物には、物性向上、増量等の目的で、無機充填剤が配合されている。
特にタルクは物性向上への寄与が大きく、安価であることから従来から盛んに使用されている。しかし、タルクは天然からの産物であり、現在使用されているような良質なタルクは何れ枯渇するであろうと懸念されているため、タルクに代わる新たな無機充填剤が求められている。一方、無機充填剤の中でも、炭酸カルシウムは、安価で、かつ環境に好ましい充填剤として一般的に用いられている。
しかしながら、一般的な炭酸カルシウムは、その形状に異方性を有していないため、板状、針状、あるいは繊維状などの形状をもつ他の充填剤に比べ、ポリプロピレン系樹脂に配合した場合に、剛性や強度等の機械的物性を十分に向上することができない。
炭酸カルシウムを配合して、機械的物性を改善するため、針状またはウイスカー状の特殊な炭酸カルシウムをポリプロピレン系樹脂に配合することが検討されている。
特許文献1においては、アラゴナイト型炭酸カルシウムを、ポリプロピレン系樹脂に配合することにより、表面外観が良好で、反り変形が少なく、かつ剛性、強度及び耐熱性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られることが開示されている。
特開平5−17642号公報
Journal of the Ceramic Society of Japan 104 [3] 196-200(1996),「炭酸ガス化合法によるアラゴナイトウイスカーの合成条件」,太田 義夫,乾 三郎,岩下 哲志,春日 敏宏,阿部 良弘
しかしながら、アラゴナイト型炭酸カルシウムを単に配合するだけでは、十分に高い機械的性質を得ることができなかった。
本発明の目的は、炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率等を著しく向上させることができるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂に、表面処理炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、表面処理炭酸カルシウムが、アラゴナイト型炭酸カルシウムに、コハク酸及び安息香酸からなる群より選ばれる少なくと
も一種の有機酸を表面処理した表面処理炭酸カルシウムであることを特徴としている。
表面処理炭酸カルシウムの配合量は、ポリプロピレン系樹脂組成物中で1〜50質量%(ただし、表面処理炭酸カルシウムとポリプロピレン系樹脂の合計量を100質量%とする)の範囲内であることが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムにおける有機酸の処理量は、アラゴナイト型炭酸カルシウム100質量部に対し、0.5〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
アラゴナイト型炭酸カルシウムの平均長径は5〜100μmの範囲内であることが好ましく、アスペクト比は5〜30の範囲内であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率等を著しく向上させることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
〔表面処理炭酸カルシウム〕
本発明において用いる表面処理炭酸カルシウムは、アラゴナイト型炭酸カルシウムに有機酸を表面処理している。以下、アラゴナイト型炭酸カルシウム及び有機酸による表面処理について説明する。
<アラゴナイト型炭酸カルシウム>
アラゴナイト型炭酸カルシウムは、アラゴナイト結晶を有する炭酸カルシウム粒子を主成分とする炭酸カルシウムであれば特に制限されることなく用いることができる。アラゴナイト結晶を有する炭酸カルシウム粒子が50質量%以上含まれていることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
アラゴナイト型炭酸カルシウムは、針状またはウイスカー状の形状を有しており、その平均長径は5〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmの範囲内である。また、アスペクト比(平均長径/平均短径)は、5〜30の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10〜25の範囲内である。このような平均長径及びアスペクト比の範囲内とすることにより、曲げ弾性率などの機械的特性をさらに高めることができる。
<アラゴナイト型炭酸カルシウムの合成>
本発明において用いるアラゴナイト型炭酸カルシウムの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、マグネシウム塩を添加した水酸化カルシウムスラリーに、炭酸ガスを吹き込むことにより製造することができる。
アラゴナイト型炭酸カルシウムを製造する際に用いる水酸化カルシウム及びマグネシウム塩は特に制限されない。既存の物質でも、反応によって生成する物質でも構わない。また、マグネシウム塩として苦汁を用いることにより、ポリプロピレン系樹脂組成物としたときのアラゴナイト型炭酸カルシウムを安価に製造することができる。
水酸化カルシウムと塩化マグネシウムなどのマグネシウム塩のスラリー中での存在モル比はCa/Mgが1.0未満であることが望ましい。1.0以上の場合は、粒状のカルサ
イトが混入して生成するため、ポリプロピレン系樹脂に配合した場合、曲げ弾性率が低下する場合がある。Ca/Mgの存在モル比の好ましい下限値は、0.1である。
前記スラリーに炭酸ガスを導入し、アラゴナイト型炭酸カルシウムを生成させることができる。本反応における炭酸ガス濃度は特に限定されるものではなく、炭酸ガスのみを吹き込んでも良いし、炭酸ガスを含む混合ガスの形で吹き込んでもよい。
前記反応を行う際には、水酸化カルシウム及びマグネシウム塩を含有するスラリーを60℃以上に加温した状態で反応を行うことが好ましい。反応時の温度が低くなると、生成する粒子はアラゴナイト含有比率が低く粒子が凝集しやすいうえ、粒状のカルサイトが混入して生成するため、ポリプロピレン系樹脂に配合した場合、曲げ弾性率が低下する場合がある。
またアラゴナイト型炭酸カルシウムの製造方法については、例えば、Journal of the Ceramic Society of Japan 104 [3] 196-200(1996),「炭酸ガス化合法によるアラゴナイトウイスカーの合成条件」に記載されている。
<有機酸による表面処理>
本発明においては、コハク酸及び安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を表面処理したアラゴナイト型炭酸カルシウムを用いる。有機酸の処理量は、アラゴナイト型炭酸カルシウム100質量部に対し0.5〜5質量部の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2質量部の範囲内であり、さらに好ましくは0.7〜1.5質量部の範囲内である。このような範囲内とすることにより、さらに高い曲げ弾性率等の優れた機械的特性を付与することができる。
有機酸を表面処理する方法としては、乾式処理及び湿式処理が挙げられる。乾式処理としては、炭酸カルシウム粉末に有機酸を添加して撹拌し、有機層を炭酸カルシウムの表面に形成させる。
湿式処理としては、有機酸を水またはアルコールなどの溶媒に溶解させる。次いで、炭酸カルシウムの水懸濁液に前述の溶液状の有機酸を添加し、撹拌させて有機層を炭酸カルシウムの表面に形成させる。
〔ポリプロピレン系樹脂〕
本発明において用いるポリプロピレン系樹脂は、その種類に特に制限はなく、ポリプロピレン単独重合体の他、プロピレンブロック共重合体やポリプロピレンランダム共重合体等のいずれのものでも使用することができる。
かかるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体や、エチレン単位の含有量が少ないエチレンプロピレンランダム共重合体からなる共重合部又はプロピレン単独重合体からなるホモ重合部とエチレン単位の含有量が比較的多いエチレンプロピレンランダム共重合体からなる共重合部とから構成された、いわゆるプロピレンブロック共重合体として市販されている実質上結晶性の、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体、あるいはこのブロック共重合体における各ホモ重合部又は共重合部が、さらにブテン−1,2−メチルペンテン−1などのα−オレフィンを共重合したものからなる実質上結晶性のプロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体などが好ましく挙げられる。
これらのポリプロピレン系樹脂は、MFR(メルトフローレート、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定)が0.1〜200g/10分の範
囲にあるものが好適である。MFRが0.1g/10分未満では成形性が不十分となる不都合があり、200g/10分を超えると耐衝撃性等の機械的強度が低下することがある。
より好ましいMFRの下限値は1g/10分、さらに好ましくは5g/10分である。逆に好ましい上限値は150g/10分、さらに好ましくは100g/10分である。
なお、これらポリプロピレン系樹脂の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。
〔ポリプロピレン系樹脂組成物〕
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂に、上記表面処理炭酸カルシウムを配合し、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製する。表面処理炭酸カルシウムをポリプロピレン系樹脂に配合する方法としては、従来より公知の方法を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン系樹脂と表面処理炭酸カルシウムを予めヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、タンブラー等で混合し、この混合物を、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール、ニーダー等の混練機で混練して製造することができる。
表面処理炭酸カルシウムのポリプロピレン系樹脂組成物における配合量(ただし、表面処理炭酸カルシウムとポリプロピレン系樹脂の合計量を100質量%とする)は、1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜40質量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜35質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜30質量%の範囲であり、最も好ましくは15〜25質量%の範囲である。表面処理炭酸カルシウムの配合量が少なすぎると、曲げ弾性率等を向上させる効果が十分に得られない場合がある。また、表面処理炭酸カルシウムの配合量が多すぎると、流動性が低下する場合がある。
本発明においては、上記表面処理炭酸カルシウム以外の他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、酸化鉄、セリサイト、二硫化モリブデン、硫酸バリウム、タルク、マイカ、ガラスフレーク等を挙げることができる。
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<アラゴナイト型炭酸カルシウムの合成>
水酸化カルシウムと塩化マグネシウムのスラリー(Ca/Mgの存在モル比0.6)を80℃に加温し、炭酸ガス(炭酸ガス濃度:30vol%)を導入し、アラゴナイト型炭酸カルシウムを生成させた。
(調製例1)
上記のようにして得られたアラゴナイト型炭酸カルシウム100質量部に対し、0.5質量部となるようにコハク酸を乾式処理方法で処理した。具体的には、平均長径が25μm、アスペクト比が15であるアラゴナイト型炭酸カルシウムを混合撹拌しながら、水に溶解させたコハク酸0.5質量部を添加し、10分間撹拌混合し、表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例2)
コハク酸の処理量を1.0質量部とする以外は、調製例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例3)
コハク酸の処理量を2.0質量部とする以外は、調製例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例4)
コハク酸の処理量を5.0質量部とする以外は、調製例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例5)
上記で得られたアラゴナイト型炭酸カルシウムに、表面処理量が1.0質量部となるようにコハク酸を湿式処理方法で処理した。具体的には、アラゴナイト型炭酸カルシウムスラリーに水に溶解させたコハク酸1.0質量部を添加し、10分間撹拌し、脱水、乾燥、解砕して、表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例6)
有機酸として、コハク酸に代えて、安息香酸を用いる以外は、調製例1と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例7)
有機酸として、コハク酸に代えて、安息香酸を用いる以外は、調製例2と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例8)
有機酸として、コハク酸に代えて、安息香酸を用いる以外は、調製例3と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例9)
有機酸として、コハク酸に代えて、安息香酸を用いる以外は、調製例4と同様にして表面処理炭酸カルシウムを調製した。
(調製例10)
有機酸として、コハク酸に代えて、安息香酸を用いる以外は、調製例5と同様にして、湿式処理方法により処理して表面処理炭酸カルシウムを調製した。
〔ポリプロピレン系樹脂組成物の調製〕
(実施例1〜10)
調製例1〜10で得られた表面処理炭酸カルシウム(20質量%)を、ポリプロピレン系樹脂(80質量%)と配合した。
ポリプロピレン系樹脂としては、日本ポリプロ株式会社製ノバテック、BC02GA(MFR:25g/10分、密度0.9、エチレンプロピレンランダム共重合体22%のプロピレンブロック共重合体)を用い、以下のようにしてポリプロピレン系樹脂に表面処理炭酸カルシウムを配合した。
神戸製鋼社製「KTX44」型2軸押出機、温度=210℃、スクリュー回転数=300rpmにて、押出機初段にポリプロピレン系樹脂を投入し溶融させ、次いで押出機中段
にて溶融したポリプロピレン系樹脂に表面処理炭酸カルシウムを所定の量となるようサイドフィーダーにて投入し混合、混練し、ペレットを得た。
以上のようにして調製したポリプロピレン系樹脂組成物について、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
曲げ弾性率は、ISO−178に準拠して23℃で測定した。荷重たわみ温度は、ISO−75に準拠して測定した。
(比較例1)
表面処理炭酸カルシウムの代わりに、無処理のアラゴナイト型炭酸カルシウムを用いる以外は、上記と同様にしてポリプロピレン系樹脂に配合してポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(比較例2)
無処理のアラゴナイト型炭酸カルシウムを用い、添加するアラゴナイト型炭酸カルシウム100質量部に対し1.0質量部となる量のコハク酸を、炭酸カルシウムとポリプロピレン系樹脂の混練時に添加し、ポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、上記と同様にして曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。なお、炭酸カルシウムとコハク酸の合計量が、20質量%となるようにポリプロピレン系樹脂に配合した。
(比較例3)
コハク酸に代えて安息香酸を使用した以外は、比較例2と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(比較例4)
フィラーを添加していないポリプロピレン系樹脂について、上記と同様にして曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(参考例)
表面処理炭酸カルシウムに代えて、タルク(平均粒子径5μm)をポリプロピレン系樹脂に配合する以外は、上記と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
曲げ弾性率及び荷重たわみ温度の測定結果を表1に示す。なお、表1に示す炭酸カルシウム配合量は、表面処理炭酸カルシウムの配合量または炭酸カルシウムと有機酸の合計の配合量を示している。
Figure 2013203860
表1に示すように、本発明に従う実施例1〜10のポリプロピレン系樹脂組成物は、無処理のアラゴナイト型炭酸カルシウムを配合した比較例1に比べ、高い曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を示している。
また、コハク酸または安息香酸を炭酸カルシウムに表面処理せずに、混練時に添加した比較例2及び比較例3と比べても、本発明に従う実施例1〜10のポリプロピレン系樹脂組成物は、高い曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を示している。また、実施例2および実施例7のポリプロピレン系樹脂組成物は、タルクを配合した参考例と同程度以上の曲げ弾性率を示している。前述の通り、タルクは天然からの産物であり、現在使用されているような良質なタルクは何れ枯渇するであろうと懸念されているが、本発明の表面処理炭酸カルシウムが、タルクに代わる新たな無機充填剤として使用可能であることが確認できた。
〔表面処理炭酸カルシウムの配合量の検討〕
調製例2で得られた表面処理炭酸カルシウムについて、ポリプロピレン系樹脂への配合量を変化させ、配合量と曲げ弾性率との関係を検討した。
(実施例11)
表面処理炭酸カルシウム(10質量%)とポリプロピレン系樹脂(90質量%)を配合する以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(実施例12)
表面処理炭酸カルシウム(30質量%)とポリプロピレン系樹脂(70質量%)を配合
する以外は、実施例2と同様にしてポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(比較例5)
炭酸カルシウムとコハク酸の合計量が、10質量%となるようにポリプロピレン系樹脂に配合した以外は、比較例2と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
(比較例6)
炭酸カルシウムとコハク酸の合計量が、30質量%となるようにポリプロピレン系樹脂に配合した以外は、比較例2と同様にポリプロピレン系樹脂組成物を調製し、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を測定した。
曲げ弾性率及び荷重たわみ温度の測定結果を表2に示す。なお、表1に示す炭酸カルシウム配合量は、表面処理炭酸カルシウムの配合量または炭酸カルシウムと有機酸の合計の配合量を示している。
Figure 2013203860
表2に示すように、表面処理炭酸カルシウムの配合量を10質量%とした実施例11は、比較例5に比べ、高い曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を示している。また、表面処理炭酸カルシウムの配合量を30質量%とした実施例12も、比較例6に比べ、高い曲げ弾性率及び荷重たわみ温度を示している。

Claims (4)

  1. ポリプロピレン系樹脂に、表面処理炭酸カルシウムを配合したポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記表面処理炭酸カルシウムが、アラゴナイト型炭酸カルシウムに、コハク酸及び安息香酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を表面処理した表面処理炭酸カルシウムであることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記表面処理炭酸カルシウムの配合量が、1〜50質量%(ただし、表面処理炭酸カルシウムとポリプロピレン系樹脂の合計量を100質量%とする)の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記表面処理炭酸カルシウムにおける有機酸の処理量が、アラゴナイト型炭酸カルシウム100質量部に対し、0.5〜5質量部の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記アラゴナイト型炭酸カルシウムの平均長径が5〜100μmの範囲内で、アスペクト比が5〜30の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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