JP2006002139A - フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびその硬化物 - Google Patents

フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、作業性を確保するために結晶性が低く、さらにその硬化物において高屈折率である、光学用途に好適なフェノール樹脂及びエポキシ樹脂を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のフェノール樹脂は、クレゾールと4,4’−ビスアルコキシメチルビフェニルまたは4,4’−ビスハロゲノメチルビフェニル等の置換メチレンビフェニル化合物を縮合させ得られる。クレゾールとしては、高屈折率の化合物が得られることからメタクレゾールが好ましい。本発明のエポキシ樹脂は、本発明のフェノール樹脂をグリシジル化して得られる。

Description

本発明は高信頼性半導体封止用等の電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、さらには光学材料を始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用なエポキシ樹脂組成物を与えるフェノール樹脂、エポキシ樹脂及び該組成物の硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
しかし、近年電気・電子分野においてはその発展に伴い、樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラーを高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性のアップ等の諸特性の一層の向上が求められている。又、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。更に、近年難燃剤としてハロゲン系エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが特に電気電子部品の難燃剤として多用されているが、これらを使用した製品はその廃棄後の不適切な処理により、ダイオキシン等の有毒物質の発生に寄与することが指摘されている。上記の問題を解決する方法の一つとして、ビフェニル骨格を有するフェノールアラルキル樹脂やそのエポキシ化物の使用が特許文献1や特許文献2等に記載されている。しかしながら、この構造の樹脂は結晶性が高いため、製造時の樹脂の取り出し状況や保存状態によっては、結晶が析出してしまい溶融粘度が増加してしまう。また、溶剤に溶解した場合にも結晶が析出、沈殿してしまい、組成物としての使用上極めて問題があった。さらにこれらの樹脂、特にフェノール樹脂を原料とするシアナート化合物や、ベンゾオキサジン等においても、フェノール樹脂の結晶性の高さから、それらを合成する際に結晶が生じ作業性に問題を残す。
このような背景から、特許文献3には配向性を制御することでこの結晶性を低下させることを検討し、樹脂組成物の保存安定性の向上に成功している。ところが組成物の流動性の向上のため、低分子量体を増加させた場合、その保存安定性が低下する。特に結晶として析出しやすい2官能体(例えば下記式(a)においてn=1である化合物)の含有量が40重量%以上、特に70重量%以上になった場合、この技術を用いても結晶性は失われない。
Figure 2006002139
このことはビフェニル・フェノール縮合型のフェノールアラルキル型樹脂やそれをエポキシ化したエポキシ樹脂に共通する性質であるが、エポキシ樹脂よりも、水素結合、およびそのパッキングの良さからフェノールアラルキル型樹脂に顕著である。
このようなことからより低粘度であり、かつ結晶性の低い化合物の開発が望まれている。
一方、光学材料分野において、例えばコンタクトレンズ、メガネレンズ、カメラレンズ等のプラスチック材料、プリズム、フィルター、画像表示材料、光導波路、光ディスク用基板、外観に特徴をあたえるための各種包装容器、ケーシング材料、フィルム、雑貨、自動車部品等の成型分野や、コーティング材料等の幅広い分野において高屈折率を示す樹脂が広く使用されている。このような用途にはポリスチレン等のビニル系の共重合体やポリメチルメタクリレート等が用いられているが、耐熱性の求められる分野においては信頼性の面で不十分であった。一般的にエポキシ樹脂硬化物は耐熱性、吸湿性等の信頼性は高いものの、その屈折率は、1.5前後であり、こういった高屈折が求められる分野においては不十分であった。
特開平11−140277号公報 特開平11−140166号公報 特開2003−301031号公報 特許第3122834号公報 特開2001−40053号公報
本発明の目的は、結晶性が低く、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン、オキサゾール樹脂中間体等の各種樹脂原料として扱う場合の作業性、さらには、エポキシ樹脂組成物、シアネート樹脂組成物等の組成物を製造する際の作業性に優れ、その硬化物においても高屈折率、高難燃性、低誘電率、低誘電損失である、光学用途に好適なフェノール樹脂及びエポキシ樹脂を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、(1)式(1)
Figure 2006002139
(式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
で表されるフェノール樹脂であり、全置換基Rのうち30モル%以上がメチル基であり、それ以外が水素原子であることを特徴とするフェノール樹脂、
(2)下記式(2)
Figure 2006002139
(式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
で示されるフェノール樹脂、
(3)式(1)または式(2)におけるn=1である化合物の含有量が40面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる)以上である上記(1)または(2)記載のフェノール樹脂、
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフェノール樹脂をグリシジル化してなるエポキシ樹脂、
(5)エポキシ樹脂及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、
(6)上記(4)記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物、
(7)上記(4)記載のエポキシ樹脂及び上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、
(8)上記(5)〜(7)のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物、
に関する。
本発明のフェノール樹脂は高屈折率であり、光学用途に好適であり、かつ溶融粘度が低い、また結晶の析出が起こりにくいため、これを利用した樹脂組成物において,長期保存後の性能の低下を防止できる。また、このフェノール樹脂をエポキシ化した本発明のエポキシ樹脂は、溶剤に溶解して低温で保存しても、結晶の析出が起こりにくいため、前記と同様に樹脂組成物の保存安定性の向上に寄与するだけでなく、本発明のフェノール樹脂からシアネート樹脂や、オキサゾリン等を合成する場合の作業性も向上する。さらに本発明のフェノール樹脂及びエポキシ樹脂は高難燃性、かつ低誘電率、誘電損失を有する硬化物を与えることができる。このように組成物の製造時における作業性や、品質の管理に長じ、かつその高度な電気的特性、難燃性の為、本発明のフェノール樹脂やエポキシ樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、最接着剤、塗料等に有用であり、特に先端の電気・電子分野、光学用途に好適な材料である。
以下、本発明のフェノール樹脂、エポキシ樹脂について説明する。
式(1)で表されるフェノール樹脂は、一般的に特許文献4や特許文献5に記載されているような方法で合成される。具体的には4,4’−ビスアルコキシメチルビフェニルまたは4,4’−ビスハロゲノメチルビフェニル等の置換メチレンビフェニル化合物とフェノール類を酸性条件下縮合する。
この方法で得られた式(1)の樹脂は製造時に、溶融状態から徐冷固化すると結晶が析出してしまう傾向が強く、急冷固化した樹脂状のものと比較すると溶融粘度が高くなる。溶融粘度が高くなると、例えば半導体封止材料に使用した場合、流動性の低下を招いてしまう。また、式(1)の樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂は、溶剤に溶解した状態で保存した場合、結晶が析出してしまう。これは、特に溶剤を含む液状の硬化性樹脂組成物に使用された場合、製造時には組成物中で有機成分が均一状態であったものが、冷蔵保存時に結晶が析出することにより、成分の偏在化が起こってしまい、硬化不良や、設計通りの硬化物性が得られないなどの不具合が生じる。また特許文献3にはこのような結晶化は、同文献中の式(1)の構造において、メチレン基と水酸基の結合の位置関係がパラである割合が多いほど顕著に発生し、特に同文献中の式(2)の化合物が多い場合に顕著であることが記載されている。
前記において、置換メチレンビフェニル化合物としては、4,4’−ビスメトキシメチルビフェニル、4,4’−ビスエトキシメチルビフェニル等の4,4’−ビスアルコキシメチルビフェニル;4,4’−ビスクロロメチルビフェニル等の4,4’−ビスハロゲノメチルビフェニル等が挙げられ、4,4’−ビスハロゲノメチルビフェニルが好ましい。
用いうるフェノール類の具体例としては、オルソクレゾール、パラクレゾール、メタクレゾールが挙げられるが、これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。また、これらクレゾール類とフェノールを併用することも可能である。その際、全フェノール類中、クレゾール類の含有量が30モル%以上となる割合でクレゾール類を使用する。
またメタクレゾールを使用したフェノール樹脂は、驚くべきことに他の異性体を使用したフェノール樹脂に比べ、同じ軟化点で比較した場合、低い溶融粘度を示す。さらにその屈折率は他の異性体の場合のそれよりも高い。通常パッキング、すなわち、分子の配列性が良好な化合物ほど屈折率が大きくなる傾向がある。本発明のフェノール樹脂はこれに反し、最もパッキングの悪いメタクレゾールを使用した場合が、屈折率が高いという傾向が得られた。この傾向はフェノール樹脂をグリシジル化した本発明のエポキシ樹脂についても同様である。
フェノール類の使用量は、この置換メチレンビフェニル化合物1モルに対し、通常1〜50モル、好ましくは1.5〜30モル、さらに好ましくは2.5〜20モルである。置換メチレンビフェニル化合物に対するフェノール類の使用量が多くなると、前記式(1)または(2)におけるn=1である化合物の含有量が多くなる。
この反応は、無溶剤でも溶剤を用いても良い。使用しうる溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、酢酸等が挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独で用いても、2種以上併用しても良い。溶剤の使用量は、フェノール類100重量部に対して、通常5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。
反応は、通常フェノール類と必要により前記溶剤を仕込み、加熱しながらこれに徐々に置換メチレンビフェニル化合物を添加しても、全原料を混合し、徐々に加熱してもよい。反応温度は、通常50℃〜200℃、好ましくは60〜150℃、反応時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜4時間である。
なお、置換メチレンビフェニル化合物が4,4’−ビスクロロメチルビフェニルの場合、反応中生成する塩酸ガスは窒素ガス等の不活性ガスを流すことによって系外へ除去するか、減圧状態にして除去することも可能である。
また、置換メチレンビフェニル化合物が4,4’−ビスアルコキシメチルビフェニルの場合、反応時に酸触媒を添加することが好ましい。酸触媒としては具体的には、種々のものが使用できるが硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のフリーデルクラフツ型触媒等が挙げられる。なかでも塩化第二錫、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが4,4’−ビスアルコキシメチルビフェニルに対して0.0005〜5重量%の範囲内で添加すれば良い。
反応終了後、反応中生成したハロゲン化水素や酸触媒等の不純物を中和、水洗を行うことによって取り除く。次いで、未反応フェノール類や溶媒を回収することにより目的とするフェノール樹脂を得ることができる。未反応フェノール類や溶媒の回収は常圧下または減圧下で留去するのが好ましい。また、水蒸気を吹き込んで、水蒸気蒸留で留去することも可能である。フェノール類の蒸留回収の温度は100〜220℃である。次いで、好ましくは非水溶性の溶剤に得られたフェノール樹脂を溶解して、水洗を繰り返して生成塩を除去し、溶剤を留去し、精製する。尚、下記する本発明のエポキシ樹脂の原料として使用する場合は、反応終了後、未反応のフェノール類を留去したものをそのまま使用しても良い。
一般に、フェノールと置換ビフェニルの縮合物は樹脂中、n=1体(置換ビフェニル1分子に対し、フェノールが2分子結合した化合物)が40面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる)以上を占めた場合、結晶性が顕著となり、製品化の際、結晶の析出が問題となる。
本発明のフェノール樹脂は、式(1)または式(2)におけるn=1である化合物の含有割合が同様に40面積%以上、更には70面積%以上を占めた場合も結晶の析出が見られない。
こうして得られた本発明のフェノール樹脂は、結晶性が非常に低く、有機溶剤に溶解させた場合においても結晶の析出を抑えることが可能である。具体的には、例えば70重量%のメチルエチルケトン溶液中5℃で3ヶ月間以上放置してもまったく結晶が析出しない。
本発明のエポキシ樹脂は、本発明のフェノール樹脂とエピハロヒドリン類とをアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させて得ることができる。用いうるエピハロヒドリン類の具体例としては、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、γ−メチルエピクロルヒドリンエピブロムヒドリン、β−メチルエピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−エチルエピクロルヒドリン等が挙げられるが、工業的に入手し易く安価なエピクロルヒドリンもしくはエピブロムヒドリンが好ましい。
エピハロヒドリンの使用量は本発明のフェノール樹脂の水酸基1当量に対し通常0.8〜12モル、好ましくは0.9〜11モルである。この際、本発明のフェノール樹脂の溶解性を高めるためにメタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。
反応温度は通常30〜90℃、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間、好ましくは1〜8時間である。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、その使用量は、フェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。
反応終了後、グリシジル化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶剤等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はグリシジル化に使用したフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物は固形物を使用しても、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モルである。
エポキシ化反応において、必要に応じて4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。使用しうる4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の使用量としては、フェノール樹脂中の水酸基1モルに対し通常0.1〜15重量部であり、好ましくは0.2〜10重量部である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下に溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は本発明のフェノール樹脂又はエポキシ樹脂の少なくとも一方を含有する。本発明の硬化性樹脂組成物が、本発明のフェノール樹脂を含有する場合、他の成分としてエポキシ樹脂を含有する。本発明のフェノール樹脂を必須成分とする硬化性樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂を単独でまたは他の硬化剤と併用することが出来る。併用する場合、本発明のフェノール樹脂の全硬化剤中に占める割合は10重量%以上が好ましく、特に20重量%以上が好ましい。また、本発明の硬化性樹脂組成物が本発明のエポキシ樹脂を含有する場合、他の成分として硬化剤を含有する。本発明のエポキシ樹脂を必須成分とする硬化性樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ樹脂中に占める割合は20重量%以上が好ましく、特に30重量%以上が好ましい。
本発明のフェノール樹脂と併用されうる他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されることはない。本発明の硬化性樹脂組成物が本発明のエポキシ樹脂を含有する場合、硬化剤としては本発明のフェノール樹脂や前記他の硬化剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物が本発明のフェノール樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂としては本発明のエポキシ樹脂や前記他のエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ樹脂の硬化促進剤として一般的に用いられるものを含有させても良い。硬化促進剤としては例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、三フッ化ホウ素錯体、トリフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートの等のリン系化合物、三級アミン化合物などが挙げられ、その使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
更に本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することが出来る。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、石英粉、アルミニウム粉末、グラファイト、タルク、クレー、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、アスベスト、マイカ、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラス不織布または、カーボン繊維等の無機充填材、シランカップリング剤のような充填材の表面処理剤、離型剤、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を所定の割合で均一に混合することにより得られる。混合は必要により上記各成分の軟化点より20〜100℃程度高い温度で加熱溶融することに依って行うことが出来る。また、硬化性樹脂組成物の各成分を溶剤等に均一に分散または溶解させることにより、混合することもできる。溶剤は特に限定されないが、用いうる具体例としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これら溶剤は樹脂分100重量部に対して通常5〜300重量部、好ましくは10〜150重量部が用いられる。
本発明の硬化物は、上記の硬化性樹脂組成物を、通常室温〜250℃で30秒〜50時間で処理することにより得られ、高屈折率である本発明のフェノール樹脂及び/またはエポキシ樹脂を有するため高屈折率となる。又、熱硬化性樹脂組成物の成分を溶剤等に均一に分散または溶解させ、溶剤を除去した後に前記のような条件で硬化させることもできる。
本発明で得られる硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルムなどである。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤などである。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤などである。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤などである。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。
光学用材料の他の用途としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量、溶融粘度、軟化点は以下の条件で測定し
1)エポキシ当量;JIS K−7236に記載の方法で測定した。
2)溶融粘度;150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計(RESEARCH EQUIPMENT(LONDON)LTD. 製)
コーンNo.3(測定範囲0〜20ポイズ)
試料量:0.15±0.005(g)
3)軟化点;JIS K−7234に記載の方法で測定した。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、メタクレゾール810部を仕込み、撹拌、溶解後、加熱して温度を75〜85℃に保ちながら4,4’−ビスクロロメチルビフェニル188重量部を4時間かけて連続的に添加した。同温度で更に3時間反応を行った。反応終了後、加熱減圧下において過剰のフェノールを留去し、残留物に400重量部のメチルイソブチルケトンを添加して溶解した。この樹脂溶液を洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返した後、油層から加熱減圧下においてメチルイソブチルケトンを留去することにより本発明のフェノール樹脂(BCN1)141重量部を得た。得られたフェノール樹脂(BCN1)は式(2)で表され、その溶融粘度は0.06Pa・s、軟化点は69.6℃であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、式(2)におけるn=1である化合物の含有割合は69.8面積%であった。
実施例2
実施例1において4,4’−ビスクロロメチルビフェニルの重量を75部に変えた以外は同様に行った。その結果、本発明のフェノール樹脂(BCN2)144部が得られた。得られたフェノール樹脂の溶融粘度は0.02Pa・s、軟化点は65.7℃、n=1である化合物の含有割合は80.9面積%であった。
実施例3
実施例1においてメタクレゾールをパラクレゾールに変えた以外は同様に行った。その結果、本発明のフェノール樹脂(BCN3)145部が得られた。得られたフェノール樹脂は、下記式(2a)
Figure 2006002139
(式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
で表され、その溶融粘度は0.04Pa・s、軟化点は60.5℃であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、式(2a)におけるn=1である化合物の含有割合は70.1面積%であった。
実施例4
実施例1においてメタクレゾールをオルソクレゾールに変えた以外は同様に行った。その結果、本発明のフェノール樹脂(BCN4)141部が得られた。得られたフェノール樹脂は、下記式(2b)
Figure 2006002139
(式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
で表され、その溶融粘度は0.02Pa・s、軟化点は51.2℃であった。またゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、式(2b)におけるn=1である化合物の含有割合は71.0面積%であった。
実施例5
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂(BCN1)40重量部、エピクロルヒドリン88重量部、メタノール15重量部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム7.8重量部を90分かけて分割添加し、その後、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、水50重量部を加えて2回水洗を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP1)が半固形の樹脂として50部得られた。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は271g/eq.であった。
比較例1
実施例1においてメタクレゾール810重量部をフェノール248重量部に、また、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルの使用量を66重量部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様に反応を行い、前記式(a)で表される比較用のフェノール樹脂(BPN1)81重量部が得られた(o−配位数/p-配位数は約1/1)。得られたフェノール樹脂の溶融粘度は結晶が析出しているため正確には測定できなかった。また軟化点は154℃であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、式(a)におけるn=1である化合物の含有割合は73.4面積%であった。
比較例2
実施例1においてメタクレゾール810重量部をフェノール195重量部に、また、4,4’−ビスクロロメチルビフェニルの使用量を151重量部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様に反応を行い、前記式(a)で表される比較用(BPN2)178重量部が得られた(o−配位数/p-配位数は約1/1)。得られたフェノール樹脂の溶融粘度は0.10Pa・s、軟化点は68℃であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、式(a)におけるn=1である化合物の含有割合は35.6面積%であった。
比較例3
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら比較例2で得られたフェノール樹脂(BPN2)38.5重量部、エピクロルヒドリン88重量部、メタノール15重量部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム7.8重量部を90分かけて分割添加し、その後、70℃で1時間攪拌した。反応終了後、水50重量部を加えて2回水洗を行い生成した塩などを除去した後、加熱減圧下過剰のエピクロルヒドリン等を留去することで比較用のエポキシ樹脂(EP2)49部が得られた。得られたエポキシ樹脂の軟化点は57℃、エポキシ当量は281g/eq.であった。
試験例1a〜5a、1b〜4b
実施例1〜4、比較例1、2で得られたフェノール樹脂を、樹脂濃度が70重量%になるようにジメチルホルムアミドに溶解し、5℃で保管して結晶の析出の有無を観測した。観測結果を表1(1a〜5a)に示す。また、同様に樹脂濃度が70重量%になるようにメチルエチルケトンに溶解し、5℃で保管して結晶の析出の有無を観測した結果を表1(1b〜4b)に示す。この結果から本発明のフェノール樹脂は極度に溶剤溶解性の改善された樹脂であることが明らかである。
Figure 2006002139
試験例6〜9
実施例1、3、4、比較例1で得られたフェノール樹脂を、ジメチルスルホキシドに溶解し、その屈折率を測定した。(測定装置:多波長アッベ屈折計DR−M2 株式会社アタゴ製、測定波長:1.589nm(D線))測定結果を表2に示す。表2より、メタクレゾールを使用したフェノール樹脂BCN1が他の異性体と比較し、高屈折率を示し、さらにはクレゾールよりパッキングがよいと考えられるフェノール体よりも高い値を示す。
Figure 2006002139
実施例6、比較例4
下記、表3示した割合で、実施例5及び比較例3で得られた各エポキシ樹脂、硬化剤(ジシアンジアミド)、硬化促進剤(2−エチルー4−メチルイミダゾール)を25重量部のメチルエチルケトンと20重量部のジメチルホルムアミドの混合物に溶解して本発明の硬化性樹脂組成物のワニスを作成した。このワニスを、5℃で2週間保存後、ガラスクロスに含浸させ、150℃で5分間乾燥してBステージ状のプリプレグを得た。このプリプレグを3枚と、銅箔1枚を重ね、180℃で2時間加圧加熱して硬化物とした。この硬化物について、下記のようにして吸湿率と耐溶剤(ジメチルホルムアミド)性を測定し、結果を表3に示した。
・吸湿率:85℃/85%/100時間後の重量増加率
・耐溶剤性:ジメチルホルムアミドに10日間浸漬後の重量増加率
Figure 2006002139
以上の結果より、比較用のエポキシ樹脂は、結晶の析出により成分の偏在化が起こり、微小な未硬化部分が硬化物中に存在し、そこに水分などが入り込みやすいことが推測され、半田リフロー時に膨れなどの不良を起こす可能性が増加する。これに対し本発明のエポキシ樹脂は溶剤に溶解して低温で保存しても、結晶の析出が起こりにくいため、樹脂組成物の保存安定性の向上に寄与するものである。
実施例7、比較例5
エポキシ樹脂としてNC−3000(日本化薬株式会社製 ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂)、硬化剤として実施例1、比較例2で合成したビフェニルノボラック型フェノール樹脂、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を用い、表4に示す割合(重量部)で配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、160℃、2時間、更に180℃、8時間で硬化させ、これを試料とし耐熱性、誘電特性試験を行った。また、上記と同じ配合物に更にフィラー(溶融シリカ)およびカップリング剤(KBM−330;信越化学工業株式会社製)を表4に示す割合で配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、160℃、2時間、更に180℃、8時間で硬化させ、これを試料とし、難燃性試験を行った。結果を表5に示す。なお、各試験は以下の方法で行った。
・耐熱性試験 ガラス転移温度(TMA):
真空理工(株)製 TM−7000、昇温速度 2℃/分
・誘電特性試験 誘電率、誘電正接
測定治具;1GHz空洞共振機(関東電子応用開発株式会社製)
ネットワークアナライザー:8719ET(アジレント・テクノロジー株式会社)
・難燃性試験:UL-94に準拠して測定
Figure 2006002139
なお、フィラーとカップリング剤の配合割合は、組成物中の内割で、重量基準で示した。
Figure 2006002139
表5より、本発明のフェノール樹脂を用いた硬化性樹脂組成物は、比較用の硬化性樹脂組成物に比べ、耐熱性、難燃性は遜色なく誘電特性優れていることが明らかである。

Claims (8)

  1. 式(1)
    Figure 2006002139
    (式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
    で表されるフェノール樹脂であり、全置換基Rのうち30モル%以上がメチル基であり、それ以外が水素原子であることを特徴とするフェノール樹脂。
  2. 下記式(2)
    Figure 2006002139
    (式中nは繰り返し数を表し、1〜5の整数を示す。)
    で示されるフェノール樹脂。
  3. 式(1)または式(2)におけるn=1である化合物の含有割合が40面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる)以上である請求項1または2記載のフェノール樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂をグリシジル化してなるエポキシ樹脂。
  5. エポキシ樹脂及び請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項4記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項4記載のエポキシ樹脂及び請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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