JP2005333619A - 薄膜圧電共振器及びその製造方法 - Google Patents

薄膜圧電共振器及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電気機械結合係数kt 2及びQ値が共に大きく、且つ下部電極の膜厚制御が容易な薄膜圧電共振器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板11;この基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14;平面パターン上、自己が占有する領域の内部に下部電極14のすべてを包含するように、下部電極14上に配置された圧電体15;この圧電体15上の上部電極16;基板11と圧電体15との間において、平面パターン上、圧電体15の占有する領域の境界に位置し、且つ占有する領域の内部において下部電極14と接続する中継電極13;占有する領域の境界から外部に延在した中継電極13に接続される下部電極配線17とを備える。
【選択図】 図3



Description

本発明は、薄膜圧電共振器に係り、特に、高周波フィルタ或いは高周波発振器として応用が可能な圧電体薄膜の厚み方向の縦振動を利用した薄膜圧電共振器及びその製造方法に関する。
近年の無線中心技術は飛躍的な発展を遂げ、更に高速伝送を目的とした開発が続けられている。情報伝達量の増大とともに周波数は更に高周波化が進み、更に高周波通信機器に対して小型、軽量化の要求が強くなってきている。無線機器は一般的に高周波(RF)を処理するRFフロントエンド部と、ディジタル信号処理を行うベースバンド(BB)部に大別される。この内、BB部は信号の変・復調をディジタル信号処理で行う部分であり、基本的にはLSIチップによって構成できるため、容易に小型化可能である。対して、RF部は高周波の信号をアナログ信号として増幅や周波数変換等を行う部分であり、LSIチップだけで構成するのは難しく、発信器やフィルタ等の多くの受動部品を含む複雑な構成となる。従来、移動体通信機器におけるRF及びIFフィルタとして、弾性表面波(SAW)素子が一般に使用されている。しかし、SAW素子の共振周波数は、櫛型電極間距離に反比例するという関係にあり、1GHzを超える周波数領域では、櫛型電極間距離が1μm以下となり、近年、求められている利用周波数の高周波数化への対応が難しくなっている。又、LiTaO等の特殊な基板を用いるために基本的に個別部品であり、小型化にも難点があった。
SAW素子に代り、近年注目を集めている共振器として、圧電薄膜の厚み方向の縦振動モードを利用した薄膜圧電共振器(FBAR)がある。この薄膜圧電共振器はバルク超音波(BAW)素子等とも称せられている。この薄膜圧電共振器では、共振周波数は、圧電体の音速及び膜厚によって定まり、通常1〜2μmの膜厚で2GHzに、又0.4−0.8μmの膜厚で5GHzに対応し、数十GHzまでの高周波化が可能である。又、Si基板上に形成することが比較的容易であり、小型化の要求に対してもメリットがある。
従来、代表的な薄膜圧電共振器の構造は、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されるように薄膜圧電共振器は、次の様な工程で製造される。初めに、Si基板上に異方性エッチングにより窪みが形成され、次に、基板上にエッチングしやすい犠牲層、例えば、ホウ素及び燐をドープしたシリケートガラス(BPSG)が形成される。その後、犠牲層は、その表面にSi基板面が露出するまで平坦に研磨され、この平坦研磨によってSi基板上の窪みには、犠牲層が残存し、その周辺は、Si基板面が露出される。残存犠牲層上に下部電極、圧電膜、上部電極が順に堆積され、その後、犠牲層に達するまで穴が穿けられ、選択エッチングにより犠牲層が除去されてキャビティが形成される。このようなプロセスにより薄膜圧電共振器が完成される。
特開2000−69594号公報
特許文献1に開示されたような薄膜圧電共振器を形成する場合、例えば犠牲層を形成した基板上に下部電極を形成し、更にその上部に圧電体膜を形成後、所望の面積に加工し、上部電極を形成する方法が一般的である。この際、圧電体形成後に水酸化カリウム(KOH)溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)等の溶液を用いたウェットエッチングやドライエッチング、例えば反応性イオンエッチング(RIE)等の加工法を用い、下部電極取出し部を形成する必要がある。圧電体としては一般的に窒化アルミニウム(AlN)或いは酸化亜鉛(ZnO)が用いられるが、特に半導体プロセスとの整合が良いAlNが広く用いられている。これらはいずれの方法でもエッチング速度が遅く、且つ加工を行い下部電極取出し部を形成する際下部電極との十分なエッチング選択比が取れ難いという問題点があった。このように選択比が十分でない場合、面内均一性等を考慮して過剰なエッチングをせざるを得ず、これにより、素子領域の一部分もしくは全体に渡り下部電極の膜厚が減少することによる直列抵抗上昇、表面荒れや変質によるコンタクト抵抗上昇が起こる。
薄膜圧電共振器の共振特性には、圧電性の強さの指標である電気機械結合係数kt 2と、共振の鋭さを表すQ値がある。更にQ値については、電気的インピーダンスが極小となる共振点におけるQ値と、電気的インピーダンスが極大となる反共振点におけるQ値がある。共振器を組み合わせてフィルタを構成した場合、フィルタの帯域幅は電気機械結合係数kt 2に比例し、帯域内の挿入損失は電気機械結合係数kt 2とQ値の積で表される性能指数に反比例する。電気機械結合係数kt 2は材料固有の値であり、結晶の純度を高め分極方向への結晶配向性を制御して所望の帯域幅が実現できれば、それ以上電気機械結合係数kt 2を大きくする必要はない。したがって、挿入損失を減らすためにはできるだけQ値を高くする必要がある。
共振のQ値に影響を及ぼす因子は、圧電体の弾性損失、電極の弾性損失、電極の直列抵抗であり、一方反共振のQ値に影響を及ぼす因子は、圧電体の弾性損失、電極の弾性損失、基板のコンダクタンス、圧電体の誘電損失である。発明者らの実験データの解析によれば、共振のQ値の起源は、下部電極の直列抵抗が最も大きな割合を占めており、一方、反共振点のQ値については、圧電体の弾性損失が支配的であった。これらの検討から、前述のようなエッチング不具合による下部電極の直列抵抗増大は共振点におけるQ値の劣化を引き起こし、薄膜圧電共振器の特性に大きな影響を及ぼすことが判明した。又、更にエッチングが過剰な場合には断線を引き起こすおそれもあった。
このような過剰なエッチングによる不具合を改善するために、圧電体とエッチング選択比が十分である材料を下部電極に選択する方法、下部電極材料の膜厚を厚くしてエッチングに対するマージンを取る方法や、エッチング速度を遅くして終点を検出しやすくする方法、等が取られてきた。
しかし、下部電極のエッチング選択比が十分であることを材料物性への要求に含めると、抵抗値、低弾性損失(内部摩擦)等との整合から、材料としての選択肢が狭くなる問題点がある。又、電極の厚さは共振特性そのものに影響が大きく、電極材料それぞれに最適膜厚がある。最適膜厚以外では共振周波数のシフトと共に、圧電性の強さの指標である電気機械結合係数kt 2の低下、共振の鋭さを表すQ値の劣化等が起きるため、過剰エッチングに対するマージンをとるために膜厚を厚くするにも限界がある。更に、終点を検出するためにエッチング速度を遅くすると、1回あたりの加工時間が長くなり、スループットの上昇を招くという問題点があった。
上記事情に鑑み、本発明は、電気機械結合係数kt 2及びQ値が共に大きく、且つ下部電極の膜厚制御が容易な薄膜圧電共振器及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、(イ)基板と、(ロ)この基板に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極と、(ハ)平面パターン上、自己が占有する領域の内部に下部電極のすべてを包含するように、下部電極上に配置された圧電体と、(ニ)この圧電体上の上部電極と、(ホ)基板と圧電体との間において、平面パターン上、圧電体の占有する領域の境界に位置し、且つ占有する領域の内部において下部電極と接続する中継電極と、(ヘ)占有する領域の境界から外部に延在した中継電極に接続される下部電極配線とを備え、圧電体の厚み方向のバルク振動を利用する薄膜圧電共振器であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、(イ)半導体基板と、(ロ)この半導体基板に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極と、(ハ)平面パターン上、下部電極と同一形状同一サイズで、下部電極上に配置された圧電体と、(ニ)この圧電体上の上部電極と、(ホ)半導体基板の表面に埋め込まれ、平面パターン上、圧電体の占有する領域の境界に位置し、且つ占有する領域の内部に位置し、下部電極と接続する半導体基板よりも低比抵抗の半導体領域からなる中継電極と、(ヘ)中継電極に接続される下部電極配線とを備え、圧電体の厚み方向のバルク振動を利用する薄膜圧電共振器であることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、(イ)基板上に中継電極を形成する工程と、(ロ)基板上に中継電極に接続される下部電極を形成する工程と、(ハ)平面パターン上、自己が占有する領域の境界が中継電極上を横切り、且つ占有する領域の内部において下部電極のすべてを包含するように、中継電極と下部電極の上に圧電体を形成する工程と、(ニ)圧電体上に上部電極を形成する工程と、(ホ)占有する領域の境界から外部に延在した中継電極に接続される下部電極配線を形成する工程とを含む薄膜圧電共振器の製造方法であることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、(イ)半導体基板の表面に、この半導体基板よりも低比抵抗の半導体領域からなる中継電極を埋め込む工程と、(ロ)半導体基板の上全面に中継電極を含んで下部電極用金属膜を形成する工程と、(ハ)下部電極の上全面に圧電体用絶縁膜を形成する工程と、(ニ)同一エッチングマスクを用いて、圧電体用絶縁膜と下部電極用金属膜を一括加工し、平面パターン上、同一形状同一サイズの下部電極及び圧電体を形成する工程と、(ホ)圧電体上に上部電極を形成する工程と、(ヘ)中継電極に接続される下部電極配線を形成する工程とを含む薄膜圧電共振器の製造方法であることを要旨とする。
本発明によれば、電気機械結合係数kt 2及びQ値が共に大きく、且つ下部電極の膜厚制御が容易な薄膜圧電共振器及びその製造方法を提供することができる。
薄膜圧電共振器における電極材料としては比抵抗値、弾性定数、密度等の材料定数から選択される。特に、下部電極として使用する場合は、下部電極の上部に堆積する圧電体の配向に影響する下地膜となるため、下部電極材料の結晶系や優先配向面とその配向性等も選択条件となる。このため、一般的には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の材料が下部電極として使用される。
本発明者らの実験的検討では、これらの下部電極材料の内、AlやTiはウェットエッチング・ドライエッチングのいかなる方法においても圧電体とのエッチング選択比が小さく、製造上のマージンが極めて低いことが明らかとなった。例えば、Alを下部電極とし、圧電体にAlNを用いた場合、塩素系のドライエッチングでの選択比(AlNエッチ速度/Alエッチ速度)が0.5程度となる。オーバーエッチングが発生した場合、下部電極の直列抵抗の増大を招きQ値が劣化するため、下部電極の目減り量を最小限にする必要があるが、選択比0.5以下程度に小さい場合では、エッチングの終点検出感度の変動やアンダーエッチングに対するマージンを十分とることが困難となり、製造上のマージンが極めて狭くなる。例えば、厚さ2μmのAlN膜を圧電体として用いる場合、エッチング終点検出から停止まで数秒の誤差で下部電極のAl膜厚が1/2となり、下部電極の抵抗が2倍以上に増加する。
又、W、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等は、圧電体とある程度の加工選択比は取れるものの、比重が大きいので下部電極の膜厚を数百nm以下と薄くする必要がある。特に使用周波数領域が高い共振器を形成する場合には局所的な過剰エッチングによる下部電極の直列抵抗増加で共振特性が劣化するなど、製造上のマージンが極めて狭いことが判明した。例えば、下部電極にMo膜を採用する場合、使用周波数が5G以上では、Moの下部電極の膜厚が100nm程度以下となり、やはりエッチング終点検出から停止までの僅かな誤差で、Q値の劣化が見られる。
本発明者らは、圧電体であるAlN或いはZnOの加工時に下部電極の抵抗上昇が起こりえない加工条件もしくは素子構造について広範囲に実験的な検討を重ねた結果、下部電極を外部配線に接続する引出し部に導電性薄膜からなる中継電極を形成することで、製造上のマージンが拡大し、且つ薄膜圧電共振器の特性が飛躍的に改善することを見出した。
この方法によれば、圧電体と加工選択比が大きい導電性材料を中継電極として形成しておけば良く、下部電極については材料及び膜厚に対してのプロセスマージンを考慮した制限は要らなくなる。又、中継電極の膜厚は直接共振器特性と関係しないために厚くすることが可能で、比抵抗値や加工選択比等を考えた場合の材料選択範囲も広くなる。又、加工条件の変動等、プロセスの不安定性に対するマージンも広がり、製造上のメリットは大きい。
又、本発明者らは、中継電極が特定の配向方位を有する場合に、プロセスマージンが更に広がることを見出した。AlN或いはZnOはウルツ鉱型構造を有するが、下地となる膜の配向方位によって圧電体自体の配向性も影響を受ける。圧電体が中継電極の上部でも配向している場合、下部電極上及び中継電極上での配向性に大きな差がなく、圧電体の粒径も比較的揃い、圧電体の膜質均一性が向上する。圧電体の膜質が均質でない場合、残留応力の影響により、圧電体の境界部におけるクラックの発生、ひいては膜剥がれ等の不具合が生ずる確率が高くなる。
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第6の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、以下に示す第1〜第6の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図1に示すように、(イ)基板11;(ロ)この基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14;(ハ)平面パターン上、自己が占有する領域の内部に下部電極14のすべてを包含するように、下部電極14上に配置された圧電体15;(ニ)この圧電体15上の上部電極16;(ホ)基板11と圧電体15との間において、平面パターン上、圧電体15の占有する領域の境界に位置し、且つ占有する領域の内部において下部電極14と接続する中継電極13;(ヘ)占有する領域の境界から外部に延在した中継電極13に接続される下部電極配線17とを備える。そして、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用する。
図1(a)に示す平面パターンにおいて、圧電体15の占有する領域の境界が中継電極13の上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から中継電極13の一部が圧電体15が占有する領域の外部に延在している。
中継電極13の断面は、図1(b)に示すような台形形状であるが、平面形状は、図1(a)に示すようにストライプ状であり、ストライプの長さは、下部電極配線17の配線幅よりも広めの寸法である。下部電極14の片側端部は、中継電極13の上部に形成され、下部電極14と中継電極13とは電気的に接続される。上部電極16と、下部電極配線17とはほぼ等しい配線幅であるが、下部電極14の配線幅は中継電極13のストライプの長さよりも長目の寸法である。
更に、基板11の裏面から基板11表面に向かって、下部電極14の底部を露出するキャビティ(空洞)18を備える。図1(a)に示すように、平面パターン上では、キャビティ18が占有する領域は、下部電極14が占有する領域の内部に収納されている。更に、図1(a)に示すように、平面パターン上では、下部電極14が占有する領域は、圧電体1の占有する領域の内部に収納されている。図1に示す薄膜圧電共振器は、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用するので、圧電体15及び下部電極14の厚みを調整することにより共振振動数が決定できる。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13は、(110)配向のbcc構造、(111)配向のfcc構造、或いは(0001)方位のhcp構造を有する。
(110)配向のbcc構造をなす金属材料の例はTa,Mo,W等である。(111)配向のfcc構造をなす金属材料の例は、Cu,Ir,Pt等である。(0001)方位のhcp構造をなす金属材料の例は、Ti,Ru等である。更に、中継電極13の材料として、W−Ta合金(Ta:0.01〜0.5)、Mo−Ta合金(Ta:0.01〜0.5)、W−Ti合金(Ti:0.01〜0.3)、Mo−Ti合金(Ta:0.01〜0.3)、Ti−W合金(W:0.01〜0.1)、Ti−Mo合金(Mo:0.01〜0.1)、Pt−Ir合金(Ir:0.01〜0.99)等の合金を用いても良い。W−Ta合金及びMo−Ta合金は、(110)配向のbcc構造、Pt−Ir合金は(111)配向のfcc構造、 W−Ti合金、Mo−Ti合金、Ti−W合金、Ti−Mo合金等の
Ti合金は(0001)方位のhcp構造になる。但し、完全に結晶を組まない混晶状態でも構わない。又、主に接着層として用いる下地層として、Ti、TiNを用いて、その上にこれらの金属又は合金を採用しても良い。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13は、上記のような、六方晶系のウルツ鉱型構造の(0001)方位と整合性の良い特定の配向方位を有する。このため、圧電体15としてウルツ鉱型構造のAlN或いはZnOを採用すれば、下地となる中継電極13の配向方位によって圧電体15自体の配向性も影響を受ける。AlNやZnO等の六方晶系の結晶は本来c軸配向しやすい性質を持っているが、中継電極13の配向を(110)配向bcc構造、(111)配向fcc構造、或いは(0001)方位hcp構造とすることにより、c軸、即ち(0001)方向に圧電体15を単一配向させることが容易になる。即ち、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器においては、圧電体15の配向方位と中継電極13の配向方位が同一方向に沿っている。
圧電体15の分極軸(配向方位)をc軸方向に揃えることにより、圧電体15としての電気機械結合係数kt 2やQ値を確保しやすくなる。圧電体15が中継電極13の上部でも配向している場合、下部電極14上及び中継電極13上での配向性に大きな差がなく、圧電体15の粒径も比較的揃い、圧電体15の膜質均一性が向上する。圧電体15が均質でない場合、残留応力の影響により、圧電体15の境界部におけるクラックの発生ひいては膜剥がれ等の不具合が生ずる確率が高くなる。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13の材料としては、上述したTa,Mo,W,Ni,Co,Cr,Cu,Ti,Ir,Ru,Ptから選ばれた少なくとも一種を含む金属膜が、比抵抗値及び加工時のエッチング選択比を考慮した場合にも好ましい材料である。
そして、圧電体15の膜質均一化の観点から、中継電極13の端部におけるテーパ角は45°以下が望ましく、より好ましくは30°以下が良い。45°以上のテーパ角では、中継電極13の端部斜面において、圧電体15に配向方位の傾きが異なる粒界が発生し、やはりクラック等の発生率が高くなる可能性がある。但し、中継電極13の端部におけるテーパ角が10°以下になると、中継電極13の占める占有面積が相対的に大きくなり、面積効率が低下するので、小型化の目的には適合できなくなる。
例えば、膜厚500nmのMo膜を用いて、中継電極13を形成した場合において、X線回折によるMo(110)配向半値幅(ロッキングカーブ半値幅)は2°であり、Mo膜の中継電極13は強い(110)配向性を示していた。更に、中継電極13端面におけるテーパ角度はケミカルドライエッチ(CDE)により、20°となった。この結果はMo膜の中継電極13が強い(110)配向性を有することを示している。この膜厚500nmのMo膜の中継電極13と膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14の上に厚さ2μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、中継電極13に膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を形成した薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価した結果は、共振周波数が2.0GHz、電気機械結合係数kt 2は6.5%、Q値は共振点で900、反共振点で800であり、非常に優れた特性である。
図2を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)まず、Si(100)基板等の基板11を用意する。この基板に熱酸化法等により絶縁膜12を形成する。更に、絶縁膜12の上に、膜厚200〜800nm、好ましくは400〜600nmのTa,Mo,W,Ni,Co,Cr,Cu,Ti,Ir,Ru,Ptから選ばれた少なくとも一種を含む金属膜をRFマグネトロンスパッタリング等を用いて形成する。その後、フォトリソグラフィ及びフッ素系ガスを用いたケミカルドライエッチング(CDE)法によりパターニングして、図2(a)に示すような断面形状の中継電極13を形成する。中継電極13の平面形状は、例えば、図1(a)に示すようなストライプ状のパターンにすれば良い。
(ロ)次に、RFマグネトロンスパッタリング等を用いて膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜等の金属膜を、絶縁膜12及び中継電極13上に堆積する。そして、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE)によるパターニングを行い、下部電極14のパターンを図2(b)に示すようにを形成する。
中継電極13がMo膜、下部電極14がAl膜の場合は、塩化物系ガスを用いたRIEで下部電極14をパターニングすれば良い。この際、下部電極14の片側端部が中継電極13の上部に形成され、下部電極14と中継電極13とは電気的に接続される。
(ハ)その後、図2(c)に示すように、RFマグネトロンスパッタリング法等により厚さ0.5〜3μmのウルツ鉱型構造の圧電体材料膜を下部電極14及び中継電極13の上に堆積する。圧電体材料膜の厚さは、共振周波数により異なり、圧電体材料膜がAlNで共振周波数を2.0GHz程度にするのであれば、厚さ2μm程度にすれば良い。そして、フォトリソグラフィ及びRIEにより図2(d)に示すように、AlN膜をにパターニングし圧電体15を形成する。圧電体材料膜がAlNで、中継電極13がMoの場合は、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜を選択的にエッチングでき、中継電極13がエッチストッパ層として機能する。AlN膜のパターニングは、圧電体15の片方の端部が中継電極13の上に位置するようにパターニングし、圧電体15の端部の裾から中継電極13の一部を露出させる。Mo以外でも、中継電極13として、W、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用しておけば、圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が取れ、中継電極13が圧電体15のパターニングにおけるエッチストッパ層として機能する。
(ニ)引き続き150〜600nm、好ましくは250〜350nmの金属膜を圧電体15、露出した中継電極23及び絶縁膜12の上を含んで全面に堆積後、フォトリソグラフィ及び選択エッチングにより、図2(d)に示すように、上部電極16及び下部電極配線17を形成する。金属膜がAl膜、圧電体15がAlN膜、中継電極13がMoであれば、非酸化性の酸、例えば塩酸によるウェットエッチングにより、上部電極16及び下部電極配線17を形成すれば良い。下部電極配線17は、圧電体15の端部の裾から露出した中継電極13に電気的に接続される。
(ホ)その後、基板11を厚さ100〜300nm、好ましくは150〜250nm、例えば200nmの厚さになるまで研磨により厚み調整をする。その後、基板11の裏面をフォトリソグラフィでエッチングマスクを形成する。基板11がSi基板の場合は、フッ化物系のガスを用いたRIEにより基板11を裏面側からエッチングし、図2(e)に示すように、キャビティ18pを形成する。その後キャビティ18pの底部に残った絶縁膜12を、ウェットエッチング及びフッ化物系のガスを用いたRIEを併用して除去すれば、図1(b)に示す断面構造が完成する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る薄膜圧電共振器であり、基板11と、
この基板11上に形成された絶縁膜12,この絶縁膜12上に形成された下部電極14及び中継電極13と、この下部電極14及び中継電極13の上に形成された圧電体15と、この圧電体15上に形成された上部電極16と、中継電極13に電気的に接続された下部電極配線17とを備える点では図1と同様である。しかし、アモルファス金属層(非晶質金属層)が下部電極14の下に形成されている点が図1に示す構造とは異なる。アモルファス金属層37としては、厚さ5〜100nm、好ましくは15〜30nm程度のTa−Al合金膜やTiB膜等が使用できる。即ち、下部電極14と絶縁膜12との間にアモルファス金属層37を形成することにより、この上に形成したAlN膜のc軸配向性が格段に向上し、アモルファス金属層37を形成しない場合に対し、薄膜圧電共振器の性能である電気機械結合係数kt 2及びQ値を高めることができる。例えば、Ta−Al合金膜は、Ta及びAlターゲットとアルゴンガスを使用し、基板温度を室温として、RFマグネトロンスパッタリング等で堆積できる。Ta−Al合金膜はエッチングガスとしてオクタフルオロシクロブタン(C48)などのフッ素系ガスを使用してRIEで選択的にエッチングできる。
第1の実施の形態の変形例に係る薄膜圧電共振器の中継電極13の断面は、図3に示すような台形形状である点は図1に示した構造と同様であり、平面形状も図1(a)に示したようなストライプ状である。下部電極14の片側端部は、中継電極13の上部に形成され、下部電極14と中継電極13とは電気的に接続される。更に、基板11の裏面から基板11表面に向かって、下部電極14の底部を露出するキャビティ(空洞)18を備える。
図3に示す第1の実施の形態の変形例に係る薄膜圧電共振器では下部電極14の下にアモルファス金属層37が設けられ、下部電極14との二層構造をなしている。例えば、下部電極14がAl膜で、アモルファス金属層37がTa−Al合金膜の場合、Ta−Al合金膜はAl膜に比べて比重が大きく重たく、更に二層構造による膜厚増加も加わり、薄膜圧電共振器の高周波特性の向上を妨げるので、キャビティ18の底部に露出したアモルファス金属層37を選択的に除去すれば、高周波特性が更に向上する。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の比較例として中継電極13を有しない構造を示す。即ち、図4に示す比較例に係る薄膜圧電共振器は、膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14cの上に厚さ2μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、下部電極14cに直接、膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を接続した構造である。
第1の実施の形態の比較例に係る薄膜圧電共振器は、図4のB部において、エッチング過剰もしくはアフターコロージョンにより断線している。これらの不良の発生率は、全体の40%程度まで及ぶ。又、断線しない場合でも、エッチング過剰により、下部電極14cの直列抵抗が増大している。
上記寸法の第1の実施の形態の比較例に係る薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価したところ、共振周波数が2.0GHzで、電気機械結合係数kt 2は5.5%であったが、Q値は共振点で150、反共振点で100と悪い。又、フィッティングにより求めた共振器の下部電極14cの直列抵抗は15Ω以上が殆どとなっている。
図5を用いて、第1の実施の形態の比較例に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する:初めに、図5(a)に示すように、熱酸化膜からなる絶縁膜12が形成されたSi(100)基板11上に、RFマグネトロンスパッタリング等を用いて膜厚300nmのAl膜を形成し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによるパターニングを行い、図5(b)に示すように、下部電極14cを形成する。その後、RFマグネトロンスパッタリング法等により2μmの圧電体15としてAlNを形成し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEにより、図5(c)に示すように、圧電体15を形成する。この際、AlNがエッチングされ下部電極14cのAl膜が露出した直後にエッチングを終了させるように、プラズマ分光による終点検出を行い下部電極14cの過剰なエッチングを防止する。引き続き300nmのAl膜を形成後、フォトリソグラフィ及び酸、例えば硝酸(HNO3)、酢酸(CH3COOH)、燐酸(H3PO4)の混酸によるウェットエッチングにより、図5(d)に示すように、上部電極16及び下部電極配線17cを形成する。その後、Si基板11を厚さ200nmに研磨し、裏面にフォトリソグラフィによりエッチングマスクを形成し、フッ化物系のガスを用いたRIEによりSi基板11を選択的にエッチングし、図5(e)に示すようなキャビティ18pを形成する。その後キャビティ18pの底部に露出した絶縁膜12を、ウェットエッチング及びフッ化物系のガスを用いたRIEを併用して除去すれば、図4に示す第1の実施の形態の比較例に係る薄膜圧電共振器が完成する。
図5に示す比較例に係る薄膜圧電共振器の製造方法から理解できるように、図2に示した第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、中継電極13として、W、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用することにより、圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が確保できるので、中継電極13は、圧電体15のパターニングにおける下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。このため、下部電極14がエッチング過剰により薄くなったり、アフターコロージョンにより断線することもない。又、下部電極14がエッチング過剰により、設計値よりも直列抵抗が増大することも防止でき、GHz帯等における良好な高周波特性が容易に得られる。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、圧電体15と加工選択比が大きい導電性材料を中継電極13として形成しておけば良く、下部電極14については材料及び膜厚に対してのプロセスマージンを考慮した制限は要らなくなる。又、中継電極13の膜厚は直接、薄膜圧電共振器の特性と関係しないために厚くすることが可能で、比抵抗値や加工選択比等を考えた場合の材料選択範囲も広くなる。又、加工条件の変動等、プロセスの不安定性に対するマージンも広がり、製造上のメリットは大きい。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を利用したマイクロメカニカルフィルタの例を図6に示す。図6に示す梯子型フィルタ41は、4個の薄膜圧電共振器F1,F2,F3,F4が直並列接続されるように配列されて構成されている。図6に示す梯子型フィルタ41の現実の構造は、種々のトポロジーがあり得る。例えば、図6の入力ポートPinの一方の端子(図6で上側の端子)と他方の端子(図6で下側の端子)に、それぞれ薄膜圧電共振器F4の上部電極16と下部電極配線17が接続され、薄膜圧電共振器F4の上部電極16に薄膜圧電共振器F3の上部電極16が接続され、薄膜圧電共振器F3の下部電極配線17に薄膜圧電共振器F1及びF2のそれぞれの上部電極16が接続されるように、同一基板上にモノリシックに構成できる。
又、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図7に示すようにバリアブルキャパシタンスC2及び増幅器105と組み合せて移動体通信機の電圧制御発振器(VCO)に利用することができる。即ち、図7では、バリアブルキャパシタンスC2と固定キャパシタンスC1に、それぞれ薄膜圧電共振器101の上部電極16と下部電極配線17とが接続され、薄膜圧電共振器101の上部電極16には更に抵抗R2の一方の端子が接続されている。抵抗R2の他方の端子と、薄膜圧電共振器101の下部電極配線17との間には、
増幅器105と帰還抵抗R1との並列回路が接続されている。増幅器105の入力端子には、帰還抵抗R1により増幅器105の出力端子の信号が正帰還し、薄膜圧電共振器101の共振周波数で発信する。バリアブルキャパシタンスC2は、可変容量ダイオード(バリキャップ)で構成すれば良く、バリアブルキャパシタンスC2により発振周波数の調整を行う。図7に示した、バリアブルキャパシタンスC2、固定キャパシタンスC1、薄膜圧電共振器101、抵抗R2,R1及び増幅器105は、同一基板上にモノリシックに構成しても良く、ハイブリッドに集積化しても構わない。
図8には、図6に示すマイクロメカニカルフィルタを、高周波(RF)フィルタ41及び中間周波数(IF)フィルタ42として備える携帯型情報端末の受信回路を示す。
図8に示す携帯型情報端末の受信回路は、RFフロントエンド部として、図6に示したマイクロメカニカルフィルタによるRFフィルタ41、RFフィルタ41に接続されたミキサ48、ミキサ48に接続された局部発振器49を備える。ミキサ48は、RFフィルタ41の出力するRF信号と局部発振器49の出力するRF信号とを混合し、例えば200MHz〜500MHzの中間周波数(IF)の信号を生成する。RFフィルタ41にはアンテナスイッチ47を介して、第1アンテナ45及び第2アンテナ46が接続されている。図8において、2本の、第1アンテナ45及び第2アンテナ46が接続されているがこれは例示であり、アンテナの本数は2本に限定されない。
ミキサ48で混合された第1アンテナ45及び第2アンテナ46が受信したRF信号と局部発振器49の出力するRF信号とは、図6に示したマイクロメカニカルフィルタによるIFフィルタ42に伝達される。IFフィルタ42には、増幅器50が接続され、増幅器50には、I/Q復調回路を備えるレシーバLSIチップ3が接続されている。レシーバLSIチップ3には、共振器58を備えたIQ発信器57が接続されている。IFフィルタ42により、第1アンテナ45及び第2アンテナ46が受信したRF信号と局部発振器49の出力するRF信号との差の周波数が抽出され、増幅器50により、差の周波数であるIF信号が増幅され、安定化される。このIF信号は、レシーバLSIチップ3により直交位相復調され、互いに90°位相がずれたI信号及びQ信号が生成される。レシーバLSIチップ3が備えるミキサ51及びミキサ52において、更に低周波、例えば10MHz以下のベースバンドI信号及びベースバンドQ信号がそれぞれ生成される。ベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、それぞれ、増幅器53,54で増幅された後、ベースバンドフィルタ43,44に入力される。ベースバンドフィルタ43,44を介したベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、更に、A−D変換器55,56でディジタル信号に変換され、図示を省略したディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)に入力される。即ち、ベースバンドフィルタ43及びベースバンドフィルタ44を介してそれぞれ抽出されたベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、A−D変換器55及びA−D変換器56により、ディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号となり、ディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)により信号処理される。
図9は、携帯型情報端末の送信回路2を示す。送信回路2のベースバンド処理部にはディジタルベースバンドプロセッサ(DBBP)からのディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号をアナログ信号に変換するD−A変換器65,66がそれぞれ備えられている。ディジタルのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号は、D−A変換器65及びD−A変換器66により、アナログのベースバンドI信号及びベースバンドQ信号となり、ベースバンドフィルタ61及びベースバンドフィルタ62を介して、変調器LSIチップ5の増幅器88,89に入力される。
変調器LSIチップ5は、増幅器88,89と、増幅器88,89に接続されたミキサ85,86を備える。変調器LSIチップ5は、更に、発振器60及び移相器87を備える。ミキサ85及びミキサ86には、発振器60からの搬送波のRF周波数が、移相器87により互いに90°位相がずらされて供給される。増幅器88,89の出力は、ミキサ85,86において発振器60からの搬送波のRF周波数と混合され、変調される。変調器LSIチップ5は、更に、加算器84及び加算器84の出力に接続された増幅器83を備える。ミキサ85及びミキサ86の出力は、加算器84に入力され、加算器84の出力は増幅器83に入力される。増幅器83の出力は、送信回路2のRFフロントエンド部を構成するMMIC4に供給される。MMIC4には多段接続されたマイクロ波用パワートランジスタ81,82を備え、RF増幅後、アンテナスイッチ47を介して、第1アンテナ45及び第2アンテナ46に供給される。
図8及び図9に示す携帯型情報端末においては、空洞共振器やインダクタを用いたLC回路の代わりに、小型のマイクロメカニカルフィルタを、RFフィルタ41及びIFフィルタ42として用いているので、小型薄型、且つ低消費電力の1〜5GHz程度のマイクロ波帯域で使用可能な携帯型情報端末が実現できる。勿論、図8のベースバンドフィルタ43,44、或いは図9のベースバンドフィルタ61,62等の、低周波領域におけるフィルタ等にも適用可能であるが、図6に示したマイクロメカニカルフィルタの高周波特性を鑑みれば、300MHz以上、特に1〜5GHz程度のマイクロ波帯域におけるフィルタに用いるのが好適である。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図10に示すように、基板11と、この基板11上に形成された絶縁膜12,この絶縁膜12上にキャビティ(空洞)19を介して、一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14と、下部電極14の片側端部の上部に一部を積層し、下部電極14に電気的に接続された中継電極13と、この下部電極14及び中継電極13の上に形成された圧電体15と、この圧電体15上に形成された上部電極16と、中継電極13に電気的に接続された下部電極配線17とを備える。図10では断面図のみを示し、平面パターンは、基本的に図1(a)と同様であるので図示を省略している。しかし、圧電体15は、平面パターン上、圧電体15が占有する領域の内部に下部電極14のすべてを包含している。そして、図1(a)に示す平面パターンと同様に、圧電体15の占有する領域の境界が中継電極13の上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から中継電極13の一部が圧電体15の占有する領域の外部に延在している。
キャビティ19は、図10に示すように断面が台形形状である。圧電体15の底部(腹部)の一部はキャビティ19の片側の斜面近傍においてキャビティ19のなす空間に露出し、一部中空状態になっている。中継電極13の断面は、図10に示すようなZ型の段差形状であるが、その両側の端面は図1と同様にテーパ形状である。中継電極13の端部におけるテーパ角は、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様に45°以下が望ましく、好ましくは30°以下10°以上である。中継電極13の端部におけるテーパ角が10°以下も原理的には可能であるが、中継電極13の占める占有面積が相対的に大きくなり、面積効率が低下する欠点を呈するようになる。中継電極13の平面形状は、図1(a)に示したストライプ状と類似な平面パターンである。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器とは異なり、下部電極14の片側端部は中継電極13の下部に潜り込み下部電極14と中継電極13とは電気的に接続される。図10に示す薄膜圧電共振器も、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用し、圧電体15及び下部電極14の厚みを調整することにより共振振動数が決定できることは、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様である。又、第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13も、(110)配向のbcc構造、(111)配向のfcc構造、或いは(0001)方位のhcp構造を有し、六方晶系のウルツ鉱型構造の(0001)方位と整合性の良い特定の配向方位を有する。このため、圧電体15としてウルツ鉱型構造のAlN或いはZnOを採用すれば、AlNやZnO等の六方晶系の結晶はc軸、即ち(0001)方向に圧電体15を単一配向させることが容易になる。圧電体15の分極軸をc軸方向に揃えられるので、圧電体15としての電気機械結合係数kt 2やQ値を確保しやすくなる。このため、第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13の材料としては、第1の実施の形態で説明したTa,Mo,W,Ni,Co,Cr,Cu,Ti,Ir,Ru,Ptから選ばれた少なくとも一種を含む金属膜が好ましい材料であることは、第1の実施の形態と同様であり、他の重複した説明を省略する。
例えば、膜厚500nmのIr膜を用いて、中継電極13を形成し、中継電極13と膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14の上に厚さ2μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、中継電極13に膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を形成した薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価した結果は、共振周波数が2.0GHz、電気機械結合係数kt 2は6.2%、Q値は共振点で600、反共振点で550と非常に優れた特性の薄膜圧電共振器が得られる。
図11を用いて、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)初めに、熱酸化膜等の絶縁膜12が形成されたSi(100)基板11上に、膜厚0.5〜2μm、好ましくは0.8〜1.5μm、例えば1μmのMo膜をRFマグネトロンスパッタリング法等により形成し、フォトリソグラフィ及びフッ素系ガスを用いたCDE法によりパターニングして、図11(a)に示すように、Mo犠牲層21を形成する。平面図の図示を省略しているが、Mo犠牲層21の平面パターンは、矩形パターンにストライプ状の枝部が直交するように設けられた形状である。ストライプ状の枝部は2本以上設けても良い。
(ロ)次に、RFマグネトロンスパッタリング等を用いて膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜を堆積し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによるパターニングを行い、下部電極14を形成する。更に、フォトリソグラフィによりパターン形成を行い、膜厚200〜800nm、好ましくは400〜600nmのIr膜をRFマグネトロンスパッタリング法等により形成し、n−メチルピロリドン(NMP)液中で60分浸漬することでリフトオフし、図11(b)に示すように中継電極13を形成する。
(ハ)その後、図11(c)に示すように、RFマグネトロンスパッタリング法等により、厚さ0.5〜3μmのAlN膜を下部電極14及び中継電極13の上に堆積する。共振周波数を2.0GHz程度にするのであれば、AlN膜の厚さを厚さ2μm程度にすれば良い。そして、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEにより圧電体15を形成する。このRIEによるAlN膜のパターニングは、圧電体15の片方の端部が中継電極13の上に位置するようにパターニングし、圧電体15の端部の裾から中継電極13の一部を露出させる。更に、平面パターンにおいては、Mo犠牲層21の矩形パターンに設けられたストライプ状の枝部が圧電体15の端部の裾から露出する。中継電極13にMoを採用しているので、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜を選択的にエッチングでき、中継電極13は下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。Ir以外でも、中継電極13として、W、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用しておけば、AlN膜等の圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が取れ、中継電極13が圧電体15のパターニングにおけるエッチストッパ層として機能する。
(ニ)引き続き、膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜を圧電体15、露出した中継電極23及び絶縁膜12の上を含んで全面に堆積後、フォトリソグラフィ及び非酸化性の酸、例えば塩酸によるウェットエッチングにより、図11(d)に示すように、上部電極16及び下部電極配線17を形成する。
(ホ)その次に、温度を50℃にした過酸化水素(H)溶液に10分間浸漬すると、
圧電体15の端部の裾から露出したMo犠牲層21のストライプ状の枝部がエッチングされる。ストライプ状の枝部のエッチングが進行するにつれ、圧電体15の底部(腹部)に埋め込まれたMo犠牲層21へのエッチング液経路が形成される。そして、エッチング液経路を介して、Mo犠牲層21をエッチングし、図10に示すようなキャビティ19が形成される。過酸化水素(H)溶液によるエッチングの後、イソプロピルアルコールでリンスの後、乾燥させる。
第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、中継電極13として、W、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用することにより、圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が確保できるので、中継電極13は、圧電体15のパターニングにおける下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。このため、下部電極14がエッチング過剰により薄くなったり、アフターコロージョンにより断線することもない。又、下部電極14がエッチング過剰により、設計値よりも直列抵抗が増大することも防止でき、GHz帯等における良好な高周波特性が容易に得られる。
第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、圧電体15と加工選択比が大きい導電性材料を中継電極13として形成しておけば良く、下部電極14については材料及び膜厚に対してのプロセスマージンを考慮した制限は要らなくなる。又、中継電極13の膜厚は直接、薄膜圧電共振器の特性と関係しないために厚くすることが可能で、比抵抗値や加工選択比等を考えた場合の材料選択範囲も広くなる。又、加工条件の変動等、プロセスの不安定性に対するマージンも広がり、製造上のメリットは大きい。
なお、図11(b)のAl膜堆積する工程の前に、厚さ5〜100nm、好ましくは15〜30nm程度のTa−Al合金膜やTiB膜等のアモルファス金属層をMo犠牲層21を含んで全面に堆積することが好ましい。下部電極14とMo犠牲層21との間にアモルファス金属層を形成することにより、この上に形成したAlN膜のc軸配向性が格段に向上し、アモルファス金属層を形成しない場合に対し、薄膜圧電共振器の性能である電気機械結合係数kt 2及びQ値を高めることができるからである。キャビティ18の底部に露出したアモルファス金属層を選択的に除去すれば、高周波特性が更に向上することは、第1の実施の形態の変形例で指摘したとおりである。
第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、第1の実施の形態で図6を用いて説明した梯子型フィルタ41や、図7を用いて説明したVCOに利用することができる。更に、第1の実施の形態の図8及び図9に示したような携帯型情報端末において、第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器をマイクロメカニカルフィルタとして用い、RFフィルタ41やIFフィルタ42として用いることも可能である。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図12に示すように、基板11と、この基板11上に形成された絶縁膜12,この絶縁膜12を貫通し基板11に至るように埋め込まれた舟形(逆台形)もしくはU字型溝の中継電極23、絶縁膜12上及び中継電極23上に形成された下部電極14と、この下部電極14及び中継電極23の上に形成された圧電体15と、この圧電体15上に形成された上部電極16と、中継電極23に電気的に接続された下部電極配線17とを備える。図12では断面図のみを示し、平面パターンは、基本的に図1(a)と同様であるので図示を省略している。しかし、圧電体15は、平面パターン上、圧電体15が占有する領域の内部に下部電極14のすべてを包含している。そして、図1(a)に示す平面パターンと同様に、圧電体15の占有する領域の境界が中継電極23の上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から中継電極23の一部が圧電体15が占有する領域の外部に延在している。
中継電極23の平面形状は、図1(a)に示したと同様なストライプ状である。下部電極14の片側端部は、中継電極23の上部の一部に形成され、下部電極14と中継電極23とは電気的に接続される。更に、基板11の裏面から基板11表面に向かって、下部電極14の底部を露出するキャビティ(空洞)18を備える。このため、キャビティ18により、下部電極14は、基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持される。そして、図12に示す薄膜圧電共振器は、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用するので、圧電体15及び下部電極14の厚みを調整することにより共振振動数が決定できる。
第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極23も、第1及び第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様に、(110)配向のbcc構造、(111)配向のfcc構造、或いは(0001)方位のhcp構造を有する。このような、六方晶系のウルツ鉱型構造の(0001)方位と整合性の良い特定の配向方位に選定することにより、c軸、即ち(0001)方向に圧電体15を単一配向させることが容易になる。このため、圧電体15の分極軸がc軸方向に揃うので、圧電体15としての電気機械結合係数kt 2やQ値を確保しやすくなる。第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極23の材料としては、第1及び第2の実施の形態で説明したTa,Mo,W,Ni,Co,Cr,Cu,Ti,Ir,Ru,Ptから選ばれた少なくとも一種を含む金属膜好ましいことは、同様である。更に他の特徴も、第1及び第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様であるので、重複した説明を省略する。
第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器とは異なり、中継電極23は舟形(逆台形)であり、中継電極23の端部における逆テーパ角は、圧電体15に配向方位に影響を与えることはない。したがって、逆テーパ角は45°以上でも構わない。但し、中継電極23の端部におけるテーパ角が90°、即ち垂直側壁の場合が、中継電極23の占める占有面積が最小になり、面積効率的には好ましい。中継電極23の端部におけるテーパ角が90°以上になると、再び、中継電極23の占める占有面積が相対的に大きくなる傾向になるので、面積効率が低下し、小型化の目的には適合できなくなる。
例えば、膜厚400nmのW膜の中継電極23と膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14の上に厚さ2.5μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、中継電極23に膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を形成した薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価した結果は、共振周波数が2.0GHz、電気機械結合係数kt 2は6.5%、Q値は共振点で800、反共振点で680と非常に優れた特性の薄膜圧電共振器が得られる。
図13を用いて、本発明の第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)まず、図13(a)に示すように、熱酸化膜等の絶縁膜12が形成されたSi(100)基板11上に、フッ素系ガスを用いたRIEにより深さ200〜800nm,好ましくは300〜500nmの舟形(U型)の溝部を形成する。
(ロ)次いで、溝部の深さが、例えば、400nmであれば、膜厚600nm程度のW膜をRFマグネトロンスパッタ法により形成し、化学的機械研磨(CMP)法により平坦化して中継電極23を形成する。その次に、RFマグネトロンスパッタを用いて膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜を絶縁膜12及び中継電極23の上に形成し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによるパターニングを行い、図13(b)に示すように、下部電極14を形成する。この際、下部電極14の片側端部が中継電極23の上部に形成され、下部電極14と中継電極23とは電気的に接続される。
(ハ)その後、図13(c)に示すように、RFマグネトロンスパッタ法により例えば、2.5μmのAlN膜15を、下部電極14及び中継電極23の上に堆積する。更に、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによりパターニングし、圧電体15を形成する。AlN膜のパターニングは、 図13(d)に示すように、圧電体15の片方の端部が中継電極23の上に位置するようにパターニングし、圧電体15の端部の裾から中継電極23の一部を露出させる。中継電極23にWを採用しているので、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜を選択的にエッチングでき、中継電極23は下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。
(ニ)引き続き、膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nm程度のAl膜を圧電体15、露出した中継電極23及び絶縁膜12の上に堆積後、フォトリソグラフィ及び非酸化性の酸、例えば塩酸によるウェットエッチングにより、図13(d)に示すように、上部電極16及び下部電極配線17を形成する。下部電極配線17は、圧電体15の端部の裾から露出した中継電極23に電気的に接続される。
(ホ)次に、基板11を100μm厚まで研磨した後、両面アライナーにより裏面のフォトリソグラフィを行い、基板11の裏面にエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを用い、CFとSFガスを用いたRIEによりSiからなる基板11を裏面からエッチングして図13(e)に示すように、キャビティ18pを形成する。又、引き続きフッ素系ガスを用いたRIEを行い、図12に示すように、キャビティ18pの底部に露出した絶縁膜12を除去する。
なお、図13(b)のW膜を溝部に埋め込んで中継電極13をパターニングした後に、厚さ5〜100nm、好ましくは15〜30nm程度のTa−Al合金膜やTiB膜等のアモルファス金属層を全面に堆積することが好ましい。下部電極14と絶縁膜12との間にアモルファス金属層を形成することにより、この上に形成したAlN膜のc軸配向性が格段に向上し、アモルファス金属層を形成しない場合に対し、薄膜圧電共振器の性能である電気機械結合係数kt 2及びQ値を高めることができるからである。キャビティ18の底部に露出したアモルファス金属層を選択的に除去すれば、高周波特性が更に向上することは、第1の実施の形態の変形例で指摘したとおりである。
第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法においては、W膜からなる中継電極23について説明したが、中継電極23は、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の他の材料を採用しても良いことは勿論である。中継電極23として、これらのW、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用することにより、圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が確保でき、中継電極23は、圧電体15のパターニングにおける下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。このため、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14がエッチング過剰により薄くなったり、アフターコロージョンにより断線することもない。又、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14がエッチング過剰により、設計値よりも直列抵抗が増大することも防止でき、GHz帯等における良好な高周波特性が容易に得られる。
第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、圧電体15と加工選択比が大きい導電性材料を中継電極23として形成しておけば良く、下部電極14については材料及び膜厚に対してのプロセスマージンを考慮した制限は要らなくなる。又、中継電極23の膜厚は直接、薄膜圧電共振器の特性と関係しないために厚くすることが可能で、比抵抗値や加工選択比等を考えた場合の材料選択範囲も広くなる。又、加工条件の変動等、プロセスの不安定性に対するマージンも広がり、製造上のメリットは大きい。
第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、第1の実施の形態で図6を用いて説明した梯子型フィルタ41や、図7を用いて説明したVCOに利用することができる。更に、第1の実施の形態の図8及び図9に示したような携帯型情報端末において、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器をマイクロメカニカルフィルタとして用い、RFフィルタ41やIFフィルタ42として用いることも可能である。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図14に示すように、基板11と、この基板11の表面に形成された舟形(逆台形)のキャビティ(空洞)20を介して、基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14と、キャビティ20から離間した基板11の表面に形成され、下部電極14に電気的に接続された中継電極13と、この下部電極14及び中継電極13の上に形成された圧電体15と、この圧電体15上に形成された上部電極16と、中継電極13に電気的に接続された下部電極配線17とを備える。図14では断面図のみを示し、平面パターンは、基本的に図1(a)と同様であるので図示を省略している。しかし、圧電体15は、平面パターン上、圧電体15が占有する領域の内部に下部電極14のすべてを包含している。そして、図1(a)に示す平面パターンと同様に、圧電体15の占有する領域の境界が中継電極13の上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から中継電極13の一部が圧電体15が占有する領域の外部に延在している。
中継電極13の両側の端面は図1と同様にテーパ形状である。中継電極13の端部におけるテーパ角は、第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様に45°以下が望ましく、好ましくは30°以下10°以上である。中継電極13の平面形状は、図1(a)に示したストライプ状と類似な平面パターンである。下部電極14の片側端部は、中継電極13のテーパ状の端面に接し、更に中継電極13の上部の一部まで延在している。図14に示す薄膜圧電共振器も、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用し、圧電体15及び下部電極14の厚みを調整することにより共振振動数が決定できることは、第1〜第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様である。
第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の中継電極13も、(110)配向のbcc構造、(111)配向のfcc構造、或いは(0001)方位のhcp構造を有し、六方晶系のウルツ鉱型構造の(0001)方位と整合性の良い特定の配向方位を有する。このため、圧電体15としてウルツ鉱型構造のAlN或いはZnOを採用すれば、AlNやZnO等の六方晶系の結晶はc軸、即ち(0001)方向に圧電体15を単一配向させることが容易になる。圧電体15の分極軸をc軸方向に揃えられるので、圧電体15としての電気機械結合係数kt 2やQ値を確保しやすくなる。他は、第1〜第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
例えば、膜厚400nmのMo膜を用いて、中継電極13を形成し、中継電極13と膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14の上に厚さ2.5μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、中継電極13に膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を形成した薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価した結果は、共振周波数が2.1GHz、電気機械結合係数kt 2は6.3%、Q値は共振点で700、反共振点で580であり、非常に優れた特性である。
図15を用いて、本発明の第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)初めに、Si(100)基板11上に、フッ素系ガスを用いたRIEにより図15(a)に示すように、深さ0.5〜2μm、好ましくは0.8〜1.5μmの溝部31を形成する。平面図の図示を省略しているが、溝部31の平面パターンは、矩形パターンにストライプ状の枝部が直交するように設けられた形状である。ストライプ状の枝部は2本以上設けても良い。
(ロ)例えば、溝部31の深さが1.0μmとすれば、膜厚1.2μm程度のBPSG膜をCVD法により形成し、CMP法により平坦化して犠牲層32を形成する。犠牲層32平面パターンは、溝部31の平面パターンと同じであり、矩形パターンにストライプ状の枝部が直交するように設けられた形状である。次に、Mo膜を犠牲層32の上を含んで基板11上に、膜厚200〜700nm、好ましくは300〜500nm程度に堆積し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによるパターニングを行い、中継電極13を形成する。更に、RFマグネトロンスパッタを用いて膜厚150〜600nm、好ましくは100〜150nmのRu膜を形成し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEによるパターニングを行い、図15(b)に示すように下部電極14を形成する。これにより、下部電極14の片側端部が中継電極13の上部に形成され、下部電極14と中継電極13とは電気的に接続される。
(ハ)その後、RFマグネトロンスパッタ法により、例えば2.5μm程度のAlN膜を形成し、フォトリソグラフィ及び塩化物系ガスを用いたRIEにより図15(c)に示すように圧電体15を形成する。AlN膜のパターニングは、圧電体15の片方の端部が中継電極13の上に位置するようにパターニングし、圧電体15の端部の裾から中継電極13の一部を露出させる。中継電極13にMoを採用しているので、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜を選択的にエッチングでき、中継電極13は下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。更に、平面パターンにおいては、犠牲層32の矩形パターンに設けられたストライプ状の枝部が圧電体15の端部の裾から露出する。
(ニ)引き続き膜厚100〜600nm、好ましくは100〜150nmのRu膜を、圧電体15、露出した中継電極13及び基板11の上を含んで全面に堆積後、フォトリソグラフィ及び塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、図15(d)に示すように上部電極16及び下部電極配線17を形成する。下部電極配線17は、圧電体15の端部の裾から露出した中継電極13に電気的に接続される。
(ホ)その次に、フッ酸(HF)・フッ化アンモニウム(NH4F)溶液等のBPSG膜エッチング液に、基板11を浸漬する。これにより、圧電体15の端部の裾から露出した犠牲層32のストライプ状の枝部がエッチングされる。ストライプ状の枝部のエッチングが進行するにつれ、下部電極14の底部(腹部)に埋め込まれた犠牲層32へのエッチング液経路が形成される。そして、エッチング液経路を介して、犠牲層32をエッチングし、図14に示すようなキャビティ20が形成される。BPSG膜エッチング液によるエッチングの後、イソプロピルアルコールでリンスの後、乾燥させる。
第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法においては、Mo膜からなる中継電極13について説明したが、中継電極13は、W、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の他の材料を採用しても良いことは勿論である。中継電極13として、これらのW、Mo、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt等の材料を採用することにより、圧電体材料膜とある程度のエッチング選択比が確保でき、中継電極13は、圧電体15のパターニングにおける下部電極14に対する間接的なエッチストッパ層として機能する。このため、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14がエッチング過剰により薄くなったり、アフターコロージョンにより断線することもない。又、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14がエッチング過剰により、設計値よりも直列抵抗が増大することも防止でき、GHz帯等における良好な高周波特性が容易に得られる。
第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、圧電体15と加工選択比が大きい導電性材料を中継電極13として形成しておけば良く、下部電極14については材料及び膜厚に対してのプロセスマージンを考慮した制限は要らなくなる。又、中継電極13の膜厚は直接、薄膜圧電共振器の特性と関係しないために厚くすることが可能で、比抵抗値や加工選択比等を考えた場合の材料選択範囲も広くなる。又、加工条件の変動等、プロセスの不安定性に対するマージンも広がり、製造上のメリットは大きい。
本発明の第4の実施の形態の変形例に係る薄膜圧電共振器として、図3に示した第1の実施の形態の変形例と同様に、アモルファス金属層(非晶質金属層)を下部電極14の下に形成するのが好ましい。下部電極14と絶縁膜12との間にアモルファス金属層を形成することにより、この上に形成したAlN膜のc軸配向性が格段に向上し、アモルファス金属層を形成しない場合に対し、薄膜圧電共振器の性能である電気機械結合係数kt 2及びQ値を高めることができる。したがって、図15(b)のMo膜を犠牲層32の上に堆積し、中継電極13をパターニングした後に、アモルファス金属層としては、厚さ5〜100nm、好ましくは15〜30nm程度のTa−Al合金膜やTiB膜等を犠牲層32の上に堆積することが好ましい。
第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、第1の実施の形態で図6を用いて説明した梯子型フィルタ41や、図7を用いて説明したVCOに利用することができる。更に、第1の実施の形態の図8及び図9に示したような携帯型情報端末において、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器をマイクロメカニカルフィルタとして用い、RFフィルタ41やIFフィルタ42として用いることも可能である。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図16に示すように、高比抵抗又は半絶縁性の半導体基板11と、この半導体基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14と、平面パターン上、下部電極14と同一形状同一サイズで、下部電極14上に配置された圧電体15と、この圧電体15上の上部電極16と、半導体基板11の表面に埋め込まれ、平面パターン上、圧電体15の占有する領域の境界に位置し、且つ占有する領域の内部に位置し、下部電極14と接続する半導体基板11よりも低比抵抗の半導体領域からなる中継電極33と、中継電極33に接続される下部電極配線17とを備え、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用する。中継電極33は、半導体基板11の表面から内部に向かって形成された埋め込み領域である。
更に、圧電体15、圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33のそれぞれの上に形成された層間絶縁膜34を備え、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを36aを介して圧電体15に上部電極16が、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホール36bを介して、中継電極33に下部電極配線17が電気的に接続される。層間絶縁膜34としては、シリコン酸化膜(SiO2膜)、シリコン窒化膜(Si34膜)、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との複合膜等種々の絶縁膜が採用可能である。
半導体基板11としては、例えば、600Ωcm〜10kΩcm程度(不純物密度2×1013cm-3〜1×1012cm-3程度)の(100)面を主表面とするp型シリコン基板が使用可能で、このp型シリコン基板を用いた場合は、中継電極(拡散領域)33としては0.85mΩcm〜0.095Ωcm程度(不純物密度1×1020cm-3〜5×1018cm-3程度)で、深さ300nm〜7μm程度のn型拡散領域が使用可能である。逆にn型シリコン基板を用い、中継電極(拡散領域)33としては1.2mΩcm〜0.02Ωcm程度(不純物密度1×1020cm-3〜5×1018cm-3程度)で、深さ300nm〜7μm程度のp型拡散領域を埋め込んでも良い。即ち第1導電型の半導体基板中に、第1導電型とは反対導電型の第2導電型で、高不純物密度の半導体領域を埋め込んで中継電極33とすれば良い。以下の例では第1導電型をp型、第2導電型をn型として説明するが、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても良いことは勿論である。第1導電型の半導体基板中に島状に第2導電型の半導体領域からなる中継電極33を埋め込むことにより、図20を用いて後述するような、複数の薄膜圧電共振器を同一半導体基板上にモノリシックに集積化する場合、隣接する中継電極33間をpn接合分離できる。
図16に示すように、圧電体15の占有する領域の境界が中継電極(拡散領域)33の上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から中継電極(拡散領域)33の一部が圧電体15が占有する領域の外部に延在している。中継電極(拡散領域)33の平面形状は、図16に示すように、ストライプ状の矩形領域である。下部電極14の片側端部は、中継電極(拡散領域)33の上部の一部に形成され、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とは電気的に接続される。更に、半導体基板11の裏面から半導体基板11表面に向かって、下部電極14の底部を露出するキャビティ(空洞)18pを備える。このため、キャビティ18pにより、下部電極14は、半導体基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持される。そして、図16に示す薄膜圧電共振器は、圧電体15の厚み方向のバルク振動を利用するので、圧電体15及び下部電極14の厚みを調整することにより共振振動数が決定できる。
例えば、膜厚400nmのW膜の中継電極(拡散領域)33と膜厚300nmのAl膜からなる下部電極14の上に厚さ2.5μmのAlN膜からなる圧電体15、圧電体15の上に膜厚300nmのAl膜からなる上部電極16を形成し、中継電極(拡散領域)33に膜厚300nmのAl膜からなる下部電極配線17を形成した薄膜圧電共振器の共振特性を、ベクトルネットワークアナライザを用いて評価した結果は、共振周波数が2.0GHz、電気機械結合係数kt 2は6.5%、Q値は共振点で800、反共振点で680と非常に優れた特性の薄膜圧電共振器が得られる。
図17を用いて、本発明の第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)まず、フォトレジスト(以下において単に「レジスト」という。)35をp型の高比抵抗Si(100)半導体基板11の表面の全面に塗布後、通常のフォトリソグラフィ技術によりレジスト35をパターニングし、このレジスト35をマスクとし、燐イオン(31+)等のn型不純物イオンを加速電圧80〜150kV、ドーズ量3×1015cm-2〜4×1016cm-2程度)でイオン注入し、図17(a)に示すように、イオン注入領域33iを形成する。ドーズ量の多い場合は、レジスト35ではなく、アルミニウム(Al)膜等の金属薄膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングし、これをイオン注入マスクとしても良い。
(ロ)イオン注入に用いたマスクを除去後、半導体基板11を、例えば酸素(O2)ガスを1〜5%含む窒素(N2)ガス又はヘリウム(He)等の不活性ガス中で、1100℃〜1200℃で30分〜2時間程度熱処理し、イオン注入された不純物イオンを活性化し、n型拡散領域からなる中継電極33を形成する。その後、半導体基板11の表面に、熱処理により形成された薄い酸化膜を希フッ酸(HF)水溶液で除去する。更に、その後、RFマグネトロンスパッタを用いて膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜(下部電極用金属膜)14を、図17(b)に示すように、半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33の上に形成する。その後、図17(c)に示すように、RFマグネトロンスパッタ法により例えば、2.5μmのAlN膜(圧電体用絶縁膜)15を、Al膜(下部電極用金属膜)14の上に堆積する。
(ハ)次に、新たなレジストをAlN膜(圧電体用絶縁膜)15の上の全面に塗布後、フォトリソグラフィ技術により新たなレジストをパターニングし、この新たなレジストをエッチングマスクとして、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜(圧電体用絶縁膜)15を選択的に除去し、圧電体15のパターンを形成する。引き続き、同一エッチングチャンバー中で、塩化物系ガスを用いたRIEにより、Al膜(下部電極用金属膜)14を選択的に除去し、 図17(d)に示すように、下部電極14のパターニングを、圧電体15のパターンと同一平面形状・同一サイズになるように形成し、半導体基板11の一部と中継電極(拡散領域)33の一部を露出する。この際、 図17(d)に示すように、下部電極14の片側端部が中継電極(拡散領域)33の上部に形成され、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とは電気的に接続される。したがって、AlN膜のパターンも、 図17(d)に示すように、圧電体15の片方の端部が中継電極(拡散領域)33の上に位置するようにパターニングされ、圧電体15の端部の裾から中継電極(拡散領域)33の一部を露出させる。
(ニ)更に、圧電体15上、圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33の上に、化学気相成長法(CVD法)によって層間絶縁膜34となる酸化膜(SiO2膜)を100nmから800nm程度形成する。層間絶縁膜34は、酸化膜とシリコン窒化膜(Si34膜)との複合膜でも構わない。次いで、この層間絶縁膜34上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によりレジストを露光現像することでエッチングマスクを作成する。そして、このエッチングマスクを用いてRIEで図17(d)に示すように、層間絶縁膜34を選択的に除去し、圧電体15の一部を露出するコンタクトホール36a及び中継電極(拡散領域)33の一部を露出するコンタクトホール36bを開口する。
(ホ)引き続き、膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nm程度のAl膜をコンタクトホール36a、36bを介して層間絶縁膜34上に堆積後、フォトリソグラフィ及び非酸化性の酸、例えば塩酸によるウェットエッチングにより、上部電極16及び下部電極配線17を形成する。上部電極16は、コンタクトホール36aの底に露出した圧電体15の表面に、下部電極配線17は、コンタクトホール36bの底に露出した中継電極(拡散領域)33に、それぞれ電気的に接続される。
(ヘ)次に、半導体基板11を100μm厚まで研磨した後、両面アライナーにより裏面のフォトリソグラフィを行い、半導体基板11の裏面にエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを用い、CFとSFガスを用いたRIEによりSiからなる半導体基板11を裏面からエッチングして図16に示すように、キャビティ18pを形成する。
なお、上記の説明では、中継電極(拡散領域)33をイオン注入で形成する場合を例示したが、中継電極(拡散領域)33はオキシ塩化燐(POCl3)等の液体ソースやフォスフィン(PH3)ガス等を用いた気相拡散(プレデポジション)、燐ガラス(PSG)からの固相拡散等、種々の拡散方法で形成可能であることは勿論である。気相拡散の場合は厚さ600nm〜1μm程度のシリコン酸化膜を拡散マスクとして用いれば良い。
薄膜圧電共振器は、圧電体15を下部電極14及び上部電極16で挟んだ単純な構造を持つが、一般に圧電体15が1μm以上の厚さであることで、従来は、種々の技術的な問題を抱えていた。即ち、下部電極14をパターンニングした端部の段差で圧電体15にクラックが発生する問題が従来あった。応力を低く制御しても膜厚が厚く、更に柱状の結晶粒構造を持つため、圧電体15は非常にクラックが入りやすい。このため、従来は下部電極14を数十度の緩やかなテーパ角を持って加工する必要があった。しかし、テーパ角制御は実際には非常に難しい。このため、下部電極14の側壁にテーパ角を形成したとしてもテーパ側壁の開始点と終了点近傍の圧電体15内部に応力が集中し、テーパ側壁の開始点と終了点近傍を中心にクラックが発生しやすい。したがって、従来技術においては、歩留まりを落とす要因となっていた。
第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、半導体基板11の一部分に段差を形成することなく、中継電極(拡散領域)33を形成している。その後、下部電極上に連続的に圧電体膜を堆積し、圧電体15を下部電極14と共に、一括で加工するので、下部電極14をパターンニングした端部の段差やテーパ角を形成した側壁部は存在せず、圧電体15にクラックの発生は回避できる。又、下部電極14を、数十度の緩やかなテーパ角に厳密に制御して加工する必要もなく、歩留まりを落とすこともない。
又、薄膜圧電共振器の特性は圧電体15膜の配向性と密接に関係している。高いc軸配向を持つ圧電体15を得るためには、高配向の下部電極14上に連続で形成することが望ましい。第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14上に圧電体15と堆積して、一括で加工しているので、高いc軸配向を持つ圧電体15を得ることが容易である。この結果、薄膜圧電共振器の性能である電気機械結合係数kt 2及びQ値を高めることができる。
又、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、下部電極14がエッチング過剰により、設計値よりも直列抵抗が増大することも防止でき、GHz帯等における良好な高周波特性が容易に得られる。更に、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法によれば、圧電体15堆積前に下部電極14の表面の清浄化工程を入れる必要もなく、高い製造歩留まりを達成可能であり、高性能な薄膜圧電共振器を安価に形成することができる。
中継電極(拡散領域)33の平面形状は、図16に示すように、ストライプ状の矩形領域に限定されるものではない。本発明の第5の実施の形態の変形例(第1変形例)に係る薄膜圧電共振器においては、図18に示すように、中継電極(拡散領域)33の平面形状は、コの字型に圧電体15の周辺に配置されている。図16と同様に、下部電極14は、圧電体15と同一平面形状・同一サイズで形成されているので、下部電極14の3方の端部は、コの字型の中継電極(拡散領域)33の内側の領域の上部の一部に形成され、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とは、下部電極14の3方の端部で電気的に接続され、図16に示す構造より電気的な接触抵抗が小さくされた構造である。
圧電体15の上、更に圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33の上には、層間絶縁膜34が形成されている。そして、コの字型の中継電極(拡散領域)33には、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホール36bを介して下部電極配線17が電気的に接続されている。図18に示すように、層間絶縁膜34中のコンタクトホール36bを介して中継電極(拡散領域)33上に下部電極配線17としての金属層等を残すことにより、中継電極33を構成する半導体領域(拡散領域)の比抵抗が十分に低くない場合でも、中継電極33の抵抗を金属層等により実効的に下げることができる。
更に、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、圧電体15と圧電体15上に形成された上部電極16とが電気的に接続されているが、上部電極16は図18(a)で上下方向に延伸している点が、図16に示す上部電極16の平面パターンとは異なる。他は、図16に示した薄膜圧電共振器と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
なお、中継電極(拡散領域)33の平面形状は、図18(a)に示すようなコの字型に限定される必要はなく、下部電極14の隣接した2方の端部に沿ったL字型や、下部電極14の4方の端部のすべてに沿って下部電極14を周回する矩形ループを形成しても良い。或いは、対向する2方の端部に沿ってストライプ状の矩形領域を平行配置しても良い。
第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、第1の実施の形態で図6を用いて説明した梯子型フィルタ41や、図7を用いて説明したVCOに利用することができる。更に、第1の実施の形態の図8及び図9に示したような携帯型情報端末において、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器をマイクロメカニカルフィルタとして用い、RFフィルタ41やIFフィルタ42として用いることも可能であるが、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を利用したマイクロメカニカルフィルタの更に他の例を図19に示す。
図19(a)に示す梯子型フィルタ41は、7個の薄膜圧電共振器Fa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ff,Fgが直並列接続されるように配列されて構成されている。薄膜圧電共振器Fb,Fd,Ffが直列共振器、薄膜圧電共振器Fa,Fc,Fe,Fgが並列共振器となる3.5段のラダー型フィルタである。
図19(a)に示す梯子型フィルタ41の現実の構造は、種々のトポロジーがあり得る。図19(b)は、現実の構造の一例として示す図20の平面図に対応させて、入力ポートPin側の共通端子を202−1と202−2に分離し、出力ポートPout側の共通端子を204−1と204−2に分離して示した図19(a)に等価な回路図である。
図20では、入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が薄膜圧電共振器Faと薄膜圧電共振器Fbの共通の上部電極としてパターニングされている。即ち、入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が、薄膜圧電共振器Faの上部電極として機能し、入力ポートPinの他方の端子(共通端子)202−1が、薄膜圧電共振器Faの下部電極配線として機能している。図20に示す薄膜圧電共振器Faでは、中継電極(拡散領域)33aの平面形状は、下部電極210の4方の端部のすべてに沿って下部電極210を周回する矩形ループを形成している。中継電極(拡散領域)33aはp型半導体基板中に形成された高不純物密度のn型拡散領域である。図16及び図18と同様に、下部電極210は、薄膜圧電共振器Faの圧電体のパターンと同一平面形状・同一サイズで形成されている。下部電極210の4方の端部は、矩形ループ形状の中継電極(拡散領域)33aの内側の領域の上部の一部に形成され、下部電極210と中継電極(拡散領域)33aとは、下部電極210の4方の端部で電気的に接続されている。そして、矩形ループ形状の中継電極(拡散領域)33aには、層間絶縁膜に形成された2つのコンタクトホール36bを介して下部電極配線202−1が電気的に接続されている。2つのコンタクトホール36bは、下部電極210の隣接する2方の端部に沿ってL字型に配置されている。更に、層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール36aを介して、薄膜圧電共振器Fbと共通の上部電極201が、薄膜圧電共振器Faの圧電体に電気的に接続されている。
図20に示すように、薄膜圧電共振器Fbの下部電極211は、薄膜圧電共振器Fc及びFdのそれぞれに共通の下部電極としてパターニングされている。そして、図16及び図18と同様に、共通の下部電極211は、薄膜圧電共振器Fb,Fc及びFdの圧電体のパターンと同一平面形状・同一サイズで形成されるので、3つの薄膜圧電共振器Fb,Fc及びFdの圧電体のパターンは一体のパターンである。
3つの薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgに共通の上部電極212が、層間絶縁膜に形成された各コンタクトホール36aを介して、薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgのそれぞれの圧電体に電気的に接続されている。薄膜圧電共振器Ffの下部電極213は、薄膜圧電共振器Feと共通の下部電極としてパターニングされている。そして、下部電極213は、薄膜圧電共振器Ff及びFeの圧電体のパターンと同一平面形状・同一サイズで形成されるので、2つの薄膜圧電共振器Ff及びFeの圧電体のパターンは一体のパターンである。
図20に示す薄膜圧電共振器Ffでは、中継電極(拡散領域)33fの平面形状は、薄膜圧電共振器Ffのコンタクトホール36aを周回するような矩形ループを形成している。中継電極(拡散領域)33fは、p型半導体基板中に形成された高不純物密度のn型拡散領域である。そして、矩形ループ形状の中継電極(拡散領域)33fには、層間絶縁膜に形成された2つのコンタクトホール36bを介して下部電極配線203が電気的に接続されている。下部電極配線203は、図19に示す出力ポートPout側の出力端子である。2つのコンタクトホール36bは、薄膜圧電共振器Ffのコンタクトホール36aの隣接する2辺に沿ってL字型に配置されている。
薄膜圧電共振器Fgでは、中継電極(拡散領域)33gの平面形状は、薄膜圧電共振器Fgのコンタクトホール36aを周回するような矩形ループを形成している。中継電極(拡散領域)33gはp型半導体基板中に形成された高不純物密度のn型拡散領域である。n型の中継電極(拡散領域)33f及び中継電極(拡散領域)33gは、p型半導体基板により、互いにpn接合分離されている。そして、矩形ループ形状の中継電極(拡散領域)33gには、層間絶縁膜に形成された2つのコンタクトホール36bを介して下部電極配線204−2が電気的に接続されている。下部電極配線204−2は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。2つのコンタクトホール36bは、薄膜圧電共振器Fgのコンタクトホール36aの隣接する2辺に沿ってL字型に配置されている。
更に、層間絶縁膜に形成された各コンタクトホール36aを介して、薄膜圧電共振器Feの圧電体に電気的に薄膜圧電共振器Feの上部電極204−1が接続されている。上部電極204−1は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。
本発明の第5の実施の形態の他の変形例(第2変形例)に係る薄膜圧電共振器は、図21に示すように、高比抵抗又は半絶縁性の半導体基板11と、この半導体基板11の表面から内部に向かって形成された中継電極(拡散領域)33と、中継電極(拡散領域)33及び半導体基板11上に形成された絶縁膜36と、この絶縁膜36上に形成された下部電極14と、この下部電極14の上に、下部電極14と同一平面形状・同一サイズで形成された圧電体15と、圧電体15上、圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33の上に形成された層間絶縁膜34と、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、圧電体15上に形成された上部電極16と、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、中継電極(拡散領域)33に電気的に接続された下部電極配線17とを備える。絶縁膜36としては、層間絶縁膜34と同様なシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との複合膜等種々の絶縁膜が採用可能である。
平面図の図示は省略するが、中継電極(拡散領域)33の平面形状は、図18に示す薄膜圧電共振器と同様であり、コの字型に圧電体15の周辺に配置されている。即ち、図18と同様に、下部電極14は、圧電体15と同一平面形状・同一サイズで形成され、下部電極14の3方の端部は、コの字型の中継電極(拡散領域)33の内側の領域の上部の一部に位置する。しかし、下部電極14の3方の端部は、絶縁膜36を介して形成されているので、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とは、金属学的には接続されず、絶縁膜36を介して容量的に結合している。共振周波数が2.0GHz程度のマイクロ波帯では、絶縁膜36を介した容量結合でも、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とは電気的に結合可能である。
図21に示すように、絶縁膜36で中継電極(拡散領域)33を保護することにより、より安定した薄膜圧電共振器の動作が可能である。
他は、図18に示した薄膜圧電共振器と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図22に示すように、高比抵抗又は半絶縁性の半導体基板11と、この半導体基板11の表面から内部に向かって形成された中継電極(拡散領域)33と、半導体基板11の表面に中継電極(拡散領域)33に挟まれるように形成された舟形(逆台形)のキャビティ(空洞)20を介して、半導体基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極14と、この下部電極14上に、下部電極14と同一平面形状・同一サイズで形成された圧電体15と、圧電体15、圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33のそれぞれの上に形成された層間絶縁膜34と、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、圧電体15上に形成された上部電極16と、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、中継電極(拡散領域)33に電気的に接続された下部電極配線17とを備える。層間絶縁膜34としては、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との複合膜等種々の絶縁膜が採用可能である。又、半導体基板11としては、第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器と同様に、600Ωcm〜10kΩcm程度(不純物密度2×1013cm-3〜1×1012cm-3程度)の(100)面を主表面とするp型シリコン基板が使用可能で、このp型シリコン基板を用いた場合は、中継電極(拡散領域)33としては0.001Ωcm〜0.02Ωcm程度(不純物密度1×1020cm-3〜5×1018cm-3程度)で、深さ300nm〜7μm程度のn型拡散領域が使用可能である。
平面図の図示は省略するが、中継電極(拡散領域)33の平面形状は、図18に示す薄膜圧電共振器と同様であり、コの字型に圧電体15の周辺に配置されている。即ち、図18と同様に、下部電極14は、圧電体15と同一平面形状・同一サイズで形成され、下部電極14の3方の端部は、コの字型の中継電極(拡散領域)33の内側の領域の上部の一部に位置する。コの字型の中継電極(拡散領域)33には、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホール36bを介して下部電極配線17が電気的に接続されている。図18に示すように、層間絶縁膜34中のコンタクトホール36bを介して中継電極(拡散領域)33上に下部電極配線17としての金属層等を周回すするように配置することにより、中継電極33を構成する半導体領域(拡散領域)の比抵抗が十分に低くない場合でも、中継電極33の抵抗を金属層等により実効的に下げることができる。なお、中継電極(拡散領域)33の平面形状は、コの字型に限定される必要はなく、図16に示すように、ストライプ状の矩形領域でも良く、下部電極14の隣接した2方の端部に沿ったL字型や、下部電極14の4方の端部のすべてに沿って閉じた矩形ループを形成しても良いのは、第5の実施の形態の変形例1及び2に係る薄膜圧電共振器と同様である。
第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器では、層間絶縁膜34に形成されたコンタクトホールを介して、圧電体15と圧電体15上に形成された上部電極16とが電気的に接続されているが、上部電極16のパターンは、図18(a)に示した平面パターンと同様に、上下方向に延伸している。
図23を用いて、本発明の第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を説明する。なお、以下に述べる薄膜圧電共振器の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)まず、図17(a)と同様に、レジストをp型の高比抵抗Si(100)半導体基板11の表面の全面に塗布後、通常のフォトリソグラフィ技術によりレジストをパターニングし、このレジストをマスクとし、燐イオン(31+)等のn型不純物イオンを加速電圧80〜150kV、ドーズ量3×1015cm-2〜4×1016cm-2程度)でイオン注入し、イオン注入領域を形成する。そして、イオン注入に用いたマスクを除去し、半導体基板11を、例えば酸素(O2)ガスを1〜5%含む窒素(N2)ガス又はヘリウム(He)等の不活性ガス中で、1100℃〜1200℃で30分〜2時間程度熱処理し、イオン注入された不純物イオンを活性化し、n型拡散領域からなる中継電極33を形成する。その後、Si(100)半導体基板11上に、フッ素系ガスを用いたRIEにより、図23(a)に示すように、深さ0.5〜2μm、好ましくは0.8〜1.5μmの溝部31を形成する。平面図の図示を省略しているが、溝部31の平面パターンは、矩形パターンにストライプ状の枝部が直交するように設けられた形状である。ストライプ状の枝部は2本以上設けても良い。
(ロ)例えば、溝部31の深さが1.0μmとすれば、膜厚1.2μm程度のBPSG膜をCVD法により形成し、CMP法により平坦化して犠牲層32を形成する。犠牲層32平面パターンは、溝部31の平面パターンと同じであり、矩形パターンにストライプ状の枝部が直交するように設けられた形状である。次に、RFマグネトロンスパッタを用いて、図23(b)に示すように、膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nmのAl膜(下部電極用金属膜)14を、中継電極(拡散領域)33及び半導体基板11の上の全面に形成する。
(ハ)その後、RFマグネトロンスパッタ法により、例えば2.5μm程度のAlN膜(圧電体用絶縁膜)15を、図23(c)に示すようにAl膜(下部電極用金属膜)14の上の全面に堆積する。そして、新たなレジストをAlN膜(圧電体用絶縁膜)15の上の全面に塗布後、フォトリソグラフィ技術により新たなレジストをパターニングし、この新たなレジストをエッチングマスクとして、塩化物系ガスを用いたRIEによりAlN膜(圧電体用絶縁膜)15を選択的に除去し、圧電体15のパターンを形成する。引き続き、同一エッチングチャンバー中で、塩化物系ガスを用いたRIEにより、Al膜(下部電極用金属膜)14を選択的に除去し、 図23(d)に示すように、下部電極14のパターニングを、圧電体15のパターンと同一平面形状・同一サイズになるように形成する。これにより、半導体基板11の一部と中継電極(拡散領域)33の一部が下部電極14の端部から露出する。即ち、 図23(d)に示すように、下部電極14の3方の端部が中継電極(拡散領域)33の上部に形成され、下部電極14と中継電極(拡散領域)33とが電気的に接続される(図23(d)に示した断面図では、下部電極14の2方の端部の下に中継電極(拡散領域)33が現れた状態を便宜上示しているが、紙面の手前で、同様に残る1方の端部の下に中継電極(拡散領域)33が形成されるのは勿論である。)。更に、平面パターンにおいては、犠牲層32の矩形パターンに設けられたストライプ状の枝部が圧電体15と下部電極14との積層構造の端部の裾から露出する。
(ニ)更に、圧電体15、犠牲層32の枝部、圧電体15から露出した半導体基板11及び中継電極(拡散領域)33の上に、化学気相成長法(CVD法)によって層間絶縁膜34となるシリコン窒化膜を100nmから400nm程度形成する。層間絶縁膜34としては、シリコン窒化膜以外にも、犠牲層32に用いているBPSG膜とのエッチング選択比が大きな絶縁材料であれば、採用可能である。次いで、この層間絶縁膜34上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によりレジストを露光現像することでエッチングマスクを作成する。そして、このエッチングマスクを用いてRIEで図23(d)に示すように、層間絶縁膜34を選択的に除去し、圧電体15の一部を露出するコンタクトホール36a及び中継電極(拡散領域)33の一部を露出するコンタクトホール36bを開口する。図示を省略しているが、この際、犠牲層32の枝部の上部の層間絶縁膜34を選択的にエッチングし、エッチング液経路(縦穴)を形成する。
(ホ)その次に、フッ酸(HF)・フッ化アンモニウム(NH4F)溶液等のBPSG膜エッチング液に、半導体基板11を浸漬する。これにより、層間絶縁膜34中のエッチング液経路(縦穴)を介して圧電体15と下部電極14との積層構造の端部の裾から露出した犠牲層32のストライプ状の枝部がエッチングされる。ストライプ状の枝部のエッチングが進行するにつれ、下部電極14の底部(腹部)に埋め込まれた犠牲層32へのエッチング液経路(横穴)が形成される。そして、エッチング液経路を介して、犠牲層32をエッチングし、図22に示すようなキャビティ20が形成される。BPSG膜エッチング液によるエッチングの後、イソプロピルアルコールでリンスの後、乾燥させる。
(ヘ)引き続き、膜厚150〜600nm、好ましくは250〜350nm程度のAl膜をコンタクトホール36a、36bを介して層間絶縁膜34上に堆積する。その後、フォトリソグラフィ及び非酸化性の酸、例えば塩酸によるウェットエッチングにより、上部電極16及び下部電極配線17を形成する。図22に示すように、上部電極16は、コンタクトホール36aの底に露出した圧電体15の表面に、下部電極配線17は、コンタクトホール36bの底に露出した中継電極(拡散領域)33に、それぞれ電気的に接続される。
第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器は、図6や図19に示すような梯子型フィルタや、図7を用いて説明したVCOに利用することができる。更に、第1の実施の形態の図8及び図9に示したような携帯型情報端末において、第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器をマイクロメカニカルフィルタとして用い、RFフィルタ41やIFフィルタ42として用いることも可能である。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第6の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
図20において第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を用いたマイクロメカニカルフィルタの現実の平面パターンの構成例を示したが、図19に示した3.5段のラダー型フィルタは、半導体の拡散領域を中継電極33とする薄膜圧電共振器により構成されるフィルタに限定されるものではない。例えば、第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器のような金属中継電極23を用いた薄膜圧電共振器によっても図19に示した3.5段のラダー型フィルタは実現できる。
図24は、そのような金属中継電極23を用いた薄膜圧電共振器によって、図19に示した3.5段のラダー型フィルタを構成した場合の平面パターンの構成例である。圧電体15は、平面パターン上、7個の薄膜圧電共振器Fa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ff,Fgが占有する領域のすべてを一括して包含するように大きな矩形パターンとして形成されている。
図24の薄膜圧電共振器FgのB−B方向から見た断面図が図25である。薄膜圧電共振器Fgでは、金属中継電極23gの平面形状は、図24に破線で示すように、ストライプ状の矩形パターンを形成している。そして、矩形の金属中継電極23gには、圧電体15に形成された矩形スリット状のコンタクトホールを介して下部電極配線204−2が電気的に接続されている。下部電極配線204−2は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。矩形スリット状のコンタクトホールは、薄膜圧電共振器Fgの金属中継電極23gのパターンの一部の上部に配置されることは勿論である。薄膜圧電共振器Fgの下部電極14gの片側端部は、中継電極23gの上部の一部に形成され、下部電極14gと中継電極23gとは電気的に接続される。更に、基板11の裏面から基板11表面に向かって、下部電極14gの底部を露出するキャビティ(空洞)18を備える。このため、キャビティ18により、下部電極14gは、基板11に対して一部が中空状態で機械的に保持されている。
図20と同様に、図24でも、図19に示した入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が薄膜圧電共振器Faと薄膜圧電共振器Fbの共通の上部電極としてパターニングされている。即ち、入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が、薄膜圧電共振器Faの上部電極として機能し、入力ポートPinの他方の端子(共通端子)202−1が、薄膜圧電共振器Faの下部電極配線として機能している。図24において、薄膜圧電共振器Faは、破線で示す矩形形状の金属中継電極23を備えている。
薄膜圧電共振器Faの中継電極23の平面形状は、破線で示すようなストライプ状の矩形パターンである。下部電極14aの1方の端部は、矩形の金属中継電極23の内側の領域の上部の一部に形成され、下部電極14aと金属中継電極23とは、下部電極14aの1方の端部で電気的に接続されている。そして、矩形の金属中継電極23には、薄膜圧電共振器Fgと同様に圧電体15に形成された矩形スリット状のコンタクトホールを介して下部電極配線202−1が電気的に接続されている(図25参照。)。矩形スリット状のコンタクトホールは、下部電極14aの1方の端部に沿って配置されている。
図24に示すように、薄膜圧電共振器Fbの下部電極211は、薄膜圧電共振器Fc及びFdのそれぞれに共通の下部電極としてパターニングされている。更に、3つの薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgに共通の上部電極212が、薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgのそれぞれの下部電極に対向する位置において圧電体15に電気的に接続されている。
薄膜圧電共振器Ffの下部電極213は、薄膜圧電共振器Feと共通の下部電極としてパターニングされている。そして、薄膜圧電共振器Ffに設けられた矩形の金属中継電極23fには、圧電体15に形成された矩形スリット状のコンタクトホールを介して下部電極配線203が電気的に接続されている。下部電極配線203は、図19に示す出力ポートPout側の出力端子である。一方、薄膜圧電共振器Feには、上部電極204−1が接続されている。上部電極204−1は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。
図26は、第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器のような金属中継電極13を用いた薄膜圧電共振器によって、図19に示した3.5段のラダー型フィルタを構成した場合の平面パターンの他の構成例である。圧電体15は、平面パターン上、7個の薄膜圧電共振器Fa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ff,Fgの下部電極が占有する領域を包含するように、図24よりも限定された矩形パターンとして形成されている。そして、圧電体15の占有する領域の境界が、破線で示した薄膜圧電共振器Faの金属中継電極13a,薄膜圧電共振器Ffの金属中継電極13f,薄膜圧電共振器Fgの金属中継電極13gのそれぞれの上を横切り、圧電体15の境界(端部)の裾から金属中継電極13a,13f,13gの一部が圧電体15が占有する領域の外部に延在している。
金属中継電極13a,13f,13gの平面形状は、図26に破線で示すように、ストライプ状の矩形パターンを形成している。
図26の薄膜圧電共振器FgのB−B方向から見た断面図が図27である。薄膜圧電共振器Fgでは、そして、図27に示すように、金属中継電極13gの両側の端面はテーパ形状である。下部電極14gの片側端部は、金属中継電極13gの左側のテーパ状の端面に接し、更に金属中継電極13gの上部の一部まで延在している。下部電極配線204−2は、圧電体15の端部の裾から露出した金属中継電極13の右側に電気的に接続されている。下部電極配線204−2は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。基板11の表面には、舟形(逆台形)のキャビティ(空洞)20が形成され、下部電極14gは、基板11に対してその一部が中空状態で機械的に保持されている。
図20及び図24と同様に、図26でも、図19に示した入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が薄膜圧電共振器Faと薄膜圧電共振器Fbの共通の上部電極としてパターニングされている。即ち、入力ポートPinの一方の端子(入力端子)201が、薄膜圧電共振器Faの上部電極として機能し、入力ポートPinの他方の端子(共通端子)202−1が、薄膜圧電共振器Faの下部電極配線として機能している。図26において、薄膜圧電共振器Faは、破線で示す矩形形状の金属中継電極13aを備えている。
薄膜圧電共振器Faの下部電極14aの1方の端部は、矩形の金属中継電極13の内側の領域の上部の一部に形成され、下部電極14aと金属中継電極13とは、下部電極14aの1方の端部で電気的に接続されている。そして、圧電体15の端部の裾から露出した矩形の金属中継電極13には、下部電極配線202−1が電気的に接続されている。
図26に示すように、薄膜圧電共振器Fbの下部電極211は、薄膜圧電共振器Fc及びFdのそれぞれに共通の下部電極としてパターニングされている。更に、3つの薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgに共通の上部電極212が、薄膜圧電共振器Fd,Ff及びFgのそれぞれの下部電極に対向する位置において圧電体15に電気的に接続されている。
薄膜圧電共振器Ffの下部電極213は、薄膜圧電共振器Feと共通の下部電極としてパターニングされている。そして、圧電体15の端部の裾から露出した薄膜圧電共振器Ffの金属中継電極13fには、下部電極配線203が電気的に接続されている。下部電極配線203は、図19に示す出力ポートPout側の出力端子である。一方、薄膜圧電共振器Feには、上部電極204−1が接続されている。上部電極204−1は、図19(b)に示すように、出力ポートPout側の共通端子である。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な平面図で、図1(b)は図1(a)のA−A方向から見た断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 比較例に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 図4に示した薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を使用した高周波フィルタ回路を示す回路図である。 第1の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を使用した電圧可変発振器(VCO)を示す回路図である。 図6に示すマイクロメカニカルフィルタを、高周波(RF)フィルタ及び中間周波数(IF)フィルタとして備える携帯型情報端末の受信回路を示すブロック図である。 図6に示すマイクロメカニカルフィルタを、高周波(RF)フィルタ及び中間周波数(IF)フィルタとして備える携帯型情報端末の送信回路を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 図16(a)は、本発明の第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な平面図で、図16(b)は図16(a)のA−A方向から見た断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 図18(a)は、本発明の第5の実施の形態の変形例(第1変形例)に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な平面図で、図18(b)は図18(a)のA−A方向から見た断面図である。 第5の実施の形態に係る薄膜圧電共振器を使用した高周波フィルタ回路を示す回路図である。 図19に示す高周波フィルタ回路の現実の平面パターンの構成例である。 本発明の第5の実施の形態の他の変形例(第2変形例)に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の概略構造を説明する模式的な断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る薄膜圧電共振器の製造方法を概略的に説明する模式的な工程断面図である。 図19に示す高周波フィルタ回路の現実の平面パターンの他の構成例である。 図24のB−B方向から見た断面図である。 図19に示す高周波フィルタ回路の現実の平面パターンの、更に他の構成例である。 図26のC−C方向から見た断面図である。
符号の説明
1…受信回路
2…送信回路
3…レシーバLSIチップ
4…MMIC
5…変調器LSIチップ
11…基板
12…絶縁膜
13,13a,13f,13g,23,23f,23g…中継電極(金属中継電極)
14,14a,14c,14g…下部電極
15…圧電体(AlN膜)
16…上部電極
17,17c…下部電極配線
18,18p,19,20…キャビティ
21,32…犠牲層
31…溝部
33…中継電極(拡散領域)
33i…イオン注入領域
34…層間絶縁膜
35…レジスト
36…絶縁膜
36a,36b…コンタクトホール
37…アモルファス金属層
41…梯子型フィルタ(RFフィルタ)
42…IFフィルタ
43,44…ベースバンドフィルタ
45…第1アンテナ
46…第2アンテナ
47…アンテナスイッチ
48…ミキサ
49…局部発振器
50,53,54…増幅器
51,52…ミキサ
55,56…A−D変換器
57…IQ発信器
58…共振器
60…発振器
61,62…ベースバンドフィルタ
65,66…D−A変換器
81,82…マイクロ波用パワートランジスタ
83…増幅器
84…加算器
85,86…ミキサ
87…移相器
88,89、105…増幅器
201,202−2,204−1,212,213…上部電極
202−1,203,204−2…下部電極配線
210,211…下部電極
F1,F2,F3,F4,Fa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ff,Fg…薄膜圧電共振器
Pin…入力ポート
Pout…出力ポート

Claims (13)

  1. 基板と、
    該基板に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極と、
    平面パターン上、自己が占有する領域の内部に前記下部電極のすべてを包含するように、前記下部電極上に配置された圧電体と、
    該圧電体上の上部電極と、
    前記基板と前記圧電体との間において、平面パターン上、前記圧電体の占有する領域の境界に位置し、且つ前記占有する領域の内部において前記下部電極と接続する中継電極と、
    前記占有する領域の境界から外部に延在し、且つ前記中継電極に接続される下部電極配線
    とを備え、前記圧電体の厚み方向のバルク振動を利用することを特徴とする薄膜圧電共振器。
  2. 前記圧電体の配向方位と前記中継電極の配向方位が同一方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電共振器。
  3. 前記中継電極が、(110)配向のbcc構造或いは(111)配向のfcc構造或いは(0001)方位のhcp構造を有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜圧電共振器。
  4. 前記中継電極が、Ta,Mo,W,Ni,Co,Cr,Cu,Ti,Ir,Ru,Ptから選ばれた少なくとも一種を含む金属膜であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電共振器。
  5. 前記中継電極が前記圧電体に接する第1主面と該第1主面に平行で前記基板側に位置する第2主面と、該第2主面に45°以下のテーパ角度で交わり、前記第1主面と前記第2主面とを接続する傾斜端面を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜圧電共振器。
  6. 前記第1主面はアモルファス金属層に接していることを特徴とする請求項5に記載の薄膜圧電共振器。
  7. 半導体基板と、
    該半導体基板に対して一部が中空状態で機械的に保持された下部電極と、
    平面パターン上、前記下部電極と同一形状同一サイズで、前記下部電極上に配置された圧電体と、
    該圧電体上の上部電極と、
    前記半導体基板の表面に埋め込まれ、平面パターン上、前記圧電体の占有する領域の境界に位置し、且つ前記占有する領域の内部に位置し、前記下部電極と接続する前記半導体基板よりも低比抵抗の半導体領域からなる中継電極と、
    前記中継電極に接続される下部電極配線
    とを備え、前記圧電体の厚み方向のバルク振動を利用することを特徴とする薄膜圧電共振器。
  8. 前記上部電極及び平面パターン上、前記圧電体の占有する領域から露出した前記中継電極及び前記半導体基板の表面を被覆する層間絶縁膜を更に備え、
    前記下部電極配線は、前記層間絶縁膜中に開口されたコンタクトホールを介して、前記中継電極に接続されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜圧電共振器。
  9. 基板上に中継電極を形成する工程と、
    前記基板上に前記中継電極に接続される下部電極を形成する工程と、
    平面パターン上、自己が占有する領域の境界が前記中継電極上を横切り、且つ前記占有する領域の内部において前記下部電極のすべてを包含するように、前記中継電極と前記下部電極の上に圧電体を形成する工程と、
    前記圧電体上に上部電極を形成する工程と、
    前記占有する領域の境界から外部に延在した前記中継電極に接続される下部電極配線を形成する工程
    とを含むことを特徴とする薄膜圧電共振器の製造方法。
  10. 前記下部電極の下部にキャビティを設け、前記下部電極の一部を前記基板に対して中空状態で機械的に保持させる工程を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  11. 半導体基板の表面に、該半導体基板よりも低比抵抗の半導体領域からなる中継電極を埋め込む工程と、
    前記半導体基板の上全面に前記中継電極を含んで下部電極用金属膜を形成する工程と、
    前記下部電極の上全面に圧電体用絶縁膜を形成する工程と、
    同一エッチングマスクを用いて、前記圧電体用絶縁膜と前記下部電極用金属膜を一括加工し、平面パターン上、同一形状同一サイズの下部電極及び圧電体を形成する工程と、
    前記圧電体上に上部電極を形成する工程と、
    前記中継電極に接続される下部電極配線を形成する工程
    とを含むことを特徴とする薄膜圧電共振器の製造方法。
  12. 前記下部電極の下部にキャビティを設け、前記下部電極の一部を前記半導体基板に対して中空状態で機械的に保持させる工程を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。
  13. 前記下部電極及び圧電体を形成する工程の後、
    前記上部電極及び平面パターン上、前記圧電体の占有する領域から露出した前記中継電極及び前記半導体基板の表面を被覆する層間絶縁膜を形成する工程と、
    該層間絶縁膜中に前記圧電体の表面の一部及び前記中継電極の表面の一部を露出するコンタクトホールを開口する工程
    とを更に含み、該コンタクトホールを介して、前記圧電体上に前記上部電極が、前記中継電極に前記下部電極配線が接続されることを特徴とする請求項11又は12に記載の薄膜圧電共振器の製造方法。


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