JP2007129776A - 薄膜圧電共振器、薄膜圧電デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気機械結合係数が大きく、音響的品質係数(Q値)及び周波数温度特性に優れた複数個の薄膜バルク波共振器を組み合せることにより、挿入損失が小さくて、性能の改良された薄膜圧電デバイスを作製できるようにする。
【解決手段】振動空間を有する基板12と、その上に形成された圧電積層構造体14とを用いて薄膜圧電共振器210,220を形成する。圧電積層構造体14は、圧電体膜16とその両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された下部電極15及び上部電極17とを有する。圧電積層構造体14に絶縁体層13が付されている。振動空間は基板12の圧電積層構造体14の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホール22により形成されている。ビアホール22の側壁面は基板12の圧電積層構造体14の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしている。
【選択図】図1B
【解決手段】振動空間を有する基板12と、その上に形成された圧電積層構造体14とを用いて薄膜圧電共振器210,220を形成する。圧電積層構造体14は、圧電体膜16とその両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された下部電極15及び上部電極17とを有する。圧電積層構造体14に絶縁体層13が付されている。振動空間は基板12の圧電積層構造体14の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホール22により形成されている。ビアホール22の側壁面は基板12の圧電積層構造体14の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしている。
【選択図】図1B
Description
本発明は、圧電体薄膜を利用した薄膜圧電共振器を複数個組み合せることにより作製される薄膜圧電デバイスに関するものであり、更に詳細に記せば、通信機用フィルターに使用される薄膜圧電共振器、薄膜圧電デバイスおよびその製造方法に関する。
また、本発明は、移動体通信機等に利用される薄膜フィルター、送受信切替器、薄膜VCO(電圧制御発振器)や各種センサーなど、広範な分野で用いられる圧電体薄膜を応用した薄膜圧電共振器、およびそれを用いたデバイスならびにその製造方法に関する。
圧電現象を応用したデバイスは広範な分野で用いられている。携帯機器の小型化と省力化が進む中で、RF用およびIF用フィルターとして弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイスの使用が拡大している。SAWフィルターは設計および生産技術の向上によりユーザーの厳しい要求仕様に対応してきたが、利用周波数の高周波数化と共に特性向上の限界に近づき、電極形成の微細化と安定した出力確保の両面で大きな技術革新が必要となってきている。
一方、圧電体薄膜の厚み振動を利用した薄膜バルク波共振器(Thin Film Bulk Acoustic Resonator:以下FBAR)、積層型薄膜バルク波共振器およびフィルター(Stacked Thin Film Bulk Acoustic Resonators and Filters:以下SBAR)は、基板に設けられた薄い支持膜の上に、主として圧電体より成る薄膜と、これを駆動する電極を形成したものであり、ギガヘルツ帯での基本共振が可能である。FBARまたはSBARでフィルターを構成すれば、著しく小型化でき、かつ低損失・広帯域動作が可能な上に、半導体集積回路と一体化することができるので、将来の超小型携帯機器への応用が期待されている。
このような弾性波を利用した共振器、フィルター等に応用されるFBAR、SBARなどの薄膜圧電振動子は、以下のようにして製造される。
シリコンなどの半導体単結晶、シリコンウエハー上に形成された多結晶ダイヤモンド、エリンバーなどの恒弾性金属などの基板上に、種々の薄膜形成方法によって、誘電体薄膜、導電体薄膜、またはこれらを積層した下地膜を形成する。この下地膜上に圧電体薄膜を形成し、さらに必要に応じた上部構造を形成する。各層の形成後に、または全層を形成した後に、各々の膜に物理的処理または化学的処理を施すことにより、微細加工、パターニングを行う。湿式法に基づく異方性エッチングにより基板から振動部の下に位置する部分を除去した浮き構造を作製し、必要に応じて、その後1デバイス単位に分離することにより、薄膜圧電デバイスを得る。
例えば、特開昭58−153412号公報(特許文献1)や特開昭60−142607号公報(特許文献2)に記載された薄膜圧電振動子は、基板の上面上に下地膜、下部電極、圧電体薄膜および上部電極を形成した後に、基板の下面側から振動部となる部分の下にある基板部分を除去して、ビアホールを形成することにより製造されている。基板がシリコンからなるものであれば、加熱KOH水溶液を使用してシリコン基板の一部を裏面からエッチングして取り去ることにより、ビアホールを形成する。これにより、シリコン基板の前面側(上面側)において、圧電材料の層が複数の金属電極の間に挟み込まれた構造体の縁部をビアホールの周囲の部分で支持した形態を有する共振器を作製できる。
しかしながら、KOHなどのアルカリを使用した湿式エッチングを行うと、(111)面に平行にエッチングが進行するため、(100)シリコン基板表面に対して54.7度の傾斜でエッチングが進行し、隣り合う共振器の中心間の距離を著しく大きくしなければならない。例えば、厚さ300μmのシリコンウェーハの上に構成された約150μm×150μmの平面寸法の振動部を有する共振器は、約575μm×575μmの裏面側エッチング孔を必要とし、隣り合う共振器の中心間距離は575μm以上になってしまう。このことは、FBAR共振器の高密度集積化を妨げるばかりでなく、圧電体薄膜を挟むように配置されている金属電極を延長して隣り合う共振器を接続する場合に該金属電極が長くなり、その電気抵抗が大きくなるために、FBAR共振器を複数個組み合わせて作製される薄膜圧電デバイスの挿入損失が著しく大きくなるという問題がある。また、最終製品の取得量、即ち、ウェーハ上にて単位面積あたりに形成される薄膜圧電共振器の数も制限を受け、ウェーハ面積の約1/15の領域を共振器のために利用するのみでデバイス生産が行われることになる。
薄膜圧電デバイスに応用されるFBAR、SBARなどの薄膜圧電共振器を製造する従来技術の第2の方法は、例えば特開平2−13109号公報(特許文献3)に記載のように、空気ブリッジ式FBARデバイスを作ることである。通常、最初に犠牲層(Sacrificial layer)を設置し、次にこの犠牲層の上に圧電共振器を製作する。プロセスの終わりまたは終わり近くに、犠牲層を除去して、振動部を形成する。処理はすべてウェハー前面側で行なわれるから、この方法は、ウェハー両面におけるパターンの整列および大面積のウェハー裏面側開口部を必要としない。特開2000−69594号公報(特許文献4)には、犠牲層として燐石英ガラス(PSG)を使用した空気ブリッジ式のFBAR/SBARデバイスの構成と製造方法が記載されている。
しかしながら、この方法においては、エッチングによるウェハー前面での空洞形成、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法によるウェハー前面での犠牲層の堆積、CMP研磨によるウェハー表面の平坦化および平滑化、犠牲層上への下部電極、圧電体薄膜および上部電極の堆積とパターン形成という一連の工程の後に、空洞まで貫通するバイア(穴)を開け、ウェハー前面に堆積させた上部構造をレジスト等で保護して、バイアを通してエッチング液を浸透させることにより犠牲材料を空洞から除去する、という長くて複雑な工程を必要とし、パターン形成に使用するマスク数も大幅に増加する。製造工程が長くて複雑になると、それ自体、デバイスの高コスト化をもたらすと共に、製品の歩留りが低下して、更にデバイスを高コストなものにしてしまう。このような高価なデバイスを移動体通信機用の汎用部品として普及させることは困難である。また、燐石英ガラス(PSG)などの犠牲材料を除去するために使用するエッチング液が、上部構造を形成する下部電極、圧電体薄膜および上部電極の各層を浸食してしまうので、前記の上部構造に使用できる材料が著しく限定されるばかりでなく、所望の寸法精度を有するFBARまたはSBAR構造を作製することが難しいという深刻な問題がある。
薄膜圧電デバイス用の圧電材料としては、窒化アルミニウム(AlN),酸化亜鉛(ZnO),硫化カドミウム(CdS),チタン酸鉛(PT(PbTiO3)),チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(Pb(Zr,Ti)O3))などが用いられている。特にAlNは、弾性波の伝播速度が速く、高周波帯域で動作する薄膜圧電共振器、薄膜フィルター用の圧電材料として適している。
FBARおよびSBARは薄膜中における弾性波の伝播によって共振を得ているため、圧電体薄膜の振動特性はもとより、電極層や下地膜の振動特性がFBARおよびSBARの共振特性に大きく影響する。このため、電極層および下地膜の形状、厚さに対しては、振動特性面から様々な制約が存在する。例えば、電極層や下地膜を厚くすると、FBARおよびSBARの実効的な電気機械結合係数が小さくなるという問題がある。一方、金属電極層を薄く、細長くすると、電気抵抗が高くなり、導体損が増加するため、複数個のFBARまたはSBARを組合せて作製される薄膜圧電デバイスの構造設計に種々の制約が生じてくる。
このような理由により、ギガヘルツ帯域で十分な性能を発揮する薄膜圧電デバイスは、未だ得られていない。したがって、圧電薄膜のみならず、電極層や下地膜をも含めた振動部の電気機械結合係数、音響的品質係数(Q値)、共振周波数の温度安定性、挿入損失などの特性が総て改善された、高性能な薄膜圧電デバイスの実現が強く望まれている。特に挿入損失は、共振器やフィルターを構成する上での性能を左右する重要なパラメーターであり、使用する金属電極薄膜の品質、特性に大きく依存している。
特開昭58−153412号公報
特開昭60−142607号公報
特開平2−13109号公報
特開2000−69594号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電気機械結合係数が大きく、音響的品質係数(Q値)及び周波数温度特性に優れたFBARまたはSBARより成る複数個の共振器を組み合せることにより作製される、挿入損失が小さくて、性能の改良された薄膜圧電デバイスを提供することである。
本発明によれば、以上のごとき目的を達成するものとして、下記のような音響的品質係数、帯域幅、温度特性などに優れ、挿入損失の小さな高性能薄膜圧電デバイスおよびこれを製造する方法が提供される。
複数個の薄膜圧電共振器を組合せて作製されるフィルターなどの薄膜圧電デバイスの挿入損失は金属電極層の導体損失に依存することが知られている。本発明者らは、隣り合う薄膜圧電共振器の間の中心間距離を短くすることにより、該隣り合う薄膜圧電共振器を電気的に接続する金属電極の電気抵抗が低下し、その結果、挿入損失を大幅に低下させることができると考えた。そこで、隣り合う薄膜圧電共振器の間の中心間距離を短くする方策を種々検討した結果、プラズマを利用した深いトレンチエッチングであるDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)法による異方性エッチングを適用することが、薄膜圧電デバイスの高性能化と低コスト化の両面で最も好ましい解決手段であることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記の目的を達成するものとして、
複数の振動空間を有する基板と該基板上に形成された圧電積層構造体とを含み、前記振動空間に対応して複数の薄膜圧電共振器が形成された薄膜圧電デバイスであって、
前記圧電積層構造体は少なくとも圧電体膜と該圧電体膜の両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された金属電極とを有しており、
前記圧電積層構造体は、前記振動空間に面して位置するダイアフラムと、該ダイヤフラム以外の支持領域とからなり、
前記薄膜圧電共振器は2つの隣り合うもの同士の少なくとも1組が前記金属電極により電気的に接続されており、
電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心を通過する直線が前記支持領域を通過する線分の長さD1と、前記電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心間の距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5である少なくとも1組の前記薄膜圧電共振器を有することを特徴とする薄膜圧電デバイス、
が提供される。
複数の振動空間を有する基板と該基板上に形成された圧電積層構造体とを含み、前記振動空間に対応して複数の薄膜圧電共振器が形成された薄膜圧電デバイスであって、
前記圧電積層構造体は少なくとも圧電体膜と該圧電体膜の両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された金属電極とを有しており、
前記圧電積層構造体は、前記振動空間に面して位置するダイアフラムと、該ダイヤフラム以外の支持領域とからなり、
前記薄膜圧電共振器は2つの隣り合うもの同士の少なくとも1組が前記金属電極により電気的に接続されており、
電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心を通過する直線が前記支持領域を通過する線分の長さD1と、前記電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心間の距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5である少なくとも1組の前記薄膜圧電共振器を有することを特徴とする薄膜圧電デバイス、
が提供される。
本発明の一態様においては、前記電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の組の全てに関して前記比率D1/D0が0.1〜0.5である。本発明の一態様においては、前記振動空間は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホールにより形成されており、該ビアホールの側壁面は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしている。
本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなる。本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器の上部電極が2つの電極部から構成されている。
本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、第1の前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する内部電極と、第2の前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなる。
本発明の一態様においては、前記ダイアフラムには少なくとも一層の酸化シリコンおよび/または窒化シリコンを主成分とする絶縁体層が付されている。本発明の一態様においては、前記圧電積層構造体の支持領域と前記基板との間にのみ少なくとも一層の酸化シリコンおよび/または窒化シリコンを主成分とする絶縁体層が介在する。
本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記圧電体膜が一般式Al1-xGaxN(但し、0<x<1)で表され、c軸配向を示す窒化アルミニウムと窒化ガリウムとの固溶体より成る配向性結晶膜であって、その(0002)面の回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)が3.0°以下である。本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記圧電体膜がc軸配向を示す酸化亜鉛薄膜であって、その(0002)面の回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)が3.0°以下である。本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記圧電体膜がチタン酸鉛薄膜またはチタン酸ジルコン酸鉛薄膜である。
本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記ダイアフラムの平面形状は、2対の対辺を有し、少なくとも一方の対の対辺が非平行に形成されている。本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記ダイアフラムの平面形状は、少なくともその一部が非方形の不規則な多角形で形成されている。本発明の一態様においては、少なくとも1つの前記薄膜圧電共振器において、前記ダイアフラムの平面形状は、少なくともその一部に曲線部分を含む非方形の不規則な多角形で形成されている。
本発明の一態様においては、前記薄膜圧電デバイスが薄膜圧電フィルターである。本発明の一態様においては、1前記薄膜圧電フィルターは、直列接続された複数の前記薄膜圧電共振器とこれに対して分路接続された前記薄膜圧電共振器とを備えた梯子型回路で構成されている。
本発明の一態様においては、前記薄膜圧電デバイスが、複数個の薄膜圧電フィルターを備えた送受信切替器である。本発明の一態様においては、2前記薄膜圧電フィルターは、直列接続された複数の前記薄膜圧電共振器とこれに対して分路接続された前記薄膜圧電共振器とを備えた梯子型回路で構成されている。
また、本発明によれば、上記の目的を達成するものとして、
上記薄膜圧電デバイスを製造する方法であって、半導体あるいは絶縁体からなる基板上に前記圧電積層構造体を形成した後に、該圧電積層構造体の形成された側と反対側から前記基板に対して深彫り型反応性イオンエッチング法により前記振動空間を形成する工程を有することを特徴とする、薄膜圧電デバイスの製造方法、
が提供される。
上記薄膜圧電デバイスを製造する方法であって、半導体あるいは絶縁体からなる基板上に前記圧電積層構造体を形成した後に、該圧電積層構造体の形成された側と反対側から前記基板に対して深彫り型反応性イオンエッチング法により前記振動空間を形成する工程を有することを特徴とする、薄膜圧電デバイスの製造方法、
が提供される。
更に、本発明によれば、上記の目的を達成するものとして、
振動空間を有する基板と該基板上に形成された圧電積層構造体とを用いて形成された薄膜圧電共振器であって、前記圧電積層構造体は少なくとも圧電体膜と該圧電体膜の両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された金属電極とを有しており、前記振動空間は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホールにより形成されており、該ビアホールの側壁面は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしていることを特徴とする薄膜圧電共振器、
が提供される。
振動空間を有する基板と該基板上に形成された圧電積層構造体とを用いて形成された薄膜圧電共振器であって、前記圧電積層構造体は少なくとも圧電体膜と該圧電体膜の両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された金属電極とを有しており、前記振動空間は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホールにより形成されており、該ビアホールの側壁面は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしていることを特徴とする薄膜圧電共振器、
が提供される。
本発明では、半導体あるいは絶縁体からなる基板の上面にて、圧電材料の層が複数の金属電極の間に挟み込まれた構造を有する振動部を形成するにあたり、プラズマを利用した深いトレンチエッチングであるDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)法によって、振動部となる部分の下にある基板部分を基板の下面側から異方的に除去して、振動空間となるビアホールを形成する。なお、本明細書では、基板の2つの主面のうちの一方であって振動部を含む圧電積層構造体の形成される主面を便宜上「上面」と呼び、他方の主面を便宜上「下面」と呼ぶことがある。
Deep RIE法は、反応性ガスを用いるプラズマエッチングであり、シリコンウエハーを高いエッチング速度で異方的に加工して、垂直に近いテーパー角でほぼ垂直な断面形状を有する深いトレンチまたはビアホールを形成するのに適している。その一例を説明する。誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasma)発生電源を備えたドライエッチング装置の反応容器内に、パターン形成されたフォトレジストで所定の部分をマスクしたシリコンウエハーを装填する。シリコンウエハーは、静電チャックにより高周波(13.56MHz)電極上にクランプされ、ヘリウムガス冷却により、室温付近(−20〜60℃)に保持される。ガス切替制御器により、容器内部にエッチングガスであるSF6ガスと保護膜形成用のC4F8ガスとを交互に導入するというTime Modulation法の採用により、プラズマ状態を一定に保ったままでシリコンのエッチングと側壁での保護膜形成とを交互に周期的に行うことができる。第1ステップのC4F8放電時に、C4F8ガスのイオン化と解離によるnCF2ポリマー系膜堆積で側壁保護膜が形成される。第2ステップでは、高周波バイアス電位が印加され、加工パターン底面の保護膜が効率的に除去される。第3ステップのSF6放電によって発生したフッ素ラジカルの衝突で、垂直方向のエッチングが進行する。各ステップの時定数を最適化することにより、必要最小限の保護膜堆積とSF6プラズマによる高異方性エッチングを実現することができる。エッチング速度、エッチング加工形状、シリコンとマスク物質との選択比、エッチングの均一性などは、前記各ステップの時定数に左右される。この方法には、試料温度制御のための特別な設備を必要とせず、室温付近で高エッチング速度、高異方性の加工ができるという特徴がある。
即ち、Deep RIE法の適用により、前記基板の下面から上面に向かって垂直に近いテーパー角でビアホールの側壁が形成される。かくして、振動空間としてのビアホールに下部電極または絶縁体層が面した部位であるダイアフラムの寸法と基板下面開口部の寸法との差が小さなビアホールが形成され、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離を短くすることができる。ここでテーパー角とは、基板の下面から上面に向かって形成されたビアホールの側壁面を代表する平均平面と基板下面または基板上面との為す角度であり、テーパー角80〜100度であれば、垂直に近いと言える。電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の基板上面と平行な面内での中心(2次元の幾何学的重心)を結ぶ直線上において、該直線が隣り合う薄膜圧電共振器のダイヤフラム同士の間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と、該電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0との比率D1/D0が、0.1〜0.5となるように、複数個の薄膜圧電共振器を構成して、これをデバイス化する。電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器のすべての組合わせにおいて上記比率D1/D0が0.1〜0.5になるような配置が好ましいが、少なくとも1組の隣り合う薄膜圧電共振器にこのような配置が適用されていてもよい。このように集積化された複数個の薄膜圧電共振器を組み合わせることにより、挿入損失が小さくて高特性、高性能な薄膜圧電デバイスを製造することができる。
本発明における薄膜圧電共振器の基板上面と平行な面内での中心(2次元の幾何学的重心)とは、薄膜圧電共振器を構成するダイアフラムの2次元的中心であり、ダイアフラムの2次元的な幾何学的重心を意味する。2次元的な幾何学的重心は、任意の閉曲線で囲まれた形状について、その重力方向の釣り合いを2ヶ所実測して求め得るが、図形的に求めることもできる。例えば、四角形については、コクセター著の「幾何学入門」に記載の如く「四角形の各辺の3等分点8個をとり、この四角形の各頂点に隣接する2つの前記3等分点を通る直線4本により囲まれる四角形を作ると、この四角形は平行四辺形である」。このとき、その平行四辺形の対角線の交点が幾何学的重心となる。また、n角形(nは4以上の整数)の場合には、n角形の1頂点を始点とした対角線を引いて、n−2個の三角形に分割する。分割したそれぞれの三角形の重心の加重平均を求めれば、n角形全体の重心が得られる。
本発明における薄膜圧電共振器を構成する前記圧電積層構造体は、振動空間を有する基板との位置関係により、2つの領域から形成されている。1つの領域は、前記振動空間上部に位置するダイアフラムであり、もう1つの領域は前記振動空間を除く基板部(支持部)上部に位置する支持領域である。
本発明においては、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の2次元的な中心、即ち、電気的に接続された隣り合う圧電薄膜共振器のダイアフラムの2次元的な中心を結ぶ直線(基板上面と平行な面内にある)は、該隣り合う薄膜圧電共振器の各ダイアフラム上および2つのダイアフラムの間に存在する前記支持領域を通過する。隣り合う薄膜圧電共振器の各ダイアフラム上を通過する線分の長さを、それぞれD2,D3とし、支持領域を通過する線分の長さをD1とすれば、該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0は、
D0=D1+D2+D3
と表される。
D0=D1+D2+D3
と表される。
本発明においては、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の2次元的中心(ダイアフラムの中心)を結ぶ直線が、隣り合う薄膜圧電共振器の間に存在する支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5、好ましくは0.18〜0.3となるような位置に、個々の薄膜圧電共振器を配置する。D1/D0比が0.1よりも小さいと、隣り合う薄膜圧電共振器を構成する2つのビアホールの間の基板部分(即ち側壁部)が薄くなり、強度が著しく低下して、取り扱いが困難となる。例えば、ダイシングなどの加工中やデバイス組立て中に壊れてしまうので好ましくない。この隣り合うビアホール間の側壁部は、基板の上面に形成された圧電体膜を含む圧電積層構造体を支持する役目を果たしている。D1/D0比が0.5を超えると、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離が広がり過ぎて、両者を接続する金属電極の寸法(長さ)が大きくなり、該金属電極の電気抵抗が大きくなり過ぎてしまう。金属電極の電気抵抗が大きくなると、組立てた薄膜圧電デバイスの挿入損失が増大し、通信機用フィルターなどの高周波回路部品として実用に供することができなくなる。
本発明において、D1は、例えば、25〜70μm好ましくは30〜60μmであり、D0は、例えば、100〜300μm好ましくは150〜250μmである。これらは、小さすぎると、隣り合う薄膜圧電共振器を構成する2つのビアホールの間の基板部分(即ち側壁部)が薄くなり、強度が著しく低下して、取り扱いが困難となる。一方、大きすぎると、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離が広がり過ぎて、両者を接続する金属電極の寸法(長さ)が大きくなり、該金属電極の電気抵抗が大きくなり過ぎてしまう。
また、本発明によれば、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム間に存在する支持領域を通過する前記の線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5となるような位置に構成された薄膜圧電共振器において、該薄膜圧電共振器の振動部を構成するダイアフラムの平面形状を工夫し、最適化することにより、通過帯域内に余分なスプリアス信号、ノイズが入らず、低挿入損失で高特性、高性能な薄膜圧電デバイスを製造することができる。好ましいダイアフラム平面形状の具体例としては、少なくとも一方の対の対辺同士が非平行に形成されている2対の対辺を有する形状(四辺形)、少なくともその一部に非方形の不規則な多角形を含む多角形、少なくともその一部に曲線部分を含む非方形の不規則な多角形などが挙げられる。このように、ダイアフラムの平面形状の対称性を低下させることにより、所望の通過帯域内に余分なスプリアス信号、ノイズが入って来ないようにすることができ、高周波回路部品として使用される薄膜圧電デバイスの性能が向上する。
本発明の薄膜圧電デバイスは、複数の振動空間を有する基板と、該基板上に形成された圧電積層構造体とを有しており、該基板を用いて複数の薄膜圧電共振器が形成されている。その薄膜圧電共振器の一実施形態として、複数の振動空間を有する基板の上に、下部電極、圧電体膜および上部電極が形成されたものを挙げることが出来る。また、上部電極は、2つの電極部から構成されていてもよい。
また、本発明の薄膜圧電デバイスを構成する薄膜圧電共振器の他の実施形態として、前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、下部電極、圧電体膜、内部電極、圧電体膜および上部電極からなるものを挙げることが出来る。
本発明においては、薄膜圧電デバイス用の圧電材料として、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1−xGaxN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(Pb(Zr,Ti)O3))などを用いることができる。特にAlNは、弾性波の伝播速度が速く、高周波帯域で動作する薄膜圧電共振器、薄膜フィルター用の圧電材料として適している。
前記の圧電体薄膜の特長を活かしつつ、共振周波数の温度安定性を改善するには、振動部に絶縁体層として酸化シリコン(SiO2)層を形成することが有効である。振動部とは、前記ダイアフラムのうち、圧電体膜を挟む少なくとも2つの電極が重なり合う領域を意味する。SiO2は正の温度係数を有しており、負の温度係数を有する前記の圧電体の共振周波数の温度変化を補償することができる。絶縁体層は、SiO2単層でも良く、SiO2および窒化シリコン(Si3N4またはSiNX)を主成分とする複合層であっても良い。また、絶縁体層としてSi3N4単層またはSiNX単層を用いることもできる。さらに、圧電体層の材料として用いられるAlNを絶縁体層の材料として使用することも可能である。
ここで、薄膜圧電共振器本来の優れた共振特性を実現するには、絶縁体層の厚みを特別の範囲内に設定するのが好ましい。例えば、AlNを主成分とする圧電体薄膜の厚さをt,前記酸化シリコンを主成分とする絶縁体層全体の厚さをt'とした時に、0.1≦t'/t≦0.5を満たす範囲にある場合,特にその効果が顕著であり,電気機械結合係数,音響的品質係数および共振周波数の温度安定性の全てが著しく良好となる。t'/t<0.1となると、電気機械結合係数、音響的品質係数は向上する傾向を示すが、共振周波数の温度特性を改善する効果が小さくなる。また、t'/t>0.5となると、絶縁体層の存在により、電気機械結合係数,音響的品質係数が損なわれてくる。また、絶縁体層がSiO2層の場合には、圧電体薄膜としてAlN以外からなるものを用いた方が、共振周波数の温度係数の絶対値が小さくなるので,FBARとしての特性が良好であり好ましい。
本発明の薄膜圧電デバイスを構成する薄膜圧電共振器においては、共振周波数の温度特性を改善する目的で、上記のように、振動部にSiO2および/または窒化シリコン(Si3N4またはSiNX)を主成分とする絶縁体層を形成することもできるが、一方で、共振周波数の温度安定性が良好な圧電体を用いる場合には、絶縁体層を全く無くしてしまうことも可能である。即ち、SiO2を主成分とする絶縁体層が前記圧電積層構造体の支持領域と前記基板の支持部との間にのみ存在し、振動部であるダイアフラムの部分には絶縁体層が存在しないような構成も採用することができる。
薄膜圧電デバイス用の圧電材料として使用される窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1-xGaxN)、酸化亜鉛(ZnO)より成る圧電体薄膜は、それぞれc軸配向を示し、X線回折法により測定した(0002)面の回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)は3.0°以下であるものが好ましい。ロッキング・カーブ半値幅(FWHM)が3.0°を超えると、電気機械結合係数kt 2が低下し、デバイス化に必要な通過帯域幅が十分に取れなくなることがあり、共振特性が悪化することがある。
チタン酸鉛(PT(PbTiO3))、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(Pb(Zr,Ti)O3))については、結晶の配向性を表すロッキング・カーブ半値幅(FWHM)に関するデバイス特性の依存性は少ない。
以上のように、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離を短くし、好ましくはダイアフラムの平面形状を最適化して共振特性の良好な複数個の薄膜圧電共振器を組み合せて集積化することにより、金属電極の導体損に起因する挿入損失を著しく低減でき、電気機械結合係数(例えば、2.0〜3.0GHzの範囲における共振周波数と反共振周波数の測定値から求めた電気機械結合係数kt 2が4.0%以上である)および音響的品質係数(Q値)が大きく、挿入損失が小さくて、利得、帯域特性に優れた高性能な薄膜圧電デバイスを実現することができる。このような高性能な薄膜圧電デバイスは、移動体通信機向けの各種デバイスとして利用することができる。また、本発明の薄膜圧電共振器は、前記振動空間がDEEP RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)法により前記基板の下面から上面に向かって垂直に近いテーパー角で形成されているために、薄膜圧電共振器同士を近接して設置することが可能となり、上記のような高性能のデバイスを提供できる。
以上説明したように、本発明によれば、プラズマを利用した深いトレンチエッチングであるDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)法により、振動部となる部分の下にある基板部分を基板の下面側から異方的に除去して、振動空間となるビアホールを形成することで、ダイアフラムの寸法と基板下面開口部の寸法との差が小さなビアホールを作製でき、これにより、薄膜圧電デバイスの金属電極により電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離を短くして、金属電極の導体損に起因する挿入損失を著しく低減することができる。
本発明の薄膜圧電デバイスによれば、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離が短く、近接した位置に配置された複数個の薄膜圧電共振器を組み合せて集積化することにより、金属電極の導体損に起因する挿入損失を著しく低減でき、低挿入損失で、電気機械結合係数や音響的品質係数(Q)の優れた薄膜圧電デバイスを実現できる。また、薄膜圧電共振器の振動部を構成するダイアフラムの平面形状を工夫し、最適化することにより、通過帯域内に余分なスプリアス信号、ノイズが入らず、低挿入損失で、利得、帯域特性に優れた薄膜圧電デバイスに仕上がる。本発明の薄膜圧電デバイスを用いた場合、挿入損失が小さく、利得、帯域特性に優れているため,VCO(圧電薄膜共振子),フィルター,送受信切替器としての性能が向上し、移動体通信機向けの各種デバイスとして利用することができる。
以下に、本発明による薄膜圧電共振器、薄膜圧電デバイスおよびその製造方法の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の実施形態を説明する前に、先ず、参考のための薄膜圧電デバイスについて説明する。
図8Aは薄膜圧電デバイスの一参考例を示す模式的平面図であり、図8BはそのX−X’模式的断面図である。これらの図において、薄膜圧電デバイス100はFBAR110,FBAR120,FBAR130およびFBAR140を組み合せることにより作製されている。FBAR120は、基板12、該基板12の上面に形成された絶縁体層13、および該絶縁体層13の上面に作製された圧電積層構造体14を有する。圧電積層構造体14は、絶縁体層13の上面に形成された下部電極15、該下部電極15を覆うようにして下地膜としての絶縁体層13の上面に形成された圧電体膜16および該圧電体膜16の上面に形成された上部電極17を備えている。基板12には、空隙を形成するビアホール22が設けられている。絶縁体層13の一部はビアホール22に向けて露出している。絶縁体層13の露出部分およびこれに対応する位置に存在する圧電積層構造体14の部分が、振動部を形成するダイアフラム23を構成する。また、下部電極15および上部電極17はダイアフラム23に対応する領域内に形成された主体部15a、17aと、該主体部15a、17aと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部15b、17bを有する。端子部15b、17bはダイアフラム23に対応する領域外に延びている。FBAR110,FBAR130およびFBAR140の構成についても同様である。
この参考例においては、例えば基板12がシリコンからなるものであれば、加熱KOH水溶液を使用してシリコン基板の一部を下面からエッチングして取り去ることにより、ビアホール22を形成している。しかしながら、KOHなどのアルカリを使用した湿式エッチングを行うと、(111)面に平行にエッチングが進行するため、(100)シリコン基板表面に対して54.7度の傾斜でエッチングが進行し、隣り合う共振器のダイアフラム間の距離が著しく大きくなってしまう。例えば、厚さ300μmのシリコンウェーハの上面に構成された約150μm×150μmの平面寸法を有するダイアフラム23は、約575μm×575μmの下面側エッチング開口部24を必要とし、隣り合う共振器のダイアフラム中心間距離は575μm以上になってしまう。即ち、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の間に存在する圧電積層構造体の支持領域の寸法は、該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離の約0.74倍以上の長い距離になってしまっている。
このことにより、FBAR共振器の高密度集積化が妨げられるばかりでなく、圧電体層16を挟む金属電極(下部電極15と上部電極17)により隣り合う共振器同士を電気的に接続する場合に、該金属電極の電気抵抗が大きくなるために、FBAR共振器110、120、130および140を組み合わせて作製される薄膜圧電デバイス100の挿入損失が著しく大きくなってしまうという問題を引き起こす。
これに対して、本発明による薄膜圧電デバイスの一実施形態は、図1A〜図1Cに示す様な構成を有する。図1Aは本実施形態の薄膜圧電デバイスを示す模式的平面図であり、図1BはそのX−X’模式的断面図、図1CはそのY−Y’模式的断面図である。これらの図において、薄膜圧電デバイス200はFBAR210,FBAR220,FBAR230およびFBAR240を組み合せることにより作製されている。FBAR220は、基板12、該基板12の上面に形成された絶縁体層13、および該絶縁体層13の上面に作製された圧電積層構造体14を有する。圧電積層構造体14は、絶縁体層13の上面に形成された下部電極15、該下部電極15を覆うようにして絶縁体層13の上面に形成された圧電体膜16および該圧電体膜16の上面に形成された上部電極17を備えている。基板12には、空隙を形成するビアホール22が設けられている。絶縁体層13の一部はビアホール22に向けて露出している。この絶縁体層13の露出部分およびこれに対応する位置に存在する圧電積層構造体14の部分が、振動部を含むダイアフラム23を構成する。また、下部電極15および上部電極17はダイアフラム23に対応する領域内に形成された主体部15a、17aと、該主体部15a、17aと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部15b、17bを有する。端子部15b、17bはダイアフラム23に対応する領域外に延びている。FBAR210,FBAR230およびFBAR240の構成についても同様である。
本実施形態では、Deep RIE法の適用により、基板12の一面(例えば下面)から対向面(例えば上面)に向かって垂直に近いテーパー角でビアホール22の側壁面が形成されている。かくして、振動空間としてのビアホール22に下部電極15または絶縁体層13が面した部位であるダイアフラム23の寸法と基板下面のエッチング開口部24の寸法との差が小さなビアホール22を形成しているため、隣り合う薄膜圧電共振器同士を接近させて設置することができる。このため、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210及び220のダイアフラム23の基板表面と平行な面内での中心(2次元的な幾何学的重心)1及び2を結ぶ直線上(図1AにおけるX−X’線)において、該直線が隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム23間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離D0との比率D1/D0を小さくすることができる(図1A及び図1B参照)。薄膜圧電共振器210及び220の電気的接続は下部電極15を介して行われる。電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210と230との関係についても同様である。また、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器220と240との関係についても同様であるが、この場合には電気的接続が上部電極17を介して行われる。
本実施形態の薄膜圧電デバイスは、薄膜圧電共振器210と220とを直列接続し、これらに対してそれぞれ薄膜圧電共振器230と240とを分路接続してなる梯子型回路で構成された薄膜圧電フィルターである。
図2A〜図2Cには、本発明による薄膜圧電デバイスの別の実施形態が示されている。図2Aは本実施形態の薄膜圧電デバイスを示す模式的平面図であり、図2BはそのX−X’模式的断面図、図2CはそのY−Y’模式的断面図である。これらの図において、上記図1A〜図1Cにおけるのと同様の機能を有する部材には同一の符号が付けられている。
薄膜圧電デバイス200はFBAR210,FBAR220,FBAR230およびFBAR240を組み合せることにより作製されている。FBAR220は、空隙を形成するビアホール22が設けられた基板12、該基板12の上面に形成された絶縁体層13、および該絶縁体層13の上面にてビアホール22をまたいで橋架けされるように作製された圧電積層構造体14を有する。本実施形態においては、絶縁体層13は基板12の上面のビアホール22以外の部分(圧電積層構造体14のための支持部)に存在しており、圧電積層構造体14の支持領域と基板の支持部との間に絶縁体層13が介在する。
ビアホール22に対応するダイアフラム23の部分に絶縁体層13が存在しないので、電気機械結合係数が高くなり、帯域幅が広がる。圧電積層構造体14は、その一部が絶縁体層13の上面に接している下部電極15、該下部電極15を覆うようにして絶縁体層13の上面に形成された圧電体膜16および該圧電体膜16の上面に形成された上部電極17を備えている。下部電極15の一部は、絶縁体層13を介することなく、ビアホール22に向けて露出している。この下部電極15の露出部分およびこれに対応する位置に存在する圧電積層構造体14の部分が、振動部を含むダイアフラム23を構成する。また、下部電極15および上部電極17はダイアフラム23に対応する領域内に形成された主体部15a、17aと、該主体部15a、17aと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部15b、17bを有する。端子部15b、17bはダイアフラム23に対応する領域外に延びている。FBAR210,FBAR230およびFBAR240の構成についても同様である。
本実施形態においても、図1A〜図1Cの実施形態と同じく、隣り合う薄膜圧電共振器同士を接近させて設置することができるため、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210及び220のダイアフラム23の中心(2次元的な幾何学的重心)1及び2を結ぶ直線上(図2AにおけるX−X’線)において、該直線が隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム23間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離D0との比率D1/D0を小さくすることができる(図2A及び図2B参照)。薄膜圧電共振器210及び220の電気的接続は下部電極15を介して行われる。電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210と230との関係についても同様である。また、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器220と240との関係についても同様であるが、この場合には電気的接続が上部電極17を介して行われる。
本実施形態の薄膜圧電デバイスは、薄膜圧電共振器210と220とを直列接続し、これらに対してそれぞれ薄膜圧電共振器230と240とを分路接続してなる梯子型回路で構成された薄膜圧電フィルターである。
図3A及び図3Bには、本発明による薄膜圧電デバイスのさらに別の実施形態が示されている。図3Aは本実施形態による薄膜圧電デバイスを示す模式的平面図であり、図3BはそのX−X’模式的断面図である。これらの図においても、上記図1A〜図2Cにおけるのと同様の機能を有する部材には同一の符号が付けられている。
薄膜圧電デバイス200はFBAR210,FBAR220,FBAR230,FBAR240およびFBAR250を組み合せることにより作製されている。FBAR220は、基板12、該基板12の上面に形成された絶縁体層13、および該絶縁体層13の上面に作製された圧電積層構造体14を有する。圧電積層構造体14は、絶縁体層13の上面に形成された下部電極15、該下部電極15を覆うようにして絶縁体層13の上面に形成された圧電体膜16および該圧電体膜16の上面に形成された上部電極17を備えている。基板12には、空隙を形成するビアホール22が設けられている。絶縁体層13の一部はビアホール22に向けて露出している。この絶縁体層13の露出部分およびこれに対応する位置に存在する圧電積層構造体14の部分が、振動部を含むダイアフラム23を構成する。下部電極15はダイアフラム23に対応する領域内に形成された主体部15aと、該主体部15aと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部15bを有する。端子部15bはダイアフラム23に対応する領域外に延びている。本実施形態では、上部電極17は、第1の電極部17Aと第2の電極部17Bとからなる。これら電極部17A,17Bはそれぞれ主体部17Aa,17Baと端子部17Ab、17Bbとを有する。主体部17Aa,17Baはダイアフラム23に対応する領域内に位置しており、該主体部17Aa,17Baと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部17Ab、17Bbはダイアフラム23に対応する領域外に延びている。
図3A及び図3Bの実施形態に示す2個の電極部からなる上部電極を備えたFBAR220は、多重モード共振器と呼ばれるものであり、上部電極17のうちの一方の電極部(例えば第2の電極部17B)と下部電極15との間に入力電圧を印加し、上部電極17のうちの他方の電極部(例えば第1の電極部17A)と下部電極15との間の電圧を隣のFBAR210への出力電圧として伝播させることができるので、FBAR220自体がフィルターとしての機能を発現する。このような構成のフィルターを通過帯域フィルターの構成要素として使用することにより、素子内配線を省略できるので、該配線に起因する損失が無く、阻止帯域の減衰特性が良好となって、周波数応答性が向上する。FBAR210についても同様である。
本実施形態においても、図1A〜図1Cの実施形態と同じく、隣り合う薄膜圧電共振器同士を接近させて設置することができるため、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210及び220のダイアフラム23の中心(2次元的な幾何学的重心)1及び2を結ぶ直線上(図3AにおけるX−X’線)において、該直線が隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム23間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間距離D0との比率D1/D0を小さくすることができる(図3A及び図3B参照)。電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210と240との関係及び電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器220と240との関係についても同様である。また、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器210と230との関係及び電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器220と250との関係についても同様であるが、この場合には電気的接続が下部電極15を介して行われる。
本実施形態の薄膜圧電デバイスは、薄膜圧電共振器210と220とを直列接続し、これらに対してそれぞれ薄膜圧電共振器230と240と250とを分路接続してなる梯子型回路で構成された薄膜圧電フィルターである。
本発明の薄膜圧電デバイスの基板12としては、シリコン(100)単結晶などの半導体単結晶、シリコンウエハーなどの基材表面にダイヤモンドなどの多結晶膜を形成したものを用いることができる。基板12として、その他の半導体または絶縁体基板を用いることも可能である。
本発明においては、プラズマを利用した深いトレンチエッチングであるDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)法によって振動部を構成するダイアフラムとなる部分の下にある基板部分を異方的に除去して、基板12にビアホール22を形成する。例えば、基板がシリコンからなるものであれば、エッチング装置内部にSF6ガスとC4F8ガスとを交互に導入してエッチングと側壁保護膜形成とを繰り返すことにより、側壁面と底面のエッチング速度比を制御し、毎分数μmのエッチング速度で、側壁面を垂直に立てた深い角柱状または円柱状のビアホール加工を行うことができる。したがって、ダイアフラム23の平面形状および寸法と基板下面の開口部24の平面形状および寸法とがほぼ等しくなり、隣り合う共振器のダイアフラム23を著しく接近させることができる。例えば、約150μm×150μmの横寸法を有するダイアフラム23を同寸法の下面側エッチング開口部24で形成することにより、隣り合う共振器のダイアフラム中心間距離を180μm前後の値にすることができる。
これにより、FBAR共振器の高密度の集積化が可能となり、圧電体層16を挟む金属電極(下部電極15と上部電極17)を用いて隣り合う共振器同士を電気的に接続する際の該金属電極の電気抵抗を小さく抑えて、FBAR共振器210、220、230及び240更には250を組み合せて作製される薄膜圧電デバイス200の挿入損失を著しく小さくすることができる。尚、基板12に形成される空隙は、ビアホール22によるものには限定されず、振動部となるダイアフラム23の振動を許容するものであれば、別の形態であってもよい。
絶縁体層13としては、酸化シリコン(SiO2)または窒化シリコン(Si3N4またはSiNX)を主成分とする誘電体膜を用いることができる。この絶縁体層13の材質について、主成分とは、誘電体膜中の含有量が50当量%以上である成分を指す。誘電体膜は、単層からなるものであっても良いし、密着性を高めるための層(密着層)などを付加した複数層からなるものであっても良い。複数層からなる誘電体膜の例としては、前記の酸化シリコン(SiO2)層と窒化シリコン(Si3N4またはSiNX)層とを積層したものが例示される。絶縁体層13の厚さは、例えば0.2〜1.0μmである。絶縁体層13の形成方法としては、シリコンからなる基板12の表面を熱酸化する方法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法が例示される。さらに、ダイアフラム部に存在する誘電体膜を完全に除去してしまうことも可能である。
下部電極15および上部電極17としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)などの導電膜を用いることができる。Moは熱弾性損失がAlの約1/56と低いことから、特に高周波で振動する振動部を構成するのに好適である。Mo単体、W単体だけでなく、MoまたはWを主成分(好ましくは含有量が80原子%以上)とする合金を使用することも可能である。また、MoまたはWまたはPtまたはAuとチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)などの密着力を向上させる下地層(密着層)とを積層した電極を使用することも可能である。例えば、Mo/Ti積層膜、W/Ti積層膜、Mo/Zr積層膜、Pt/Ti積層膜、Au/Ti積層膜、Au/Cr積層膜などを用いることができる。下部電極15および上部電極17の厚さは、例えば50〜250nmである。下部電極15および上部電極17の形成方法としては、スパッタリング法または真空蒸着法が例示され、さらに必要に応じて所望の形状へのパターン形成のためにフォトリソグラフィー技術が適用される。
圧電体膜16は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1-xGaxN(但し、0<x<1))、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸鉛(PT(PbTiO3))、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT(Pb(Zr,Ti)O3))などから選ばれる圧電材料を主成分とする圧電体膜からなる。窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1-xGaxN)、酸化亜鉛(ZnO)より成る圧電薄膜は、それぞれc軸配向を示し、X線回折法により測定した(0002)面の回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)は狭い。ロッキング・カーブ半値幅(FWHM)が大きくなり、配向性が低下すると、電気機械結合係数kt 2が低下し、デバイス化に必要な通過帯域幅が取れなくなる傾向にあるばかりでなく、共振特性が悪化する傾向にある。圧電体膜16の厚さは、例えば0.5〜2.5μmである。圧電体膜16の形成方法としては、反応性スパッタリング法が例示され、さらに必要に応じて所要の形状へのパターン形成のためにフォトリソグラフィー技術が適用される。
図4Aは、本発明による薄膜圧電デバイスのさらに別の実施形態を示す模式的平面図であり、図4Bはそのダイアフラム間の各距離を示す説明図である。これらの図においても、上記図1A〜図3Bにおけるのと同様の機能を有する部材には同一の符号が付けられている。図4A及び図4Bの薄膜圧電デバイス200はFBAR210,FBAR220,FBAR230,FBAR240およびFBAR250を組み合せることにより作製されている。
本発明においては、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器の中心(即ち、ダイアフラムの中心1〜5)を結ぶ直線上において、該直線が隣り合う薄膜圧電共振器の間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5となるような位置に複数個の薄膜圧電共振器を配置して、これをデバイス化する。図4A及び図4Bの薄膜圧電デバイス200において、隣り合う薄膜圧電共振器の中心を結ぶ直線が、該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム上を通過する線分の長さを、それぞれD2,D3とし、該隣り合う薄膜圧電共振器の間に存在する支持領域を通過する線分の長さをD1とすれば、該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0は、図4Bに示すように、
D0=D1+D2+D3
と表される。
D0=D1+D2+D3
と表される。
図5Aは、本発明による薄膜圧電デバイスのさらに別の実施形態を示す模式的平面図であり、図5Bはそのダイアフラム間の各距離を示す説明図である。これらの図においても、上記図1A〜図4Bにおけるのと同様の機能を有する部材には同一の符号が付けられている。図5A及び図5Bの薄膜圧電デバイス200はFBAR210,FBAR220,FBAR230およびFBAR240を組み合せることにより作製されている。
本発明の薄膜圧電共振器においては、振動部を構成するダイアフラムの平面形状を工夫し、最適化することにより、通過帯域内に余分なスプリアス信号、ノイズが入らず、低挿入損失で高特性、高性能な薄膜圧電デバイスを製造する。好ましいダイアフラム平面形状の具体例としては、少なくとも一方の対の対辺が非平行に形成されている2対の対辺を有する形状(四辺形)、少なくともその一部に非方形の不規則な多角形を含む多角形、少なくともその一部に曲線部分を含む非方形の不規則な多角形などが挙げられる。図5A及び図5Bの薄膜圧電デバイス200は、2対の対辺が共に非平行に形成された四辺形の例を示す。これらの図の薄膜圧電デバイス200においても、隣り合う薄膜圧電共振器の中心を結ぶ直線が、該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム上を通過する線分の長さを、それぞれD2,D3とし、該隣り合う薄膜圧電共振器の間に存在する支持領域を通過する線分の長さをD1とすれば、該隣り合う薄膜圧電共振器の中心間距離D0は、図5Bに示すように、
D0=D1+D2+D3
と表される。
D0=D1+D2+D3
と表される。
図4A及び図4B並びに図5A及び図5Bに示した薄膜圧電デバイスの実施形態において、FBAR220は、基板の上面に作製された圧電積層構造体14を有する。圧電積層構造体14は、絶縁体層の上面に形成された下部電極15、該下部電極15を覆うようにして絶縁体層の上面に形成された圧電体膜16および該圧電体膜16の上面に形成された上部電極17を備えている。また、下部電極15および上部電極17はダイアフラムに対応する領域内に形成された主体部15a、17aと、該主体部15a、17aと他のFBARまたは外部回路との接続のための端子部15b、17bを有する。端子部15b、17bはダイアフラムに対応する領域外に延びている。FBAR210,FBAR230,FBAR240およびFBAR250の構成についても同様である。
図5A及び図5Bに示したFBAR210,FBAR220,FBAR230およびFBAR240におけるように、振動部を構成するダイアフラムを、その平面形状が2対の対辺が共に非平行である四辺形となるように形成して、ダイアフラムの対称性を低下させることにより、所望の通過帯域内に余分なスプリアス信号、ノイズが入って来ないようにすることができ、高周波回路部品として使用される薄膜圧電デバイスの性能が向上する。
図9は、本発明による薄膜圧電デバイスのさらに別の実施形態を示す模式的断面平面図である。これらの図においても、上記図1A〜図5Bにおけるのと同様の機能を有する部材には同一の符号が付けられている。
本実施形態は、上記実施形態で説明した圧電積層構造体を2つ積層したものに相当する圧電積層構造体を備えたSBAR210’及び220’を有する。即ち、絶縁体層13上に下部電極15、第1の圧電体膜16−1、内部電極17’、第2の圧電体膜16−2及び上部電極18がこの順に積層されている。内部電極17’は、第1の圧電体膜16−1に対する上部電極としての機能と第2の圧電体膜16−2に対する下部電極としての機能とを有する。本実施形態では、各SBARにおいて、下部電極15または上部電極18と内部電極17’との間に入力電圧を印加し、上部電極18または下部電極15と内部電極17’との間の電圧を出力電圧として取り出すことができるので、これ自体を多極型フィルターとして使用することができる。
SBAR210’と220’とは、下部電極15を介して電気的に接続されている。上部電極18または内部電極17’を介してSBAR210’と220’とを電気的に接続することも可能である。
本実施形態においても、電気的に接続された隣り合うSBARのダイアフラム23の中心を結ぶ直線上において、該直線が隣り合うSBARの間に存在する圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と該隣り合うSBARの中心間距離D0との比率D1/D0が0.1〜0.5となるような位置に複数個のSBARを配置している。
以上のような薄膜圧電デバイスを構成する個々の薄膜圧電共振器において、マイクロ波プローバーを使用して測定したインピーダンス特性における共振周波数frおよび反共振周波数faと電気機械結合係数kt 2との間には,以下の関係
kt 2=φr/Tan(φr)
φr=(π/2)(fr/fa)
がある。ここでφrは複素インピーダンスの位相の変化を表す。
kt 2=φr/Tan(φr)
φr=(π/2)(fr/fa)
がある。ここでφrは複素インピーダンスの位相の変化を表す。
簡単のため,電気機械結合係数kt 2として、次式
kt 2=4.8(fa−fr)/(fa+fr)
から算出したものを用いることができ、本明細書では、電気機械結合係数kt 2の数値は、この式を用いて算出したものを採用している。
kt 2=4.8(fa−fr)/(fa+fr)
から算出したものを用いることができ、本明細書では、電気機械結合係数kt 2の数値は、この式を用いて算出したものを採用している。
本発明者らは、図1A〜図1C、図2A〜図2C、図3A及び図3B、図4A及び図4B、図5A及び図5B、並びに図9に示す構成の薄膜圧電デバイスについて、その特性、性能が、薄膜圧電デバイスを構成するFBAR,SBARの構造、配置にどのように依存するのかについて検討した。その結果、電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム中心間の距離を短くし、好ましくはダイアフラムの平面形状を最適化することにより、金属電極の導体損に起因する挿入損失を著しく低減でき、共振特性の良好な複数個の薄膜圧電共振器を高密度に集積化して、利得、帯域特性に優れた高性能な薄膜圧電デバイスを実現できることを見出した。
本発明の薄膜圧電デバイスにおいては、2.0GHz近傍における共振周波数と反共振周波数の測定値から求めた電気機械結合係数kt 2は4.0%以上であるのが好ましい。電気機械結合係数が4.0%未満になると、作製した薄膜圧電フィルターの帯域幅が小さくなり、高周波域で使用するフィルターとして実用に供することが難しくなる傾向にある。また、挿入損失は3.0dB以下であることが好ましい。挿入損失が3.0dBを超えるとフィルター特性が著しく悪化し、高周波域で使用するフィルターとして実用に供することが難しくなる傾向にある。
以下に実施例および比較例を示し,本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例では、以下のようにして、図2A〜図2Cに示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図2A〜図2Cに示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、フォトリソグラフィーにより、厚さ250μmの(100)Si基板12の上面を所望の形状にパターン化した後、エッチングして、高さ3.0μmで平面寸法140×160μm程度の矩形に近い形状の平坦な台地を残すように、その周囲に窪みを設けた。尚、台地は形成すべき共振器のダイアフラムに対応する位置に形成した。熱酸化法により、基板の上下両面に厚さ1.0μmのSiO2層を形成した後、テトラエトキシシラン(Si(O(C2H5)4)を原料に用いた熱CVD法により、450℃で基板上面に厚さ3.5μmのSiO2層を堆積させ、1000℃でアニールした。次に、微細な研磨粒子を含むスラリーを用いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨法により基板上面のSiO2層を研磨して、窪みをSiO2層で埋めた個所以外のSiO2層を完全に除去し、平坦な台地形状のSi基板部が表面に露出するまでの表面状態にした。研磨表面は高さのRMS変動が10nmであった。表面に露出したSiO2層をマスクとして、Si基板の露出した部分を深さ0.3μmほどエッチング除去した後、DCマグネトロンスパッター法により、Ti金属層(密着層)およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し、表1に記載した材質と厚さを有するMoを主体とする下部電極膜を形成した。フォトリソグラフィーにより下部電極膜を所望の形状にパターン化して、Mo/Ti下部電極15を形成した。個々のFBARの下部電極15の主体部15aは、平面寸法140×160μmのダイアフラムよりも各辺が15μm程度大きな矩形に近い形状とした。下部電極15を構成するMo金属層が(110)配向膜即ち単一配向膜であることは、X線回折測定により確認した。このMo/Ti下部電極15を形成した基板12上に,純度5Nの金属Alをターゲットとして反応性RFマグネトロンスパッター法により、表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのAlN圧電体薄膜を形成した。熱燐酸を使用した湿式エッチングにより、AlN膜を所定の形状にパターン化して、AlN圧電体膜16を形成した。その後,DCマグネトロンスパッター法とリフトオフ法を使用して、図2A〜図2Cに示すごとく、直列回路は厚さ0.180μm、分路回路は厚さ0.209μmで、主体部17aがダイアフラムよりも各辺5μm程度小さな矩形に近い形状のMo上部電極17を形成した。上部電極17の主体部17aは、下部電極主体部15aに対応する位置に配置した。
以上のようにして圧電積層構造体14を形成した基板12の下面のSiO2層を、フォトリソグラフィーにより、上面のSiO2マスクに対応した所定の形状にパターン化した。さらに、マイクロマシン加工用フォトレジスト(MicroChem Corp製NANO SU−8ネガレジスト)を塗布して、フォトリソグラフィーにより下面SiO2マスクと同一形状のレジストマスクを形成した。マスクを形成した基板12をDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)仕様のドライエッチング装置に装入し、装置内部にSF6ガスとC4F8ガスとを交互に導入してエッチングと側壁保護膜形成とを繰り返した。側壁面と底面のエッチング速度比を制御し、毎分数μmの速度でエッチングを続けることにより、下部電極15がビアホール22に露出するまでエッチング加工を行って、側壁面を垂直に立てた深い角柱状のビアホール22を作製した。その結果、ダイアフラム23と基板下面の開口部24とをほぼ等しい平面形状と寸法にすることができた。電気的に接続された隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心を通過する直線が該隣り合う薄膜圧電共振器のダイアフラム間に存在する前記圧電積層構造体の支持領域を通過する線分の長さD1と、前記隣り合う2つの薄膜圧電共振器の前記ダイアフラムの中心間距離D0との比率D1/D0の値は、0.18であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された、図2A〜図2Cの構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、表面構造評価用多機能X線回折装置を使用して、ディフラクトメーター法によるAlN薄膜の格子定数測定と(0002)回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)測定を行った。AlN薄膜の結晶性の評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターを構成するFBARの電極端子15b,17b間のインピーダンス特性を測定すると共に,共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めた。
マイクロ波プローバーを使用して測定した共振特性における共振周波数frおよび反共振周波数faと電気機械結合係数kt 2との間には,以下の関係がある。
kt 2=φr/Tan(φr)
φr=(π/2)(fr/fa)
ここでφrは複素インピーダンスの位相の変化を表す。
φr=(π/2)(fr/fa)
ここでφrは複素インピーダンスの位相の変化を表す。
簡単のため,電気機械結合係数kt 2は次式から算出した。
kt 2=4.8(fa−fr)/(fa+fr)
得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
さらに、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して,梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターの信号通過特性を測定し、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例2]
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、Ti金属層(密着層)、Pt金属層(中間層)およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo/Pt/Ti下部電極15を形成したこと、上部電極として、Ti金属層(密着層)およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo/Ti上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状を台形とすることでダイアフラム23の形状を台形としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.19であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された、図2の構造(但し、ダイアフラム23は台形)の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、表面構造評価用多機能X線回折装置を使用して、実施例1と同様に、ディフラクトメーター法によるAlN薄膜の格子定数測定と(0002)回折ピークのロッキング・カーブ半値幅(FWHM)測定を行った。AlN薄膜の結晶性の評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例1と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターを構成するFBARの共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めた。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
さらに、実施例1と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターの信号通過特性を測定し、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例3]
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、熱酸化法により,厚さ250μmの(100)Si基板12の上下両面に厚さ1.2μmのSiO2層を1100℃で形成した後、上面側のSiO2層のみをエッチングして、上面のSiO2層の厚さを調整し、SiO2から成り、表1に記載の厚さ値を有する絶縁体層13を形成した。この絶縁体層13の上面に、DCマグネトロンスパッター法により、Ti金属層(密着層)、Au金属層(中間層)およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し,フォトリソグラフィーにより,所望の形状にパターン形成して、Mo/Au/Ti下部電極15を形成した。下部電極15の主体部15aは矩形に近い形状とした。Mo金属層が(110)配向膜、即ち単一配向膜であることはX線回折測定により確認した。このMo下部電極15を形成した絶縁体層13上に、純度5Nの金属Alをターゲットとして反応性RFマグネトロンスパッター法により、表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのAlN圧電体薄膜を形成した。熱燐酸を使用した湿式エッチングにより、AlN膜を所定の形状にパターン化してAlN圧電体膜16を形成した。その後,DCマグネトロンスパッター法とリフトオフ法を使用して,図1に示すごとく,直列回路では厚さ0.190μm,分路回路では厚さ0.225μmで,主体部17aの平面面積23,000μm2前後の台形に近い形状のMo上部電極17を形成した。上部電極17の主体部17aは、下部電極主体部15aに対応する位置に配置した。
以上のようにして圧電積層構造体14を形成した基板12の下面のSiO2層を、フォトリソグラフィーにより、上部電極主体部17aに対応した所定の形状にパターン化した。さらに、マイクロマシン加工用フォトレジスト(MicroChem Corp製NANO SU−8ネガレジスト)を塗布して、フォトリソグラフィーにより下面SiO2マスクと同一形状のレジストマスクを形成した。マスクを形成した基板12をDeep RIE(深彫り型反応性イオンエッチング)仕様のドライエッチング装置に装入し、装置内部にSF6ガスとC4F8ガスとを交互に導入してエッチングと側壁保護膜形成とを繰り返した。側壁面と底面のエッチング速度比を制御し、毎分数μmの速度でエッチングを続けることにより、下部電極主体部15aがビアホール22に露出するまでエッチング加工を行って、側壁面を垂直に立てた深い角柱状のビアホール22を作製した。その結果、ダイアフラム23と基板裏面の開口部24とをほぼ等しい平面形状と寸法にすることができた。本実施例の前記D1/D0は、0.19であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された、図1の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例1と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例1と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターを構成するFBARの共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めた。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
さらに、実施例1と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターの信号通過特性を測定し、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例4]
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、V金属層(密着層)、Au金属層(中間層)およびTZM合金層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo(TZM合金)/Au/V下部電極15を形成したこと、このMo(TZM合金)/Au/V下部電極15を形成した絶縁体層13上に,反応性RFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みの窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1-xGaxN)薄膜を形成したこと、上部電極として、表1に記載した材質と厚さを有するMo(TZM合金)上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状を矩形とすることでダイアフラム23の形状を矩形としたこと以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.20であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図1の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して,実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例5〜7]
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は表1に記載の形状)の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は表1に記載の形状)の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、表1に記載のTi密着層、中間層およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo/Al/TiまたはMo/Au/TiあるいはMo/Tiからなる下部電極15を形成したこと、上部電極として、表1に記載した材質と厚さを有するMoまたはMo/TiあるいはAlからなる上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状に基づきダイアフラム23の形状を表1に記載の形状としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、表2に示すとおり、0.24〜0.25であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図2の構造(但し、ダイアフラム23は表1に記載の形状)の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例1と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
図6Aおよび図6Bには、実施例6における薄膜圧電フィルターのインピーダンス周波数特性およびフィルター通過帯域特性を示す。本実施例の薄膜圧電フィルターでは、共振周波数ピーク31と反共振周波数ピーク32との間の微細ピークは極めて少なく、図6Aに示したように、通過帯域特性は著しく良好である。この良好な通過帯域特性は、ダイアフラム形状を非対称の5角形にしたことによる。
[実施例8]
本実施例では、以下のようにして、図3に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図3に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、Ti金属層(密着層)およびAu金属層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するAu/Ti下部電極15を形成したこと、Au/Ti下部電極15を形成した絶縁体層13上に、ZnOをターゲットとして、RFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのZnO圧電体薄膜を形成したこと、上部電極として、表1に記載した厚さを有する2つの電極部17A,17BからなるAu上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状に基づきダイアフラム23の形状を矩形としたこと以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.20であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図3の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性の評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例9]
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造と類似の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造と類似の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、熱酸化法により形成したSiO2層に代えて、モノシラン(SiH4)およびアンモニア(NH3)を原料として用いた低圧CVD法により、800℃でSiNX層を堆積させたこと、下部電極の主電極層をMoからTZM合金層に変え中間層をAuからPtに変えて、表1に記載した材質と厚さを有するMo(TZM合金)/Pt/Ti下部電極15を形成したこと、上部電極の主電極層をMoからTZM合金層に変えTi密着層を用いて、表1に記載した材質と厚さを有するMo(TZM合金)/Ti上部電極17を形成したこと、Deep RIEにより形成されるビアホールの平面形状に基づきダイアフラム23の形状を矩形としたこと、および薄膜圧電フィルターを構成する個々のFBARの配列を梯子型回路から格子型回路に変更したこと以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、格子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.19であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された、格子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、格子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターを構成するFBARの電極端子15b、17b間のインピーダンス特性を測定すると共に,共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めた。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
さらに、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して,格子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターの信号通過特性を測定し、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例10]
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の送信用薄膜圧電フィルターおよび受信用薄膜圧電フィルターに90度位相整合器を組み合せた送受信切替器を作製した。
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の送信用薄膜圧電フィルターおよび受信用薄膜圧電フィルターに90度位相整合器を組み合せた送受信切替器を作製した。
即ち、下部電極として、表1に記載の密着層、中間層および主電極層をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo/Au/Zr下部電極15を形成したこと、上部電極として、表1に記載した材質と厚さを有するMo/Zr上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状に基づきダイアフラム23の形状を台形としたこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る送信用薄膜圧電フィルターおよび受信用薄膜圧電フィルターをそれぞれ作製した。次に、これらの薄膜圧電フィルターを90度位相整合器を介して結合させて、図10に示すような送受信切替器を作製した。
図10において、送受信切替器300は、送信用薄膜圧電フィルター310、受信用薄膜圧電フィルター330及び90度位相整合器350を含んでなる。送信用薄膜圧電フィルター310の一方端は送信ポート302と接続されており、受信用薄膜圧電フィルター330の一方端は受信ポート304と接続されている。送信用薄膜圧電フィルター310及び受信用薄膜圧電フィルター330の他方端は90度位相整合器350を介して送受共用ポートとしてのアンテナポート306と接続されている。すなわち、90度位相整合器350は、アンテナポート306、送信用薄膜圧電フィルター310及び受信用薄膜圧電フィルター330と、それぞれ接続されている。送信ポート302は送信回路に接続され、受信ポート304は受信回路に接続され、アンテナポート306はアンテナANTに接続される。送信用薄膜圧電フィルター310及び受信用薄膜圧電フィルター330は、チップ状の形態をなしており、90度位相整合器350及び所要の配線の形成された基板上に実装される。
本実施例の前記D1/D0は、0.19であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された送受信切替器を構成する、図2の構造(但し、ダイアフラム23は台形)の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例1と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して,実施例1と同様に、送受信切替器を構成する上記の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターの共振周波数fr、反共振周波数fa、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めた。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。
さらに、実施例1と同様に、送受信切替器を構成する上記の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターの信号通過特性を測定し、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例11,12]
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、表1に記載の密着層、中間層および主電極層をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するPt/TiまたはW/Al/Niからなる下部電極15を形成したこと、Pt/TiまたはW/Al/Ni下部電極15を形成した絶縁体層13上に、RFマグネトロンスパッター法または反応性RFマグネトロンスパッター法により、表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのPZT(Pb(Zr,Ti)O3)圧電体薄膜またはAlN圧電体薄膜を形成したこと、および上部電極として、表1に記載した厚さを有するPt/TiまたはAlからなる上部電極17を形成したこと以外は、実施例9と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、表2に示すとおりである。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図1の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性の評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[実施例13]
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図1に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、Nb金属層(密着層)、Pt金属層(中間層)およびW−Mo合金層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するW−Mo合金/Pt/Nb下部電極15を形成したこと、このW−Mo合金/Pt/Nb下部電極15を形成した絶縁体層13上に,反応性RFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みの窒化アルミニウム−窒化ガリウム系固溶体(Al1-xGaxN)薄膜を形成したこと、上部電極として、表1に記載した材質と厚さを有するW−Mo合金/Nb上部電極17を形成したこと、およびDeep RIEにより形成されるビアホールの平面形状に基づきダイアフラム23の形状を矩形としたこと以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.20であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図1の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
図7Aおよび図7Bには、本実施例13における薄膜圧電フィルターのインピーダンス周波数特性およびフィルター通過帯域特性を示す。図6Aおよび図6B(実施例6)と図7Aおよび図7B(本実施例)とを比較すると分かるように、本実施例の図7Aでは共振周波数ピーク31と反共振周波数32との間に多くの微細なピークが存在するのに対して、実施例6の図6Aでは、共振周波数ピーク31と反共振周波数ピーク32との間の微細ピークは極めて少ない。したがって、図6Bおよび図7Bに示したフィルター通過帯域特性を比較すると分かるように、実施例6の薄膜圧電フィルターの方が通過帯域特性が良好である。この通過帯域特性における差異は、主としてダイアフラム形状に依存しており、同形状を非対称の5角形することが、矩形形状よりも好ましいということを示している。
[実施例14]
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本実施例では、以下のようにして、図2に示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、表1に記載の密着層および主電極層をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するPt/Hf下部電極15を形成したこと、上部電極として、表1に記載した厚さを有するPt上部電極17を形成したこと、圧電体膜として、ZnOをターゲットとして、RFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのZnO圧電体薄膜を形成したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本実施例の前記D1/D0は、0.20であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.18〜0.3の範囲内であった。また、全てのビアホールの側壁面のテーパー角は、基板上面に対して80〜100°の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図2の構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例1と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例1と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[比較例1]
本比較例では、以下のようにして、図1A〜図1Cに示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
本比較例では、以下のようにして、図1A〜図1Cに示されている構造(但し、ダイアフラム23は台形)の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、下部電極として、Ni金属層(密着層)、およびMo−Re合金層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo−Re合金/Ni下部電極15を形成したこと、このMo−Re合金/Ni下部電極15を形成した絶縁体層13上に,反応性RFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのAlN薄膜を形成したこと、上部電極として、表1に記載した材質と厚さを有するMo−Re上部電極17を形成したこと以外は、実施例3と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製した。本比較例の前記D1/D0は、0.55であった。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.5〜0.6の範囲内であった。
上記の工程によって製造された、図1の構造(但し、ダイアフラム23は台形)の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[比較例2、3]
本比較例では、以下のようにして、図8A及び図8Bに示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
本比較例では、以下のようにして、図8A及び図8Bに示されている構造の薄膜圧電フィルターを作製した。
即ち、熱酸化法により,厚さ300μmの(100)Si基板12の上下両面に、厚さ1.0μmのSiO2層を1100℃で形成した後、上面側のSiO2層のみをエッチングして、上面のSiO2層の厚さを調整し、SiO2から成り、表1に記載の厚さ値を有する絶縁体層13を形成した。この絶縁体層13の上面に、DCマグネトロンスパッター法により、表1に記載の密着層および主電極層をこの順番に形成し,フォトリソグラフィーにより,所望の形状にパターニングして、Mo/TiまたはAu/Tiからなる下部電極15を形成した。下部電極15の主体部15aはダイアフラム23よりも各辺40μm程度大きな矩形に近い形状とした。Mo金属層が(110)配向膜、即ち単一配向膜であることはX線回折測定により確認した。このMo下部電極15を形成した絶縁体層13上に,金属Alをターゲットとする反応性RFマグネトロンスパッター法またはZnOをターゲットとするRFマグネトロンスパッター法により,表1に記載の条件で、表2に記載した厚みのAlN圧電体薄膜またはZnO圧電体薄膜を形成した。熱燐酸を使用した湿式エッチングによりAlN膜を、または燐酸−塩酸混合水溶液を使用した湿式エッチングによりZnO膜を、所定の形状にパターン化して、AlNまたはZnOより成る圧電体膜16を形成した。
その後,DCマグネトロンスパッター法とリフトオフ法を使用して、表1に記載した材質と厚さで、主体部17aがダイアフラム23よりも各辺5μm程度小さな矩形に近い形状のMo/TiまたはAuからなる上部電極17を形成した。上部電極17の主体部17aは、下部電極主体部15aに対応する位置に配置した。
以上のようにして、下部電極15、上部電極17および圧電体薄膜16より成る圧電積層構造体14を形成したSi基板12の下面に形成された厚さ1.0μmのSiO2層を、フォトリソグラフィーによりパターン形成して、湿式エッチング用のマスクを作製した。Si基板12の上面に形成した圧電積層構造体14をプロテクトワックスで被覆し、下面に形成したSiO2マスクを用いて、ダイアフラム23に対応するSi基板12の部分を加熱したKOHでエッチング除去し、空隙となるビアホール22を作製した。その結果、ダイアフラムの平面寸法が150μm×150μmまたは160μm×160μm前後であり、基板裏面の開口部の平面寸法が575μm×575μmまたは585μm×585μmのビアホール22が得られた。本比較例の前記D1/D0は、表2に示したとおりである。この比率D1/D0の値は、代表的な1組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についてのものであるが、他の組の電気的に接続された隣り合う薄膜圧電共振器についても比率D1/D0の値は0.7〜0.8の範囲内であった。
上記の工程によって製造された,図8A及び図8Bの構造の梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターについて、実施例3と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、カスケード・マイクロテック製マイクロ波プローバーとネットワークアナライザーを使用して、実施例3と同様に、梯子型回路より成る上記薄膜圧電フィルターのインピーダンス特性および信号通過特性を測定し、共振周波数frおよび反共振周波数faの測定値から,電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qを求めると共に、フィルターとしての性能(通過帯域幅、挿入損失、阻止域減衰量)を評価した。得られた薄膜圧電フィルターの厚み振動の基本周波数、電気機械結合係数kt 2および音響的品質係数Qは表2に示す通りであった。また、同フィルターの通過帯域幅、挿入損失I.L.および阻止域減衰量は表2に示す通りであった。
[比較例4]
本比較例では、以下のようにして、図2に示されている構造の薄膜圧電フィルターの作製を、前記D1/D0が0.095となるように、試みた。
本比較例では、以下のようにして、図2に示されている構造の薄膜圧電フィルターの作製を、前記D1/D0が0.095となるように、試みた。
即ち、下部電極として、Zr金属層(密着層)、Au金属層(中間層)およびMo金属層(主電極層)をこの順番に形成し,表1に記載した材質と厚さを有するMo/Au/Zr下部電極15を形成したこと、上部電極として、表1に記載した厚さを有するMo上部電極17を形成したこと以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、梯子型回路より成る薄膜圧電フィルターを作製しようとしたが、隣り合うダイアフラム間に存在する支持領域の幅に相当する寸法D1が小さいので、ダイシング、チップ化などの加工中に基板が破損して、薄膜圧電フィルターとしてデバイス化することが出来なかった。このため、FBARまたはフィルターとしての特性を評価することが出来なかった。
上記の工程によって薄膜圧電フィルターの作製を試みた試料について、実施例1と同様に、AlN薄膜の結晶性を評価した。評価結果を表1に示す。
Claims (19)
- 振動空間を有する基板と該基板上に形成された圧電積層構造体とを用いて形成された薄膜圧電共振器であって、前記圧電積層構造体は少なくとも圧電体膜と該圧電体膜の両面のそれぞれの少なくとも一部に形成された金属電極とを有しており、前記振動空間は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面からその反対側の面まで貫通するビアホールにより形成されており、該ビアホールの側壁面は前記基板の圧電積層構造体の形成された側の面に対して80〜100°の範囲内の角度をなしていることを特徴とする薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなっており、前記上部電極が2つの電極部から構成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、第1の前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する内部電極と、第2の前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記ダイアフラムには少なくとも一層の酸化シリコンおよび/または窒化シリコンを主成分とする絶縁体層または窒化アルミニウムを主成分とする絶縁体層が付されていることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電体膜の厚さをtとし、前記絶縁体層の厚さをt’として、0.1≦t’/t≦0.5が満たされることを特徴とする、請求項4記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体の支持領域と前記基板との間にのみ少なくとも一層の酸化シリコンおよび/または窒化シリコンを主成分とする絶縁体層または窒化アルミニウムを主成分とする絶縁体層が介在することを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電体膜は、酸化亜鉛より成る膜、チタン酸鉛より成る膜、チタン酸ジルコン酸鉛より成る膜、または一般式Al1−xGaxN(但し、0<x<1)で表され窒化アルミニウムと窒化ガリウムとの固溶体より成る配向性結晶膜からなることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記ダイアフラムの平面形状は、2対の対辺を有し、少なくとも一方の対の対辺が非平行に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記ダイアフラムの平面形状は、少なくともその一部が非方形の不規則な多角形で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記ダイアフラムの平面形状は、少なくともその一部に曲線部分を含む非方形の不規則な多角形で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記金属電極の少なくとも1つは主電極層と密着層とを含んでなることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電体膜の厚さが0.98〜1.57μmであることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなっており、前記下部電極の厚さと前記上部電極の厚さとの合計が320〜485nmであることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記下部電極の厚さが170〜235nmであることを特徴とする、請求項13記載の薄膜圧電共振器。
- 前記上部電極の厚さが150〜250nmであることを特徴とする、請求項13記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなっており、前記圧電体膜の厚さに対する前記下部電極の厚さと前記上部電極の厚さとの合計厚さの比率が0.255〜0.392であることを特徴とする、請求項1記載の薄膜圧電共振器。
- 前記圧電積層構造体が、前記基板側から順に積層された、前記金属電極を構成する下部電極と、前記圧電体膜と、前記金属電極を構成する上部電極とからなっており、前記圧電体膜の厚さに対する前記下部電極の厚さと前記上部電極の厚さとの合計厚さの比率が0.255〜0.452であることを特徴とする、請求項11記載の薄膜圧電共振器。
- 前記主電極層がモリブデンまたはタングステンからなり、前記密着層がチタン、ジルコニウムまたはクロムからなることを特徴とする、請求項11記載の薄膜圧電共振器。
- 前記主電極層および前記密着層がDCマグネトロンスパッタリング法により形成されたものであることを特徴とする、請求項11および18のいずれか一項記載の薄膜圧電共振器。
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