JP2005324468A - 熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法 - Google Patents

熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法 Download PDF

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眞司 川村
Katsumi Utsuki
克己 宇津木
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Abstract

【課題】耐熱性等の諸特性や熱ラミネート適性に優れるとともに、製缶加工した場合における剥離の発生が極めて少ないことに加え、いわゆる落缶強度にも優れた熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び当該金属板の製造方法を提供すること。
【解決手段】接着層2が密度が860〜930kg/m、メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分、α−オレフィン中の炭素数が3以上、共重合体の直鎖中における炭素数1000個あたりの分岐数が15個以上のメタロセン系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を含有し、ベース層3が、プロピレン−α−オレフィン共重合体及び軟質ポリマーをそれぞれ特定量含有する樹脂組成物からなる熱ラミネート用多層フィルム1、多層フィルムラミネート金属板及び当該金属板の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法に関する。
18リットルの液体を収容する金属角缶(通称18L缶、一斗缶)に代表される金属缶は、一般に、鋼板を四角に折り曲げて、1つの角部で接続していわゆるハゼ組み部を設けた角形の缶胴に対して、その上下に蓋材と底材とを巻き締め、この巻締部により取り付ける構成を採用している。ここで、かかる金属缶の構成材料としては、従来では、エポキシ系塗料をコーティング、あるいはエポキシ系樹脂を塗布した金属板が用いられていたが、缶の腐食や環境問題より、近年では、金属板の表面にプラスチックフィルムをラミネート(ラミネーションともいう)したラミネート金属板(ラミネート鋼板)が多く用いられている。
このラミネート金属板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と金属接着性フィルム等の多層フィルムを熱ラミネートしたり、ポリエチレンテレフタレート(PET)と低密度ポリエチレン(LDPE)等の積層フィルムを接着剤を介してドライラミネートしたり、あるいは樹脂を塗布してフィルム層を形成したりして製造されていたが、金属の変形に伴う剥離の発生や、製缶化した場合における内容物に対する接着剤の移行という点に加えて、缶の生産性や環境問題に対応するため、単体原料によるフィルムを用いた熱ラミネートが望まれていた。更には、金属缶の構成材料としてこの熱ラミネートを採用すれば、加工作業が簡便であることからも、ラミネート加工におけるコスト削減も期待できるという利点もあった。
また、飲料缶以外の金属缶用途にあっては、充填される内容物が化学薬品、塗料、食品、各種油など多岐にわたり、また、これらの内容物の性状も酸性ないしはアルカリ性と多種多様であったため、このような内容物に対応すべく、金属板に熱ラミネートされるフィルムとしてはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が好ましいと考えられていた。一方、ポリプロピレン系樹脂は、融点が高いため熱ラミネートをした後の残留応力が高くなるため、金属板に対する密着性や耐食性が不足してしまう場合があり、また、ポリエチレン系樹脂は、融点が低いため焼き付け印刷時などの移動の際、融着や擦れ傷が生じたり、また、内容物が界面活性剤等を含む場合にあっては、応力集中部に割れが生じてしまうといった問題が発生しており、改善が求められていた。
そして、かかる問題に対応すべく、ポリプロピレン系樹脂を構成材料とする熱ラミネート用フィルムとして、表面層、中間層及び接着層に特定のエチレン−α−オレフィン共重合体を用いた熱ラミネーション用フィルムが提供されていた(例えば、特許文献1)。また、
缶内面側の樹脂層として所定のプロピレン共重合体フィルムを熱ラミネートしたフィルム被覆鋼板が提供されている(例えば、特許文献2ないし特許文献4)。
特開平11−227127号公報 特開2000−109066号公報 特開2000−246836号公報 特開2001−47551号公報
しかしながら、前記した熱ラミネート用の多層フィルムのうち、特許文献1で開示された直鎖状低密度ポリエチレンによる多層フィルムは、鋼板と熱ラミネートした後製缶化した場合における加工性(製缶加工性)が不十分であるとともに、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐内容物保存性等の諸特性についても十分なものではなかった。
また、特許文献2ないし特許文献4で開示されている樹脂層を形成したフィルム被覆鋼板は、当該文献の実施例等の記載からも明らかなように、実質的にはフィルムの接着層に対してアドマーなど極性基を有する接着性樹脂を用いることが必要であった。このため、極性基を有する樹脂を接着層に含有させることとなるため、配合工程が生じたり、高価な接着性樹脂の使用などにより、コスト高に繋がってしまうという問題もあった。
従って、本発明の目的は、耐熱性や耐衝撃性等の諸特性や、金属板への熱ラミネート適性に優れるとともに、金属板にラミネートして製缶加工した場合における剥離の発生が極めて少ないことに加え、いわゆる落缶強度にも優れた熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決すべく、本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、下記の樹脂組成物からなる(I)接着層及び(II)ベース層を含むことを特徴とする。
(I)接着層:
下記(a)ないし(c)の要件を具備し、メタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する
(a)密度が860〜930kg/m
(b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分、
(c)α−オレフィン中の炭素数が3以上であり、共重合体の直鎖中における炭素数1000個あたりの分岐数が15個以上、
(II)ベース層:
プロピレン−α−オレフィン共重合体を80質量%以上100質量%未満含有して、軟質ポリマーを0質量%を超えて20質量%未満含有する樹脂組成物からなる
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、接着層とベース層からなり、接着層が前記(a)〜(c)の要件を具備する特定のエチレン−α−オレフィン共重合体を含有し、ベース層が、特定量のプロピレン−α−オレフィン共重合体及び軟質ポリマーからなる樹脂組成物としているので、多層間の接着性に優れ、金属板等の被着材に対しての熱ラミネート性が良好であり、かつ、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性等に優れた熱ラミネート用多層フィルムを提供することができる。
また、かかる本発明の熱ラミネート用多層フィルムと金属板を貼り合わせてフィルムラミネート金属板とした場合にあっては、両者の接着性が良好であり、金属の変形に伴う剥離の発生が極めて少ないフィルムラミネート金属板となるため、各種金属缶への良好な加工性を備えることとなる。従って、例えば、金属缶の胴部をハゼ組み構造とし、加熱して接合した金属缶を形成した場合であっても、接合部の接合強度が良好な状態となり、金属缶が内容物を収納して落下した場合であっても、接合部分の変形が極力少なく、当該接合部分からの内容物の漏れを好適に防止することができ、いわゆる落缶強度にも優れた金属缶を提供可能となる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、前記したベース層を構成する軟質ポリマーが、オレフィン系エラストマー、非晶系エチレン−α−オレフィン共重合体、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体よりなる群から選ばれた一種または二種以上であることが好ましい。
かかる本発明によれば、ベース層を構成する軟質ポリマーとして特定の種類のものを採用しており、これらはベース層を構成するプロピレン−α−オレフィン共重合体との相溶性に優れているため、ベース層を前記の構成としたことによる本発明の効果を効率よく奏することができる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、前記した接着層とベース層との間に中間層を設けることが好ましく、当該中間層を、ベース層を構成する樹脂組成物、または接着層を構成する樹脂組成物とベース層を構成する樹脂組成物との混合材料とすることができる。
かかる本発明によれば、接着層とベース層との間に中間層を設け、特に、当該中間層を、ベース層を構成する樹脂組成物か、接着層を構成する樹脂組成物とベース層を構成する樹脂組成物の混合材料といった、接着層やベース層を構成する樹脂組成物と同種の材料を採用することにより、耐熱性、耐衝撃性等の諸特性に加え、金属板にラミネートして製缶化した場合における落缶強度を更に優れた熱ラミネート用多層フィルムとなる。
また、この構成によれば、外部に現れない中間層に対して多層フィルムのリサイクル材料を適用してもよく、リサイクル適性も備えた多層フィルムとなる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、前記した接着層を構成する樹脂組成物が、極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含まないことが好ましい。
かかる本発明によれば、接着層を構成する樹脂組成物として極性基含有ポリオレフィン系樹脂(例えば、無水マレイン酸やフマル酸変性ポリオレフィン等)を含有しないようにしているので、多層フィルムの生産性に優れるほか、多層フィルムのコストダウンにも繋がる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、前記したベース層を構成する樹脂組成物が、脂肪酸基含有添加剤である滑剤、界面活性剤または帯電防止剤の少なくとも一つを含まないことが好ましい。
かかる本発明によれば、ベース層を構成する樹脂組成物として、脂肪酸基含有添加剤(滑剤、界面活性剤、帯電防止剤)の少なくとも一つを含有しないようにしているので、いわゆるブリードの発生を防止することができ、多層フィルムの外観を良好な状態に保持することができる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムは、前記した接着層と他の層との厚み比r(接着層/他の層)が1/12〜2/3であることが好ましい。
かかる本発明によれば、接着層と他の層との厚み比rを特定の範囲としているので、多層フィルム全体に対する接着層の厚みが適度であり、熱ラミネート適性を良好な状態として、耐熱性や加工性等の諸特性も優れたものとすることができる。
本発明の多層フィルムラミネート金属板は、前記した本発明の熱ラミネート用多層フィルムと金属板を貼り合わせてなることを特徴とする。
この本発明によれば、前記した本発明の熱ラミネート用多層フィルムの奏する作用・効果を好適に享受することができる多層フィルムラミネート金属板を提供可能とする。
すなわち、本発明の多層フィルムラミネート金属板は、多層フィルム層が耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性等に優れていることに加え、フィルムと金属板との接着性が良好であり、金属の変形に伴う剥離の発生が極めて少なく、製缶化した場合にあっても落缶強度が良好な多層フィルムラミネート金属板となる。
本発明の多層フィルムラミネート金属板の製造方法は、金属板の表面を火炎処理する工程と、火炎処理された金属板の表面と、前記した本発明の熱ラミネート用多層フィルムの接着層を熱ラミネートにより貼り合わせる工程と、を含むことを特徴とする。
この本発明によれば、金属板と本発明の熱ラミネート用多層フィルムを熱ラミネートにより貼り合わせるにあたって、火炎処理工程により金属板の表面に対して火炎処理を施してから、当該多層フィルムを貼り合わせるようにしているので、得られる多層フィルムラミネート金属板の多層フィルムと金属板との接着性も良好となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の熱ラミネート用多層フィルムの一態様を示した断面図であり、図1中、1は熱ラミネート用多層フィルム、2は接着層、3はベース層、をそれぞれ示す。
図1に示すように、本実施形態の熱ラミネート用多層フィルム1(以下、単に「多層フィルム1」とする場合がある。)は、接着層2とベース層3を備えており、このうち接着層2は、金属板等のラミネート対象となる材料と接して貼り合わされる層であり、また、ベース層3は、多層フィルム1のもう一方の表面となる層である。
((I)接着層2)
本発明の多層フィルム1において、接着層2を構成する材料としては、メタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を含有するようにし、好ましくは接着層2全体に対して60質量%含有する樹脂組成物とすればよく、80〜100質量%とすることが特に好ましい。かかるエチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が60質量%より小さいと、ラミネート対象となる金属板との接着強度が低下してしまうため、多層フィルム1と金属板をラミネートした多層フィルムラミネート金属板を製缶化した場合にあっては、落缶強度が悪くなる場合がある。
なお、本発明において、「落缶強度」とは、多層フィルム1と鋼板等の金属板を熱ラミネートして得られる多層フィルムラミネート金属板を製缶化して金属缶とした際に、当該金属缶に対して内容物を充填させて所定の高さで落下させた場合における、金属缶の胴部の接合部分(例えば、後記する図4(B)に示すハゼ組み構造等)の強度のことをいい、「落缶強度がよい(良好である)」とは、かかる接合部分の変形等が極力なく、当該接合部分からの内容物の漏れが生じないことを示す。
本発明において、接着層2を構成するメタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体としては、メタロセン(シングルサイト)系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用する。エチレン−α−オレフィン共重合体としてメタロセン(シングルサイト)系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用することにより、金属板等のラミネート対象となる基材との熱接着性に優れるとともに、ベース層3や中間層4との層間接着に優れることになるという点で好ましい。
接着層2を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は860〜930kg/mであり、880〜920kg/mであることが好ましい。当該共重合体の密度が860kg/mより小さいと、フィルム加工時における製膜性が悪く、製膜が困難となったり、仮に製膜できた場合であってもブロッキングが起こりやすくなり、取り扱いが難しくなる。よって、例えば、多層フィルム1として金属板と熱ラミネートする場合にあっては、繰り出しが難しくなり、当該熱ラミネートがスムースに行われない場合がある。一方、当該共重合体の密度が930kg/mより大きいと、得られた多層フィルム1の耐衝撃性が悪くなったり、また、金属板との熱ラミネート性が悪くなる場合がある。
かかるエチレン−α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの炭素数は、3以上として、4〜12とすることが好ましい。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の分岐数は、共重合体の直鎖中における炭素数1000個あたり15個以上であり、20個以上が好ましい。かかる分岐数が15より少ないと、製缶時の加工性が低下する場合があり好ましくない。
なお、このようなα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
また、前記した分岐数は、1,2,3−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10(体積比))の混合溶媒に溶解した試料を用いて、13C−NMRスペクトル(測定装置は日本電子(株)EX−400等を用いればよい)から求めるようにすればよい。また、密度は、JIS K7112に準拠して測定すればよい。
そして、前記エチレン−α−オレフィン共重合体は、次に示すようなメタロセン系触媒を用いて製造したものを好ましく用いることができる。メタロセン系触媒は、例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平1−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び当該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物が挙げられ、活性点の性質が均一であることを特徴とするものである。これらの遷移金属化合物中の遷移金属としては、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムが好ましく挙げられる。
また、接着層2を構成する材料であるメタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布パラメーター[M/M]が1.5〜3.5であることが好ましい。なお、この分子量分布パラメーターは、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)によって、M(重量平均分子量)及びM(数平均分子量)を測定することにより求められる。
接着層2を構成する樹脂組成物は、極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含まないことが好ましい。樹脂組成物に対してかかる極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含有させないことにより、配合手段などが不要となり、生産性が向上する。また、高価な極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含有させないことにより、多層フィルムのコストダウンを図ることができる。
なお、接着層2は、メタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を含有するものであり、接着層2を構成する材料は当該エチレン−α−オレフィン共重合体単独か、当該エチレン−α−オレフィン共重合体と他の材料の混合材料となる。従って、本願明細書においては、接着層2を構成する材料を「樹脂組成物」という表現を便宜上用いるが、これには、当該エチレン−α−オレフィン共重合体単独の「樹脂」も含む意味である。
かかるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は0.1〜50g/10分であり、0.3〜20g/10分であることが好ましい。当該共重合体のMFRが0.1g/10分より小さいと、フィルム生産性が低下する場合がある一方、共重合体のMFRが50g/10分より大きいと、フィルムの生産性が低下するとともに、耐衝撃性が低下する場合がある。
なお、かかるエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS K7210に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定すればよい。
なお、接着層2を構成する樹脂組成物として、前記したメタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体以外として使用可能な材料としては、特に制限はないが、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、メタロセン系以外の触媒で共重合した低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、後記するベース層3に配合する軟質ポリマー等が挙げられ、これらの一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
((II)ベース層3)
次に、本発明の多層フィルム1におけるベース層3を構成する材料は、ベース層3全体に対してプロピレン−α−オレフィン共重合体を80質量%以上100質量%未満、軟質ポリマーを0質量%を越えて20質量%未満含有する樹脂組成物とすればよい。
ここで、ベース層3を構成する樹脂組成物のうち、プロピレン−α−オレフィン共重合体の含有量が80質量%より小さいと、多層フィルム1の機械的強度、耐熱性に悪影響を及ぼす場合があるとともに、金属板と熱ラミネートして多層フィルムラミネート金属板とした後、製缶化した際の胴部の接合状態が悪くなるため、落缶強度が悪く、落下時には接合部分が変形して、内容物が漏れ出してしまう場合がある。
ベース層3の構成材料として使用するプロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレンのブロックコポリマーやプロピレンのランダムコポリマーを使用すればよく、特にプロピレンのブロックコポリマーを使用することが好ましい。かかるプロピレンのブロックコポリマーの密度は880〜910g/cm、メルトフローレート(MFR)(230℃、21.18N荷重)は1〜10g/10分であることが好ましい。また、非晶部の量は、全体の10〜40質量%であることが好ましい。
また、本発明の多層フィルム1のベース層3を構成する材料として軟質ポリマーを含有しないと、多層フィルム1の耐衝撃性、耐クラッキング性が悪くなる場合がある。一方、軟質ポリマーの含有量が20質量%を越えると、耐熱性が悪くなり、金属板と熱ラミネートすることが難しくなる場合があるとともに、ラミネート金属板から得られる缶の用途が制限されることがある。
なお、ベース層3全体に対する軟質ポリマーの含有量は、3〜15質量%とすることが好ましく、5〜13質量%とすることが特に好ましい。
軟質ポリマーの具体例としては、熱可塑性エラストマーや、非晶性エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、非晶性エチレン−プロピレン共重合体等)、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、低結晶性エチレン・ブテン−1共重合体等)、アタクチックポリプロピレンなどの無定形または低結晶性ポリオレフィン樹脂や、他の熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、前記した接着層2を構成するメタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体、例えば密度が890kg/m以下のエチレン−α−オレフィン共重合体を軟質ポリマーとして使用してもよい。
ここで、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分をブレンド(必要により部分架橋させてもよい)して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・エチレン・ジエン・スチレン共重合ゴム(SEBS)、エチレン・スチレン系エラストマー(ESR)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル・ポリエーテル系等のポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明のベース層3を構成する軟質ポリマーとしては、非晶性エチレン−α−オレフィン共重合体、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれた一種または二種以上を使用することが好ましい。これらの材料は、ベース層3を構成するプロピレン−α−オレフィン共重合体との相溶性に優れているため、ベース層3としてプロピレン−α−オレフィン共重合体と軟質ポリマーを適用することによる効果を効率よく発揮することができる。
また、ベース層3を構成する樹脂組成物は、滑剤、界面活性剤、帯電防止剤といった脂肪酸基を有する添加剤のうちの一つを含まないようにすることが好ましく、これらの全てを含まないようにすることが特に好ましい。ベース層3に対して脂肪酸基を有する添加剤を含有させないことにより、いわゆるブリードの発生を防止することができる。
そして、本発明の多層フィルム1は、図1に示したような、接着層2とベース層3との積層体としてもよいが、図2に示すようにして、接着層2とベース層3との間に中間層4を設けるようにしてもよい。ここで、中間層4を構成する材料としては、特に制限はないが、ベース層3を構成する樹脂組成物からなるようにしてもよく、また、接着層2を構成する樹脂組成物とベース層3を構成する樹脂組成物の混合材料を用いることが好ましい。中間層4の構成材料として接着層2を構成する樹脂組成物とベース層3を構成する樹脂組成物の混合材料を用いる場合にあっては、多層フィルム1のリサイクル材料を用いることもできる。
なお、以上説明した接着層2、ベース層3及び必要により中間層4を構成する樹脂材料に対しては、本発明の効果を妨げない範囲内において、アンチブロッキング剤(AB剤)酸化防止剤、樹脂付着防止剤、抗菌剤、鮮度保持剤及び着色剤などの添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。これらの添加剤は加工助剤、機能性付与添加剤として配合され、多層フィルム1の製膜加工性などを向上させることができる。
本発明の多層フィルム1全体の厚みとしては、20〜200μmの範囲とすることが好ましく、30〜150μmとすることが特に好ましい。多層フィルム1の厚みをかかる範囲とすることにより、金属板等との熱ラミネート時、製缶時における成形加工性が良好となる。
また、本発明の多層フィルム1は、多層フィルム1を構成する各層の厚みの関係として、接着層2と他の層(ベース層3、あるいはベース層3と中間層4)との厚み比r(接着層/他の層)が1/12〜2/3の範囲であることが好ましく、2/15〜1/2の範囲であることが特に好ましい。層厚み比rが1/12より小さいと、多層フィルム1全体に対して接着層2が薄すぎて、熱ラミネート強度が不足してしまう場合があり、その一方、層厚み比rが2/3を越えると、接着層2が厚すぎて、耐熱性や加工性等が悪くなる場合がある。
なお、多層フィルム1を接着層2、ベース層3、中間層4の3層とする場合には、接着層2:中間層4:ベース層3=1:(0.5〜10):(0.5〜2)とすることが好ましく、1:(2〜8):(0.6〜1.5)とすることが特に好ましい。
また、本発明の多層フィルム1は、金属板との接着性を向上させるため、接着層2の表面に対してコロナ放電処理を施すことが好ましい。かかるコロナ放電処理は、公知の方法を用いることができる。
そして、前記した各層の構成材料を用いて、本発明の多層フィルム1を調製するには、多層フィルム1を構成する接着層2、ベース層3及び必要により中間層4をそれぞれ別個に製膜した後、公知のドライラミネート法等の手段により積層して多層フィルム1としてもよいが、公知の共押出製膜法により、多層フィルム1を構成する層を同時に製膜することが好ましい。かかる製膜手段としては、通常の多層フィルム成形に用いられる多層インフレーション共押出製膜法や、Tダイキャスト共押出製膜法等の公知の成形方法を適宜採用することができる。
このようにして得られた熱ラミネート用多層フィルム1は、熱ラミネートが可能な被着体、例えば、金属板、木板、紙等に被着、貼り合わせることにより、多層フィルム1と被着体との複合材料として使用することができる。この中でも、本発明の多層フィルム1は、金属板と貼り合わせて多層フィルムラミネート金属板とすることにより、18L缶、ペール缶、ドラム缶等の金属缶の構成材料等として好適に使用することができる。
ここで、多層フィルム1と貼り合わせ可能な金属板としては、特に制限はないが、金属缶に使用されるような鋼板、ステンレス板、アルミニウム板等を好適に使用することができ、また、耐食性等の面からは最外層に電解クロメート処理層を有する表面処理鋼板が望ましい。表面処理層としては電解クロメート処理層以外に、特に、電解クロメート処理層の下地として)合金または純金属としての錫、ニッケル、鉄、クロム等の1種または2種以上を含む表面処理層を設けるようにしてもよい。
具体的には、電解クロメート処理鋼板、ぶりき、薄錫めっきぶりき、ニッケルめっき鋼板、ティンフリースチールやニッケルめっき鋼板の表面に微量の不均一な錫層を設けた表面処理鋼板、前記した各表面処理鋼板において表面処理層の下地として、ニッケル熱拡散処理を施した表面処理鋼板、さらに、上記各表面処理鋼板の表面に電解クロメート処理層を形成した表面処理鋼板等が挙げられる。
また多層フィルム1と金属板を貼り合わせて多層フィルムラミネート金属板を得るには、あらかじめ製造された多層フィルム1を金属板に対して間欠的ないしは連続的にラミネートするようにすることが好ましい。また、かかる場合にあっては、表面を火炎処理された金属板に対して熱ラミネート用多層フィルムを熱ラミネートして、両者を貼り合わせることが特に好ましい。
ここで、火炎処理としては、被処理材である金属板に対して連続的に火をあてることにより行うことができ、例えば、ガスバーナー等により行うことができる。また、火炎処理における処理温度や処理時間は、使用される金属板の種類等により適宜決定すればよいが、一般に、処理温度を800〜1800℃程度、処理時間を0.005〜60秒程度とすればよい。
以下、本発明の熱ラミネート用多層フィルム1を金属板に貼り合わせて、多層フィルムラミネート金属板を連続的に製造する手段の一例を、図3に示した製造装置を用いて説明する。
かかる図3に示した製造装置20を用いて、多層フィルムラミネート金属板30を連続的に得るには、所定サイズの金属板10を図示しない供給部から図3の矢印方向に連続的に搬送し、搬送された金属板10は、火炎処理部21にて表面が火炎処理される。
次に、表面が火炎処理された金属板10に対して、フィルム供給部22からロール巻きされた本発明の多層フィルム1が送り出され、接着層2が金属板10の火炎処理された面と向き合うようにして、ラミネートロール22を通過することにより両者が貼り合わされる。
そして、貼り合わされた多層フィルム1と金属板10は、トリミング部23において、多層フィルム1の不要な部分が取り除かれることにより、多層フィルム1と金属板10とが熱ラミネートにより貼り合わされた多層フィルムラミネート金属板30を得ることができる。
図4は、本発明の多層フィルムラミネート金属板30により得られる金属缶40の概略図であり、(A)は金属缶40の全体斜視図、(B)は当該金属缶40の胴部41のハゼ組み構造42を示した図である。
図4(A)に示される金属缶40は、例えば、塗料、インキ、溶剤、洗剤及び業務用食品等を収容可能であり、また、その胴部41は、図4(B)に示されるように、多層フィルムラミネート金属板30の多層フィルム1同士を熱融着(ヒートシール)により融着部43を形成して接合することによりなるものである。
ここで、本発明の多層フィルム1を用いた多層フィルムラミネート金属板30によれば、胴部41の接合状態も良好となり、金属缶40に内容物を充填させて落下させた場合であっても、胴部41のハゼ組み構造の変形を極力抑制することができ、内容物の漏れが生じることを防止することができる。
前記した本実施形態の熱ラミネート用多層フィルム1によれば、下記のような効果を奏することができる。
(1)接着層2が、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体を含有するようにし、ベース層3が、特定量のプロピレン−α−オレフィン共重合体及び軟質ポリマーからなる樹脂組成物としているので、金属板等の被着材に対して熱ラミネート性が良好であり、かかる金属板に熱ラミネートさせた場合には、金属板の変形に伴う剥離の発生が極めて少ない多層フィルム1を提供することができる。また、この多層フィルム1は、機械的強度、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性等に優れたフィルムである。
(2)ベース層3を構成する軟質ポリマーが、オレフィン系エラストマー、非晶系エチレン−α−オレフィン共重合体、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体よりなる群から選ばれた一種または二種以上とすれば、これらはベース層3を構成するプロピレン−α−オレフィン共重合体との相溶性に優れていることより、ベース層3を前記の構成としたことによる前記(1)の効果を効率よく奏することが可能となる。
(3)接着層2とベース層3との間に中間層4を設け、当該中間層4を、ベース層3を構成する樹脂組成物、または接着層2を構成する樹脂組成物とベース層3を構成する樹脂組成物との混合材料とすることにより、耐熱性、耐衝撃性及び金属板にラミネートして製缶化した場合における落缶強度が更に優れた多層フィルム1となる。また、外部に現れない中間層4に対しては多層フィルム1のリサイクル材料を適用してもよく、リサイクル適性も備えた多層フィルム1となる。更には、アンチブロッキング剤などの表面特性改良添加剤の使用を極力少なくすることができる。
(4)接着層2を構成する樹脂組成物が、極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含まないようにすれば、製造工程が簡略化され、生産性が向上するとともに、多層フィルム1のコストダウンを図ることができる。
(5)ベース層3を構成する樹脂組成物が、脂肪酸基含有添加剤である滑剤、界面活性剤または帯電防止剤の少なくとも一つを含まないようにすれば、ブリードの発生を防止することができる。
(6)接着層2と他の層との厚み比rが1/12〜2/3の範囲内とすることにより、熱ラミネート適性を良好な状態として、耐熱性や加工性等の諸特性も優れた多層フィルム1とすることができる。
(7)本発明の多層フィルム1を金属板20と貼り合わせた多層フィルムラミネート金属板30は、多層フィルム1と金属板20との接着性が良好であるため、金属板20の変形に伴う剥離の発生が極めて少ないフィルムラミネート金属板30となる。よって、図4に示すように、胴部41をハゼ組み構造42として接合した金属缶40を形成した場合であっても、接合部(ハゼ組み構造42)の接合強度が良好な状態となり、いわゆる落缶強度に優れた金属缶40を提供可能な多層フィルムラミネート金属板30となる。
そして、かかる多層フィルムラミネート金属板30は、例えば、塗料、インキ、溶剤、洗剤及び業務用食品等を収容可能な、18L缶、ペール缶、ドラム缶等の金属缶の構成材料として好適に使用することができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等の内容に限定されるものではない。
(A)熱ラミネート用多層フィルムの製造:
具体的条件を以下の記載及び表1の条件で、図2に示す構成の熱ラミネート用多層フィルム1を製造した。
なお、樹脂材料の密度は、JIS一K7112(23℃)に準拠した方法で、また、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠した方法で、それぞれ測定したものである。
(i)メタロセン系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン−1(LLDPE−1):
グレード: エボリューSP0510(三井化学(株)製)
密度: 903kg/m
MFR: 1.2g/10分
/M: 3.05
ブチル分岐数: 28.2
(ii)メタロセン系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン−2(LLDPE−2)
グレード: エボリューSP0540(三井化学(株)製)
密度: 903kg/m
MFR: 3.8g/10分
/M: 2.63
ブチル分岐数: 27.3
(iii)メタロセン系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン−3(LLDPE−3):
グレード: アフィニティーPF1140(ダウケミカル日本(株)製)
密度: 895kg/m
MFR: 1.6g/10分
/M: 2.30
ヘキシル分岐数: 27.2
(iv)チーグラー・ナッタ系触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレン−1(LLDPE−4)
グレード: モアテック0138N(出光石油化学(株)製)
密度: 916kg/m
MFR: 1.0g/10分
(v)ブロックポリプロピレン(BPP)
グレード: F−274NP(出光石油化学(株)製)
密度: 900kg/m
MFR: 3.0g/10分
(vi)ランダムポリプロピレン(RPP)
グレード: F−744NP(出光石油化学(株)製)
密度: 900kg/m
MFR: 7.0g/10分
(vii)エチレン−α−オレフィン共重合体−1(軟質ポリマー)(EαCo−1)
グレード: タフマーA4085(三井化学(株)製)
密度: 885kg/m
MFR: 7.0g/10分
(viii)エチレン−α−オレフィン共重合体−2(軟質ポリマー)(EαCo−2)
グレード: タフマーP0480(三井化学(株)製)
密度: 867kg/m
MFR: 1.8g/10分
(ix)アンチブロッキング剤(AB剤)
合成シリカを15質量%含むマスターバッチ(ベースレジン、直鎖状低密度ポリエチレン)
( 多層フィルムの製造方法 )
実施例1,2及び比較例1,4,5の多層フィルムは、インフレーション法を用いて、下記の製造条件及び表1に記載の層構成により、全体の厚みが70μmになるように共押出成形して、図2に示す構成の熱ラミネート用多層フィルム1を得た。
なお、接着層2の表面には、常法によりコロナ放電処理を施した。
( 製造条件 )
ダイス径: 250mm
ダイスリップ間隔: 2.5mm
加工温度: 200℃
押出量: 80kg/hr
ブローアップ比: 1.6
( 製造方法(2) )
実施例3及び比較例2,3の多層フィルムは、Tダイキャスト法を用いて、下記の製造条件及び表1に記載の層構成により、全体の厚さが70μmになるように共押出成形して、図2に示す構成の熱ラミネート用多層フィルム1を得た。
なお、接着層の表面には、前記した製造方法(1)と同様に、常法によりコロナ放電処理を施した。
( 製造条件 )
ダイス面長: 800mm
ダイスリップ間隔: 1.5mm
加工温度: 200℃
押出量: 80kg/hr
冷却温度: 40℃
(B)多層フィルムラミネート金属板の製造:
前記(a)により得られた熱ラミネート用多層フィルムと製缶用鋼板を用いて、図3に示す製造装置により、多層フィルム1の接着層とその表面に対して火炎処理が施された鋼板を貼り合わせた多層フィルムラミネート金属板を得た。
[試験例1]
前記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜5の多層フィルムラミネート金属板を、下記の評価項目に従って比較・評価した。評価結果を熱ラミネート用多層フィルムの仕様と併せて表1に示す。
(ア)落缶試験:
まず、常法を用いて、多層フィルムラミネート金属板を図4(A)に示す18L缶に加工した。なお、胴部の接合は、図4(B)に示したハゼ折り構造を採用し、加工後200℃で加熱処理した。
次に、得られた18L缶に水を充填させた後、高さが1.3m及び1.8mの位置から鉄板上に缶を自由落下させ、落下後の缶からの漏れの有無及び融着部の状態を、それぞれ下記の判定基準にて評価した。
なお、落缶試験の具体的手順については、消防法(昭和23年法律第186号)第2条第7項に準じた。
( 判定基準:缶からの漏れの有無 )
評 価 内 容
◎ : 融着部からの漏れがない。
○ : 融着部変形あるが漏れがない。
× : 融着部変形箇所からの漏れがあり。
( 判定基準:融着部の状態 )
融着部の状態の評価において、「剥離」については、接着層におけるフィルムと金属板との剥離の有無を確認し、剥離のある場合に「剥離大」とした。
また、「変形」については、18L缶胴部のハゼ組み構造の変形の有無を確認し、「変形無し」「若干変形」「変形大」と評価した。
(イ)耐熱性評価:
多層フィルムラミネート金属板の最外層となるベース層について、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)により、溶融(平均)ピーク温度を確認して、耐熱性評価の指標とした。
( 熱ラミネート用多層フィルムの仕様及び評価結果 )
Figure 2005324468
表1の結果より、実施例1〜3の本発明の多層フィルムラミネート金属板は、製缶した場合における落缶試験の結果も良好であり、比較例にみられるような融着部からの漏れもなく、融着部は剥離もなく、若干変形する程度であった。また、ベース層の溶融ピーク温度も160度と高く、貼付されている多層フィルムの耐熱性も優れていた。
本発明は、18L缶、ペール缶、ドラム缶等の金属缶の構成材料として用いられる熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法として広く適用することができる。
本発明の熱ラミネート用多層フィルムの断面図である。 本発明の熱ラミネート用多層フィルムの他の態様を示した断面図である。 本発明の多層フィルムラミネート金属板の製造方法を実施する製造装置の一例を示した概略図である。 本発明の多層フィルムラミネート金属板を用いて得られる金属缶の概略図であって、(A)は全体斜視図、(B)は胴部のハゼ組み構造を示した図である。
符号の説明
1 多層フィルム
2 接着層
3 ベース層
4 中間層
10 金属板
20 製造装置
21 火炎処理部
30 多層フィルムラミネート金属板
40 金属缶
41 胴部
42 ハゼ組み構造
43 融着部

Claims (9)

  1. 下記の樹脂組成物からなる(I)接着層及び(II)ベース層を含むことを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
    (I)接着層:
    下記(a)ないし(c)の要件を具備し、メタロセン(シングルサイト)系触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する
    (a)密度が860〜930kg/m
    (b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分
    (c)α−オレフィン中の炭素数が3以上であり、共重合体の直鎖中における炭素数1000個あたりの分岐数が15個以上
    (II)ベース層:
    プロピレン−α−オレフィン共重合体を80質量%以上100質量%未満含有して、軟質ポリマーを0質量%を超えて20質量%未満含有する樹脂組成物からなる
  2. 請求項1に記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記ベース層を構成する軟質ポリマーが、オレフィン系エラストマー、非晶系エチレン−α−オレフィン共重合体、低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体よりなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記接着層とベース層との間に中間層を設けたことを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  4. 請求項3に記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記中間層が、ベース層を構成する樹脂組成物、または接着層を構成する樹脂組成物とベース層を構成する樹脂組成物との混合材料からなることを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記接着層を構成する樹脂組成物が、極性基含有ポリオレフィン系樹脂を含まないことを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記ベース層を構成する樹脂組成物が、脂肪酸基含有添加剤である滑剤、界面活性剤または帯電防止剤の少なくとも一つを含まないことを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れかに記載の熱ラミネート用多層フィルムにおいて、
    前記接着層と他の層との厚み比r(接着層/他の層)が1/12〜2/3であることを特徴とする熱ラミネート用多層フィルム。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかに記載の熱ラミネート用多層フィルムと金属板を貼り合わせてなることを特徴とする多層フィルムラミネート金属板。
  9. 金属板の表面を火炎処理する工程と、
    火炎処理された金属板の表面と請求項1ないし請求項7の何れかに記載の熱ラミネート用多層フィルムの接着層を熱ラミネートにより貼り合わせる工程と、
    を含むことを特徴とする多層フィルムラミネート金属板の製造方法。
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