JP2003154611A - 成形用樹脂積層体及びそれを用いた成形品 - Google Patents

成形用樹脂積層体及びそれを用いた成形品

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JP2003154611A JP2001355721A JP2001355721A JP2003154611A JP 2003154611 A JP2003154611 A JP 2003154611A JP 2001355721 A JP2001355721 A JP 2001355721A JP 2001355721 A JP2001355721 A JP 2001355721A JP 2003154611 A JP2003154611 A JP 2003154611A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プライマー等の下塗り無しでも著しく良好な塗
装密着性があり、優れた耐衝撃性と成形性を有するポリ
プロピレン系の成形用樹脂積層体、及びそれを用いたイ
ンサート成型品を提供すること 【解決手段】エチレン含有量25〜50モル%のエチレ
ン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及び
その他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表
面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50
重量%及びポリオレフィン系エラストマー5〜50重量
%からなるベース層(B)とを一体に構成してなる塗装
特性に優れた成形用樹脂積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形用樹脂積層体に
関する。詳しくは本発明は、ベース層にポリプロピレン
系樹脂の優れた特徴である成形性を持つ材料を用い、表
面層に特定のエチレン・ビニルアルコール共重合体を用
いることによって塗装特性を改良した積層体に関する。
特にプライマー等の前塗装なしに優れた塗料付着性、接
着性、印刷性を示し、更には耐衝撃性を兼ね備えた成形
用樹脂積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂は成形加工性、耐
有機溶剤性に優れ、また安価なことから家電製品の外
板、自動車の外装、及び内装部品等広く用いられてい
る。特に自動車用外装部品の用途においては、軽量化と
コストの両面からポリオレフィン系樹脂の利用はますま
す広まっている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は分子
構造が非極性のため、ほかの物質との親和性が乏しく、
塗料付着性、接着性、印刷性が著しく劣っている。
【0003】これを改善する方法として、極性モノマー
をグラフト重合したり、その重合物をブレンドする方法
などが知られている(特開平5−39383、特開平7
−118262、特開平7−109437)が、成形時
にロールに張り付くなどキャスティングが難しくなる。
また成形プロセスの流路内壁面に樹脂がこびり付いて劣
化する恐れもあり、目ヤニが出やすく生産性やコストに
も問題がある。更に、充分な塗装密着性を保持するため
には多量添加が必要となり、ポリオレフィン系樹脂の機
械的特性を損なう傾向にある。逆に、塗装を必要としな
い方法として、透明層を外層に、中間層に着色層を配し
たフイルムを別途成形した熱可塑性樹脂成形品に貼り付
ける方法(特開平10−250010)も提案されてい
るが、色合わせが困難で、バリエーションが限定され応
用範囲が狭い。バリエーションを増やすとコストがかか
る欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】プライマー等の下塗り
は、コストの点で不利なのはもちろんのこと、特にプラ
イマー塗布工程では本塗装に比べ多くの溶剤を必要とす
るため、環境問題に対しても影響が大きい。本発明は、
ポリオレフィン系樹脂を多層に積層し、各層にそれぞれ
必要な機能を持った材料を用いることを特徴とする。即
ち、表面層には塗装性に特化した材料を、それ以外には
耐衝撃性、成形性等に有効な材料を組み合わせて用いる
ことによって、プライマー等の下塗り無しでも著しい塗
装密着性をもち、優れた耐衝撃性と成形性をもった熱可
塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。更なる目
的は、かかる表面特性を有する積層体を、射出成形、ブ
ロー成形等のインサート成形に組合せ、応用することに
よって塗装性に優れた各種の成形品を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、エ
チレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアル
コール共重合体30〜100重量%及びその他のポリオ
レフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層(A)と、
結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量%及びポリ
オレフィン系又はスチレン系エラストマー5〜50重量
%からなるベース層(B)とを一体に構成してなる塗装
特性に優れた成形用樹脂積層体に存する。又、本発明
は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニ
ルアルコール共重合体30〜100重量%及びその他の
ポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表面層
(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50重量
%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマー5
〜50重量%からなるベース層(B)とを接着層(C)
を介して一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹
脂積層体に存する。更に本発明は、上記の成形用樹脂積
層体を、該積層体のベース層(B)が結晶性ポリプロピ
レン系樹脂と接するようにインサート成形してなる成形
品に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の成形用樹脂積層体は、表
面層(A)とベース層(B)とから成る。表面層(A) 表面層(A)は、エチレン含有量25〜50モル%のエ
チレン・ビニルアルコール共重合体からなる。好ましい
エチレン含有量は27〜45モル%である。これは、エ
チレン含有量25〜50モル%のエチレン・酢酸ビニル
共重合体を80%以上、好ましくは95%以上ケン化す
ることにより製造することができる。即ち、本発明で使
用されるエチレン・ビニルアルコール共重合体には少量
の酢酸エステル基が残存していてもよい。
【0007】次いで、表面硬度,耐衝撃性などを改良す
るために、その他のポリオレフィン系樹脂を0〜70重
量%の範囲で添加しても良い。例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等
で希釈することができる。エチレンとの共重合に用いら
れるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−
オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘ
キセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等炭素数
3〜18のものを挙げることができる。これらコモノマ
ーは1種類に限られず、2種類以上用いて多元系共重合
体、例えばターポリマーとしてもよい。
【0008】更に、インサート成形時の延展性等を確保
するためにその他の樹脂成分を添加しても良い。特にブ
ロー貼合成形時の延展性をより良好なものとするには、
熱可塑性エラストマー(TPE)等延展性の良い材料を
0〜70重量%、好ましくは20〜40重量%添加する
方がよい。ここで熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系TP
E、ポリアミド系TPE、ポリエステル系TPE,エチ
レン―プロピレンラバー,スチレン―エチレン―ブチレ
ン―スチレンブロックコポリマー、ポリ塩化ビニル系エ
ラストマー、天然ゴムなどが挙げられるが、メタロセン
系ポリエチレン等のポリオレフィン系エラストマーが相
溶性という点からも好ましい。
【0009】ポリオレフィン系エラストマーの市販品と
して、カーネル KF261(日本ポリケム社製、メタ
ロセン系ポリエチレン)、JSR EP02P、JSR
EBM2041P等(JSR社製)、タフマーP01
80、P0480、A4085等(三井化学社製)、そ
の他エチレン・1−オクテンゴムとして、EG815
0、EG8100(デュポンダウエラストマー社製)な
どがある。また、スチレン系TPEとしては、スチレン
―ブタジエン―スチレンブロックコポリマー、スチレン
・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体(S
EBS)等を挙げることができる。これは、ポリスチレ
ンブロック単位とポリエチレン/ブチレンゴムブロック
単位とからなる。このようなSEBSでは、ハードセグ
メントであるポリスチレンブロック単位が物理架橋(ド
メイン)を形成してゴムブロック単位の橋かけ点として
存在しており、このポリスチレンブロック単位間に存在
するゴムブロック単位はソフトセグメントであってゴム
弾性を有している。
【0010】SEBSのセグメント割合として、ポリス
チレン単位を10〜40モル%の量で含有していること
が望ましい。SEBSは、一般的にスチレン・ブタジエ
ン系ブロック共重合体であるSBS(スチレン・ブタジ
エン・スチレンブロック共重合体)の水添物として知ら
れている。例えば、SBR(スチレン・ブタジエンラン
ダム共重合体)、SBS、PS−ポリイソブチレンブロ
ック共重合体、SIS(スチレン・イソブチレン・スチ
レンブロック共重合体)及びSIS水添物(SEPS)
などが挙げられる。市販品として、クレイトン(シェル
化学社製)、キャリブレックスTR(シェル化学社
製)、ソルブレン(フィリップスペトロリファム社
製)、ユーロブレンSOLT(アニッチ社製)、タフブ
レン(旭化成社製)、ソルブレン−T(日本エラストマ
ー社製)、JSRTR(JSR社製)、電化STR(電
気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、タフ
テック(旭化成社製)などが挙げられる。
【0011】更に表面層(A)には無機系充填材等を添
加することも可能である。また、一般的にポリオレフィ
ンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中
和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌
剤、着色剤等を配合することができる。これら希釈剤や
その他の添加剤は、表面層(A)全体の0〜20重量%
の範囲で使用することができる。20重量%を超えると
エチレン・ビニルアルコール共重合体が有する特性を充
分発揮することができず、貼合時の延展性にも不利であ
る。
【0012】ベース層(B) ベース層(B)として、結晶性ポリプロピレン系樹脂が
95〜50重量%、好ましくは85〜60重量%、及び
ポリオレフィン系又はスチレン系エラストマーが5〜5
0重量%、好ましくは20〜40重量%の組成物が用い
られる。結晶性ポリプロピレン系樹脂とは、結晶化度
(II又は立体規則性)が90%以上、好ましくは95
%以上のプロピレンを主体とするポリマーである。具体
的には結晶性ポリプロピレンホモポリマー、結晶性エチ
レンプロピレンブロック共重合体、結晶性エチレンプロ
ピレンランダム共重合体が用いられる。また、ポリオレ
フィン系又はスチレン系エラストマーは、表面層(A)
に配合されるものと同様の材料を用いることができる。
ベース層(B)にも、表面層(A)と同様に、耐衝撃強
度、表面硬度の改良のため、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン・α―オレフィン共重合体等、無機系充
填材、ゴム等を添加することができる。また、一般的に
ポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸
化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキ
ング剤、抗菌剤、着色剤等を配合することができる。
【0013】接着層(C) 表面層(A)とベース層(B)は共にオレフィン系樹脂
であるから積層物としたときの接着性はあるが、両層の
親和性を高め更に接着強度を改善する目的で、両層の間
に第3層として接着層(C)を設けることが好ましい。
接着層を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等のオレ
フィン系樹脂に、極性モノマーをグラフトさせた変性オ
レフィン・グラフト共重合体を用いることができる。
【0014】かかる極性モノマーとしては、無水マレイ
ン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルア
クリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロ
キシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタク
リレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、
ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロ
ピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレング
リコールモノメタクリレート、グリセロールモノまたは
ジアクリレート、グリセロールモノまたはジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパンモノまたはジアクリレー
ト、トリメチロールプロパンモノまたはジメタクリレー
ト、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモ
ノアリルエーテル、オルト、メタ、およびパラヒドロキ
シメチルスチレン等またはこれらの混合物をあげること
ができる。
【0015】変性オレフィン・グラフト共重合体は、ポ
リオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、極性モノ
マーと共に熱処理することにより得られる。具体的には
ポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および極性モノマ
ーをヘンシェルミキサー等で予め混合した後、2軸押出
機、単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱
混練することにより調製することができる。混練時の温
度は用いる樹脂、有機過酸化物の種類によって異なる
が、一般的には100〜300℃の間である。
【0016】有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオ
キサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサ
ン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−
ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用できる。
【0017】市販品として、モディックAP(三菱化学
社製)、UBE BOND(宇部興産社製)、ディック
サーム(大日本インキ化学工業社製)、アロンメルトP
PET(東亞合成社製)、メルセンM(東ソー社製)、
アドテック(日本ポリオレフィン社製)、レクスパール
(日本ポリオレフィン社製)、ナックエース(日本ユニ
カー社製)、アドマー(三井化学社製)、CMPS(三
井・デュポンケミカル社製)などが挙げられる。
【0018】積層体(シート)の製造方法 本発明の成形用樹脂積層体は、表面層(A)とベース層
(B)とを積層してなるものであり、前記各成分を、必
要に応じドライブレンドし、直接シート製造装置に供給
しシートに成形することができる。場合によっては、表
面層(A)とベース層(B)との間に接着層(C)を設
けた3層構造の積層体とすることができ、これは本発明
の好ましい態様である。積層体全体の厚さは延展性が重
要なので、通常、50〜1000μm、好ましくは20
0〜500μmである。各層の厚さは、延展時に抜けが
生じない程度の任意の厚さでかまわない。例えば、表面
層(A)の厚さは、通常10〜100μm、好ましくは
30〜300μmである。ベース層(B)は成形品の目
的・用途に応じて特に制限的ではないが、通常100〜
900μm程度である。接着層(C)は、通常10〜2
00μm、好ましくは20〜100μmである。
【0019】表面層(A)、ベース層(B)及び、場合
によっては、接着層(C)を構成する各樹脂原料を、シ
ート製造装置に供給する前に、あらかじめ押出機、バン
バリーミキサー、ニーダー、ロール等を用いて前記各成
分を溶融混練物とし、あるいは溶融混練物をさらに適当
な大きさの粒状に固化形成して、これらを成型装置に供
給してもよい。すなわち、最終的に得られる積層体にお
いて、各成分の配合量、層構成が前記の範囲内であっ
て、さらに実用上問題ない混合状態であれば、ポリオレ
フィン系樹脂組成物を構成する各成分の配合方法や工程
はいかなるものであってもよい。
【0020】本発明における積層体の製造は、公知の任
意の成形方法に従うことができる。例えば、まず連続的
に製造する方法としては、溶融状態の樹脂材料を平板状
に押し出し、これを表面が平滑な回転する一対のロール
で挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦
与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを
1つあるいは2つ用いる方法、一旦表面の平滑性にかま
わず平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が
平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑
なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒
状に押し出し周囲から水流や気流によって冷却固化する
方法等が挙げられる。
【0021】また、非連続的に製造する方法としては、
一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でないシー
トを、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら
板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方
法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に
供給し板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙
げられる。以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性
や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベ
ルトで連続的に成形する方法が好ましく、特に片面もし
くは両面からスチールベルトで押さえ込む方法が好まし
い。
【0022】上記の積層体を製造する方法を別の観点か
ら分類すると、樹脂原料を溶融状態でシート状に押出す
と同時に積層し、その後に冷却固化して多層シートとす
る共押出法、一旦シート状にしたもの同士を溶融樹脂や
接着剤等によって張り合わせるラミネーション法、一方
のシートに他方を溶融状態で積層した後に直ちに冷却固
化し積層シートを得る熱ラミネーション法もしくは押出
コーティング法等が挙げられる。
【0023】本発明の成形用樹脂積層体は、各種の熱成
形法により所望形状の成形品に加工される。成形法とし
ては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、片板熱成形
法等を用いることができる。かくして成形された成形品
は、その表面層(A)が特定の樹脂から構成されている
ので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗
布を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成
形加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0024】更に、本発明の成形用樹脂積層体は、射出
成形、射出圧縮成形、ブロー成形、プレス成形、真空成
形、圧空成形等のインサート成形に組合せ、応用するこ
とによって塗装性に優れた各種の大型成形品を製造する
ことができる。以下、インサート成形について説明す
る。
【0025】ブロー成形 本発明の積層体をブロー成形品に貼合する手段として
は、ブロー成形用樹脂と積層体のベース層(B)に同種の
オレフィン樹脂を用いて、ブロー成形時にパリソンと積
層体を熱融着させる方法が好ましい。成形方法として
は、積層体を予備成形せずに片側の金型接合部の周囲に
設けた枠等にテンションを有する状態で設置し、パリソ
ン射出後低速で型締めし、パリソンからの熱により積層
体が軟化し、更にパリソンと積層体が完全に熱融着した
後、型締めを完了し賦形する方法が好ましい。その他、
目的とするブロー成形品の形状に合わせ、真空成形など
により事前に成形した積層体を、金型にインサート後ブ
ロー成形する方法がある。この場合、パリソンと積層体
シート間にエアが残存しないように密着性に注意するこ
とが肝要である。
【0026】熱融着以外の手段としては、ブロー成形品
の形状に合わせた積層体の真空成形品を接着剤等でブロ
ー成形品に貼合する方法がある。この場合は、接着剤の
選択が重要である。本方法で得られた積層体を貼り合わ
せしたブロー成形品はパーティングライン部(PL部)
から片側が完全に積層体で覆われているが、両方の金型
に積層体を設置し、同様な方法で成形すればPLの切断
面以外は全て積層体で覆われた成形品が取得可能であ
る。又、成形品周囲のバリ部のリサイクル使用は、廃棄
樹脂を削減する観点からブロー成形上重要であるが、ベ
ース層(B)の材料として、ブロー材と同種の、比較的に
メルトフローレート(MFR)の低い材料を用いれば、
ブロー成形性に悪影響を与える可能性も少なく、リサイ
クル使用が可能である。かくして成形された成形品は、
その表面層(A)が特定の樹脂から構成されているの
で、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗布
を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成形
加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0027】射出成形、射出圧縮成形 平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼
合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用い
るが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形
状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等
の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦
形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないし
は予備成形した賦形体の貼合は、射出成形用金型のキャ
ビテイ内にこの積層体ないしは予備成形された賦形体を
インサ−トした後、金型を閉じ、溶融樹脂を射出充填す
ることで上記積層体ないしは賦形体が貼合された塗装用
成型品を得る。この際、金型内の積層成形体が金型から
剥離したり、ずれたりしないように固定する必要があ
る。
【0028】プレス成形 平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼
合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用い
るが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形
状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等
の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦
形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないし
は予備成形した賦形体の貼合は、プレス金型のキャビテ
イ内にこの積層体ないしは予備成形された賦形体をイン
サ−トした後、半溶融樹脂を乗せ,金型を閉じ、上記積
層体ないしは賦形体が貼合された塗装用成形品を得る。
この際、金型内の積層成形体が金型から剥離したり、ず
れたりしないように固定する必要がある。
【0029】真空、圧空成形 平面状ないしは緩やかな曲面形状を有する成形品への貼
合の場合には、基本的にそのまま平面状の積層体を用い
るが、それ以外の3次曲面や微細凹凸面などの複雑な形
状の場合には予め真空成形、圧空成形、真空圧空成形等
の熱成形により予備成形し、成形品と対応した形状の賦
形体としておく方が好ましい。次に、この積層体ないし
は予備成形した賦形体の貼合は、プレス金型内にこの積
層体ないしは予備成形された賦形体をインサ−トした
後、半溶融樹脂を乗せ,金型を閉じ、圧空または真空、
乃至は真空圧空両用にて成形し、上記積層体ないしは賦
形体が貼合された塗装用成型品を得る。この際、金型内
の積層成形体が金型から剥離したり、ずれたりしないよ
うに固定する必要がある。
【0030】塗料の塗布方法としては、スプレーによる
吹き付け塗装、刷毛塗り、ローラーによる塗布等がある
が、いずれの方法も使用可能である。使用できる塗料と
しては、一般に使用されている塗料、例えば、アクリル
系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料、ウレタ
ン系塗料、メラミン系塗料、アルキド系塗料等が使用で
きる。いずれの塗料を用いてもベース層(B)のみから
なる成形品に比べて塗膜の剥離強度に優れており、工業
的有用性は大きい。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例及び比較例における、積層体の製造、
インサート成形、塗膜物性の評価等は以下の方法によっ
て行った。
【0032】I.積層体の製造 (1) 成形装置:ポリッシング3本ロール式シート成
形機を用いた。装置の基本構成は、単軸押出機(40φ
・L/D=28・2台使用)/フィードブロック/コー
トハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り
機/巻き取り機である。
【0033】(2) 成形条件: a.原料調整:表面層(A)、ベース層(B)及び接着
層(C)の原料となる各樹脂チップに、標準的な処方に
従い酸化防止剤、中和剤をドライブレンドによって混合
し、これをシート成形機の押出機に供給し、各成分をそ
れぞれ溶融混練しながら共押出成形し、3層構造の積層
体シートを製造した。
【0034】b.押出温度の設定:押出機は最上流を1
90℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃と
した。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイま
で全て230℃とした。 c.ダイリップの開度: 2.0mmとした。 d.エアギャップ:ダイリップ先端からロールまでの距
離は150mmとした。
【0035】e.引取機:溶融樹脂の冷却固化は、金属
ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で
行った。ロール内部は、一定温度のオイルの循環によっ
て冷却される構造となっており、この時のオイル温度は
全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロ
ールの隙間は2.0mmとし、厚さ2.00mmのシー
トを得た。 f.引き取り速度: 0.5m/分
【0036】II.ブローインサート成形法 a.成形機:日本製鋼所製ブロー成形機NB30S、ダ
イス径150mm b.成形金型 : 200×350×700mmの直方
型ガソリンタンク成形型ベント孔を片側8個で両側に1
6個有する鏡面仕上げ品 c.パリソン射出の樹脂温度:200℃ d.ブロー圧:6kg/cm2 e.冷却:空冷180秒
【0037】III.射出インサート成形法 タテ100mm×ヨコ102mmの積層体切片を射出金
型(タテ100mm×ヨコ100mm、0.5mm厚×
100mmのサイドフィルムゲ−ト、フィルムゲ−トよ
り50mmの距離までのキャビティ厚が3.0mm、5
0mmから100mmの距離のキャビティ厚が1.0m
mの片面段差キャビティ)の段差側内表面に挿入固定
後、金型を閉じて射出成型機(型締め圧170トン、成
形温度210℃)で、プロピレン・エチレンブロック共
重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP「BC
4」、メルトフローレート6.5g/10分)を射出注
入して、タテ100mm×ヨコ100mmの片面肉厚段
差を有するプレ−ト状の塗装用射出成形品を得た。
【0038】IV.成形品の外観評価 成形品の外観は、目視により、○エッジ等が正確に金型
形状を再現し、表面のばたつき等も見られない、△表面
等のばたつき等は見られないが、エッジ等が若干金型を
再現していない、×表面ばたつき等が見られ,エッジ等
も金型を再現していない、という基準で3段階で評価し
た.
【0039】V.成形品の塗装 (1) 塗料;本実施例で用いた塗料は一般的に自動車
メーカー等で用いられている塗料である。メラミン系塗
料は日本ビーケミカル社製(主剤R−320、溶剤T−
630TMを100:40で混合したもの)、ウレタン
系塗料は日本油脂社製(プライマックス4000,主剤
T−301、硬化剤PB)を使用した。
【0040】(2)塗装方法:試験片の表面をイソプロ
ピルアルコールで脱脂し、剥離強度の測定のためスプレ
ー式金型剥離材を試験片上半分に吹き付け、エアスプレ
ーガンを用いて、塗膜厚さが約50μmになるようにス
プレー塗装を行い、約10分間自然乾燥させた後、塗膜
厚さが全体で約100μmになるよう更に2回目の塗装
を行った。その後、約10分間自然乾燥させ、メラミン
系の塗料では120℃、ウレタン系の塗料では90℃
で、窒素ガスの還流下40分間焼き付け乾燥を行った。
【0041】(3)塗膜物性の評価(碁盤目剥離試験) 塗装を行った試験片にカッターで、縦・横2mm間隔に
11列ずつ傷を付け、2mm角の正方形100個分の部
分を作成した。その後、正方形100個分の部分の全て
を覆うように、幅24mmの粘着テープ(ニチバン株式
会社製セロテープ)を貼り付け、更にテープを押圧して
塗膜との密着を図った。次いで、テープを手前45度の
方向に強く引きはがし、試験片上に残存した塗膜部分の
数を測定した。その工程を3回繰り返し、評価した。残
存数「100」は塗膜部分100個すべてが試験片に残
り、塗膜の接着性に優れることを示す。
【0042】[実施例1]表面層(A)に、エチレン含
有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(日本合成社製、ソアノールAT4403、メルトフロ
ーレート3.5g/10分、密度1.14g/cm3
融点164℃)70重量%、熱可塑性エラストマーとし
てメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カー
ネルKF261、メルトフローレート2.2g/10
分、密度0.898g/cm3)を30重量%、ベース
層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合
体(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6 メル
トフローレート1.8g/10分、密度0.90〜0.
91g/cm3)80重量%、熱可塑性エラストマーと
してメタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カ
ーネルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレ
イン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、
モディックP−524H)を、共押出法でシート成形し
た。 得られた3層積層体は、表面層(A)が40μ
m、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40
μm、全体の厚さが0.5mmの3層シート構造であ
る。
【0043】ブロー成形は、ブロー材として、日本ポリ
ケム社製、ポリプロピレン(EC9)を用いた。金型の
片面側結合部周囲にシート設置用の枠を設け、上記3層
積層体を張力5kg/cmで設置した。樹脂温度200
℃で、肉厚5mmのパリソンを10秒間で射出し、上部
及び下部のピンチ板にてピンチを実施し、1.5kg/
cm2の内圧にてプリブローしながら、金型温度40℃
で型閉め速度100mm/秒にて型を閉め始めた。3層
積層体とパリソンの接触面が金型の有効面を完全に覆う
様にプリブローを調節しながら型を閉め、完全に型閉め
が終了した時点で、6kg/cm2の圧力にてブローイ
ングを行った。180秒間冷却した後、金型を開き、製
品を取り出した。得られたブロー貼合成形品の外観評価
を実施したところ、エッジ等が正確に金型形状を再現
し、表面のばたつき等も見られず、良好な外観であっ
た。得られたブロー貼合成形品に、ウレタン系塗料で塗
装を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2
回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が
得られた。
【0044】[実施例2]表面層(A)に、エチレン含
有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量
%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP E
X6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロ
セン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF
261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オ
レフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディック
P−524H)を、共押出法でシート成形した。得られ
た3層積層体は、表面層(A)が20μm、ベース層
(B)が260μm、接着層(C)が20μm、全体の
厚さが0.3mmの3層シート構造である。この3層積
層体を、実施例1と同様にブロー貼合成形し,同様の評
価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2
回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が
得られた。また、成形品の外観に関しても良好であっ
た。
【0045】[実施例3]表面層(A)に、エチレン含
有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(日本合成社製、ソアノールAT4403)100重量
%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP E
X6)80重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロ
セン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF
261)を20重量%、接着層(C)にマレイン酸・オ
レフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モディック
P−524H)を、共押出法でシート成形した。得られ
た3層積層体は、表面層(A)が40μm、ベース層
(B)が420μm、接着層(C)が40μm、全体の
厚さが0.5mmの3層シート構造である。この3層積
層体を、実施例1と同様にブロー貼合成形し,同様の評
価を行った。碁盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2
回目、3回目とも100個残存し、良好な塗装密着性が
得られ、成形品の外観に関しては、ほぼ良好であった。
以上、実施例1〜3の結果を表1に示した。
【0046】[比較例1]表面層(A)の配合を、エチ
レン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共
重合体(日本合成社製、ソアノールAT4403)20
重量%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリ
エチレン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を
80重量%とした以外,実施例1と同様に成形,評価を
行った。外観は良好であるが、碁盤目剥離試験による塗
装密着性は不満足であった.
【0047】[比較例2]実施例1において、各層厚み
を、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が112
0μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが1.2
mmの3層シート構造とした以外,実施例1と同様に成
形,評価を行った.ブロー貼合成形時、シートの延展性
が乏しく、完全な賦形に至らなかった。
【0048】[比較例3]実施例1において、ベース層
(B)を結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体
(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)100
重量%とした以外,実施例1と同様に成形,評価を行っ
た。ブロー貼合成形時、シートの延展性が乏しく、完全
な賦形に至らなかった。以上、比較例1〜3の結果を表
2に示した。
【0049】[実施例4]表面層(A)に、エチレン含
有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(日本合成社製、ソアノールAT4403)70重量
%、熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチ
レン(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を30
重量%、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレン
ランダム共重合体(日本ポリケム社製、ノバテックPP
EX6)80重量%、熱可塑性エラストマーとして同じ
メタロセン系ポリエチレン(日本ポリケム社製、カーネ
ルKF261)を20重量%、接着層(C)にマレイン
酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製、モデ
ィックP−524H)を前述の積層体の成形方法に従っ
て、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が420
μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが0.5m
mの3層積層体を得た。この3層積層シ−トを同じく前
述の射出インサ−ト成形方法により塗装用射出成形品と
し、その貼合表面にウレタン系塗料及びメラミン系塗料
でそれぞれ塗装を行った。碁盤目剥離試験では両塗料と
も1回目,2回目、3回目とも100個残存し、良好な
塗装密着性が得られた。また、成形品の外観に関しても
良好であった。
【0050】[実施例5]表面層(A)に、前述のエチ
レン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソア
ノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に
結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポ
リケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱
可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン
(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量
%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共
重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を前
述の積層体の成形方法に従って、表面層(A)が20μ
m、ベース層(B)が260μm、接着層(C)が20
μm、全体の厚さが0.3mmの3層積層を得た。この
3層積層体を、実施例4と同様に射出インサ−ト成形し
塗装用射出成形品とし同様の評価を行った。碁盤目剥離
試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも100
個残存し、良好な塗装密着性が得られた。また、成形品
の外観に関しても良好であった。
【0051】[実施例6]表面層(A)に、前述のエチ
レン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製、ソア
ノールAT4403)100重量%、ベース層(B)に
結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体(日本ポ
リケム社製、ノバテックPP EX6)80重量%、熱
可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン
(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量
%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共
重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)を前
述の積層体の成形方法に従って、表面層(A)が40μ
m、ベース層(B)が420μm、接着層(C)が40
μm、全体の厚さが0.5mmの3層積層体を得た。こ
の3層積層体を、実施例4と同様に射出インサ−ト成形
し塗装用射出成形品を得て同様の評価を行った。碁盤目
剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目とも1
00個残存し、良好な塗装密着性が得られ、成形品の外
観に関してもほぼ良好であった。
【0052】[比較例4]表面層(A)の配合を、前述
のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社
製、ソアノールAT4403)20重量%、熱可塑性エ
ラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン(日本ポリ
ケム社製、カーネルKF261)を80重量%とした以
外,実施例4と同様に成形,評価を行った。外観は良好
であるが、碁盤目剥離試験による塗装密着性は不満足で
あった。
【0053】[比較例5]実施例4において、各層厚み
を、表面層(A)が40μm、ベース層(B)が112
0μm、接着層(C)が40μm、全体の厚さが1.2
mmの3層積層体とした以外,実施例4と同様に成形,
評価を行った。射出インサ−ト成形時、積層体の肉厚段
差部分で貼合性に乏しく、完全な貼合に至らなかった。
【0054】[比較例6]実施例4において、ベース層
(B)を結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体
(日本ポリケム社製、ノバテックPP EX6)100
重量%とした以外,実施例4と同様に成形,評価を行っ
た。射出インサ−ト成形時、積層体の肉厚段差部分で貼
合性に乏しく、完全な貼合に至らなかった。以上、実施
例4〜6及び比較例4〜6の結果を表3に示した。
【0055】[実施例7]表面層(A)に、エチレン含
有量32モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(クラレ社製、エバールEP−J102、メルトフロー
レート2.0g/10分、密度1.17g/cm3、融
点183℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロ
ピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製、ノバテッ
クPP EC9、メルトフローレート0.5g/10
分、密度0.90〜0.91g/cm 3)80重量%、
熱可塑性エラストマーとしてメタロセン系ポリエチレン
(日本ポリケム社製、カーネルKF261)を20重量
%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共
重合物(三菱化学社製、モディックP−513V)を、
共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、表
面層(A)が40μm、ベース層(B)が1920μ
m、接着層(C)が40μm、全体の厚さが2mmの3
層積層体構造である。得られた3層積層体を真空成型法
により成形した。成型条件は、ヒーター温度400℃と
し、余熱40秒、成形1秒とした。成形性は良好であっ
た。得られた成型品を、ウレタン系塗料で塗装を行っ
た。碁盤目剥離試験では1回目,2回目、3回目とも1
00個残存し、良好な塗装密着性が得られた。
【0056】[実施例8]表面層(A)に、エチレン含
有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体
(日本合成社製ソアノールAT4403)70重量%、
熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマー
(三菱化学社製、ラバロンSJ6400B−N、メルト
フローレート3.0g/10分)を30重量%、ベース
層(B)に結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合
体(日本ポリケム社製ノバテックPPEX6)80重量
%、熱可塑性エラストマーとしてスチレン系エラストマ
ー(三菱化学社製ラバロンSJ6400B−N)を20
重量%、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフ
ト共重合物(三菱化学社製、モディックP−524H)
を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体
は、表面層(A)が20μm、ベース層(B)が260
μm、接着層(C)が20μm、全体の厚さが0.3m
mの3層積層体構造である。この3層積層体を、実施例
1と同様にブロー貼合成形し,同様の評価を行った。碁
盤目剥離試験では両塗料とも1回目,2回目、3回目と
も100個残存し、良好な塗装密着性が得られた。ま
た、成形品の外観に関しても良好であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】本発明の成形用樹脂積層体は優れた耐衝
撃性と成形性とを有し、得られた成形品は表面層の特殊
加工によりプライマー等の下塗り無しでも著しく良好な
塗装密着性を有する。更に、インサート成形と組み合わ
せることにより、広く各種の成形品を製造できる。特
に、バンパー材、スポイラー等の自動車外装部品及び家
電製品等の外観部品などに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 利光 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社材料開発センター内 (72)発明者 岡本 武 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社材料開発センター内 (72)発明者 舘 和久 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 4F100 AK01C AK03A AK03B AK03C AK03J AK04A AK04B AK07B AK12B AK64B AK69A AL03B AL05A AL05B AL07C AL09B BA02 BA03 BA10A BA10B BA15 CB00 EH20 GB32 GB33 GB48 JA11B JA20 JA20A JA20B JA20C JK10 JL01 JL11 JL11C YY00 YY00A YY00B

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン含有量25〜50モル%のエチレ
    ン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及び
    その他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表
    面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50
    重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマ
    ー5〜50重量%からなるベース層(B)とを一体に構
    成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体。
  2. 【請求項2】エチレン含有量25〜50モル%のエチレ
    ン・ビニルアルコール共重合体30〜100重量%及び
    その他のポリオレフィン樹脂0〜70重量%からなる表
    面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂95〜50
    重量%及びポリオレフィン系又はスチレン系エラストマ
    ー5〜50重量%からなるベース層(B)とを接着層
    (C)を介して一体に構成してなる塗装特性に優れた成
    形用樹脂積層体。
  3. 【請求項3】表面層(A)とベース層(B)、必要に応
    じて接着層(C)を共押出法で一体に構成して成る請求
    項1又は2に記載の成形用樹脂積層体。
  4. 【請求項4】積層体の厚さが50〜1000μmである
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形用樹脂積層
    体。
  5. 【請求項5】表面層(A)の厚さが10〜100μmで
    ある請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用樹脂積
    層体。
  6. 【請求項6】ベース層(B)の厚さが100〜900μ
    mである請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形用樹
    脂積層体。
  7. 【請求項7】接着層(C)の厚さが10〜200μmで
    ある請求項2〜4いずれか1項に記載の成形用樹脂積層
    体。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形
    用樹脂積層体を真空成形、圧空成形、真空圧空成形又は
    ブロー成形して成る成形品。
  9. 【請求項9】請求項4〜7のいずれか1項に記載の成形
    用樹脂積層体を、該積層体のベース層(B)が結晶性ポ
    リプロピレン系樹脂と接するようにインサート成形して
    なる成形品。
  10. 【請求項10】インサート成形がブロー成形、射出成
    形、射出圧縮成形、プレス成形、真空成形又は圧空成形
    である請求項9に記載の成形品。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれか1項に記載の
    成形品に含まれる表面層(A)に塗装してなる塗装成型
    品。
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