JP3913961B2 - 成形用樹脂積層体シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂積層体シートに関する。詳しくは本発明はベース層にポリプロピレン系樹脂の優れた特徴である成形性を持つ材料を用い、表面層に特定の物性を有する組成物を用いることによって塗装特性を改良した積層体シートに関する。特にプライマー等の前塗装なしに優れた塗料付着性、接着性、印刷性を示し、更には耐衝撃性を兼ね備えた熱可塑性樹脂積層体シートに関するものである。
本積層体シートは、プレス成形、ブロー成形などによって熱成形し、塗装が必要なバンパー材、スポイラー等の自動車外装部品及び家電製品等の外観部品などに有用である。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂は成形加工性、耐有機溶剤性に優れ、また安価なことから家電製品の外板、自動車の外装、及び内装部品等広く用いられている。特に自動車用外装部品の用途においては、軽量化とコストの両面からポリオレフィン系樹脂の利用はますます広まっている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は分子構造が非極性のため、ほかの物質との親和性が乏しく、塗料付着性、接着性、印刷性が著しく劣っている。
【0003】
これを改善する方法として、極性モノマーをグラフト重合したり、その重合物をブレンドする方法などが知られている(特開平5−39383、特開平7−109437)が、成形時にロールに張り付くなどキャスティングが難しくなる。また成形プロセスの流路内壁面に樹脂がこびり付いて劣化する恐れもあり、目ヤニが出やすく生産性やコストにも問題がある。更に、充分な塗装密着性を保持するためには多量添加が必要となり、ポリオレフィン系樹脂の機械的特性を損なう傾向にある。
逆に、塗装を必要としない方法として、透明層を外層に、中間層に着色層を配したフイルムを別途成形した熱可塑性樹脂成形品に貼り付ける方法(特開平10−250010)も提案されているが、色合わせが困難で、バリエーションが限定され応用範囲が狭い。バリエーションを増やすとコストがかかる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プライマー等の下塗りは、コストの点で不利なのはもちろんのこと、特にプライマー塗布工程では本塗装に比べ多くの溶剤を必要とするため、環境問題に対しても影響が大きい。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂を多層に積層し、各層にそれぞれ必要な機能を持った材料を用いることを特徴とする。即ち、表面層には塗装性に特化した材料を、それ以外には耐衝撃性、成形性等に有効な材料を組み合わせて用いることによって、プライマー等の下塗り無しでも著しい塗装密着性をもち、優れた耐衝撃性と成形性をもった熱可塑性樹脂積層体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は表面層(A)とベース層(B)とから成る。先ず表面層(A)について説明する。表面層(A)は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体から成る。好ましいエチレン含有量は27〜45モル%である。これは、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を80%以上、好ましくは95%以上ケン化することにより製造することができる。即ち、本発明で使用されるエチレン・ビニルアルコール共重合体には少量の酢酸エステル基が残存していてもよい。
【0006】
表面層(A)はエチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体のみでもよいが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等で希釈することができる。エチレンとの共重合に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等炭素数3〜18のものを挙げることができる。これらコモノマーは1種類に限られず、2種類以上用いて多元系共重合体、例えばターポリマーとしてもよい。
【0007】
更に表面層(A)には無機系充填材、ゴム等を添加することも可能である。また、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤等を配合することができる。また、表面層(A)には、その接着性を改善するために後記する接着層(C)を構成する重合体をブレンドすることができる。
これら希釈剤やその他の添加剤は、表面層(A)全体の0〜50重量%の範囲で使用することができる。50重量%を超えるとエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する特性を充分発揮することができない。
【0008】
一方、ベース層(B)として用いられる結晶性ポリプロピレン系樹脂とは、結晶化度(II又は立体規則性)が90%以上、好ましくは95%以上のプロピレンを主体とするポリマーである。具体的には結晶性ポリプロピレンホモポリマー、結晶性エチレンプロピレンブロック共重合体が用いられる。ベース層(B)にも、表面層(A)と同様に、無機系充填材、ゴム等を添加することができる。また、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤等を配合することができる。また、ベース層(B)には、その接着性を改善するために後記する接着層(C)を構成する重合体をブレンドすることができる。
【0009】
表面層(A)とベース層(B)は共にオレフィン系樹脂であるから積層物としたときの接着性はあるが、両層の親和性を高め更に接着強度を改善する目的で、両層の間に独立した第3層として接着層(C)を設けることが好ましい。接着層(C)を構成する重合体を表面層(A)及び/またはベース層(B)にブレンドして両層間の接着性を向上させた場合は、独立した接着層(C)を省略することができる。
接着層を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂に、極性モノマーをグラフトさせた変性オレフィン・グラフト共重合体を用いることができる。また、末端OH基を有する1,2−ポリブタジエンを水素添加することにより得られるOH基変性ポリプロピレンを接着性ポリマーとして使用することもできる。
【0010】
かかる極性モノマーとしては、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、グリセロールモノまたはジアクリレート、グリセロールモノまたはジメタクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはジアクリレート、トリメチロールプロパンモノまたはジメタクリレート、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、オルト、メタ、およびパラヒドロキシメチルスチレン等またはこれらの混合物をあげることができる。
【0011】
変性オレフィン・グラフト共重合体は、ポリオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、極性モノマーと共に熱処理することにより得られる。具体的にはポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および極性モノマーをヘンシェルミキサー等で予め混合した後、2軸押出機、単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱混練することにより調製することができる。混練時の温度は用いる樹脂、有機過酸化物の種類によって異なるが、一般的には100〜300℃の間である。
【0012】
有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用できる。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂積層体は、表面層(A)とベース層(B)とを積層してなるものであり、前記各成分を、必要に応じドライブレンドし、直接シート製造装置に供給しシートに成形することができる。場合によっては、表面層(A)とベース層(B)との間に接着層(C)を設けた3層構造の積層体とすることができ、これは本発明の好ましい態様である。図1は、3層構造の積層体シートを示す。表面層(A)の厚さは、50〜400μm、好ましくは80〜300μm、ベース層(B)は成形品の目的・用途に応じて特に制限的ではないが、通常500〜5000μmの範囲から選択される。また、接着層(C)は、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmである
【0014】
表面層(A)、ベース層(B)及び、場合によっては、接着層(C)を構成する各樹脂原料を、シート製造装置に供給する前に、あらかじめ押出機、バンバリーミキサー、ニーダールーダー等を用いて前記各成分を溶融混練物とし、あるいは溶融混練物をさらに適当な大きさの粒状に固化形成して、これらを成型装置に供給してもよい。すなわち、最終的に得られる成型物において、各成分の配合量、層構成が前記の範囲内であって、さらに実用上問題ない混合状態であれば、ポリオレフィン系樹脂組成物を構成する各成分の配合方法や工程はいかなるものであってもよい。
【0015】
本発明におけるシートの製造は、公知の任意の成形方法に従うことができる。例えば、まず連続的にシートを製造する方法としては、溶融状態の樹脂材料を平板状に押し出し、これを表面が平滑な回転する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法、一旦表面の平滑性にかまわず平板状に固化させたものを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さらに溶融状態の樹脂材料を円筒状に押し出し周囲から水流や気流によって冷却固化する方法等が挙げられる。
【0016】
また、非連続的に製造する方法としては、一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でないシートを、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に供給し板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙げられる。
以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベルトで連続的に成形する方法が好ましく、特に片面もしくは両面からスチールベルトで押さえ込む方法が好ましい。
【0017】
上記の積層体シートを製造する方法を別の観点から分類すると、樹脂原料を溶融状態でシート状に押出すと同時に積層し、その後に冷却固化して多層シートとする共押出法、一旦シート状にしたもの同士を溶融樹脂や接着剤等によって張り合わせるラミネーション法、一方のシートに他方を溶融状態で積層した後に直ちに冷却固化し積層シートを得る熱ラミネーション法もしくは押出コーティング法等が挙げられる。
【0018】
本発明の成形用樹脂積層体シートは、各種の熱成形法により所望形状の成形品に加工される。成形法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、片板熱成形法等を用いることができる。かくして成形された成形品は、その表面層(A)が特定の樹脂から構成されているので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗布を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成形加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0019】
塗料の塗布方法としては、スプレーによる吹き付け塗装、刷毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、いずれの方法も使用可能である。使用できる塗料としては、一般に使用されている塗料、例えば、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、メラミン系塗料、アルキド系塗料等が使用できる。いずれの塗料を用いてもベース層(B)のみからなる成形品に比べて塗膜の剥離強度に優れており、工業的有用性は大きい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における評価は以下の方法によって行った。
【0021】
■.塗膜物性の評価
(1)碁盤目剥離試験
塗装を行った試験片にカッターで、縦・横2mm間隔に11列ずつ傷を付け、2mm角の正方形100個分の部分を作成した。その後、正方形100個分の部分の全てを覆うように、幅24mmの粘着テープ(日東化学社製ニットーセロテープ)を貼り付け、更にテープを押圧して塗膜との密着を図った。次いで、テープを手前45度の方向に強く引きはがし、試験片上に残存した塗膜部分の数を測定した。残存数「100」は塗膜部分100個すべてが試験片に残り、塗膜の接着性に優れることを示す。
【0022】
(2)塗膜剥離強度(ピール強度)試験
試験片の上半分に塗料が付着しないよう、スプレー式金型剥離材を吹き付け、その上から塗装を行った試験片に1センチ巾で上下方向に素地にまで切り傷をつけた。金型剥離材を吹き付けて塗膜が付着していない側を手ではがし、塗膜と試験片の端を100kgfのロードセルを装着した引っ張り試験機(島津製作所、オートグラフAG1000A)のチャックに取り付け、180度方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの最大負荷(単位gf)を記録した。試験片から塗膜が剥離する前に塗膜自身が切断する場合は、最大負荷は数値で表現できないので「ND」としたが、引っ張り試験機の能力からみて、ピール強度は「1000gf以上」となる。
【0023】
■.積層シートの成形
(1) 成形装置:
ポリッシング3本ロール式シート成形機を用いた。装置の基本構成は、単軸押出機(40φ・L/D=28・2台使用)/フィードブロック/コートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取り機/巻き取り機である。
【0024】
(2) 成形条件:
a.原料調整:
表面層(A)、ベース層(B)及び接着層(C)の原料となる各樹脂チップに、標準的な処方に従い酸化防止剤、中和剤をドライブレンドによって混合し、これをシート成形機の押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶融混練しながら共押出成形し、3層構造の積層体シートを製造した。
【0025】
b.押出温度の設定:
押出機は最上流を190℃とし、徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230℃とした。
c.ダイリップの開度: 2.0mmとした。
d.エアギャップ:
ダイリップ先端からロールまでの距離は150mmとした。
【0026】
e.引取機:
溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロール内部は、一定温度のオイルの循環によって冷却される構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃とした。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は2.0mmとし、厚さ2.00mmのシートを得た。f.引き取り速度: 0.5m/分
【0027】
■.塗装方法
(1) 塗料;
本実施例で用いた塗料は一般的に自動車メーカー等で用いられている塗料である。メラミン系塗料は日本ビーケミカル社製(主剤R−320、溶剤T−630TMを100:40で混合したもの)、ウレタン系塗料は日本油脂社製(プライマックス4000,主剤T−301、硬化剤PB)を使用した。
【0028】
(2)塗装方法:
試験片の表面をイソプロピルアルコールで脱脂し、剥離強度の測定のためスプレー式金型剥離材を試験片上半分に吹き付け、エアスプレーガンを用いて、塗膜厚さが約50μmになるようにスプレー塗装を行い、約10分間自然乾燥させた後、塗膜厚さが全体で約100μmになるよう更に2回目の塗装を行った。その後、約10分間自然乾燥させ、メラミン系の塗料では120℃、ウレタン系の塗料では90℃で、窒素ガスの還流下40分間焼き付け乾燥を行った。
【0029】
[実施例1]
表面層(A)に、エチレン含有量32モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(クラレ社製エバールEP−J102。メルトフローレート2.0g/10分、密度1.17g/cm3、融点183℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。 得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜を目視したところ波打ち、鮫肌など観察されず、その表面性はすこぶる良好であった。
結果の概要を他の実施例と共に表1に示した。
【0030】
[実施例2]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製ソアノールAT4403。メルトフローレート3.5g/10分、密度1.14g/cm3、融点164℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。 得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜を目視したところ波打ち、鮫肌など観察されず、その表面性はすこぶる良好であった。
【0031】
[実施例3]
表面層(A)に、エチレン含有量29モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製ソアノールDT2903。メルトフローレート3.2g/10分、密度1.21g/cm3、融点188℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。 得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜を目視したところ波打ち、鮫肌など観察されず、その表面性はすこぶる良好であった。
【0032】
[実施例4]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製ソアノールAT4403。メルトフローレート3.5g/10分、密度1.14g/cm3、融点164℃)70重量%と、ホモポリプロピレン(日本ポリケム社製ノバテックPP EA7A。メルトフローレート1.4g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)30重量%の配合物、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜を目視したところ波打ち、鮫肌など観察されず、その表面性はすこぶる良好であった。
【0033】
[実施例5]
実施例2で得られた3層積層体シートを真空成形法により図2に鉢形容器に成形した。成形条件は、エチレン・ビニルアルコール共重合体の表面層が接触する上金型とベース層が接触する下金型とも400℃とし、余熱40秒、成形5秒(金型接触時間)とした。成形性は良好であった。得られた鉢形容器成形体の表面側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜の表面性は良好であった。
【0034】
[実施例6]
表面層(A)に、エチレン含有量32モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(クラレ社製エバールEP−J102。メルトフローレート2.0g/10分、密度1.17g/cm3、融点183℃)、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にOH変性PP(三菱化学社製ポリテールH)を、結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9)で10倍希釈したものを、共押出法でシート成形した。
得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では両塗料とも100個残存した。また、剥離強度試験では塗膜が基材から剥離する以前に塗膜が切れてしまうという、良好な塗装密着性が得られた。塗膜を目視したところ波打ち、鮫肌など観察されず、その表面性はすこぶる良好であった。
【0035】
[比較例1]
表面層(A)に、エチレン含有量44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成社製ソアノールAT4403。メルトフローレート3.5g/10分、密度1.14g/cm3、融点164℃)30重量%と、ホモポリプロピレン(日本ポリケム社製ノバテックPP EA7A。メルトフローレート1.4g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)70重量%の配合物、ベース層(B)に結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(日本ポリケム社製ノバテックPP EC9。メルトフローレート0.5g/10分、密度0.90〜0.91g/cm3)、接着層(C)にマレイン酸・オレフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−513V)を、共押出法でシート成形した。得られた3層積層体は、図1に示すような、表面層(A)が200μm、ベース層(B)が1750μm、接着層(C)が50μm、全体の厚さが2mmの3層シート構造である。3層積層体の表面層(A)側を、ウレタン系塗料及びメラミン系塗料でそれぞれ塗装を行った。
碁盤目剥離試験では、ウレタン塗装及びメラミン塗装とも残存個数は0個であった。また、剥離強度試験では、ウレタン塗装が176gf、メラミン塗装が87gfであり、塗膜物性は不良であった。結果の概要を他の比較例と共に表2に示した。
【0036】
[比較例2]
実施例1において、表面層(A)及び接着層(C)を省略しベース層(B)のみをシート化して、同様にウレタン系及びメラミン系の塗装をそれぞれ行った。碁盤目剥離試験では、ウレタン塗装及びメラミン塗装とも残存個数は0個であった。また、剥離強度試験では、ウレタン塗装が52gf、メラミン塗装が27gfであり、塗膜物性は不良であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂積層体シートの断面図の一例を示す図である。
【図2】樹脂積層体シートを熱成形した成形品の一例を示す図である。
【符号の説明】
Aは表面層、Bはベース層、Cは接着層を示す。
【0040】
【発明の効果】
本発明により、結晶性ポリプロピレン系樹脂をベース層とした多層積層体シートが得られる。該積層体シートは優れた耐衝撃性と成形性とを有し、得られた成形体は表面層の特殊加工によりプライマー等の下塗り無しでも著しく良好な塗装密着性を有する。バンパー材、スポイラー等の自動車外装部品及び家電製品等の外観部品などに有用である。
Claims (11)
- エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体から成る表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層(B)とを一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シートであって、該表面層(A)の厚さが50〜400μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体シート。
- エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体から成る表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層(B)とを接着層(C)を介して一体に構成してなる塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シートであって、該表面層(A)の厚さが50〜400μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体シート。
- エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体から成る表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層(B)とを共押出法で一体に構成して成る塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シートであって、該表面層(A)の厚さが50〜400μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体シート。
- エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体から成る表面層(A)と、結晶性ポリプロピレン系樹脂から成るベース層(B)と、接着層(C)とを共押出法で一体に構成して成る塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シートであって、該表面層(A)の厚さが50〜400μmであることを特徴とする成形用樹脂積層体シート。
- 表面層(A)が エチレン含有量25〜50モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体50〜100重量%と他のポリオレフィン系樹脂50〜0重量%から成る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- 表面層(A)が エチレン含有量27〜45モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- ベース層(B)が結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- 接着層(C)が不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンである請求項2、4、5、6又は7のいずれか1項に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- ベース層(B)の厚さが500〜5000μmである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- 接着層(C)の厚さが10〜200μmである請求項2又は4に記載の塗装特性に優れた成形用樹脂積層体シート。
- 上記請求項1〜10に記載の成形用樹脂積層体シートを熱成形し、かつ表面層(A)に塗装して成る熱可塑性樹脂成形体。
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