JP2003237003A - 積層体及びそれからなる成形品 - Google Patents

積層体及びそれからなる成形品

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JP2003237003A
JP2003237003A JP2002039346A JP2002039346A JP2003237003A JP 2003237003 A JP2003237003 A JP 2003237003A JP 2002039346 A JP2002039346 A JP 2002039346A JP 2002039346 A JP2002039346 A JP 2002039346A JP 2003237003 A JP2003237003 A JP 2003237003A
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Motonori Konno
元紀 金野
Ko Yamaguchi
耕 山口
Takuya Kurio
卓也 栗生
Kazuhisa Tate
和久 舘
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Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】炭素原子100個当たりの極性基数が0.
1〜50個である変性ポリオレフィン30〜100重量
%と、要すればその他のポリオレフィン0〜70重量%
とからなる表面層(I)と、ポリオレフィン40〜95
重量%と導電性フィラー5〜60重量%、要すれば更に
ポリオレフィン系エラストマー0〜55重量%を含有す
る導電層(II)からなる積層体であって、該積層体の表
面固有抵抗が1.0×1010Ω/cm2以下であること
を特徴とする前記積層体。 【効果】本発明の積層体は、静電プライマーレス塗装が
可能である。この積層体は熱成形、若しくはブロー、イ
ンジェクション成形に貼合してインサート成形すること
により家電製品の外板、自動車の外装、及び内装部品等
広く応用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電プライマーレス
塗装が可能な積層体、及びその成形品、塗装品に関す
る。詳しくは基材層の片面にプライマーレス塗装が可能
な表面層、接着層、静電塗装性を付与する導電層とを順
次積層してなる、静電プライマーレス塗装が可能な積層
体、およびその成形品、塗装品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂は成形加工性、耐
有機溶剤性に優れ、また安価なことから家電製品の外
板、自動車の外装、及び内装部品等広く用いられてい
る。特に自動車用外装部品の用途においては、軽量化と
コストの両面からポリオレフィン系樹脂の利用はますま
す広まっている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は分子
構造が非極性のため、ほかの物質との親和性が乏しく、
塗料付着性、接着性、印刷性が著しく劣っている。その
ため、現在ではプライマー(下塗り)塗装を行い、その
上に塗装することにより、塗料との密着性を確保してい
るが、近年の環境問題に対する取り組みから、溶剤を大
量に使うプライマー工程を省く、すなわち、プライマー
レス塗装が可能な部品の開発に大きな関心が集められて
いる。
【0003】このプライマーレス化を達成する方法とし
て、極性モノマーをグラフト重合したり、その重合物を
ブレンドする方法などが知られている(特開平5−39
383、特開平7−118262、特開平7−1094
37)が、成形時にロールに張り付くなどキャスティン
グが難しくなる。また成形プロセスの流路内壁面に樹脂
がこびり付いて劣化する恐れもあり、目ヤニが出やすく
生産性やコストにも問題がある。更に、充分な塗装密着
性を保持するためには多量添加が必要となり、ポリオレ
フィン系樹脂の機械的特性を損なう傾向にある。
【0004】逆に、塗装を必要としない方法として、透
明層を外層に、中間層に着色層を配したフイルムを別途
成形した熱可塑性樹脂成形品に貼り付ける方法(特開平
10−250010)も提案されているが、貼合時の延
展性が不満足であり,さらに色合わせが困難で、バリエ
ーションが限定され応用範囲が狭い。バリエーションを
増やすとコストがかかる。一方、特に自動車の分野にお
いて、ボディー等の金属部品は当然のこと、プラスチッ
ク部品に関しても、帯電によるごみ付着、塗装欠陥の除
去、塗料と基材の接着性の改良、更には大量生産やコス
トアップの点から、静電塗装方が採用されている。その
ためにプラスチック表面に導電性を付与することが必要
で、プライマーを使用する方法においては、導電性フィ
ラー等を分散した導電性プライマーが塗布されている。
【0005】さらに近年、塗装時の溶剤の少量化、工程
の簡素化などの要求により、金属性ボディーとプラスチ
ック部品との同時塗装化が検討されているが、その際の
必要要求性能として、プラスチック部品のプライマーレ
ス化、静電塗装対応化を同時に満足させる必要がある。
プライマーレス化を満たすには極性ポリマーを部品全体
に大量に練りこむ必要があり、一方、静電塗装対応化を
満たすには導電性フィラーを大量に混ぜ込む必要があ
り、これを同時に満たそうとすると、部品全体が成形で
きない、物性が維持できないという大きな壁にあたり、
その解決は容易ではないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる欠点
を解決するものであり、プライマーレス化、静電塗装対
応化を同時に満足させた、積層体、およびその成形品、
塗装品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、基材層の片面に
プライマーレス塗装が可能な表面層、接着層、静電塗装
性を付与する導電層、基材層とを順次積層してなる積層
体を熱成形、若しくはブロー、インジェクション成形に
貼合することにより、結果として得られた成形品は、プ
ライマーレス化、静電塗装対応化を同時に満足するとい
う、優れた性能を有することを見いだし本発明に到った
ものである。
【0008】すなわち、本発明の積層体は、炭素原子1
00個当たりの極性基数が0.1〜50個である変性ポ
リオレフィン30〜100重量%と、要すればその他の
ポリオレフィン0〜70重量%とからなる表面層(I)
と、ポリオレフィン40〜95重量%と導電性フィラー
5〜60重量%、要すれば更にポリオレフィン系エラス
トマー0〜55重量%を含有する導電層(II)からなる
積層体であって、該積層体の表面固有抵抗が1.0×1
10Ω/cm2以下であることを特徴とする前記積層体
に存する。更に、該積層体の表面層(I)が金型面に対
向するように設置し、結晶性ポリプロピレン系樹脂を用
いてインサート成形してなる成形品に存する。更に、該
積層体を熱成形した成形品を、ブロー、インジェクショ
ン成形に貼合してインサート成形することにより、プラ
イマーレス化、静電塗装対応化を同時に満足する成形
品、及びその塗装品に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】1.表面層 表面層(I)は、炭素原子100個当たりの極性基数が
0.1〜50個である変性ポリオレフィン30〜100
重量%、その他のポリオレフィン0〜70重量%から成
る。ここで、炭素原子100個当たりの極性基数とは、
ポリマー主鎖を構成する炭素原子100個当たりの極性
基をさす。極性基の数は、エチレン・ビニルアルコール
共重合体などの変性共重合体では、極性モノマーの使用
量と比例関係にあり、また、極性基グラフトポリマーで
はグラフト量と比例関係にある。炭素原子100個(1
00カーボン)当たりの極性基数が0.1〜50個であ
る変性ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(クラレ社製エバール、日本合
成社製ソアノールなど)、マレイン酸変成ポリプロピレ
ン(三洋化成社製ユーメックなど)、水酸基変性水添ポ
リブタジエン樹脂(三菱化学社製ポリテールなど)、エ
チレンー酢酸ビニル共重合体、極性モノマーをグラフト
したポリプロピレン、極性モノマーをグラフトしたポリ
エチレンなどがあげられる。
【0010】ここで言う極性基とは、例えば水酸基-O
H、カルボキシル基-COOH、アミノ基=NH2、アルデヒド基
-CHO、エステル基-COORなどがあげられるが、好ましく
は水酸基、カルボキシル基及びエステル基である.10
0カーボン当たりの極性基数が0.1個未満では塗膜と
の密着性が弱くなり、逆に100カーボン当たりの極性
基数が50個を超えると、押出時、付型時の熱劣化が促
進されと巻く密着性、強度などが悪くなる。
【0011】上記のうち、エチレン・ビニルアルコール
共重合体が押出適性に優れ、熱劣化に強く、変性度が上
げられるので塗膜との密着性も優れ、最も好ましい。エ
チレン・ビニルアルコール共重合体に関して、好ましい
変性度は27〜45モル%である。これは、エチレン含
有量25〜50モル%のエチレン・酢酸ビニル共重合体
を80%以上、好ましくは90%以上ケン化することに
より製造することができる。即ち、本発明で使用される
エチレン・ビニルアルコール共重合体には少量の酢酸エ
ステル基が残存していてもよい。ケン化度がそれ未満で
あると塗膜との水素結合能が不足し、塗料との密着性が
悪く、あまり好ましくない。
【0012】表面層(I)の表面硬度,耐衝撃性、成形
性等を更に改良するためにその他のポリオレフィンを0
〜70重量%の範囲で添加しても良い.ここで言うポリ
オレフィンとは、ポリプロピレンホモポリマー、エチレ
ンプロピレンブロック共重合体、エチレン―ポリプロピ
レンランダムコポリマー、ポリエチレン、エチレン・α
―オレフィン共重合体、プロピレン・α―オレフィン共
重合体等である.α−オレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4
−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン
−1等炭素数3〜18のものを挙げることができる。こ
れらコモノマーは1種類に限られず、2種類以上用いて
多元系共重合体、例えばターポリマーとしてもよい。
【0013】また、特にブローないしインジェクション
等での貼合成形時の延展性をより良好なものとするに
は、ポリオレフィン系エラストマー等、延展性の良い材
料を0〜70重量%の範囲、好ましくは20〜40%添
加する方がよい.ここでポリオレフィン系エラストマー
とは代表的なものとしてメタロセン系ポリエチレンエラ
ストマー、同ポリプロピレン系エラストマー、スチレン
―ブタジエン―スチレンブロックコポリマー,エチレン
―プロピレンラバー,スチレン―エチレン―ブチレン―
スチレンブロックコポリマーなどが挙げられる。更に表
面層(I)には無機系充填材等を添加することも可能で
ある。また、一般的にポリオレフィンに用いられる補助
添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光
安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ
剤、核剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤等を
配合することができる。これら希釈剤やその他の添加剤
は、表面層(I)全体の0〜20重量%の範囲で使用す
ることができる。20重量%を超えると変性ポリオレフ
ィンが有する特性を充分発揮することが難しく、また貼
合時の延展性にも不利である。
【0014】2.接着層 表面層(I)と導電層(II)は共にオレフィン系樹脂で
あるから積層体としたときの接着性は良好であるが、両
層の親和性を高め更に接着強度を改善する目的で、両層
の間に、該表面層(I)とは異なる第3層として接着層
(I´)を設けることができる。表面層(I)としてエ
チレン・ビニルアルコール共重合体を使用した場合、接
着層(I´)を構成する樹脂としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン・α―オレフィン共重合体等
のオレフィン系樹脂に、極性モノマーをグラフトさせた
変性オレフィン・グラフト共重合体を用いることができ
る。
【0015】かかる極性モノマーとしては、無水マレイ
ン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルア
クリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロ
キシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタク
リレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、
ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロ
ピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレング
リコールモノメタクリレート、グリセロールモノまたは
ジアクリレート、グリセロールモノまたはジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパンモノまたはジアクリレー
ト、トリメチロールプロパンモノまたはジメタクリレー
ト、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモ
ノアリルエーテル、オルト、メタ、およびパラヒドロキ
シメチルスチレン等またはこれらの混合物をあげること
ができる。
【0016】変性オレフィン・グラフト共重合体は、ポ
リオレフィン系樹脂を有機過酸化物の存在下、極性モノ
マーと共に熱処理することにより得られる。具体的には
ポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および極性モノマ
ーをヘンシェルミキサー等で予め混合した後、2軸押出
機、単軸押出機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱
混練することにより調製することができる。混練時の温
度は用いる樹脂、有機過酸化物の種類によって異なる
が、一般的には100〜300℃の間である。
【0017】有機過酸化物としてはジベンゾイルパーオ
キサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサ
ン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−
ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
t−ブチルパーオキシベンゾエート等が使用できる。
【0018】表面層(I)として、マレイン酸変性ポリ
プロピレンなど極性基がグラフトされたポリマーを使用
する場合は、表面層のグラフト率を上回る接着性に優れ
た変性オレフィン・グラフト共重合体を接着層(I′)
に用いることが好ましい。
【0019】3.導電層 導電層(II)を構成する組成物はポリオレフィンと導電
性フィラーを含む。ポリオレフィンは、何ら制限される
ことなく使用することができる。例えば、前記表面層
(I)の組成物に任意的に添加される「その他のポリオ
レフィン」や接着層を構成する変性前のポリオレフィン
等と同様のポリオレフィンが使用できる。このように同
種の材料を使用する態様は、使用済み製品のリサイクル
性の観点からも好ましい。導電性フィラーとしては、カ
ーボンブラック、アルミニウム、銅、銀、鉄等の金属粉
などが用いられるが、特にカーボンブラックなど炭素製
品が好ましい。具体的には、ファーネスブラック、チャ
ンネルブラック、アセチレンブラック、カーボンファイ
バー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。単一成分
であっても二種以上の混合物であっても良い。導電性カ
ーボンは、特に制限は無いが、中でも平均粒径が50μ
m以下のもの、もしくはアスペクト比が30以上のもの
が樹脂への添加量が少量で良好な導電性が得られるので
好ましい。好ましい導電性カーボンとしては例えばS.
C.F.(Super Conductive Fur
nace)、E.C.F.(Electric Con
ductive Furnace)、ケッチェンブラッ
ク(ライオン−AKZO社製商品名)及びアセチレンブ
ラックなどの市販品がある。
【0020】ポリオレフィンと導電性フィラーとの配合
割合は、ポリオレフィン40〜95重量%、好ましくは
55〜85重量%、より好ましくは60〜80重量%、
導電性フィラー5〜60重量%、好ましくは15〜45
重量%、より好ましくは20〜40重量%である。導電
性フィラーの配合割合が5重量%未満では満足な表面固
有抵抗値が得られず、また配合量が60重量%を越える
と分散が不均一となり機械強度等が低下し、また押出加
工が困難になる。
【0021】また、特にブロー乃至インジェクション等
でのインサート成形時の延展性をより良好なものとする
には、表面層(I)と同様、導電層(II)の組成物中にポ
リオレフィン系エラストマー等、延展性の良い材料を0
〜55重量%の範囲、好ましくは20〜40重量%添加
する方がよい.導電層(II)はその表面固有抵抗が1.
0×108Ω/cm2以下、特に1.0×106Ω/cm2
以下であることが好ましい。1.0×108Ω/cm2
越えると全体としての表面抵抗が低下する。このような
導電層(II)が存在することにより積層体の表面層(I)
側の表面固有抵抗は1.0×1010Ω/cm2以下に保
持されることになる。
【0022】4.基材層 上述した通り、本発明の積層体は表面層(I)と導電層
(II)とから、又は、表面層(I)と接着層(I′)と導
電層(II)とからなるものであるが、好ましくは、導電層
(II)側に基材層(III)を設けることができる。基材層
(III)を構成する組成物はポリオレフィン系樹脂を主
成分とする。ポリオレフィン系樹脂は、導電層(II)と同
様に何ら制限されることなく使用することができる。特
に、ブロー乃至インジェクション等でのインサート成形
にて使用する場合、PP−メタロセンポリエチレン、プ
ロピレン―エチレンランダムコポリマー等、低温で延展
性のある材料を用いることが好ましい。
【0023】5.各層を構成する樹脂組成物の製造 本発明を構成する積層体のすべての層に対して、必要に
応じて基本的性質を損なわない範囲で各種の添加剤、例
えば可塑剤、酸化防止剤、安定剤、染顔料、滑剤、核
剤、紫外線吸収剤、充填剤、剛性を付与する無機フィラ
ー、及び柔軟性を付与するエラストマー等も添加するこ
とができる。樹脂組成物は、各樹脂原料を、混合或い
は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等
を用いて溶融混練し、あるいは溶融混練物をさらに適当
な大きさの粒状に固化形成して、製造される。すなわ
ち、最終的に得られる成形物において、各成分の配合
量、層構成が前記の範囲内であって、さらに実用上問題
ない混合状態であれば、熱可塑性樹脂組成物を構成する
各成分の配合方法や工程はいかなるものであってもよ
い。
【0024】6.積層体の構造 本発明の積層体は、表面層、接着層、導電層、基材層と
を順次積層してなるものであり、層構成としては、
(1)表面層(I)/導電層(II)、(2)表面層
(I)/接着層(I′)/導電層(II)、(3)表面層
(I)/導電層(II)/基材層(III)、(4)表面層
(I)/接着層(I′)/導電層(II)/基材層(II
I)、(5)表面層(I)/接着層(I′)/導電層(I
I)/基材層(III)/導電層(II)/接着層(I′)/
表面層(I)などが例示できる。図1はこれらを図示す
るものである。全体の厚さは最終成形品の用途に応じて
基材層の厚さで調整すれば良く、最大幅で2μm〜10
0mm程度、通常0.01〜10mm程度である。しか
し、ブロー乃至インジェクション等での貼合成形用に供
する場合には、特には延展性が必要なことから全体の厚
さは、好ましくは50〜1000μm、特に好ましくは
200〜500μmの範囲から選択される。である。
【0025】各層の厚さは、表面層(I)の厚さは、
0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より
好ましくは1〜5μmである。表面層の厚さが0.1μ
m未満であると厚さのコントロールが困難であり,安定
した導電性が発現しない、20μmを越えると導電不良
をおこす原因となる。接着層(I´)の厚さは、0.1
〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好まし
くは1〜5μmである。接着層の厚さが0.1μm未満
であると厚さのコントロールが困難であり、20μmを
越えても特段のメリットはない。
【0026】導電層(II)の厚さは特に制限的ではない
が、薄いと成形品の安定した導電性が発現しない場合が
あり、また厚すぎるとコストアップの原因となり、成形
不良を起こす場合もあるので、通常1〜200μm、好
ましくは5〜100μmの範囲から選択される。基材層
(III)は成形品の目的・用途に応じて特に制限的では
ない。また、基材層は用途によっては単層に限らず多層
にすることも可能である。よって、通常は0.1〜10
0mmの広い範囲から、好ましくは0.2〜50mmの
範囲から選択される。
【0027】本発明において、積層体の表面固有抵抗は
1.0×1010Ω/cm2以下であり、好ましくは1.
0×103〜1.0×108Ω/cm2である。表面固有
抵抗が1.0×1010Ω/cm2を越えると十分な静電
塗装性能が得られない。本発明においては導電性フィラ
ーを含有する導電層(II)を表面層(I)が覆うので、
プライマーレス塗装が可能となる。さらに驚くべきこと
に、最表面が非導電層であるにもかかわらず、その表面
固有抵抗は導電層(II)のそれに近似した値を有し、プラ
イマーレス化、静電塗装対応化を同時に満足する。
【0028】7.積層体の製造 本発明における積層体の製造は、公知の製造方法に従う
ことができる。樹脂原料をフィードブロック、マルチマ
ニホールドダイ等を使用し溶融状態でシート状に押出す
と同時に積層しその後に冷却固化して積層体とする共押
出法、フィルム乃至シート状に成形したもの同士を溶融
樹脂や接着剤等によって張り合わせるラミネーション
法、一方のシートに他方を溶融状態で積層した後に直ち
に冷却固化し積層シートを得る熱ラミネーシヨン法もし
くは押出コーティング法等が挙げられる。
【0029】これらのうち薄い表面層を積層しやすいと
いう観点で共押出法か好ましい。積層体の表面平滑性を
向上するために、冷却固化過程においては、フィルム乃
至シート状に押し出された溶融樹脂を表面が平滑な回転
する一対のロールで挟み込みながら連続的に冷却固化と
表面への平滑性賦与を行う方法、ロールの代わりに表面
が平滑なベルトを1つあるいは2つ用いる方法が採用で
き、一旦表面の平滑性にかまわず平板状に固化させたも
のを再度加熱した上で表面が平滑なロールやベルトを押
し当て、最終的に表面が平滑なシートを得る方法、さら
に溶融状態の樹脂材料を円筒状に押出し周囲から水流や
気流によって冷却固化する方法等が採用できる。
【0030】また、非連続的に製造する方法としては、
一旦何らかの方法で平板状にした表面が平滑でないシー
トを、表面が平滑な一対の板の間に置き熱を加えながら
板同士を押しつけることによって表面を平滑にする方
法、溶融状態の樹脂原料を表面が平滑な一対の板の間に
供給し板で圧力を加えながら冷却固化させる方法等が挙
げられる。以上に述べた製造方法のうち、品質の安定性
や生産性の面からは、表面が平滑なロールやスチールベ
ルトで連続的に成形する方法が好ましく、特に片面もし
くは両面からスチールベルトで押さえ込む方法が好まし
い。
【0031】8.熱成形品 本発明の成形用樹脂積層体は、各種の熱成形法により所
望形状の成形品に加工される。成形法としては、真空成
形、圧空成形、プラグアシスト成形、片板熱成形法等を
用いることができる。具体的には、所定温度に加熱した
積層体を成形金型を用いて、目的とする製品形状に加工
される。積層体の加熱温度(成形温度)としては、材料
によって異なるが、主にポリプロピレンを用いた場合、
100〜190℃、好ましくは110〜140℃が選択
される。金型温度は、通常20〜100℃の範囲で、シ
ート温度より50〜150℃低い温度に保持される。シ
ートの加熱温度が上記未満では成形性に劣り、高温過ぎ
ては過剰流動を起こし、いずれも成形品に対して厚み変
動の原因となり好ましくない。その他真空度、圧空の圧
力または成形速度等の各種成形条件は、プラグの形状や
金型形状乃至原料シートの材料、性質等により適当に設
定される。
【0032】9.ブロー成形貼合(ブロー・インサート
成形法) 上記の積層体をブロー成形品に貼合する手段としては、
ブロー成形用樹脂と積層体の基材層(III)に同種のオレ
フィン樹脂を用いて、ブロー成形時にパリソン(PL)
と積層体を熱融着させる方法が好ましい。成形方法とし
ては、シートを予備成形せずに片側の金型接合部の周囲
に設けた枠等にテンションを有する状態で設置し、パリ
ソン射出後低速で型締めし、パリソンからの熱によりシ
ートが軟化し、更にパリソンとシートが完全に熱融着し
た後、型締めを完了し賦形する方法が好ましい。その
他、ブロー成形品の形状に合わせた積層体の真空成形品
を事前に成形しておき、金型にインサート後ブロー成形
する方法があるが、パリソンとシート間にエアが残存す
る可能性があり、又、シートの真空成形工程が増える為
実用的ではない。
【0033】熱融着以外の手段としては、ブロー成形品
の形状に合わせた積層体の真空成形品を接着剤等でブロ
ー成形品に貼合する方法があるが、オレフィン系の信頼
性が高い接着剤が少ない上に、成形品とシートとの間に
エアが残存する可能性があり、又、シートの真空成形工
程と真空品の接着工程が増えるため、この方法も実用的
ではない。本方法で得られた積層体貼合ブロー成形品は
パリソン部から片側が完全に積層体で覆われているが、
両方の金型にシートを設置し、同様な方法で成形すれば
パリソンの切断面以外は全て積層体で覆われた成形品が
取得可能である。又、成形品周囲のバリ部のリサイクル
使用は、廃棄樹脂削減の観点からブロー成形上必須であ
るが、基材層(III)の材料として、ブロー材と同種の比
較的メルトフローレート(MFR)の低い材料を用いれ
ば、ブロー成形性に悪影響を与える可能性も少なく、リ
サイクル使用が可能である。かくして成形された成形品
は、その表面層(I)が特定の樹脂から構成されている
ので、従来の塗装工程では不可欠であったプライマー塗
布を除くことができる。すなわち、上記樹脂積層体を成
形加工した後、直接塗料を塗装できる。
【0034】10.インジェクション成形貼合(インジ
ェクション・インサート成形) 上記の積層体を射出成形品に貼合する手段としては、得
られた積層体は塗装製品の形状によるが、平面状ないし
は緩やかな曲面形状への貼合の場合には基本的にそのま
ま得られた積層体を用いるが、それ以外の3次曲面や微
細凹凸面などの複雑な形状の場合には予め真空成形、圧
空成形、真空圧空成形等の熱成形により予備成形されて
成形品と対応した形状の賦形体としておく方が好まし
い。次に、この積層体ないしは予備成形した賦形体の貼
合は、射出成形用金型のキャビテイ内にこの積層体ない
しは予備成形された賦形体をインサ−トした後、金型を
閉じ、溶融樹脂を射出充填することで上記積層体ないし
は賦形体が貼合された塗装用成型品を得る。この際、金
型内の積層成形体が金型から剥離したり、ずれたりしな
いように固定する必要がある。
【0035】11.成形品の用途 かくして成形された成形品は、その表面層(I)が特定
の樹脂から構成されているので、従来の塗装工程では不
可欠であったプライマー塗布を除くことができる。さら
に導電層(II)により、静電塗装が可能になる。すなわ
ち、上記樹脂積層体を成形加工した後、直接塗料を静電
塗装できる。
【0036】12.塗装方法 塗料の塗布方法としては、スプレーによる吹き付け塗
装、刷毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、いずれ
の方法も使用可能である。使用できる塗料としては、例
えば、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル
系塗料、ウレタン系塗料、メラミン系塗料、アルキド系
塗料等が使用できる。いずれの塗料を用いても基材層
(III)のみからなる成形品に比べて塗膜の剥離強度に
優れており、工業的有用性は大きい。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例及び比較例における評価は以下の方法
によって行った。また、結果は[表1]、[表2]及び
[表3]に示した。
【0038】I.積層体の成形 (1)成形装置:ポリッシング3本ロール式シート成形
機を用いた。装置の基本構成は、単軸押出機(40mm
φ、L/D=28、2台使用)/フィードブロック/コ
ートハンガーダイ/金属ポリッシング3本ロール引き取
り機/巻き取り機である。 (2)成形条件: a.原料調整:基材層、導電層及び表面層の原料となる
各樹脂チップをドライブレンドによって混合し、これを
シート成形機の各押出機に供給し、各成分をそれぞれ溶
融混練しながら共押出成形し、図1の(4)に示すよう
な4層構造の積層体シートを製造した。
【0039】b.押出機:押出機は各層ともスクリュー
径40mm、L/D=25.5の押出機を使用した。 c.押出温度の設定:押出機は最上流を180℃とし、
徐々に設定を上げながら先端を230℃とした。以降、
途中の接続管、フィードブロック、ダイまで全て230
℃とした。 d.ダイリップの開度:0.7mmとした。 e.エアギャップ:ダイリップ先端からロールまでの距
離は150mmとした。 f.引取機:溶融樹脂の冷却固化は、金属ポリッシング
(鏡面)ロール3本縦直列式引き取り機で行った。ロー
ル内部は、一定温度のオイルの循環によって冷却される
構造となっており、この時のオイル温度は全て60℃と
した。なお、ロール直径は、30cm、ロールの隙間は
0.5mmとし、厚さ0.50mmのシートを得た。 g.引き取り速度:1.0m/分
【0040】II.成形品容器の製造 積層体を、間接加熱式圧空成形機(浅野研究所製、コス
ミック成形機)を使用して、圧空圧力5kg/cm2
条件で、縦13cm、横18cm、探さ1cmの容器を
成形した。シートは、シートから20cm離れた位置に
ある上下ヒータを450℃に保持して加熱され、加熱時
間を変化させることにより最良の外観を得られたもので
評価を行った。
【0041】III.ブロー・インサート成形法 成形機としては、ブロー成形機(日本製鋼所製NB30
S)を用いた。150mmのダイス径を用い、ブロー材
は、ポリプロピレン(日本ポリケム社製EC9)を用い
た。金型として、鏡面仕上げでベント孔を片側8個で両
側に16個有した、200×350×700mmの直方
型ガソリンタンク成形型を用いた。金型の片面側結合部
周囲にシート設置用の枠を設け、積層体を張力5kg/
cmで設置した。樹脂温200℃にてパリソンを射出
後、上部及び下部のピンチ板にてピンチを実施し、プリ
ブローしながら、型閉めを開始した。シートとパリソン
が接触し、パリソンからシートへの熱伝達によりシート
に柔軟性と延展性を付与するように低速で時間をかけて
型閉めした。又、シートとパリソンの接触面が金型の有
効面を完全に覆う様にプリブローも調節し、完全に型閉
めが終了した時点で、6kg/cm2の圧力にてブロー
イングを行った。180秒間冷却した後、金型を開き、
製品を取り出した。
【0042】IV.インジェクション・インサート成形 積層体から切り出したタテ100mm×ヨコ102mm
の積層体切片を射出金型(タテ100mm×ヨコ100
mm、0.5mm厚×100mmのサイドフィルムゲ−
ト、フィルムゲ−トより50mmの距離までのキャビテ
ィ厚が3.0mm、50mmから100mmの距離のキ
ャビティ厚が1.0mmの片面段差キャビティ)の段差
側内表面に挿入固定後、金型を閉じて射出成型機(型締
め圧170トン、成形温度210℃)で、プロピレン・
エチレンブロック共重合体(日本ポリケム社製、ノバテ
ックPP「BC4」、MFR6.5g/10分)を射出
注入して、タテ100mm×ヨコ100mmの片面肉厚
段差を有するプレ−ト状の塗装用射出成形品を得た。
【0043】V.成形品の外観評価 成形品の外観は、目視により、下記基準で3段階で評価
した。 ○:エッジ等が性格に金型を再現し、表面のばたつき等
も見られない。 △:表面ばたつき等は見られないが、エッジ等が若干金
型を再現していない。 ×:表面ばたつき等が見られ,エッジ等も金型を再現し
ていない。
【0044】VI.静電塗装性評価 静電塗装可能かどうかの判断は、材料の表面固有抵抗値
が1010Ω/cm2以下であるかどうかで判別が可能で
ある.表面固有抵抗は、ADVANTEC社のUltr
a High Voltage Resistance
MeterR8340を用いた。測定は12センチの
リング電極を用い、電圧500ボルトにおいて測定し、
その際の補正に関し電極係数18.84を用いた。
【0045】VII.塗装方法 (1) 塗料;本実施例で用いた塗料は一般的に自動車
メーカー等で用いられている塗料である。メラミン系塗
料は日本ビーケミカル社製(主剤R−320、溶剤T−
630TMを100:40で混合したもの)、ウレタン
系塗料は日本油脂社製(プライマックス4000,主剤
T−301、硬化剤PB)を使用した。 (2)塗装方法:試験片の表面をイソプロピルアルコー
ルで脱脂し、剥離強度の測定のためスプレー式金型剥離
材を試験片上半分に吹き付け、エアスプレーガンを用い
て、塗膜厚さが約50μmになるようにスプレー塗装を
行い、約10分間自然乾燥させた後、塗膜厚さが全体で
約100μmになるよう更に2回目の塗装を行った。そ
の後、約10分間自然乾燥させ、メラミン系の塗料では
120℃、ウレタン系の塗料では90℃で、窒素ガスの
還流下40分間焼き付け乾燥を行った。
【0046】VIII.塗膜物性(碁盤目剥離試験)の評価 塗装を行った試験片にカッターで、縦・横2mm間隔に
11列ずつ傷を付け、2mm角の正方形100個分の部
分を作成した。その後、正方形100個分の部分の全て
を覆うように、幅24mmの粘着テープ(ニチバン社製
セロテープ)を貼り付け、更にテープを押圧して塗膜と
の密着を図った。次いで、テープを手前45度の方向に
強く引きはがし、試験片上に残存した塗膜部分の数を測
定した。残存数「100」は塗膜部分100個すべてが
試験片に残り、塗膜の接着性に優れることを示す。
【0047】IX.極性基量の測定 残留している未反応の酸類や副生成物を除去するために
該生成物を熱キシレンに溶解し、引き続きアセトン中で
沈澱し、濾過後、乾燥した。この乾燥品を熱プレスによ
り厚さ約0.1mmのフィルムに成型後、赤外吸収スペ
クトルを測定し、1785cm-1の酸無水物基に起因す
る吸収、1710cm-1のカルボキシル基に起因する吸
収、3400cm-1のヒドロキシル基に起因する吸収な
どから100カーボンあたりの極性基量を定量した。
【0048】[実施例1]表面層(I)にエチレン―ビ
ニルアルコール共重合体(表中にはEVOHと略)(日
本合成社製ソアノールAT4403、エチレン含量44
モル%、MFR3.5g/10分、 極性基28個/1
00C)、接着層(I´)にマレイン酸・オレフィング
ラフト共重合物(三菱化学社製モディックP−524
H)、導電層(II)に導電性カーボンMB1(三菱化学
社製ECX−A304NW、MFR0.03g/10
分、表面固有抵抗101Ω/cm2 カーボン含量40重
量%)70重量%、ホモポリプロピレン(日本ポリケム
社製ノバテックPP−EA9、MFR0.5g/10
分)30重量%、基材層(III)に結晶性エチレン・プ
ロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ノバテッ
クPP−EX6、MFR1.8g/10分、密度0.9
0〜0.91g/cm3)100重量%、を共押出法で
シート成形した。得られた積層体は、表面層(I)が
4.0μm、接着層(I´)が4.8μm、導電層(I
I)が40.0μm、基材層(III)が425μmの構成
であった。この積層体の表面固有抵抗は9.2×106Ω
/cm2と、十分静電塗装可能な値であった。ついでウ
レタン系塗料を用いて上記のごとく塗装評価を行ったと
ころ、碁盤目剥離試験では1つも剥離せず、十分な塗装
密着性を示した。
【0049】[実施例2]実施例1の導電層(II)を導
電性カーボンMB2(三菱化学社製ECX−Z501、
MFR1.5g/10分、表面固有抵抗101Ω/c
2、カーボン含量40重量%)70重量%、メタロセ
ン系ポリエチレン(日本ポリケム社製カーネルKF26
1、密度0.898g/cm3、MFR2.2g/10
分)30重量%とした以外は同様にして積層体を製造
し、同様の評価を行った。この積層体の表面固有抵抗は
3.0×106Ω/cm2と、十分静電塗装可能な値であっ
た。ついでウレタン系塗料を用いて上記のごとく塗装評
価を行ったところ、碁盤目剥離試験では1つも剥離せ
ず、十分な塗装密着性を示した。
【0050】[実施例3]表面層(I)の厚みを15μ
mとした以外、実施例1と同様の方法で積層体を製造
し、同様の評価を行った。この積層体の表面固有抵抗は
1.4×108Ω/cm2と、十分静電塗装可能な値であっ
た。ついでウレタン系塗料を用いて上記のごとく塗装評
価を行ったところ、碁盤目剥離試験では1つも剥離せ
ず、十分な塗装密着性を示した。
【0051】[実施例4]実施例1において、塗料をメ
ラミン系とした以外同様の方法で評価を行った。碁盤目
剥離試験では1つも剥離せず、十分な塗装密着性を示し
た。
【0052】[実施例5]表面層(I)にマレイン酸変
性ポリプロピレン(三洋化成社製ユーメックス100
1、酸価26、溶融粘度16000mPa/s、極性基
28個/100C)、接着層(I´)にマレイン酸・オ
レフィングラフト共重合物(三菱化学社製モディックP
−524H)、導電層(II)に導電性カーボンMB1
(三菱化学社製ECX−A304NW、MFR0.03
g/10分、表面固有抵抗101Ω/cm2、カーボン含
量40重量%)70重量%、ホモポリプロピレン(日本
ポリケム社製ノバテックPP−EA9、MFR0.5g
/10分)30重量%、基材層(III)に結晶性エチレ
ン・プロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製ノ
バテックPP−EX6、MFR1.8g/10分、密度
0.90〜0.91g/cm3)100重量%、を共押
出法でシート成形した。得られた積層体は、表面層
(I)が4.0μm、接着層(I´)が4.8μm、導
電層(II)が40.0μm、基材層(III)が425μ
mの構成であった。この積層体の表面固有抵抗は9.2
×106Ω/cm2と、十分静電塗装可能な値であった。つ
いでウレタン系塗料を用いて上記のごとく塗装評価を行
ったところ、碁盤目剥離試験では1つも剥離せず、十分
な塗装密着性を示した。
【0053】[実施例6]実施例4の如く作成した積層
体を、ブロー成形時に金型に貼合し、成型した。得られ
た成形品に関して、外観評価、表面固有抵抗、塗装評価
を行った。成形品の外観は金型をよく再現しており、エ
ッジ等もきちっと出ていた。成形品の表面固有抵抗は
9.9×105Ω/cm2と、静電塗装可能な範囲にあり、
碁盤目剥離試験も1つも剥離せず、良好な塗膜密着性を
示した。
【0054】[実施例7]実施例4の如く作成した積層
体を、インジェクション成形時に金型に貼合し、得られ
た成形品に関して、成形品外観評価、表面固有抵抗、塗
装評価を行った。成形品の外観は金型をよく再現してお
り、エッジ等もきちっと出ていた。成形品の表面固有抵
抗は9.8×105Ω/cm2と、静電塗装可能な範囲にあ
り、碁盤目剥離試験も1つも剥離せず、良好な塗膜密着
性を示した。
【0055】[実施例8]実施例4の如く作成した積層
体を、熱板圧空成形法により食品容器型に成形し、得ら
れた成形品に関して、成形品外観評価、表面固有抵抗、
塗装評価を行った。成形品の外観は金型をよく再現して
おり、エッジ等もきちっと出ていた。成形品の表面固有
抵抗は3.2×105Ω/cm2と、静電塗装可能な範囲に
あり、碁盤目剥離試験も1つも剥離せず、良好な塗膜密
着性を示した。
【0056】[実施例9]実施例1の如く作成した積層
体を、実施例6の如くブロー成形時に金型に貼合し成形
した。得られた成形品に関して、外観評価、表面固有抵
抗、塗装評価を行った。成形品の外観は金型を再現して
おり、エッジ等も出ていた。成形品の表面固有抵抗は
3.0×106Ω/cm2と、静電塗装可能な範囲にあり、
碁盤目剥離試験も1つも剥離せず、良好な塗膜密着性を
示した。
【0057】[比較例1]実施例1において、表面層
(I)の配合をエチレン―ビニルアルコール共重合体2
0重量%、ホモPP80重量%とした以外、実施例1と
同様の方法で積層体を製造し、その評価を行った。この
積層体の表面固有抵抗は6.4×106Ω/cm2と、十分
静電塗装可能な値であった。ついでウレタン系塗料を用
いて上記のごとく塗装評価を行ったところ、碁盤目剥離
試験では2つしか残らず、十分な塗装密着性を示さなか
った。
【0058】[比較例2]実施例1において、表面層
(I)の配合を下記方法にて製造した変性ポリオレフィ
ンの極性基数が100C当たり、0.01個のマレイン
酸変性PPを80重量%、ホモPP20重量%とした以
外、実施例1と同様の方法で積層体を製造し、その評価
を行った。この積層体の表面固有抵抗は3.3×106Ω
/cm2と、十分静電塗装可能な値であった。ついでウ
レタン系塗料を用いて上記のごとく塗装評価を行ったと
ころ、碁盤目剥離試験では1つも残らず、十分な塗装密
着性を示さなかった。マレイン酸変性PPの製法 ホモPP100重量部に対し、トルエン600部を加え
て80℃で溶解し、次いで無水マレイン酸1部を加え、
別にベンゾイルパーオキサイドの1%トルエン溶液10
0部を滴下後、85℃3時間攪拌した。放冷の後、アセ
トンに展開結晶化させ、アセトンで洗浄しサンプルを得
た。
【0059】[比較例3]実施例1において、表面層
(I)の厚さを30μmとした以外、同様に積層体を製
造し、その評価を行った。この積層体の表面固有抵抗は
1.1×1016Ω/cm2と、高い値を示し、静電塗装可
能な値ではなかった。ついでウレタン系塗料を用いて上
記のごとく塗装評価を行ったところ、碁盤目剥離試験で
は1つも剥離せず、十分な塗装密着性を示した。
【0060】[比較例4]実施例1において、導電層(I
I)の組成を、導電性カーボンMB1を10重量%、ホモ
PPを90%とした以外は同様に積層体を製造し、その
評価を行った。塗料は十分な密着性を示したが、積層体
の表面固有抵抗は7.7×1016Ω/cm2と静電塗装可
能な値ではなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】本発明の積層体は、静電プライマーレス
塗装が可能である。この積層体は熱成形、若しくはブロ
ー、インジェクション成形に貼合してインサート成形す
ることにより家電製品の外板、自動車の外装、及び内装
部品等広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層体構造の例示である。
【符号の説明】
(I):表面層、 (II):導電層、 (III):基材
層、 (I'):接着層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 7/02 104 B32B 7/02 104 27/18 27/18 J // B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 舘 和久 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 4D075 AA09 DA06 DA23 DB31 DB35 DB36 DC13 DC18 EA07 EA19 EB32 EB38 4F100 AA37H AK03A AK03B AK03C AK03D AK07D AK64 AK69A AK69C AL05A AL05B AL06A AL09B AL09C BA02 BA03 BA10A BA10B BA10D CA21B EH232 GB32 GB48 JA11D JG04 JL11C YY00 4F206 AA11 AD05 AD08 AD20 AG03 JA07 JB12 JF05 JL02 4F208 AA11 AD05 AD08 AG03 LB01 LB12 LG22 LJ06 MB01 MB22 MG04 MG22 MH06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子100個当たりの極性基数が0.
    1〜50個である変性ポリオレフィン30〜100重量
    %と、要すればその他のポリオレフィン0〜70重量%
    とからなる表面層(I)と、ポリオレフィン40〜95
    重量%と導電性フィラー5〜60重量%、要すれば更に
    ポリオレフィン系エラストマー0〜55重量%を含有す
    る導電層(II)からなる積層体であって、該積層体の表
    面固有抵抗が1.0×1010Ω/cm2以下であること
    を特徴とする前記積層体。
  2. 【請求項2】表面層(I)と導電層(II)の間に、該表
    面層(I)とは異なる変性ポリオレフィンからなる接着
    層(I')を設けてなる請求項1に記載の積層体。
  3. 【請求項3】導電層(II)の裏側にポリオレフィンから
    なる基材層(III)を設けてなる請求項1又は2に記載
    の積層体。
  4. 【請求項4】変性ポリオレフィンがエチレン・ビニルア
    ルコール共重合体である請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の積層体。
  5. 【請求項5】積層体の表面固有抵抗が108Ω/cm2
    下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 【請求項6】導電性フィラーがカーボンブラックである
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 【請求項7】表面層(I)と導電層(II)を、更に要す
    れば接着層(I')及び基材層(III)を共押出法で成形
    してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 【請求項8】表面層(I)の厚さが0.1〜20μm、
    導電層(II)の厚さが1〜200μm、更に要すれば接
    着層(I')の厚さが0.1〜20μm、及び基材層(I
    II)の厚さが0.1〜100mmである請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の積層体。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層
    体を熱成形して成る成形品。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれか1項に記載の積
    層体を、該積層体の表面層(I)が金型面に対向するよ
    うに設置し、結晶性ポリプロピレン系樹脂を用いてイン
    サート成形してなる成形品。
  11. 【請求項11】請求項9に記載の成形品を、該成形品の
    表面層(I)が金型面に対向するように設置し、結晶性
    ポリプロピレン系樹脂を用いてインサート成形してなる
    成形品。
  12. 【請求項12】インサート成形が射出成形又はブロー成
    形である請求項10又は11に記載の成形品。
  13. 【請求項13】請求項1〜8に記載の積層体に静電プラ
    イマーレス塗装してなる塗装積層体。
  14. 【請求項14】請求項9〜12に記載の成形品に静電プ
    ライマーレス塗装してなる塗装成形品。
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