JP2001047551A - 外面塗装印刷性及び内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板 - Google Patents

外面塗装印刷性及び内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板

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JP2001047551A
JP2001047551A JP22090199A JP22090199A JP2001047551A JP 2001047551 A JP2001047551 A JP 2001047551A JP 22090199 A JP22090199 A JP 22090199A JP 22090199 A JP22090199 A JP 22090199A JP 2001047551 A JP2001047551 A JP 2001047551A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一般缶の缶胴部や蓋部に適用した場合に、酸
性からアルカリ性までの用途適性に優れ、且つ内容物保
護性、外面塗装印刷性、樹脂密着性などの諸特性にも優
れた樹脂被覆鋼板を提供する。 【解決手段】 クロム水和酸化物層の付着量が40mg
/m以下の電解クロメート処理層を有する表面処理鋼
板を素材鋼板とする樹脂被覆鋼板であって、電解クロメ
ート処理層を有する少なくとも鋼板片面に、ポリプロピ
レン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂から
なり、膜厚が15〜200μmである複層の樹脂被覆層
を有し、該複層の樹脂被覆層のうちの少なくとも1つの
樹脂層が、シングルサイト系触媒を用いて合成したポリ
プロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹
脂からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、18L缶、ペール
缶、ドラム缶などのような飲料缶以外の缶体(一般缶)
の缶胴部や蓋部の素材として好適な内容物保護性、樹脂
密着性及び外面塗装印刷性などの性能に優れた樹脂被覆
鋼板(ラミネート鋼板)に関する。
【0002】
【従来の技術】飲料缶以外の一般缶用途(特に大型缶分
野)において、各種のラミネート鋼板を使用した高耐食
缶を製造する試みがなされている。大型缶ではレトルト
処理などを行なわないため飲料缶のような高い樹脂密着
性は要求されない。一方、飲料缶以外の一般缶用途で
は、充填される内容物が化学薬品、塗料、食品、油など
多岐にわたり、内容物の性状も酸性からアルカリ性まで
多種多様である。
【0003】酸からアルカリまでの幅広い内容物に対し
て耐食性を有する樹脂としては、ポリエチレン樹脂やポ
リプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂がよく知られ
ている。一般缶用途にこれらオレフィン系樹脂を用いる
場合、缶外面側に塗装印刷などを行う際の加熱工程を考
慮した場合には耐熱性に優れるポリプロピレン樹脂が望
ましく、また、製缶時の衝撃加工による白化などの変色
や、熱ラミネート時のフィルム変形による密着性低下を
考慮した場合にはポリエチレン樹脂が望ましいと言え
る。このようなオレフィン系樹脂を用いた缶用材料とし
ては、例えば、特開昭53−141786号公報などに
ポリエチレン樹脂ラミネート鋼板が、また、特公平2−
733589号公報などにポリプロピレン樹脂ラミネー
ト鋼板がそれぞれ開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
これら従来の一般缶用途のオレフィン系樹脂ラミネート
鋼板の特性について詳細に検討した結果、以下のような
問題点があることが判明した。一般に、ラミネート鋼板
は通常の塗装鋼板に較べて樹脂被覆に要するコストが価
格が高い。しかし、缶外面側の塗装印刷前に大量生産ラ
インで連続的にラミネート処理を行うことにより、樹脂
被覆に要する生産コストを下げることが可能となる。従
来、樹脂を被覆するための代表的なラミネート方法とし
ては、以下の方法が知られている。
【0005】 フィルムによるコイルラミネート法:
素材鋼板を接着樹脂層の融点以上に加熱し、鋼板の片面
又は両面に樹脂フィルムシートをラミネートし、樹脂フ
ィルムの融点以上の温度域(通常、ポリプロピレン樹脂
の場合は融点〜270℃、ポリエチレン樹脂の場合は融
点〜250℃)から水などで急冷する方法。 溶融熱押出しラミネート法:予熱された素材鋼板の
片面又は両面にTダイなどにより樹脂を溶融押出しラミ
ネートした後、接着樹脂層の融点以上の温度範囲(通
常、ポリプロピレン樹脂の場合は160〜260℃、ポ
リエチレン樹脂の場合は130〜250℃)で保持し、
しかる後空冷または水で急冷する方法。
【0006】上記の各方法でラミネートを行う場合、缶
外面側への塗装印刷は片面ラミネート鋼板の非ラミネー
ト面又は両面ラミネート鋼板の一方のラミネート面(樹
脂被覆面)に対して行われることになる。また、融点が
低いポリエチレン樹脂をラミネートした鋼板の外面塗装
印刷では、低温処理可能な光硬化型の塗装や100℃以
下の低温塗装印刷が施されるが、一般にこれらの塗装は
通常行われる高温焼付型溶媒系塗装に較べて鋼板との密
着強度が低い。そして、上記のように缶外面側への塗装
印刷を片面ラミネート鋼板の非ラミネート面に対して行
う場合、この塗装印刷面となる非ラミネート面は、ラミ
ネート前の鋼板面に較べて塗料やインキとの密着性が低
下し、塗装剥離などの問題を生じやすいことが明らかと
なった。
【0007】また、ラミネート鋼板を製缶する場合、缶
巻締め部やかしめ部ではラミネート樹脂とシール樹脂と
の密着性、さらに溶接缶の場合には溶接補修部でのラミ
ネート樹脂と補修樹脂との密着性が要求される。しか
し、従来のポリプロピレン樹脂ラミネート鋼板やポリエ
チレン樹脂ラミネート鋼板は、ラミネート樹脂と補修樹
脂やシール樹脂との密着性が低下しやすいという問題が
あることが判った。また、従来のポリプロピレン樹脂ラ
ミネート鋼板やポリエチレン樹脂ラミネート鋼板は、溶
媒中への低分子量成分の溶出が懸念される。
【0008】したがって本発明の目的は、18L缶やペ
ール缶などのような大型缶をはじめとする一般缶用途の
缶胴部や蓋部の素材として好適な樹脂被覆鋼板であっ
て、酸性からアルカリ性までの用途適性に優れ、且つ内
容物保護性(耐食性及び缶内容物中に金属や有機成分な
どの溶出を生じにくい特性)、外面塗装印刷性、樹脂密
着性などの諸特性に優れた樹脂被覆鋼板を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
従来技術の課題を解決すべく種々の樹脂皮膜構成を有す
る樹脂被覆鋼板(ラミネート鋼板)とその特性について
調査および検討を行い、その結果、以下のような知見を
得た。
【0010】(1) 缶外面側の塗料(塗装印刷)密着性 電解クロメート処理を施した鋼板の片面にポリプロピレ
ン系樹脂及びポリエチレン系樹脂をそれぞれラミネート
し、非ラミネート面の塗料密着性を調査した。これら片
面ラミネート鋼板は、ラミネート工程で所定の温度範囲
(ポリプロピレン樹脂ラミネート鋼板:160〜270
℃、ポリエチレン樹脂ラミネート鋼板:130〜250
℃)で加熱後、水で強制冷却して調製した。
【0011】この調査の結果によれば、従来用いられて
いるチーグラーナッタ触媒を用いて合成されたポリプロ
ピレン樹脂やポリエチレン樹脂を片面にラミネートした
鋼板では、鋼板の非ラミネート面の塗料密着性はラミネ
ート前の電解クロメート処理鋼板の塗料密着性よりも劣
る結果となった。鋼板表面の分析を行った結果、上記片
面ラミネート鋼板の非ラミネート面からは、ラミネート
フィルムと同組成の物質を含む有機成分が検出された。
これは、ラミネート工程で加熱した際に、樹脂から溶出
又は揮発した低融点の有機成分が非ラミネート面に付着
したものと考えられ、この付着物質が非ラミネート面の
塗料密着性を劣化させたものと考えられる。また、この
ような有機成分の付着原因としては、冷却水による媒
介、ラミネート後に鋼板を重ねたり、コイル状態に巻取
ったりした際の有機成分の転写などが考えられる。
【0012】そこで、各種製法によるラミネート樹脂に
ついて検討した結果、シングルサイト系触媒を用いて合
成されたポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂をラ
ミネート樹脂として用いることにより、非ラミネート面
の塗料密着性が顕著に改善されることが判明した。ま
た、このような特定のラミネート樹脂を用いることによ
り、ラミネート樹脂と補修樹脂やシール樹脂との密着性
も向上することも判った。
【0013】このような改善効果は、缶内面側となるラ
ミネート樹脂層(樹脂被覆層)全体をシングルサイト系
触媒を用いて合成されたポリプロピレン樹脂又はポリエ
チレン樹脂で構成することにより得られることは当然で
あるが、缶内面側となるラミネート樹脂層のうち缶内容
物と接する樹脂層、より好ましくはラミネート樹脂層の
全膜厚の1/2程度以上の厚さの樹脂層をシングルサイ
ト系触媒を用いて合成されたポリプロピレン樹脂又はポ
リエチレン樹脂で構成した場合でも、ほぼ同様の効果が
得られる。
【0014】(2) ラミネート樹脂層の鋼板との密着性及
び耐食性 シングルサイト系触媒を用いて合成されたポリプロピレ
ン樹脂又はポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸又はそ
の誘導体を重合させた熱接着性樹脂を缶内面側の鋼板面
と接する樹脂層(接着層)として用いたラミネートした
鋼板は、従来使用されているチーグラーナッタ触媒を用
いて合成されたポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹
脂に同レベルの不飽和カルボン酸又はその誘導体を重合
させた熱接着性樹脂に較べて優れた耐食性を示すことが
判った。
【0015】これは、シングルサイト系触媒を用いて合
成されたポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂に不
飽和カルボン酸又はその誘導体を重合させた熱接着性樹
脂は、チーグラーナッタ触媒を用いて合成されたポリプ
ロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸
又はその誘導体を重合させた熱接着性樹脂に較べて、ラ
ミネート工程で融点以上に加熱された際の低融点のオレ
フィン成分の溶出が抑制されることや、密着性を阻害す
る高分子量成分が低減化されることなどにより、鋼板と
ラミネート樹脂層界面の結合が強固になったためである
と考えられる。しかし、そのような特定の熱接着性樹脂
を用いても、鋼板表面に適量の電解クロメート処理層が
存在しない場合には、十分な耐食性や密着性が得られな
いことが判った。
【0016】(3) 溶媒中への有機成分の溶出性 先に述べたように、従来使用されているチーグラナッタ
触媒を用いて合成されたポリプロピレン樹脂やポリエチ
レン樹脂を缶内面側の缶内容物と接する樹脂層に用いた
ラミネート鋼板は、溶媒中において有機成分の溶出が懸
念される。これに対してシングルサイト系触媒を用いて
合成されたポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を
缶内面側の缶内容物と接する樹脂層に用いたラミネート
鋼板は、樹脂層を構成する樹脂の分子量分布がシャープ
であるため溶媒中での有機成分の溶出防止に対して有利
であることが判った。
【0017】(4) 加工後耐食性 シングルサイト系触媒を用いて合成されたポリプロピレ
ン樹脂又はポリエチレン樹脂を缶内面側の缶内容物と接
する樹脂層に用いたラミネート鋼板と、従来用いられて
いるチーグラーナッタ触媒を用いて合成されたポリプロ
ピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を缶内容物と接する樹
脂層に用いたラミネート鋼板について、それらの加工後
耐食性を比較した。その結果、18L缶やペール缶特有
の衝撃加工を受けた後の加工後耐食性は、シングルサイ
ト系触媒を用いて合成されたポリプロピレン樹脂又はポ
リエチレン樹脂を缶内面側の缶内容物と接する樹脂層に
用いたラミネート鋼板が有利であることが判明した。
【0018】本発明は以上のような知見に基づきなされ
たもので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] クロム水和酸化物層の付着量が金属クロム換算で4
0mg/m以下の電解クロメート処理層を有する表面
処理鋼板を素材鋼板とする樹脂被覆鋼板であって、電解
クロメート処理層を有する少なくとも鋼板片面に、ポリ
プロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹
脂からなり、膜厚が15〜200μmである複層の樹脂
被覆層を有し、該複層の樹脂被覆層のうちの少なくとも
1つの樹脂層が、シングルサイト系触媒を用いて合成し
たポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分と
する樹脂からなることを特徴とする外面塗装印刷性及び
内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板。
【0019】[2] 上記[1]の樹脂被覆鋼板において、ポ
リプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする
樹脂からなる複層の樹脂被覆層が缶内面側となるべき鋼
板面に形成され、該樹脂被覆層のうちの缶内容物と接す
る樹脂層が、シングルサイト系触媒を用いて合成したポ
リプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする
樹脂からなることを特徴とする外面塗装印刷性及び内容
物保護性に優れた樹脂被覆鋼板。
【0020】[3] 上記[2]の樹脂被覆鋼板において、シ
ングルサイト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹
脂又はポリエチレン樹脂が、プロピレン又はエチレンと
25モル%以下のα−オレフィンとの共重合体であるこ
とを特徴とする外面塗装印刷性及び内容物保護性に優れ
た樹脂被覆鋼板。
【0021】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの樹脂被覆鋼
板において、ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂
を主成分とする樹脂からなる複層の樹脂被覆層が缶内面
側となるべき鋼板面に形成され、該樹脂被覆層のうちの
鋼板面と接する樹脂層が、シングルサイト系触媒を用い
て合成したポリプロピレン系熱接着性樹脂又はポリエチ
レン系熱接着性樹脂を主成分とする樹脂からなることを
特徴とする外面塗装印刷性及び内容物保護性に優れた樹
脂被覆鋼板。
【0022】[5] 上記[4]の樹脂被覆鋼板において、シ
ングルサイト系触媒を用いて合成したポリプロピレン系
熱接着性樹脂又はポリエチレン系熱接着性樹脂が、ポリ
プロピレン又はポリエチレンに無水マイレン酸若しくは
無水マイレン酸と他の不飽和カルボン酸及びその誘導体
の中から選ばれる1種以上とからなるモノマーを重合さ
せた熱接着性樹脂であることを特徴とする外面塗装印刷
性及び内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細と限定理由に
ついて説明する。本発明の樹脂被覆鋼板(ラミネート鋼
板)の素材鋼板としては、少なくとも缶内面側となる面
に電解クロメート処理層を有する表面処理鋼板を用い
る。このような表面処理鋼板を用いることにより、優れ
た耐食性及びラミネート樹脂層の密着性が得られる。
【0024】電解クロメート処理層を構成するクロム水
和酸化物層の金属クロム換算の付着量は、十分な耐食性
を得るために3mg/m以上であることが好ましい
が、40mg/mを超えると色調の劣化や付着ムラに
よる樹脂密着性の劣化が生じるため、その付着量は40
mg/m以下とする。
【0025】また、電解クロメート処理層の下地にはめ
っき層などの表面処理層を設けることができる。この表
面処理層としては、例えば、合金または純金属として錫
(一般的な付着量:5.6g/m以下)、ニッケル
(一般的な付着量:1.0g/m以下)、鉄、クロム
(一般的な付着量:200mg/m以下)などの1種
又は2種以上を含む表面処理層が挙げられる。
【0026】電解クロメート処理層が形成される下地鋼
板としては、例えば、ぶりき(例えば、錫めっき量:
1.1〜11.2g/m)、薄錫めっきぶりき(例え
ば、錫めっき量:0.6〜2.0g/m)、ニッケル
めっき鋼板(例えば、ニッケルめっき量:0.1〜1.
0g/m)、Ni熱拡散処理を施した鋼板(ニッケル
付着量:0.01〜10.0g/m)、上記ニッケル
めっき鋼板やNi熱拡散処理を施した鋼板の表面に0.
9g/m未満の微量の不均一な錫層を設けた表面処理
鋼板などが挙げられる。
【0027】本発明の樹脂被覆鋼板は、上記のような表
面処理鋼板の電解クロメート処理層が形成された少なく
とも片面(缶内面側となる面)に、ポリプロピレン樹脂
又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂からなる複層
の樹脂被覆層を有し、この複層の樹脂被覆層のうちの少
なくとも1つの樹脂層が、シングルサイト系触媒を用い
て合成したポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を
主成分とする樹脂からなるものである。
【0028】したがって、本発明の樹脂被覆鋼板の樹脂
被覆層の形態としては、以下のようなものを例示するこ
とができる。 (1) 樹脂被覆層が複層の樹脂層からなり、これら複層の
樹脂層(缶内容物と接する樹脂層及び鋼板面と接する樹
脂層を含む全部の樹脂層)がシングルサイト系触媒を用
いて合成したポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂
を主成分とする樹脂からなる。
【0029】(2) 樹脂被覆層が3層以上の樹脂層からな
り、この複層の樹脂層のうち缶内容物と接する樹脂層及
び鋼板面と接する樹脂層(接着層)のみがシングルサイ
ト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹脂又はポリ
エチレン樹脂を主成分とする樹脂からなる。 (3) 樹脂被覆層が複層の樹脂層からなり、この複層の樹
脂層のうち缶内容物と接する樹脂層のみがシングルサイ
ト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹脂又はポリ
エチレン樹脂を主成分とする樹脂からなる。 (4) 樹脂被覆層が複層の樹脂層からなり、この複層の樹
脂層のうち鋼板面と接する樹脂層(接着層)のみがシン
グルサイト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹脂
又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂からなる。
【0030】本発明の樹脂被覆鋼板において、缶内容物
と接する樹脂層をシングルサイト系触媒を用いて合成し
たポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分と
する樹脂で構成した場合には、鋼板の非ラミネート面で
塗料密着性が向上する、溶媒中での有機成分の溶出が抑
制される、加工後耐食性が向上する、という効果が得ら
れる。
【0031】なお、このような効果を適切に得るために
は、缶内容物と接する側において、樹脂被覆層(ラミネ
ート樹脂層)の厚さの1/2程度以上の厚さの樹脂層を
シングルサイト系触媒を用いて合成されたポリプロピレ
ン樹脂又はポリエチレン樹脂で構成することが好まし
い。また、鋼板面と接する樹脂層(接着層)をシングル
サイト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹脂又は
ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂で構成した場合に
は、ラミネート樹脂の密着性及び樹脂被覆鋼板の耐食性
が向上するという効果が得られる。
【0032】本発明の樹脂被覆鋼板の樹脂被覆層に適用
するポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂を合成する
ための上記シングルサイト系触媒としては、カミンスキ
ー触媒、メタロセン触媒、ブルックハート触媒などが挙
げられ、これらのいずれを用いたものでもよい。シング
ルサイト系触媒の最大の特徴は、活性点が均一であるた
め分子量分布が狭いポリマーが得られる点にある。例え
ば、シングルサイト系触媒の1つであるメタロセン触媒
は、一般に、周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロ
セン化合物と、有機アルミニウム化合物および/または
イオン性化合物の組合せが用いられ、その具体例として
は、例えば、特開平8−281870号などに記載され
たものを挙げることができる。
【0033】本発明において樹脂被覆層に使用するポリ
プロピレン樹脂は、好ましくは密度が0.88〜0.9
6g/cm、メルトフローレート(MFR ASTM
D1238)が0.5〜50g/10minである、プ
ロピレンの単独共重合体、プロピレンとα−オレフィン
とのブロック又はランダム共重合体である。また、プロ
ピレン−α−オレフィン共重合体のなかでも、特にプロ
ピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体が好まし
い。
【0034】上記α−オレフィンとしては、エチレン、
1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテ
ン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、これら
の1種を単独で、または2種以上を混合して使用できる
が、特に、プロピレンと25モル%以下のα−オレフィ
ンとのプロピレン−α−オレフィン共重合体が好適であ
る。α−オレフィンが25モル%を超えると融点が著し
く低下して樹脂の安定性が悪くなり、樹脂層にピンホー
ルなどを生じやすくなるため好ましくない。
【0035】また、缶内容物と接する樹脂層に適用する
ポリプロピレンとしては、α−オレフィンの量が多いと
融点が低下し、塗装印刷時の焼付工程で塗装印刷設備と
の接触によりラミネート面に接触跡が生じやすくなるた
め、α−オレフィンは9モル%以下であることが望まし
い。また、耐食性の観点からは、ポリプロピレン系樹脂
は結晶性の樹脂であることが望ましく、結晶化度として
20〜50%の範囲にあるものが特に望ましい。
【0036】また、本発明において樹脂被覆層に使用す
るポリプロピレン樹脂には、耐熱安定剤、酸化防止剤、
耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、各種ポリエチレ
ン、低結晶性若しくは非晶性のエチレン又はプロピレン
のα−オレフィンランダム共重合体などを本発明の効果
を損なわない範囲で適宜配合してもよい。但し、缶内容
物と接する樹脂層については、その樹脂中には低融点で
水溶液などへの易溶性を示す配合物や低融点の配合物、
例えばフェノール系の酸化防止剤や有機系の滑剤などは
できるだけ配合しないことが望ましく、配合する場合で
も合計で5wt%以下とすることが好ましい。
【0037】本発明において樹脂被覆層に使用するポリ
エチレンは、好ましくは密度が0.88〜0.94g/
cm、メルトフローレート(MFR ASTM D12
38)が0.5〜50g/10minである、エチレン
の単独共重合体、エチレンとα−オレフィンとのブロッ
ク又はランダム共重合体である。また、エチレン−α−
オレフィン共重合体のなかでも、特にエチレンとα−オ
レフィンとのランダム共重合体が好ましい。
【0038】上記α−オレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オ
クテン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、こ
れらの1種を単独で、または2種以上を混合して使用で
きるが、特に、エチレンと25モル%以下のα−オレフ
ィンとのエチレン−α−オレフィン共重合体が好適であ
る。α−オレフィンが25モル%を超えるとポリエチレ
ンとしての樹脂の特性が失われ、加工性や薬品中での安
定性が低下するため好ましくない。
【0039】また、缶内容物と接する樹脂層に適用する
ポリエチレンとしては、α−オレフィンの量が多いと融
点が低下し、塗装印刷時の焼付工程で塗装印刷設備との
接触によりラミネート面に接触跡が生じやすくなるた
め、α−オレフィンは9モル%以下であることが望まし
い。ポリエチレンの種類としては、中低圧法高密度ポリ
エチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂
(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDP
E)のいずれもが使用可能であるが、樹脂層の白化の抑
制の観点からはLLDPEが特に好ましい。また、樹脂
の結晶化度は加工後耐食性の観点から90%以下が好ま
しい。
【0040】また、本発明において樹脂被覆層に使用す
るポリエチレン樹脂には、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐
候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、各種ポリエチレ
ン、低結晶性若しくは非晶性のエチレン又はエチレンの
α−オレフィンランダム共重合体などを本発明の効果を
損なわない範囲で適宜配合してもよい。但し、缶内容物
と接する樹脂層については、その樹脂中には低融点で水
溶液などへの易溶性を示す配合物や低融点の配合物、例
えばフェノール系の酸化防止剤や有機系の滑剤などはで
きるだけ配合しないことが望ましく、配合する場合でも
合計で5wt%以下とすることが好ましい。
【0041】本発明の樹脂被覆鋼板において、鋼板と接
する樹脂層(接着層)には、ポリプロピレン樹脂又はポ
リエチレン樹脂(特に好ましくは、シングルサイト系触
媒を使用して合成したポリプロピレン樹脂又はポリエチ
レン樹脂)に不飽和カルボン酸又はその誘導体を重合さ
せたポリプロピレン系熱接着性樹脂又はポリエチレン系
熱接着性樹脂を主成分とする樹脂を用いることが、樹脂
被覆層の密着性と樹脂被覆鋼板の耐食性を高める上で好
ましい。
【0042】接着層に使用する不飽和カルボン酸又はそ
の誘導体としては、マレイン酸、アクリル酸、フマール
酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、ナジック酸などの不飽和カルボン酸又
はそれらの誘導体(例えば、アミド、イミド、無水物、
エステル、酸ハライドなど)が挙げられ、それらの1種
または2種以上を使用できる。不飽和カルボン酸の誘導
体の具体例としては、無水マレイン酸、アクリル酸メチ
ル、メタクリル酸メチルなどが例示できる。また、これ
らのなかでも、耐塗膜下腐食性の観点からは無水マレイ
ン酸を単独で、若しくは無水マレイン酸と他の不飽和カ
ルボン酸及びその誘導体の中から選ばれる1種または2
種以上を混合したモノマーが望ましい。また、グリシジ
ルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、ア
イオノマーをそれぞれ単独で又は2種を混合して用いて
もよい。
【0043】これらの不飽和カルボン酸又はその誘導体
をポリプロピレン又はポリエチレンに導入する方法とし
ては、グラフト重合、ランダム重合、ブロック重合を用
いることができる。特に、無水マイレン酸を0.01〜
2重量%としたグラフト重合が好ましい。また、特にシ
ングルサイト系触媒を用いて合成したポリプロピレン樹
脂又はポリエチレン樹脂をもとに合成された上述の熱接
着性樹脂、特に無水マイレン酸変性ポリプロピレン樹脂
又は無水マイレン酸変性ポリエチレン樹脂は、同量の無
水マレイン酸を重合させた従来のチーグラーナッタ触媒
で合成された樹脂に比較して優れた密着性と耐食性を示
す。
【0044】本発明の樹脂被覆鋼板において、ポリプロ
ピレン樹脂又はポリエチレン樹脂からなる樹脂被覆層の
全部又は一部の樹脂層についてシングルサイト系触媒を
使用して合成したポリプロピレン樹脂又はポリエチレン
樹脂を適用する場合、その樹脂としてはシングルサイト
系触媒を使用して合成したポリプロピレン樹脂又はポリ
エチレン樹脂を主成分とするものであればよく、したが
って、適量の範囲であれば他の樹脂、すなわちチーグラ
ナッタ触媒で合成されたポリプロピレン樹脂又はポリエ
チレン樹脂を混合してもよい。但し、チーグラナッタ触
媒で合成されたポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹
脂(A)の配合量は、シングルサイト系触媒を使用して
合成したポリプロピレン樹脂(B)との重量比で(A)
/(B)=0.5以下とすることが好ましい。
【0045】なお、鋼板と接する樹脂層(接着層)につ
いては、チーグラナッタ触媒で合成されたポリプロピレ
ン樹脂又はポリエチレン樹脂(A)の配合量が、シング
ルサイト系触媒を使用して合成したポリプロピレン樹脂
(B)との重量比で(A)/(B)=0.5以下の範囲
であれば、チーグラナッタ触媒で合成されたポリプロピ
レン樹脂のみを用いた場合と略同等の効果が得られる。
樹脂被覆層の層数は特に限定しないが、層数が4層を超
えるとフィルムコストが著しく高くなるため好ましくな
い。
【0046】缶内面側となる鋼板面を被覆するポリプロ
ピレン樹脂層又はポリエチレン樹脂層の全厚さは15〜
200μmとする。樹脂層の全厚さが15μm未満では
2回塗装材以下の耐食性しか得られない。一方、全厚さ
が200μmを超えると18L缶などの巻締めが困難と
なる。なお、缶外面側となる鋼板面に樹脂被覆層を形成
する場合には、この樹脂被覆層としては、厚さが6μm
以上30μm未満程度の単層または複層のポリオレフィ
ン系樹脂層やポリエチレンテレフタレート系樹脂層が適
している。また、この缶外面側となる鋼板面を被覆する
ポリオレフィン層のポリプロピレン系樹脂層又はポリエ
チレン系接着層の厚さは、鋼板との密着性の観点から約
2μm以上あることが好ましい。
【0047】鋼板に樹脂被覆を施す方法に特別な制限は
なく、予め製造された樹脂フィルムを鋼板に連続的にラ
ミネートする方法(フィルムコイルラミネート法)、溶
融した樹脂をTダイ等で鋼板面に直接熱押出しする方法
(溶融熱押出しラミネート法)、予め製造された樹脂フ
ィルムを切り板毎にラミネートをする方法(フィルムシ
ートラミネート法)など、任意の方法で樹脂被覆を施す
ことができる。
【0048】
【実施例】一般缶用途に通常用いられている板厚0.3
2mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂及び酸洗した
後、公知の方法で各種の表面処理を行った。この表面処
理鋼板に以下の方法で樹脂を被覆し、樹脂被覆鋼板を製
造した。 (1) フィルムコイルラミネート法 表面処理鋼板を樹脂フィルムの接着層の融点〜250℃
に加熱し、鋼板の片面または両面に樹脂フィルムをラミ
ネートした後、上記加熱温度域から2秒以内に水で急冷
した。
【0049】(2) フィルムシートラミネート法 表面処理鋼板の片面に樹脂フィルムを樹脂の融点以下の
温度で圧着した後、樹脂フィルムの接着層の融点以上の
温度範囲(ポリプロピレンの場合には160〜250
℃、ポリエチレンの場合には130〜250℃)に保持
し、しかる後、空冷した。 (3) 溶融熱押出しラミネート法 予熱された表面処理鋼板の片面または両面にTダイによ
り樹脂を溶融熱押出しラミネートした後、接着層の融点
以上の温度範囲(ポリプロピレンの場合には160〜2
50℃、ポリエチレンの場合には130〜250℃)に
保持し、しかる後、水冷した。
【0050】本実施例において、シングルサイト系触媒
を用いて合成した樹脂として用いたのは、メタロセン触
媒で合成されたポリエチレン系樹脂、メタロセン触媒で
合成されたポリプロピレン系樹脂である。缶胴部に相当
する鋼板については、必要に応じて鋼板の両エッジに約
10mm幅のラミネート避け部を設けた。また、片面の
みのラミネートを行った鋼板は、ラミネート後、ラミネ
ート樹脂の融点以下の温度で缶外面側に相当する面にク
リヤ塗装を行った。また、一部の樹脂被覆鋼板について
は、鋼板両面にラミネートを行った。
【0051】得られた樹脂被覆鋼板の性能評価を以下の
方法で行った。 (1) 片面ラミネート材の非ラミネート面の塗料密着性 片面ポリプロピレンラミネート鋼板については、非ラミ
ネート面に対してエポキシフェノール系塗料を塗布し、
焼き付けした後、ナイロンテープを介して塗装面を熱圧
着して張合せることにより試験片を調製し、この試験片
に対してTピール試験を行って塗料の密着強度を調べ
た。ラミネート前の表面処理鋼板面での塗料の密着強度
に比較し、塗料の密着強度が低下しないものを“○”、
低下したものを“×”とした。また、片面ポリエチレン
ラミネート鋼板については、非ラミネート面に対して光
硬化型塗料を塗布し、焼き付けした後、碁盤目テープ剥
離試験を行って塗料の密着強度を調べた。ラミネート前
の表面処理鋼板面での塗料の密着強度に比較し、塗料の
密着強度が低下しないもの又は塗膜の剥離のないものを
“○”、塗料の密着強度が低下したものを“×”とし
た。
【0052】(2) 加工後耐食性 樹脂被覆鋼板をデュポン衝撃加工した後、中性洗剤(商
品名:ライポンF)中に38℃で3か月間浸漬し、フィ
ルム抵抗の低下の有無を下記の基準により評価した。 ○:フィルム抵抗の変化なし ×:フィルム抵抗の低下あり (3) 塗膜下腐食性 樹脂被覆鋼板に対して平板のままクロスカットを行い、
20g/LのNaOH溶液中で38℃、10日間の浸漬
試験を行い、試験後のカット部の腐食幅で評価した。
【0053】(4) 水溶液中への有機成分の溶出性 95℃の純水中に樹脂ラミネート面を20分間にわたり
浸漬し、得られた試験後溶液にジエチルエーテルを加え
た。この混合溶液を撹拌した後、ジエチルエーテルを分
離、濃縮してガスクロマトグラフィーによる分析を行な
い、得られた結果についてジエチルエーテルブランクの
結果との比較を行った。結果に違いが認められたものを
“×”、結果に違いが認められないものを“○”とし
た。 (5) 表面色調 K値(%/1000nm)は波長480nm〜700n
m間を10nm間隔で反射率・波長の勾配を求め、得ら
れた平均値をさらに1000nm当たりの反射率差に補
正した数値である。−20以下でメタリックな良好な色
調となる。−20以下のものを“○”、−20超のもの
を“×”とした。
【0054】[実施例1]表1は、各種表面処理鋼板に
ポリプロピレン樹脂フィルム(外層:ホモポリプロピレ
ン、接着層:無水マイレン酸変性ポリプロピレン)をコ
イルラミネート法でラミネートした樹脂被覆鋼板につい
て、それらの加工後耐食性と表面色調を評価した結果を
示している。
【0055】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.8ではいずれも良好な加工後耐食性と表面色調が
得られている。但し、鋼板のクロム水和酸化物層の付着
量が3mg/未満であるNo.8は加工時に樹脂層の
一部に剥離を生じている。これに対して、No.9の比
較例は鋼板に電解クロメート処理層を有していないため
加工後耐食性が劣っている。また、No.10の比較例
は電解クロメート処理層のクロム水和酸化物層の付着量
が40mg/mを超えているため加工後耐食性や表面
色調が劣っている。
【0056】表2は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がプロピレンのα−オレフィンランダム共重合
体、接着層が無水マイレン酸変性ポリプロピレンで構成
されたポリプロピレン樹脂フィルムをコイルラミネート
法でラミネート(但し、No.9についてはフィルムシ
ートラミネート法により、また、No.10については
溶融熱押し出しラミネート法により、それぞれラミネー
ト)した樹脂被覆鋼板について、それらの非ラミネート
面での塗料密着性を評価した結果を示している。
【0057】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.10ではいずれも良好な非ラミネート面での塗料
密着性が得られている。これに対して、比較例であるN
o.11、No.13ではポリプロピレン樹脂層(フィ
ルム)がチーグラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂
で構成されているため、非ラミネート面での塗料密着性
が劣っている。また、比較例であるNo.12はポリプ
ロピレン樹脂層の膜厚が200μmを超えているため良
好な巻締めが難しい。
【0058】表3は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がプロピレンのα−オレフィンランダム共重合
体、接着層が無水マイレン酸変性ポリプロピレンで構成
されたポリプロピレン樹脂フィルムをコイルラミネート
法でラミネート(但し、No.3についてはフィルムシ
ートラミネート法により、また、No.4については溶
融熱押し出しラミネート法により、それぞれラミネー
ト)した樹脂被覆鋼板について、それらの加工後耐食性
と耐塗膜下腐食性を評価した結果を示している。
【0059】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.5ではいずれも良好な加工後耐食性と耐塗膜下腐
食性が得られている。これに対して、比較例であるN
o.6、No.7ではポリプロピレン樹脂フィルムがチ
ーグラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂で構成され
ているため、加工後耐食性と耐塗膜下腐食性が劣ってい
る。
【0060】表4は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がプロピレンのα−オレフィンランダム共重合
体、接着層が無水マイレン酸変性ポリプロピレンで構成
されたポリプロピレン樹脂フィルムをコイルラミネート
法でラミネート(但し、No.3についてはフィルムシ
ートラミネート法により、また、No.4については溶
融熱押し出しラミネート法により、それぞれラミネー
ト)した樹脂被覆鋼板について、水溶液中への有機成分
の溶出性を評価した結果を示している。
【0061】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.4ではいずれも水溶液中への有機成分の溶出を生
じない良好な特性が得られている。これに対して、比較
例であるNo.5、No.6ではポリプロピレン樹脂フ
ィルムがチーグラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂
で構成されているため、水溶液中への有機成分の溶出が
生じている。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】[実施例2]表5は、各種表面処理鋼板に
ポリエチレン樹脂フィルム(外層:LLDPE、接着
層:無水マイレン酸変性ポリエチレン)をコイルラミネ
ート法でラミネートした樹脂被覆鋼板について、それら
の加工後耐食性と表面色調を評価した結果を示してい
る。
【0067】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.8ではいずれも良好な加工後耐食性と表面色調が
得られている。但し、鋼板のクロム水和酸化物層の付着
量が3mg/未満であるNo.8は加工時に樹脂層の
一部に剥離を生じている。これに対して、No.9の比
較例は鋼板に電解クロメート処理層を有していないため
加工後耐食性が劣っている。また、No.10の比較例
は電解クロメート処理層のクロム水和酸化物層の付着量
が40mg/mを超えているため加工後耐食性や表面
色調が劣っている。
【0068】表6は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がLLDPE又はHDPE、接着層が無水マイ
レン酸変性ポリエチレンで構成されたポリエチレン樹脂
フィルムをコイルラミネート法でラミネート(但し、N
o.9についてはフィルムシートラミネート法により、
また、No.10については溶融熱押し出しラミネート
法により、それぞれラミネート)した樹脂被覆鋼板につ
いて、それらの非ラミネート面での塗料密着性を評価し
た結果を示している。
【0069】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.10ではいずれも良好な非ラミネート面での塗料
密着性が得られている。これに対して、比較例であるN
o.11、No.13ではポリエチレン樹脂層(フィル
ム)がチーグラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂で
構成されているため、非ラミネート面での塗料密着性が
劣っている。また、比較例であるNo.12はポリエチ
レン樹脂層の膜厚が200μmを超えているため良好な
巻締めが難しい。
【0070】表7は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がLLDPE、接着層が無水マイレン酸変性ポ
リエチレンで構成されたポリエチレン樹脂フィルムをコ
イルラミネート法でラミネート(但し、No.3につい
てはフィルムシートラミネート法により、また、No.
4については溶融熱押し出しラミネート法により、それ
ぞれラミネート)した樹脂被覆鋼板について、それらの
加工後耐食性と耐塗膜下腐食性を評価した結果を示して
いる。
【0071】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.5ではいずれも良好な加工後耐食性と耐塗膜下腐
食性が得られている。これに対して、比較例であるN
o.6、No.7ではポリエチレン樹脂フィルムがチー
グラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂で構成されて
いるため、加工後耐食性と耐塗膜下腐食性が劣ってい
る。
【0072】表8は、電解クロメート処理鋼板(金属ク
ロム層のクロム付着量:100mg/m、クロム水和
酸化物層の金属クロム換算の付着量:10mg/m
に、外層がLLDPE、接着層が無水マイレン酸変性ポ
リエチレンで構成されたポリエチレン樹脂フィルムをコ
イルラミネート法でラミネート(但し、No.3につい
てはフィルムシートラミネート法により、また、No.
4については溶融熱押し出しラミネート法により、それ
ぞれラミネート)した樹脂被覆鋼板について、水溶液中
への有機成分の溶出性を評価した結果を示している。
【0073】これによれば、本発明例であるNo.1〜
No.4ではいずれも水溶液中への有機成分の溶出を生
じない良好な特性が得られている。これに対して、比較
例であるNo.5、No.6ではポリエチレン樹脂フィ
ルムがチーグラーナッタ系触媒を用いて合成した樹脂で
構成されているため、水溶液中への有機成分の溶出が生
じている。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
【発明の効果】以上述べたように本発明のラミネート鋼
板は、18L缶やペール缶などのような大型缶をはじめ
とする一般缶用途の缶胴部などに使用された場合に、酸
性からアルカリ性までの用途適性に優れ、且つ内容物保
護性(耐食性、缶内容物中に金属や有機成分の溶出を生
じにくい特性)、外面塗装印刷性、樹脂密着性などの諸
特性にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 BB74X CA13 CA44 DB36 DC42 4F100 AA22A AB03B AK04C AK07C AK07D AK62C AK66C AL01C AL07C BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C EJ69A GB16 JB02 JL08C JL11 JL12C JN30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロム水和酸化物層の付着量が金属クロ
    ム換算で40mg/m以下の電解クロメート処理層を
    有する表面処理鋼板を素材鋼板とする樹脂被覆鋼板であ
    って、 電解クロメート処理層を有する少なくとも鋼板片面に、
    ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とす
    る樹脂からなり、膜厚が15〜200μmである複層の
    樹脂被覆層を有し、 該複層の樹脂被覆層のうちの少なくとも1つの樹脂層
    が、シングルサイト系触媒を用いて合成したポリプロピ
    レン樹脂又はポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂から
    なることを特徴とする外面塗装印刷性及び内容物保護性
    に優れた樹脂被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹
    脂を主成分とする樹脂からなる複層の樹脂被覆層が缶内
    面側となるべき鋼板面に形成され、該樹脂被覆層のうち
    の缶内容物と接する樹脂層が、シングルサイト系触媒を
    用いて合成したポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹
    脂を主成分とする樹脂からなることを特徴とする請求項
    1に記載の外面塗装印刷性及び内容物保護性に優れた樹
    脂被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 シングルサイト系触媒を用いて合成した
    ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹脂が、プロピレ
    ン又はエチレンと25モル%以下のα−オレフィンとの
    共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の外面
    塗装印刷性及び内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン樹脂又はポリエチレン樹
    脂を主成分とする樹脂からなる複層の樹脂被覆層が缶内
    面側となるべき鋼板面に形成され、該樹脂被覆層のうち
    の鋼板面と接する樹脂層が、シングルサイト系触媒を用
    いて合成したポリプロピレン系熱接着性樹脂又はポリエ
    チレン系熱接着性樹脂を主成分とする樹脂からなること
    を特徴とする請求項1、2又は3に記載の外面塗装印刷
    性及び内容物保護性に優れた樹脂被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 シングルサイト系触媒を用いて合成した
    ポリプロピレン系熱接着性樹脂又はポリエチレン系熱接
    着性樹脂が、ポリプロピレン又はポリエチレンに無水マ
    レイン酸若しくは無水マレイン酸と他の不飽和カルボン
    酸及びその誘導体の中から選ばれる1種以上とからなる
    モノマーを重合させた熱接着性樹脂であることを特徴と
    する請求項4に記載の外面塗装印刷性及び内容物保護性
    に優れた樹脂被覆鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2009096091A (ja) * 2007-10-17 2009-05-07 Jfe Steel Corp 容器材料用ラミネート鋼板

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JP2005324468A (ja) * 2004-05-14 2005-11-24 Idemitsu Unitech Co Ltd 熱ラミネート用多層フィルム、多層フィルムラミネート金属板及び多層フィルムラミネート金属板の製造方法
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