JP2009096091A - 容器材料用ラミネート鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】18L缶等のような大型缶をはじめとする一般缶用途の缶胴部や蓋部に好適なラミネート鋼板であって、通板の際に通板ロールやラミネートロール、その他設備に皮膜成分が堆積せず、耐熱性、耐加工後耐食性、汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの用途適性)に優れた容器材料用ラミネート鋼板を提供する。
【解決手段】表面処理鋼板の少なくとも片面に、厚さ15〜200μmのプロピレン−エチレン共重合体を、更にその上層に、1〜5μmのポリプロピレン樹脂層を有する。前記プロピレン−エチレン共重合体は、エチレン成分とプロピレン成分の合計を100mol%とした場合、エチレン成分が3〜30mol%である。また、プロピレン−エチレン共重合体は、ポリプロピレンを母相とし、エチレン−プロピレンラバーをコンパウンドしたものを用いることもできる。さらに、プロピレン−エチレン共重合体の下層に接着層を有することも可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、18L缶、ペール缶、ドラム缶等のような缶体(一般缶)の缶胴部や蓋部として好適な、耐熱性、耐加工後耐食性、汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの広範囲な用途適性)に優れた樹脂ラミネート鋼板に関する。
飲料缶以外の一般缶用途(特に大型缶分野)において、各種ラミネート鋼板(樹脂被覆鋼板)を使用した高耐食性缶を製造する試みがなされている。一般缶用途では、飲料缶と異なり、充填される内容物が化学薬品、界面活性剤、塗料、食品、油など多岐にわたり、内容物の性状も酸性からアルカリ性まで多種多様である。ラミネート缶に用いる樹脂として、一般的に使用されているポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂は、アルカリ性の内容物に対してはフィルムが加水分解を起こすため、適用が困難である。酸からアルカリまでの幅広い内容物に対して耐食性を有する樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン樹脂がよく知られている。このようなオレフィン樹脂を用いた缶用材料として、特許文献1等ではポリエチレンラミネート鋼板が、また、特許文献2等ではポリプロピレンラミネート鋼板がそれぞれ開示されている。
しかし、これら従来の一般缶用途のオレフィン系樹脂ラミネート鋼板の特性について詳細に検討した結果、以下のような問題点があることが判明した。
ポリプロピレン樹脂は、オレフィン樹脂としては耐熱性に優れているが、曲げ加工が加わる場合、その曲げの頂点近傍でクラックが生じる場合がある。このクラックは、非常に微細なものもあり、加工時点では検知されなくても、内容物を充填後、問題となるケースがある。例えば、長時間界面活性剤等の浸透性の高い内容物に接している場合などであり、微小なクラック部に液が浸透し、下地を腐食してしまうため、長期間の保管に耐えられないという欠点がある。従来、ポリプロピレン樹脂の耐加工クラック性を改善する方法として、樹脂ラミネート後の冷却速度の調整により結晶化度を最適化する方法が提案されている。しかし、本発明者らが検討したところによれば、ポリプロピレン樹脂は結晶化速度が早いため、ラミネート鋼板の外面に塗装印刷を施す用途においては、塗装印刷の加熱により結晶化が進行し、上記方法による十分な効果を得ることは難しいことが判った。
また、ポリプロピレン樹脂の耐加工クラック性を改善する他の方法として、エチレンなどのαオレフィンを最大で10%程度、ポリプロピレンにランダム共重合化する方法が提案されている。
一方、ポリエチレン樹脂は耐加工クラック性が良好であるが、ポリエチレン樹脂を缶内面側にラミネートした場合、樹脂そのものの融点が120℃前後と低いため、塗装印刷工程の焼付処理の際にラミネート樹脂が板搬送設備に融着したり、熱変形(ラミネート樹脂面での接触跡の発生)したりすることが避けられない。
特許文献3には、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂を複合化したラミネート鋼板が提案されている。同文献には、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂の混合層によりポリプロピレン樹脂層とポリエチレン樹脂層を密着させた3層構造のラミネート鋼板が開示されている。しかし、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂は一般に密着性が悪いため、樹脂層間で剥離を生じやすく、製缶後に缶体に内圧をかけた際、缶蓋と胴板の巻き締め部で層間剥離がおき、そこから気密が漏洩して所望の耐圧強度が得にくいなど、缶としての実用に適さない。
特許文献4は、ポリプロピレンとポリエチレンのモノマーであるプロピレンと、エチレンをブロック共重合させ、層間剥離の問題を解決するものである。そして、この試みは、耐加工クラック性、耐熱性をある程度満たすことができるとしている。
しかし、これらプロピレン−エチレン共重合体に共通する課題として、ラミネートロールや、通板ロール、その他設備等に接触すると、皮膜成分が僅かずつ剥離、あるいは溶出するという問題がある。剥離量(あるいは溶出量)は、極微量であり、製品自体の性能に影響を与えるレベルではないが、接触される側の設備には汚れが堆積する。この為、設備を定期的に清掃する必要がある。そして、固着した汚れは取れにくく、操業負荷を高める。
特開昭53−141786号公報 特許第2733589号公報 特開昭64−82931号公報 特開2003―285394公報
本発明の目的は、18L缶やペール缶等のような大型缶をはじめとする一般缶用途の缶胴部や蓋部に好適なラミネート鋼板であって、通板の際に通板ロールやラミネートロール、その他設備に皮膜成分が堆積せず、耐熱性、耐加工後耐食性、汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの用途適性)に優れた容器材料用ラミネート鋼板を提供することにある。
本発明者らは上述した従来技術の課題を解決すべく、検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの用途適性)を付与するためには、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂が望ましい。しかし、ポリエチレンは、加工後耐食性は良好であるが、耐熱性が十分でなく、塗装焼付けなどの高温時に接触物に融着するなどの問題を生じる。一方、ポリプロピレンは、耐熱性は良好であるが、加工後耐食性が劣る。ポリプロピレンは、曲げ加工を施した場合、曲げ部の頂点近傍でクラックが生じる場合がある。このクラックが耐食性劣化の原因である。加工部にクラックが生じる原因は、曲げ加工において、その頂点近傍が高速変形することによる。エキスパンド加工や、張り出し加工において、曲げ部の頂点近傍では、伸び量としては大きく無いが、瞬間に曲げ方向に延ばされることになり、この高速変形に樹脂皮膜が対応しない場合、クラックが生じるのである。即ち、ポリプロピレン単層では高速変形に対応しないのである。
加工部の耐クラック性を向上させるためには、プロピレン成分を主体として、エチレン成分を含有させればよい。即ち、本発明の規定に従い、プロピレンとエチレンの共重合体、好適には、ポリプロピレンを母相として、エチレン−プロピレンラバー(以下、EPRと称することもある)をコンパウンドしたものを用いるのがよい。しかしながら、エチレン比率が高くなると耐熱性が劣ってくるので、適量に抑える必要がある。従って、エチレン成分の含有率は、耐加工後耐食性および耐熱性の観点から、両立域を有することとなる。この両立域が、本発明の規定範囲であり、その含有率は3〜30mol%である。下限未満では、エチレン成分含有の効果が低く、耐加工後耐食性向上の効果は少ない。一方、上限を超えると、エチレン成分過剰となり、耐熱性が劣化する。
また、プロピレン−エチレン共重合体の厚さは15〜200μmとする。15μm未満では、製膜が困難であり、製造コストが高くなる、後述する上層のポリプロピレン層の高速変形性の緩和が困難となり、トータルとして、加工後耐食性が劣化する。一方、上限の200μm超えでは、膜厚を厚くしても、容器材料的特性は上昇しないにも関わらず、製造コストが高くなる。
次に、通板ロール等に皮膜成分が堆積する問題を解決するために、各種プロピレン−エチレン共重合体のラミネート鋼板を製造し、通板ロールに堆積した成分の分析を行った。結果、どの共重合体においても、堆積成分は、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物であった。この結果から、プロピレン−エチレン共重合体が表層に露出する場合、構成成分が脱落していく傾向にあることが判明した。
更に詳細に分析を続けた結果、堆積物のエチレン/プロピレン比は、膜全体平均のエチレン/プロピレン比に比較してエチレン比が高い傾向にあることが判明した。即ち、エチレンリッチな部分が脱落し易いと推定される。
発明者らは、この解析事実に基づき、皮膜成分が脱落しにくい皮膜形態を考えた。エチレン成分も、プロピレン成分も含まないポリエステル系の皮膜であれば、このような脱落現象は観察されないので、ポリエステル系樹脂を最上層に配置すると改善されることが期待される。しかし、ポリエステルとオレフィンを積層することは製膜状困難であるだけではなく、ポリエステルはアルカリ条件で加水分解を起すという特性があるため、内容物に対する汎用性が損なわれる。
そこで、発明者らは、さらに検討を進めた結果、上層にポリプロピレン単層を配置することを見出した。そして、上層にポリプロピレン単層を配置したところ、通板ロールなどへの堆積が解消した。しかしながら、ただ単に配置しただけでは、下層の特性を阻害する場合もあった。
即ち、前述の如く、下層のプロピレン−エチレン共重合体は、高速変形性に富んでいるが、その上層であるポリプロピレン単層は高速変形性が劣る。その結果、トータルとして、高速変形性、即ち、加工後耐食性が劣るケースがある。これに対して、発明者らの検討によれば、上層の膜厚が5μm以下であれば、高速変形性の阻害程度が無視できることが判明した。従って、本発明では、上層の膜厚を5μm以下とする。また、技術的に安定して1μm未満の層を製造することが困難であるため、下限は1μm以上とする。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、以下の特徴を有する。
[1]表面処理鋼板の少なくとも片面に、厚さ15〜200μmのプロピレン−エチレン共重合体を、更にその上層に、1〜5μmのポリプロピレン樹脂層を有し、前記プロピレン−エチレン共重合体は、エチレン成分とプロピレン成分の合計を100mol%とした場合、エチレン成分が3〜30mol%であることを特徴とする容器材料用ラミネート鋼板。
[2]前記[1]において、前記プロピレン−エチレン共重合体は、ポリプロピレンを母相とし、エチレン−プロピレンラバーをコンパウンドしたものであることを特徴とする容器材料用ラミネート鋼板。
[3]前記[1]または[2]のいずれかにおいて、前記プロピレン−エチレン共重合体の下層に接着層を有することを特徴とする容器材料用ラミネート鋼板。
本発明によれば、通板の際に通板ロールやラミネートロール、その他設備に皮膜成分が堆積せず、耐熱性、耐加工後耐食性、汎用性(酸性内容物からアルカリ性内容物までの用途適性)に優れたラミネート鋼板が得られる。
そして、本発明のラミネート鋼板は上記のような特性を有するため、18L缶やペール缶等のような大型缶をはじめとする一般缶用途の缶胴部や蓋部に好適である。
以下、本発明の詳細と限定理由について説明する。
本発明のラミネート鋼板の素地である表面処理鋼板は特に限定しない。例えば、ブリキ鋼板、電解クロメート処理鋼板(以下、ティンフリースチール:TFSと称することもある)が挙げられる。中でも、経済性と樹脂との密着性確保の観点から電解クロメート処理鋼板(ティンフリースチール:TFS)が望ましい。
電解クロメートを施す鋼板としては、通常この種の表面処理鋼板に用いられる鋼板であれば使用することができ、例えば、板厚0.1〜0.5mmの通常の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板等が用いられ、これらの鋼板上に電解クロメート処理により、下から金属クロム層、その上にクロム水和酸化物を形成させる。金属クロム層のクロム付着量は、片面あたり40〜200mg/m2が良い。付着量が40mg/m2未満の場合、衝撃を与えた際に表面処理層による被覆が損なわれ、腐食が進行しやすいため耐食性が低下する場合がある。付着量が200mg/m2を超えても性能上全く問題はないが、経済的観点から好ましくない。より好ましい範囲は80〜150mg/m2である。また、クロム水和酸化物層の付着量は、片面あたり金属クロム換算で3〜25mg/m2が良い。付着量が3mg/m2未満では金属クロム層がクロム酸化物によって均一に覆われず金属クロム層の露出面積が大となり、樹脂層との密着力が損なわれ、樹脂層に疵がついた場合、腐食が進行しやすく耐食性が低下するため好ましくない。また、25mg/m2を超えるとクロム酸化物層が厚すぎることによってTFSの表面色調が劣化するので好ましくない。
本発明のラミネート鋼板は、上記表面処理鋼板の少なくとも片面(缶内面側となる鋼板面)に、厚さ15〜200μmのプロピレン−エチレン共重合体を有し、更にその上層に、1〜5μmのポリプロピレン樹脂層を有する事を特徴とする。そして、前記プロピレン−エチレン共重合体は、エチレン成分とプロピレン成分の合計を100mol%とした場合、エチレン成分が3〜30mol%である。さらに、前記プロピレン−エチレン共重合体は、ポリプロピレンを母相とし、エチレン−プロピレンラバーをコンパウンドさせたものを使用するのが好ましい。また、プロピレン−エチレン共重合体の下層に接着層を有することも可能である。
厚さ15〜200μmのプロピレン−エチレン共重合体
本発明の表面処理鋼板の少なくとも片面には、プロピレン−エチレン共重合体、を有する。そして、エチレン成分とプロピレン成分の合計を100mol%とした際に、エチレン成分が3〜30mol%とする。プロピレンとエチレンの共重合体系を選択した理由としては、前述した通り、耐熱性と耐加工後耐食性を両立させるためである。
また、エチレン成分の下限を3mol%以上と定めたのは、エチレン成分がこれより少なくなると、加工後耐食性が悪化するためであり、上限を30mol%以下と定めたのは、エチレン成分がこれ以上増加した場合、耐熱性が劣化するためである。
厚さの下限は、製造コストが高くなること、上層のポリプロピレン層の高速変形性の緩和が困難となり、トータルとして、加工後耐食性が劣化することによる。厚さの上限は、これ以上、膜厚を厚くしても、容器材料的特性は上昇しないにも関わらず、製造コストが高くなるためである。
1〜5μmのポリプロピレン樹脂層
前述したとおり、最表層には、ロール等に皮膜成分が堆積する問題を解決する目的で、ポリプロピレン樹脂層を有することとする。そして、前述した通り、製造コスト、下層のポリプロピレン層の高速変形性の緩和等との関係から、厚さは1〜5μmとする。厚さの上限は加工後耐食性を阻害しない厚みであり、厚さの下限は、工業的に精度良く製膜できる下限厚さである。
また、プロピレン−エチレン共重合体、及び、上層のポリプロピレン層の樹脂は、メルトフローレート(MFR JIS K6758)が0.5〜20g/10minであることが好ましい。メルトフローレートが0.5g/10min未満では、フィルムを製膜する際、もしくは直接押し出しラミネートを行う際、押し出し機のモーター負荷が大きくなり、生産性が低下する。MFRが大き過ぎると表面粗さが小さくなり、耐ブロッキングが低下するので20g/10min以下であることが望ましい。
接着層
本発明では、プロピレン−エチレン共重合体の下層に接着層を有することも可能である。接着層は、仕様用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、接着性ポリプロピレン系樹脂に接着性ポリエチレン系樹脂を適量混合したものが好適に用いられる。具体的には、2〜10μm厚の接着性ポリエチレンと接着性ポリプロピレンの混合物であって、接着性ポリエチレンを8〜20%含むものなどが好適である。
具体的な接着層の組成としては、接着性ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、若しくはプロピレンとαオレフィンとのブロック又はランダム共重合体である。後者の場合のαオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
接着性ポリプロピレンのメルトフロレート(MFR JIS K6758)は0.5〜20g/10minであることが好ましい。
接着性ポリプロピレンは、ポリプロピレン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を導入することで接着性(熱接着性)を付与したものが好ましい。この酸変性に使用する不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、マレイン酸、アクリル酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸などの不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えば、アミド、イミド、無水物、エステル、酸ハライドなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、無水マレイン酸を用いるのが一般的である。これらの不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をポリプロピレンに導入する方法は、グラフト重合が一般的である。特に、無水マレイン酸を0.01〜5重量%とするグラフト重合が好ましい。
上記接着性ポリプロピレン系樹脂に混合する接着性ポリエチレンとしては、エチレンの単独重合体、若しくはエチレンとαオレフィンとのブロック又はランダム共重合体であるが、上層との密着性を確保するためには後者の共重合体が好ましい。ポリエチレン樹脂がエチレンとαオレフィンとのブロック又はランダム共重体である場合、側鎖を与えるαオレフィンの量は1〜25mol%が望ましい。αオレフィンの量が1mol%未満では上層のポリプロピレン系樹脂層との密着性が低下し、一方、25mol%を超えると常温での粘着性が増大し、製膜が難しくなる。αオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、上記ポリエチレン樹脂の特に好ましい共重合体はランダム共重合体である。
上記接着性ポリエチレンのメルトフローレート(MFR ASTM D1238)は製膜性の観点から0.5〜50g/10minであることが望ましい。
上記接着性ポリエチレンは、ポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を導入することで接着性(熱接着性)を付与したものが好ましい。この酸変性に使用する不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、マレイン酸、アクリル酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジック酸などの不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えば、アミド、イミド、無水物、エステル、酸ハライド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、無水マレイン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等を用いるのが一般的である。また、そのなかでも耐食性の観点からは無水マレイン酸を単独で若しくは無水マレイン酸と他の不飽和カルボン酸の1種又は2種以上を混合したものを用いるのが好ましい。
また、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アイオノマーをそれぞれ単独で、若しくは2種以上を混合して用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をポリエチレンに導入する方法としては、グラフト重合、ランダム重合、ブロック重合が挙げられる。特に、無水マイレン酸を0.01〜5重量%とするグラフト重合が好ましい。
なお、樹脂層とラミネート鋼板の接着は、鋼板に直接樹脂層を形成する押し出し法でも、樹脂層を一旦フィルムにして熱圧着する熱圧着法でも良い。
また、本発明で規定する樹脂層には、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、顔料、染料などを本発明の効果を損なわない限度で適量配合してもよい。但し、低融点で水溶液などに易溶性の配合物や低融点の配合物、例えばフェノール系の酸化防止剤などはできるだけ配合しないことが望ましい。
フィルム熱圧着法による本発明例
18L缶等、一般缶用途に通常用いられている板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂および酸洗した後、公知の方法により電解クロメート処理し、付着量が100mg/mの金属クロム層と、その上層に金属クロム換算での付着量が8mg/mのクロム水和酸化物層からなる電解クロメート処理層を形成した。
上記により得られた表面処理鋼板を樹脂フィルムの接着層の融点〜250℃に加熱し、鋼板の片面に樹脂フィルムをラミネートした後、2秒以内に水で急冷することによりラミネート鋼板を製造した。なお、用いた樹脂層および樹脂の詳細を表1に示す。また、上記のラミネート後、上層樹脂の融点以下の温度で缶外面側に相当する面にクリヤ塗装を行った。また、接着層としては、接着性ポリプロピレンと接着性ポリエチレンの混合物を用い、接着性ポリエチレンは、α−オレフィンを5mol%共重合化させたもので、接着性ポリエチレンの混合比率は15mol%、膜厚は5μmのものを用いた。
押し出し法による本発明例
上記フィルム熱圧着法の本発明例と同様の板厚0.32mmの冷延鋼板を通常の方法で電解脱脂および酸洗した後、公知の方法により電解クロメート処理し、付着量が100mg/mの金属クロム層と、その上層に金属クロム換算での付着量が8mg/mのクロム水和酸化物層からなる電解クロメート処理層を形成した。次いで、140℃程度に予熱し、Tダイ押し出し法(エクストリューダー法)により溶融樹脂を塗布した後、2秒以内に水で急冷することによりラミネート鋼板を製造した。なお、用いた樹脂層および樹脂の詳細を表1に示す。また、上記のラミネート後、上層樹脂の融点以下の温度で缶外面側に相当する面にクリヤ塗装を行った。また、接着層としては、接着性ポリプロピレンと接着性ポリエチレンの混合物を用い、接着性ポリエチレンは、α−オレフィンを5mol%共重合化させたもので、接着性ポリエチレンの混合比率は15mol%、膜厚は5μmのものを用いた。
Figure 2009096091
比較例
比較例では、表面処理鋼板の上層に有する樹脂層および樹脂を本発明の請求範囲を外れる組成の樹脂を用いた以外は、上記本発明例と同様に行った。なお、用いた樹脂層および樹脂の詳細を表2に示す。
Figure 2009096091
以上により得られた本発明例および比較例のラミネート鋼板に対して下記に示す方法により性能評価を行った。
(1)耐熱性(塗装印刷時におけるラミネート面の金属製の保持台との融着性)
樹脂被覆鋼板のラミネート面に、直径50mm重さ200gの円筒状の筒を静地した。この状態で、150℃×30分保持した後、冷却し、筒状体の接触跡の有無を調べ、接触跡がついた場合は×、つかなかった場合は○とした。
(2)加工後耐食性
ラミネート鋼板を48mmφに打ち抜き、このサンプルに肩半径1.7mmR、直径25mmのポンチとダイスのセットで、高さ2mmの高さになるように軽度の絞り加工を施した。作製したサンプルは、ポンチに沿った筒状部と、残余の平板部からなる帽子のような形状のサンプルとなる。この帽子形状外面側(凸側)のサンプルの筒状部の肩部は、略曲げ加工となる。このサンプルを中性洗剤(商品名:ライポンF)中に38℃で2日間浸漬し、取り出した後に、水洗、乾燥した。次に、シャーレに電解液(1%NaCl+界面活性剤)を適量注ぎ、これにサンプルを、下が凸側になるように置き、サンプルの肩部と上面のみが浸漬される状態にした。この状態で、サンプルの下地鋼板と電解液の間に、6.2Vの電圧をかけ(サンプルが陰極)、電圧負荷後4sec.後の電流値を測定した。電流値が10mA未満であれば○、10mA以上であれば×とした。
(3)堆積物評価
各鋼板を10000m連続で作製し、通板ロールに堆積する樹脂の状態を検査した。堆積物が認められない場合○、認められる場合を×とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2009096091
本発明例では、耐熱性、加工後耐食性、堆積物評価のいずれの特性も優れていた。
一方、比較例1は、上層樹脂のプロピレン層が厚すぎるため、下層のポリプロピレン層の高速変形緩和効果が十分に効かず、加工後耐食性が得られなかった。比較例2は、ポリプロピレン系層のエチレン成分の比率が低すぎる為、加工後耐食性が不充分であった。
比較例3はエチレン比率が高すぎるため、耐熱性に劣る結果となった。比較例4、5はポリプロピレン層が、ランダム共重合タイプ、あるいは、EPRコンパウンドタイプであり、エチレン成分の比率が低すぎる為、加工後耐食性が不充分であった。比較例6は押し出し法でラミネートした比較例であり、エチレン成分の比率が低すぎる為、加工後耐食性が不充分であった。比較例7はポリプロピレン系層の膜厚が薄すぎたため、加工後耐食性が劣る結果であった。比較例8、9は、ポリプロピレン系層が、エチレン−プロピレン共重合で無い場合の例であり、ポリプロピレン単層の場合は加工後耐食性が劣り、ポリエチレン単層の場合は耐熱性が劣る結果となった。比較例10〜12は、上層のポリプロピレン層が無い場合の比較例であり、堆積物評価が劣っていた。

Claims (3)

  1. 表面処理鋼板の少なくとも片面に、厚さ15〜200μmのプロピレン−エチレン共重合体を、更にその上層に、1〜5μmのポリプロピレン樹脂層を有し、前記プロピレン−エチレン共重合体は、エチレン成分とプロピレン成分の合計を100mol%とした場合、エチレン成分が3〜30mol%であることを特徴とする容器材料用ラミネート鋼板。
  2. 前記プロピレン−エチレン共重合体は、ポリプロピレンを母相とし、エチレン−プロピレンラバーをコンパウンドしたものであることを特徴とする請求項1記載の容器材料用ラミネート鋼板。
  3. 前記プロピレン−エチレン共重合体の下層に接着層を有することを特徴とする請求項1または2にいずれかに記載の容器材料用ラミネート鋼板。
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