JP6070903B2 - 食品容器用フィルムラミネート金属板、および、これを用いたツイストキャップおよび缶蓋 - Google Patents
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Description
本発明は、食品瓶詰用のツイストキャップの素材や食缶用の缶蓋の素材として適した、食品容器用フィルムラミネート金属板に関する。また、本発明は、このフィルムラミネート金属板を用いたツイストキャップ及び缶蓋に関する。本願は、2014年12月26日に、日本に出願された特願2014−264505号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、食品瓶詰用のツイストキャップの素材や、食缶用の缶蓋の素材には、塗装焼付けしたティンフリー鋼板が多く用いられている。また、この「塗装焼付け」には、缶用塗料であるエポキシ樹脂系塗料が広く用いられている。しかしながら、このエポキシ樹脂系塗料には、環境ホルモン物質であるビスフェノールAが含まれている。そのため、近年、ビスフェノールAを含まない塗料への要求が高まっている。
しかしながら、ビスフェノールAを含まない塗料は、エポキシ樹脂系塗料に比べて、塗膜の耐食性が低い。したがって、ビスフェノールAを含まない塗料を塗布した金属板を、ピクルスなどの酢酸成分を多く含む腐食性の強い食品の保存容器に用いた場合、十分な耐食性を確保できないという問題があった。
一方、ビスフェノールAを含まない缶用素材として、近年、ティンフリー鋼板の両面にポリエステル系フィルムを熱融着したフィルムラミネート鋼板の利用が広がりつつある。しかしながら、ティンフリー鋼板にポリエステル系フィルム単体をラミネートしただけでは、ピクルスなどの酢酸成分を多く含む腐食性の強い食品の保存容器として用いた場合、耐食性は十分でなかった。
このような課題に対して、特許文献1には、耐食性に優れる缶用樹脂フィルムラミネート鋼板として、缶内面となる片面に、ポリオレフィン樹脂を主体とする厚さ3〜30μmの下層と、ポリエステル樹脂を主体とする厚さ3〜30μmの上層とからなる樹脂被覆層を有することを特徴とする、耐食性及び香気保持性に優れた缶用樹脂フィルム被覆鋼板が示されている。この缶用樹脂フィルム被覆鋼板では、耐食性を高めるために缶内面側となるフィルム下層側に水蒸気透過性が低いポリオレフィン樹脂層が配され、上層側に香気保持を目的としてポリエステル系の樹脂が配されている。
また、特許文献2には、鋼板の一方の面がポリプロピレン(PP)フィルム、他方の面がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで被覆されていることを特徴とする耐アルカリ性に優れた缶用ラミネート鋼板が示されている。このラミネート鋼板では、塗料缶のようにめがね蓋を有する缶体において、缶内面側の耐アルカリ性、めがね蓋と缶胴の噛み合わせ部の噛み合わせ耐力、および外面疵付き性を向上させることを目的として、缶内面側となる面をPPフィルム、缶外面側となる面をPETフィルムとしている。
しかしながら、特許文献1の樹脂フィルムラミネート鋼板の場合、ポリオレフィン系の樹脂の融点が低いので、印刷焼付けを行うとポリオレフィン樹脂被覆層が溶融軟化し、上層のポリエステル系樹脂被覆層が熱収縮して割れるなど、被覆層の健全性が悪化する恐れがある。したがって、特許文献1のフィルムラミネート鋼板は、食缶用途やツイストキャップの用途には不向きである。
また、特許文献2のラミネート鋼板では、缶の内面側にPPフィルムのようなポリオレフィンフィルム層が配されているので、水蒸気透過性が低くなる。そのため、耐食性は向上すると考えられる。しかしながら、印刷焼付けを行うとポリオレフィン樹脂被覆層が溶融するので、被覆層の健全性が保てない恐れがある。さらに、ポリオレフィン樹脂は、香味成分が吸着しやすく、かつ、焼付け処理されるとオレフィン臭がしやすくなるので、食品容器用途には不向きである。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされた。本発明の目的は、環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まず、かつ、食品瓶詰用ツイストキャップや食缶用蓋の素材に適した特性、具体的には、腐食性の強い食品に対して高い耐食性を有し、かつ、加工性にも優れる、食品容器用フィルムラミネート金属板を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するための方法を鋭意検討した。その結果、フィルムラミネート金属板の樹脂フィルムとして、食品内容物側に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層を有し、金属板側にビスフェノールAを含まないポリエステル系フィルム層を有し、さらに、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層と、ポリエステル系フィルム層との間に接着層を有する樹脂フィルムを用いることで、ピクルス等の酢酸成分を含む食品内容物に対して優れた耐食性を示し、かつ、この金属板を蓋、キャップの加工に対しても、フィルムの剥離や割れがおこらないことを見出した。
本発明は上記の知見に基づいてなされ、その要旨は以下の通りである。
(1)すなわち、本発明の一態様に係る食品容器用フィルムラミネート金属板は、金属板と、前記金属板の一方の表面上に形成された樹脂フィルムとを備え、前記樹脂フィルムが、前記金属板の上に配された下部層と、前記下部層の上に配された接着層と、前記接着層の上に配された上部層とからなり、前記下部層が、ポリエステル系フィルム層であり、前記接着層が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、前記上部層が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。
(1)すなわち、本発明の一態様に係る食品容器用フィルムラミネート金属板は、金属板と、前記金属板の一方の表面上に形成された樹脂フィルムとを備え、前記樹脂フィルムが、前記金属板の上に配された下部層と、前記下部層の上に配された接着層と、前記接着層の上に配された上部層とからなり、前記下部層が、ポリエステル系フィルム層であり、前記接着層が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、前記上部層が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。
(2)上記(1)に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、前記上部層において、共重合体中の酢酸ビニルの比率が、20重量%以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、前記接着層の伸びが250%以上であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、前記ポリエステル系フィルム層が、延伸フィルムであってもよい。
(5)上記(4)に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、前記ポリエステル系フィルム層の厚みが8μm以上、30μm以下であり、前記接着層の厚みが0.1μm以上5.0μm以下であり、かつ、前記上部層の厚みが、1μm以上18μm以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、さらに、前記金属板の前記一方の表面とは反対側の表面上に、ポリエステル系フィルム層を備えてもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板では、前記金属板が、ティンフリースチール、Snめっき鋼板、または、アルミニウム板であってもよい。
(8)本発明の別の態様に係るツイストキャップは、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板を用いて成形されたものである。
(9)本発明の別の態様に係る缶蓋は、上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板を用いて成形されたものである。
本発明の上記態様によれば、食品瓶詰用ツイストキャップや食缶用蓋の素材に適した特性を有する、環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まない食品容器用フィルムラミネート金属板、具体的には、腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有し、かつ、加工性にも優れる、環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まない食品容器用フィルムラミネート金属板を提供することができる。
本発明の上記態様に係るフィルムラミネート金属板は、皮膜中に環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まず、腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有し、かつ、加工、焼付け処理、レトルト処理でもフィルムの損傷(剥離、割れ等)がないので、ツイストキャップおよび缶蓋用のフィルムラミネート金属板として極めて有用である。
また、このフィルムラミネート金属板を素材として用いて成形された、ツイストキャップや缶蓋は腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有する。
本発明の上記態様に係るフィルムラミネート金属板は、皮膜中に環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まず、腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有し、かつ、加工、焼付け処理、レトルト処理でもフィルムの損傷(剥離、割れ等)がないので、ツイストキャップおよび缶蓋用のフィルムラミネート金属板として極めて有用である。
また、このフィルムラミネート金属板を素材として用いて成形された、ツイストキャップや缶蓋は腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有する。
本発明の一実施形態に係るフィルムラミネート金属板(本実施形態に係るフィルムラミネート金属板)について説明する。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、以下の構成(i)〜(iii)を備える。これにより、本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、ピクルス等の酢酸成分を含む食品内容物に対して優れた耐食性を示し、かつ、この金属板を蓋、キャップの加工に対しても、フィルムの剥離や割れがおこらない。
(i)フィルムラミネート金属板が、金属板と、前記金属板の一方の表面上に形成された樹脂フィルムとを備える。
(ii)前記樹脂フィルムが、前記金属板の上に配された下部層と、前記下部層の上に配された接着層と、前記接着層の上に配された上部層とからなる。
(iii)前記下部層が、ポリエステル系フィルム層であり、前記接着層がウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、前記上部層が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。
以下、詳細に説明する。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、以下の構成(i)〜(iii)を備える。これにより、本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、ピクルス等の酢酸成分を含む食品内容物に対して優れた耐食性を示し、かつ、この金属板を蓋、キャップの加工に対しても、フィルムの剥離や割れがおこらない。
(i)フィルムラミネート金属板が、金属板と、前記金属板の一方の表面上に形成された樹脂フィルムとを備える。
(ii)前記樹脂フィルムが、前記金属板の上に配された下部層と、前記下部層の上に配された接着層と、前記接着層の上に配された上部層とからなる。
(iii)前記下部層が、ポリエステル系フィルム層であり、前記接着層がウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、前記上部層が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。
以下、詳細に説明する。
<金属板>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、樹脂フィルムをラミネートするための金属板を備える。この金属板は、すずめっき鋼板、ティンフリー鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などいずれでもよく、特に限定されるものではない。しかしながら、食品衛生性、加工性、耐食性、フィルム密着性、材料価格の観点から、すずめっき鋼板、あるいは、ティンフリー鋼板が、好適である。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、樹脂フィルムをラミネートするための金属板を備える。この金属板は、すずめっき鋼板、ティンフリー鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板などいずれでもよく、特に限定されるものではない。しかしながら、食品衛生性、加工性、耐食性、フィルム密着性、材料価格の観点から、すずめっき鋼板、あるいは、ティンフリー鋼板が、好適である。
金属板の板厚については、特に限定されるものではない。しかしながら、薄すぎると加工性が低下するので好ましくない。また、厚過ぎると経済的でない上、曲げ加工部でフィルムが割れやすくなる。したがって、これらの点から、金属板の厚みは0.12mm以上0.40mm以下が好ましい。
金属板の表面粗さは、特に限定されるものではない。しかしながら金属板の表面粗さが、JISB0601に規定される算術平均粗さRaで0.05μm未満の場合、フィルムラミネート金属板をキャップに成形加工する際に摺動性が悪くなる。一方、金属板の表面粗さが平均粗さRaで0.8μmを超える場合、フィルムラミネート金属板をキャップに成形加工した後のフィルム表面に微小な疵が入り、ピンホールになりやすい。そのため、金属板の表面粗さは、平均粗さRaで、0.05μm以上、0.8μm以下の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1μm以上、0.6μm以下である。
金属板は、表面処理が施された表面処理鋼板でもよい。例えば、製缶品の内面側となる金属板表面に、金属板とポリエステル系フィルム層との密着性を向上させることを目的として、Cr、Zr、Al、Si、P、Ti、Ce、Wから選ばれる1種以上の元素、および、O、および、不可避成分からなる化成処理皮膜が形成されていてもよい。上記元素の水酸化物および酸化物からなる化成処理皮膜は、水酸基を有しているので、ポリエステル樹脂が持つ水酸基との間に水素結合を作る。そのため、金属板とポリエステル系フィルムとの密着性が向上する。
Cr、Zr、Al、P、Ti、Ce、Wから選ばれる1種以上の元素を含む化成処理皮膜の形成方法としては、各種元素のフッ化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、蟻酸塩、炭酸塩などの水溶液中で電解処理する方法や、浸漬によるエッチング反応を利用する方法などを採用することができる。化成処理の後、水洗あるいは湯洗を行うことにより、上記元素の対イオン種のほとんどは化成処理皮膜中から除去されるが、不可避成分として微量残存する場合がある。不可避成分である対イオン種は、化成処理皮膜の特性に影響を及ぼさない範囲であれば、存在していても構わない。
金属板は、上記化成処理皮膜以外に、シランカップリング剤処理などにより形成された皮膜を有していてもよい。シランカップリング剤処理により形成された皮膜はSi化合物を含み、金属板、および、ポリエステル樹脂との密着性に優れているので好ましい。
<樹脂フィルム>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、金属板の表面上に樹脂フィルムを備える。図1に示すように、この樹脂フィルム2は、3層からなり、金属板1側から順に、下部層21、接着層22、上部層23となっている。また、この下部層21は、ポリエステル系フィルム層であり、接着層22はウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、上部層23は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。この樹脂フィルム21は、少なくとも、フィルムラミネート金属板を食品容器に加工する際に食品と直接接する側の面の片面に形成されていればよい。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、金属板の表面上に樹脂フィルムを備える。図1に示すように、この樹脂フィルム2は、3層からなり、金属板1側から順に、下部層21、接着層22、上部層23となっている。また、この下部層21は、ポリエステル系フィルム層であり、接着層22はウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、上部層23は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。この樹脂フィルム21は、少なくとも、フィルムラミネート金属板を食品容器に加工する際に食品と直接接する側の面の片面に形成されていればよい。
<下部層>
樹脂フィルムのうち、金属板に接する側の下部層は、ポリエステル系フィルム層である。下部層をポリエステル系フィルムからなるポリエステル系フィルム層とすることで、加工性、密着性、耐食性、衛生性、香味保持性に優れる。
樹脂フィルムのうち、金属板に接する側の下部層は、ポリエステル系フィルム層である。下部層をポリエステル系フィルムからなるポリエステル系フィルム層とすることで、加工性、密着性、耐食性、衛生性、香味保持性に優れる。
ポリエステル系フィルムは、延伸フィルムでも無延伸フィルムでも良く、特に限定されない。しかしながら、延伸フィルムの方が、無延伸フィルムに比べて、耐食性、強度に優れ、かつ、無延伸フィルムに比べて低コストであるので、より好ましい。
ポリエステル系フィルムを構成する樹脂としては、例えば、エチレンテレフタレート単位を主体とし、エチレンテレフタレート単位以外に共重合成分としてエチレンイソフタレート単位、または、ブチレンテレフタレート単位を含む共重合ポリエステルであってもよく、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体、または、ポリエチレンテレフタレート・ブチレンテレフタレート共重合体との混合物が挙げられる。
エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタレート単位との比率については、エチレンイソフタレート単位がポリエステル系フィルム全体の12mol%以下であることが好ましい。ポリエステル系フィルム中のポリエチレンイソフタレート単位の比率が12mol%を越える場合、配向結晶層の結晶化度が低くなるので、フィルムの透湿性が増し耐食性が低下する場合がある。
ポリエステル系樹脂の分子量は、固有粘度(IV)と良い相関があり、分子量を固有粘度で管理するのが一般的である。そのため、ポリエステルフィルムの分子量に相当する管理値として固有粘度(IV)を適正な範囲とすることが好ましい。具体的には、ポリエステル系フィルムの固有粘度(IV)が、0.30[dl/g]以上であれば、樹脂の強度、伸びが高いので好ましい。ここで、固有粘度は、25℃のo−クロロフェノール溶媒中に樹脂を0.5%の濃度で溶解させた溶液を用いて測定し、下記(i)式によって求められる。
固有粘度={ln(t/t0)}/C (i)
なお、式中Cは溶液100ml当たりの樹脂のグラム数で表した濃度を、t0は溶媒の流下時間(秒)を、tは溶液の流下時間(秒)を各々表す。
固有粘度={ln(t/t0)}/C (i)
なお、式中Cは溶液100ml当たりの樹脂のグラム数で表した濃度を、t0は溶媒の流下時間(秒)を、tは溶液の流下時間(秒)を各々表す。
ポリエステル系フィルムのガラス転移点温度については、内容物へのオリゴマー成分の溶出を防止する点で、50℃以上が好ましく、60℃〜90℃の範囲であることがより好ましい。
ポリエステル系フィルムの熱収縮率は15%以下が好ましい。熱収縮率が15%を超える場合、製缶後に缶胴部に印刷焼付け処理を行う缶に適用すると、フランジ部でフィルムが剥離する場合があるので好ましくない。また、熱収縮率が15%を超える場合、高温でレトルト滅菌処理を施す用途に用いられると、レトルト時にフィルム密着性が低下して剥離することがあるので好ましくない。
ポリエステル系フィルムの熱収縮率は15%以下が好ましい。熱収縮率が15%を超える場合、製缶後に缶胴部に印刷焼付け処理を行う缶に適用すると、フランジ部でフィルムが剥離する場合があるので好ましくない。また、熱収縮率が15%を超える場合、高温でレトルト滅菌処理を施す用途に用いられると、レトルト時にフィルム密着性が低下して剥離することがあるので好ましくない。
ポリエステル系フィルムの厚みは、8μm以上、30μm以下が好ましい。ポリエステル系フィルムの厚みが8μm未満の場合、内容物によっては耐食性が不十分になったり、また、容器等への加工の際にフィルムが割れる場合がある。一方、ポリエステル系フィルムの厚みが30μmを超える場合、金属板との融着非晶層に比べて、配向層厚が相対的に厚くなるので、成形及びレトルト処理後の収縮力が強くなり、フィルムが剥離する場合がある。
また、ポリエステル系フィルムの伸びは100%以上であることが好ましい。
ポリエステル系フィルムの伸びが、100%未満の場合、フィルムラミネート金属板として蓋やキャップに加工する際、曲げ半径の小さい部分でフィルム表面が割れる場合がある。このような割れは、特に蓋内面側では腐食発生の起点になるので好ましくない。
ポリエステル系フィルムの伸びが、100%未満の場合、フィルムラミネート金属板として蓋やキャップに加工する際、曲げ半径の小さい部分でフィルム表面が割れる場合がある。このような割れは、特に蓋内面側では腐食発生の起点になるので好ましくない。
また、ブロッキングを防止する目的で、ポリエステル系フィルム中にシリカなどの無機粒子を混入分散させてあっても本実施形態の効果を損なうものではない。
<接着層>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板の表面上に備えられた樹脂フィルムにおいて、下部層の上には、接着層が配される。すなわち、接着層は、下部層と上部層との間に配される。この接着層は、ウレタン系樹脂からなるウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂からなるウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂からなるアイオノマー系樹脂層である。なお、これらを混合して用いても構わない。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板の表面上に備えられた樹脂フィルムにおいて、下部層の上には、接着層が配される。すなわち、接着層は、下部層と上部層との間に配される。この接着層は、ウレタン系樹脂からなるウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂からなるウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂からなるアイオノマー系樹脂層である。なお、これらを混合して用いても構わない。
ポリエステル系フィルム層の上に塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層を直接塗工した場合、十分な密着性が得られない。これに対し、ウレタン系樹脂、ウレタンウレア系樹脂、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、またはアイオノマー系樹脂を含む接着層を間に配することで、ポリエステル系フィルム層と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層との密着性が大きく高まる。
ウレタン系樹脂またはウレタンウレア系樹脂は、共重合ポリエステル系樹脂、および/または、ポリエーテルポリオール、および/または、ポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物、および/または、ポリアミン化合物からなるコート剤が、ポリエステル系フィルムと塩化ビニル酢酸ビニル共重合系樹脂との両方に対して密着性が高く、柔軟性も高い。そのため、ウレタン系樹脂またはウレタンウレア系樹脂からなる接着層を下部層と上部層との間に用いた場合、金属板をキャップ加工してもポリエステル系フィルム層と塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層との密着性が高まるので好ましい。
1.ウレタン系樹脂
ウレタン系樹脂としては、例えば、東ソー株式会社製NIPPORANN3022、3110、3113、3126などを用いることができる。
また、ウレタン系樹脂は、さらにイソシアネート化合物を添加混合して架橋したものを用いてもよい。
添加混合するイソシアネート化合物としては、例えば、東ソー株式会社製CORONATE L、HL、T−80、T−65、T−100、MILLIONATE MR−100、200などの、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)などが挙げられる。
ウレタン系樹脂としては、例えば、東ソー株式会社製NIPPORANN3022、3110、3113、3126などを用いることができる。
また、ウレタン系樹脂は、さらにイソシアネート化合物を添加混合して架橋したものを用いてもよい。
添加混合するイソシアネート化合物としては、例えば、東ソー株式会社製CORONATE L、HL、T−80、T−65、T−100、MILLIONATE MR−100、200などの、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)などが挙げられる。
2.ウレタンウレア系樹脂
ウレタンウレア系樹脂は、ウレタン系樹脂にイソシアネート化合物とメラミン化合物が添加混合されたものであってもよい。
メラミン化合物の例としては、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、207などの、メトキシメチル化ベンゾグアナミン化合物などが挙げられる。
ウレタンウレア系樹脂は、ウレタン系樹脂にイソシアネート化合物とメラミン化合物が添加混合されたものであってもよい。
メラミン化合物の例としては、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、207などの、メトキシメチル化ベンゾグアナミン化合物などが挙げられる。
3.不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト重合させる方法等により得られるものである。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、コポリマーとしては、例えば、エチレンとプロピレンとのランダムまたはブロック共重合体等があげられる。その他コポリマーとしては、エチレン又はプロピレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどのα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。これらを単独で又は2種以上混合して使用もよい。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸をグラフト重合させる方法等により得られるものである。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、コポリマーとしては、例えば、エチレンとプロピレンとのランダムまたはブロック共重合体等があげられる。その他コポリマーとしては、エチレン又はプロピレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどのα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。これらを単独で又は2種以上混合して使用もよい。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂にグラフトさせる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸、又はその酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などがあげられる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリエチレンADOMER NE065、あるいは、三井化学社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレンADOMER QE060などが挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂は、イソシアネート化合物やアミノ樹脂を添加混合して架橋して得られたものであってもよい。
4.アイオノマー系樹脂
アイオノマー系樹脂とは、ビニルモノマーとα、β−不飽和カルボン酸との共重合体で、共重合体中のカルボン酸の一部もしくは全部を金属イオンにより中和したものである。
アイオノマー系樹脂とは、ビニルモノマーとα、β−不飽和カルボン酸との共重合体で、共重合体中のカルボン酸の一部もしくは全部を金属イオンにより中和したものである。
アイオノマー系樹脂のうち、オレフィン系アイオノマーとしては、例えば、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸との共重合体、あるいは、エチレンとマレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との共重合体であって、共重合体中のカルボキシル基の一部もしくは全部がナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属イオンで中和された樹脂が挙げられる。食品用途に用いる場合、カルボキシル基を有する構成単位が2〜15mol%であるエチレンとアクリル酸またはメタクリル酸の共重合体で、重合体中のカルボキシル基の30〜70%がナトリウム、亜鉛等の金属陽イオンで中和されているものが、好適である。
アイオノマー系樹脂の例としては、三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1557(中和イオン:Zn)、あるいは、三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1707(中和イオン:Na)などがあげられる。
接着層(ウレタン系樹脂層、ウレタンウレア系樹脂層、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、またはアイオノマー系樹脂層)の厚みは、0.1μm以上5.0μm以下が好ましい。接着層の厚みが0.1μm未満の場合、フィルムラミネート金属板を加工した際に上部層(ポリエステル系フィルム層)と、下部層(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層)とが剥離する場合がある。一方、接着層の厚みが5.0μmを超えると、その上に配する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層がずれやすくなる場合がある。この場合、プレス加工を行った際に、上部層に微小な割れが入り、耐食性が低下する。
接着層の伸びが250%未満の場合、フィルムラミネート金属板を加工した際に下部層と上部層とが剥離する場合がある。接着層の伸びが250%未満であると、プレス加工によって生ずる上部層と下部層のズレを接着層で吸収できなくなるので、接着層の伸びは、250%以上であることが好ましい。
また、接着層に用いられる樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、80℃以下であることが好ましい。ガラス転移点温度(Tg)が80℃を超えると加工時に、接着層と上部層との界面で微小な剥離が生じる場合がある。
接着層に用いられる樹脂の分子量は、数平均分子量で、400〜5000であることが好ましい。樹脂の数平均分子量が400未満の場合、接着層の伸びが小さくなり、フィルムラミネート金属板をキャップ加工する際、上部層との間で剥離が生じる場合がある。一方で、樹脂の数平均分子量が、5000を越える場合、樹脂の強度及び伸びは高くなるが、溶液粘度が高くなり、塗工ムラがおこりやすくなる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びアイオノマー系樹脂は、官能基を有し、ウレタン系樹脂及びウレタンウレア系樹脂よりも、ポリエステル系フィルム層と、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層との密着性を高める効果が大きい。そのため、接着層は、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、またはアイオノマー系樹脂層であることが好ましい。
キャップおよび蓋の外観の意匠性を向上させることを目的として、接着層中に染料(例えば、ゴールド外観にするための黄色染料など)あるいは顔料を添加しても良い。
<上部層>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板の樹脂フィルムの上部層は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。上部層は、本実施形態に係るフィルムラミネート金属板において、最外層に設けられ、キャップや缶蓋に加工された場合には、食品と直接接することが想定される。したがって、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層を最外層に設ける目的は、主にピクルス等酢酸を多く含む内容物に対する耐食性の向上である。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、透水性が低いので、例えば、瓶詰め食品のレトルト殺菌熱処理を行っても、キャップ内面のラミネートフィルムの密着性が低下し難く、結果、耐食性が高くなる。また、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル共重合体であるため、その他の塩化ビニル系樹脂より柔軟性、基材との密着性に優れる。ただし、共重合体中の酢酸ビニルの比率が20重量%を超えると皮膜が柔らかくなり過ぎて、フィルムラミネート金属板にした際の成形フィルム表面が損傷しやすくなる。したがって、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層において、共重合体中の酢酸ビニルの比率が、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは3重量%以上18重量%以下である。その他、接着層には、接着層を軟質することを目的として、食品衛生上問題のない高分子可塑剤を適宜添加しても良い。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板の樹脂フィルムの上部層は、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である。上部層は、本実施形態に係るフィルムラミネート金属板において、最外層に設けられ、キャップや缶蓋に加工された場合には、食品と直接接することが想定される。したがって、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層を最外層に設ける目的は、主にピクルス等酢酸を多く含む内容物に対する耐食性の向上である。塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、透水性が低いので、例えば、瓶詰め食品のレトルト殺菌熱処理を行っても、キャップ内面のラミネートフィルムの密着性が低下し難く、結果、耐食性が高くなる。また、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル共重合体であるため、その他の塩化ビニル系樹脂より柔軟性、基材との密着性に優れる。ただし、共重合体中の酢酸ビニルの比率が20重量%を超えると皮膜が柔らかくなり過ぎて、フィルムラミネート金属板にした際の成形フィルム表面が損傷しやすくなる。したがって、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層において、共重合体中の酢酸ビニルの比率が、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは3重量%以上18重量%以下である。その他、接着層には、接着層を軟質することを目的として、食品衛生上問題のない高分子可塑剤を適宜添加しても良い。
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の例としては、例えば株式会社カネカ製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂M1008、MA1008、MB1008、HM612、HM515、日信化学工業株式会社製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂SOLBIN C、SOLBIN CL、SOLBIN CLL、SOLBIN A、SOLBIN ALなどがあげられる。
上部層の厚みは、1μm以上18μm以下であると好ましい。上部層の厚みが1μm未満の場合、耐食性が低下する場合がある。一方、上部層の厚みが18μmを超えると、フィルムラミネート金属板を加工した際、塩化ビニル系樹脂層の表面に微小な亀裂が生じる場合があり、かえって耐食性が悪くなる場合がある。
<食品と接しない側の樹脂層>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、食品容器として用いる場合に食品内容物と直接接することになる少なくとも一方の面に、上述の樹脂フィルムが備えられていればよい。食品内容物と接しない側であるもう一方の面(反対側の面)には、同様の樹脂フィルムが備えられていてもよいが、コスト等の点から、缶用ポリエステル塗料等を用いた塗装焼付け皮膜、または、ポリエステル系フィルム層を備えていてもよい。耐疵付性、耐レトルト性、衛生性等の点からは、塗装焼付け皮膜より、ポリエステル系フィルム層であることがより好ましい。耐食性の点から、ポリエステル系フィルム層の場合、厚みは8μm以上であることが好ましい。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、食品容器として用いる場合に食品内容物と直接接することになる少なくとも一方の面に、上述の樹脂フィルムが備えられていればよい。食品内容物と接しない側であるもう一方の面(反対側の面)には、同様の樹脂フィルムが備えられていてもよいが、コスト等の点から、缶用ポリエステル塗料等を用いた塗装焼付け皮膜、または、ポリエステル系フィルム層を備えていてもよい。耐疵付性、耐レトルト性、衛生性等の点からは、塗装焼付け皮膜より、ポリエステル系フィルム層であることがより好ましい。耐食性の点から、ポリエステル系フィルム層の場合、厚みは8μm以上であることが好ましい。
食品内容物と接しない側の樹脂層には、キャップおよび蓋の外観の意匠性や印刷写りの向上を目的として種々の顔料(例えば白色化するための酸化チタン、ゴールド色にするための黄色顔料等)、あるいは染料(例えば、ゴールド色にするための黄色染料など)を混入分散させても良い。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、その製造方法によらず、上述の構成を有していれば、その効果が得られるが、例えば以下のような方法で得ることができる。
<フィルムラミネート>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、公知の金属板の上に、下部層、接着層及び上部層の3層からなる樹脂フィルムを、金属板と融着させる側が下部層、キャップまたは缶蓋にした際に食品内容物と直接接触する側が上部層となるように配置して、ラミネートすることで得られる。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、公知の金属板の上に、下部層、接着層及び上部層の3層からなる樹脂フィルムを、金属板と融着させる側が下部層、キャップまたは缶蓋にした際に食品内容物と直接接触する側が上部層となるように配置して、ラミネートすることで得られる。
フィルムのラミネート方法としては、例えば、ホットプレス、誘導加熱、熱風乾燥炉、ロール加熱などの方法で加熱された金属板に、給装したフィルムをフィルムラミネートロールによって圧着し、フィルムを熱融着させる方法が、幅、長さ方向均一なフィルム層構造を作り込めるので好ましい。もう一方の面に、ポリエステル系樹フィルムをさらに備えるようにする場合には、ホットプレス、誘導加熱、熱風乾燥炉、ロール加熱などの方法で加熱された金属板に、金属板の表裏面側から表裏面別々にフィルムを給装し、フィルムラミネートロールによって圧着し、フィルムを表裏面同時に熱融着させる方法が、幅、長さ方向均一なフィルム層構造を作り込めるので好ましい。
金属板の加熱方法については、複数のスチーム等の熱媒体をロール内部に通して加熱するジャケットロール、あるいは、ヒーターを内蔵した加熱ロールに金属板を通板させて加熱させる方法が、金属板幅方向、長さ方向を均一に安定して加熱することができるので特に好ましい。
フィルムラミネートロールとしては、フィルムラミネート部で適度なニップ長を確保できるのでゴムロールが好ましい。ゴムロールの材質としては、フッ素ゴム、シリコンゴムなど耐熱性の高いゴムが特に好ましい。
上記方法でフィルムを金属板に熱融着させた後は、ただちに水冷、気水冷却、または冷風等の方法で、フィルムラミネート金属板をポリエステル系フィルムの結晶化温度より低い温度まで冷却することが好ましい。フィルムを金属板に熱融着させた後、ただちにポリエステル系フィルムの結晶化温度より低い温度まで冷却することで、熱融着した溶融非晶相が球晶化してフィルム接着面が脆化するのを防止できる。フィルムを金属板に熱融着させてから結晶化温度以下に冷却するまでの時間は、1秒以下であるのが好ましい。下部層であるポリエステル系フィルム層を金属板に熱融着させてから結晶化温度以下までの時間が1秒を超えると熱融着した溶融非晶相が球晶化し始め、フィルム接着面が脆化し剥離強度が低下する場合がある。
金属板にラミネートする樹脂層は、以下の方法で3層とすることができる。すなわち、上部層となるポリエステル系フィルムに、接着層となるウレタン系樹脂、ウレタンウレア系樹脂、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、または、アイオノマー系樹脂層樹脂を、塗工するまたは、共押出しすることによって形成させ、更に、上部層となる塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を塗工する等すればよい。
接着層をウレタン系樹脂層またはウレタンウレア系樹脂層とする場合、これらの樹脂をポリエステル系フィルムに塗工して用いるのが、均一な薄膜層が得られるので好ましい。ウレタン系樹脂またはウレタンウレア系樹脂をポリエステル系フィルムに塗工する方法としては、例えば、グラビアロール、ロールコーター等、通常の方法でウレタン樹脂溶液をフィルム上に塗布し、その後、乾燥炉で乾燥する方法があげられる。
接着層を不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層をポリエステル樹脂層上とする場合には、ポリエステル系フィルムを溶融押し出ししてフィルム成形する際に、共押出ししてポリエステル系フィルム上に形成させるのが、均一な薄膜層が得られるので好ましい。
より具体的には、2台以上の一軸あるいは二軸の押出機および2層または多層Tダイを備えた製膜装置からポリエステル系樹脂と不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂またはアイオノマー系樹脂とを同時に溶融押出しすることにより、ポリエステル系フィルム層上に不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層またはアイオノマー系樹脂層を形成させる方法が好ましい。
より具体的には、2台以上の一軸あるいは二軸の押出機および2層または多層Tダイを備えた製膜装置からポリエステル系樹脂と不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂またはアイオノマー系樹脂とを同時に溶融押出しすることにより、ポリエステル系フィルム層上に不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層またはアイオノマー系樹脂層を形成させる方法が好ましい。
ポリエステル系フィルム層の厚みと不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層またはアイオノマー系樹脂層の厚みとは、それぞれの押出機のスクリュー回転数、バレル温度等を調節して適正な押出量とすることで調整できる。また、全体の膜厚は、フィルム引き取り速度で調整できる。
上部層である塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層を接着層上に積層させる方法としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂のゾルを接着層上に所定の厚みとなるように塗工する方法が、密着性が高く、膜厚が均一な塗膜が得られるので好ましい。塗工方法としては、例えば、グラビアロール、ロールコーター等、通常の塗工方法が、工程が簡略であるため好ましい。その他の積層方法としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂からなるフィルムを、接着層を形成させたポリエステル系フィルムに、常法に従ってドライラミネートする方法があげられる。
<ワックス>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板では、フィルムを金属板に熱融着してラミネートした後、ラミネート金属板の表面にワックスを塗布しても構わない。ワックスを塗布することで、成形の際にドライ成形を行うことができようになる。ワックスとしてはグラマーワックス等があげられる。
ワックスをフィルムラミネート金属板に塗布する方法としては、溶融したワックスをロールコーターでフィルムラミネート金属板の表面に塗布し、冷却固化させる方法や、溶剤にワックスを溶かして、フィルムラミネート金属板を浸漬させ、乾燥させる方法等が挙げられる。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板では、フィルムを金属板に熱融着してラミネートした後、ラミネート金属板の表面にワックスを塗布しても構わない。ワックスを塗布することで、成形の際にドライ成形を行うことができようになる。ワックスとしてはグラマーワックス等があげられる。
ワックスをフィルムラミネート金属板に塗布する方法としては、溶融したワックスをロールコーターでフィルムラミネート金属板の表面に塗布し、冷却固化させる方法や、溶剤にワックスを溶かして、フィルムラミネート金属板を浸漬させ、乾燥させる方法等が挙げられる。
<キャップ、缶蓋への成形>
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、通常の成形機によって、食品保存容器のキャップや缶蓋に成形可能である。フィルムラミネート金属板の表面にワックスを塗布した場合は、成形時に特に潤滑する必要はない。フィルムラミネート金属板の表面にワックスをしていない場合は、通常の潤滑でもよいが、潤滑油を洗浄する手間がかかるので、水を噴霧して潤滑してもよい。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、通常の成形機によって、食品保存容器のキャップや缶蓋に成形可能である。フィルムラミネート金属板の表面にワックスを塗布した場合は、成形時に特に潤滑する必要はない。フィルムラミネート金属板の表面にワックスをしていない場合は、通常の潤滑でもよいが、潤滑油を洗浄する手間がかかるので、水を噴霧して潤滑してもよい。
本実施形態に係るフィルムラミネート金属板は、環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まず、かつ、腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有し、かつ、加工、焼付け処理でもフィルムの損傷(剥離、割れ等)がないので、食品瓶詰め用のツイストキャップおよび缶蓋用のフィルムラミネート金属板として極めて有用である。
本発明の食品容器用フィルムラミネート金属板について、実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、実施例における条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能である。よって、本発明は、種々の条件を採用し得、それらは何れも本発明の技術的特徴に含まれる。
実施例、比較例を通じ、表1に示す金属板に、表2〜表10に示す樹脂フィルムを表11〜19に示す条件で各面にラミネートし、焼付け処理及び成形を行った後、成形品に対してERV測定、耐食性評価試験、密着性評価試験を行った。具体的には以下の通りである。
1.金属板
表1に示すM1〜M5の金属板を用いた。金属板がめっき鋼板、または化成処理鋼板である場合、その内容も以下に示した。
M1〜M5は、厚さ0.20mm、表面粗度Ra=0.3μmの金属板を5%水酸化ナトリウム水溶液中で陰極電解処理してアルカリ脱脂した金属板である。M1は、鋼板表面に金属クロム層(80mg/m2)、クロム水和酸化物層(10mg/m2)があるティンフリー鋼板である。M2は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn-Fe合金層(1.3g/m2)、純Sn層(1.5g/m2)、クロム水和酸化物層(10mg/m2)がある、所謂ブリキ鋼板である。
M3は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn−Fe合金層(1.3g/m2)、Sn層(1.5g/m2)、ZrO2(Zr量5mg/m2)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M4は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn−Fe合金層(1.3g/m2)、Sn層(1.5g/m2)、TiO2(Ti量5mg/m2)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M5は、アルミニウム合金板(A5052)上にZrO2(Zr量5mg/m2)の皮膜層を形成させたクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリータイプのアルミニウム板である。
表1に示すM1〜M5の金属板を用いた。金属板がめっき鋼板、または化成処理鋼板である場合、その内容も以下に示した。
M1〜M5は、厚さ0.20mm、表面粗度Ra=0.3μmの金属板を5%水酸化ナトリウム水溶液中で陰極電解処理してアルカリ脱脂した金属板である。M1は、鋼板表面に金属クロム層(80mg/m2)、クロム水和酸化物層(10mg/m2)があるティンフリー鋼板である。M2は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn-Fe合金層(1.3g/m2)、純Sn層(1.5g/m2)、クロム水和酸化物層(10mg/m2)がある、所謂ブリキ鋼板である。
M3は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn−Fe合金層(1.3g/m2)、Sn層(1.5g/m2)、ZrO2(Zr量5mg/m2)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M4は、リフロー処理したすずめっき鋼板であり、鋼板側からSn−Fe合金層(1.3g/m2)、Sn層(1.5g/m2)、TiO2(Ti量5mg/m2)を主体とするクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリーSnめっき鋼板である。M5は、アルミニウム合金板(A5052)上にZrO2(Zr量5mg/m2)の皮膜層を形成させたクロメートフリータイプの化成処理皮膜を有するクロメートフリータイプのアルミニウム板である。
2.樹脂フィルム
表2に示すP1〜P15のポリエステル系フィルムを用いた。
表2に示すP1〜P15のポリエステル系フィルムを用いた。
(下部層)
鋼板と直接溶融接着される下部層のポリエステル系フィルムとしては、P1〜P5に示すようなポリエチレンテレフタレート(PET)の2軸延伸フィルム、P6〜P10に示すようなポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体(イソフタレートが12mol%)の2軸延伸フィルム(IA−PET)、P11〜15に示すようなポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体(PET−PBT)を用いた。
鋼板と直接溶融接着される下部層のポリエステル系フィルムとしては、P1〜P5に示すようなポリエチレンテレフタレート(PET)の2軸延伸フィルム、P6〜P10に示すようなポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートの共重合体(イソフタレートが12mol%)の2軸延伸フィルム(IA−PET)、P11〜15に示すようなポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの共重合体(PET−PBT)を用いた。
ポリエステル系フィルムの融点は、フィルムを示差走査型熱量計で熱分析した際の吸熱ピーク温度によって求めた。より詳細には、株式会社日立ハイテクサイエンス社製DSC7030で、アルミパンに封入したフィルム8mgを昇温速度10℃/min.で昇温して測定した。
ポリエステル系フィルムの伸びの測定は以下の方法で行った。
フィルムを10mm×70mmに切断し、その両端の20mm部分にセロハンテープを貼って補強し、引張試験片を作製した。引張試験は、引張試験機のチャック間距離を30mmに設定してから、チャック部に薄膜試験片の両端のつかみ部20mmをチャックに挟んで固定し、20mm/分の測定で行った。伸びの計算は、薄膜試験片が破断したときのチャックの移動距離を元のチャック間距離の30mmで割り、その値を百分率表示する方法とした。
フィルムを10mm×70mmに切断し、その両端の20mm部分にセロハンテープを貼って補強し、引張試験片を作製した。引張試験は、引張試験機のチャック間距離を30mmに設定してから、チャック部に薄膜試験片の両端のつかみ部20mmをチャックに挟んで固定し、20mm/分の測定で行った。伸びの計算は、薄膜試験片が破断したときのチャックの移動距離を元のチャック間距離の30mmで割り、その値を百分率表示する方法とした。
(接着層)
接着層として、表3に示すU1〜U12のウレタン系樹脂、U13〜U14に示すウレタンウレア系樹脂、あるいは、表4に示すQ1〜Q5に示す不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びQ6〜Q10に示すアイオノマー系樹脂を用いた。
ウレタン系樹脂層またはウレタンウレア系樹脂層は、溶剤系の樹脂液をポリエステル系フィルム上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥させることによって形成させた。
また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、及びアイオノマー系樹脂層は、ポリエステル系フィルムとの共押出しによって形成させた。
接着層として、表3に示すU1〜U12のウレタン系樹脂、U13〜U14に示すウレタンウレア系樹脂、あるいは、表4に示すQ1〜Q5に示す不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びQ6〜Q10に示すアイオノマー系樹脂を用いた。
ウレタン系樹脂層またはウレタンウレア系樹脂層は、溶剤系の樹脂液をポリエステル系フィルム上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥させることによって形成させた。
また、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、及びアイオノマー系樹脂層は、ポリエステル系フィルムとの共押出しによって形成させた。
共押出しフィルムの製膜に用いたポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂は、融点255℃、固有粘度(IV)=0.55dl/g、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(12mol%)共重合体(IA−PET)樹脂は、融点228℃、固有粘度(IV)=0.55dl/gのペレットを用いた。
ポリエステル系樹脂とともに共押出しする不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、三井化学株式会社製ADOMER NE065(樹脂単体での伸びは250%超)を用い、アイオノマー系樹脂としては、三井デュポンポリケミカル株式会社製、ハイミラン1707(樹脂単体での伸びは250%超)を用いた。
ポリエステル系フィルムと不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、または、アイオノマー樹脂系樹脂の積層フィルムを作製する方法としては、単軸の押出機および2層Tダイを備えた製膜装置の一方の押出機にポリエステル系樹脂、他方の押出機に不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂またはアイオノマー系樹脂を投入し、押出し機のバレル温度を各樹脂の融点+20℃以上に設定して、同時に溶融押出しすることにより、ポリエステル樹脂層上に不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層またはアイオノマー系樹脂層を形成させた。
また、溶融押し出ししたフィルムをさらに2軸延伸することにより、延伸フィルムを作製した。一方、無延伸フィルムは、所定厚まで薄くなるよう、Tダイから溶融押し出しされた樹脂を冷却ドラムで引き取ることにより作製した。
また、溶融押し出ししたフィルムをさらに2軸延伸することにより、延伸フィルムを作製した。一方、無延伸フィルムは、所定厚まで薄くなるよう、Tダイから溶融押し出しされた樹脂を冷却ドラムで引き取ることにより作製した。
ポリエステル系樹脂と不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂またはアイオノマー樹脂系樹脂とを共押出しして作製したフィルムの、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層またはアイオノマー系樹脂層の厚みは、ミクロトーム切削装置でフィルムの断面薄膜試料を作製し、偏光顕微鏡観察して測定した。
ウレタン系樹脂層またはウレタンウレア系樹脂層の伸びは、ウレタン系樹脂またはウレタンウレア系樹脂の薄膜を作製して、引張試験することによって測定した。
ウレタン系樹脂またはウレタンウレア系樹脂の薄膜の作製方法は、まず、ポリプロピレンシート上にウレタン系樹脂溶液をバーコーターで塗布し、常温である程度溶剤を揮発させてから、テフロン(登録商標)シート上に転写し、次に180℃の乾燥炉で10分間乾燥して得た。
引張試験片は、以下の方法で行った。
上記のテフロン(登録商標)シート上で乾燥させた樹脂薄膜を10mm×70mmに切断した後、テフロン(登録商標)シートから剥離して、その両端の20mm部分にセロハンテープを貼って補強することによって作製した。引張試験は、引張試験機のチャック間距離を30mmに設定してから、チャック部に薄膜試験片の両端のつかみ部20mmをチャックに挟んで固定し、20mm/分の測定で引張試験を行った。伸びの計算は、薄膜試験片が破断したときのチャックの移動距離を元のチャック間距離の30mmで割り、その値を百分率表示する方法とした。
上記のテフロン(登録商標)シート上で乾燥させた樹脂薄膜を10mm×70mmに切断した後、テフロン(登録商標)シートから剥離して、その両端の20mm部分にセロハンテープを貼って補強することによって作製した。引張試験は、引張試験機のチャック間距離を30mmに設定してから、チャック部に薄膜試験片の両端のつかみ部20mmをチャックに挟んで固定し、20mm/分の測定で引張試験を行った。伸びの計算は、薄膜試験片が破断したときのチャックの移動距離を元のチャック間距離の30mmで割り、その値を百分率表示する方法とした。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂またはアイオノマー樹脂系樹脂層の伸びの測定は以下の方法で行った。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂またはアイオノマー樹脂系樹脂単独を押出し製膜した20μm厚のフィルムを10mm×70mmに切断した後、その両端の20mm部分にセロハンテープを貼って補強してフィルム引張試験片を作製した。引張試験は、引張試験機のチャック間距離を30mmに設定してから、チャック部に薄膜試験片の両端のつかみ部20mmをチャックに挟んで固定し、20mm/分の測定で引張試験を行った。
伸びの計算は、薄膜試験片が破断したときのチャックの移動距離を元のチャック間距離の30mmで割り、その値を百分率表示する方法とした。
(上部層)
表5のC1〜C8に示す塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、及びC9〜C10に示す塩化ビニル樹脂を用いた。
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、株式会社カネカ製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、および、日信化学工業製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を用い、接着層の上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥して塗工した。塗工厚の薄いものは、乾燥後の塗膜が薄くなるように適宜溶剤で希釈して使用した。一方、塩化ビニル樹脂は、カネカ製塩化ビニル樹脂にADEKA製可塑剤を混連したペーストを用い、同様に接着層の上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥して塗工した。
表5のC1〜C8に示す塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、及びC9〜C10に示す塩化ビニル樹脂を用いた。
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は、株式会社カネカ製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、および、日信化学工業製塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を用い、接着層の上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥して塗工した。塗工厚の薄いものは、乾燥後の塗膜が薄くなるように適宜溶剤で希釈して使用した。一方、塩化ビニル樹脂は、カネカ製塩化ビニル樹脂にADEKA製可塑剤を混連したペーストを用い、同様に接着層の上にバーコーターを用いて塗布し、180℃の乾燥炉で1分間乾燥して塗工した。
3.フィルムラミネート方法
表7〜10のF1〜72、G1〜G55に示す層の組合せを有する樹脂フィルムを、鋼板と融着させる側がポリエステル系フィルム層で、キャップまたは缶蓋にした際に食品内容物と直接接触する側が塩化ビニル系樹脂層側になるようにしてラミネートした。
表7〜10のF1〜72、G1〜G55に示す層の組合せを有する樹脂フィルムを、鋼板と融着させる側がポリエステル系フィルム層で、キャップまたは缶蓋にした際に食品内容物と直接接触する側が塩化ビニル系樹脂層側になるようにしてラミネートした。
フィルムのラミネート方法としては、専用のフィルムラミネート装置によった。フィルムラミネート装置は、金属板加熱用のホットプレス、表裏面のフィルム給装装置、テフロン(登録商標)ゴム製ラミネートロール(加熱金属バックアップロールによりゴムロール表面温度コントロール可能)、水冷槽を備えており、金属板を所定温度まで加熱した後、フィルムラミネートロールに金属板が給装されると同時に、フィルムが給装されてロール圧着され、約1秒後に水冷される構造の装置である。ラミネート時の鋼板温度及びラミネートロールの表面温度は、表11〜19に示す通りであった。また、ラミネートロールの押しつけ荷重は、ロール接触面圧が10KPaとなるようにした。
上記の樹脂層がラミネートされた層とは反対側の面(缶蓋に加工された際に外面側となる面)は、一部には缶用ポリエステル系塗料を塗布焼き付けし、残りは酸化チタンを10質量%含有したポリエステル系の延伸ホワイトフィルムをラミネートした。缶蓋外面側に缶用塗料を塗布焼付けする場合は、缶蓋内面側のフィルムをラミネートする前に行い、塗料はバーコーターを用いて焼付け後の塗膜厚が2〜5g/m2になるような厚みで塗布後、180℃の乾燥焼付け炉で2分間焼付けた。缶蓋外面になる側を塗装焼付けとする場合は、フィルムは片側のみ給装して、ラミネートし、ホワイトフィルムをラミネートする場合には、食品内容物と直接接触する側の樹脂フィルムをラミネートする際に、同時にラミネートした。
上記の樹脂層がラミネートされた層とは反対側の面(缶蓋に加工された際に外面側となる面)は、一部には缶用ポリエステル系塗料を塗布焼き付けし、残りは酸化チタンを10質量%含有したポリエステル系の延伸ホワイトフィルムをラミネートした。缶蓋外面側に缶用塗料を塗布焼付けする場合は、缶蓋内面側のフィルムをラミネートする前に行い、塗料はバーコーターを用いて焼付け後の塗膜厚が2〜5g/m2になるような厚みで塗布後、180℃の乾燥焼付け炉で2分間焼付けた。缶蓋外面になる側を塗装焼付けとする場合は、フィルムは片側のみ給装して、ラミネートし、ホワイトフィルムをラミネートする場合には、食品内容物と直接接触する側の樹脂フィルムをラミネートする際に、同時にラミネートした。
4.焼付け処理
前項の要領で作製したフィルムラミネート金属板に、印刷焼付け工程相当の熱処理として、フィルムラミネート金属板を180℃の熱風乾燥炉中で10分間熱処理した後、空冷し、再度、180℃の熱風乾燥炉中で10分間熱処理した。
前項の要領で作製したフィルムラミネート金属板に、印刷焼付け工程相当の熱処理として、フィルムラミネート金属板を180℃の熱風乾燥炉中で10分間熱処理した後、空冷し、再度、180℃の熱風乾燥炉中で10分間熱処理した。
5.成形
フィルムラミネート金属板をプレスで直径80mmの円盤に打ち抜いた後、ヘキサンにグラマーワックスを溶解した液に円盤を浸漬し、常温乾燥させることによって、蓋成形用のブランク板とした。このブランク板を潤滑油なしのドライ成形でプレス加工し、評価用の缶蓋(成形品)を得た。
フィルム密着性の評価はDRD缶胴のフランジ部の内面側フィルムの密着性で評価した。フィルム密着性評価用の試験体として、打ち抜きプレスでフィルムラミネート金属板を直径155mmの円板に打ち抜き、つぎにカッピングプレスにより浅絞りカップを得、次いでこの浅絞りカップをさらに深絞り成形し、フランジ部を切除後、樹脂フィルムが内面になるように缶端成形して、最終的に直径83mm、カップ高さ46mmの缶体(DRD缶)を得た。
フィルムラミネート金属板をプレスで直径80mmの円盤に打ち抜いた後、ヘキサンにグラマーワックスを溶解した液に円盤を浸漬し、常温乾燥させることによって、蓋成形用のブランク板とした。このブランク板を潤滑油なしのドライ成形でプレス加工し、評価用の缶蓋(成形品)を得た。
フィルム密着性の評価はDRD缶胴のフランジ部の内面側フィルムの密着性で評価した。フィルム密着性評価用の試験体として、打ち抜きプレスでフィルムラミネート金属板を直径155mmの円板に打ち抜き、つぎにカッピングプレスにより浅絞りカップを得、次いでこの浅絞りカップをさらに深絞り成形し、フランジ部を切除後、樹脂フィルムが内面になるように缶端成形して、最終的に直径83mm、カップ高さ46mmの缶体(DRD缶)を得た。
6.ERV測定
缶蓋に対して、ERV試験を行い、成形品内面フィルムに入った微小亀裂の量を評価した。
具体的には、缶蓋の端面と外面側とをテフロン(登録商標)テープでテープシールしてから、水道水を入れた容器に入れ、レトルト釜で熱処理(125℃、90分)した。レトルト処理後、テフロン(登録商標)テープを貼り替えてから、レトルト処理した蓋の内面側のERV測定を行った。
ERV測定の準備として、ERV測定装置の陽極側を接続した蓋の内面側と、陰極側に接続した蓋と同サイズのステンレス鋼板製電極を間隔1cmになるように対向させてプラスチック容器内に設置してから、容器内にERV測定用液を満たした。ERV測定は、蓋をERV測定用液(1質量%食塩水+0.2質量%界面活性剤[日油株式会社製ラピゾール])に1時間静置した後で行った。ERV値は、ERV測定装置の測定スイッチを入れると同時に自動的に陽極の蓋側と陰極板間に6・2Vの電圧がかかり、その際に流れた電流値(以下ERV値)として記録される。
ERV値が高いものほど、フィルムに微小亀裂が多く発生しており、耐食性に不利であることを示している。
缶蓋に対して、ERV試験を行い、成形品内面フィルムに入った微小亀裂の量を評価した。
具体的には、缶蓋の端面と外面側とをテフロン(登録商標)テープでテープシールしてから、水道水を入れた容器に入れ、レトルト釜で熱処理(125℃、90分)した。レトルト処理後、テフロン(登録商標)テープを貼り替えてから、レトルト処理した蓋の内面側のERV測定を行った。
ERV測定の準備として、ERV測定装置の陽極側を接続した蓋の内面側と、陰極側に接続した蓋と同サイズのステンレス鋼板製電極を間隔1cmになるように対向させてプラスチック容器内に設置してから、容器内にERV測定用液を満たした。ERV測定は、蓋をERV測定用液(1質量%食塩水+0.2質量%界面活性剤[日油株式会社製ラピゾール])に1時間静置した後で行った。ERV値は、ERV測定装置の測定スイッチを入れると同時に自動的に陽極の蓋側と陰極板間に6・2Vの電圧がかかり、その際に流れた電流値(以下ERV値)として記録される。
ERV値が高いものほど、フィルムに微小亀裂が多く発生しており、耐食性に不利であることを示している。
評価は、以下の基準によって判定し、2〜4を合格、1を不合格と判定した。
4:0(mA) ≦ ERV ≦ 0.5(mA)
3:0.5(mA)≦ERV≦1(mA)
2:1.0(mA)<ERV≦5mA)
1:5(mA)<RV
4:0(mA) ≦ ERV ≦ 0.5(mA)
3:0.5(mA)≦ERV≦1(mA)
2:1.0(mA)<ERV≦5mA)
1:5(mA)<RV
7.耐食性評価試験
食缶実内容物による腐食を模擬する方法として、缶蓋を食品模擬液に浸漬して、レトルト加熱処理する促進試験を行った。具体的には、成形した缶蓋を3%酢酸2%食塩水溶液に浸漬して、レトルト処理用の蒸気釜に入れ、125℃で90分間レトルト熱処理を行った。
レトルト処理後、蓋内面側に腐食が発生していないかどうか以下の基準によって目視判定し2〜4を合格、1を不合格と判定した。
4:全く腐食が発生していない(優)、
3:蓋の端の加工の厳しい部分またはリング加工部に微小な黒点が1点だけ発生している(良)
2:蓋のリング加工部に微小な黒点が複数点発生している(可)
1:蓋中央付近のリング加工部が全周黒く変色している(不合格)
食缶実内容物による腐食を模擬する方法として、缶蓋を食品模擬液に浸漬して、レトルト加熱処理する促進試験を行った。具体的には、成形した缶蓋を3%酢酸2%食塩水溶液に浸漬して、レトルト処理用の蒸気釜に入れ、125℃で90分間レトルト熱処理を行った。
レトルト処理後、蓋内面側に腐食が発生していないかどうか以下の基準によって目視判定し2〜4を合格、1を不合格と判定した。
4:全く腐食が発生していない(優)、
3:蓋の端の加工の厳しい部分またはリング加工部に微小な黒点が1点だけ発生している(良)
2:蓋のリング加工部に微小な黒点が複数点発生している(可)
1:蓋中央付近のリング加工部が全周黒く変色している(不合格)
8.密着性評価試験
得られたDRD缶に食品模擬液(3%酢酸2%食塩水溶液)を入れて125℃で90分間のレトルト処理を行った。レトルト処理後、缶内面側のフィルムが収縮剥離していないかどうか以下の基準で目視判定し、2〜4を合格、1を不合格とした。
4:剥離が全く発生していない(優)
3:フランジ端付近にやや剥離がみられるものの缶壁部までは剥離していない(良)
2:フランジ面から缶壁上部5mm以下の範囲で部分的にフィルムの剥離が起こっている(可)
1:剥離が缶壁部全体に渡って発生している(不合格)
得られたDRD缶に食品模擬液(3%酢酸2%食塩水溶液)を入れて125℃で90分間のレトルト処理を行った。レトルト処理後、缶内面側のフィルムが収縮剥離していないかどうか以下の基準で目視判定し、2〜4を合格、1を不合格とした。
4:剥離が全く発生していない(優)
3:フランジ端付近にやや剥離がみられるものの缶壁部までは剥離していない(良)
2:フランジ面から缶壁上部5mm以下の範囲で部分的にフィルムの剥離が起こっている(可)
1:剥離が缶壁部全体に渡って発生している(不合格)
9.食品模擬液レトルト後の缶蓋外面側の評価
食品模擬液に浸漬してレトルト処理した缶蓋の外面側(缶用ポリエステル系塗料を塗布焼き付けまたは、延伸ホワイトフィルムをラミネートした面)についても、目視観察を行い、以下の基準で膨れ発生の有無について評価した。
4:蓋外面側樹脂層に膨れが生じていない
3:点状の微小膨れが少量生じているが腐食がない
2:微小な膨れが見られるが腐食は生じていない
1:膨れが大きく、腐食が生じている
食品模擬液に浸漬してレトルト処理した缶蓋の外面側(缶用ポリエステル系塗料を塗布焼き付けまたは、延伸ホワイトフィルムをラミネートした面)についても、目視観察を行い、以下の基準で膨れ発生の有無について評価した。
4:蓋外面側樹脂層に膨れが生じていない
3:点状の微小膨れが少量生じているが腐食がない
2:微小な膨れが見られるが腐食は生じていない
1:膨れが大きく、腐食が生じている
これらの評価結果を表11〜19に示す。
実施例および比較例から明らかなように、本発明のフィルムラミネート金属板は、皮膜中に環境ホルモン物質であるビスフェノールAを有しないが、腐食性の強い内容物に対して優れた耐食性、加工性を有している。
本発明のフィルムラミネート金属板は、皮膜中に環境ホルモン物質であるビスフェノールAを含まず、かつ、腐食性の強い食品用途に対して高い耐食性を有し、かつ、加工、焼付け処理、レトルト処理でもフィルムの損傷(剥離、割れ等)がないので、ツイストキャップおよび缶蓋用のフィルムラミネート金属板として極めて有用である。
1 金属板
2 樹脂フィルム
21 下部層
22 接着層
23 上部層
3 ポリエステル系フィルム層
2 樹脂フィルム
21 下部層
22 接着層
23 上部層
3 ポリエステル系フィルム層
Claims (9)
- 金属板と、
前記金属板の一方の表面上に形成された樹脂フィルムとを備え、
前記樹脂フィルムが、
前記金属板の上に配された下部層と、
前記下部層の上に配された接着層と、
前記接着層の上に配された上部層とからなり、
前記下部層が、ポリエステル系フィルム層であり、
前記接着層が、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂層、または、アイオノマー系樹脂層であり、
前記上部層が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂層である
ことを特徴とする食品容器用フィルムラミネート金属板。 - 前記上部層において、共重合体中の酢酸ビニルの比率が、20重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- 前記接着層の伸びが250%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- 前記ポリエステル系フィルム層が、延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- 前記ポリエステル系フィルム層の厚みが8μm以上、30μm以下であり、前記接着層の厚みが0.1μm以上5.0μm以下であり、かつ、前記上部層の厚みが、1μm以上18μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- さらに、前記金属板の前記一方の表面とは反対側の表面上に、ポリエステル系フィルム層を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- 前記金属板が、ティンフリースチール、Snめっき鋼板、または、アルミニウム板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板を用いて成形されたことを特徴とするツイストキャップ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の食品容器用フィルムラミネート金属板を用いて成形されたことを特徴とする缶蓋。
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