JP6160798B2 - 積層フィルム及び包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、雑貨、雑誌等を包装する包装材に使用する積層フィルム及び該フィルムからなる包装材に関する。
従来より、パンやその他の食品の包装に使用するフィルムとして、オレフィン系樹脂を使用した包装用フィルムが使用されている。包装用フィルムにおいては、近年の包材に求められる意匠の多様化により、マット調フィルムのニーズが高まっている。このような包装材に使用するマット調の積層フィルムとしては、プロピレン系ブロック共重合体を使用した積層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特開2008−162162号公報 特開2009−61705号公報
プロピレン系ブロック共重合体を使用したマット調の積層フィルムは透明な積層フィルムよりも剛性が高いためパン等の食品包装をはじめ、各種用途にて使用されている。しかしながら、このような積層フィルムは環境やコストへの配慮から薄厚のフィルムが用いられるため、流通時の外部衝撃や突起物への接触等により破袋が生じる場合があった。特に食品の包装時や輸送時、保存時には低温下にさらされる場合も多く、低温下での耐破袋性の向上が求められていた。
また、このような薄厚の包装用フィルムは、包装する内容物によっては、内容物を封入する際の接触や擦れにより裂けや破れが生じる場合があった。なかでも、パンが内容物となる場合、焼き立てのパン、特に食パンの耳部は鋭利な状態となるため、積層フィルムをガゼット状の包装袋に製袋して、当該包装袋中にパンを封入する場合には包装袋に裂けが生じやすい。そして、上記したように食品包装等に使用される包装袋は内容物を使用する際や消費した後は廃棄されるものであるため環境やコストへの配慮から、減容化の要請が高い。このような要請に対し、包装用フィルムの薄厚化や包装袋の少容積化が進んでおり、内用物(パン)の量、大きさは変更ないが袋のサイズが小さくなり、パンとフィルム袋がタイトに包装される形態に移行しつつある。そのため内容物による包装体の裂けの問題がより生じやすくなっている。
本発明が解決しようとする課題は、包装時や流通時に内容物が飛び出したりしない、強固な開封しないシール強度と共に、好適な耐破袋性を有するマット調フィルムを実現することにあり、特に低温下での耐破袋性に優れたマット調フィルムを実現することにある。
さらには、上記課題に加え、内容物を封入する際の接触や擦れによる裂けや破れが生じにくい耐摩擦性に優れたマット調フィルムを実現することを課題とする。
本発明者においては、少なくとも印刷層、中間層及びシール層を有し、一方の表層が印刷層、他方の表層がシール層からなる積層フィルムであって、前記印刷層がプロピレン系ブロック共重合体を含有し、前記中間層がプロピレン系ブロック共重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有する積層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
本発明の積層フィルムは、印刷層にプロピレン系ブロック共重合体を含有することでマット調で高い剛性を実現できる。そして、当該印刷層と共にプロピレン系ブロック共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを含有する中間層を有することで、優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性を実現できる。また、本発明の積層フィルムは耐摩擦性に優れることから、包装用途に使用した際にも内容物を封入する際の接触や擦れによる裂けや破れが生じにくい。このため本発明の積層フィルムは、各種の包装用途、特に低温下での包装や流通がなされることの多い食品の包装用途に好適に適用できる。
本発明の積層フィルムは、少なくとも印刷層、中間層及びシール層を有し、一方の表層が印刷層、他方の表層がシール層からなる積層フィルムであり、印刷層がプロピレン系ブロック共重合体を含有し、中間層がプロピレン系ブロック共重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有する積層フィルムである。
[印刷層]
本発明の積層フィルムの印刷層はプロピレン系ブロック共重合体を含有する層である。印刷層にプロピレン系ブロック共重合体を含有することで、高い剛性や優れた意匠性と共に、好適な耐衝撃性、耐摩擦性を有するマット調の積層フィルムとすることができる。
プロピレン系ブロック共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を使用できる。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示でき、なかでもエチレンがマット感、耐寒性・剛性のバランスに優れてのため好ましい。プロピレン系ブロック共重合体中のα−オレフィン含有量は、耐衝撃性や剛性を得やすいことから2〜10質量%であることが好ましく、4〜8質量%であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、成形が容易であり、また好適な耐衝撃性やマット感を得やすいことから、0.5g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましい。また、20g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体の融点は、好適な製袋性を得やすいことから、155℃以上であることが好ましく、165℃以下であることが好ましい。
印刷層中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、マット感や溶断強度や製袋適性のバランスで決定されるが、印刷層に使用する樹脂成分中の70質量%以上含有することが好ましい。当該範囲とすることで、意匠性に優れた、均一性のあるマット感を得やすくなる。なかでも、耐衝撃性を高くする際には80〜100質量%とすることが好ましく、マット感を向上させる際には、70〜90質量%とすることが好ましい。
印刷層に使用するプロピレン系ブロック共重合体は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン系ブロック共重合体の含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
印刷層中に使用され、マット感や溶断強度や製袋適性とのバランスに優れたプロピレン系ブロック共重合体樹脂としては、BC8、BC7(日本ポリプロ社製)、E150GK,F704V(プライムポリマー社製)、PC480A、PC684S、PC380A、VB370A(サンアロマー社製)などが挙げられる。
また、印刷層中に、プロピレン系ブロック共重合体以外の樹脂を使用する場合には、包装フィルムに使用される各種オレフィン系樹脂を使用でき、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレン等)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を使用できる。
なかでも、マット感を向上させる場合には、エチレン系樹脂を併用することが好ましく、高密度ポリエチレンを使用することがより好ましい。
当該他のポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、印刷層中に含まれる樹脂成分中の10〜30質量%とすることが好ましい。
印刷層中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。
印刷層のJIS B−0601に基づく表面粗さ(Ra)は0.5〜2.0であることが好ましく、0.7〜1.7であることがより好ましい。表面粗さを当該範囲とすることで、その他の成分(スリップ剤やアンチブロッキング剤等の添加剤)の追添量を低減、あるいは場合によっては併用しなくても、表面滑り性に優れるフィルムが得られ、製袋スピードの向上に繋がり、製袋後の付き揃え、梱包作業の向上・効率化になり、内容物を充填してから自動包装機等によって包装する際の作業性が向上する。
印刷層表面の摩擦係数(ASTM D−1894)としては、0.05〜0.7が好ましく、0.07〜0.6が更に好ましく、0.1〜0.5がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後の付き揃え性、梱包作業性等を向上させやすく、またクロージャーによる結束時のフィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、印刷層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[中間層]
本発明の積層フィルムの中間層はプロピレン系ブロック共重合体と、直鎖状低密度ポリエチレンとを含有する層である。当該中間層を使用することで、好適なマット調を有しつつ優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性や耐摩擦性の積層フィルムを得ることができる。
中間層に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、好適な耐衝撃性やマット感を得やすいことから15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましい。また、好適な溶断シール強度や製袋性を得やすいことから、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
中間層に含まれる樹脂成分中の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、好適な製袋適性や溶断シール強度と耐破袋性とを得やすいことから、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
また、中間層中の上記プロピレン系ブロック共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの含有量の比率は、質量比で95/5〜60/40とすることが好ましく、90/10〜70/30とすることがより好ましい。当該比率とすることで、好適なマット調を有しつつ優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性・耐摩擦性の積層フィルムを得ることができる。
中間層に使用するプロピレン系ブロック共重合体は、上記印刷層に使用するプロピレン系ブロック共重合体と同様のものを好ましく使用できる。当該プロピレン系ブロック共重合体は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン系ブロック共重合体の含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
中間層に使用する直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.915g/cm以下であることが好ましく、0.910g/cm以下であることがより好ましく、0.906g/cm以下であることがさらに好ましい。使用する直鎖状低密度ポリエチレンの密度を上記範囲とすることで、好適な溶断強度と高い耐衝撃性、耐破袋性を兼備しやすくなる。
直鎖状低密度ポリエチレンのMFR(190℃、21.18N)は、10g/10分以下であることが好ましく、1〜5g/10分であることがより好ましい。MFRを当該範囲とすることで、フィルムの成膜性を向上させやすく、分散性も良く、均一なフィルムを得られやすくなる。
直鎖状低密度ポリエチレンは複数併用してもよく、複数使用する場合には、使用する直鎖状低密度ポリエチレンの含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
また、中間層中には、上記プロピレン系ブロック共重合体以外の樹脂、例えば、上記したようなオレフィン系樹脂を併用してもよく、なかでも、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を好ましく使用でき、特にプロピレン−エチレンランダム共重合体を好ましく使用できる。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のエチレン、ブテン−1、4-メチルペンテン−1、オクテン−1などのα−オレフィンの含有量は0.3〜10質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがより好ましい。α−オレフィンの含有量を当該範囲とすることで、好適な剛性や耐ブロッキング性を得やすく、好適な製袋適性、包装適性を実現しやすくなる。エチレンなどのα−オレフィン含有量は、赤外吸収スペクトル法により測定される。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、1〜20g/10分が好ましく、3〜7g/10分が特に好ましい。1g/10分以上とすることで、好適なマット性や製膜性を得やすくなり、20g/10分以下とすることで、好適な成形性を得やすくなる。
本発明で用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法で製造されたものでできる。例えば、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた製造法が上げられる。
具体的には、チタン含有化合物自体またはチタン含有化合物をマグネシウム化合物等の担体に担持させたものを主触媒とし、有機アルミニウム化合物を助触媒とした触媒系で、プロピレン単独または所望のエチレンなどのα−オレフィンを添加して重合を行う方法を挙げることが出来る。この重合は、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等のいずれのプロセスでもよい。
また、均一系触媒を用いてもよく、従来から用いられているバナジュウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、あるいはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個を配位子とするジルコニウム、チタン、ハフニウムなどの遷移金属化合物、該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物とアルミノキサンやイオン性化合物などの助触媒からなるメタロセン系触媒等の均一系触媒系も挙げることができる。メタロセン触媒は、必要により有機アルミ化合物を用いて、溶媒存在下の均一系重合のほか、スラリー重合法、気相重合法等のいずれのプロセスでもよい。
なお、当該中間層においても上記印刷層にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。
[シール層]
本発明に使用するシール層は、積層フィルムのシール層同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。当該シール層は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択すればよい。例えば、シール層同士をシールして包装袋として使用する場合には、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン−α−オレフィン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等のα−オレフィン−プロピレン共重合体を含有するシール層を好適に使用できる。なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度を得やすいことから、プロピレン−1−ブテン共重合体又は1−ブテン−プロピレン共重合体等のブテン含有共重合体が好ましい。
1−ブテン−プロピレン共重合体を使用する場合には、好適なシール性や耐ブロッキング性を得やすいことから、1−ブテン−プロピレン共重合体中の1−ブテン含有量が60〜95モル%であることが好ましく、65〜95%であることがより好ましく、70〜90モル%であることがさらに好ましい。また、好適な低温シール性を得やすいことから、プロピレン含有量が2〜10モル%であることが好ましく、3〜9モル%であることがより好ましく、4〜8モル%であることがさらに好ましい。
1−ブテン−プロピレン共重合体を使用する場合には、1−ブテン−プロピレン共重合体の含有量はシール層に含まれる樹脂成分中の50質量%以下とすることが好ましく、40質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることがさらに好ましい。また、10質量%以上とすることが好ましく、15質量%以上とすることがより好ましい。1−ブテン−プロピレン共重合体の含有量が当該範囲であると、好適な低温シール性や製袋品の溶断強度や耐裂け性を得やすく、また低コスト化にも有利である。
上記1−ブテン−プロピレン共重合体に併用する樹脂としては、他のポリオレフィン系樹脂を適宜使用できるが、シール強度を好適に調整しやすいことから、プロピレン−α−オレフィン共重合体や、エチレン−α−オレフィン共重合体を好ましく使用でき、プロピレン−α−オレフィン共重合体を特に好ましく使用できる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、特に制限されないが1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜15質量%がより好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。なかでも、上記中間層にて例示したようなプロピレン−エチレンランダム共重合体を好ましく使用できる。MFRは良好な成形性を得やすいことから、0.5〜20g/10分であることが好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。
他のオレフィン系樹脂の含有量は、好適な低温シール性を得やすいことから、シール層に含まれる樹脂成分中の90質量%以下とすることが好ましく、85質量%以下とすることがより好ましい。また、50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましい。
特に、本発明の積層フィルムを使用して包装袋を形成する際に、シール層同士をヒートシールした易開封部を設ける場合には、1−ブテン−プロピレン共重合体とプロピレン−α−オレフィン共重合体とを、1−ブテン−プロピレン共重合体/プロピレン−α−オレフィン共重合体で表される質量比が20/80〜50/50となる割合で併用することが好ましい。
シール層中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。
シール層表面の摩擦係数(ASTM D1894)としては、0.01〜0.4が好ましく、0.02〜0.35が更に好ましく、0.05〜0.30がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後のしわや盛上り抑制による梱包作業を向上させやすくなる。また、パン等の内容物を充填する際の内容物とフィルム内面との擦れによる傷の抑制や、耐摩耗性、対裂け性の向上がしやすく、フィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、シール層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、少なくとも上記の印刷層、中間層及びシール層を有する積層フィルムであり、積層フィルムの一方の表層が印刷層であり、他方の表層がシール層からなる積層フィルムである。当該構成の積層フィルムは、好適な溶断シール強度を有し、かつ、耐衝撃性や耐破袋性に優れることから、各種包装用のフィルムとして好適に使用できる。
本発明の積層フィルムの厚みは使用する用途や態様に応じて適宜調整すればよいが、包装用途における減容化や流通時の耐破袋性とを両立させやすいことから、その総厚みが20〜60μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
また、各層の厚みや厚み比率は、特に制限されるものではないが、例えば、印刷層の厚みとしては、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。中間層の厚みは3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。シール層の厚みが1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましい。
また、印刷層の厚み比率は、好適なマット感や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの20%以上とすることが好ましく、25%以上とすることがより好ましい。また、40%以下とすることが好ましく、35%以下とすることがより好ましい。中間層の厚み比率は、好適なマット感や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの30%以上とすることが好ましく、40%以上とすることがより好ましい。また、70%以下とすることが好ましく、65%以下とすることがより好ましい。シール層の厚み比率は、好適な易開封性や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの5%〜30%が好ましく、10〜25%がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、上記印刷層、中間層及びシール層以外の任意の他の樹脂層が積層されていてもよいが、他の樹脂層の厚みは総厚み中の20%以下であることが好ましく、上記印刷層、中間層及びシール層からなる構成が特に好ましい。なお、当該構成においては中間層が複数積層された中間層であってもよい。
具体的な層構成の例としては、印刷層とシール層との間に中間層を設けた印刷層/中間層/シール層の三層構成、あるいは、中間層を複数層にて構成した印刷層/中間層1/中間層2/シール層の四層構成、等を好ましく例示できる。なかでも、フィルムの特性の調整や、フィルムの製造が容易であることから、印刷層/中間層/シール層からなる三層構成を好ましく使用できる。
本発明の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各層に用いる樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。当該製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
印刷層には、印刷インキとの接着性等を向上させるため、表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
本発明の積層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。特に、マット感が従来になく優れる点から、和紙等に似た包装材を提供でき、高級感を引き出すために用いる食品用等に好適に用いることができる。
前記包装袋は、本発明の積層フィルムのシール層をヒートシール層として、シール層同士を重ねてヒートシール、あるいは印刷層とシール層とを重ね合わせてヒートシールすることにより、シール層を内側として形成した包装袋であることが好ましい。例えば当該積層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、食パン用の包装袋とする場合には、印刷面を折り込んでシールすることでガゼット部を有する包装袋とすることができる。具体的には、本発明の積層フィルムのシール層が袋の内側になるようにして製袋機、例えばトタニ技研工業(株)製HK−40等により底部ガゼット袋に加工する。この際、底部ガゼット袋のサイド部と底部ガゼット部(底部の折込部)の溶断シール強度が7.5N〜30N/15mm、好ましくは10〜30N/15mmとなるよう溶断シール温度や製袋速度を調整することが好ましい。
得られた底部ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性でかつヒートシール強度が、0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜4N/15mmとなる条件でヒートシールして、易開封性食パン包装袋とし、更に必要に応じて、袋の上部、好ましくは食パンの上部で易開封性シール部分の形成や、袋の上部をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束により封止してもよい。
また、バターロール等のような各種パンの集積包装とする場合には、横ピロー型自動包装機、例えばフジキカイ(株)製FW−3400αV型等に、シール層が袋の内側になるようにしてロール状形態で供給する。横ピロー型自動包装機では、フィルムのヒートシール面を重ね合わせてヒートシールして袋を形成しながらパンを内包させる。この際、該包装機によるピロー包装袋の底部と背貼り部分のシール強度が7.5N〜30N/15mm、好ましくは8〜20N/15mmになるようヒートシール温度や包装速度を調整することが好ましい。次いで、易開封性でかつヒートシール強度が0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜4N/15mmとなる条件でヒートシールして易開封性シール部分を形成してもよく、その近傍をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束してもよい。
また、シール層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋・容器・容器の蓋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
上記のとおり本発明の積層フィルムは好適な耐衝撃性や耐破袋性を実現できることから、各種の包装用途に好適に適用できる。特に低温でも優れた耐衝撃性を実現できることから、低温下での包装や流通がなされることの多い食品包装用途に好適である。
なかでも、本発明の積層フィルムは、鋭利な先端部や鉤部を有する結束具(クロージャー)が使用される食パンや菓子パン等のパン包装に適用した際に、結束時の破袋が生じにくく、また、移送時に当該結束具や搬送容器との接触が生じた場合にもピンホールや裂けが生じにくい。また内容物である食品とフィルム内面(シール面)とのこすれや混入されたプラスチックトレーとの摩擦、突き刺し等によるピンホールや裂けも生じにくい。さらに、本発明の積層フィルムは、ガゼット部を形成した場合にも好適な溶断シール強度を確保できることから、パン包装用途に特に好適に適用できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
印刷層、中間層及びシール層の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。これら混合物を3台の押出機に各々供給し、印刷層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7/18/5μmとなるように共押出して、厚さ30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの印刷層に、表面エネルギーが35mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
印刷層:プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(プロピレン由来成分含量:90質量%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):5g/10分)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(1)と称する)100質量%
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分)(以下、LLDPE(1)と称する)15質量%
シール層:プロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.0質量%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)(以下、COPP(1)と称する)70質量%、1−ブテン−プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)(以下、1−ブテン系共重合体(1)と称する)30質量%
(実施例2)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)95質量%、LLDPE(1)5質量%
(実施例3)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)95質量%、LLDPE(1)10質量%
(実施例4)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)95質量%、LLDPE(1)25質量%
(実施例5)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)45質量%、COPP(1)40質量%、LLDPE(1)15質量%
(実施例6)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)35質量%、COPP(1)50質量%、LLDPE(1)15質量%
(実施例7)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)55質量%、COPP(1)30質量%、LLDPE(1)15質量%
(実施例8)
印刷層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
印刷層:プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、高密度ポリエチレン(密度:0.955g/cm、MFR(測定温度190℃):0.35g/10分間)(以下、HDPE(1)と称する)15質量%
(実施例9)
印刷層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
印刷層:プロピレン系ブロック共重合体(1)75質量%、HDPE(1)25質量%
(実施例10)
印刷層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
印刷層:プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、HDPE(1)15質量%
(実施例11)
印刷層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが9/14/7μmとなるように共押出した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例12)
シール層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
シール層:COPP(1)60質量%、1−ブテン系共重合体(1)40質量%
(実施例13)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.91g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分)(以下、LLDPE(2)と称する)15質量%
(実施例14)
印刷層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
印刷層:プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂(プロピレン由来成分含量:85質量%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):8g/10分)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(2)と称する)100質量%
(実施例15)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(2)85質量%、LLDPE(1)15質量%
(実施例16)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)45質量%、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.5質量%、密度:0.89g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)(以下、COPP(2)と称する)40質量%、LLDPE(1)15質量%
(実施例17)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)55質量%、COPP(1)40質量%、LLDPE(1)5質量%
(実施例18)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)50質量%、COPP(1)40質量%、LLDPE(1)10質量%
(比較例1)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、低密度ポリエチレン(密度:0.925g/cm、MFR(測定温度230℃):5g/10分)(以下、LDPE(1)と称する)15質量%
(比較例2)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR:8g/10分)(以下、HOPP(1)と称する)85質量%、LLDPE(1)15質量%
(比較例3)
印刷層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
印刷層:COPP(1)85質量%、HDPE(1)15質量%
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。得られた結果は下表のとおりである。
[摩擦係数の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを38℃下で、48時間エージングした後、ASTM(D−1894)に準拠して表面の摩擦係数を測定した。
[曇り度の測定、マット性評価]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの曇り度を、JIS K7105に基づきヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した(単位:%)。マット性は下記基準にて評価した。
◎:曇り度が65%を超える
○:曇り度が55%を超え、65%以下
△:曇り度が35%を超え、55%以下
×:曇り度が35%以下
[剛性の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D−882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
[衝撃強度の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
◎:衝撃強度が0.3(J)以上
○:衝撃強度が0.2(J)以上0.3未満
△:衝撃強度が0.1(J)以上0.2未満
×:衝撃強度が0.1(J)未満
[耐摩擦性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムから、試験片をMD方向に6cm、CD方向に10cm切り出して、シール層が上面になるようにラビングテスター(井元製作所(株)製)の往復運動するプレートにテープで貼り付けた。次に、ラビングテスターの試験片と接触させる先端部に紙やすり#150(三共理化学(株)製)を両面テープで貼り付けて、重さ600gの荷重がかかった状態で低温の0℃環境下で、往復速度133m/分、70回を上限として、耐摩擦性を評価した。ピンホール、裂けが発生するまでの回数をカウントし、耐摩擦性の評価指標とした。
◎:ピンホール、裂けが発生するまでの回数が20回以上
○:ピンホール、裂けが発生するまでの回数が10回以上20回未満
×:10回未満でピンホール、裂けが発生
[製袋適性評価]
実施例及び比較例にて得られたフィルムのシール層を内側にしてフィルムを半折後、底部にガセットを入れて、シール温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場(株)製HK−40、製袋速度:120枚/分)して底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
○:120ショットの製袋速度でもフィルムが追随し、付き揃え性も問題ない
△:120ショットの製袋速度でもフィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる
×:120ショットの製袋速度に追随出来ないものがあり、付き揃え性が悪い
[溶断シール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋5枚の両側のガゼット部中央と、ガゼット以外のサイド部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定した。
○:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも15N/15mm以上
×:ガゼット部及びサイド部の少なくとも一方の溶断強度が15N/15mm未満
[ヒートシール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行にヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー95℃,下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、ヒートシール部が幅方向の中央部となるよう2枚ずつそれぞれ10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引き剥がすときの最大荷重をヒートシール強度として測定した。
○:ヒートシール強度が5N/15mm未満であり、引き剥がした際のフィルム破れ無し
×:ヒートシール強度が5N/15mm以上、又は、引き剥がした際のフィルム破れあり
Figure 0006160798
Figure 0006160798
上記表から明らかなとおり、実施例1〜18の本発明の積層フィルムは、良好なマット調の外観と共に、好適なシール強度や耐衝撃性、耐摩擦性を有し、耐破袋性に優れるものであった。一方、比較例1〜3の積層フィルムは、好適な耐衝撃性とシール強度とを兼備できないものであった。

Claims (11)

  1. 少なくとも印刷層、中間層及びシール層を有し、一方の表層が印刷層、他方の表層がシール層からなる積層フィルムであって、
    前記印刷層がプロピレン系ブロック共重合体樹脂を含有し、前記中間層がプロピレン系ブロック共重合体樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有し、前記シール層が1−ブテン系共重合体を含有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記中間層に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.915g/cm以下である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量が35〜60質量%であり、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が5〜30質量%である請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記印刷層中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量が、印刷層に含まれる樹脂成分中の70質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記シール層が1−ブテン−プロピレン共重合体を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記中間層に含まれるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含有量が0.5〜10質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記中間層に含まれる樹脂成分中の直鎖低密度ポリエチレンの含有量が15〜30質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記印刷層が高密度ポリエチレンを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 前記シール層の摩擦係数が0.05〜0.6である請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする包装材。
  11. 食品用の包装袋である請求項10に記載の包装材。
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