JP7095412B2 - 積層フィルム及び包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、雑貨、雑誌等を包装する包装材に使用する積層フィルム及び該フィルムからなる包装材に関する。
従来より、各種食品の包装に使用するフィルムとしてオレフィン系樹脂を使用した包装用フィルムが使用されており、特に、パン包装用フィルムとしてプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として使用した積層フィルムが使用されている(例えば、特許文献1~2参照)。
特開2008-162162号公報 特開2009-061705号公報
これらプロピレン系樹脂を使用したフィルムは好適な剛性やシール強度を得やすいことから、パン等の食品包装をはじめ、各種用途にて使用されている。しかしながら、このような積層フィルムは環境やコストへの配慮から薄厚のフィルムが用いられるため、流通時の外部衝撃や突起物への接触等により破袋が生じる場合があった。特に食品の包装時や輸送時、保存時には低温下にさらされる場合も多く、低温下での耐破袋性の向上が求められていた。また、このような薄厚の包装用フィルムは、包装する内容物によっては、内容物を封入する際の接触や擦れにより裂けや破れが生じる場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、良好なシール強度を有しつつ、好適な耐衝撃性と裂けの生じにくい好適な耐摩擦性とを有する積層フィルムを実現することにある。
本発明者においては、表面層(A)、第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2)及びヒートシール層(C)を有する積層フィルムであって、前記表面層(A)が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する層であり、前記第一の中間層(B1)が、プロピレン単独重合体を中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の60質量%以上含有する層であり、前記第二の中間層(B2)が、プロピレン系樹脂を中間層(B2)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上、直鎖低密度ポリエチレンを10質量%以上含有する層であり、前記ヒートシール層(C)が、ブテン系樹脂をヒートシール層(C)中に含まれる樹脂成分中の10~30質量%含有する層であり、前記各層が、表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/ヒートシール層(C)の順、または、表面層(A)/中間層(B2)/中間層(B1)/ヒートシール層(C)の順に積層された積層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する積層フィルムにおいて、中間層を二層構成とし、第一の中間層をプロピレン単独重合体を60質量%以上含有する層とし、第二の中間層をプロピレン系樹脂と直鎖低密度ポリエチレンとを含有する層とすることで、良好なシール強度を保持しつつ、好適な耐衝撃性と耐擦傷性とを実現できる。なかでも、表面層や中間層のプロピレン系樹脂としてプロピレン系ブロック共重合体樹脂を使用したマット調の積層フィルムにおいて、特に優れた効果を実現しやすい。このように、本発明の積層フィルムは耐摩擦性に優れることから、包装用途に使用した際にも内容物を封入する際の接触や擦れによる裂けや破れが生じにくいことから、各種の包装用途に好適に適用できる。特に低温下での耐衝撃性に優れることから、低温下で包装や流通がなされることの多い食品の包装用途において好適に適用できる。
また、パンが内容物となる場合には、焼き立てのパン、特に食パンの耳部は鋭利な状態となることがあり、積層フィルムをガゼット状の包装袋に製袋して、当該包装袋中にパンを封入する場合には包装袋に裂けが生じる場合がある。そして、上記したように食品包装等に使用される包装袋は内容物を使用する際や消費した後は廃棄されるものであるため環境やコストへの配慮から、減容化の要請が高い。このような要請に対し、包装用フィルムの薄厚化や包装袋の少容積化が進んでおり、内用物(パン)の量、大きさは変更ないが袋のサイズが小さくなり、パンとフィルム袋がタイトに包装される形態に移行しつつある。そのため内容物による包装体の裂けの問題がより生じやすくなっている。本願発明の包装フィルムは、上記のとおり内容物封入時の裂けや破れを好適に抑制できることから、このような裂けが生じやすいパン包装用途に好適に適用できる。特に、パン包装用途においては、剛性の高いプロピレン系ブロック共重合体を使用したマット調の積層フィルムが使用される場合があるが、本発明の積層フィルムはプロピレン系樹脂としてプロピレン系ブロック共重合体を使用した場合にも好適に裂けを抑制できる。
本発明の積層フィルムは、表面層(A)、第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2)及びヒートシール層(C)を有し、表面層(A)がプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する層であり、第一の中間層(B1)が、プロピレン単独重合体を中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の60質量%以上含有する層であり、第二の中間層(B2)が、プロピレン系樹脂を中間層(B2)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上、直鎖低密度ポリエチレンを10質量%以上含有する層であり、ヒートシール層(C)が、ブテン系樹脂をヒートシール層(C)中に含まれる樹脂成分中の10~30質量%含有する層であり、各層が、表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/ヒートシール層(C)の順、または、表面層(A)/中間層(B2)/中間層(B1)/ヒートシール層(C)の順に積層された積層フィルムである。
[表面層(A)]
本発明の積層フィルムの表面層(A)はプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する層である。本発明の積層フィルムは、当該表面層(A)を使用することで、各種包装用に好適な外観や、良好な耐衝撃性等を実現できる。プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとα-オレフィンのランダム共重合体であるプロピレン系ランダム共重合体(プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体)、プロピレンとα-オレフィンのブロック共重合体であるプロピレン系ブロック共重合体(プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体)などが挙げられる。共重合体に使用するα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル・1-ペンテン、1-オクテン等が例示できる。
なかでも、低温下での耐衝撃性や好適なマット感を得やすいことから、プロピレン系ブロック共重合体を使用することが好ましい。プロピレン系ブロック共重合体に使用するα-オレフィンとしては上記例示したものを適宜使用できるが、なかでもエチレンがマット感、耐寒性・剛性のバランスに優れるため好ましい。プロピレン系ブロック共重合体中のα-オレフィン含有量は、耐衝撃性や剛性を得やすいことから2~10質量%であることが好ましく、4~8質量%であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合には、プロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)は、成形が容易であり、また好適な耐衝撃性やマット感を得やすいことから、0.5g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましい。また、20g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合には、プロピレン系ブロック共重合体の融点は、好適な製袋性を得やすいことから、155℃以上であることが好ましく、165℃以下であることが好ましい。
表面層(A)は、上記プロピレン系樹脂を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない範囲で共押出可能なその他の樹脂を併用しても良い。なお、具体的には表面層(A)に用いる樹脂成分のうちの70質量%以上がプロピレン系樹脂であることが好ましく、80質量%以上がプロピレン系樹脂であることがより好ましく、90質量%以上がプロピレン系樹脂であることがさらに好ましい。また、表面層(A)中の樹脂成分の全てがプロピレン系樹脂であることも好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合には、プロピレン系ブロック共重合体の含有量は、マット感や溶断強度や製袋適性のバランスで決定されるが、表面層(A)に使用する樹脂成分中の70質量%以上含有することが好ましい。当該範囲とすることで、意匠性に優れた、均一性のあるマット感を得やすくなる。なかでも、耐衝撃性を高くする際には80~100質量%とすることが好ましく、マット感を向上させる際には、70~90質量%とすることが好ましい。
表面層(A)に使用するプロピレン系ブロック共重合体は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン系ブロック共重合体の含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
表面層(A)中に使用され、マット感や溶断強度や製袋適性とのバランスに優れたプロピレン系ブロック共重合体樹脂としては、BC8、BC7(日本ポリプロ社製)、E150GK,F704V(プライムポリマー社製)、PC480A、PC684S、PC380A、VB370A(サンアロマー社製)などが挙げられる。
また、表面層(A)中に、プロピレン系樹脂以外の樹脂を使用する場合には、包装フィルムに使用される各種オレフィン系樹脂等を使用でき、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を使用できる。
当該プロピレン系樹脂以外の樹脂の含有量は、表面層(A)中に含まれる樹脂成分中の30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい含有量の下限は特に制限されるものではないが、当該他のポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、10質量%以上とすることが好ましい。
表面層(A)中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。これら添加剤を使用する場合には、ヒートシール層に使用する樹脂成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは0.01~1質量部程度で使用する。
表面層(A)のJIS B-0601に基づく表面粗さ(Ra)は0.5~2.0であることが好ましく、0.7~1.7であることがより好ましい。表面粗さを当該範囲とすることで、その他の成分(スリップ剤やアンチブロッキング剤等の添加剤)の追添量を低減、あるいは場合によっては併用しなくても、表面滑り性に優れるフィルムが得られ、製袋スピードの向上に繋がり、製袋後の付き揃え、梱包作業の向上・効率化になり、内容物を充填してから自動包装機等によって包装する際の作業性が向上する。
表面層(A)における表面の摩擦係数(ASTM D-1894)としては、0.05~0.8が好ましく、0.07~0.7が更に好ましく、0.1~0.6がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後の付き揃え性、梱包作業性等を向上させやすく、またクロージャーによる結束時のフィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、印刷層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[第一の中間層(B1)]
本発明の積層フィルムにおける第一の中間層(B1)はプロピレン単独重合体を、中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の60質量%以上含有する層である。当該中間層を使用することで、優れた耐破袋性、特に低温下での耐摩擦性に優れた積層フィルムを得ることができる。第一の中間層(B1)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系単独重合体の含有量は、低温下での耐摩擦性をより得やすいことから70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、中間層(B1)に使用する樹脂成分がプロピレン単独重合体のみであることも好ましい。
第一の中間層(B1)に含まれるプロピレン単独重合体のMFR(230℃、21.18N)は、成形が容易であり、また好適な耐摩擦性を得やすいことから、10g/10分以下であることが好ましく、1~6g/10分であることがより好ましく、2~4g/10分であることがさらに好ましい。
第一の中間層(B1)に使用するプロピレン単独重合体の融点は、好適な成形性、製袋性を得やすいことから、160℃以上であることが好ましく、175℃以下であることが好ましい。
第一の中間層(B1)に使用するプロピレン単独重合体は一種のプロピレン単独重合体を使用しても、複数種のプロピレン単独重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン単独重合体の含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
また、第一の中間層(B1)に、プロピレン単独重合体以外の樹脂を使用する場合には、包装フィルムに使用される各種オレフィン系樹脂等を使用できる。当該プロピレン単独重合体以外の樹脂としては、例えば、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体等のプロピレン単独重合体以外のプロピレン系樹脂を例示できる。また、上記表面層(A)にて、プロピレン系樹脂以外の樹脂として例示した、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を使用できる。プロピレン単独重合体以外の樹脂を使用する場合には、耐衝撃性を向上させやすいことからポリエチレン樹脂を使用することが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンを使用することがより好ましい。
当該プロピレン単独重合体以外の樹脂を使用する場合には、プロピレン単独重合体以外の樹脂の含有量が、第一の中間層(B1)中に含まれる樹脂成分中の40質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることがより好ましく、20質量%以下とすることがさらに好ましい。
なお、第一の中間層(B1)においても上記表面層(A)にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。好ましい使用量も上記表面層(A)と同様である。
[第二の中間層(B2)]
本発明の積層フィルムの第二の中間層(B2)はプロピレン系樹脂と、直鎖状低密度ポリエチレンとを含有する層であり、中間層(B2)中に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量が50質量%以上、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が10質量%以上である。当該中間層(B2)を使用することで、好適な耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性が優れた積層フィルムを得ることができる。
中間層(B2)中のプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは60~90質量%、より好ましくは70~80質量%である。また、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは10~40質量%、より好ましくは20~30質量%である。中間層(B2)中のプロピレン系樹脂や直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を上記範囲とすることで、特に好適な剛性や製袋適性、耐破袋性とを得やすくなる。
第二の中間層(B2)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂としては、上記表面層(A)にて例示したプロピレン系樹脂を使用できる。なかでも、低温下での耐衝撃性や耐破袋性、好適なマット感を得やすいことから、プロピレン系ブロック共重合体の使用が好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合には、中間層(B2)中に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、好適な耐衝撃性やマット感、製袋性とを得やすいことから50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、90質量%以下とすることが好ましく、80質量%以下とすることがさらに好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体としては、上記表面層(A)に使用するプロピレン系ブロック共重合体と同様のものを好ましく使用できる。当該プロピレン系ブロック共重合体は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン系ブロック共重合体の含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体を使用する場合には、プロピレン系樹脂としてプロピレン系ブロック共重合体のみを使用することも好ましく、第二の中間層(B2)中の上記プロピレン系ブロック共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの含有量の比率を、質量比で90/10~60/40とすることが好ましく、80/20~70/30とすることがより好ましい。当該比率とすることで、好適なマット調を有しつつ優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性の積層フィルムを得ることができる。
第二の中間層(B2)に使用する直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.915g/cm以下であることが好ましく、0.910g/cm以下であることがより好ましく、0.906g/cm以下であることがさらに好ましい。使用する直鎖状低密度ポリエチレンの密度を上記範囲とすることで、好適な溶断強度と高い耐衝撃性、耐破袋性を兼備しやすくなる。
直鎖状低密度ポリエチレンのMFR(190℃、21.18N)は、10g/10分以下であることが好ましく、1~5g/10分であることがより好ましい。MFRを当該範囲とすることで、フィルムの成膜性を向上させやすく、分散性も良く、均一なフィルムを得られやすくなる。
直鎖状低密度ポリエチレンは複数併用してもよく、複数使用する場合には、使用する直鎖状低密度ポリエチレンの含有量の総量を上記範囲とすることが好ましい。
なお、第二の中間層(B2)においても上記表面層(A)にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。好ましい使用量も上記表面層(A)と同様である。
[ヒートシール層(C)]
本発明に使用するヒートシール層(C)は、積層フィルムのシール層同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。当該ヒートシール層は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択すればよい。当該ヒートシール層(C)に使用する樹脂としては、ヒートシールフィルムに使用されるオレフィン系樹脂を好ましく使用でき、例えば、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン-エチレンランダム共重合体やプロピレン-1-ブテン共重合体等のプロピレン-α-オレフィン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体等のα-オレフィン-プロピレン共重合体等を好適に使用できる。なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度を得やすいことから、プロピレン-1-ブテン共重合体又は1-ブテン-プロピレン共重合体等のブテン含有共重合体が好ましい。
ブテン含有共重合体、特に1-ブテン-プロピレン共重合体を使用する場合には、好適なシール性や耐ブロッキング性を得やすいことから、共重合体中の1-ブテン含有量が60~95モル%であることが好ましく、65~95%であることがより好ましく、70~90モル%であることがさらに好ましい。また、好適な低温シール性を得やすいことから、プロピレン含有量が2~10モル%であることが好ましく、3~9モル%であることがより好ましく、4~8モル%であることがさらに好ましい。
ブテン含有共重合体を使用する場合には、ブテン含有共重合体の含有量はシール層に含まれる樹脂成分中の50質量%以下とすることが好ましく、40質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることがさらに好ましい。また、10質量%以上とすることが好ましく、15質量%以上とすることがより好ましい。ブテン含有共重合体の含有量が当該範囲であると、好適な低温シール性や製袋品の溶断強度や耐裂け性を得やすく、また低コスト化にも有利である。
上記ブテン含有共重合体に併用する樹脂としては、ブテン含有共重合体以外の他のポリオレフィン系樹脂を適宜使用でき、プロピレン系樹脂やエチレン系樹脂を好ましく使用できる。なかでも、シール強度を好適に調整しやすいことから、プロピレンとα-オレフィンのランダム共重合体であるプロピレン系ランダム共重合体や、エチレンとα-オレフィンのランダム共重合体であるエチレン系ランダム共重合体を好ましく使用でき、プロピレン系ランダム共重合体を特に好ましく使用できる。
プロピレン系ランダム共重合体中のα-オレフィンの含有量は、特に制限されないが1~20質量%であることが好ましく、1.5~15質量%がより好ましい。α-オレフィンとしては、エチレン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が例示できる。なかでも、プロピレン-エチレンランダム共重合体を好ましく使用できる。MFRは良好な成形性を得やすいことから、0.5~20g/10分であることが好ましく、2~10g/10分がより好ましい。
ヒートシール層(C)に使用するブテン含有共重合体以外の他のオレフィン系樹脂の含有量は、好適な低温シール性を得やすいことから、ヒートシール層(C)に含まれる樹脂成分中の90質量%以下とすることが好ましく、85質量%以下とすることがより好ましい。また、50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましい。
特に、本発明の積層フィルムを使用して包装袋を形成する際に、シール層同士をヒートシールした易開封部を設ける場合には、1-ブテン-プロピレン共重合体とプロピレン-α-オレフィン共重合体とを、1-ブテン-プロピレン共重合体/プロピレン-α-オレフィン共重合体で表される質量比が20/80~50/50となる割合で併用することが好ましい。
ヒートシール層(C)中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。好ましい使用量は上記表面層(A)と同様である。
ヒートシール層表面の摩擦係数(ASTM D1894)としては、0.01~0.4が好ましく、0.02~0.35が更に好ましく、0.05~0.30がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後のしわや盛上り抑制による梱包作業を向上させやすくなる。また、パン等の内容物を充填する際の内容物とフィルム内面との擦れによる傷の抑制や、耐摩耗性、対裂け性の向上がしやすく、フィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、ヒートシール層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、少なくとも上記の表面層(A)、第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2)及びヒートシール層(C)を有する積層フィルムであり、前記各層が表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/ヒートシール層(C)の順、または、表面層(A)/中間層(B2)/中間層(B1)/ヒートシール層(C)の順に積層されていることを特徴とする積層フィルムである。当該構成の積層フィルムは、好適な溶断シール強度を有し、かつ、耐衝撃性や耐破袋性に優れることから、各種包装用のフィルムとして好適に使用できる。
本発明の積層フィルムの厚みは使用する用途や態様に応じて適宜調整すればよいが、包装用途における減容化や流通時の耐破袋性とを両立させやすいことから、その総厚みが20~60μmであることが好ましく、25~50μmであることがより好ましい。
また、各層の厚みや厚み比率は、特に制限されるものではないが、例えば、表面層の厚みとしては、2~20μmであることが好ましく、3~15μmであることがより好ましい。第一の中間層の厚みは1~10μmであることが好ましく、2~8μmであることがより好ましい。第二の中間層の厚みは2~20μmであることが好ましく、3~15μmであることがより好ましい。ヒートシール層の厚みが1~10μmであることが好ましく、2~8μmであることがより好ましい。
また、表面層(A)の厚み比率は、好適なマット感や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの20~40%とすることが好ましく、25~35%とすることがより好ましい。第一の中間層(B1)の厚み比率は、好適な耐摩擦性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの5~25%が好ましく、10~20%がより好ましい。第二の中間層(B2)は好適な耐衝撃性や溶断強度、耐製袋性を得やすいことから、25~55%以上とすることが好ましく、35~45%とすることより好ましい。ヒートシール層(C)の厚み比率は、好適な易開封性や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの5~25%が好ましく、10~20%がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、フィルムインパクト法により測定される衝撃強度が0.2(J)以上であることが好ましく、0.3(J)以上であることがより好ましい。当該衝撃強度は、30μm厚で製造した積層フィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いて測定される衝撃強度である。
本発明の積層フィルムは、マット調の包装材とする場合には、その曇り度が 50~ 80 %であることが好ましく、 60~70%であることがより好ましい。当該曇り度は、30μm厚で製造した積層フィルムを、JIS K7105に基づきヘーズメーターを用いて測定される曇り度(単位:%)である。
本発明の積層フィルムは、30μm厚で製造した積層フィルムを用いて底ガゼット袋を製造した際のガゼット部及びサイド部の溶断強度が、いずれも15N/15mm以上であることが好ましい。なお、当該溶断強度は、製造した底ガゼット袋5枚の両側のガゼット部中央と、ガゼット以外のサイド部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定し、その平均値を算出して得られる数値である。
また、本発明の積層フィルムは、30μm厚で製造した積層フィルムのシール面同士をヒートシールして引きはがす際のヒートシール強度が5N/15mm未満であることが好ましい。当該ヒートシール強度は、ヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー95℃,下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした、長さ70mm、幅15mmの試験片10枚を、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機で引き剥がした際の最大荷重をヒートシール強度として測定し、その平均値を算出して得られる数値である。なお、引きはがした際のフィルムの破れが生じないものであることが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各層に用いる樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。当該製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
表面層(A)には、印刷インキとの接着性等を向上させるため、表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
本発明の積層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。
前記包装袋は、本発明の積層フィルムのヒートシール層を、シール層同士を重ねてヒートシール、あるいは印刷層とシール層とを重ね合わせてヒートシールすることにより、シール層を内側として形成した包装袋であることが好ましい。例えば当該積層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、食パン用の包装袋とする場合には、印刷面を折り込んでシールすることでガゼット部を有する包装袋とすることができる。具体的には、本発明の積層フィルムのシール層が袋の内側になるようにして製袋機、例えばトタニ技研工業(株)製HK-40等により底部ガゼット袋に加工する。この際、底部ガゼット袋のサイド部と底部ガゼット部(底部の折込部)の溶断シール強度が15N/15mm以上となるよう溶断シール温度や製袋速度を調整することが好ましい。
得られた底部ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性でかつヒートシール強度が、好ましくは5N/15mm未満、より好ましくは4N/15mm未満となる条件でヒートシールして、易開封性食パン包装袋とし、更に必要に応じて、袋の上部、好ましくは食パンの上部で易開封性シール部分の形成や、袋の上部をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束により封止してもよい。下限は特に制限されないが、好ましくは0.1N/15mm、より好ましくは0.2N/15mm以上である。
また、バターロール等のような各種パンの集積包装とする場合には、横ピロー型自動包装機、例えばフジキカイ(株)製FW-3400αV型等に、シール層が袋の内側になるようにしてロール状形態で供給する。横ピロー型自動包装機では、フィルムのヒートシール面を重ね合わせてヒートシールして袋を形成しながらパンを内包させる。この際、該包装機によるピロー包装袋の底部と背貼り部分のシール強度が7.5N~30N/15mm、好ましくは8~20N/15mmになるようヒートシール温度や包装速度を調整することが好ましい。次いで、易開封性でかつヒートシール強度が好ましくは0.1以上5N/15mm未満、より好ましくは0.2以上4N/15mm未満となる条件でヒートシールして易開封性シール部分を形成してもよく、その近傍をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束してもよい。
また、ヒートシール層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋・容器・容器の蓋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
上記のとおり本発明の積層フィルムは好適な耐破袋性や耐摩擦性を実現できることから、各種の包装用途に好適に適用できる。特に低温でも優れた耐衝撃性、耐摩擦性を実現できることから、低温下での包装や流通がなされることの多い食品包装用途に好適である。
なかでも、本発明の積層フィルムは、食パンや菓子パン等のパン包装に適用した際に、内容物封入時の裂けや破れが生じにくいためパン包装用途に好適に適用できる。特に食パンによる耳切れによる裂けや破れを好適に抑制できることから、食パン包装用途に特に好適に適用できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
表面層(A)、第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2)及びヒートシール層(C)の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。これら混合物を4台の押出機に各々供給し、表面層(A)/第一の中間層(B1)/第二の中間層(B2)/ヒートシール層(C)にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが9/5/12/4μmとなるように共押出して、厚さ30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの印刷層に、表面エネルギーが35mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
表面層(A):プロピレン系ブロック共重合体(プロピレン由来成分含量:90%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):6g/10分)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(1)と称する)100質量%
第一の中間層(B1):プロピレン単独重合体(密度0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分)(以下、プロピレン単独重合体(1)と称する)100質量%
第二の中間層(B2):プロピレン系ブロック共重合体(1)75質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分)(以下、LLDPE(1)と称する)25質量%
ヒートシール層(C):プロピレン-エチレン共重合(エチレン由来成分含量:5.0質量%、密度:0.90g/cm3、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)(以下、COPP(1)と称する)70質量%、1-ブテン-プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):4g/10分間))(以下、1-ブテン系共重合体(1)と称する)30質量%
(実施例2)
第一の中間層(B1)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1):プロピレン単独重合体(1)90質量%、LLDPE(1)10質量%
(実施例3)
第一の中間層(B1)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1):プロピレン単独重合体(密度0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):2.3g/10分)(以下、プロピレン単独重合体(2)と称する)100%
(実施例4)
積層させる順番を、表面層(A)/第二の中間層(B2)/第一の中間層(B1)/ヒートシール層(C)とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例5)
積層させる順番を、表面層(A)/第二の中間層(B2)/第一の中間層(B1)/ヒートシール層(C)とした以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例1)
第一の中間層(B1)と第二の中間層(B2)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2):プロピレン系ブロック共重合体(1)85質量%、LLDPE(1)15質量%
(比較例2)
第一の中間層(B1)と第二の中間層(B2))に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2):プロピレン単独重合体(1)100質量%
(比較例3)
第一の中間層(B1)と第二の中間層(B2)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2):プロピレン単独重合体(1)75質量%、LLDPE(1)25質量%
(比較例4)
第一の中間層(B1)と第二の中間層(B2)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2):プロピレン系ブロック共重合体(1)50質量%、プロピレン単独重合体(1)30質量%、LLDPE(1)20質量%
(比較例5)
第一の中間層(B1)と第二の中間層(B2)に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層(B1)、中間層(B2):プロピレン系ブロック共重合体(1)60質量%、プロピレン単独重合体(1)20質量%、LLDPE(1)20質量%
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。得られた結果は下表のとおりである。
[摩擦係数の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを38℃下で、24時間エージングした後、ASTM(D-1894)に準拠して表面の摩擦係数を測定した。
[曇り度の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの曇り度を、JIS K7105に基づきヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した(単位:%)。
[剛性の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D-882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
[衝撃強度の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
◎:衝撃強度が0.3(J)以上
○:衝撃強度が0.2(J)以上0.3未満
△:衝撃強度が0.1(J)以上0.2未満
×:衝撃強度が0.1(J)未満
[耐摩擦性]
実施例及び比較例にて得られたフィルムから、試験片をMD方向に6cm、CD方向に10cmとなるよう試験片を切り出して、シール層が上面になるようにラビングテスター(井元製作所(株)製)の往復運動するプレートにテープで貼り付けた。次に、ラビングテスターの試験片と接触させる先端部に紙やすり#150(三共理化学(株)製)を両面テープで貼り付けて、重さ600gの荷重がかかった状態で低温の0℃環境下で、往復速度133m/分、70回を上限として、耐摩擦性を評価した。ピンホール、裂けが発生するまでの回数をカウントし、耐摩擦性の評価指標とした。
◎:ピンホール、裂けが発生するまでの回数が40回以上
○:ピンホール、裂けが発生するまでの回数が30回以上40回未満
△:ピンホール、裂けが発生するまでの回数が20回以上30回未満
×:20回未満でピンホール、裂けが発生
[製袋適性評価]
実施例及び比較例にて得られたフィルムのシール層を内側にしてフィルムを半折後、底部にガセットを入れて、シール温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場(株)製HK-40、製袋速度:120枚/分)して底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
○:120ショットの製袋速度でもフィルムが追随し、付き揃え性も問題ない
△:120ショットの製袋速度でもフィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる
×:120ショットの製袋速度に追随出来ないものがあり、付き揃え性が悪い
[溶断シール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋5枚の両側のガゼット部中央と、ガゼット以外のサイド部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定した。
○:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも15N/15mm以上
×:ガゼット部及びサイド部の少なくとも一方の溶断強度が15N/15mm未満
[ヒートシール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行にヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー95℃,下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、ヒートシール部が幅方向の中央部となるよう2枚ずつそれぞれ10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引き剥がすときの最大荷重をヒートシール強度として測定した。
○:ヒートシール強度が5N/15mm未満であり、引き剥がした際のフィルム破れ無し
×:ヒートシール強度が5N/15mm以上、又は、引き剥がした際のフィルム破れあり
Figure 0007095412000001
上記表から明らかなとおり、実施例1~5の本発明の積層フィルムは、好適なシール強度や耐衝撃性、耐摩擦性を有し、耐破袋性に優れるものであった。一方、比較例1~5の積層フィルムは、好適な耐衝撃性と耐摩擦性とを兼備できないものであった。

Claims (9)

  1. 表面層(A)、第一の中間層(B1)、第二の中間層(B2)及びヒートシール層(C)を有する積層フィルムであって、
    前記表面層(A)が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する層であり、
    前記第一の中間層(B1)が、プロピレン単独重合体を中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の60質量%以上含有する層であり、
    前記表面層(A)がプロピレン系ブロック共重合体樹脂を主たる樹脂成分として含有し、前記第二の中間層(B2)がプロピレン系ブロック共重合体樹脂を中間層(B2)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上含有し、
    前記第二の中間層(B2)が、プロピレン系樹脂を中間層(B2)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上、直鎖低密度ポリエチレンを10質量%以上含有する層であり、
    前記ヒートシール層(C)が、ブテン系樹脂をヒートシール層(C)中に含まれる樹脂成分中の10~30質量%含有する層であり、
    前記各層が、表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/ヒートシール層(C)の順、または、表面層(A)/中間層(B2)/中間層(B1)/ヒートシール層(C)の順に積層されていることを特徴とする積層フィルム。
  2. 積層フィルムの総厚みに対する前記第一の中間層(B1)の厚み比率が15~35%であり、前記第二の中間層(B2)の厚み比率が25~50%である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層(B1)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量が90質量%以上である請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記中間層(B1)が、直鎖状低密度ポリエチレンを中間層(B1)に含まれる樹脂成分中の5質量%以上含有する請求項1~のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記ヒートシール層(C)がプロピレン系樹脂を50質量%以上含有する請求項1~のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記ヒートシール層(C)中のブテン系樹脂が、1-ブテン-プロピレン共重合体である請求項1~のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 総厚みが20~60μmである請求項1~のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の積層フィルムからなることを特徴とする包装材。
  9. 食品用の包装袋である請求項に記載の包装材。
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