JP2005320477A - 高可撓性樹脂及び硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭素数2〜12の2価アルコールとエピハロヒドリンの反応生成物を蒸留精製して得られるジグリシジル体純度が90質量%以上で、全塩素が0.3質量%以下の2官能脂肪族エポキシ化合物(X)と2価フェノール化合物(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、数平均分子量が300〜100,000である高可撓性樹脂。該高可撓性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物及び該硬化性樹脂組成物の硬化物。
【選択図】 なし
Description
例えば、ビスフェノールA型の高分子量エポキシ樹脂は、塗料用ワニスのベース樹脂、フィルム成形用のベース樹脂としたり、エポキシ樹脂ワニスに添加して流動性の調整や硬化物としたときの靭性改良を行うために使用される。また、高分子量エポキシ樹脂は、構造中に存在する2級水酸基が接着性向上に寄与する為、接着性改良のためにも使用される。
(1)炭素数2〜12の2価アルコールとエピハロヒドリンの反応生成物を蒸留精製して得られるジグリシジル体純度が90質量%以上で、全塩素が0.3質量%以下の2官能脂肪族エポキシ化合物(X)と2価フェノール化合物(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、数平均分子量が300〜100,000である高可撓性樹脂。
本発明で使用する2官能脂肪族エポキシ化合物(X)は、炭素数2〜12のジオールとエピハロヒドリンを反応させた後、蒸留精製したジグリシジルエーテル由来の純度が90質量%以上の脂肪族エポキシ樹脂であり、例えば、エチレングリコールのグリシジルエーテル、プロピレングリコールのグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,8オクタンジオールのグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールのグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのグリシジルエーテル、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル、トリエチレングリコールのグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールのグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールのグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル等である。これらの中で、1,4−ブタンジオールのグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのグリシジルエーテルが液状エポキシ樹脂の低粘化効果が大きく、硬化物の耐熱性低下が少ないという点で特に好ましい。
2官能脂肪族エポキシ化合物(X)の製造方法は、2価アルコールとエピハロヒドリンを硫酸、三弗化ホウ素エチルエーテル、四塩化錫等の酸性触媒の存在下に反応させて、クロルヒドリンエーテル体を製造し、次いで、このクロルヒドリンエーテル体を脱ハロゲン化水素剤と反応させて閉環せしめる2段階法により得た反応生成物を蒸留精製することによりジグリシジル体純度90%以上の脂肪族エポキシ化合物を得るものである。
エピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリンが好ましく、その使用量は、2価アルコールの水酸基1個当たり、0.8〜1.5当量、好ましくは0.9〜1.2当量が良い。エピクロルヒドリンの使用量が0.8当量未満の場合には、目的物であるクロルヒドリンエーテル体の収量が低下し、逆に1.5当量を超えるとエピクロルヒドリン高モル付加体や塩素含有物質が多く副生するため好ましくない。
反応温度は、0〜100℃、好ましくは25〜85℃である。0℃より低いと、反応の進行が非常に遅くなり、逆に100℃より高いと、塩素含有物質の副生量が増加するため好ましくない。
脱ハロゲン化水素剤との反応温度は、20〜100℃の範囲であり、好ましくは30〜80℃の範囲である。脱ハロゲン化水素剤との反応時間は、脱ハロゲン化水素剤の使用量、溶媒の使用有無によって異なるが、通常0.1〜10時間である。
更に、上記ジグリシジルエーテルは、純度を90%以上とするために蒸留精製を行う。蒸留精製は、ジグリシジルエーテルの分解を防ぐため、通常は減圧下で行われ、蒸留段数は5段以上が好ましく、高真空かつ圧力損失の少ない設備を使用することが好ましい。
2官能脂肪族エポキシ化合物(X)は、ジグリシジル体純度が90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは92質量%以上であり、95質量%以上が最も好ましい。また、全塩素量が0.3質量%以下であることが好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、更に0.2質量%以下が最も好ましい。
本発明において、重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で行う。反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
その溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールなどが挙げられ、これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
使用できる無機充填材は、粉末状の補強剤や充填剤、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ケイ藻土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等である。
これらの無機充填材はエポキシ樹脂と硬化剤の和の100質量部に対して、10〜900質量部配合することができる。
(1)カップリング剤、可塑剤、希釈剤、可撓性付与剤、分散剤、湿潤剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、酸化防止剤、脱泡剤、流れ調整剤等である。
これらはエポキシ樹脂と硬化剤の和の100質量部に対して、0.1〜20質量部配合される。
ビルドアップ法とは、ガラスプリプレグを積層した内層回路板上に、40〜90μmのフィルム(絶縁層)あるいは、銅箔付きのフィルム(銅箔:9〜18μm)を積層していく方法であり、一般的に回路形成工程として、積層プレス工程・穴あけ(レーザーorドリル)工程・デスミア/メッキ工程となる。そして、従来の積層板に比べ同性能のものなら、実装面積・重量ともに約1/4になる、小型・軽量化のための優れた工法である。特に、当該高可撓性樹脂は、フィルム化してビルドアップ絶縁層として用いるのが好ましい。
また、2官能脂肪族エポキシ化合物(X)の各分析は次の様に行った。
ジグリシジル体純度: ガスグロマトグラフィーでFDI検出器を用いて分析し、ジグリシジル体ピーク面積の全ピーク面積合計に対する面積%を質量%として測定した。
全塩素量:蛍光X線法で定量した。
(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの製造例)
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め30℃に加熱した1,4−ブタンジオール108.1部、四塩化錫3.13部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならない様に時間をかけてエピクロルヒドリン244.3部(ジオールの水酸基1個当たり1.1当量)を滴下した。80〜85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。22%水酸化ナトリウム水溶液528.0部を加え、45℃に加熱して4時間激しく攪拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロルヒドリン、水を除去し、粗1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル243.6部が得られた(収率92%、選択率57%)。この粗1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルをオールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力1300Pa,140〜160℃の留分を主留分とし、ガスクロ法によるジグリシジルエーテル体純度が98%、全塩素含有量0.05%の1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル118.0部を得た。
(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルの製造例)
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め45℃に加熱した1,6−ヘキサンジオール141.8部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならない様に時間をかけてエピクロルヒドリン244.3部(ジオールの水酸基1個当たり1.1当量)を滴下した。80〜85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。22%水酸化ナトリウム水溶液528.0部を加え、45℃に加熱して4時間激しく攪拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル283.6部が得られた(収率95%、選択率55%)。この粗1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルをオールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力1300Pa,170〜190℃の留分を主留分とし、ガスクロ法によるジグリシジルエーテル体純度97%、全塩素含有量0.07%の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル127.6部を得た。
(1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルの製造例)
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め60℃に加熱した1,4−シクロヘキサンジメタノール172.8部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならない様に時間をかけてエピクロルヒドリン244.3部(ジオールの水酸基1個当たり1.1当量)を滴下した。80〜85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。22%水酸化ナトリウム水溶液528.0部を加え、45℃に加熱して4時間激しく攪拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル306.4部が得られた(収率93%、選択率54%)。この粗1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルをオールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力660Pa,200〜220℃の留分を主留分とし、ガスクロ法によるジグリシジルエーテル体純度95%、全塩素含有量0.10%の1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル129.1部を得た。
(2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテルの製造例)
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール124.8部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならない様に時間をかけてエピクロルヒドリン244.3部(ジオールの水酸基1個当たり1.1当量)を滴下した。80〜85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。22%水酸化ナトリウム水溶液528.0部を加え、45℃に加熱して4時間激しく攪拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル222.8部が得られた(収率95%、選択率55%)。この粗2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテルをオールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、1300Pa,140〜160℃の留分を主留分とし、ガスクロ法によるジグリシジルエーテル体純度97%、全塩素含有量0.06%の2,2−ジメチル1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル98.0部を得た。
(エチレングリコールジグリシジルエーテルの製造例)
製造例1の1,4−ブタンジオールをエチレングリコールに替えた以外は、製造例1と同様にして、エチレングリコールジグリシジルエーテルを得た。
(プロピレングリコールジグリシジルエーテルの製造例)
製造例1の1,4−ブタンジオールをプロピレングリコールに替えた以外は、製造例1と同様にして、プロピレングリコールジグリシジルエーテルを得た。
上記製造例で得られた2官能脂肪族エポキシ化合物(X)、2価フェノール化合物(Y)、触媒及びシクロヘキサノンを耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下180℃で5時間、重合反応を行った。こうして得られた樹脂の性状値分析は次の方法で行った。
数平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによってポリスチレン換算値として測定。
エポキシ当量:電位差滴定法により測定し、樹脂固形分としての値に換算。
加水分解性塩素濃度:サンプルをメチルエチルケトンに溶解し、1N−NaOHエチレングリコールモノブチルエーテル溶液25mlを加え25℃で60分放置し、硝酸銀標準溶液にて、電位差滴定法により測定し、樹脂固形分としての値に換算。
α−グリコール基濃度:HIO4とチオ硫酸ナトリウムを使用し、過沃素酸酸化法で電位差滴定法により測定し樹脂固形分としての値に換算。
Li,Na,K含有量: 原子吸光法で測定し、樹脂固形分としての値に換算。
窒素含有量: 窒素分析計で測定し、樹脂固形分としての値に換算。
リン含有量: 蛍光X線装置で測定し、樹脂固形分としての値に換算。
上記のエポキシ樹脂(実施例1、2、比較例1)に、市販のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び無機充填材を配合し、150℃の乾燥室中で8分間乾燥させた後、180℃で120分間加圧加熱してそれぞれの硬化樹脂を得た。
Claims (10)
- 炭素数2〜12の2価アルコールとエピハロヒドリンの反応生成物を蒸留精製して得られるジグリシジル体純度が90質量%以上で、全塩素が0.3質量%以下の2官能脂肪族エポキシ化合物(X)と2価フェノール化合物(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、数平均分子量が300〜100,000である高可撓性樹脂。
- 前記2官能脂肪族エポキシ化合物(X)は、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、エチレングリコール及びプロピレングリコールより選ばれる少なくとも1種とエピハロヒドリンの反応生成物であることを特徴とする請求項1記載の高可撓性樹脂。
- 前記2官能脂肪族エポキシ化合物(X)は、2価アルコールの水酸基1当量に対し、0.8〜1.5当量のエピクロルヒドリンを酸性触媒の存在下に反応させてクロルヒドリンエーテル体を得た後、脱ハロゲン化水素剤と反応させて閉環せしめる2段階反応により得られる生成物を、5段以上の蒸留段数を有する蒸留設備を用い、粗液温度を270℃以下として蒸留精製することにより製造された全塩素含量が0.15質量%以下の脂肪族エポキシ化合物である請求項1又は請求項2に記載の高可撓性樹脂。
- 前記2官能脂肪族エポキシ化合物(X)と2価フェノール化合物(Y)を、エポキシ基:フェノール性水酸基=1:0.1〜3の当量比で反応させて得られる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高可撓性樹脂。
- 高可撓性エポキシ樹脂中のLi、Na及びKの含有量が合計100ppm以下、燐の含有量が300ppm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高可撓性樹脂。
- 前記2官能フェノール化合物(Y)が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4'−ビフェノール、3,3',5,5’−テトラメチル−4,4'−ビフェノール、ビスフェノールアセトフェノン、レゾルシノール及びハイドロキノンから選ばれる1種又は複数種の2官能フェノール樹脂である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の高可撓性樹脂。
- 前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の高可撓性樹脂と、樹脂硬化剤及び硬化促進剤を必須成分とする硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の高可撓性樹脂と、2官能以上のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤及び硬化促進剤を必須成分とする硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項7又は請求項8記載の樹脂組成物に無機充填剤が配合されていることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる高可撓性硬化物。
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