JP2003342352A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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JP2003342352A
JP2003342352A JP2002156592A JP2002156592A JP2003342352A JP 2003342352 A JP2003342352 A JP 2003342352A JP 2002156592 A JP2002156592 A JP 2002156592A JP 2002156592 A JP2002156592 A JP 2002156592A JP 2003342352 A JP2003342352 A JP 2003342352A
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JP
Japan
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epoxy resin
ppm
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bisphenol
high molecular
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JP2002156592A
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Takayoshi Hirai
孝好 平井
Tetsuro Imura
哲朗 井村
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Japan Epoxy Resins Co Ltd
Original Assignee
Japan Epoxy Resins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 2官能エポキシ樹脂(X)と、ビスフ
ェノールSを70〜100重量%含む2価フェノール化
合物(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、重量
平均分子量が10,000〜200,000である高分
子量エポキシ樹脂 2官能以上のエポキシ樹脂 エポキシ樹脂硬化剤 硬化促進剤 を必須成分とし、組成物中の可鹸化塩素含有量を10p
pm以上2500ppm以下に調整したエポキシ樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスフェノールS
を含有すること及び硬化物性、組成物の保存安定性に影
響を与える可鹸化塩素を10ppm以上2500ppm
以下含有することを特徴とし、かつ高分子量エポキシ樹
脂、当該高分子量エポキシ樹脂以外の2官能以上のエポ
キシ樹脂、多官能フェノール樹脂及び硬化促進剤を必須
成分とする、ガラス転移温度の高いエポキシ樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、塗料、土木接着、電気
用途に広く利用されているが、特にBPA型の高分子量
タイプのフェノキシ樹脂と呼ばれる樹脂は、塗料用ワニ
スのベース樹脂、フィルム成形用のベース樹脂として使
用したり、エポキシ樹脂ワニスに添加して流動性の調整
や硬化物としたときの靭性改良を行うために使用した
り、また臭素原子を骨格中に有するものは、熱可塑性樹
脂に配合して難燃剤として使用されたりする。一方、電
気・電子機器に使用されるプリント配線板については、
機器の小型化、軽量化、高機能化に伴い、特に多層プリ
ント配線板に対し、更なる高多層化、高密度化、薄型
化、軽量化、高信頼性、成形加工性が要求されている。
この要求に対して、ビルドアップ法等新しい多層プリン
ト配線板の製造方法が開発されてきており、これらに適
した高性能のエポキシ樹脂が求められている。
【0003】一方、従来の多層電気積層板用樹脂には、
主にテトラブロモビスフェノールAを原料とする臭素含
有エポキシ樹脂が使用されている。しかし、近年の環境
問題に対する配慮からハロゲンを含有しない材料が求め
られている。この対応としてビスフェノールA型のエポ
キシ樹脂や多官能型エポキシ樹脂の使用が提案されてい
るが、耐熱性や成形性あるいは電気特性において満足で
きるものではない。そこでこれらの要求を満たし実質的
にハロゲンを含有しないエポキシ樹脂が望まれている。
【0004】また、ビスフェノールA型の高分子量エポ
キシ樹脂やフェノキシ樹脂を添加して成形性や物性の改
良をする提案も行われており、例えば、特開平6−12
8461号公報、特開平9−67555号公報などに記
載されているが、ビスフェノールS含有の高分子量エポ
キシを使用するという記載はない。また、特開2001
−181375号公報及び特開2001−261789
号公報には、ビスフェノールS含有高分子量エポキシ樹
脂を用いた樹脂組成物の記載はあるが、組成物の保存安
定性、硬化物性に影響を与える可鹸化塩素量についての
記載はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エポキシ樹脂組成物
に、これまで知られている高分子量エポキシ樹脂やフェ
ノキシ樹脂を配合した場合、成形性、可撓性、耐衝撃
性、接着性を良くすることができるが、プリント配線板
としたときの耐熱性や絶縁特性が悪くなる。本発明が解
決しようとする課題は、従来の臭素を含まない高分子量
エポキシ樹脂やフェノキシ樹脂の種々の問題点を解決し
て耐熱性、成形性、可撓性、耐衝撃性、接着性、硬化性
に優れたプリント配線板用組成物を得るために必要な臭
素を含まない高純度ビスフェノールS含有高分子量エポ
キシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の各発明
を包含する。 (1)2官能エポキシ樹脂(X)と、ビスフェノール
Sを70〜100重量%含む2価フェノール化合物
(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、重量平均
分子量が10,000〜200,000である高分子量
エポキシ樹脂 2官能以上のエポキシ樹脂 エポキシ樹脂硬化剤 硬化促進剤 を必須成分とし、組成物中の可鹸化塩素含有量を10p
pm以上2500ppm以下に調整したエポキシ樹脂組
成物。
【0007】(2)エポキシ樹脂硬化剤が多官能フェ
ノール樹脂である(1)項記載のエポキシ樹脂組成物。 (3)高分子量エポキシ樹脂の可鹸化塩素量が、10
ppm以上200ppm以下である(1)項又は(2)
項記載のエポキシ樹脂組成物。
【0008】(4)2官能以上のエポキシ樹脂の可鹸
化塩素量が、10ppm以上2300ppm以下である
(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹
脂組成物。 (5)高分子量エポキシ樹脂が窒素元素を10ppm
以上200ppm以下含有してなる(1)項〜(4)項
のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用するビスフェノール
S含有高分子量エポキシ樹脂は、4,4'−ビスフェノ
ールSの純度が96%以上のものがよく、好ましくは、
4,4'−ビスフェノールSが98%以上、かつ2,4'
−ビスフェノールSが2%以下のものがよい。純度が9
6%未満のものでは充分に高分子量化しなくなり、好ま
しくない。
【0010】ビスフェノールSを70〜100重量%含
む2価フェノール化合物(Y)における残り0〜30重
量%の他の2価フェノール成分としては、2個の水酸基
が芳香族環に結合したものであればどのようなものでも
よい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、
ビスフェノールB、ビスフェノールAD、4,4'−ビ
フェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−4,
4'−ビフェノール等のビスフェノール類、ビフェノー
ル、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロ
キシナフタレン等が挙げられる。
【0011】また、これらの2価フェノール類のアルキ
ル基、アリール基、エーテル基、エステル基などの非妨
害性置換基で置換されたこれらのものが挙げられる。こ
れらの2価フェノールの中で好ましいものは、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールF、4,4'−ビフェノー
ル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ビフ
ェノールである。これらの2価フェノールは複数種を併
用して使用することもできる。また、重量平均分子量
は、10,000未満のものでは、充分な耐熱性の効果
はなく、200,000を越えると樹脂の取り扱いが困
難になり、好ましくない。耐熱性、樹脂の取り扱いの両
面からみて、好ましくは重量平均分量10,000〜9
0,000がよい。
【0012】本発明におけるエポキシ樹脂組成物中の可
鹸化塩素量は、10ppm未満だと硬化速度が速すぎ取
扱いが不便になる。また、エポキシ樹脂組成物の保存中
に反応が進みやすく、保存安定性が悪くなる、保存中に
硬化が進み粘度が上昇し、作業性が悪くなったり、最悪
ゲル化等の問題がある。一方、可鹸化塩素量が2500
ppmを越えると硬化速度が遅すぎて製造工程上非効率
となる。また、硬化反応の架橋点となるエポキシ基の濃
度が低くなり、硬化物の架橋密度が低くなり、ガラス転
移温度が低下することや、吸水率が多くなる等の欠陥が
生じ好ましくない。それ故、10ppm以上2500p
pm以下の可鹸化塩素を含有することが好ましい。
【0013】同様に、本発明における高分子量エポキシ
樹脂中の可鹸化塩素含有量は、10ppm以上200p
pm以下であることが好ましい。同様に、本発明に使用
する2官能以上のエポキシ樹脂の可鹸化塩素量は、10
ppm以上2300ppm以下であることが好ましい。
【0014】本発明における高分子量エポキシ樹脂中の
窒素は、高分子量エポキシ樹脂製造時における触媒由来
のものであって、有機窒素の形で樹脂中に含有されてい
るものである。その含有量は、10ppm以上200p
pm以下であることが好ましい。10ppm未満だと硬
化促進剤との相乗効果が低く、200ppmを越えると
硬化促進剤との相乗効果が大きくなり、ワニス等組成物
の保存安定性が悪くなり好ましくない。
【0015】本発明で使用する2官能エポキシ樹脂
(X)は、分子内に2個のエポキシ基を持つ化合物であ
ればどのようなものでもよく、例えば、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型
エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エ
ポキシ樹脂、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンな
どの単環2価フェノールのジグリシジルエーテル、ジヒ
ドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、2価アル
コールのジグリシジルエーテル、フタル酸、イソフタル
酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸
などの2価カルボン酸のジグリシジルエステル等が挙げ
られる。また、アルキル基、アリール基、エーテル基、
エステル基などの非妨害性置換基で置換されたこれらの
ものが挙げられる。
【0016】これらのエポキシ樹脂の中で好ましいもの
は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールS、4,4'−ビフェノール、3,3',5,5’−
テトラメチル−4,4'−ビフェノール、とエピハロヒ
ドリンとの縮合反応によって得られるエポキシ樹脂であ
る。これらのエポキシ樹脂は複数種を併用して使用する
こともできる。また、2官能エポキシ樹脂(X)中の末
端基不純物である加水分解塩素濃度が200ppm以下
であり、α−グリコール基濃度が100meq/kg以
下である2官能エポキシ樹脂(X)を原料として使用す
ることが好ましい。加水分解塩素濃度が200ppmよ
り大きかったり、α−グリコール基濃度が100meq
/kgより大きいと、十分に高分子量化しなくなり、好
ましくない。
【0017】本発明における触媒は、エポキシ基とフェ
ノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基
との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればど
のようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、
有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム
塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。ア
ルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、等のアルカリ金
属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化
ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、等のアルカ
リ金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、等のアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェ
ノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等、酢酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアル
カリ金属塩が挙げられる。
【0018】有機リン化合物の具体例としては、トリ−
n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウ
ムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイ
ド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、ト
リメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリ
メチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメ
チルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベン
ジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニ
ウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロ
マイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイ
ド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリ
フェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニル
エチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジ
ルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホス
ホニウムブロマイド、などが挙げられる。
【0019】第3級アミンの具体例としては、トリエチ
ルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチ
ルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルア
ミンなどが挙げられる。第4級アンモニウム塩の具体例
としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テト
ラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモ
ニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニ
ウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライ
ド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチ
ルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニ
ウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロ
オキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テ
トラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアン
モニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマ
イド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサ
イド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フ
ェニルトリメチルアンモニウムクロライド、などが挙げ
られる。
【0020】イミダゾール類の具体例としては、2−メ
チルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。環状
アミン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシク
ロ(4,3,0)ノネン−5等が挙げられる。これらの
触媒は併用することができる。
【0021】通常、触媒の使用量は反応固形分中、0.
001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用
すると高分子量エポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留
し、それを使用したプリント配線板の絶縁特性を極端に
悪化させるため、高分子エポキシ樹脂中のLi,Na,
Kの含有量の合計が5ppm以下、好ましくは、3pp
m以下である必要がある。また、有機リン化合物、第3
級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミ
ダゾール類等を触媒として使用した場合も、高分子量エ
ポキシ樹脂中に触媒残渣として残留し、アルカリ金属分
の残留と同様にプリント配線板の絶縁特性を悪化させる
ので、高分子量エポキシ樹脂中の窒素の含有量が200
ppm以下であり、高分子量エポキシ樹脂中のリンの含
有量が150ppm以下である必要がある。さらに好ま
しくは、高分子量エポキシ樹脂中の窒素の含有量が10
0ppm以下であり、高分子量エポキシ樹脂中のリンの
含有量が100ppm以下である。これらの触媒の中
で、特に窒素含有化合物が望ましく、さらに高分子量エ
ポキシ樹脂中の窒素含有量が10以上150ppm以下
であることが前述の理由で好ましい。
【0022】本発明における高分子量エポキシ樹脂は、
その製造時の合成反応の工程において溶媒を用いても良
く、その溶媒としては、高分子量エポキシ樹脂を溶解す
るものであれば、どのようなものでも良い。例えば、芳
香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコール
エーテル系溶媒などが挙げられる。芳香族系溶媒の具体
例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げ
られる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、
4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、
アセチルアセトン、などが挙げられる。アミド系溶媒の
具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N
−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げ
られる。
【0023】グリコールエーテル系溶媒の具体例として
は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テートなどが挙げられる。これらの溶媒は併用すること
ができる。
【0024】製造時の合成反応における固形分濃度は3
5%〜95%が好ましい。また、反応途中で高粘性生成
物が生じたときは溶媒を添加して反応を続けることがで
きる。反応終了後、溶媒は必要に応じて、除去すること
もできるし、更に追加することもできる。本発明におい
て、重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温
度で行う。反応温度は、好ましくは50〜230℃、よ
り好ましくは120〜200℃である。アセトンやメチ
ルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合に
は、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うこと
で反応温度を確保することができる。
【0025】本発明の高分子量エポキシ樹脂、当該高分
子量エポキシ樹脂以外の2官能以上のエポキシ樹脂、エ
ポキシ樹脂硬化剤及び硬化促進剤を必須成分とするエポ
キシ樹脂組成物に、使用する2官能以上のエポキシ樹脂
としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン
型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポ
キシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等の種種のエポキシ樹
脂が挙げられる。
【0026】エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、芳
香族ポリアミン、ジシアンジアミド、酸無水物など、多
官能フェノール樹脂としては、フェノールノボラック型
樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂、ジシクロペン
タジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹
脂、テルペン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノ
ールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹
脂などが挙げられる。
【0027】また、その硬化促進剤としては、例えばト
リブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス
(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキ
シプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホス
フィンなどのホスフィン系化合物、テトラフェニルホス
ホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホ
スホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノ
エチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホス
ホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイ
ミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2
−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メ
チルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチ
ルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、
2,4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル
−(1)] −エチル−S−トリアジンなどのイミダゾー
ル系化合物、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダ
ゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイ
ソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウ
ムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウム塩、
【0028】2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチ
ルブチルグアジニン、N−メチルピペラジン、2−ジメ
チルアミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチル
アンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウ
ム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウ
ンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5
−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オ
クタンなどのジアザビシクロ系化合物、それらのジアザ
ビシクロ系化合物のテトラフェニルボレート塩、フェノ
ール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン
酸塩などが挙げられる。
【0029】その溶剤としては、例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブ
チルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールなどが
挙げられ、これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混
合溶剤として使用することも可能である。その他、保存
安定性のために紫外線防止剤、可塑剤等、無機充填材と
して水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、
シリカ等、カップリング剤としてシランカップリング
剤、チタネート系カップリング剤なども使用可能であ
る。また、難燃性を付与するために、ノンハロゲンタイ
プのリン系、窒素系、シリコン系難燃剤等を添加しても
良い。
【0030】これらの樹脂組成物は、従来の多層電気積
層板やビルドアップ法等新しいプリント配線板に使用で
きる。ビルドアップ法とは、ガラスプリプレグを積層し
た内層回路板上に、40〜90μmのフィルム(絶縁層)
あるいは、銅箔付きのフィルム(銅箔:9〜18μm)を
積層していく方法であり、一般的に回路形成工程とし
て、積層プレス工程・穴あけ(レーザーorドリル)工
程・デスミア/メッキ工程となる。そして、従来の積層
板に比べ同性能のものなら、実装面積・重量ともに約1
/4になる、小型・軽量化のための優れた工法である。
特に、本発明のビスフェノールS含有高分子エポキシ樹
脂は、フィルム化してビルドアップ絶縁層として用いる
のが好ましい。
【0031】通常のビスフェノールA型高分子量エポキ
シ樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が95℃、臭素
化ビスフェノールA型高分子量エポキシ樹脂では125
℃、当該ビスフェノールS含有高分子エポキシ樹脂は構
成成分にもよるが、155℃のものもあり、耐熱性に優
れている。そのため、ビルドアップ法で用いる40〜9
0μmのフィルム(絶縁層)にした場合、高耐熱性の当該
ビスフェノールS含有高分子エポキシ樹脂を使用するこ
とは有効である。また、実質的に臭素を含まず、ビスフ
ェノールS骨格はその構造的に燃えにくい性質があるた
め、ノンハロゲンタイプへの展開にも有効である。通常
のエポキシ樹脂は線膨張係数が70ppm/℃程度であ
るが、当該ビスフェノールS含有高分子エポキシ樹脂
は、線膨張率が50〜60ppm/℃であり、プリント
配線板を構成する際、歪みや反りが生ぜず好ましい。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。実施例において、「部」は全て質量部を示す。
【0033】実施例1〜3、比較例1〜3 (エポキシ樹脂の製造例)表1に示した配合で2官能エ
ポキシ樹脂(X)、2価フェノール(Y)、触媒及びシ
クロヘキサノン55質量部を耐圧反応容器に入れ、窒素
ガス雰囲気下180℃で5時間、重合反応を行った。こ
うして得られた樹脂の性状値分析は次の方法で行った。
分析結果は、表1に示したとおりである。
【0034】重量平均分子量: ゲル浸透クロマトグラ
フィーによってポリスチレン換算値として測定。 エポキシ当量 : 電位差滴定法により測定し、樹脂固
形分としての値に換算。
【0035】可鹸化塩素 :
【化1】 上記構造のものを可鹸化塩素と呼び試料1gをメチルエ
チルケトン30ml、テトラヒドロフラン60mlに溶
解した後、エチレングリコールモノブチルエーテル25
ml、アルカリ性エチレングリコールモノブチルエーテ
ル25mlを加えて25℃で1時間反応させる。氷酢酸
25mlを加え、0.01N硝酸銀標準溶液にて電位差
滴定法により可鹸化塩素量を測定、この測定値には、無
機塩素量が含まれるため、別途測定した無機塩素量を差
し引き、樹脂固形分としての値に換算。
【0036】無機塩素量 : 試料5gをメチルエチ
ルケトン50ml、テトラヒドロフラン50mlに溶解
した後、蒸留水2ml、氷酢酸1mlを加え、0.00
2N硝酸銀標準溶液にて電位差滴定法により無機塩素量
を測定、樹脂固形分としての値に換算。 α−グリコール: HIO4とチオ硫酸ナトリウムを使用
し、電位差滴定法により測定し、樹脂固形分としての値
に換算。
【0037】Li,Na,K含有量: 原子吸光法で測
定し、樹脂固形分としての値に換算。 窒素含有量 : 窒素分析計で測定し、樹脂固形分と
しての値に換算。 リン含有量 : 蛍光X線装置で測定し、樹脂固形分
としての値に換算。
【0038】上記のエポキシ樹脂の製造例で得られたエ
ポキシ樹脂(実施例1、2、3、比較例1、2、3、
4)、及び市販のエポキシ樹脂を、ガラス布を含浸させ
た後、150℃の乾燥室中でその含浸布を8分間乾燥さ
せ、Bステージ状のプリプレグを得た。このプリプレグ
を切断して得たプリプレグ8枚と銅箔1枚とを重ね、4
0kgf/cm2で加圧しながら175℃で120分間
加圧加熱して積層板とした。得られた積層板の物性は表
2に示すとおりであり、実施例の樹脂を用いた積層板は
耐熱性(ガラス転移温度)、耐沸騰水性、ワニスの保存
安定性及び接着性が総合的にみて著しく良好であった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】ビルドアップ法を説明する図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J036 AD07 AD08 AD21 AF06 AF08 AG00 AH00 DB15 DC06 DC12 DC26 DC31 DC38 DC40 DC46 DD07 FB07 GA02 GA04 JA08 4M109 AA01 CA21 EA02 EB03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2官能エポキシ樹脂(X)と、ビスフ
    ェノールSを70〜100重量%含む2価フェノール化
    合物(Y)を触媒の存在下に反応させて得られる、重量
    平均分子量が10,000〜200,000である高分
    子量エポキシ樹脂 2官能以上のエポキシ樹脂 エポキシ樹脂硬化剤 硬化促進剤 を必須成分とし、組成物中の可鹸化塩素含有量を10p
    pm以上2500ppm以下に調整したエポキシ樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ樹脂硬化剤が多官能フェ
    ノール樹脂である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記高分子量エポキシ樹脂の可鹸化塩
    素量が10ppm以上200ppm以下である請求項1
    又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記2官能以上のエポキシ樹脂の可鹸
    化塩素量が10ppm以上2300ppm以下である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記高分子量エポキシ樹脂が窒素元素
    を10ppm以上200ppm以下含有してなる請求項
    1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
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