JP2005302680A - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電極構造30よりワークを向くべき側に絶縁手段45を介して導電部材51を設け、該部材51を電気的に接地する。絶縁手段45は、電極間のプラズマ化空間30aに連なる導出路40aを形成する第1絶縁部41と、この第1絶縁部41より導出路40a側とは逆側に別途配された第2絶縁部42とに分かれている。第1絶縁部41は、第2絶縁部42よる耐プラズマ性の高い絶縁材料にて構成されている。
【選択図】 図3
Description
リモート式のプラズマ処理装置として、例えば特許文献1に記載のものは、垂直な平板状をなす左右一対の電極を備えている。一方の電極は、高周波電源に接続され、他方の電極は、接地されている。電極の下側には、セラミック製の下部ホルダが設けられている。このホルダの下面がワークと対面することになる。上記電源による電界印加によって電極間の空間がプラズマ化空間となる。この空間の上端部から処理ガスが導入されてプラズマ化される。このプラズマ化された処理ガスが、下方へ吹出され、ワークに当てられる。これによって、ワークのプラズマ表面処理を行なうことができる。
また、導電部材によって、ワークへのアーク放電を防止しつつ電極をワークに近づけることができる。したがって、処理不良やワークの損傷を確実に防止できるとともに、プラズマ化された処理ガスが失活しないうちにワークに確実に当てることができ、プラズマ表面処理の効率を向上させることができる。特に、略常圧下で処理する場合に、そのメリットが大きい。また、電界がワークへ洩れるのを防止でき、ワークが電界によって影響を受けないようにすることができる。導電部材と絶縁手段(少なくとも第1絶縁部)とを互いに接するようにすれば、絶縁手段に電荷が蓄積されるのを防止することができる。
なお、本発明における略常圧(大気圧近傍の圧力)とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×104〜10.664×104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。
耐プラズマ性の高い絶縁材料としては、例えば石英ガラス、アルミナ、窒化アルミニウム等が挙げられる。
前記導電部材の吹出し口とは逆側の外側面(背面)は、前記電極におけるプラズマ化空間とは逆側の外側面(背面)と面一であってもよく、前記電極外側面より内側(吹出し口側)に引っ込んで位置していてもよく、前記電極外側面より外側に突出して位置していてもよい。
図1は、本発明の第1実施形態に係る常圧プラズマ処理装置M1を示したものである。常圧プラズマ処理装置M1は、処理ガス源2と、パルス電源3(電界印加手段)と、ワーク送り機構4と、門型のフレーム60と、左右一対のノズルヘッド(処理ヘッド)1とを備えている。
ノズルヘッド1は、左右一対をなし、ローラ4aの上方すなわちワークWの移動平面の上方に位置されるようにして、門型フレーム60の左右両脚62の間に支持されている。左右のノズルヘッド1は、互いに同一構成になっている。
図3に示すように、放電処理部20は、電極構造30と、この電極構造30を保持する電極ホルダ21とを有している。ホルダ21は、絶縁樹脂からなる一対の逆L字状のアングル部材(アングルホルダ)24,24と、これらアングル部材24,24の上面に跨るようにして被せられた鋼材(導電体)からなる上部プレート22と、各アングル部材24の左右外面にそれぞれ添えられた鋼材(導電体)からなる左右のサイドプレート23と、ノズルヘッド1の底部を構成するロア部50(下部プレート、ノズルエンド構成部材、図2において省略)とを備えている。各サイドプレート23の上端部が、アッパープレート22にボルト締めにて連結され、剛結合されている。アッパープレート22と左右のサイドプレート23により門型のフレームが構成されている。
ロア部50は、本発明の要旨に係るものであるので、追って詳述する。
図3に示すように、ロア部50は、絶縁手段45と、この絶縁手段45の下面に重ねられた導電部材51を備え、図3の紙面と直交する前後方向に水平に延びている。ロア部50は、左右のサイドプレート23,23とアングル部材24,24と電極構造30の下面に跨り、自身より上側のノズルヘッド1の構成要素を支持している。したがって、ロア部50は、電極構造30のワークWを向くべき下面を覆い、電極構造30がワークWに直接対面しないように遮っている。言い換えると、電極構造30のワークWを向くべき下面がロア部50の導電部材51にて覆われるとともに、これら電極構造30と導電部材51との間に両者を絶縁する絶縁手段45が介在、装填されている。
したがって、第2絶縁板42は、第1絶縁板41の導出路40a側とは逆側に配置されている。
第1絶縁板41は、耐プラズマ性の材料にて構成されている。更に言えば、第1絶縁板41は、第2絶縁板42より耐プラズマ性の高い絶縁材料で構成されている。例えば、第1絶縁板41は、石英にて構成され、第2絶縁板42は、塩化ビニルで構成されている。一般に、石英のような耐プラズマ性の高い材料は、そうでない塩化ビニルなどと比べ高価である。
ボルト56の頭部に、接地リード線5の端子5aが係合されている。このリード線5が、接地されている。これによって、導電部材51が、ボルト56およびナット55を介して電気的に接地されている。
上記構成の常圧プラズマ処理装置M1によれば、電極31,32よりワークWの側に、接地された導電部材51が配されることになるので、電極31,32からワークWへの電界の洩出や放電を防止することができる。これによって、処理不良やワークWの損傷を招くことなく、ノズルヘッド1ひいてはプラズマ化空間30aをワークWに近づけることができる。この結果、常圧下においても、プラズマをワークWに確実に当てることができ、プラズマ処理の効率を向上させることができる。また、ワークWが電界によって影響を受けるのを防止できる。
導電部材51の吹出し口50a縁面が、電極構造30のプラズマ化空間30a形成面より引っ込み、更に第1絶縁板41の導出路40a形成面より引込んでいるので、電極31と導電部材51の吹出し口縁部の間で放電が起きるのを確実に防止することができる。
長尺ノズルヘッド1の長手方向の両端部においては、導電部材51が、スペーサ34と電極31,32との境を避ける構成にすることにより、スペーサ34と電極31,32との境で沿面放電が起きたとき、これが導電部材51に伝わるのを防止することができる。
上記のように、図3の装置M1では、導電部材51の吹出し口縁面が電極構造30のプラズマ化空間形成面より引っ込み、これにより電極31から導電部材51への放電を防止できるようにしていたが、場合によってはこれら面の位置関係を逆にしてもよい。
すなわち、図5に示すように、導電部材51の吹出し口50a縁面が、絶縁部材41の導出路40a形成面より突出し、かつ、電極31,32のプラズマ化空間30a形成面より突出していてもよい。そうすることにより、吹出し口50aがプラズマ化空間30aより幅狭になる。これによって、処理ガスを吹出し口50aで絞って勢いを付け、ワークWに確実に当てることができる。この結果、処理効率を一層向上させることができる。また、プラズマ化空間30aで加熱された処理ガスを高温のままワークWに吹付けることができる。
さらには、図7に示すように、導電部材51の外端面が、電極31,32の外側面より内側の吹出し口50a寄りに位置していてもよい。
なお、図5〜図9において、電極31,32の固体誘電体層33の図示は省略してある。
第1面取り部41aは、第2面取り部41bより大きい。これによって、第1絶縁板41の上面と導出路形成面とのなす角の欠損ひいてはパーティクルの発生をより確実に防止できる。
なお、導電部材51の吹出し口50a縁面が、第1絶縁部の第2面取り部41bと下面との境より左右外側に引込んでいてもよい。
図13は、本発明の第2実施形態に係る常圧プラズマ処理装置M2を示したものである。第2実施形態の装置M2は、プラズマ表面処理として例えばプラズマエッチングを行なうプラズマエッチング装置である。装置M2の処理ガス源2Xには、プラズマエッチング用の処理ガスとして例えばCF4などが蓄えられている。
筒状ノズルヘッド70は、軸線を上下に向けたボディ71と、このボディ71内に装填された絶縁ホルダ80と、電極構造30Xを備えている。ボディ71は、導電金属製の3つのボディ構成部材72,73,74を上下に連ねた三段筒形状をなしている。絶縁ホルダ80は、絶縁樹脂製の3つのホルダ構成部材81,82,83を上下に連ねた筒形状をなしている。
例えば、絶縁材は、少なくとも電界印加電極と導電部材との間に設けられていればよく、接地電極と導電部材との間には設けられていなくてもよい。
本発明は、常圧下だけでなく、減圧下でのプラズマ処理にも適用でき、グロー放電だけでなく、コロナ放電や沿面放電によるプラズマ処理にも適用でき、洗浄やエッチングだけでなく、成膜、表面改質、アッシング等の種々のプラズマ処理に遍く適用できる。
W,W’ ワーク
1 長尺ノズルヘッド
5 接地リード線
3 パルス電源(電界印加手段)
30,30X 電極構造
30a,30b プラズマ化空間
31,31X 電界印加電極
32,32X 接地電極
34 スペーサ
40a 導出路
41 第1絶縁板(第1絶縁部)
42 第2絶縁板(第2絶縁部)
42S 間隙(気体層からなる第2絶縁部)
45 絶縁手段
50a 吹出し口
51 導電部材
51a 避け部
70 筒状ノズルヘッド
90s 間隙(第2絶縁部及び吸込み路)
91 アウターノズルピース(導電部材)
91b 孔部
92 インナーノズルピース(第1絶縁部)
92a 導出路
Claims (17)
- 処理ガスをプラズマ化し被処理物へ向けて吹出すことによりプラズマ処理を行なう装置であって、
前記プラズマ化のための空間を形成する一対の電極からなる電極構造と、
電気的に接地された状態で、前記電極構造の被処理物を向くべき側を遮るように配置された導電部材と、
前記電極構造と導電部材との間に介在され、両者を絶縁する絶縁手段と、を備え、
前記絶縁手段が、前記プラズマ化空間の下流に連なる処理ガスの導出路を形成する面を有する第1絶縁部と、この第1絶縁部の導出路側とは逆側に別途配された第2絶縁部とに分かれていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記第1絶縁部が、前記第2絶縁部より耐プラズマ性の高い絶縁材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1絶縁部が、耐プラズマ性の絶縁材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記第2絶縁部が、気体層で構成されていることを特徴とする請求項1または3に記載のプラズマ処理装置。
- 前記電極構造が、電界印加手段に接続された電界印加電極と、電気的に接地された接地電極とからなり、前記絶縁手段及び導電部材が、これら電極のうち少なくとも電界印加電極に対応して設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1絶縁部の導出路形成面が、前記電極構造のプラズマ化空間形成面より引込んでいることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記導電部材が、前記導出路の下流に連なる吹出し口を形成する縁面を有し、この吹出し口縁面が、前記電極構造のプラズマ化空間形成面または前記第1絶縁部の導出路形成面より引込んでいることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記導電部材が、前記導出路の下流に連なる吹出し口を形成する縁面を有し、この吹出し口縁面が、前記電極構造のプラズマ化空間形成面又は前記第1絶縁部の導出路形成面より突き出ていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1絶縁部の電極構造を向く面と導出路形成面とのなす角と、導出路形成面と導電部材を向く面とのなす角のうち、少なくとも前者が、面取りされていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1絶縁部の電極構造を向く面と導出路形成面とのなす角と、導出路形成面と導電部材を向く面となす角が、それぞれ面取りされ、しかも、前者が、後者より大きく面取りされていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1絶縁部の導出路形成面と導電部材を向く面とのなす角が、面取りされており、
前記導電部材が、前記導出路の下流に連なる吹出し口を形成する縁面を有し、この吹出し口縁面が、前記第1絶縁部の導電部材を向く面と前記面取り部との境と略同位置又はそれより引込んでいることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のプラズマ処理装置。 - 前記導電部材が、第1絶縁部を向く面と、導出路の下流に連なる吹出し口を形成する縁面と、ワークを向くべき面とを有し、前記第1絶縁部を向く面と吹出し口縁面とのなす角と、吹出し口縁面とワークを向くべき面とのなす角のうち、少なくとも前者が、面取りされていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記導電部材が、第1絶縁部を向く面と、導出路の下流に連なる吹出し口を形成する縁面と、ワークを向くべき面とを有し、前記吹出し口縁面が、第1絶縁部を向く面と被処理物を向くべき面にそれぞれ向かって丸みを付けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記電極構造の一対の電極が、互いの対向方向と直交して延びる長尺状をなし、前記絶縁手段と導電部材が、前記電極と同方向に延び、ひいては前記導出路とその下流端に連なるようにして前記導電部材に形成された吹出し口とが、前記電極と同方向に延び、前記吹出し口が、前記対向方向及び延び方向と略直交する向きに開口されていることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極の長手方向の互いに同じ側の端部どうしの間には、絶縁材料からなるスペーサが挟まれており、前記導電部材が、前記スペーサと電極との境を避けるようにして形成されていることを特徴とする請求項14に記載のプラズマ処理装置。
- 前記導電部材には孔部が開口され、この孔部の内側に前記第1絶縁部の導出路が配されており、前記導電部材と第1絶縁部によって前記孔部を吸込み口とする吸込み路が画成され、この吸込み路が、前記第2絶縁部としての気体層として提供されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
- 前記電極構造の一方の電極を他方の電極が同軸環状をなして囲み、これにより、前記プラズマ化空間が、環状をなしていることを特徴とする請求項1〜5、16の何れかに記載のプラズマ処理装置。
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