JP4418227B2 - 大気圧プラズマ源 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体製造、表面処理及び排ガス処理装置などに用いられる大面積の大気圧プラズマ源に関し、特に、プラズマの点火及び維持の条件範囲を広げて各種用途に適応した大気圧プラズマ源に関する。
プラズマを発生させる方法としては、例えば、電極間のアーク放電を利用する方法、高周波の電磁場を利用して誘導的に原料ガスを加熱する方法、マイクロ波励起により原料ガスを加熱する方法などが知られている。
それらのうちアーク放電に関する技術の具体例としては、例えば、対向配置された電極間に、高電圧を印加して強制的にアーク放電させ、それら電極間にガスを送入してその風力により放電を拡張させる技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、高周波を用いた具体例としては、対向配置された電極間に交流電圧(交番電圧)又はパルス波(パルス電圧)を印加して誘電体バリア放電等をさせる技術がある(例えば、特許文献2〜4参照。)。
さらに、マイクロ波励起の具体例としては、低圧あるいは真空の容器(チャンバ)内にガスを供給し、マイクロ波を励起源としてプラズマを発生させる技術がある(例えば、特許文献5〜6参照。)。
これらのようにプラズマの発生方法は従来から種々提案されているが、プラズマは、発生方法の相違により性質が異なってくるため、工業分野においては、その性質に応じた利用がなされている。
例えば、基板表面の改質,エッチングや成膜,超微粒子生成,排ガス処理等のドライプロセスにおいては、高密度なプラズマが利用されている。
また、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)などのボンディング部の洗浄、フィルムの表面処理や空気清浄などには、密度が低く低温のプラズマが利用されている。
ところで、大気圧下でプラズマを発生させる大気圧プラズマ源は、低圧や真空にするための真空ポンプやその状態を保持するためのチャンバなどを必要としないことから、低コストかつ小型化が可能である。
この大気圧プラズマ源に関しては、例えば、プラズマ発生方法として直流パルス放電を用い、しかも、プラズマの吹き出し口を横長断面(幅広)に形成した技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
この従来の大気圧プラズマ源は、吹き出し口が横長断面である点だけを見れば、大面積の処理が必要なドライプロセスへの利用に適しているものといえる。ところが、プラズマ発生方法として直流パルス放電を用いることから、プラズマ密度が低い。このため、その用途がフィルムの表面処理などに限られる。つまり、直流パルス放電を用いた大気圧プラズマ源は、高密度かつ大面積プラズマが必要なドライプロセスへの利用には不適である。
しかも、直流パルス放電は、アプリケータにおいてすべての周波数でインピーダンスマッチングを得ることは困難である。故に、電力効率は低下し、プラズマ密度をあげることも困難である。
このことから、ドライプロセスへの利用を目的とした大気圧プラズマ源は、プラズマ発生方法を高周波励起方式とする必要がある。
さらに、上述のように、電極間のアーク放電を利用する方法や、高周波の電磁場を利用して誘導的に原料ガスを加熱する方法などにおいては、電極を用いてプラズマを発生させているが、このように電極を用いた場合は、金属汚損の発生,電極に高周波が励起されることによる電場の乱れ,電極近傍におけるプラズマの偏りなどの障害が発生しやすい。このため、プラズマ源においては、電極を設けずにプラズマを発生させることが望ましい。
特開2003−109794号公報 特開2002−058995号公報 特開2002−110397号公報 特開2003−022900号公報 特開2000−054142号公報 特開2001−200369号公報 特開2002−093768号公報
しかしながら、高周波を用いた無電極放電においては、一般に、プラズマの放電開始が困難となったり、プロセス中に放電が停止したりする場合がある。
この現象は他方式のプラズマ源でも出現するが、マイクロ波や高周波励起の無電極型のプラズマ源においては、熱フィラメントなどの積極的な電子源が無いためにその傾向が著しい。
無電極型プラズマ源におけるプラズマの放電開始は、宇宙線などの侵入により、プラズマ室中の中性ガスの電子が叩き出され、これがプラズマ室中の電界により雪崩現象を引き起こし、プラズマに発展すると考えられている。
すなわち、放電開始に充分な条件を作成できないプラズマ源においては、外的に偶発的な刺激が加えられない限り放電しないと考えられる。
さらに、大気圧プラズマにおける放電条件は、真空中のそれと比べ、格段に厳しくなる。
すなわち、大気圧プラズマ源においては、放電開始時の荷電粒子が必要充分でないことから、放電開始の困難性あるいはプロセス中の放電停止が顕著となる。
また、高密度プラズマを実現する大気圧プラズマ源は、放電を生じさせるための単位体積当たりの電力が低圧プラズマ源よりも大きい。
そのため、プラズマの吹き出し口を大型化すると、プロセスでは非現実的な大電力電源が必要になり、これにより、投入されるエネルギーに起因してプラズマ源が破壊され、さらには、熱によりプラズマ源を構成する材料からの汚損も問題となっていた。
しかも、吹き出し口を大型化すると、吹き出されるプラズマの密度にバラツキが生じるため、プロセスに支障をきたしていた。
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、プラズマの放電開始や放電維持を確実かつ安定的に行なえるとともに、均質で汚染の少ない高密度プラズマを比較的小電力で実現でき、しかも、プラズマ密度のバラツキを抑制可能とする大気圧プラズマ源の提供を目的とする。
この目的を達成するため、本発明の大気圧プラズマ源は、大気圧下においてマイクロ波により原料ガスを励起させてプラズマを発生させるプラズマ発生手段を有した大気圧プラズマ源であって、マイクロ波励起により第一のプラズマを発生させる補助プラズマ発生手段と、この補助プラズマ発生手段からの第一のプラズマに誘引されて、大気圧下でマイクロ波励起により第二のプラズマを発生させる主プラズマ発生手段と、原料ガスを主プラズマ発生手段へ送る輸送管とを備え、補助プラズマ発生手段が、輸送管の途中に設けられて原料ガスを流す補助プラズマ管と、この補助プラズマ管を流れる原料ガスを励起させるために補助プラズマ管へマイクロ波を送る補助導波管とを備え、主プラズマ発生手段が、第二のプラズマを内部で発生させる主プラズマ管と、第二のプラズマを外部へ向けて放出させる吹き出し口とを備え、この吹き出し口の開口が、帯状に形成され、補助プラズマ管が、輸送管の口径方向の断面積よりも広い断面積が確保された箱型のプラズマ室であり、この箱型の補助プラズマ管の容積が、主プラズマ管の容積よりも小さくなっており、輸送管が、補助プラズマ管の内部で発生したプラズマを第一のプラズマとして主プラズマ発生手段へ送る構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、補助プラズマ発生手段で発生したプラズマが主プラズマ発生手段へ供給されるため、主プラズマ発生手段におけるプラズマの放電開始や放電維持を容易かつ安定的なものとすることができる。
特に、大気圧下における無電極のプラズマ源は、プラズマ発生のための条件が非常に厳しい。そこで、プラズマの放電開始時に必要充分な電子,イオンあるいはラジカル種などを補助プラズマ発生手段から供給することで、主プラズマ発生手段においては、放電開始や放電維持を確実かつ安定的に行なうことができる。
しかも、主プラズマ発生手段におけるプラズマの放電開始が容易となり、その後も補助プラズマ発生手段からプラズマが供給され続けて放電が安定するため、プラズマの吹き出し口を大型化しても、比較的小電力で高密度のプラズマを生成できる。これにより、電力効率も改善される。
なお、プラズマの放電開始を容易にするための他の方法及び問題点としては、次のようなものが挙げられる。
例えば、低圧プラズマにおいては、放電開始時に、ガス流量を増加させガス圧力を上げたり、供給電力を増加させたりする方法がある。この問題点としては、プロセスに最適な条件とは異なるプラズマが発生することで、デバイスそのものの性能に影響を与えることが挙げられる。
また、放電ガスをアルゴンガス、ヘリウムガスなど比較的放電しやすいガス種に限定する方法がある。この問題点としては、用途に最適なガスを使用できないことが挙げられる。
さらに、紫外線ランプを使用する方法がある。この問題点としては、プラズマ容器に紫外線を透過する材質を使う必要があり、制約となることが挙げられる。
これらの方法に比べ、本発明は、ガスの流量や圧力、種類などを変更する必要はなく、また、供給電力を増加させたり紫外線ランプを使用したりすることを要しない。このため、上記の各問題点が生じることはなく、放電開始を容易かつ安定的に行なうことができる。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、マイクロ波励起方法により補助プラズマ発生手段でプラズマを発生させることができる。そして、この発生したプラズマを、輸送管が、確実に主プラズマ発生手段へ供給することができる。
このため、主プラズマ発生手段においては、その供給されたプラズマにより、放電開始や放電維持を容易かつ安定的に行なうことができる。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、その帯状に形成された吹き出し口から噴出されるプラズマジェットが、処理対象物に対し、一度に広い範囲で照射される。しかも、その照射されるプラズマは、補助プラズマ発生手段で発生したプラズマ(第一のプラズマ)に誘引されて生成されたものである。つまり、帯状に形成された大型の吹き出し口からは確実かつ安定的に高密度のプラズマが噴出されるため、その用途から大面積の処理が必要なドライプロセスに利用可能となる。
通常、高密度プラズマを実現する大気圧プラズマ源は、放電を生じさせるための単位体積あたりの電力が低圧プラズマ源よりも大きい。そのため、大型化すると、プロセスでは非現実的な大電力電源が必要になり、また、投入されるエネルギーによりプラズマ源が破壊され、さらには、熱によりプラズマ源を構成する材料からの汚損も問題となっていた。
これに対し、本発明は、小電力でプラズマを発生させる補助プラズマ発生装置を設けることにより、主プラズマ発生装置では、小電力かつ高密度のプラズマを発生可能としている。これにより、プラズマの吹き出し口を大型化しても、高密度のプラズマを低電力で発生させることができる。したがって、大電力電源を必要とせず、投入されるエネルギーによりプロセス源が破壊されることもなく、しかも、熱によりプラズマ源を構成する材料からの汚損も解消できる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、補助導波管が、輸送管の一部を補助プラズマ管としてマイクロ波を送り、輸送管が、補助プラズマ管の内部で発生したプラズマを第一のプラズマとして主プラズマ発生手段へ送る構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、原料ガスが流れる輸送管がプラズマ供給管としての役割を担って、内部でプラズマを発生させ、これを主プラズマ発生手段へ供給することができる。
このため、補助プラズマ発生手段から主プラズマ発生手段へプラズマを送る管と原料ガスを流す管とを同一構成とすることができ、これにより、大気圧プラズマ源の構造を簡易なものとすることができる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、補助プラズマ管が、絶縁物で形成された構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、補助プラズマ発生手段における金属汚損を防止できる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、主プラズマ発生手段又は補助プラズマ発生手段のうち、少なくとも主プラズマ発生手段は、無電極で、プラズマを発生させる構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、電極を設けた場合の障害を防止できる。具体的には、例えば、金属汚損の発生,電極に高周波が励起されることによる電場の乱れ,電極近傍におけるプラズマの偏りなどの障害を防止できる。したがって、均質で汚染の少ないプラズマを生成できる。
なお、金属汚損などの障害の多くは、主プラズマ発生手段で発生するため、技術的に主プラズマ発生手段を無電極とするのがよい。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、吹き出し口の開口の全体又は一部が、一又は二以上の湾曲又は屈曲を有した形状に形成された構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、処理対象物に応じた形状のプラズマジェットを噴出できる。
しかも、吹き出し口の開口が、この開口面に対して垂直上方向(主プラズマ発生手段の内部へ向かう方向)に湾曲した状態で帯状に形成されたときは、この吹き出し口から噴出されるプラズマジェットが、噴出方向前方で中央に集まるようになる。つまり、吹き出し口の中程から噴出されたプラズマジェットはそのまま真っ直ぐ進むが、吹き出し口の端の方から噴出されたプラズマジェットは、その吹き出し口の噴出方向前方の中央へ向かって進む。これにより、プラズマジェットは、さらに密度を増すことができる。
なお、様々な形状に対応するため、「開口面に対して垂直上方向」の他、「水平方向」に湾曲した状態で帯状に形成することもできる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、主プラズマ発生手段の主プラズマ管が、吹き出し口の開口の湾曲方向又は屈曲方向と同一方向に湾曲又は屈曲して形成された構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、主プラズマ管が吹き出し口と同じ方向に湾曲しているため、吹き出し口から噴出されるプラズマの密度を均一化できる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、補助プラズマ発生手段を通さずに原料ガスを直接に主プラズマ発生手段へ送る第一のガス導入管を備えた構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、原料ガスを、補助プラズマ発生手段を通過せずに主プラズマ発生手段に供給することができる。
成膜やエッチングなどに使われるプロセス用ガスは、プロセスに大きく作用するある特定のイオンあるいはラジカルを効率よく生成する必要がある場合が多い。
この場合は、補助プラズマ発生手段によりガスが分解されたり、ターゲットに達するまでの過程により、これら作用に寄与するイオン及びラジカルが消失したりするのは好ましくない。
そこで、補助プラズマ発生手段を通さずにプロセス用ガスを主プラズマ発生手段に供給することで、ガスが分解することや、ターゲットに達するまでにイオン等が消失することを防止・抑制できる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、補助プラズマ発生手段を通さずに輸送管を介して原料ガスを主プラズマ発生手段へ送る第二のガス導入管を備えた構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、ガスが分解することや、ターゲットに達するまでにイオン等が消失することを防止・抑制して、プロセスに大きく作用するある特定のイオンあるいはラジカルを効率よく生成することができる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、主プラズマ発生手段が、主プラズマ管へマイクロ波を送る主導波管を備え、この主導波管が、マイクロ波の導波経路を分岐する一又は二以上の隔壁を備えた構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、分岐した各導波経路ごとのマイクロ波電力及び位相を調整でき、これにより、全体に密度の均一なプラズマを生成できる。したがって、吹き出し口から噴出されるプラズマの密度のバラツキを抑制できる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、主導波管に代えて、又は、主導波管に加えて、給電用主アンテナを備えた構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすれば、給電用主アンテナにより、主プラズマ管に対してマイクロ波を給電できる。これにより、主プラズマ管内でプラズマを発生させ、プラズマジェットとして噴出させることができる。
また、本発明の大気圧プラズマ源は、補助導波管に代えて、又は、補助導波管に加えて、給電用補助アンテナを備えた構成としてある。
大気圧プラズマ源をこのような構成とすると、給電用補助アンテナにより、補助プラズマ管に対してマイクロ波を給電できる。これにより、補助プラズマ管内でプラズマを発生させ、主プラズマ管へ供給することができる。
本発明によれば、補助プラズマ発生手段で発生したプラズマが主プラズマ発生手段に供給されるため、主プラズマ発生手段においては、プラズマの放電開始や放電維持が確実かつ安定的となる。さらに、主プラズマ発生手段においては、比較的小電力で、プラズマを発生させることができる。
しかも、導波管内にマイクロ波の導波経路を分岐する一又は二以上の隔壁を設けることにより、導波管内にほぼ均等にマイクロ波が分散されるため、プラズマジェットの吹き出し口が大型化しても、プラズマ密度のバラツキを抑制できる。
以下、本発明に係る大気圧プラズマ源の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態1]
まず、本発明の大気圧プラズマ源の実施形態1について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の大気圧プラズマ源の構造を示す外観斜視図、図2は、図1の大気圧プラズマ源の側面断面図、図3は、正面断面図(図2のA−A断面図)、図4は、底面図である。
図1に示すように、大気圧プラズマ源1は、原料ガスを供給する輸送管10と、プラズマジェットとして放電されるプラズマを生成する主プラズマ発生手段20と、輸送管10上の任意の位置に設けられた補助プラズマ発生手段30とを有している。
ここで、輸送管10は、原料ガス(放電維持用ガス)を補助プラズマ発生手段30や主プラズマ発生手段20へ送るためのガス管であって、ガラスやセラミックなどを材質として形成されている。
この輸送管10により送られる原料ガスとしては、例えば、He,Ne,N,Arあるいは、N/Arの混合ガス(大気圧プラズマ源1を基板の表面改質等に用いる場合)などがある。
また、輸送管10は、補助プラズマ発生手段30でプラズマ化されたプラズマを主プラズマ発生手段20へ送る。言い換えれば、輸送管10は、主プラズマ発生手段20での放電開始時あるいは放電中に必要な電子、イオンあるいはラジカル種を補助プラズマ発生手段30から主プラズマ発生手段20へ送る。
なお、輸送管10は、図1においては、円筒形状に形成されているが、円筒形状に限るものではなく、例えば、角柱形状などであってもよい。
さらに、輸送管10は、硬質な材料で形成されていてもよく、また、フレキシブルな材質で形成されていてもよい。
主プラズマ発生手段20は、無電極かつ大気圧でプラズマを発生させる手段である。この主プラズマ発生手段20では、プロセス等に主たる役割を果たすプラズマ(第二のプラズマ)が生成され、プラズマジェットとして外部へ向かって噴出される。
この主プラズマ発生手段20の内部構造を、図1〜図3に示す。
これら図1〜図3に示すように、主プラズマ発生手段20は、内部でプラズマを発生させる主プラズマ管21と、マイクロ波を主プラズマ管21へ導く主導波管22とを有している。
主プラズマ管(プラズマ室)21は、例えば石英ガラスなどで形成されており、上方に接続された輸送管10から原料ガスが導入される。そして、この主プラズマ管21の内部では、原料ガスが、主導波管22を通って送られてきたマイクロ波により励起され、プラズマが発生する。
この主プラズマ管21においては、補助プラズマ発生装置30からのプラズマ(第一のプラズマ)に誘引され第二のプラズマが発生する。この第一のプラズマによる第二のプラズマの発生については後記詳述する。
また、主プラズマ管21は、下方に、プラズマジェットの吹き出し口23が形成されている。
吹き出し口23は、図4に示すように、開口が帯状に形成されている。これにより、一度に広い範囲でのプラズマ放電が可能となる。
ただし、吹き出し口23は、図5に示すように、幅広の帯状に形成することもできる。つまり、吹き出し口23の長手方向や幅方向の長さは、用途に応じて任意に定めることができる。
また、吹き出し口23の開口(帯状)の角部は、丸みを帯びていてもよく、しかも、楕円に近い形状であってもよい。
このように本発明の大気圧プラズマ源1は、吹き出し口23の開口面が広い面積である点で、基板の表面改質等に代表されるドライプロセスへの利用に適している。
なお、主プラズマ管21は、石英を材質として形成可能であるが、材質は石英に限るものではなく、マイクロ波を透過し、プラズマから発せられる熱に耐える材質であればよい。たとえば、多くのガラスやセラミックなどはこの目的に合致し、他の絶縁材料よりも耐熱性が良好である。
主導波管22は、例えば、アルミニウム,銅,ステンレスなどで形成されており、大電力送電が可能である。このため、主導波管22の内部でマイクロ波の伝播が可能となっている。
この主導波管22の内部には、主プラズマ管21が設けられる。主プラズマ管21は、図2に示すように、先端を閉じた主導波管22の先端(最終衝突面)24から1/4波長(供給されるマイクロ波の波長の1/4波長(1/4λ))のところ、すなわち、定在波の最大振幅位置(腹)に設置される。
主導波管22がマイクロ波を供給していることからもわかるように、大気圧プラズマ源1は、プラズマ発生方法としてマイクロ波励起方法を採用している。
これにより、電子が運動する幅を小さくし、小型のプラズマ室であっても、プラズマ室壁にあたる電子の個数を減らすことができる。このため、プラズマの質向上、プラズマ室壁の損傷防止にもなる。
補助プラズマ発生手段30は、主プラズマ発生手段20に供給される原料ガス系の上流の任意の位置、つまり、輸送管10における任意の位置に設けられたプラズマ発生手段であって、図1に示すように、補助プラズマ管31と、補助導波管32とを有している。
補助プラズマ管31は、主プラズマ発生手段20の主プラズマ管21と同様、石英ガラスなどで形成されている。
この補助プラズマ発生手段30の内部では、輸送管10により送られてきた原料ガスが、マイクロ波励起によりプラズマ化されて、プラズマ(第一のプラズマ)が発生する。
この補助プラズマ管31では、主プラズマ発生手段20の主プラズマ管21に比べて、容積が小さい。このため、少ない電力で容易かつ安定的にプラズマ放電させることができる。
しかも、補助プラズマ管31で放電されるプラズマは、プロセスとは直接関係がないため、プラズマ密度は低くてもよい。
このように補助プラズマ管31は、容積を小さくでき、しかも発生するプラズマ密度は低くてもよいことから、補助プラズマ発生手段30は、主プラズマ発生手段20に比べて小型にすることができる。
補助導波管32は、補助プラズマ管31へマイクロ波を供給する。このため、補助プラズマ発生手段30においても、マイクロ波励起によりプラズマが発生する。
なお、本実施形態においては、主プラズマ発生手段20と補助プラズマ発生手段30との双方で、同じプラズマ発生方法(マイクロ波励起方法)を用いることとしているが、双方とも同じプラズマ発生方法とすることに限るものではなく、それぞれ異なるプラズマ発生方法を用いることもできる。
この補助プラズマ発生手段30で生成されたプラズマは、図6に示すように、輸送管10を通って、主プラズマ発生手段20へ導かれる。
条件によっては、この輸送中にプラズマの大半が消失する可能性があるが、発明者による実験の結果、平均自由行程を越えるような距離、すなわち大半のプラズマが失われるような距離や条件であっても、所望の効果が得られることが確かめられた。
こうした構成の補助プラズマ発生手段30を設けることで、主プラズマ発生手段20での放電開始時や放電中に、補助プラズマ発生手段30からプラズマを供給することができる。
このため、主プラズマ発生手段20では、補助プラズマ発生手段30で生成されたイオン、電子、あるいはラジカルの一部が送られてくるために、これらイオン等に誘引されて極めて点火しやすくなり、かつ放電状態を維持しやすくなっており、安定したプラズマが得られる。
また、一般に、大気圧プラズマは、気圧が高いことから、減圧プラズマと比較すると、点火や放電維持における単位体積当たりの電力を非常に大きくする必要が生じる場合が多い。
そこで、マイクロ波励起の大気圧プラズマ源に補助プラズマ発生手段30を取り付けると、輸送管10の長さを例えば30cmとした場合においても、比較的低い電力(例えば、1/10程度の電力)で安定したプラズマ放電及び維持が可能である。このことにより、少ない電力で大面積の大気圧プラズマ源を構成できる。
なお、補助プラズマ発生手段30は、図7に示すように、輸送管10を介さず、主プラズマ発生手段20に直接接続することもできる。この場合も、輸送管10を介して主プラズマ発生手段20と接続されたときと同様の効果が得られる。
さらに、補助プラズマ発生手段30の補助プラズマ管31は、図1,図6,図7においては、輸送管10の口径方向の断面積よりも広い面積が確保された箱型のプラズマ室としているが、これに限るものではなく、例えば、図8に示すように、輸送管10の一部をそのまま補助プラズマ管31として使用することもできる。この場合、補助導波管32を通って送られてきたマイクロ波が供給(照射)される輸送管10上の箇所が補助プラズマ管31に相当する。
なお、主プラズマ発生手段20に供給される原料ガスは、すべて補助プラズマ発生手段30を通過する必要はない。
成膜やエッチングなどに使われるプロセス用ガスは、プロセスに大きく作用するある特定のイオンあるいはラジカルを効率よく生成する必要がある場合が多い。
この場合は、補助プラズマ発生手段30によりガスが分解されたり、ターゲットに達するまでの過程により、これら作用に寄与するイオン及びラジカルが消失したりする場合がある。
この場合、プロセス用ガスを、補助プラズマ源30を通さずに主プラズマ源10に供給する必要がある。
そこで、図9に示すように、補助プラズマ発生手段30を通さずに原料ガスを直接主プラズマ発生手段20へ送る第一ガス導入管25や、補助プラズマ発生手段30を通さずに輸送管10を介して原料ガスを主プラズマ発生手段20へ送る第二ガス導入管11などを設けることができる。
次に、本実施形態の大気圧プラズマ源を用いた実験結果について、説明する。
マイクロ波電源は、2.45[GHz],最大電力1[kW]の連続波出力のものを、補助プラズマ用,主プラズマ用として二台使用した。
補助導波管32の内径は、96×9[mm]とし、補助プラズマ管31は石英管とし、内径は9[mm]とした。補助プラズマ管31と主プラズマ管21との間は、内径15[mm]のアルミナセラミック管で接続した。主導波管22の内径は96×18.5[mm]とした。
主プラズマ発生手段20は、吹き出し口23が94[mm]×3[mm]の帯状に形成されており、主プラズマ管21が直方体に形成されたものを使用した。
主プラズマ発生手段20のみ設け、補助プラズマ発生手段30を取り付けなかった場合は、マイクロ波を1[kW]で印加してもプラズマ放電を開始することができなかった。
これに対し、補助プラズマ発生手段30を取り付けた場合は、200[W]で点火が可能となった。
また、点火後は、主プラズマ発生手段20のみでプラズマの持続が可能であった。しかも、ガス流量、マイクロ波電力を調整し、プラズマを吹き出し口23から一様に噴出させることが可能であった。
[実施形態2]
次に、本発明の大気圧プラズマ源の実施形態2について、図10を参照して説明する。
同図は、本実施形態の大気圧プラズマ源の構造を示す斜視図である。
本実施形態は、実施形態1と比較して、主導波管の構造が相違する。すなわち、実施形態1では、主導波管が単に断面が矩形の筒状に形成されていたのに対し、本実施形態では、主導波管がマイクロ波の導波方向に対して水平横方向に拡張されて形成されており、かつ、主導波管の内部に一又は二以上の隔壁を設けた点で相違する。他の構成要素は実施形態1と同様である。
したがって、図10において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図10に示すように、大気圧プラズマ源1の主導波管22は、マイクロ波の導波方向に対して水平横方向に拡張された形状に形成されている。
幅の広い帯状のものを処理対象物としてプラズマジェットを照射し処理するためには、幅の広い均質なプラズマを生成する必要がある。この場合、主プラズマ源20を複数台並べることも考えられるが、コスト面や各プラズマ源の管理面で問題となる。
そこで、主導波管22をマイクロ波の導波方向に対して水平横方向に拡張した構造とする。これにより、主プラズマ管21や吹き出し口23の形状を帯状(横長状)に形成でき、したがって、大面積のプラズマジェットを処理対象物に対し照射することができる。
水平横方向へ拡張された主導波管22の幅広部分の内部には、一又は二以上の隔壁26が設けられている。
隔壁26は、マイクロ波の導波経路を複数に分岐するように配置されている。
この隔壁26で区切られた各分岐経路は、それぞれ独立した導波管と考えることができる。
この隔壁26の位置や長さを変更することにより、それぞれの導波管に分配されるマイクロ波の電力及び位相を調整することができる。
なお、図10においては、隔壁26による導波経路の分割数を五つとしているが、五つに限るものではなく、二つ,三つ,四つ,あるいは六つ以上とすることができる。
ただし、隔壁26の間隔は、主導波管22の遮断波長の制約から1/2波長(供給されるマイクロ波の波長の1/2波長(1/2λ))以上にする必要がある。
それぞれの隔壁26間に分配されるマイクロ波電力は、隔壁26の位置、隔壁26間の距離、主導波管22の高さなどによって調整可能である。
主プラズマ発生手段20のプラズマが吹き出し口23は、被処理物の形状によって、主導波管22の物理的な制約の範囲内において、吹き出し口23の形状を変更することもできる。
なお、大気圧プラズマ源に隔壁(仕切板)を設けた従来技術が、特開2001−035835号公報に「プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置」として開示されている。
ただし、この公報に記載の仕切板は、導波管ではなくプラズマ管に設けられており、プラズマを均等に分配することをその役割としている。また、この公報記載のプラズマ処理方法は、プラズマ発生方法として電極間に高周波電圧を印加したグロー放電によるものであるため、マイクロ波は用いていない。つまり、その公報には、導波管に関する記載は無く、その仕切板もマイクロ波の導波経路を分岐するものではない。
次に、主プラズマ管や吹き出し口の形状について、図11,図12を参照して説明する。
主プラズマ管21や吹き出し口23は、図11,図12に示すように、湾曲した形状に形成できる。
吹き出し口23の湾曲方向は、たとえば、図11に示すように、マイクロ波の導波方向とは逆の方向、すなわち、主導波管22の先端(最終衝突面)24から遠のく方向とすることができる。この場合、主プラズマ管21も、吹き出し口23の湾曲方向と同一の方向に湾曲した形状に形成される。
吹き出し口23や主プラズマ管21をこのような湾曲した形状とすることにより、処理対象物の形状等に応じたプラズマジェットを噴出できる。このような形状は、円盤状の外周部のみを処理する必要がある場合に適している。
また、吹き出し口23の湾曲方向は、たとえば、マイクロ波の導波方向と同一方向、すなわち、主導波管22の外側へ向かう方向とすることができる。この場合も、主プラズマ管21を吹き出し口23の湾曲方向と同一の方向に湾曲した形状に形成される。
吹き出し口23や主プラズマ管21をこのような湾曲した形状とすることにより、被処理物に適した形状のプラズマを作成することができる。
さらに、吹き出し口23の湾曲方向は、たとえば、図12に示すように、マイクロ波の導波方向に対して垂直上方向、すなわち、プラズマジェットの噴出方向とは逆の方向とすることができる。
この場合、主プラズマ管21についても、同図に示すように、吹き出し口23の湾曲方向と同一の方向に湾曲した形状に形成することができる。
吹き出し口23や主プラズマ管21を図12に示す形状とすることにより、この吹き出し口23から噴出されるプラズマジェットが、噴出方向前方で中央に集まるようになる。つまり、吹き出し口23の中程から噴出されたプラズマジェットはそのまま真っ直ぐ進むが、吹き出し口23の端の方から噴出されたプラズマジェットは、その吹き出し口23の噴出方向前方の中央へ向かって進む。これにより、プラズマジェットは、さらに密度を増すことができる。
また、吹き出し口23の湾曲方向は、たとえば、マイクロ波の導波方向に対して垂直下方向、すなわち、プラズマジェットの噴出方向と同じ方向とすることができる。この場合、主プラズマ管21についても、吹き出し口23の湾曲方向と同一の方向に湾曲した形状に形成することができる。
吹き出し口23や主プラズマ管21をこのような湾曲した形状とすることにより、パイプの内面や、樋(とい)状の被処理物の表面処理などに適用できる。
なお、吹き出し口23の開口の形状は、本実施形態においては湾曲した形状としているが、湾曲した形状に限るものではなく、たとえば、屈曲した形状とすることもできる。
屈曲した形状に形成された吹き出し口23を有する主プラズマ発生手段20の構造例を図13に示す。
吹き出し口23の屈曲方向は、同図に示すように、たとえば、マイクロ波の導波方向とは逆の方向、すなわち、主導波管22の先端(最終衝突面)24から遠のく方向とすることができる。この場合、主プラズマ管21も、吹き出し口23の屈曲方向と同一の方向に屈曲した形状に形成される。
また、吹き出し口23の屈曲方向は、たとえば、マイクロ波の導波方向と同一方向、すなわち、主導波管22の外側へ向かう方向とすることができる。この場合も、主プラズマ管21を吹き出し口23の屈曲方向と同一の方向に屈曲した形状に形成される。
これらのように、吹き出し口23の屈曲方向をマイクロ波の導波方向とは逆の方向や同一方向とすると、被処理物の表面処理などに適用でき、特に、複雑な形状の被処理物への対応が可能となる。
さらに、吹き出し口23の屈曲方向は、たとえば、マイクロ波の導波方向に対して垂直上方向、すなわち、プラズマジェットの噴出方向とは逆の方向とすることができる。
この場合、主プラズマ管21についても、吹き出し口23の屈曲方向と同一の方向に屈曲した形状に形成することができる。
また、吹き出し口23の屈曲方向は、たとえば、マイクロ波の導波方向に対して垂直下方向、すなわち、プラズマジェットの噴出方向と同じ方向とすることができる。この場合、主プラズマ管21についても、吹き出し口23の屈曲方向と同一の方向に屈曲した形状に形成することができる。
吹き出し口23や主プラズマ管21をこのような形状とすることにより、パイプの内面や、樋(とい)状の被処理物の表面処理などに適用できる。
さらに、図11〜図13においては、形成される湾曲部分(又は屈曲部分)が、吹き出し口23で一箇所だけ形成されているが、一箇所に限るものではなく、例えば、二箇所以上形成することもできる。
しかも、一つの吹き出し口23に、湾曲部分と屈曲部分との双方をそれぞれ一又は二以上形成することもできる。
これらのような形状とすることで、複雑な形状の被処理物に対応できる。
以上、本発明の大気圧プラズマ源の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る大気圧プラズマ源は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、主プラズマ発生手段や補助プラズマ発生手段をそれぞれ一つずつ備えた構成を示したが、それら主プラズマ発生手段や補助プラズマ発生手段は、それぞれ二つ以上備えた構成とすることもできる。
また、図1においては、一つの補助プラズマ発生手段で発生したプラズマが一つの主プラズマ発生手段へ供給される構成としてあるが、それら補助プラズマ発生手段と主プラズマ発生手段とは一つ対一つとする構成に限るものではなく、例えば、一又は二以上の補助プラズマ発生手段で発生したプラズマを一又は二以上の主プラズマ発生手段へ供給するような構成とすることもできる。
さらに、主プラズマ発生手段を複数設ける場合は、それら主プラズマ発生手段を横方向にも、また、縦方向にも並べることができる。ただし、複数の主プラズマ発生手段を横方向に並べた場合は、吹き出し口が下方向を向く構造となり、一方、複数の主プラズマ発生手段を縦方向に並べた場合は、吹き出し口が横方向を向く構造となる。そして、いずれの場合にも、一又は二以上の補助プラズマ発生手段によりプラズマを供給することは可能である。
[実施形態3]
次に、本発明の大気圧プラズマ源の実施形態3について、図14を参照して説明する。
同図は、本実施形態の大気圧プラズマ源の構造を示す外観斜視図である。
本実施形態は、実施形態1と比較して、マイクロ波を供給する手段が相違する。すなわち、実施形態1では、マイクロ波が主導波管や補助導波管により供給されていたのに対し、本実施形態では、給電用主アンテナや給電用補助アンテナにより供給される点で相違する。他の構成要素は実施形態1と同様である。
したがって、図14において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図14に示すように、大気圧プラズマ源1は、輸送管10と、主プラズマ発生手段20と、補助プラズマ発生手段30とを有している。
なお、主プラズマ発生手段20の主プラズマ管21と補助プラズマ発生手段30の補助プラズマ管31とは、例えば石英などで形成されており、一体化して製作されている。
ここで、主プラズマ発生手段20は、主導波管22に代えて(あるいは、主導波管22に加えて)、給電用主アンテナ27と、同軸ケーブル28とを備えている。
給電用主アンテナ27は、主プラズマ管21に対してマイクロ波を供給するアンテナであって、導体で形成されており、帯状に一様にマイクロ波を供給するためのモノポールアンテナ27−1で構成することができる。
なお、モノポールアンテナ27−1は、同図においては、二枚設けられているが、二枚に限るものではなく、例えば、一枚であってもよく、あるいは、三枚以上であってもよい。
また、同軸ケーブル28に代えて、同軸管(図示せず)を用いることもできる。
補助プラズマ発生手段30は、補助導波管32に代えて(あるいは、補助導波管32に加えて)、給電用補助アンテナ33と、同軸ケーブル34とを備えている。
給電用補助アンテナ33は、補助プラズマ管31に対してマイクロ波を供給するアンテナであって、導体で形成されており、補助プラズマ管31の外周に沿って巻きつけるように螺旋状に形成されたスパイラルアンテナ33−1とすることができる。
なお、同軸ケーブル34に代えて、同軸管(図示せず)を用いることもできる。
ところで、導波管で給電する方法は、ホーンアンテナ(例えば、特開2002−330020号公報等)やスロットアンテナ(例えば、特開平08−078190号公報等)のような開口型アンテナで給電する方法とほぼ同様のはたらきをし、いわゆる導体で構成される給電用アンテナと原理は異なるものの、電磁界の放出という機能は同じである。
ゆえに、導波管による給電に代えて、導体によるアンテナ給電によっても、本発明を構成することができる。
アンテナ給電によるメリットは、装置の小型化が可能な点である。
導波管は、その横幅に遮断波長が存在するために、1/2λ以下にすることはできない。しかし、同軸ケーブルあるいは同軸管を用いてアンテナによる給電とすれば、寸法的な制約が小さく、小型化が可能である。
なお、モノポールアンテナ27−1又はスパイラルアンテナ33−1のいずれのアンテナも、プラズマの金属汚損を防止するため、主プラズマ管21又は補助プラズマ管31の外に配置されており、石英ガラスを通してプラズマに給電している。
それらモノポールアンテナ27−1やスパイラルアンテナ33−1の材質は、良導体であればいずれも使用可能であるが、プラズマの輻射熱に直接晒されることから、アルミニウム、ステンレス、金メッキされた銅など、酸化しにくく融点が高く赤外線の反射率が高い金属が望ましい。
形状は、丸線、板状、パイプなどを大きさ、インピーダンス整合の状態によって使い分けすることが望ましい。
それらモノポールアンテナ27−1やスパイラルアンテナ33−1を用いた場合、実用的には、マイクロ波漏洩防止のため、大気圧プラズマ源1の全体を金属板などで覆い、電磁遮断する必要がある。
なお、導体で構成される給電用アンテナは、特願2003−78556号公報「プラズマ源」に記載の技術で実現可能である。
次に、本実施形態を用いた実験結果について説明する。
補助プラズマ管31には、放電容易なArガスを原料ガスとして流し、補助的にスパーク放電タイプの点火器を使用し、マイクロ波を500W印加してプラズマ発生させた。プラズマ発生後は、Arガスを止め、プロセスに最適なガスに切り替えても放電維持可能であった。
補助プラズマが放電している状態では、主プラズマ管21は、200Wのマイクロ波電力投入で放電開始した。
なお、上記実施形態1〜3においては、導波管による給電方式と、同軸ケーブル等によるアンテナ給電方式とを挙げたが、給電方式は、それら二つの方式に限ったことではなく、目的に合致するいずれの給電方式も採用することが可能である。
本発明は、主プラズマ発生手段へ送り込まれる原料ガスの供給系上流に補助プラズマ発生手段を備えた構成としているため、例えば、原料ガスが供給されるプラズマ源であれば、低圧プラズマにおいても、また電極間で放電させる装置においても、さらにマイクロ波以外の高周波を用いる場合においても、それぞれ利用可能である。
本発明の実施形態1における大気圧プラズマ源の構成を示す外観斜視図である。 主プラズマ発生手段の内部構造を示す側面断面図である。 主プラズマ発生手段の内部構造を示す正面断面図である。 主プラズマ発生手段の底面構成を示す底面図である。 主プラズマ発生手段の他の底面構成を示す底面図である。 大気圧プラズマ源の内部で発生するプラズマの様子を示す状態模式図である。 主プラズマ発生手段と補助プラズマ発生手段とが直接接続された大気圧プラズマ源において、内部で発生するプラズマの様子を示す状態模式図である。 輸送管の一部を補助プラズマ管としてプラズマを発生させる大気圧プラズマ源において、内部で発生するプラズマの様子を示す状態模式図である。 第一及び第二のガス導入管を備えた大気圧プラズマ源において、内部で発生するプラズマの様子を示す状態模式図である。 本発明の実施形態2における主プラズマ発生手段の構成を示す外観斜視図である。 本発明の実施形態2における主プラズマ発生手段の他の構成を示す断面図であって、(a)は、上面断面図、(b)は、正面断面図である。 本発明の実施形態2における主プラズマ発生手段のさらに他の構成を示す断面図であって、(a)は、上面断面図、(b)は、正面断面図である。 本発明の実施形態2における主プラズマ発生手段のさらに他の構成を示す断面図であって、(a)は、上面断面図、(b)は、正面断面図である。 本発明の実施形態3における大気圧プラズマ源の構成を示す外観斜視図である。
符号の説明
1 大気圧プラズマ源
10 輸送管
11 第二ガス導入管
20 主プラズマ発生手段
21 主プラズマ管
22 主導波管
23 吹き出し口
24 先端(最終衝突面)
25 第一ガス導入管
26 隔壁
27 給電用主アンテナ
27−1 モノポールアンテナ
28 同軸ケーブル
30 補助プラズマ発生手段
31 補助プラズマ管
32 補助導波管
33 給電用補助アンテナ
33−1 スパイラルアンテナ
34 同軸ケーブル

Claims (10)

  1. 大気圧下においてマイクロ波により原料ガスを励起させてプラズマを発生させるプラズマ発生手段を有した大気圧プラズマ源であって、
    マイクロ波励起により第一のプラズマを発生させる補助プラズマ発生手段と、
    この補助プラズマ発生手段からの前記第一のプラズマに誘引されて、前記大気圧下でマイクロ波励起により第二のプラズマを発生させる主プラズマ発生手段と、
    前記原料ガスを前記主プラズマ発生手段へ送る輸送管とを備え、
    前記補助プラズマ発生手段が、
    前記輸送管の途中に設けられて前記原料ガスを流す補助プラズマ管と、
    この補助プラズマ管を流れる前記原料ガスを励起させるために前記補助プラズマ管へマイクロ波を送る補助導波管とを備え、
    前記主プラズマ発生手段が、
    前記第二のプラズマを内部で発生させる主プラズマ管と、
    前記第二のプラズマを外部へ向けて放出させる吹き出し口とを備え、
    この吹き出し口の開口が、帯状に形成され、
    前記補助プラズマ管が、前記輸送管の口径方向の断面積よりも広い断面積が確保された箱型のプラズマ室であり、
    この箱型の補助プラズマ管の容積が、前記主プラズマ管の容積よりも小さくなっており、
    前記輸送管が、前記補助プラズマ管の内部で発生したプラズマを前記第一のプラズマとして前記主プラズマ発生手段へ送る
    ことを特徴とする大気圧プラズマ源。
  2. 前記補助プラズマ管が、絶縁物で形成された
    ことを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ源。
  3. 前記主プラズマ発生手段又は補助プラズマ発生手段のうち、少なくとも主プラズマ発生手段は、無電極で、プラズマを発生させる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の大気圧プラズマ源。
  4. 前記吹き出し口の開口の全体又は一部が、一又は二以上の湾曲又は屈曲を有した形状に形成された
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の大気圧プラズマ源。
  5. 前記主プラズマ発生手段の主プラズマ管が、前記吹き出し口の開口の湾曲方向又は屈曲方向と同一方向に湾曲又は屈曲して形成された
    ことを特徴とする請求項4記載の大気圧プラズマ源。
  6. 前記補助プラズマ発生手段を通さずに前記原料ガスを直接に前記主プラズマ発生手段へ送る第一のガス導入管を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の大気圧プラズマ源。
  7. 前記補助プラズマ発生手段を通さずに前記輸送管を介して前記原料ガスを前記主プラズマ発生手段へ送る第二のガス導入管を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の大気圧プラズマ源。
  8. 前記主プラズマ発生手段が、前記主プラズマ管へマイクロ波を送る主導波管を備え、
    この主導波管が、前記マイクロ波の導波経路を分岐する一又は二以上の隔壁を備えた
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の大気圧プラズマ源。
  9. 前記主導波管に代えて、又は、前記主導波管に加えて、給電用主アンテナを備えた
    ことを特徴とする請求項8記載の大気圧プラズマ源。
  10. 前記補助導波管に代えて、又は、前記補助導波管に加えて、給電用補助アンテナを備えた
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の大気圧プラズマ源。
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