JP4331117B2 - プラズマ処理装置の電極構造 - Google Patents
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Description
しかし、電極板が長くなればなるほど、寸法精度を確保するのが難しくなるだけでなく、両電極板間に作用するクーロン力や、電極を構成する金属本体とその表面の固体誘電体との熱膨張率の違いや電極内部の温度差による熱応力等によって撓みやすくなる。そのため、放電空間の厚さが不均一になりやすく、ひいては表面処理の均一性が損なわれやすい。クーロン力に対抗するには、電極板を厚肉にし剛性を高めることが考えられるが、そうすると電極重量が増大し、これを支える電極支持構造に負担が掛かるだけでなく、材料費や加工費も上昇してしまう。また、電極板の単位面積あたりの供給電力を確保するために、電源を大容量化する必要も出てくる。
そこで、電極を長手方向に複数の電極部材に分割することが考えられるが、その場合、隣り合う電極部材どうしの境で十分なプラズマを得、該境に対応する位置でのプラズマ処理を確保し、処理ムラを防止する必要がある。
前記電極構造は、前記導入口から吹出し口へ向かう方向とは交差する方向に並べられた複数の電極部材からなる第1電極列と、この第1電極列と平行に並べられた他の複数の電極部材からなる第2電極列を含んでいる。
第1電極列の電極部材と第2電極列の電極部材どうしのうち前記並び方向の第1位置に配置されたものどうしが、互いに逆の極性を有して互いの間に前記放電空間の一部分となる第1列間部分隙間を形成している。また、第1電極列の電極部材と第2電極列の電極部材どうしのうち、前記第1位置の隣の第2位置に配置されたものどうしが、互いに逆の極性を有して互いの間に前記放電空間の他の一部分となる第2列間部分隙間を形成している。すなわち、実質的に同じ位置に配置された一方の電極列と他方の電極列の電極部材どうしが、互いに逆の極性を有して互いの対向面の間に列間部分隙間を形成している。そして、前記第1列間部分隙間が、前記第2列間部分隙間と一列に連通している。
更に、本発明のプラズマ処理装置は、前記第1列間部分隙間における第2位置寄りの部位(隣寄りの部位)を通る処理ガス流を第2位置との境又は第2位置方向(すなわち隣側)へ誘導するガス誘導手段を備えている。
第1列間部分隙間だけでなく、各列間部分隙間における隣の列間部分隙間寄りの側部を通る処理ガス流を、隣側へ誘導するガス誘導手段を付設するのが、より望ましい。
ガス誘導手段は、前記第1列間部分隙間における第2位置寄りの部位を通る処理ガス流を、前記列間部分隙間の前記第2位置寄り部位より内側の処理ガス流に影響を与えないように第2位置との境又は第2位置方向へ誘導するのが望ましい。
第1、第2電極列の電極部材の長さは、被処理物の寸法より短いことが望ましい。
第1、第2電極列の各々の長さは、全体として被処理物の寸法に対応する大きさであることが望ましい。
列間隙間は、列間部分隙間を複数一列に並べることにより構成され、前記放電空間の略全部または大部分を構成する。
被処理物は、前記第1、第2電極列の延び方向(これら電極列の電極部材の並び方向)と交差するように相対移動されるのが好ましい。すなわち、プラズマ処理装置は、前記電極構造を含む放電処理部と、被処理物を前記放電処理部に対し前記電極構造の列間隙間と交差する方向に相対移動させる移動手段とを備えていることが望ましい。
例えば、前記導入口形成部の導入口が、前記第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位への分岐口を有し、この分岐口が、第2位置方向へ傾けられることにより、前記ガス誘導手段を構成していてもよい(図8参照)。これによって、処理ガスを列間部分隙間どうしの境へ確実に誘導することができる。
この場合、前記ガス誘導手段が、第2方向へ傾くガス誘導面を有して、前記吹出し口内における前記第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位に対応する位置に配されていてもよい(図20参照)。これによって、プラズマ化された処理ガスを、被処理物における列間部分隙間どうしの境に対応する部分に確実に当てることができる。
前記吹出し口形成部の吹出し口が、スリット状をなして前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間に跨るようにして連なり、第1列間部分隙間から出た処理ガスが、隣方向(第2位置の方向)へ拡散するのを許容することにより前記ガス誘導手段を構成していてもよい(図26参照)。
第1電極列における第1位置の電極部材と第2位置の電極部材どうしの極性が互いに逆になるとともにこれら電極部材どうしの間に列内隙間が形成されており、
前記導入口形成部の導入口が、前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間に跨る列間導入口と、前記列内隙間に直接的に連なる列内導入口とを含んでいていてもよい(図31参照)。
電界印加極を構成する電極部材どうしが、共通(単一)の電源に接続されていてもよい(図33参照)。
隣り合う列間部分隙間どうしは、直接または連通空間を介して連通されていてもよく(図2、図36参照)、隔壁で隔てられていてもよい。
第1電極列の電極部材と第2電極列の電極部材どうしが、前記並び方向にずれていてもよい(図32参照)。この場合、互いに長さの過半が対向している電極部材どうしが、「並び方向の実質的に同じ位置」に対向配置されたものに該当する。
各電極列における隣接電極部材どうし間の間隔は、処理条件等に応じて適宜設定される。
この場合、電界印加極と接地極のうち電界印加極を構成する電極部材どうしを、互いに異なる電源に接続することにしてもよい(図34参照)。これによって、単位面積あたりの供給電力を十分に大きくでき、処理能力を高くすることができる。
また、前記並び方向に隣り合う電界印加極の電極部材どうしの間には、絶縁性の隔壁を介在させるのが望ましい(図34参照)。これによって、電源どうしが同期していなくても、隣接電極部材どうし間にアークが発生するのを防止できる。前記並び方向に隣り合う接地極の電極部材どうしの間にも、絶縁性の隔壁を介在させることにしてもよい。
本発明は、好ましくは、大気圧グロー放電すなわち大気圧近傍の圧力下でグロー放電を起こすことによりプラズマを発生させ、処理を実行する。
図1〜図4は、第1実施形態に係るリモート式常圧プラズマ処理装置を示したものである。この装置の被処理物Wは、例えば大型の液晶用ガラス基板であり、その幅方向(図2、図3において左右方向、図1において紙面と直交する方向)の寸法は、1.5m程度である。被処理物Wは、加熱されていてもよく、冷却されていてもよく、常温に保たれていてもよい。
ノズルヘッド1は、図示しない支持手段によって、吹出し方向を下方に向けるようにして支持されている。
処理ガス源2には、処理目的に応じた処理ガスが蓄えられている。
電源3A,3B,3Cは、互いに同一のパルス状電圧を出力するようになっている。このパルスの立上がり時間及び/又は立下り時間は、10μs以下、後記列間部分隙間33pでの電界強度は10〜1000kV/cm、周波数は0.5kHz以上であることが望ましい。
なお、パルス波に代えて、高周波などの連続波電源を用いることにしてもよい。
搬送手段4は、例えばローラコンベアからなり、被処理物のガラス基板Wを前後方向(図1において左右方向)に搬送してノズルヘッド1の下側に通すようになっている。このガラス基板Wに、ノズルヘッド1でプラズマ化された処理ガスが吹き付けられ、プラズマ表面処理が略常圧下で行なわれるようになっている。勿論、ガラス基板Wが固定され、ノズルヘッド1が移動するようになっていてもよい。搬送手段4として、ベルトコンベアや、上下のローラでワークを挟んで搬送するもの等の他の搬送手段で構成してもよい。
図1および図2に示すように、ノズルヘッド1は、上側の処理ガス導入部20と、下側の放電処理部30とを備え、前記ガラス基板Wの搬送方向(図2、図3において上下方向)と直交する左右方向に長く延びている。
絶縁材料からなる下板49は、左右に延びるスリット状の吹出し口49aを有し、吹出し口形成部を構成している。
処理ガス導入口43aを有する導入口形成部43と吹出し口49aを有する下板49は、電極ユニット30Xを上下から挟むように配置されている。
導入口形成部43を有するフレーム40及びホルダ48、並びに吹出し口49aを有する下板49は、「処理ガス流通構造」を構成している。
図1及び図2に示すように、電極ユニット30Xは、前後に対向する一対の電極列31X,32Xを含んでいる。各電極列31X,32Xは、それぞれ左右に延びている。前側の第1電極列31Xは、左右に並べられた3つ(n個)の電極部材31A,31B,31Cにて構成されている。後側の第2電極列32Xは、第1電極列31Xと平行をなすように左右に並べられた3つ(n個)の電極部材32A,32B,32Cにて構成されている。これら電極列31X,32Xどうしの間に左右に一直線をなすスリット状の列間隙間33sが形成されている。
電極部材31A〜32Cの長さは、それぞれ例えば五十数cmであり、3つの電極部材を長手方向に並べることで電極ユニット30X全体で約1.5mの有効処理幅が形成されている。
なお、電極部材どうしの長さは、互いに同一になっていなくてもよいが、互いに対向する電極部材どうしは、同長であることが望ましい。
固体誘電体層34は、電極部材における他方の電極列との対向面の全体と、左右隣の電極部材との対向端面の全体と、上下両面の全体を覆うとともに、対向端面や上下端面から背面にも及んでいる。固体誘電体層34の厚さは0.01〜4mm程度が好ましい。固体誘電体として、アルミナの他に、セラミックスや樹脂等の板状物、シート状物、フィルム状のものを用いて電極部材の外周面を被覆してもよい。背面における固体誘電体層34の幅は、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。なお、図1、図2において、固体誘電体層34の厚さは誇張して示してある。
各電極部材31A〜32Cの角は、アーク防止のためにR取りされている。このRの曲率半径は、1〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
すなわち、電極ユニット30Xの左側の位置に配された電極部材31Aと電極部材32Aは、前後に正対している。これら電極部材31A,32Aどうしの間に上記列間隙間33sの左側の部分となる列間部分隙間33pが形成されている。中央の位置に配された電極部材31Bと電極部材32Bは、前後に正対し、これら電極部材31B,32Bどうしの間に列間隙間33sの中央の部分となる列間部分隙間33pが形成されている。右側の位置に配された電極部材31Cと電極部材32Cは、前後に正対し、これら電極部材31C,32Cどうしの間に列間隙間33sの右側の部分となる列間部分隙間33pが形成されている。各列間部分隙間33pの厚さ(前後の対向電極部材間の距離)は、1mm〜3mm程度が好ましく、1mm〜2mm程度がより好ましい。
左側、中央部、及び右側の3つの列間部分隙間33pと、これらを連なる2つの連通空間33rによって、上記列間隙間33sが構成されている。
図1に示すように、この列間隙間33sの上端開口の全長が、ガス導入口43aに連なり、下端開口の全長が、吹出し口49aに連なっている。
なお、下板すなわち吹出し口形成部材49を省略し、列間隙間33sの下端開口自体が吹出し口を構成し、この列間隙間33sの下端開口から処理ガスが直接的に吹き出されるようにしていてもよい。
同様に、第2電極列32Xにおいて隣り合う電極部材32A,32B,32Cどうしの間にも、列内隙間33qがそれぞれ形成され、この列内隙間33qが、対応する連通空間33rに連なっている。
各電極部材31A〜32Cの列内隙間33q形成面は、列間部分隙間33p形成面に対し直角をなしている。列内隙間33qは、列間隙間33sに対し直交している。列内隙間33qの厚さは、1〜3mm程度が好ましい。
詳述すると、電極ユニット30Xの左側部において、前側の電極部材31Aは、給電線3aを介してパルス電源3Aに接続され、後側の電極部材32Aは、接地線3eを介して接地されている。これによって、電極ユニット30Xの左側の列間部分隙間33pでは、電源3Aから電極部材31Aへのパルス電圧によりパルス電界が形成され、グロー放電が起きるようになっている。
電極ユニット30Xの中央部において、電極部材31Bは、接地線3eを介して接地され、電極部材32Bは、給電線3bを介してパルス電源3Bに接続されている。電源3Bからのパルス電圧により、中央の列間部分隙間33pでパルス電界が形成されグロー放電が起きるようになっている。
電極ユニット30Xの右側部において、電極部材31Cは、給電線3cを介してパルス電源3Cに接続され、電極部材32Cは、接地線3eを介して接地されている。電源3Cからのパルス電圧により、右側の列間部分隙間33pでパルス電界が形成されグロー放電が起きるようになっている。
これにより、電極ユニット30Xの3つの列間部分隙間33pが、それぞれ放電空間の一部分となり、ひいては、列間隙間33sの略全体が、放電空間となるようになっている。
電界印加極を構成する3つの電極部材31A,32B,31Cは、互いに異なる電源3A,3B,3Cに接続されている。
電極ユニット30Xの左側部を「第1位置」とし、左側の列間部分隙間33pを「第1列間部分隙間」とすると、中央部が「第1位置の隣の第2位置」となり、中央の列間部分隙間33pが「第2列間部分隙間」となる。
電極ユニット30Xの中央部を「第1位置」とし、中央の列間部分隙間33pを「第1列間部分隙間」とすると、左側部又は右側部が「第1位置の隣の第2位置」となり、左側又は右側の列間部分隙間33pが「第2列間部分隙間」となる。
電極ユニット30Xの右側部を「第1位置」とし、右側の列間部分隙間33pを「第1列間部分隙間」とすると、中央部が「第1位置の隣の第2位置」となり、中央の列間部分隙間33pが「第2列間部分隙間」となる。
電界印加極の各電極部材31A,32B,31Cには、それぞれ電源3A,3B,3Cからパルス電圧が供給される。これによって、各列間部分隙間33p内にパルス電界が形成され、グロー放電が起きる。
これと併行して、処理ガスが、ガス均一導入部20を経て、導入口43aから列間隙間33s内に均一に導入される。図4の矢印に示すように、この処理ガスのうち、各第1位置の列間部分隙間33pにおける隣寄りの部位(第2位置寄りの部位)以外の部分を通るガス流f0は、そのまま真っ直ぐ下方へ向かって流れ、この流通過程でプラズマ化(励起・活性化)される。そして、吹出し口49aから吹出され、図3に示すように、ガラス基板Wの上面における部分放電空間33pの隣寄り以外の部分に対応する領域R1に吹付けられる。これによって、図3に示すように、ガラス基板Wの上面における各列間部分隙間33pに対応する領域R1にプラズマを当て、表面処理することができる。
また、導入口43aからの処理ガスの一部は、連通空間33rに導入され、そこから列内隙間33qに入り込む。この列内隙間33qにおいても、パルス電界が形成されグロー放電が起きているため、処理ガスのプラズマ化が行なわれる。この列内隙間33q内でプラズマ化された処理ガスが、吹出し口49aの連通空間33rに対応する部分から吹出される。これによって、図3に示すように、ガラス基板Wにおける連通空間33rに対応する領域R2にも、プラズマを確実に吹付けることができ、該領域R2をも確実にプラズマ処理することができる。この結果、処理ムラを一層確実に防止でき、表面処理の均一性を一層高めることができる。
更に、図4に示すように、各第1位置の列間部分隙間33p内のガス流f0のうち、ガス誘導部材51の垂直面に沿って真下に流れるガス流の一部f2が、ガス誘導部材51の下側に回り込む。そして、吹出し口49aのガス誘導部材51に対応する位置から下方へ吹出される。これによって、図3に示すように、ガラス基板Wにおけるガス誘導部材51に対応する領域R3にも、プラズマを吹付けることができる。
この結果、大面積のガラス基板Wの左右全幅を一度に、しかもムラ無く略均一にプラズマ表面処理することができる。
同時に、搬送手段4にてガラス基板Wを前後に移動させることにより、ガラス基板Wの全面を処理することができる。
発明者らの実験によれば、処理前に行う電極加熱等のための空放電工程において、処理ガスをガス誘導手段で連通空間33rや列内隙間33qに誘導することにより、該空放電の所要時間を短縮することができた。
図5は、ガス誘導部材の変形例を示したものである。このガス誘導部材52には、頂角から下方へ向かって隣側(第2位置の方向)へ傾くガス誘導面52aと、このガス誘導面52aの下端から下方へ向かって隣側とは逆側に傾くガス戻し面52bとが設けられている。
このガス誘導部材52によれば、ガス誘導面52aに沿って隣方向へ誘導されるガス流f1の一部f3を、ガス戻し面52bに沿って逆側に確実に戻すことができ、ガス誘導部材52の下側に確実に回り込ませることができる。これによって、ガス誘導部材の直下の領域R3でのプラズマ処理を確実に行なうことができ、処理の均一性をより一層高めることができる。
一方、傾斜分岐口43bを通ったガス流f1は、列間部分隙間33p内でプラズマ化されながら隣方向(第2位置の方向)へ向けて斜め下に流れる。そして、連通空間33rの下方へ吹出される。これによって、ガラス基板Wの連通空間に対応する領域R2でのプラズマ表面処理を確実に確保でき、処理の均一性を高めることができる。
同図の矢印に示すように、処理ガスは、前記端面の傾斜と略同じ角度をなして列間部分隙間33pへ導入されるようになっている。これによって、処理ガスの列間部分隙間内の通過距離を長くでき、十分にプラズマ化することができる。
なお、整流部材60は、連通空間33r付近の上方のみに設けることにしてもよい。整流板62,63のうち整流板63を省き整流板62だけにしてもよい。
図11及び図12の態様では、整流部材60は、フレーム40の上板41の貫通孔41aに設けられているが、ホルダ48の間隙48aに設けることにしてもよい。
下段の板部49Lには、列間隙間33sの全長と略同じ長さの下段吹出し口49fが形成されている。下段吹出し口49fの幅は、上段吹出し口49dの幅より小さく、列間部分隙間33pの幅と略等しい。
なお、板部49U,49Lどうしは、互いに一体になっていてもよく、2枚に代えて3枚以上の板部を積層することによって吹出し口形成部材を構成してもよい。
また、図28に示すように、列内吹出し口49iを列間吹出し口49hの片側(例えば第2電極列32Xの側)にだけ設けることにしてもよい。
列内吹出し口49iを、図19のガス誘導部49B等と組み合わせてもよい。
下板すなわち吹出し口形成部材49を省略し、列内隙間33q及び列間隙間33sの下端開口自体が吹出し口を構成し、そこから処理ガスが直接的に吹き出されるようにしていてもよい。
列内導入口43iは、第1電極列31Xの隣り合う電極部材31A,31Bどうし及び31B,31Cどうしの境、並びに第2電極列32Xの隣り合う電極部材32A,32Bどうし及び32B,32Cどうしの境にそれぞれ配置され、これら電極部材どうし間の列内隙間33qの上端部に直接的に連なっている。
すなわち、第1電極列31Xの電極部材31A,31B,31Cは、それぞれ電源3A,3B,3Cに接続されることにより、すべて電界印加極となっている。一方、第2電極列32Xの電極部材32A,32B,32Cは、すべて接地極となっている。この極性配置においても、列間部分隙間33pでグロー放電が起き、処理ガスをプラズマ化することができる。
各第1列間部分隙間33pの第2位置寄りの部位には、「ガス誘導手段」として第1実施形態(図4)の態様と同様のガス誘導部材51が設けられているが、これに代えて、その他の図面に示した態様の「ガス誘導手段」を適用してもよい。
当該図35の実施形態の列内隙間33qは、図34の態様と同様に絶縁性の隔壁35で完全に埋められているが、電極部材31A〜31Cへの印加電圧が確実に同期しているので、隔壁35を省き、列内隙間33qを開放してもよい。或いは、接地極の電極部材32A〜32Cどうしは勿論、電界印加極の電極部材31A〜31Cどうしをも互いにくっ付け、列内隙間33qを無くしてもよい。
図36の態様においても、各第1列間部分隙間33pの第2位置寄りの部位にガス誘導部材51を設けることにより上記連通空間33rすなわち固体誘電体層34e,34eの直下にもプラズマを吹出すことができ、処理の均一性を向上させることができる。勿論、ガス誘導部材51に代えて、他の態様のガス誘導手段を適用してもよい。
図36の態様において、隣り合う電極部材間に図34と同様の隔壁35を介装すること
にしてもよい。
図36の態様では、第1実施形態と同様に電極部材31A,32B,31Cごとに電源3A,3B,3Cが別々に設けられているが、これら別々の電源31A,32B,31Cに代えて、図33の態様と同様に単一の電源3を用いることにしてもよい。
例えば、電極構造において、隣り合う列間部分隙間33pどうし間の連通空間33rに絶縁樹脂などの隔壁を埋め込むなどして、隣り合う列間部分隙間33pどうしを隔ててもよい。
電極ユニット30Xを、前後に複数段配置することにしてもよい。
各電極列31X,32Xにおいて隣り合う電極部材どうし間の間隙に挟むスペーサ36(図2)の前後方向の寸法や配置位置を調節することにより、列内隙間33qの処理ガス通路としての大きさを適宜調節することにしてもよい。
列内隙間33qの幅や列間部分隙間33pの幅は、適宜設定する。列内隙間33qの幅が、列間部分隙間33pより大きくてもよく、小さくてもよく、等しくてもよい。
図8〜図15、図30〜図31等のガス導入口形成部43におけるガス誘導手段ないしガス導入手段と、図4〜図7等の放電空間33s内におけるガス誘導手段と、図19〜図29等の吹出し口形成部49におけるガス誘導手段とを相互に組み合わせる等、各実施形態の要部を相互に組み合わせてもよい。
処理ガス導入部20を省略し、処理ガスを処理ガス源から放電処理部30に直接導入するように構成してもよい。途中に処理ガスの圧力変化を防止する圧力調整弁を備えるように構成してもよい。
本発明は、洗浄、成膜、エッチング、表面改質(親水性処理や撥水性処理等)、アッシング等の種々のプラズマ表面処理に遍く適用でき、グロー放電に限らず、コロナ放電、沿面放電、アーク放電などによるプラズマ表面処理にも適用できる。略常圧に限らず減圧下でのプラズマ表面処理にも適用できる。
2 処理ガス源
3A,3B,3C 電源
3 共通(単一)の電源
30 放電処理部
30X 電極ユニット(電極構造)
31X 第1電極列
31A,31B,31C 電極部材
32X 第2電極列
32A,32B,32C 電極部材
33s 列間隙間
33p 列間部分隙間
33r 連通空間
33q 列内隙間
43 導入口形成部
43a 処理ガス導入口
43b 第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位に対応する分岐口(ガス誘導手段)
43d 第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位に対応する分岐口(ガス誘導手段)
43h 列間導入口(主導入口)
43i 列内導入口(副導入口)
49 下板(吹出し口形成部)
49a スリット状吹出し口
49B ガス誘導部(ガス誘導手段)
49c ガス誘導面
49d 上段吹出し口
49E 橋部(吹出し口の隣り合う列間部分隙間どうしの境の吹出し口側の端部を塞ぐ閉塞部)
49f 下段吹出し口
49g 吹出し口の多孔板より上側の空間
49h 列間吹出し口
49i 列内吹出し口(大開口幅の吹出し口、ガス誘導手段)
49j 菱形開口(大開口幅の吹出し口、ガス誘導手段)
49k 三角形開口(大開口幅の吹出し口、ガス誘導手段)
49m 列間吹出し口
49n 傾斜列内吹出し口
49U 下板の上段の板部
49L 下板の下段の板部
51 ガス誘導部材(ガス誘導手段)
51a ガス誘導面
52 ガス誘導部材(ガス誘導手段)
52a ガス誘導面
52b ガス戻し面
53 ガス誘導部材(ガス誘導手段)
54 ガス誘導部材(ガス誘導手段)
53a,54a ガス誘導面
60 ガス誘導手段としての整流部材
62 連通空間の近くに配置された整流板
70 閉塞部材(閉塞部)
80 門型スペーサ
81 脚部(隣り合う電極部材どうし間への介在部)
82 連結部(閉塞部)
90 ガス誘導手段としての多孔板
90a 多数の小孔
Claims (11)
- 処理ガスを導入口から放電空間に導きプラズマ化して吹出し口から吹出し、被処理物に当てることによりプラズマ処理を行なう処理装置であって、
前記導入口から吹出し口へ向かう方向とは交差する方向に並べられた複数の電極部材からなる第1電極列と、この第1電極列と平行に並べられた他の複数の電極部材からなる第2電極列と、を含む電極構造を備え、
第1電極列の電極部材と第2電極列の電極部材どうしのうち前記並び方向の第1位置に配置されたものどうしが、互いに逆の極性を有して互いの間に前記放電空間の一部分となる第1列間部分隙間を形成するとともに、前記第1位置の隣の第2位置に配置されたものどうしが、互いに逆の極性を有して互いの間に前記放電空間の他の一部分となる第2列間部分隙間を形成し、前記第1列間部分隙間が、前記第2列間部分隙間と一列に連通しており、
更に、前記第1列間部分隙間における第2位置寄りの部位を通る処理ガス流を第2位置との境又は第2位置方向へ誘導するガス誘導手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記導入口を形成する導入口形成部を、更に備え、
前記ガス誘導手段が、前記導入口形成部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記導入口形成部の導入口が、前記第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位への分岐口を有し、この分岐口が、第2位置方向へ傾けられることにより、前記ガス誘導手段を構成していることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記導入口形成部の導入口における前記第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位と対応する位置に、前記ガス誘導手段として、第2位置方向へ傾けられた整流板が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記ガス誘導手段が、前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間の境の前記導入口側の端部を塞ぐとともにそれより吹出し口側を開放する閉塞部を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記導入口を形成する導入口形成部を、更に備え、
前記導入口形成部の導入口が、前記並び方向に延びるスリット状をなして第1列間部分隙間から第2列間部分隙間に跨っており、この導入口の前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間との境に対応する位置に前記閉塞部が収容されていることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理装置。 - 前記電極構造には、第1電極列における第1位置の電極部材と第2位置の電極部材どうし間、及び第2電極列における第1位置の電極部材と第2位置の電極部材どうし間にそれぞれ挟まる一対の介在部と、これら介在部を繋ぐ連結部を有するスペーサが設けられ、前記連結部が、前記境の前記導入口側の端部に片寄って配置されることにより前記閉塞部として提供されていることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理装置。
- 前記吹出し口を形成する吹出し口形成部を、更に備え、
前記ガス誘導手段が、前記吹出し口形成部に設けられ、第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位から出た処理ガスを第2位置方向へ誘導することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記ガス誘導手段が、第2方向へ傾くガス誘導面を有して、前記吹出し口形成部の吹出し口内における前記第1列間部分隙間の第2位置寄りの部位に対応する位置に配されていることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置。
- 前記ガス誘導手段が、前記吹出し口形成部の吹出し口内における前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間との境に対応する位置に前記電極構造の側に片寄って配置され、前記境の吹出し口側の端部を塞ぐ閉塞部を含むことを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置。
- 前記吹出し口形成部の吹出し口における前記第1列間部分隙間と第2列間部分隙間どうしの境に対応する部位が、第1列間部分隙間に対応する部位よりも開口幅が大きくなっており、この開口幅の大きい部位が、前記ガス誘導手段として提供されることを特徴とする請求項8に記載のプラズマ処理装置。
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