図1は感知器回線を分岐し、分岐感知器回線の各終端に終端器を接続した本発明の火災報知システムの説明図である。
図1において、受信機1からは感知器回線4が引き出されている。この実施形態にあっては建物の1階と2階に感知器回線4を配線する場合を例にとっており、1階は区画A,Bに分けられ、また2階は区画C,Dに分けられている。
感知器回線4は警戒区域毎に受信機1からそれぞれ引き出されており、受信機1は感知器回線4毎に火災検出及び警報を行う。この警戒区域は消防法に定められた面積以内の区域毎に設定されており、階毎に警戒区域が区分けされる場合もあれば、一つの階の面積が小さいと図1に示すように2つの階の区画を1つの警戒区域に設定することができる。
このような1階と2階の区画A〜Dに対し受信機1から引き出された感知器回線4は、まず1階で区画Aと区画Bに対する分岐感知器回線4a,4bに分岐され、分岐感知器回線4a,4bにオンオフ型の火災感知器2を接続している。また感知器回線4は2階において区画C,Dに対し分岐されて分岐感知器回線4c,4dとして配線され、各分岐感知器回線4c,4dにオンオフ型火災感知器2を接続している。
区画A〜Dに対し、感知器回線4より分岐された分岐感知器回線4a〜4dのそれぞれの終端には、本発明による固有信号応答部付の終端器3a〜3dを接続している。
分岐感知器回線4a〜4dに接続されるオンオフ型火災感知器2としては、光電式煙感知器、半導体式熱感知器、差動式熱感知器、低温式熱感知器など各種の火災感知器を接続することができる。これらのオンオフ型の火災感知器には火災検出した時にそれぞれの分岐感知器回線4a〜4dを単独させ、感知器回線4を介して受信機1に火災信号を送出する。
分岐感知器回線4a〜4cの終端に接続した終端器3a〜3dは、監視時に受信機1から定期的に送信される確認信号に対し固有信号を応答する固有信号応答部を備えており、この分岐感知器回線4a〜4dごとに異なる固有信号によって受信機1における断線監視を行なわせている。
終端器3a〜3dの固有信号応答部はEEPROMなどの不揮発性メモリを備え、不揮発性メモリの所定のアドレスに特定位置の1ビットのみがビット1となる固有の番号データを記憶しており、受信機1からの確認信号に基づく番号データの読出しによるビット1の出力タイミングで固有信号を送出する。
受信機1にはMPU6が設けられ、MPU6に対しては、操作部8、警報表示部9、地区表示部10、移報出力部11、メモリ12が設けられている。またMPU6の感知器回線側には監視回路部7が設けられている。監視回路部7からは感知器回線4が引き出され、分岐感知器回線4a〜4dによって火災感知器2および固有信号応答部付の終端器3a〜3dが接続されている。
監視回路部7は電圧制御回路15、出力バッファ回路16及び電流検出回路17を備え、この監視回路部7に対応してMPU6には受信制御部13の機能に加え、断線監視制御部14の機能が設けられている。
MPU6の受信制御部13は感知器回線4からの発報信号を検出して警報表示すなわち火災代表灯表示と地区表示(発報回線表示)を行なう。MPU6の断線監視制御部14は感知器回線4に確認信号を送信し、終端器3a〜3dから固有信号を応答させ、応答がある場合には回線正常と判断し、固有信号の応答がない場合には対応する分岐感知器回線の断線と判断して、障害表示する。
断線監視制御部14から終端器3a〜3dに対する確認信号は終端器3a〜3dの固有信号応答部に設けているEEPROMの所定アドレスに対する読出し動作信号である。このEEPROMの読み出しアドレスには特定位置の1ビットのみをビット1、他をビット0とした分岐感知器回線4a〜4dに対応した固有の番号データが予め書き込まれている。
このため終端器3a〜3dは受信機1からの確認信号によるEEPROMの所定アドレスを指定した固有の番号データの読出しによるビット1の出力タイミング(ビット1の出力期間)で火災発報時と同じ動作を行い、固有信号を各分岐感知器回線4a〜4dから感知器回線4を経由して受信機1からの確認信号に応答する。なお、EEPROMの読出アドレスの固有番号データは、特定位置のみを0とし、他の全てを1としても良い。断線状態を速やかに検出するため、この確認信号の送出タイミングは1分以内の間隔で定期的に行うことが望ましい。
監視回路部7に設けている電圧制御回路15は終端器3a〜3dに設けているEEPROMの読み出し動作に必要なクロック及びデータを電圧パルス信号に変換し、出力バッファ回路16を介して感知器回線4に送出する。本発明の実施形態にあってはデータビット0,1の電圧パルス信号への変換はパルス幅変調により行なう。
このため終端器3a〜3d側は受信した電圧パルス信号のパルス幅からデータビット0,1を検出する。また出力バッファ回路16は感知器回線4の電圧を例えば監視時の18ボルトから24ボルトに変化させて電圧パルス信号を送出する。
図2は図1の終端器3aの実施形態を示した回路ブロック図であり、残りの終端器3b〜3dも同じ回路構成を持つ。終端器3aは感知器回線の接続端子L,Cに続いて整流・ノイズ吸収回路21、発報回路22、電源回路24及び固有信号応答部27を設けている。固有信号応答部27はクロック検出回路28、データ検出回路29、チップセレクト検出回路30、不揮発性メモリとしてのEEPROM31a、EX−OR回路(排他的論理和回路)32及び発報検出回路41で構成される。
発報回路22はトランジスタ23と抵抗Rの直列回路でなり、EEPROM31の出力でトランジスタ31はオンし、接続端子L,C間を抵抗Rで決まる電流が流れる。
クロック検出回路28は図1の受信機1のMPU6に設けた断線監視制御部14からの確認信号に基づく感知器回線間の18〜24ボルトの電圧変化となる電圧パルス信号を入力し、電圧パルス信号に同期したクロックパルスを検出してEEPROM31aに出力する。
データ検出回路29は受信機1からの確認信号に基づく電圧パルス信号を入力し、電圧パルス信号のパルス幅の判定により、データビット0,1を検出してEEPROM31aの読出し動作のためのオペコード、アドレス、データ出力タイミングを示すデータビットなどを出力する。
チップセレクト検出回路30は感知器回線間の電圧パルス信号を入力し、電圧パルス信号が得られている間、チップセレクト検出信号を出力してEEPROM31aの読出し動作のためのチップセレクトを行なう。
図3は感知器回線間の電圧パルス信号に対する図2の終端器3aに設けているデータ検出回路29及びチップセレクト検出回路30の動作のタイムチャートである。図3(A)は受信機1から感知器回線4に送出される確認信号に対応した電圧パルス信号であり、監視時の18ボルトを24ボルトに変化させることで、電圧パルスを送出する。
この電圧パルス信号は、データビット0,1に応じて後半のLレベルとなる時間を変化させるパルス幅変調を行っている。例えば受信機1からデータビット「1001」を送出する場合、ビット1については周期Tのパルス信号のうちの後半のLレベル区間の時間をT1時間とし、一方、データビット0については後半のLレベル区間の時間をそれより短いT0時間としている。
このため図2のデータ検出回路29にあっては、入力して電圧パルス信号のパルスごとにLレベル時間を監視し、T1時間であればデータビット1を次のパルス周期で図3(C)のように出力し、T0時間であれば次のパルス周期でデータビット0を出力する。
一方、図2のチップセレクト検出回路30にあっては図3(A)で最初に感知器回線4の電圧が監視時の18ボルトから電圧パルス信号の送出により24ボルトに増加したことを検出して、図3(B)のようにチップセレクト検出回路をHレベルに立ち上げてオンする。このため受信機1から送出する確認信号の最初のビットは必ずビット1としている。
その後は感知器回線4の電圧が監視時の18ボルトとなっている時間がデータビット1の判定に使用しているT1時間より長いT2時間以上継続したときに図3(B)のようにチップセレクト検出信号をHレベルからLレベルに立ち下げてオフする。これによって受信機より電圧パルス信号が得られている間、チップセレクト検出信号がハイレベルとなることでオンし、EEPROM31のチップセレクト動作を行なうことになる。
尚、図3(A)の感知器回線間の電圧パルス信号におけるT0,T1,T2時間の判定は抵抗とコンデンサを用いた時定数回路の時定数をT0,T1,T2時間に対応させ、コンデンサの充電電圧をコンパレータなどで判定するか、あるいは時間計測用のクロックパルスを電圧パルス信号のLレベル区間(18ボルト区間)にわたりカウンタで計数し、カウンタの計数値からT0時間であればデータビット0、T1時間であればデータビット1を更にT2時間であればチップセレクト検出信号のオフを行なうようにすれば良い。
次に図2の固有信号応答部27に設けているEEPROM31aについて説明する。EEPROM31aはそのアドレスごとに32ビットデータD0〜D31を記憶することができる。本発明で使用するEEPROM31aにあっては特定のアドレス、例えば「アドレス38」に受信機1からの確認信号に対し固有信号を応答するための番号データを格納している。この「アドレス38」の番号データとしては32ビットのデータビットD0〜D31のうちの特定の位置のビットにビット1を格納し、残りのビットは全てビット0としている。
図4は図1の分岐感知器回線4a〜4dの終端に接続している終端器3a〜3dに設けたEEPROM31a〜31dを示しており、それぞれのアドレス38に格納した番号データのビット1の位置を斜線部で示している。即ち分岐感知器回線4a〜4dに対応したEEPROM31a〜31dのアドレス38に格納した番号データはEEPROM31aはデータビットD31、EEPROM31bはデータビットD30、EEPROM31cはデータビットD29、更にEEPROM31dはデータビットD28というように分岐感知器回線4a〜4dごとに順次1ビットづつずらした値としている。
EEPROM31a〜31dの読出し動作にあっては、受信機1からの確認信号によって同じアドレス38を指定した読出し動作が行なわれ、クロックに同期してデータビットD31〜D0の順番にビット出力が行なわれる(シリアルビット出力)。
このため図4のように分岐感知器回線4a〜4dに対応してEEPROM31a〜31dのアドレス38に格納ビットを順次ずらした番号データを格納しておくことで、受信機1からのアドレス38の読出し動作を指定した確認信号に基づき、全ての分岐感知器回線4a〜4dの終端器3a〜3dのEEPROM31a〜31dを同時に読出し動作し、それぞれのビット位置としたビットデータD31,D30,D29,D28のビット出力タイミングで順次固有信号を受信機1に対し送出させる応答を行なわせることができる。
受信機1は、感知器回線4毎に、終端器3の個数や、終端器毎に設定された特定ビットを記憶している。受信機1から送出した確認信号に対する応答として、全ての終端器3から記憶している特定ビットタイミングでの応答があれば、感知器回線4が正常であると判断する。
記憶している全ての特定ビットタイミングの中で、一つ以上の終端器から応答がなければ、感知器回線4の断線と判断する。感知器回線4に接続されている終端器の数のみ記憶している場合は、その接続個数分の特定ビットの返信信号があれば正常と判断するようにしても良い。
図5は図2の終端器3aに対する図1の受信機1からの確認信号に対する固有信号の応答動作を示したタイミングチャートである。
図5(A)は図1の受信機1のMPU6に設けている断線監視制御部14からの確認信号に基づき、監視回路部7より感知器回線4を経由して分岐感知器回線4aに出力された電圧パルス信号であり、例えば監視時の電圧18ボルトを24ボルトに変化させることで、電圧パルス信号を出力しており、更に電圧パルス信号は図3(A)に示したようにデータビット1については18ボルトとなるLレベル時間をT1時間、データビット0については18ボルトとなるLレベル時間をそれより短いT0時間としたパルス幅変調して電圧パルス信号を送出している。
このような分岐感知器回線4aに対する電圧パルス信号は図2の終端器3aのクロック検出回路28に入力され、図5(B)のような電圧パルス信号に同期したクロック信号を検出し、EEPROM31aに対し供給する。
ここで図5(B)のクロック信号はパルス幅変調された電圧パルス信号と同じパルス幅を持っているが、クロック信号としてはその立上りタイミングを有効として動作することから、パルス幅の相違は特に問題にはならない。
また電圧パルス信号の前半は図5(D)に示すようにダミークロック、スタートビット、読出しオペコードであることから、これをあらわすデータビット0,1に対応したパルス幅変調が行なわれているが、後半のEEPROM31aの32ビットデータのシリアル読出出力タイミングを認識するデータビットについては、単なるクロックタイミングのみを与えることから、その部分についてはデューティ50%の通常クロックをもつ電圧パルス信号としており、これに同期して図5(B)のクロックもデューティ50%のクロックパスを検出している。
また図5(C)のようにチップセレクト検出回路30は図5(A)における電圧パルス信号の最初の18ボルトから24ボルトへの電圧増加を検出してチップセレクト検出信号をHレベルに立ち上げてオンし、このチップセレクト検出信号は電圧パルス信号が断たれて監視時の18ボルトに戻っている時間が図3のT2時間に達するとLレベルに立ち下がってオフする。
図5(D)はデータ検出回路29で検出されたデータであり、先頭からダミークロック「00」、スタートビット「1」、読出オペコート「10」、アドレスビット「100110」(アドレス38)、更に32ビットのデータビットD31〜D0に対応した読出タイミングを出力する。
終端器3は受信機1から送られてくる図5(D)のデータ中のダミークロック、スタートビット、読出オペコード、アドレス38と指定したアドレスビットを順に受信することにより、EEPROM31のアドレス38に格納されたデーだビットD31〜D0の読出し動作を行う。
この32ビットのデータビットD31〜D0の内、分岐感知器回線4aの終端に接続した終端装置3aにあっては、図4のEEPROM31aのように斜線で示すデータビットD31をビット1とし残りのデータビットD30〜D0はビット0が格納されており、ビット1を格納しているデータビットD31の読出ビット出力がEEPROM31aから出力される応答信号E1となる。
このため監視時にあっては図5(E)のようにビット1を格納している先頭のデータビットD31の読出ビット出力が応答信号E1をHレベルとして発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、これによって抵抗Rで定まる発報電流Icを図5(E)のようにデータビットD31の1ビット出力のタイミングで感知器回線に流し、これによって受信機1からの確認信号に対し、終端器3aが固有信号を応答することになる。
このような受信機1からの確認信号に対する終端器3aの応答動作は他の分岐感知器回線4b〜4cに接続された終端器3b〜3dのEEPROM31b〜31dについても同時に並列的に行なわれている。このため図5(E)のデータビットD30のビット出力のタイミングで終端器3bが発報電流Icを流して応答して、次のデータビットD29のタイミングで終端器3cが発報電流Icを流して応答して、更にデータビットD28のタイミングで終端器3dが発報電流Icを流して応答する。
これによって図5(E)の監視時の応答電流のように受信機1の断線監視制御部14は確認信号を送出した後、分岐感知器回線4a〜4dの終端器3a〜3dに設けているEEPROM31a〜31dのアドレス38を指定した読出動作でデータビットD31,D30,D29,D28の各ビットの出力タイミングで発報電流を固有信号の応答電流として受信でき、受信機1が予め記憶している感知器回線毎の終端器の個数と上り信号のデータビット数が一致するか、もしくは予め記憶した終端器ごとのデータビット位置と一致していれば、分岐感知器回線4a〜4dねつまり感知器回線4は正常であると判断できる。
一方、分岐感知器回線4a〜4dのいずれかで断線が生じた場合には、受信機1からの確認信号に対し断線を起している分岐感知器回線の終端に接続している終端器からの固有信号の応答がなくなり、受信機1が予め記憶している終端器あの応答ビット位置に応答がないことから、これによって受信機1の断線監視制御部14は断線検出による障害警報を出すと同時に断線を生じた分岐感知器回線を識別表示することができる。このため断線障害が警報された場合、断線を起した分岐感知器回線を知ることができるため、断線箇所の調査、発見を効率よく行なうことができる。
すべての終端器3から応答信号を受信したかどうかの受信機1の判断は、応答ビットの回数と、予め受信機1で記憶した終端器3の数を比較することで判断しても良い。
図6は受信機1から確認信号として送出する電圧パルス信号の信号形式を異ならせた場合の図2の終端器3aに設けているデータ検出回路29及びチップセレクト検出回路30の動作のタイムチャートである。即ち図3においては、受信機からの送出する確認信号は一定に周期毎にLレベル時間を変えたデータビット1もしくはビット0を送出しているが、これに限らず、例えば図6に示すように、一定周期でなく、Lレベル時間が共通で、その後につづくHレベルの時間を変えたパルス幅変調によりデータビット1、0を感知器回線に出力するようにしても良い。
図7は本発明の火災報知システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては感知器回線を分岐すると共に、分岐感知器回線の各終端に固有信号応答部付きの火災感知器を接続したことを特徴とする。
図7において、この実施形態は図1と同様、1階及び2階に対し受信機1から引き出された感知器回線4を、区画A〜Dごとに分岐した分岐感知器回線4a〜4dとして配線している。区画A〜Dに配線された分岐感知器回線4a〜4dにはオンオフ型火災感知器2が接続されると共に、それぞれの終端に固有信号応答部付きの終端火災感知器5a〜5dを接続している。
終端火災感知器5a〜5dは、火災検出部に加え、監視時における受信機1から定期的に送信される確認信号に対し固有信号を応答する固有信号応答部を備えており、確認信号に対する固有信号の応答によって受信機1における断線監視を行わせている。
終端火災感知器5a〜5dの固有信号応答部は、EEPROMなどの不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリの所定のアドレスには特定位置の1ビットのみがビット1となる固有の番号データを記憶しており、受信機1からの確認信号に基づく番号データの読出しによるビット1の出力タイミングで固有信号を応答する。
また終端火災感知器5の火災検出部としては、光電式煙検出部、半導体式熱検出部、差動式熱検出部、定温式熱検出部など各種の火災検出部を用いることができる。受信機1にはMPU6が設けられ、これに対し操作部8、警報表示部9、地区表示部10、移報出力部11及びメモリ12が設けられている。またMPU6の感知器回線側には監視回路部7が設けられる。更にMPU6には受信制御部13の機能に加え、断線監視制御部14の機能が設けられている。このような受信機1の構成及び制御内容は、図1の実施形態と基本的に同じになる。
図8は図7の終端火災感知器5aの実施形態を示した回路ブロック図である。終端火災感知器5aは、感知器回線の接続端子L,Cに続いて、整流・ノイズ吸収回路21、発報回路22、電源回路24、信号処理回路25及び検出回路26を設けている。
検出回路26は火災による煙や熱に応じた検出信号を信号処理回路25に出力する。信号処理回路25は、例えば検出回路26からの検出信号が予め定めた火災判定の閾値を超えたときに発報回路22に火災信号E2を出力し、後の説明で明らかにするEX−OR回路32の出力によるトランジスタ23のスイッチングにより、感知器回線間を抵抗Rで定まる発報電流Icを流し、これによって発報信号を受信機1側に送出する。
また信号処理回路25は、検出回路26が例えば発光素子の間欠発光で煙による散乱光を検出する散乱光式煙検出回路の場合には、間欠発光で得られる火災検出信号の2カウントで発報回路22を動作して発報信号を送出させる。また半導体素子などによるの熱検出にあっては、コンパレータにより火災判断の閾値を超えたときに発報回路22を動作して発報信号を出力させる。
このような終端火災感知器の基本的な回路に加え本発明にあっては、受信機1側の断線監視制御機能に対応して固有信号応答部27を設けている。固有信号応答部27は、クロック検出回路28、データ検出回路29、チップセレクト検出回路30、不揮発性メモリとしてのEEPROM31a、及びEX−OR回路(排他的論理和回路)32で構成される。
クロック検出回路28、データ検出回路29及びチップセレクト検出回路30は、図2の終端装置3aに設けたものと同じである。即ちクロック検出回路28にあっては、図3(A)のような受信機1からの確認信号に基づく電圧パルス信号を入力し、図3(C)のように電圧パルス信号の後半のLレベル時間を判定し、T1時間であればデータビット1を検出し、それより短いT0時間であればデータビット0を検出し、図3(C)のようなデータを検出してEEPROM31aに出力する。
またチップセレクト検出回路30は、図3(A)の監視時の電圧18ボルトから電圧パルス信号が24ボルトに立ち上がる最初の電圧増加を検出して、図3(B)のようにチップセレクト検出信号をLレベルからHレベルに立ち上げでオンし、EEPROM31aのチップセレクト動作を行わせる。その後、図3(A)の電圧パルス信号が停止して、そのLレベル区間がビット1に対応したT1時間より長いT2時間継続したことを判別すると、電圧パルス信号の終了と判断し、図3(B)のようにチップセレクト検出信号をそれまでのHレベルからLレベルに立ち下げてオフする。
更にクロック検出回路28にあっては、図3(A)の電圧パルス信号をそのままクロック信号として取り出し、クロック信号のHレベルの立ち上がりを有効としてEEPROM31のクロック動作を行わせる。
次に図8の固有信号応答部27に設けているEEPROM31aを説明する。EEPROM31aは、そのアドレスごとに32ビットデータD0〜D31を記憶することができる。このEEPROM31にあっては、特定のアドレス、例えば「アドレス38」に受信機1からの確認信号に対し固有信号を応答するための番号データを格納している。このアドレス38の番号データとしては、32ビットのデータビットD0〜D31のうちの特定のビット位置にビット1を格納し、残りのビットは全てビット0としている。
このようなEEPROM31aは、他の分岐感知器回線4b〜4dの終端火災感知器5b〜5dにも、EEPROM31b〜31dとして設けられている。分岐感知器回線4a〜4dの終端に接続している終端火災感知器5a〜5dに設けているEEPROM31a〜31dのアドレス38の番号データは、図4に示した図1の終端器3a〜3dの場合と同じになる。
即ち、終端火災感知器5aのEEPROM31aには図4の場合と同様、データビットD31をビット1とし、他を全てビット0とした番号データが格納され、終端火災感知器5bのEEPROM31bには次のデータビットD30のみをビット1とし、他を全てビット0とした番号データが格納され、終端火災感知器5cのEEPROM31cには次のデータビットD29のみをビット1とし、他を全てビット0とした番号データが格納され、更に終端火災感知器5dのEEPROM31dにはデータビットD28のみをビット1とし、他を全てビット0とした番号データが格納されている。
図9は図8のEX−OR回路32による応答信号E1と火災信号E2の入力に対する出力と、EX−OR回路32の出力に基づく発報回路22による上り信号を一覧で示している。
図9において、まず監視時の受信機1より確認信号が出力されていない状態では、応答信号E1及び火災信号E2が共にLレベルであり、EX−OR回路32の出力もLレベルとなっており、上り信号としての電流は0となっている。
監視時に受信機1からの確認信号を受けて、EEPROM31aがアドレス38の番号データの読出しによりデータビットD31のビット出力のタイミングで応答信号E1がHレベルになると、このとき火災信号E2はLレベルであることからEX−OR回路32の出力はHレベルとなる。
このため発報回路22のトランジスタ23がスイッチングし、分岐感知器回線4a及び感知器回線4を経由して受信機との間に発報電流Icを流し、これが終端火災感知器5aからの固有信号として受信機1に送られる。
一方、終端火災感知器5aで火災を検出した際には、火災信号E2がHレベルとなり、応答信号E1がLレベルの場合にはEX−OR回路32の出力がHレベルとなり、発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、抵抗Rで決まる発報電流Icを上り信号として分岐感知器回線4a及び感知器回線4を介して受信機1との間で流し、受信機1に対し発報信号を送出する。
この火災発報中に受信機1からの確認信号が送出されると、EEPROM31aから出力される応答信号E1が番号データの読出しによるビット1の出力タイミングでHレベルとなり、このためEX−OR回路32の出力は応答信号E1が出力される1ビット出力期間の間、Lレベルとなり、発報回路22のトランジスタ23をオフに復旧して一時的に発報電流を0とする上り信号なしの状態とする。
このため受信機1側にあっては、火災による発報信号の受信中にあっても、その間に一時的に発報信号が断たれることで、終端火災感知器5aからの確認信号に対する固有信号の応答を認識することができる。
このような図8の終端火災感知器5aの構成及び動作は、図7の他の分岐感知器回線4b〜4dに設けている終端火災感知器5b〜5dについても、EEPROM31b〜31dのアドレス38に記憶している番号データが相違するのみで他は同じとなる。
図10は図7の分岐感知器回線4aの終端に接続した終端火災感知器5aに対する受信機1からの確認信号に対する固有信号の応答動作を示したタイミングチャートである。
図10(A)は、図6の受信機1のMPU6に設けている断線監視制御部14からの確認信号に基づき、監視回路部などにより感知器回線4側に出力した電圧パルス信号であり、当然のことながら、この電圧パルス信号は分岐感知器回線4a〜4dに同時に送出される。
電圧パルス信号は監視時の電圧18ボルトを24ボルトに変化させることでパルス信号としており、その周期Tにつき図3(A)に示したように、データビット1については18ボルトとなるLレベル時間をT1時間、データビット0については18ボルトとなるLレベル時間をそれより短いT0時間としたパルス幅変調を行っている。
このような感知器回線からの電圧パルス信号は図8の終端火災感知器5aのクロック検出回路28に入力され、図10(B)のような電圧パルス信号に同期したクロック信号として検出され、EEPROM31aに対しクロックとして供給される。
同時に感知器回線からの電圧パルス信号は図8のチップセレクト検出回路30に入力され、図10(C)のようにチップセレクト検出回路は電圧パルス信号の最初の18ボルトから24ボルトへの電圧増加を検出してチップセレクト検出信号をHレベルにオンし、その後、電圧パルス信号が断たれて監視時の18ボルトに戻っている時間がT2時間に達するとLレベルに立ち下がってオフする。
図10(D)はデータ検出回路29で検出されたデータであり、先頭からダミークロック「00」、スタートビット「1」、読出オペコード「10」、アドレスビット「100110」(アドレス38)、更に32ビットのデータビットD31〜D0に対応した読出タイミングを出力する。
ここで終端火災感知器5aにあっては、図4のEEPROM31aと同様、斜線部のデータビットD31をビット1とし、残りデータビットD30〜D0はビット0を格納しており、この番号データの読出しでデータビットD31の読出ビット出力がEEPROM31aから出力される応答信号E1となる。
このため監視時にあっては、図10(D)のように、ビット1を格納しているデータビットD31の読出ビット出力が応答信号E1をHレベルとしてEX−OR回路32に入力し、その出力をHレベルとし、発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、これによって抵抗Rで定まる発報電流Icを図10(E)のように応答電流として感知器回線間に流し、これによって受信機1からの確認信号に対し終端火災感知器5aが固有信号を応答することになる。
受信機1からの確認信号による図10(A)の電圧パルス信号は、他の分岐感知器回線4b〜4dの終端に接続した終端火災感知器5b〜5dにも同時に供給されており、それぞれのEEPROM31b〜31dのアドレス38を指定した読出動作が同時に行われる。このため受信機1に対する感知器回線4に対しては、各分岐感知器回線4b〜4dを経由して終端火災感知器5b〜5dの順番に、データビットD30,D29,D28の読出ビット出力のタイミングで感知器回線に応答電流Icが図10(E)に示すように流れる。
このため受信機1の断線監視制御部14にあっては、感知器回線4に対する確認信号に対し分岐感知器回線4a〜4dの終端に接続している終端火災感知器5a〜5dからの応答電流により固有信号の応答を認識することができる。そして万一、特定の終端火災感知器からの応答信号が断線などにより断たれて応答なしとなった場合には、感知器回線の断線を示す障害警報を出すと同時に、どの分岐感知器回線に接続している終端火災感知器からの応答信号が断たれたかが判断できるため、断線を生じた区画の表示を同時に行うことができる。
一方、オンオフ型火災感知器2あるいは終端火災感知器5a〜5dのいずれかで火災検出が行われた際の火災発報中における監視信号に対する応答動作は、終端火災感知器5a自身で火災を検出した場合と他の火災感知器で火災を検出した場合とに分けられる。
図10(F)は終端火災感知器5a自身で火災を検出した場合の応答電流である。図8の終端火災感知器5aで火災検出が行われて信号処理回路25からの火災信号E2がHレベルになると、このときEEPROM31aからの応答信号E1はLレベルであることから、EX−OR回路32の出力がHレベルとなり、発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、抵抗Rで定まる発報電流Icを感知器回線に流し、この発報信号を受信機1が受信して火災警報を出す。
このような終端火災感知器5aからの発報信号の送出中に受信機1からの確認信号に基づく電圧パルス信号が受信され、EEPROM31aの読出動作によりデータビットD31の読出ビット出力のタイミングで応答信号E1がHレベルとなり、このためEX−OR回路32の出力はLレベルとなり、トランジスタ23を読出ビット出力の期間に亘りカットオフすることで発報電流Icが0となる。
続いて他の分岐感知器回線の終端火災感知器5b〜5dからの固有信号応答としての応答電流が出力され、これは終端火災感知器5aからの火災による発報電流に加算する重畳電流として流れる。
このため受信機1にあっては、発報電流が断たれたことで、火災を検出している終端火災感知器5aからの確認信号に対する応答を認識し、これに続く発報電流の増加により、火災を検出していない他の終端火災感知器5b〜5dからの確認信号に対する応答を認識することができる。
一方、終端火災感知器5a以外の終端火災感知器5b〜5dあるいはオンオフ型火災感知器2のいずれかで火災検出が行われた場合には、受信機1からの確認信号に基づくEEPROM31aの読出動作によるデータビットD31の読出ビット出力のタイミングで固有信号を送出するための応答電流を火災発報の応答電流に重畳して流すことになる。
図11は本発明による火災報知システムの他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあっては分岐感知器回線に接続する終端火災感知器以外の火災感知器も固有信号応答部付きの火災感知器としたことを特徴とする。
図11において、火災受信機1の構成は図7の実施形態と基本的に同じであり、MPU6に設けている断線監視制御部14が断線監視のための確認信号を感知器回線4を介してそれぞれの分岐感知器回線4a〜4dに送出している。
受信機1から引き出された感知器回線4を分岐した区画A〜Dに対する分岐感知器回線4a〜4dには固有信号応答部付きの火災感知器5a1〜5a4,5b1〜5b4,5c1〜5c4及び5d1〜5d4が接続されている。なお、この実施形態では、受信機1のMPU6に設けている受信制御部13は、感知器回線4の火災発報を検出して火災警報を行うと同時に、感知器回線4の発報感知器を検索するため検索制御信号を出力する。
図12は図11の分岐感知器回線4aの終端に接続した火災感知器5a4の回路ブロック図であり、他の火災感知器も同じ回路構成を有する。
図12において、火災感知器5a4は、図8の終端火災感知器5aと同様、基本的な火災検出の回路部として整流・ノイズ吸収回路21、発報回路22、電源回路24、信号処理回路25及び検出回路26を備え、更に受信機1からの監視時における断線監視のための確認信号に対し固有信号を応答するための固有信号応答部27を設けている。
固有信号応答部27には、クロック検出回路28、データ検出回路29、チップセレクト検出回路30、不揮発性メモリとしてのEEPROM31a4、EX−OR回路32が設けられ、この点は図8の実施形態と同じであるが、更に発報検出回路41を設けている。
発報検出回路41は、同じ感知器回線の他の火災感知器で火災検出による発報信号の送出が行われたときに感知器回線間の電圧から発報状態を検出し、信号処理回路25による火災信号E2の出力の抑止、EEPROM31a4の読出動作の抑止を行う。
これによって、同じ感知器回線に接続されている複数の火災感知器のうち、最初に火災を検出して発報した火災感知器のみが発報信号の出力動作と受信機1からの検索制御信号に対する火災応答を行い、2番目以降に火災を検出した火災感知器における発報信号の出力と検索制御信号に対する火災応答信号の送出を禁止させる。
図11の分岐感知器回線4a〜4dに接続している固有信号応答部付きの火災感知器5a1〜5d4に設けられているEEPROMに格納された番号データは、図13に示すようになる。
図13は区画Aと区画Bの分岐感知器回線4a,4bに接続している固有信号応答部付きの火災感知器5a1〜5a4,5b1〜5b4に設けているEEPROM31a1〜31a4,31b1〜31b4を取り出して示している。
例えば区画AのEEPROM31a1〜31a4を例に取ると、それぞれのアドレス38に固有の番号データを格納しており、この例ではEEPROM31a1〜31a4の順番に、斜線部で示すビット1の位置をデータビットD31,D30,D29,D28のようにずらして格納している。
同様に区画BのEEPROM31b1〜31b4についても、同じアドレス38におけるビット1で示す斜線部についても、データビットD27,D26,D25,D24のように順次ビット1の位置をずらして格納している。この点は残りの区画Cの EEPROM31b1〜31b4(図示せず)及び区画DのEEPROM31d1〜31d4(図示せず)についても同様に、ビット1となるデータビットの位置をD23〜D20,D19〜D16となるようにずらして格納している。
ここでEEPROMにおける1アドレスの番号データは32ビットであることから、受信機1からの感知器回線4に接続できる火災感知器の最大数は32台となる。もちろん、32台以上の火災感知器を必要とする場合には、EEPROMの番号データの格納アドレスを複数アドレス使用すればよい。この火災感知器それぞれに設定したビット1の位置は受信機1において記憶されており、断線や火災の判断、あるいは断線や火災個所の特定に使用される。
図14は受信機1からの確認信号に対する分岐感知器回線4aの終端に接続している終端火災感知器5a4の応答動作のタイミングチャートである。
図14(A)の受信機1からの確認信号に基づく感知器回線に対する電圧パルス信号は、監視時の電圧18ボルトを規定電圧として24ボルトの間で変化する電圧パルス信号である。この電圧パルス信号は、データビット0,1に対応して図3(A)に示したようにパルス幅変調された信号である。また感知器回線間の電圧パルス信号はクロック検出回路28に入力されて図14(B)のクロック信号が検出され、同時にチップセレクト検出回路30により図14(C)のチップセレクト検出信号が検出される。
更にデータ検出回路29は、図14(D)のようなデータビットを検出する。図11の分岐感知器回線4aの終端火災感知器5a4にあっては、図13の区画Aの最後のEEPROM31a4に示すように、アドレス38のデータビットD28にビット1を格納しているため、図14(D)のデータビットD28のタイミングでビット1が読み出され、このとき図12の信号処理回路25からの火災信号E2はLレベルにあり、EEPROM31a4からの応答信号E1がHレベルとなることでEX−OR回路32の出力がHレベルとなり、発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、抵抗Rで定まる応答電流Icを感知器回線に流し、断線監視の確認信号に対する固有信号を受信機1に応答する。
このような火災感知器5a4における確認信号に対する固有信号の応答動作は、他の火災感知器5a1〜5a3,5b1〜5b4,5c1〜5c4,5d1〜5d4でも同時に行われており、そのアドレス38のビット1の格納位置は、図13のようにデータビットD30〜D16まで順番にずらして格納していることから、それぞれにおけるビット1となる位置のビット出力に同期して順次、固有信号の応答が図14(E)に示すように行われる。
このため受信機1にあっては、確認信号に対する各火災感知器からの固有信号をチェックし、万一、固有信号の応答がない感知器があった場合には、その感知器回線に断線が発生したと判断し、障害警報を出すことになる。
例えば図11の分岐感知器回線4aの分岐部分で断線が発生した場合には、それ以降の火災感知器5a1〜5a4の全てからの固有信号の応答がなくなり、これによって分岐感知器回線4aが感知器回線4に対する分岐部分で断線していることを判断できる。また終端に接続している火災感知器5a4からのみ固有信号の応答がなかった場合には、火災感知器5a3と火災感知器5a4の間の分岐火災感知器4aに断線が起きたことを判断できる。
このように図11の終端火災感知器以外の火災感知器も固有信号応答部付きの火災感知器とした場合には、分岐感知器回線4a〜4dごとに断線を識別できると同時に、断線を起した分岐感知器回線のどの位置で断線が起きているかも判断することができる。
なお、終端でない火災感知器からの固有信号の応答が無く、それ以降の火災感知器からは応答信号があった場合には、その火災感知器の機能が故障していると判断する。例えば火災感知器5a1が故障しており、感知器回線が正常の場合には、受信機からの確認信号により、火災感知器5alは応答せず、火災感知器5a2以降の火災感知器は固有のビット位置で応答する。
この場合は、感知器回線は正常であると判断し、火災感知器5a1が異常であると判断し、警報を発する。よって、この構成であれば、感知器回線の断線状況と、火災感知器の機能状況の試験が一度に行うことができる。
次に、分岐感知器回線4aの終端に接続している火災感知器5a4で火災が検出された場合には、図12の信号処理回路25からの火災信号E2がHレベルとなり、このときEEPROM31a4からの応答信号E1はLレベルであることから、EX−OR回路32の出力がHレベルとなって発報回路22のトランジスタ23をスイッチングし、抵抗Rで定まる発報電流Icを図14(F)に示すように感知器回線に流す。
このように火災感知器5a4で火災検出が行われると、他の火災感知器5a1〜5a3、5b1〜5d4にあっては、それぞれの発報検出回路41が他の火災感知器による火災発報を検出して、信号処理回路25及びEEPROM31a4の動作を抑止し、同一感知器回線における2番目以降の火災検出による発報を禁止する。
一方、受信機1のMPU6に設けている受信制御部13は、感知器回線4の火災発報を検出して火災警報を行うと同時に、感知器回線4の発報感知器を検索するため検索制御信号を出力する。
この検索制御信号は、図14(D)の断線監視制御のための確認信号と同じデータ内容である。受信機1からの検索制御信号に対し、火災を検出している火災感知器5a4のみがEEPROM31a4の読出動作を行い、アドレス38のデータビットD28のビット出力のタイミングで応答信号E1をHレベルとし、このとき火災信号E2もHレベルであることからEX−OR回路32の出力はLレベルとなり、発報回路22のトランジスタ23を1ビット出力の間、発報電流を停止させることで、図14(F)のように発報応答を行う。これによって、受信機1側で火災感知器5a4で火災検出が行われたことを認識できる。
この火災検出した火災感知器の動作は、終端でない火災感知器が最初に動作した場合も同様であり、固有のビットタイミングで発報電流を停止させることで、火災検出した火災感知器を特定できる。
なお、受信機側で、火災感知器毎に設定された特定ビット位置情報、感知器設置場所情報及び種別情報などを予め記憶してあれば、感知器障害や火災検出時に、受信機の表示部で感知器情報を表示させると警備員がその後の対処が行いやすい。
図15は図11の火災報知システムの区画A〜Dに設置している火災感知器に設けたEEPROM31a1〜31d4に対する番号データの格納の他の実施形態の説明図である。この図15の実施形態にあっては、EEPROM31a1〜31d4のアドレス38に断線監視制御用の確認信号に対する固有データを応答するための番号データを格納し、一方、アドレス39に対しては火災発報時の検索制御信号に対し固有信号を応答するための番号データを格納したことを特徴とする。
まずアドレス38の断線監視制御用の番号データにあっては、区画A〜Dのうちの分岐感知器回線の終端に接続している火災感知器5a4,5b4,5c4,5d4に対応したEEPROM31a4,31b4,31c4,31d4のアドレス38に対してのみ、1ビットずつ位置をずらして、ビット1となる斜線部のデータをデータビットD31,D30,D29,D28のそれぞれに格納している。
これに対し火災発報時の検索制御信号に対応したアドレス39の番号データについては、図13の場合と同様、EEPROM31a1から31d4の順番にデータビットD31,D30,…D16の各位置にビット1をずらして格納している。このような断線監視制御の応答用の固有信号、及び火災発報時の検索制御応答用の固有信号につき、それぞれ異なるアドレスの番号データをEEPROMに格納しておくことで、通常の監視時における確認信号に対する固有信号の応答を分岐感知器回線4a〜4dの終端に接続している火災感知器5a4,5b4,5c4,5d4のみから行わせ、これによって分岐感知器回線4a〜4dごとの断線監視を可能とする。
一方、火災発報時にあっては、発報した感知器を検索するため、アドレス39を使用して、それぞれの火災感知器につき固有の番号データを格納し、火災を検出した火災感知器より受信機からの検索制御信号に対し固有信号を応答できるようにしている。
図16は図15の番号データの2アドレスによる格納を行った場合について、図15の区画Aの終端のEEPROM31a4の内容を持つ火災感知器5a4における受信機1からの確認信号に対する固有信号の応答動作のタイミングチャートである。
図16(A)の電圧パルス信号、図16(B)のクロック信号、図16(C)のチップセレクト信号及び図16(D)のデータは、図14(A)〜(D)と同じになる。
ここで監視時の確認信号は、図15のEEPROM31a1〜31d4におけるアドレス38を指定した読出動作となり、この読出動作に対しアドレス38でビット1となるデータを格納しているのは分岐感知器回線4a〜4dの終端に接続した火災感知器5a4,5b4,5c4,5d4のみである。
したがって図16(E)のようにアドレス38のデータビットD31の1ビット出力のタイミングに同期して火災感知器5a4が応答電流Icを流し、続いて終端に接続している火災感知器5b4,5c4,5d4の順番にデータビットD30,D29,D28のビット1の出力タイミングで応答電流Icが感知器回線に流す。
一方、火災感知器5a4において火災検出が行われた場合には、他の火災感知器にあっては図11の発報検出回路41による発報検出で信号処理回路25及びEEPROMの動作が抑止されているため、受信機1からの検索制御信号によるアドレス39を指定した読出動作に対し、火災を検出している火災感知器5a4のEEPROM31a4のみの読出動作が行われ、ビット1が格納されたデータビットD28のビット出力のタイミングで図12におけるEEPROM31a4からの応答信号E1がHレベルとなり、このとき信号処理回路25からの火災信号E2もHレベルにあり、このためEX−OR回路32の出力はLレベルとなって、発報回路22のトランジスタ23を1ビット出力の間、カットオフし、図16(F)のように火災発報の応答電流Icが0と1ビット出力に亘り低下し、これによって受信機1は火災感知器5a4で火災検出が行われたことを判断できる。
なお、上記図11に接続された火災感知器は、図12に示すような発報検出回路41が設けてあるが、必ずしも必要ではなく、図8に示すような終端火災感知器の構成を全ての火災感知器に適用しても良い。この場合であっても通常監視時の断線監視を行うことができる。
また上記の実施形態にあっては、例えば図1のように受信機1から感知器回線4を1回線引き出して分岐する場合を例にとっているが、受信機1から複数の感知器回線4を引き出すようにしてもよい。この場合には、感知器回線4ごとに監視回路部7を設け、感知器回線4ごとに確認信号を送出し、断線を判断する。
この確認信号は全感知器回線に同時に送出しても良いし、順に送出しても良い。火災感知器に特定される特定ビット位置は同一回線内で重複しなければ良く、他の回線に同一のビット位置のものがあっても、正しく断線監視を行うことができる。
また、EEPROMが出力する感知器固有のビットは1に限定されるものではなく、逆の特定ビット0で他ビットはすべて1に設定されてあってもよく、受信機において特定ビットを検出できるようになっていれば良い。
また、感知器が終端用にも非終端用にも共用できるように、感知器内に固有信号応答部27の機能を有効もしくは無効に切り換える設定部を設けるようにしても良い。もしくは、終端でない感知器には、EEPROMには特定ビットのない、例えばすべて0と設定することで共用できるようにしても良い。
更に、上記の実施形態においては、受信機から各火災感知器のEEPROMのアドレス指定の呼び出しによる上り信号を受けることによって、断線を判断しているが、この通信方法に限らず、終端用の端末にはCPUを備え、最終端末としての情報が格納されており、受信機からの最終端末に対する呼び出し伝送により、上り信号があるかどうかで感知器回線の断線を検出するようにしても良い。
例えば最終端末専用のアドレスが端末に設定されており、受信機からは最終端末専用のアドレスを指定した端末呼び出しにより、返信信号がない場合に、感知器回線の断線を判断することもできる。