[火災報知システムSの構成]
図1は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する火災受信機1の前面図である。図1において、外部から視認できない部分は破線で表されている。火災受信機1は、火災報知システムSの各種の動作を司り、火災感知器に接続される回線の状況を監視する制御装置である。火災受信機1は、例えばP型火災受信機である。火災受信機1は、制御部11と、操作部12と、表示部13とを有する。また、火災受信機1は、制御部11を内部に収容する筐体Hを有し、筐体Hの前面側に開閉可能な扉Dを有する。
操作部12は、ボタン、スイッチ等の操作部材を含む。例えば操作部12は、火災報知を停止するためのボタンである。また、操作部12は、後述する終端器の識別情報を入力するためのキーボード機能を有する入力部を含んでもよい。操作部12は、ユーザ(建物の利用者、自動火災報知設備の施工者等)からの操作を示す信号を、制御部11へ送信する。表示部13は、ランプ、液晶ディスプレイ等の表示装置を含む。表示部13(地区窓ともいう)は、制御部11からの信号に従って所定の情報を表示する。操作部12及び表示部13は扉Dの前面側(すなわち火災受信機1の外壁面上)に設けられている。
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する。制御部11は、火災感知器が火災を感知した際に報知するための制御や、断線を検出するための制御を行う。制御部11は、火災感知器及び終端器に接続された回線を接続するための端子を有する。
さらに火災報知システムSは、火災受信機1の筐体Hの内部に、回線判別装置5を有する。回線判別装置5は、接続された回線を判別する装置である。回線判別装置5は、自身の端子に接続された回線を判別するための情報(すなわち該回線に接続された終端器の識別情報に基づく情報)を表示する。
制御部11及び回線判別装置5は、それぞれ火災感知器及び終端器に接続された回線を接続するための端子を基板上に有する。制御部11及び回線判別装置5は、扉Dの背面側(すなわち火災受信機1の筐体Hの内部)に設けられている。そのため、火災受信機1の扉Dを開放すると、制御部11及び回線判別装置5の端子へ回線を接続する作業が可能になる。
図2は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する火災受信機1の模式図である。火災報知システムSは、火災受信機1と、回線判別装置5と、火災感知器2と、終端器3とを含む。火災報知システムSは、火災警報監視対象となる警戒区域ごとに、一以上の火災感知器2及び終端器3を有する。警戒区域は、例えば建物の階層、階層を分割した領域、建物内の部屋等に対応する。
火災感知器2は、それぞれ2本の回線W(電線)に接続されている、警戒区域内で火災が発生したことを検知するセンサである。回線Wは、共通線C(C1…Cm)及び感知器入力線L(L1…Ln)を含む。本実施形態では、警戒区域ごとに1本の感知器入力線L及び1本の共通線Cが設けられているが、感知器入力線Lの数nよりも共通線Cの数mが少なくてもよい。例えば、7本の感知器入力線Lに対して、1本の共通線Cが設けられてもよい。火災感知器2は、火災を検知すると、自身の電気的特性(例えばインピーダンス)を変化させる、あるいは回線W上に信号を送信することによって、火災受信機1に火災を検知したことを通知する。
終端器3は、火災感知器2が接続されている回線Wの、火災受信機1とは反対側の終端部に設けられる終端装置であり、火災受信機1と協働して回線Wの断線を検出するための処理を行う。終端器3は、回線Wの最も終端側(すなわち火災受信機1から最も遠い位置)にある火災感知器2に内蔵されてもよい。
火災受信機1は、上述の制御部11、操作部12及び表示部13に加えて、通信部14と、記憶部15と、接続端子16と、接続表示部17とを有する。火災受信機1は、これ以外の部材を有してもよい。
通信部14は、制御部11が回線Wを介して終端器3との間で通信するための通信インターフェースである。通信部14は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部14は、終端器3から受信した信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部11に入力する。また、通信部14は、制御部11から入力されたデータに所定の処理を行って信号を生成し、生成した信号を終端器3に送信する。
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部15は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部15は、制御部11に接続されている1つ以上の終端器3それぞれの識別情報を、該終端器3に接続された回線Wが接続されている接続端子16と関連付けて記憶する。記憶部15は、火災受信機1の外部に設けられてもよい。この場合に記憶部15は、通信部14を介した通信によって、制御部11との間でデータを授受してもよい。
制御部11上には、警戒区域に対応する数の接続端子16が設けられる。具体的には、制御部11は、火災感知器2との信号の授受を警戒区域ごとに行う地区回路を備える地区回路基板を有しており、地区回路基板上に接続端子16が設けられている。接続端子16には、警戒区域ごとに回線Wが接続される。以下では、1つの警戒区域に敷設された回線Wに接続されている2つの端子を、該警戒区域に対応する1つの接続端子16とする。回線Wは、複数の火災感知器2に順に接続(いわゆる送り配線)され、制御部11とは反対側の終端部において終端器3に接続される。制御部11は、回線Wを介して、火災感知器2及び終端器3に電力を供給するとともに、終端器3との間で通信を行う。
制御部11は、対応する警戒区域内に設置された複数の火災感知器2のいずれかから火災を検知したことが通知されると、火災を報知する。例えば制御部11は、表示部13上で火災が発生した警戒区域を表示する。制御部11は、スピーカから火災が発生した警戒区域を示す音声を出力することによって、火災を報知してもよい。
表示部13(地区窓)は、警戒区域に対応する数のランプ、液晶ディスプレイ等の表示装置を有する。表示部13の複数の表示装置は、複数の接続端子16と一対一で対応付けられている。すなわち表示部13の各表示装置は、接続端子16のいずれか1つと固定的に対応する。そのため、いずれかの警戒区域の火災感知器2で火災が検知されると、該警戒区域の回線Wに接続された接続端子16に対応する表示部13の表示装置が情報を表示する。
さらに、制御部11は、後述の回線判別方法を実行し、その結果に基づいて接続表示部17上で回線Wを判別するための情報(すなわち回線Wに接続された終端器3の識別情報に基づく情報)を表示する。接続表示部17は、ランプ、7セグメントディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置を含む。接続表示部17は、制御部11からの信号に従って所定の情報を表示する。
接続表示部17は、制御部11の地区回路基板上で各警戒区域に対応する接続端子16の近傍に設けられている。すなわち、接続表示部17は、いずれかの接続端子16に関連付けられている。接続表示部17は、自身に関連付けられている接続端子16に接続された回線Wを判別するための情報(すなわち回線Wに接続された終端器3の識別情報に基づく情報)を表示する。接続表示部17は地区回路基板上で接続端子16の近傍に設けられているため、施工者は制御部11に回線を接続する作業時に接続端子16から目線を大きく移動させずに、接続端子16に係る回線判別結果を確認できる。
表示部13が火災受信機1の外壁面上に設けられているのに対して、接続表示部17は火災受信機1の筐体Hの内部に設けられている。そのため、制御部11に回線を接続する作業時に扉Dを開放した状態で、施工者は接続表示部17を視認して接続端子16に接続された回線Wを判別することができる。
回線判別装置5は、制御部51と、判別用端子52と、接続表示部53とを有する。回線判別装置5は、火災受信機1の筐体Hの内部に設けられているが、火災受信機1とは独立して作動する。本実施形態では、回線判別装置5は、火災受信機1の記憶部15を共用しているが、独立した記憶部を有してもよい。また、回線判別装置5は、火災受信機1の通信部14と同様の不図示の通信部を有する。
制御部51は、例えばCPU等のプロセッサを有し、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、所定の機能を実行する。制御部51は、制御部11とは異なり、火災を報知する機能を有さず、判別用端子52に接続された回線Wを判別する機能のみを有する。
判別用端子52は、接続端子16と同様に、回線Wが接続される。接続表示部53は、接続表示部17と同様に、判別用端子52に接続された回線Wを判別するための情報(すなわち回線Wに接続された終端器3の識別情報に基づく情報)を表示する。
図3は、本実施形態に係る火災報知システムSが有する終端器3の模式図である。図3において、回線Wに接続された火災感知器2は省略されている。終端器3は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを有する。終端器3は、これ以外の部材を有してもよい。
通信部32は、回線Wを介して制御部11との間で通信するための通信インターフェースである。通信部32は、通信を実行するためのプロセッサ、コネクタ、電気回路等を含む。通信部32は、火災受信機1から受信した信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部31に入力する。また、通信部32は、制御部31から入力されたデータに所定の処理を行って信号を生成し、生成した信号を火災受信機1に送信する。
記憶部33は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部33は、制御部31が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部33は、終端器3自身の識別情報を記憶する。
制御部31は、例えばCPU等のプロセッサを有し、記憶部33に記憶されたプログラムを実行することにより、所定の機能を実行する。具体的には、制御部31は、通信部32を用いて、後述のように応答要求信号を火災受信機1から受信し、応答信号を火災受信機1へ送信する。
本実施形態に係る火災報知システムSは、図1〜図3に示す具体的な構成に限定されない。例えば火災受信機1、終端器3及び回線判別装置5は、それぞれ1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が互いに接続されることにより構成されてもよい。
[回線判別方法の説明]
本実施形態に係る火災報知システムSが実行する回線判別方法を、以下に説明する。終端器3の記憶部33には、終端器3自身に固有の識別情報(ID)が設定されている。終端器3の識別情報は、例えば終端器3が設置されている警戒区域の番号、終端器3の製造番号、施工者によって設定された任意の番号等である。
終端器3の記憶部33には、例えば工場からの出荷時に予め識別情報が記憶されてもよい。あるいは、施工者が、終端器3の記憶部33に識別情報を記憶させてもよい。この場合に、施工者は、終端器3に接続された端末(パーソナルコンピュータ等)を操作することによって記憶部33に識別情報を記憶させてもよく、終端器3に設けられたボタン、スイッチ等の操作部材を操作することによって記憶部33に識別情報を記憶させてもよい。
火災受信機1に終端器3を接続する際に、施工者は、終端器3が接続された接続端子16に関連付けて終端器3の識別情報を火災受信機1に設定する。施工者は、火災受信機1の操作部12を用いて終端器3の識別情報を入力してもよく、火災受信機1に接続された端末(パーソナルコンピュータ等)を操作することによって終端器3の識別情報を入力してもよい。火災受信機1の制御部11は、施工者による入力に基づいて、終端器3が接続された接続端子16に関連付けて終端器3の識別情報を記憶部15に記憶させる。
具体的には、施工者は、建物における自動火災報知設備の系統図及び各階平面図(施工図)を参照し、建物の各警戒区域に割り振られた番号を特定する。そして施工者は、警戒区域の番号と、該警戒区域に対応する接続端子16(すなわちいずれかの表示部13)の番号とが一致するように、該警戒区域において火災感知器2及び終端器3を施工して接続端子16に回線Wを接続する。そして施工者は、警戒区域(接続端子16)の番号と、終端器3の識別情報とを関連付けて、火災受信機1の記憶部15に設定する。これにより、終端器3の識別情報は、警戒区域及び接続端子16の番号と対応するようになる。
火災受信機1において、制御部11は、所定の時間間隔で、あるいは施工者による指示に従って、各接続端子16に接続されている回線Wを判別する。回線判別を行う際に、制御部11は、記憶部15から各接続端子16に接続されている終端器3の識別情報を読み出して取得する。そして制御部11は、接続端子16を介して、終端器3からの応答を要求する応答要求信号を回線Wへ送信する。応答要求信号は、例えば所定の形状のパルス又は正弦波である。
回線Wに接続されている終端器3において、制御部31は、火災受信機1からの応答要求信号を受信する。制御部31は、火災受信機1から応答要求信号を受信したことを条件として、記憶部33から終端器3自身の識別情報を読み出す。そして制御部31は、終端器3の識別情報を示す応答信号を生成し、回線Wへ送信する。応答信号は、例えば終端器3の識別情報を示す形状のパルス又は正弦波である。
火災受信機1において、制御部11は、接続端子16を介して、終端器3からの応答信号を受信する。制御部11は、ある接続端子16に接続された回線Wから受信した応答信号が示す識別情報を、該接続端子16について記憶部15から取得した終端器3の識別情報と比較する。
応答要求信号の送信から所定時間以内に、記憶部15から取得した識別情報と一致する識別情報を示す応答信号を受信できた場合(すなわち、記憶部15から取得した識別情報と、応答信号が示す識別情報とが一致した場合)に、制御部11は、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが接続端子16に接続されている(すなわち、接続端子16に正しい回線Wが接続されている)と判定する。
応答要求信号の送信から所定時間以内に、記憶部15から取得した識別情報と一致する識別情報を示す応答信号を受信できなかった場合(すなわち、記憶部15から取得した識別情報と応答信号が示す識別情報とが一致しなかった場合)に、制御部11は、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが接続端子16に接続されていない(すなわち、接続端子16に誤った回線Wが接続されている)と判定する。
さらに、応答要求信号の送信から所定時間以内に応答信号自体を受信できなかった場合に、制御部11は、接続端子16に接続された回線Wに断線が発生していると判定してもよい。
制御部11は、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが接続端子16に接続されているか否かを示す情報を、回線判別結果として出力する。制御部11は、複数の接続端子16のそれぞれについて、順に応答要求信号の送信及び応答信号の受信を繰り返す。そして制御部11は、複数の接続端子16のそれぞれについて回線判別結果を示す情報を、該接続端子16に関連付けられた接続表示部17上に表示する。
本実施形態では、終端器3は応答要求信号に応じて応答信号を送信するが、応答要求信号によらず応答信号を送信してもよい。この場合には、終端器3は、自身の識別情報を示す応答信号を、所定の時間間隔で回線Wを介して火災受信機1へ送信する。
図4(a)、図4(b)は、応答要求信号及び応答信号の模式図である。図4(a)、図4(b)は、それぞれ回線Wに印加されている電圧の時間変化のグラフである。図4(a)は、パルス波を用いて応答要求信号及び応答信号を伝送する例を示す。火災受信機1の制御部11は、応答要求信号を送信する際に、応答要求信号を示すパルスになるように回線Wの電圧を制御する。また、終端器3の制御部31は、応答信号を送信する際に、応答信号を示すパルスになるように回線Wの電圧を制御する。
パルスは、高電圧(例えば10V)と低電圧(例えば0V)とが交互に出現する状態である。火災受信機1の制御部11及び終端器3の制御部31は、例えばパルスの頻度や幅を所定の規則に従って制御することによって、応答要求信号及び応答信号とパルスとの間で情報を変換する。
図4(b)は、正弦波を用いて応答要求信号及び応答信号を伝送する例を示す。火災受信機1の制御部11は、応答要求信号を送信する際に、応答要求信号を示す正弦波になるように回線Wの電圧を制御する。また、終端器3の制御部31は、応答信号を送信する際に、応答信号を示す正弦波になるように回線Wの電圧を制御する。
正弦波は、電圧が正弦関数として記述される周期的な波形となる状態である。火災受信機1の制御部11及び終端器3の制御部31は、例えば正弦波の周波数や振幅を所定の規則に従って制御することによって、応答要求信号及び応答信号と正弦波との間で情報を変換する。
火災感知器2には、火災を検知した場合に検知状態となり、その後に回線Wが所定の時間以上、所定の電圧(例えば5V)以下に設定されると検知状態を解除して復旧するものがある。そのため、火災受信機1及び終端器3は、応答要求信号及び応答信号を示すパルス又は正弦波において連続的に所定の電圧以下になる時間を、火災感知器2が検知状態を解除する所定の時間よりも短くする。これにより、応答要求信号及び応答信号によって意図せず火災感知器2の検知状態が解除されることを防ぐことができる。
火災受信機1及び終端器3は、図4(a)、図4(b)に示した伝送方法に限定されず、回線Wを介して応答要求信号及び応答信号を伝送可能なその他方法を用いることができる。図4(a)、図4(b)の例では、30秒ごとに火災受信機1から応答要求信号が送信され、50ミリ秒の応答要求信号及び応答信号が伝送されているが、信号の送信間隔及び長さは具体的な値に限定されない。
図5(a)、図5(b)は、本実施形態に係る接続表示部17の前面図である。火災受信機1の制御部11は、終端器3(回線W)から受信した信号が示す識別情報に対応する回線判別結果(すなわち、接続端子16を介して受信した信号が示す、回線Wに接続された終端器3の識別情報に対応する情報)を表示するように、接続表示部17を制御する。接続表示部17は、接続端子情報171と、第1ランプ172と、第2ランプ173とを有する。
接続端子情報171は、接続表示部17に関連付けられた接続端子16を識別する番号又は文字列である。例えば10個(10組)の接続端子16が設けられている場合に、接続端子情報171は、L1〜L10の文字列のいずれかである。
第1ランプ172は、接続端子16に正しい回線Wが接続されていることを示す電灯である。第2ランプ173は、接続端子16に誤った回線Wが接続されていることを示す電灯である。例えば第1ランプ172及び第2ランプ173は、それぞれLED(Light Emitting Diode)である。
制御部11は、接続表示部17に関連付けられた接続端子16に正しい回線Wが接続されていると判定した場合に、図5(a)のように第1ランプ172を点灯させるとともに、第2ランプ173を消灯させる。一方、制御部11は、接続表示部17に関連付けられた接続端子16に誤った回線Wが接続されていると判定した場合に、図5(b)のように第1ランプ172を消灯させるとともに、第2ランプ173を点灯させる。すなわち接続表示部17は、接続端子16に正しい回線Wが接続されているか否かの情報を、第1ランプ172及び第2ランプ173のうちどちらが点灯しているかによって表示する。
接続表示部17は、火災受信機1の筐体Hの内部において、自身に関連付けられた接続端子16の近傍に設けられている。このような構成により、施工者は火災受信機1の扉Dを閉じることなく接続端子16に正しい回線Wが接続されているかを確認できるため、接続端子16に回線Wを接続する作業が容易になる。
さらに制御部11は、接続端子16に接続された回線Wに断線が発生していると判定した場合に、第1ランプ172及び第2ランプ173の少なくとも一方を点滅させてもよい。これにより、接続表示部17は、回線Wの断線を示す情報を、回線Wの誤接続を示す情報と区別して施工者に通知できる。
図6は、本実施形態に係る接続表示部17の変形例の前面図である。図6の接続表示部17は、上述の接続端子情報171、第1ランプ172及び第2ランプ173に加えて、ディスプレイ174を有する。ここではディスプレイ174は、7セグメントディスプレイであるが、液晶ディスプレイ等のその他の表示装置であってもよい。
制御部11は、終端器3からの応答信号が示す識別情報の少なくとも一部を、ディスプレイ174上に表示する。図6では、終端器3の識別情報が「L2」であり、ディスプレイ174はそのうち「2」を表示している。なお、施工者は火災受信機1に対してこの接続端子16に「L1」の識別情報を有する終端器が接続されるように設定しているため、誤接続を示す第2ランプ173が点灯している。
このような構成により、接続表示部17は、接続端子16に正しい回線Wが接続されているか否かの情報に加えて、実際に接続端子16に接続されている回線Wに接続された終端器3の識別情報を、接続端子16を介して受信した信号が示す、回線Wに接続された終端器3の識別情報に対応する情報として表示できる。そのため施工者は、接続端子16に誤った回線Wを接続した場合であっても、その回線Wを正しい接続端子16へ容易に接続し直すことができる。
[回線判別装置5の構成]
回線判別装置5は、上述の回線判別方法を、制御部11とは独立して実行する。図7(a)は、本実施形態に係る回線判別装置5の前面図である。図7(a)において、外部から視認できない部分は破線で表されている。
判別用端子52は、回線判別装置5の外部に露出している。判別用端子52に回線Wの端部を接触させることによって、回線Wは判別用端子52に一時的に接続される。
接続表示部53は、接続端子選択部531と、第1ランプ532と、第2ランプ533と、ディスプレイ534とを有する。第1ランプ532、第2ランプ533及びディスプレイ534は、図5、図6の第1ランプ172、第2ランプ173及びディスプレイ174と同様である。
接続端子選択部531は、施工者が回線判別の対象とする接続端子16の選択を受け付ける操作部である。例えば接続端子選択部531は、接続端子16を識別する番号又は文字列(例えばL1〜L10の文字列)のいずれかを選択可能なダイヤルである。図7(a)では、接続端子選択部531において「L1」が選択されている。接続端子選択部531は、施工者による選択内容を示す信号を、制御部51へ送信する。
回線判別装置5の制御部51は、接続端子選択部531において選択された接続端子16について、上述の回線判別方法を実行する。具体的には、制御部51は、接続端子選択部531において選択された接続端子16に接続されている終端器3の識別情報を、記憶部15から読み出して取得する。
そして制御部51は、判別用端子52を介して、終端器3からの応答を要求する応答要求信号を回線Wへ送信する。その後、制御部51は、判別用端子52を介して、終端器3からの応答信号を受信する。制御部51は、判別用端子52に接続された回線Wから受信した応答信号が示す識別情報を、選択された接続端子16について記憶部15から取得した終端器3の識別情報と比較する。
応答要求信号の送信から所定時間以内に、記憶部15から取得した識別情報と一致する識別情報を示す応答信号を受信できた場合(すなわち、記憶部15から取得した識別情報と応答信号が示す識別情報とが一致した場合)に、制御部51は、接続端子選択部531において選択された接続端子16について、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが判別用端子52に接続されていると判定する。
応答要求信号の送信から所定時間以内に、記憶部15から取得した識別情報と一致する識別情報を示す応答信号を受信できなかった場合(すなわち、記憶部15から取得した識別情報と応答信号が示す識別情報とが一致しなかった場合)に、制御部51は、接続端子選択部531において選択された接続端子16について、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが判別用端子52に接続されていない(すなわち、接続端子16に誤った回線Wが接続されている)と判定する。
さらに、応答要求信号の送信から所定時間以内に応答信号自体を受信できなかった場合に、制御部51は、判別用端子52に接続された回線Wに断線が発生していると判定してもよい。
制御部51は、施工者が設定した通りの終端器3に接続された回線Wが判別用端子52に接続されているか否かを示す情報を、回線判別結果として出力する。そして制御部51は、終端器3(回線W)から受信した信号が示す識別情報に対応する回線判別結果を示す情報(すなわち、判別用端子52を介して受信した信号が示す、回線Wに接続された終端器3の識別情報に対応する情報)を、接続表示部53上に表示する。接続表示部53は、判別用端子52に正しい回線Wが接続されているか否かの情報を、第1ランプ532及び第2ランプ533のうちどちらが点灯しているかによって表示する。また、制御部51は、終端器3からの応答信号が示す識別情報の少なくとも一部を、ディスプレイ534上に表示する。
さらに、制御部51は、判別用端子52に接続された回線Wに断線が発生していると判定した場合に、第1ランプ532及び第2ランプ533の少なくとも一方を点滅させてもよい。
施工者は、回線Wを制御部11の接続端子16に接続する前に、回線判別装置5の判別用端子52に一時的に接続し、回線判別装置5を用いて回線Wを判別する。これにより、施工者は、制御部11が有する複数の接続端子16のうちいずれの接続端子16に回線Wをすべきかを知ることができるため、回線Wの接続作業を容易にすることができる。
図7(b)は、本実施形態に係る回線判別装置5の変形例の前面図である。図7(b)において、外部から視認できない部分は破線で表されている。図7(b)の回線判別装置5は、図7(a)の回線判別装置5と比較して、接続端子選択部531、第1ランプ532及び第2ランプ533が省略され、ディスプレイ534のみを有している。
図7(b)に示す回線判別装置5は、接続端子16ごとの誤接続を判定する機能を有しないものの、判別用端子52に接続された回線W(終端器3)の識別情報の少なくとも一部を、回線を判別するための情報(すなわち、判別用端子52を介して受信した信号が示す、回線Wに接続された終端器3の識別情報に対応する情報)として出力できる。
[回線判別方法のフローチャート]
図8は、本実施形態に係る火災報知システムSが行う回線判別方法のフローチャートを示す図である。ここでは火災受信機1を主体として説明するが、回線判別装置5も同様に回線判別方法を実行可能である。本実施形態では、火災受信機1及び回線判別装置5の両方が回線判別方法を実行可能に構成されているが、火災受信機1及び回線判別装置5のどちらか一方のみが回線判別方法を実行可能に構成されてもよい。
まず火災受信機1において、制御部11は記憶部15から、接続端子16の数と、接続端子16ごとに設定された終端器3の識別情報とを取得する(S11)。終端器3の識別情報が未設定の接続端子16については無視してもよい。制御部11は、処理対象の番号iを1(初期値)に設定する(S12)。
制御部11は、ステップS11で識別情報を取得した接続端子16のうち、i番目の接続端子16を介して応答要求信号を回線Wに送信する(S13)。このとき、制御部11は、終端器3からの応答信号を待つ時間を示す応答待ちタイマーを開始する(S14)。
回線Wに接続されている終端器3において、制御部31は、火災受信機1から応答要求信号を受信したことを条件として、記憶部33から終端器3自身の識別情報を読み出す。そして制御部31は、終端器3の識別情報を示す応答信号を回線Wに送信する。
火災受信機1において、制御部11は、終端器3からの応答信号を受信する(S15)。制御部11は、ステップS15で受信した応答信号が示す識別情報を、ステップS11で記憶部15から取得したi番目の接続端子16に係る識別情報と比較する。記憶部15から取得した識別情報と応答信号が示す識別情報とが一致した場合に(S16のYES)、制御部11は、i番目の接続端子16について、正しい回線W(終端器3)が接続されていると判定する(S17)。
記憶部15から取得した識別情報と応答信号が示す識別情報とが一致しない場合(あるいはステップS14のタイマーが所定時間を経過した場合)に(S16のNO)、制御部11は、i番目の接続端子16について、誤った回線W(終端器3)が接続されていると判定する(S18)。ここで、ステップS14のタイマーが所定時間を経過しても制御部11が終端器3からの応答信号を受信しなかった場合に、制御部11は、i番目の接続端子16について、断線が発生していると判定してもよい。
制御部11は、ステップS17又はS18における判定結果を示す情報を、i番目の接続端子16に関連付けられた接続表示部17上に表示する(S19)。このとき、制御部11は、ステップS15で受信した応答信号が示す識別情報の少なくとも一部を表す情報を、接続表示部17上に表示してもよい。
制御部11は、処理対象の番号iに1を加える(S20)。番号iがステップS11で取得した接続端子16の数を超えていない場合に(S21のNO)、制御部11はステップS13〜S20を繰り返す。番号iがステップS11で取得した接続端子16の数を超えた場合に(S21のYES)、制御部11は処理を終了する。
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る火災受信機1及び回線判別装置5は、施工者が接続端子16に正しい回線Wを接続する作業が容易にする。具体的には、火災受信機1は、火災受信機1の筐体の内部において、接続端子16ごとに設けられた接続表示部17上に、接続端子16に接続された回線Wを判別するための情報を表示する。
火災受信機1に回線Wを接続する作業においては、筐体Hの扉Dを開放した状態で複数の接続端子16に正しい回線Wを接続する必要がある。本実施形態に係る火災受信機1によれば、筐体Hの扉Dを開放した状態で、施工者は接続表示部17を視認して接続端子16に接続された回線Wを判別できる。このような構成により、施工者は、接続端子16に誤った回線Wを接続したとしても、いちいち扉Dを閉じずに正しい回線Wを容易に接続し直すことができる。
また、回線判別装置5は、火災受信機1の筐体の内部において、判別用端子52に一時的に接続された回線Wを判別するための情報を、接続表示部53上に表示する。このような構成により、施工者は、火災受信機1の接続端子16に回線Wを接続する前に回線Wを判別できるため、火災受信機1の接続端子16に正しい回線Wを容易に接続できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
火災受信機1又は回線判別装置5のプロセッサは、図8に示す回線判別方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、火災受信機1又は回線判別装置5のプロセッサは、図8に示す回線判別方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して火災受信機1又は回線判別装置5の各部を制御することによって、図8に示す回線判別方法を実行する。図8に示す回線判別方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。