JP3695635B2 - 火災報知システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器の発報を受信して警報する火災報知システムに関し、特に、発報回線中の発報した火災感知器を検索して表示するようにした火災報知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、P型として知られた火災報知システムにあっては、受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器からの発報信号を受信して火災を警報するようにしている。
【0003】
一方、R型として知られた火災報知システムにあっては、受信機から引き出された伝送路に、伝送機能を備えた中継器やアナログ火災感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には例えば端末装置からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した端末装置のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した端末装置から火災データを収集して監視するようにしている。
【0004】
このように火災を検出した火災感知器や中継器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなP型の火災報知システムにおいては、受信機ではどの感知器回線が火災発報したかが判るが、発報した感知器回線に接続された複数の感知器の中のどの感知器が発報したのかは判らない。
【0006】
しかしながら、感知器回線単位に火災を監視するP型の火災報知システムを設置した設備であっても、火災に対する危険度の高い場所や重要な設備機器を設置する場所については、火災時に重要監視場所の火災感知器が発報したことを個別に知る必要があるが、現在のP型の火災報知システムでは、専用の感知器回線を引いて対応するしかなく、専用回線では設備が複雑化してコストアップとなり、十分な対応がとれない問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされてもので、基本システムは、回線単位に火災監視を行うP型の火災システムであるが、必要な感知器回線については、感知器回線中の発報した火災感知器を検索して火災発生場所を詳しく表示できるようにした火災報知システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器から発報信号を受信して警報する火災報知システムに於いて、受信機に設けられ、火災発報を検出した際に、発報回線に検索信号を送出して発報した火災感知器を検索する発報検索部と、火災感知器の各々に設けられ、火災発生による火災発報状態において発報検索部からの検索信号を判別した際に、発報電流より低い所定の電流に低下させ保持した検索応答信号を返送する検索応答部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このため発報感知器のアドレスを知りたい感知器回線につき本発明のアドレス検索機能を適用することで、回線の発報表示と同時に発報感知器のアドレスを検索して表示することができる。また感知器アドレスの検索表示は、感知器回線単位であり、1回線接続する火災感知器の数はそれほど多くないため、比較的簡単な伝送回路機能で安価に実現できる。
【0010】
本発明の火災報知システムの具体例として、火災感知器の検索応答部は、EEPROM等の不揮発性メモリを備え、不揮発性メモリの所定のアドレスに固有の感知器番号データを記憶し、検索信号に基づく感知器番号データの読出しで発報信号を変化させて検索応答信号を送出する。また受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に所定のアドレスの指定により複数の感知器から各々異なる固有の感知器番号データの並列的な読出しで検索応答動作を行わせる。
【0011】
このように火災感知器側には、CPUを必要とせず、EEPROM等の不揮発性メモリとそのインタフェース回路を受けるという簡単な構成で発報感知器のアドレスを検索して表示することができ、R型の伝送機能を備えた火災感知器に比べて大幅なコントダウンが実現でき、アドレッサブルなP型火災報知システムとしての普及を促進できる。
【0012】
更に、本発明は、火災感知器の遠隔試験を可能とするため、受信機に火災感知器に試験信号を送って遠隔試験を行う遠隔試験部を設け、火災感知器の各々に、試験信号に基づいて擬似的な試験発報動作を行う試験回路部を設けるようにしてもよい。
【0013】
この遠隔試験機能において、複数の火災感知器の試験回路部は、不揮発性メモリの所定アドレスに記憶した感知器番号データの読出しで動作する遠隔試験機能を備える。
【0014】
また受信機の遠隔試験部は、試験開始時に、所定アドレスの指定による複数の火災感知器からの各々異なる固有の感知器番号データの並列的な読出により感知器番号順に遠隔試験を行わせる試験制御部と、試験制御部により複数の火災感知器の試験動作が行われている時の感知器回線の状態に基づき、複数の火災感知器の全ての試験結果が正常と判断した場合、表示部に試験結果が正常であることを表示させ、複数の火災感知器の少なくとも1つで試験結果が異常であることを判定した場合は、表示部に試験結果が異常であることを表示させる試験結果判定部とを備える。
【0015】
一方、本発明の火災報知システムの別の形態として、受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に複数の火災検出器のアドレスを指定した検索信号を個別に出力して検索応答信号を受信し、火災感知器の検索応答部は、CPUを備え、自己アドレスに一致する検索信号を判別して発報の有無を示す検索応答信号を送出するようにしてもよい。
【0016】
また本発明の火災報知システムの別の形態として、受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に感知器回線に同じ検索信号を繰り返し出力すると共に検索応答信号を受信して感知器回線の手前側から奥側の火災感知器まで1つずつ検索を行い、火災感知器の検索応答部は、手前側の火災感知器から順番に送出検索信号を受信して火災発報の有無を示す検索応答信号を出力すると共に次の火災感知器に検索信号を供給可能な接続招待を形成するようにしてもよい。
【0017】
発報検索部は受信機から引き出された感知器回線の任意の回線に対して設けることができる。また発報検索部の検索機能を感知器回線の回線毎に有効無効を任意に設定できる。更に、火災感知器の検索応答部は同一回線上のいずれかの火災感知器が発報している間は2報以上の同時発報を禁止する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による火災報知システムの説明図である。図1において、受信機1からは感知器回線2a,2b,2c,2dが引き出され、それぞれ複数の火災感知器3を接続しており、終端には終端抵抗4を接続している。感知器回線に接続される火災感知器としては、例えば感知器回線2aについて示すように、光電式煙感知器3a、サーミスタ式熱感知器3b、差動式感知器3c、定温式感知器3d等の各種の火災感知器を接続することができる。
【0019】
これらの火災感知器3は、火災を検出したときに感知器回線を短絡させて受信機1に火災信号を送出するものである。
【0020】
受信機1には火災代表灯5、地区表示部6、操作部7及び音響出力部8が設けられる。また小扉9の内側には、保守点検用に使用する操作表示部10が設けられている。
【0021】
図2は図1の受信機1の機能構成を火災感知器3と共に示している。受信機1には受信機用MPU11が設けられ、受信機用MPU11に対しては操作部7、警報表示部13、地区表示部6、移報出力部14及びメモリ15が設けられている。
【0022】
また受信機用MPU11の感知器回線側には回線単位に検索回路部12−1,12−2,・・・12−mが設けられており、検索回路部12−1〜12−mのそれぞれより感知器回線L,Cが引き出され、この実施形態ではNo.1〜nのn台の火災感知器3を終端抵抗4と共に接続している。
【0023】
検索回路部12−1〜12−mは、検索回路部12−1に代表して示すように、電圧制御回路18、出力バッファ回路19及び電流検出回路20が設けられる。この検索回路部12−1〜12−mに対応して受信機用MPU11には、受信制御部16の機能に加え検索制御部17の機能が設けられている。この受信機1に設けた検索回路部12−1〜12−mと検索制御部17によって本発明における受信機側の発報検索部が構成される。
【0024】
受信機用MPU11に設けている受信制御部16は、回線単位に発報信号を検出して警報表示、即ち火災代表表示と地区表示(発報回線表示)を行う。この受信制御部16による発報回線の検出が行われると、検索制御部17が起動し、発報回線に設けている例えば検索回路部12−1を動作し、発報した感知器回線L,Cに接続している火災感知器3に対し検索信号を出力させる。
【0025】
この実施形態にあっては、後の説明で明らかにするように、火災感知器3側に発報応答を行うための回路部として、不揮発性メモリとしてのEEPROMとそのインタフェース回路が設けられており、検索回路部12−1は火災感知器3側のEEPROMの予め定めた所定アドレスを指定した読出動作を行って、各火災感知器に固有な感知器番号データの並列読出しを行わせ、発報感知器で感知器番号データが読み出されたタイミングで発報電流を保持電流に低下させ、この保持電流への低下を検索応答信号として電流検出回路20で検出して受信機用MPU11に出力する。
【0026】
検索回路部12−1に設けている電圧制御回路18は、火災感知器3側のEEPROMの読出動作に必要なクロック及びデータを電圧パルス信号に変換し、出力バッファ回路19を介して感知器回線L,C間に送出する。このため電圧制御回路18に対しては、受信機用MPU11より発報検出に基づくデータビット0信号及びデータビット1信号が加えられ、これに基づき感知器発報状態で、例えば通常時の24ボルトから10ボルトに電圧が低下している感知器回線L,C間に出力バッファ回路19を介して電圧モードで検索信号を送出する。
【0027】
図3は図2の火災感知器3の実施形態を示した回路ブロック図である。火災感知器3は感知器回線L,Cの接続端子に続いて、整流・ノイズ吸収回路21、発報回路22、電源回路34、信号処理回路24及び検出回路25を設けている。検出回路25は火災による煙や熱に応じた検出信号を信号処理回路24に出力する。
【0028】
信号処理回路24は検出信号が予め定めた火災判定の閾値を超えたときに発報回路22に火災信号を出力し、発報回路22のスイッチングにより感知器回線L,C間を低インピーダンスに短絡してラッチすることで発報電流を流し、発報信号を受信機側に送出する。
【0029】
信号処理回路24は検出回路25による煙や熱の検出に対応した信号処理を行う。例えば検出回路25が発光素子の間欠発光で煙による散乱光を検出する散乱光式煙検出回路の場合には、間欠発光で得られる火災検出信号の2カウントで発報回路22を動作してラッチすることで発報信号を送出する。またサーミスタ等の熱検出にあっては、コンパレータにより火災判断の閾値を超えたときに発報回路22を動作してラッチし、発報信号を出力する。
【0030】
このような火災感知器3の基本的に回路に加え本発明にあっては、受信機1側の発報検索機能に対応して検索応答部26を設けている。検索応答部26は線路電圧検出回路27、クロックデータ検出回路28、不揮発性メモリとしてのEEPROM30及び電流制限回路31で構成される。
【0031】
線路電圧検出回路27は、火災検出時の発報回路22の動作により発報電流を流した際の感知器回線L,Cの電圧が通常時の24ボルトから10ボルト以下となったことを検出して、信号処理回路24及びクロックデータ回路28に検出信号を出力する。
【0032】
線路電圧検出回路27からの検出信号を受けた信号処理回路24は信号処理動作をリセットし、発報回路22に対しこれ以上信号を送らないようにする。このため火災発報となっていない他の火災感知器において、線路電圧検出回路27からの検出信号による信号処理回路24のリセットで、検出回路25からの検出信号が火災レベルに達してもそれ以上の発報動作を禁止し、同一回線で2報以上の発報を禁止する。
【0033】
これは、2報以上の発報が行われると、感知器回線のL,Cの電圧が1報発報したときの電圧の10Vより低くなってしまい、電圧変動の信号送出による発報感知器の検索動作が不可能になるのを防ぐためである。
【0034】
またクロックデータ検出回路28は、線路電圧検出回路27より10ボルト以下となる線路電圧の検出信号を受けた際に、L−C間の電圧からクロックとデータを検出するためのL−C間の電圧の閾値を7ボルトと10ボルトに設定する。このため発報状態でクロックデータ検出回路28は、L−C間電圧が4〜7ボルトに変化するとクロックを検出し、7〜10ボルトに変化するとデータを検出する。
【0035】
このクロックデータ検出回路28による発報状態でのクロック及びデータの検出は、図4のタイミングチャートに示される。
【0036】
図4(A)のように、通常時のL−C間電圧は24ボルトとなっているが、いずれかの火災感知器が発報すると感知器回線を短絡するため、L−C間電圧は受信機の内部回路及び感知器側の内部インピーダンスで決まる10ボルトに低下する。この状態で受信機1側より電圧パルス信号によってクロックとデータを重畳した検索信号が送られ、火災感知器側にあっては4ボルトを規定値として7ボルトまたは10ボルトで変化する電圧パルスを受信する。
【0037】
このうち4〜7ボルトの電圧が図4(B)のクロックとして検出される。また7〜10ボルトの電圧が図4(C)のデータとして検出される。ここで受信機1のMPU11からの電圧制御回路18への「0」,「1」の信号送出により、L−C間電圧は、データは10ボルトがビット「0」、7ボルトがビット「1」となっている。
【0038】
図4(C)のデータは、ダミークロック「00」に続いてスタートビット「1」があり、続いて読出オペコード「10」となり、その後ろにEEPROM30内のアドレス38を指定するアドレスビットA5〜A0として「100110」を設けている。
【0039】
続いて32ビットの検索ポーリングの開始から終了までのタイミングを示すデータビットD31〜D0が設けられている。データビットD31〜D0には、感知器番号データに対応して32ビットデータの内の特定ビットを「1」とする火災感知器固有のデータが予め書き込まれている。例えば感知器番号No.1〜32に対応してデータビットD0〜D31を順番にビット「1」とした感知器番号データが格納されている。例えば感知器番号No.3の感知器番号データは、斜線部で示すデータビットD2を「1」とし、他のデータビットを全て「0」としたデータを記憶している。
【0040】
EEPROM30は、図4(B)のクロックに同期した図4(C)のデータの読出しで、データビットD31〜D0の順にクロックに同期してシリアルビット出力を生じ、感知器番号No.3の感知器ではデータビットD31〜D3まではビット「0」のシリアル出力であるが、データビットD2のタイミングにあってはビット「1」のシリアル出力となり、このビット「1」の出力によって図4(D)に示すように、発報電流を保持電流に低下させ、発報感知器の検索応答信号として受信機1側に送出する。
【0041】
具体的には、図3のEEPROM30からのデータビットD2に対応したビット「1」出力は電流制限回路31に供給され、このとき流れている30ミリアンペアの発報電流を電流制限回路31により1ミリアンペアの保持電流に制限する。この発報感知器応答電流として発報電流を保持電流に制限することに伴い、図4(A)のL−C間電圧は18ボルト付近に増加する電圧パルスとなる。
【0042】
図4に示したクロックとデータに基づくデータビットのアドレス38の指定によるEEPROM30の読出動作は、発報した感知器回線に接続している全ての火災感知器で同時に並行して一斉に行われている。
【0043】
そのうち発報した火災感知器は1つのみであることから、発報した火災感知器に格納されたアドレス38のデータビットD31〜D0の内のビット「1」のタイミング、図4においてはデータビットD2の読出タイミングで検索応答電流が流れ、これを図2の受信機1の電流検出回路20で検出してMPU11の検索制御部17に通知し、何番目のデータビットのカウントで検索応答電流が得られたかが分かり、これによって発報した火災感知器番号、即ち感知器アドレスを認識することができる。
【0044】
図5は図2の受信機1と図3に示した火災感知器3との間の火災監視処理のタイムチャートである。
【0045】
図5において、受信機1は、通常の監視状態で火災表示なし及びアドレス表示なしの状態にある。この状態で特定の感知器回線の特定の火災感知器3の設置場所でステップS101のように火災が発生したとすると、ステップS102で火災検出回路25の火災検出信号により信号処理回路24が発報回路22をラッチし、発報電流を感知器回線L−C間に流すことで発報信号を受信機1に送出する。この火災感知器3からの発報信号を受信機1が受信するとステップS2で火災代表表示灯の点灯及び発報した感知器回線の火災表示を行う。
【0046】
火災感知器3にあっては、ステップS102で発報回路22をラッチして発報信号を送出した後、ステップS103で発報電流を流したことによるL−C間の24Vから10Vへの電圧低下を線路電圧検出回路27で判断し、信号処理回路24をリセットして同一回線での2報以上の発報を禁止する。
【0047】
発報信号を受信した受信機1は、ステップS2の火災表示に続いて、ステップS3で検索制御部17により例えば発報回線に対応した検索回路部12−1の電圧制御回路18を動作し、発報した感知器回線に図4(A)に示す4〜10Vの電圧変動のビット「1」,「0」によるアドレス検索信号を送信する。
【0048】
火災感知器3は、ステップS104でクロックデータ検出回路28によりL−C間の線間電圧から図4(B)(C)のようにクロック及びデータを検出し、EEPROM30の読出動作を行う。本実施形態においてはEEPROM30のアドレス38に格納された32ビットのデータの読出動作を行う。この読出動作によって、ステップS105で自己アドレス、即ち自己の感知器番号データに対応したEEPROM30からのビット「1」のシリアル出力に同期して電流制限回路31を動作し、発報電流を保持電流まで低下させることで発報応答信号を受信機1に送出する。
【0049】
この火災感知器3からの発報応答信号(保持電流)が受信機1で検出されると、ステップS4で、発報電流の保持電流への変化と検索ポーリングを開始したデータビットD31からのカウント値により、発報した火災感知器のアドレスを認識して表示し、アドレス検索を終了する。
【0050】
この発報した感知器の表示方法としては、感知器のアドレスを表示しても良いし、予め受信機に感知器のアドレスと設置場所との対応リストを記憶させておき、受信機は設置場所を表示するようにしても良い。また、両方を表示させても良い。
【0051】
図6は本発明の火災報知システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては、回線発報時の感知器検索機能に加え遠隔試験機能を備えたことを特徴とする。
【0052】
図6において、受信機1は基本的に図2の実施形態と同じであるが、受信機用MPU11に新たに遠隔試験部32が設けられ、また操作部7には遠隔試験スイッチ38が設けられている。
【0053】
受信機1側の遠隔試験部32に対応して、各感知器回線の火災感知器3には遠隔試験機能が設けられる。火災感知器3の試験回路部は、EEPROM30のアドレス38に記憶した感知器番号データの読出しで動作する遠隔試験機能を備える。
【0054】
受信機用MPU11に設けた遠隔試験部32は、試験制御部の機能と試験結果判定部の機能を備える。試験制御部としての機能は、アドレス38の指定による複数の火災感知器3からの各々異なる感知器番号データの並列的(同時的)な読出しにより感知器番号順に遠隔試験を行わせる。
【0055】
また試験結果判定部としての機能は、試験制御部の機能により複数の火災感知器の試験動作が行われたときの感知器回線の状態に基づき、複数の火災感知器の全ての試験結果が正常と判断した場合、例えば警報表示部13の表示を利用して試験結果が正常であることを表示し、複数の火災感知器の少なくとも1つで試験結果が異常であることを判定した場合は試験結果が異常であることを表示する。
【0056】
図7は図6の発報検索及び遠隔試験に対応する回路機能を備えた火災感知器3の回路ブロック図である。
【0057】
図7において、整流・ノイズ吸収回路21、発報回路22、電源回路23、信号処理回路24及び検出回路25の感知器の基本回路は、図3の実施形態と同じである。また発報検索の応答機能を実現するための線路電圧検出回路27、クロックデータ検出回路28、EEPROM30、電流制限回路31も、図3の検索応答部26と回路構成は同じである。
【0058】
これに加え図7の実施形態にあっては、更に、機能切替スイッチ34、試験回路35、立下がり検出回路36及び復旧回路37を設け、発報検索応答機能と併せて検索応答・試験回路部33を構成している。
【0059】
通常の監視状態にあってはL−C間電圧は24ボルトであり、線路電圧検出回路27は通常時の線間電圧24ボルトを検出して火災感知器3を遠隔試験モードの待機状態としている。
【0060】
具体的には、L−C間電圧が15ボルト以上であることを検出して通常の火災のない状態と判断し、このときの線路電圧検出信号によってクロックデータ検出回路28のクロックとデータを検出するための閾値を高電圧側の18ボルトと21ボルトに設定している。
【0061】
これに対し火災発報によりL−C間電圧が10ボルト以下になると、10ボルト以下への低下を線路電圧検出回路27で検出し、このときの検出信号によってクロックデータ検出回路28のクロックとデータを検出するための閾値を低電圧側の10ボルトと7ボルトに切り替える。
【0062】
また通常状態で線路電圧検出回路27が15ボルト以上の線間電圧を検出したときの検出信号により、機能切替スイッチ34によってEEPROM30の出力を試験回路35及び立下がり検出回路36に接続している。これに対し火災発報で線間電圧が10ボルト以下に低下したことを線路電圧検出回路27で検出した場合には、機能切替スイッチ34を切り替えてEEPROM30の出力を電流制限回路31に接続する。
【0063】
EEPROM30は、遠隔試験の際に受信機1側より送出される試験信号としての電圧パルス信号に基づき、クロックデータ検出回路28で得られたクロック及びデータの供給を受けてアドレス38の読出動作を行い、自己アドレスに対応した感知器番号データのビット「1」のシリアル出力を機能切替スイッチ34を介して試験回路35に供給することで試験動作を行わせる。
【0064】
試験回路35はEEPROM30からの感知器番号に対応したデータビット「1」の出力を受けると、まず検出回路25に設けている検出素子の断線をチェックし、検出素子が正常な場合には検出回路25を強制的に作動させて試験発報させる。
【0065】
このとき試験回路35は信号処理回路24を試験モード状態に制御しており、検出回路25の試験発報による検出信号をそのまま発報回路22に出力して起動ラッチさせ、瞬時的に試験発報による発報信号が送出できるようにする。
【0066】
つまり、例えば光電式煙感知器の場合は、通常監視時は検出回路25からの検出信号を2回受信した場合に発報回路22を作動させるが、試験回路35からの試験信号がある場合は、検出回路25からの1回の検出信号で発報回路22を作動させる。
【0067】
立下がり検出回路36はEEPROM30からの感知器番号データに対応したビット「1」の出力の立下がりを検出し、この立下がりのタイミングで復旧回路37を動作して発報回路22のラッチを解除することで、試験発報を解除する。
【0068】
したがって試験発報による発報電流は、EEPROM30から出力される感知器番号データに対応したデータビット「1」を出力している間、具体的にはクロックパルスの立ち上がっている時間だけ流れる。
【0069】
図8は図7の火災感知器3における遠隔試験時のタイミングチャートである。遠隔試験時にあっては、図8(A)のようにL−C間電圧は24ボルトであり、試験信号として受信機1側より15ボルト,18ボルト,24ボルトで変化する電圧パルスが送られてくる。
【0070】
具体的には受信機1のMPU11から電圧制御回路18にビット「1」が出力された場合は24Vと15Vの電圧変動のパルスを感知器回線に出力し、ビット「0」の場合は18Vと15Vの変動パルスを出力する。
【0071】
このL−C間電圧について、クロックデータ検出回路28は閾値電圧18ボルトと24ボルトの設定により、図8(B)のように15〜18ボルトの電圧変化でクロックを検出し、図8(C)のように18〜21ボルトの電圧変化でデータを検出する。
【0072】
図8(C)のデータにあっては、ダミークロック「00」、スタートビット「1」、読出オペコード「10」、アドレス38を示すアドレスビットA5〜A0として「100110」、更に順番に火災感知器の試験動作を指示するデータビットD31〜D0を出力している。
【0073】
図8(D)(E)(F)は、3番感知器、2番感知器及び1番感知器の試験発報の応答電流である。ここで3番感知器にあってはEEPROM30のアドレス38のデータビットD2にビット「1」を書き込んでおり、2番感知器にあってはデータビットD1にビット「1」を書き込んでおり、更に1番感知器にあってはデータビットD0にビット「1」を書き込んでいる。
【0074】
このため3番感知器、2番感知器、1番感知器の各EEPROM30は、クロック及びデータによって並列的にデータビットD31〜D0の順番に読出動作を行う。1〜3番感知器のアドレス38に格納されているデータはデータビットD31〜D3まではビット「0」であるから、データビットD31〜D3の読出タイミングでは3つの感知器は何も出力しない。
【0075】
そして、データビットD2の読出タイミングで図8(D)の3番感知器のEEPROM30からビット「1」の出力により試験回路35が動作して試験発報が行われ、火災感知器の機能が正常であれば30ミリアンペアに立ち上がる試験発報の応答電流を送出する。
【0076】
次のデータビットD1の読出タイミングでは図8(E)の2番感知器の試験発報がEEPROM30からのビット「1」の出力で行われるが、このとき2番感知器に異常があれば試験発報の応答電流は出力されない。続いて図8(F)の1番感知器の試験発報がEEPROM30のデータビットD0のビット「1」の出力で行われ、試験発報が正常に行われることから応答電流を送出することになる。よって受信機は試験発報による応答電流を受信することで感知器が正常であることが判り、応答電流を受信しなかった場合は、そのデータビットが設定された感知器が異常であることが判る。
【0077】
図9は図6の受信機と図7の火災感知器における火災監視処理のタイムチャートである。このタイムチャートにおける火災発報時の発報感知器の検索処理は、基本的には図5に示した実施形態と同じであるが、図7の火災感知器にあっては火災検索モードと遠隔試験モードを切り替えることから、このモード切替えが新たに加わっている。
【0078】
図9において、受信機1は、ステップS1で通常の監視状態にある。この状態で火災感知器3でステップS101のように火災が発生し、ステップS102で火災発報となり発報信号を送出する。この発報信号を受けて受信機1は、ステップS2で火災代表表示等の火災表示を行う。
【0079】
火災発報を行った火災感知器3にあっては、次のステップS103で線路電圧検出回路27による発報時の線路電圧の低下を判断し、信号処理回路24のリセットで同一回線の2報以上の発報禁止を行う。同時にステップS104でクロックデータ検出回路28の閾値を低電圧側の7ボルトと10ボルトに切り替える。更にステップS105でEEPROM30の出力を機能切替スイッチ34の制御で電流制限回路31に接続するように切り替える。
【0080】
ステップS2で火災表示を行った受信機1は、ステップS3で図4(A)に示すように発報感知器のアドレス検索のためのアドレス検索信号を発報した感知器回線に送出する。このアドレス検索信号を受けて火災感知器3側にあっては、ステップS106で線間電圧からクロックとデータをクロックデータ検出回路28により検出し、EEPROM30に供給して読出動作を行う。
【0081】
この読出動作により、ステップS107で自己アドレス、即ち感知器番号データに対応するデータビット「1」の出力に同期して電流制限回路31を動作し、30ミリアンペアの発報電流を1ミリアンペアの保持電流に制限することで、発報感知器の検索応答を受信機1に対し行う。
【0082】
この発報電流の保持電流への低下を受信機1はステップS4で検出し、そのときの検索ポーリングのカウント値により、発報した感知器のアドレスを認識してアドレス番号や感知器が設置されている場所名を表示する。
【0083】
図10は図6の受信機と図7の火災感知器における遠隔試験動作のタイムチャートである。
【0084】
図10において、受信機1は、ステップS1で遠隔試験スイッチ38の操作等により遠隔試験を開始する。この遠隔試験にあっては、1回線の感知器数nと回線数mが予め設定されている。続いてステップS2で回線番号jをj=0に初期化し、ステップS3でL−C間電圧が15ボルト以上か否かチェックする。
【0085】
もし、いずれかの火災感知器で火災発報であればL−C間電圧は10ボルト以下にあり、この場合には火災処理に進む。線間電圧が15ボルト以上であればステップS4に進み、図8(A)に示すように火災感知器3側のEEPROM30のアドレス38のデータ読出動作を行うための試験信号を電圧パルスによって火災感知器3側に送出する。
【0086】
一方、火災感知器3にあっては、試験前の通常監視時にはステップS101のようにL−C間電圧15ボルト以上の検出によりクロックデータ検出回路28の閾値を高電圧側の18ボルトと21ボルトに設定し、またステップS102でEEPROM30の出力を試験回路35と立下がり検出回路36に接続するように機能切替スイッチ34を制御している。
【0087】
この状態で受信機1より試験信号を受信すると、ステップS103で図8(B),(C)に示すようにクロックデータ検出回路28によりデータとクロックに分けてEEPROM30に供給し、アドレス38のデータ読出動作を行う。
【0088】
この読出動作によりステップS104で、自己アドレス即ち感知器番号データに対応したデータビット「1」の出力で試験回路35を動作し、まず検出回路25の検出素子の断線をチェックした後に、正常であれば検出回路25を強制的に動作して火災検出時と同じ検出状態を擬似的に作り出し、ステップS105で試験回路35の試験信号により試験モード状態となっている信号状態回路24を経由して検出回路25の検出信号を発報回路22に出力し、起動ラッチをかける。
【0089】
このため受信機1に対し試験発報による発報電流が流れる。続いて火災感知器3は、ステップS106でEEPROM30からのデータビット「1」のパルス信号の立下がりを立下がり検出回路36で検出して復旧回路37を動作し、発報回路22のラッチを解除することで試験による発報電流を停止する。
【0090】
受信機1はステップS6で試験発報をチェックしており、発報電流に基づいて試験発報を検出すると、ステップS8で感知器番号iを1つカウントアップし、ステップS9で感知器番号iが1回線の感知器数nに達していなければ、ステップS6に戻り、次の試験発報を待つ。ステップS6で試験発報がなかった場合には、ステップS7で異常感知器としてのアドレスをラッチする。
【0091】
ステップS9で感知器番号が1回線の感知器数nに達すると、ステップS10に進み、次の回線に切り替え、ステップS11で回線番号jを1つアップし、ステップS12で回線数mに達していなければステップS3に戻り、次の感知器回線について同様な遠隔試験を繰り返す。ステップS12で回線番号jが回線数mに達すると、ステップS13に進み、試験結果を表示する。
【0092】
なお、先に試験を行う感知器回線を指定して、1回線の試験を行うようにしても良い。また、異常の感知器があった場合には異常感知器のアドレスを表示すると良い。
【0093】
図11は本発明の火災報知システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては、既存のP型の火災報知設備に本発明による発報感知器の検索機能及び遠隔試験機能を備えたユニットを、必要とする感知器回線に対応して設けるようにしたことを特徴とする。
【0094】
図11において、受信機1はP型の受信機であり、感知器回線2a〜2hの例えば8回線が引き出されている。このうち感知器回線2e〜2hについては、本発明による発報検索及び遠隔試験の機能は持たない通常の火災感知器60を接続している。この通常の火災感知器60には例えば感知器回線2eに代表して示すように、光電式煙感知器60a、差動式感知器60b、定温式感知器60c等が含まれる。
【0095】
これに対し感知器回線2a〜2dの4回線については、本発明による発報検索及び遠隔試験の機能を持たせる。このため、受信機1側に検索試験ユニット40を追加し、感知器回線2a〜2dには本発明の発報検索及び遠隔試験に対応した機能を備えた火災感知器3を接続している。
【0096】
この火災感知器3のうち感知器回線2aに示すように、具体的な感知器としては光電式煙感知器3a、サーミスタ式熱感知器3b、差動式熱感知器3d及び定温式熱感知器3dが使用される。
【0097】
図12は図11の受信機1及び検索試験ユニット40の機能構成のブロック図である。受信機1は通常のP型の受信機であり、受信制御部16を備えた受信機用MPU11に対し、操作部7、警報表示部13、地区表示部6、移報出力部14及びメモリ15を接続しており、更に感知器回線側にはn回線を引き出すことのできる回線ユニット41を設けている。
【0098】
受信機1の回線ユニット41から引き出された感知器回線に対応して検索試験ユニット40が設けられる。検索試験ユニット40は、感知器回線に対応した数の検索回路部12−1,12−2,・・・12−4と、インタフェース用MPU42を備える。
【0099】
検索回路部12−1〜12−4は、検索回路部12−1に示すように電圧制御回路18、出力バッファ回路19及び電流検出回路20で構成され、これは図2及び図6の実施形態と同じである。
【0100】
インタフェース用MPU42には検索制御部17と遠隔試験部32が設けられ、更に操作部43と表示部44が設けられている。操作部43には遠隔試験スイッチが設けられる。また表示部44には発報検索結果としての感知器アドレスの表示機能と試験結果の表示機能が設けられる。
【0101】
インタフェース用MPU42に設けた検索制御部17は、図2及び図6の受信機用MPU11に設けている検索制御部17と同じであり、発報感知器の検索機能を有する。また遠隔試験部32は、図6の受信機用MPU11に設けている遠隔試験部32と同じ機能を有する。感知器回線L,Cに接続している火災感知器3は、図7に示した検索応答機能及び試験回路機能を備えた感知器が使用される。
【0102】
図13は感知器回線2aに示す差動式熱感知器3c及び定温式熱感知器3dの内部構成を示す図であり、感知器回線を感知器に接続するベース部3h及び火災の検出するセンサ部3iからなる。センサ部3iは感知器回線2eに接続された差動式熱感知器60b及び定温式熱感知器60cに示すような本発明の発報検索及び遠隔試験に対応する機能を有しない感知器と同様のもので、例えば火災の熱の検出で機構的に接点を閉じてセンサ部の端子L1とC1を短絡させるセンサ58を備えるものである。
【0103】
そして、本発明の発報検索及び遠隔試験に対応する機能はベース部に備えている。ベース部3hに備えた発報検索及び遠隔試験に対応する構成は、図7に示す構成と殆ど同じセンサ部構成であるが、センサ58の発報で端子L1−C1間の短絡を監視する受信回路39を備え、センサ部3iが発報したときに受信回路39が火災信号を出力し信号処理回路24を介して発報回路22を駆動し感知器回線L−C間を短絡させる。
【0104】
発報検索時の動作は他の感知器3と同じである。遠隔試験時は試験回路35が受信回路39を駆動し強制的に火災信号を信号処理回路24に出力させる。その後の動作は他の感知器3と同様である。このような図13の火災感知器の構成は、図1や以降の火災報知システムの実施形態の火災感知器にも適用できる。
【0105】
この図12の実施形態にあっては、火災発報時の感知器の発報検索及び通常時に行う遠隔試験は、追加ユニットとして設けた検索試験ユニット40で行われる点が相違し、それ以外は図6の場合と同じである。またインタフェース用MPU42の遠隔試験部32にあっては、遠隔試験時に受信機用MPU11に試験信号を出力し、受信機1における発報受信動作を禁止する。
【0106】
なお、遠隔試験ユニット40は1回線分のみ接続できるものでも良く、必要な回線毎に回線ユニット41を設けるようにしても良い。また、遠隔試験ユニット40は複数回線分接続できるようにし、接続されている感知器回線毎に検索回路部12の機能を有効にするか無効にするかの切換設定ができるようにしても良い。
【0107】
図14は本発明の火災報知システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては、受信機で回線発報を受信した際に各火災感知器のアドレスを指定して発報検索を行うようにしたことを特徴とする。
【0108】
図14(A)は火災報知システムのシステム構成であり、受信機1から引き出された感知器回線L,C間に複数の火災感知器3A−1〜3A−nを接続し、終端に終端抵抗4を接続している。火災感知器3A−1〜3A−nは火災による熱または煙を検出した際に、感知器回線L,C間を低インピーダンスに短絡して発報電流を流し、この発報電流を受信機1で検出して警報表示を行う。
【0109】
受信機1には受信機ユニット45とアドレス検索ユニット46が設けられている。また火災感知器3A−1〜3A−nのそれぞれには検索応答回路部47が設けられ、検索応答回路部47としては、この実施形態にあってはCPUを含む制御回路を使用している。
【0110】
アドレス検索ユニット46は受信機ユニット45で火災感知器の発報を受信した際に動作し、図14(B)に示す検索信号48を感知器回線L,C間に送出する。この検索信号48として、アドレス検索ユニット46は、まず準備信号を送出して火災感知器3A−1〜3A−nに検索開始を認識させる。
【0111】
続いて検索信号の先頭を示すヘッダ信号、発報したことの検索応答の内容を示す専用コード信号、各火災感知器を個別に指定するアドレス信号、検索信号の最後を示すフッタ信号を1つの検索信号として、予め判明している感知器回線L,C間に接続している感知器数に対応して順次アドレスを変えながら送出し、最後に伝送終了を示すエンド信号を送出する。
【0112】
このようにアドレス検索ユニット46からの検索信号が伝送されている間、各火災感知器3A−1〜3A−nの検索応答回路部47は、検索信号の中のアドレス信号が自己のアドレスと一致するか否か判断しており、アドレス一致が得られた時に制御コード信号で指定された発報状態の有無の検出をフッタ信号のタイミングで行う。
【0113】
続いて火災感知器3A−1〜3A−nの中のアドレス一致が得られた火災感知器は、受信機1のアドレス検索ユニット46に対し発報応答信号49を送出する。発報応答信号49は、先頭を示すヘッダ信号、発報応答の内容を示す応答コード信号及び最後を示すフッタ信号で構成される。
【0114】
応答コード信号は、発報状態にあるときに自己アドレスを応答し、発報状態にないときにはアドレスの部分を空白とする。また感知器回線L,Cに接続している最終アドレスの火災感知器3A−nにあっては、応答コード信号の中に最終アドレスであることを示す信号を含ませる。
【0115】
この最終アドレスを示す応答コード信号は、発報応答にない場合の空白信号については逆転したオール1の信号とし、また発報状態にある場合の応答については自己アドレスを反転した信号とする。この空白反転信号もしくは自己アドレスの反転信号を受信したアドレス検索ユニット46は、その時点で検索信号48の送出を中止し、エンド信号を送出する。
【0116】
この図14の実施形態にあっても、感知器回線L,C間に接続している火災感知器3A−1〜3A−nのいずれかで火災発報があると、受信機ユニット45で発報受信に基づく火災警報表示を行うと同時に、アドレス検索ユニット46が火災感知器3A−1〜3A−nのアドレスを順次指定した発報検索を行い、この場合に発報感知器から自己アドレスを含む検索応答信号が得られることから、検索応答信号に含まれるアドレスを認識して発報感知器のアドレス表示を行うことができる。
【0117】
図15は本発明の火災報知システムの他の実施形態であり、この実施形態にあっては受信機側の手前に位置する火災感知器から奥の火災感知器に対し順番に発報検索を行っていくようにしたことを特徴とする。
【0118】
図15(A)は火災報知システムの実施形態であり、受信機1から引き出された感知器回線L,C間に火災感知器3B−1〜3B−nを接続し、終端には終端抵抗4を接続している。受信機1には受信機ユニット50とアドレス検索ユニット51が設けられる。火災感知器3B−1〜3B−nには検索応答回路部52が設けられる。
【0119】
図15(B)は火災感知器3B−1の回路構成である。尚、火災感知器3B−2〜3B−nも同じ回路構成を持つ。火災感知器3B−1は、受信機1側の接続端子L1,C1と終端抵抗側の接続端子L2,C2を有し、その間に発報回路53、検索パルス検出回路54及びローパスフィルタ55を設けている。また端子L1,L2を結ぶラインの発報回路53とローパスフィルタ55側の間には、ダイオードD1を受信機1側から終端抵抗4側に向けて接続している。
【0120】
発報回路53は火災による煙や熱を検出すると、端子L1,C1間を低インピーダンスに短絡し、受信機1に対し発報電流を流し、受信機ユニット50で火災警報表示を行わせる。受信機ユニット50で発報受信が行われるとアドレス検索ユニット51が起動し、感知器回線L,C間に図15(C)に示すような検索パルス信号56−1,56−2,・・・56−nを順次送信してくる。
【0121】
この検索パルス信号56−1〜56−nのそれぞれは複数の短パルスを連続した同じ信号であり、図15(B)の火災感知器3B−1に設けているローパスフィルタ55で吸収され易くしている。
【0122】
ローパスフィルタ55は通常状態にあっては、例えば直列RCフィルタ回路のコンデンサに並列接続したトランジスタをオフとすることでフィルタ機能を有効としている。このためアドレス検索ユニット51から送出された最初の検索パルス信号56−1は、1番目の火災感知器3B−1に設けているローパスフィルタ55で吸収され、それ以降に接続している火災感知器3B−2〜3B−nには供給されない。
【0123】
1番目の火災感知器3B−1の検索パルス検出回路54は最初に送出された検索パルス信号56−1を検出し、このとき発報回路53が発報状態になければ、一定時間幅を持った検索応答信号57−1を送出する。これに対し発報回路53がもし発報状態にあった場合には、その発報電流を例えば保持電流に制限した発報応答信号を送出する。
【0124】
ここで図15(C)の信号パルスが電圧パルスであったとすると、発報状態にある発報回路53の発報電流から保持電流への制限により、破線の検索応答信号57−1´のように感知器回線L−C間の電圧が上昇し、これによってアドレス検索ユニット51は1番目の火災感知器3B−1が発報感知器であることを認識し、発報した感知器のアドレスを表示することができる。
【0125】
また検索パルス検出回路54は最初の検索パルス56−1を検索すると、ローパスフィルタ55のコンデンサに並列接続しているトランジスタをオンし、これによってローパスフィルタ55のフィルタ機能をカットする。
【0126】
このため、次にアドレス検索ユニット51から出力される検索パルス信号56−2は、検索が済んだ火災感知器3B−1を通って次の火災感知器3B−2に供給され、1番目の火災感知器3B−1と同様な検索パルスの検出に基づく検索応答及びローパスフィルタ55のカットオフ処理が行われる。
【0127】
最後の火災感知器3B−nに検索パルス56−nが送出されると、検索パルス検出回路54は、発報回路53の駆動により発報状態にない場合には2つのパルスを続けた検索応答信号57−nを送出し、これによってアドレス検索ユニット51は最後の感知器であることを認識して検索パルス信号の送出を停止する。
【0128】
また最後の火災感知器3B−nが発報感知器であった場合には、先頭の火災感知器の発報状態での検索応答信号57−1´と同様、発報電流を2回保持電流に制限することで線間電圧が2回増加する検索応答信号を返すことになる。
【0129】
このように図15の実施形態にあっても、回線発報を受信した際にアドレス検索ユニット51は、先頭の火災感知器3B−1から最後の火災感知器3B−nまで順番に発報検索を行い、発報した感知器アドレスを認識して表示することができる。
【0130】
なお、感知器回線に接続されている火災感知器の数は施工時に判っているので、火災受信機1に感知器回線毎の感知器接続数を記憶させておけば、受信機は接続数分の検索パルス信号を出力すれば良く、最後の感知器に最終感知器であることの設定が必要なくなる。
【0131】
ここで図14及び図15の実施形態にあっては、回線発報時の火災感知器のアドレス検索を例にとるものであったが、これに加え図6や図12の実施形態に示したと同様、遠隔試験機能を設けるようにしてもよい。
【0132】
遠隔試験のための火災感知器3A−1〜3A−n、及び火災感知器3B−1〜3B−nの回路構成は、基本的に発報感知器の検索応答の場合と同じ回路を使用でき、アドレス検索ユニット46,51から検索信号と同じ試験信号を送信する。
【0133】
アドレス検索ユニット46,51から試験信号を受信した火災感知器3側は、疑似的な試験発報を行い、図14の実施形態の場合には、応答コード信号に正常であれば自己アドレスを含ませ、正常でなければ空白のアドレスとする。
【0134】
また図15の実施形態にあっては、試験結果が正常であれば応答信号57−1〜57−nと同じ信号を返し、異常であれば応答信号を返さないようにすればよい。
【0135】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0136】
また、上記実施形態において、感知器回線毎にアドレス検索機能を有効にするか無効にするかを任意に切換設定できるようにすれば、必要な感知器回線にのみアドレス検索機能を有効にして火災時にアドレス検索させても良い。
【0137】
また、図1〜図13の実施形態において、1つの感知器回線に接続される火災感知器の接続数がEEPROMのデータビット数の32以上の場合は、全ての感知器をアドレス38で識別することができないから、33個目以降の感知器はEEPROM内の他のアドレス、例えばアドレス39内に固有のアドレスを記憶させても良い。
【0138】
この場合、受信機が火災を検出すると、受信機は各感知器にアドレス38の読み出しによる検索信号と、アドレス39の読み出しによる検索信号の送出を行う。試験時も同様にアドレス38,39の読み出しによる試験信号を送出する。
【0139】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、基本的なシステムは回線単位に火災監視を行う所謂P型の火災報知システムであっても、全ての感知器回線もしくは必要な感知器回線について、発報した火災感知器のアドレスを検索して表示することができ、回線単位の火災監視に加えて感知器回線内の火災発報があった感知器が表示でき、より適切な避難誘導や火災対処処理ができる。
【0140】
また感知器回線単位の火災監視を基本とすることから、1回線に接続する火災感知器の数はそれほど多くなく、また感知器回線の線路長も比較的短いため、発報した火災感知器のアドレス検索のための受信機側及び火災感知器側の回路を比較的簡単な伝送回路機能と規模で実現でき、アドレス検索機能が付加されても設備全体としてのコストを大幅に低減することができる。
【0141】
更に、発報した火災の検索アドレス機能を火災に対する危険度の高い場所や重要な設備機器を設置する場所の感知器回線について適用することができるため、回線単位の火災監視と感知器アドレスを認識する火災監視を複合した適切な火災報知システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発報検索機能を備えた本発明の火災報知システムの説明図
【図2】図1の受信機機能のブロック図
【図3】図1の火災感知器の回路ブロック図
【図4】図3の火災感知器におけるEEPROMの読出しによる検索応答動作のタイミングチャート
【図5】図2の受信機と図3の火災感知器による火災監視処理のタイムチャート
【図6】発報検索機能および遠隔試験機能を備えた発明の火災報知システムのブロック図
【図7】図6の火災感知器の回路ブロック図
【図8】図7の火災感知器におけるEEPROMの読出しによる試験動作のタイミングチャート
【図9】図6の受信機と図7の火災感知器による火災監視処理のタイムチャート
【図10】図6の受信機と図7の火災感知器による遠隔試験処理のタイムチャート
【図11】本発明による発報検索と遠隔試験の機能を追加ユニットで受信機に設けた実施形態の説明図
【図12】図11の実施形態の機能ブロック図
【図13】図12の実施形態の火災感知器3c,3dの回路ブロック図
【図14】火災感知器にCPUを搭載して発報を検索する本発明の実施形態の説明図
【図15】同じ検索信号を繰り返し送出して発報感知器を検索する本発明の他の実施形態の説明図
【符号の説明】
1:受信機
2,2a〜2g:感知器回線
3,3A,3B:火災感知器
3a:光電式煙感知器
3b:サーミスタ式熱感知器
3c:差動式感知器
3d:定温式感知器
4:終端抵抗
5:火災代表灯
6:地区表示部
7:操作部
8:音響出力部
9:操作表示部(保守点検用)
10:子扉
11:受信機用MPU
12−1〜12−m:検索回路部
13:警報表示部
14:移報出力部
15:メモリ
16:受信制御部
17:検索制御部
18:電圧制御回路
19:出力バッファ回路
20:電流検出回路
21:整流・ノイズ吸収回路
22:発報回路
23:電源回路
24:信号処理回路
25:検出回路
26:検索応答部
27:線路電圧検出回路
28:クロックデータ検出回路
30:EEPROM(不揮発性メモリ)
31:電流制限回路
32:遠隔試験部
33:検索応答・試験回路部
34:機能切替スイッチ
35:試験回路
36:立下り回路
37:復旧回路
38:遠隔試験スイッチ
40:検索試験ユニット
42:インタフェース用MPU
43:操作部
44:表示部
45,50:受信機ユニット
46,51:アドレス検索ユニット
47,52:検索応答回路部
53:発報回路
54:試験パルス検出回路
55:ローフィルタ
Claims (9)
- 受信機から引き出された感知器回線に複数の火災感知器を接続し、回線単位に火災感知器からの発報信号を受信して警報する火災報知システムに於いて、
前記受信機側に設けられ、火災発報を検出した際に、発報回線に検索信号を送出して発報した火災感知器を検索する発報検索部と、
前記火災感知器の各々に設けられ、火災発生による火災発報状態において前記発報検索部からの検索信号を判別した際に、発報電流より低い所定の電流に低下させ保持した検索応答信号を返送する検索応答部と、
を備えたことを特徴とする火災報知システム。 - 請求項1記載の火災報知システムに於いて、
前記火災感知器の検索応答部は、EEPROM等の不揮発性メモリを備え、該不揮発性メモリの所定のアドレスに固有の感知器番号データを記憶し、前記検索信号に基づく感知器番号データの読出しで発報信号を変化させて検索応答信号を送出し、
前記受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に前記所定のアドレスの指定により複数の感知器から各々異なる固有の感知器番号データの並列的な読出しで検索応答動作を行わせることを特徴とする火災報知システム - 請求項2記載の火災報知システムに於いて、前記受信機に火災感知器に試験信号を送って遠隔試験を行う遠隔試験部を設け、前記火災感知器の各々に、前記試験信号に基づいて擬似的な試験発報動作を行う試験回路部を設けたことを特徴とする火災報知システム。
- 請求項2記載の火災報知システムに於いて、
前記複数の火災感知器の試験回路部は、前記不揮発性メモリの所定アドレス
に記憶した感知器番号データの読出しで動作する遠隔試験機能を備え、
前記受信機の遠隔試験部は、
試験開始時に、前記所定アドレスの指定による複数の火災感知器からの各々異なる固有の感知器番号データの並列的な読出により感知器番号順に遠隔試験を行わせる試験制御部と、
前記試験制御部により前記複数の火災感知器の試験動作が行われている時の前記感知器回線の状態に基づき、前記複数の火災感知器の全ての試験結果が正常と判断した場合、表示部に試験結果が正常であることを表示させ、前記複数の火災感知器の少なくとも1つで試験結果が異常であることを判定した場合は、前記表示部に試験結果が異常であることを表示させる試験結果判定部と、
を備えたことを特徴とする火災報知システムの遠隔試験器。 - 請求項1記載の火災報知システムに於いて、
前記受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に複数の火災検出器のアドレスを指定した検索信号を個別に出力して検索応答信号を受信し、
前記火災感知器の検索応答部は、CPUを備え、自己アドレスに一致する検索信号を判別して発報の有無を示す検索応答信号を送出することを特徴とする火災報知システム - 請求項1記載の火災報知システムに於いて、
前記受信機の発報検索部は、火災発報の検出時に感知器回線に同じ検索信号を繰り返し出力すると共に検索応答信号を受信して感知器回線の手前側から奥側の火災感知器まで1つずつ検索を行い、
前記火災感知器の検索応答部は、手前側の火災感知器から順番に感知器回線に送出される前記検索信号を受信して火災発報の有無を示す検索応答信号を送出すると共に、次の火災感知器に前記検索信号を供給可能な接続状態を形成することを特徴とする火災報知システム。 - 請求項1記載の火災報知システムにおいて、前記発報検索部は受信機から引き出された感知器回線の任意の回線に対して設けたことを特徴とする火災報知システム。
- 請求項1記載の火災報知システムにおいて、前記発報検索部の検索機能を感知器回線の回線毎に有効無効を任意に設定できることを特徴とする火災報知システム。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の火災報知システムにおいて、前記火災感知器の検索応答部は同一回線上のいずれかの火災感知器が発報している間は2報以上の同時発報を禁止することを特徴とする火災報知システム。
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