JP2005241157A - 発泡体ダクト - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で断熱性に勝れた結露が生じ難い発泡体ダクトを提供する。
【解決手段】発泡体ダクト1は、発泡剤として超臨界流体を添加した発泡ブロー成形によって成形されたもので、中央部1aの両端にそれぞれ連設された一端側屈曲部1bおよび他端側屈曲部1cからなる三次元的に屈曲する屈曲部を有する。発泡体ダクトの外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内である。加えて、発泡セル径の小さい発泡セルが薄肉部を含めて均一に分布するとともに発泡倍率が大きく、軽量で断熱性に勝れている。これにより、自動車等の空調装置等に用いた場合、結露量が著しく低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軽量で断熱性に勝れた発泡体ダクトに関するものである。
自動車の空調装置等に用いられる軽量で断熱性を有する発泡体ダクトの従来例について説明する。
特許文献1に開示された発泡体ダクトは、ポリオレフィン系樹脂に対して発泡剤として物理発泡剤を添加した発泡ブロー成形によって成形されたものであって、物理発泡剤には、炭酸ガス、窒素ガス、空気等の無機系物理発泡剤や、プロパン、フロン、ブタン等の有機系物理発泡剤を用いている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に開示された発泡体ダクトは、断熱性が不充分であるばかりでなく表面粗さも大きい。そのため、空調装置の冷却媒体の流路に用いた場合、外表面に結露が生じ易く、冷却媒体の流動抵抗も大きい。
また、発泡体ダクトの最小肉厚が0.5mmより薄い場合、発泡ブロー成形時にこの最小肉厚の部分にピンホールが発生して発泡ブロー成形ができなくなるため、発泡体ダクトの肉厚を全体的に厚くする必要があり、軽量化に限界がある。
特許文献2に開示された発明は、ABSの表面品質について、ブロー成形での表面不良に起因して、外観性能が劣化する問題を解決すべき課題としている。
外観改善のために、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル酸化防止剤等、防止剤を添加している。しかし、実施例においても表面粗さの平均値は1〜3μmと非常に小さく、発泡ブロー成形における気泡に起因する表面粗さ(平均値が45μm)の記載はない。また、ABSは、成形温度が高温(270℃)であるために、酸化防止剤を配合して樹脂の劣化を防止するものであり、PPについての記載はない。PPは成形温度が200℃とABSに比べ低いので、樹脂の劣化による表面品質の悪化は問題にならない。
特許文献3には、超微孔質発泡材料については、発泡剤として超臨界状態にある二酸化炭素を発泡すべき材料に供給して超微孔質発泡材料を製造することが記載されている。しかし、平均気泡径が2μm未満(気泡の9乗個/材料cm3 、全容積の20〜90%が気孔画分)と小さく、もっと気泡径の大きい100〜500μmを製造することについては、記載されていない。また、発泡ブロー成形についても記載されていない。
特許文献4には、微孔性フォームの押し出しについて、超臨界状態の発泡剤と核剤を発泡すべき材料に供給することで、平均気泡径が50〜100μmの製品が得られる旨記載されている。
しかし、発泡すべき材料のメルトテンションの決定と、平均気泡径が100μm以上の記載はない。
特許文献5には、発泡ブロー用ポリプロピレンに関し、樹脂の230℃におけるメルトテンションが0.049N以上で、発泡倍率が3以上の発泡ブロー成形品および製造方法が開示されている。
しかし、樹脂の230℃でのメルトテンションが0.029〜0.049Nであり、超臨界状態の発泡剤と核剤を配合した発泡ブロー製品の記載はない。
特開平10−181334号公報 特開平7−32454号公報 特許第2625576号公報 特表2001−527106号公報 WO99/28111号公報
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、軽量で断熱性に勝れた結露が生じ難い発泡体ダクトを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の発泡体ダクトは、熱可塑性樹脂に発泡剤として超臨界流体を添加した発泡ブロー成形によって成形された発泡体ダクトであって、前記発泡体ダクトは、発泡セル径の小さい発泡セルが均一に分布しており、外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内であることを特徴とするものである。
また、発泡セルは、2.5〜7重量%の範囲以内の核剤の添加により発泡セル径が100μm〜500μm以下であるものでもよい。
さらに、熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトテンションが0.029N〜0.049Nの範囲以内のポリプロピレンでもよい。
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
発泡体ダクトの全体にわたり、発泡セル径が小さい発泡セルが薄肉部を含めて均一に分布するとともに発泡倍率が大きく、軽量で断熱性に勝れている。加えて、外表面の表面粗さRtが45μm以下であり、外気温度に比べて低温の冷却媒体が流れる自動車の空調装置等に用いた場合、結露量が著しく低減する。
図1は、本発明の一実施の形態による発泡体ダクトの模式斜視図である。
本実施の形態による発泡体ダクト1は、断面形状が矩形状であって三次元的に屈曲する屈曲部を有している。中央部1aの一端側に連設された一端側屈曲部1bが中央部1aを基準にして円弧状に屈曲(図示X軸側)しており、その反中央部側には中央部1aよりもわずかに高い段差2aが生じる断面形状の拡大した膨出部2が連設されている。中央部1aの他端側に連設された他端側屈曲部1cは中央部1aを基準にしてL字状に屈曲(図示Z軸側へ屈曲したのち図示Y軸側へ屈曲)しており、その反中央部側には一対の突条部3a、3bが所定の間隔をおいて外面に形成された接続部3が連設されているとともに、接続部3の反中央部側には閉鎖部4が連設されている。
なお、発泡体ダクト1は、パーティングライン5の全部分にバリが発生する総バリタイプに限らず、膨出部2および閉鎖部4におけるパーティングライン5の部分にのみバリが生じるタイプの吹込金型を用いて発泡ブロー成形することができる。
発泡体ダクトを上記特許文献1に開示された発泡ブロー成形方法によって成形すると、発泡セル径が1500μm以上の大きなものとなるとともに発泡セルの分布も不均一になり、発泡倍率が2倍ぐらいの小さいものとなってしまう。このため、断熱性が不充分で表面粗さも荒くなり、空調装置に用いると結露が生じ易い。また、発泡セル径が大きいため、発泡体ダクトの最小肉厚が0.5mm以下になると、最小肉厚の部分にピンホールが発生して成形不良となってしまう。
そこで、繰り返し実験を行った結果、発泡押出成形において注目されている超臨界流体を発泡剤とする押出機を用い、熱可塑性樹脂に発泡剤として超臨界流体を添加した溶融パリソンを成形し、このパリソンを吹込金型で発泡ブロー成形することにより、発泡体ダクトの外表面における表面粗さRt(最大高さ)が45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内の断熱性に勝れた発泡体ダクトが得られた。
超臨界流体としては、毒性や可燃性もなく、容易に超臨界圧力および超臨界温度の超臨界状態にすることができる、不活性ガスである炭酸ガス、窒素ガスを用いるとよい。因みに、二酸化炭素(CO2 )は、臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa以上で超臨界流体となる。
また、核剤の添加量を2.5〜7重量%の範囲以内にすることにより、発泡セル径が500μm以下(発泡セル径の小さい)の発泡セルが均一に分布し、発泡倍率を増大させることができることが判明した。
熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン等を用いることができる。核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等の公知のものを用いることができる。
次に、本発明の他の実施の形態による発泡体ダクトについて説明する。
一般的に冷却された空気や清浄な空気を供給する空調用ダクトにあっては、ダクト周辺の壁面に沿わせたり、周辺位置を避けて空気の供給通路を設ける必要があるため、その供給通路が曲がりくねった形状であることが少なくない。それにしたがって空調用ダクトは、全体として曲がりくねった形状を複数の分割したダクトにて構成し、それぞれ接続して一つのダクトとして構成するのが一般的である。特に空気の供給通路が三次元方向に曲折した空調用ダクトにあっては、一体に成形することが困難なため、ダクトの分割構造を採用するのが一般的であった。すなわち、ブロー成形にて三次元方向に曲折した空調用ダクトを製造する場合、管状のパリソンを金型キャビティの適正位置に配置することが困難であり、それによってブロー成形されたダクトの壁面において、ブロー比の高い部分と低い部分のギャップがはげしくなり、薄肉部の発生、さらにはピンホールの発生をきたす問題がある。
したがって、上記のようなブロー比のギャップがはげしい場合は、ピンホール防止のため、ブロー成形の設定肉厚を全体的に厚くすることが行われていた。特に発泡性樹脂をブロー成形する場合は、非発泡の樹脂の場合と比べ、パリソンの伸びが低下するためピンホール防止を目的とした厚肉の設定肉厚を余儀なくされた。
上記問題を改善する手段を以下に説明する。
すなわち、本実施の形態による発泡体ダクトは、内部の空気供給通路の軸線が三次元方向に曲折した発泡性樹脂にて一体にブロー成形した空調用の発泡体ダクトであって、ブロー成形時にパリソンが挟まれて分割形式の金型ピンチオフにて成形されるパーティングライン5を三次元方向に曲折し、前記空調用の発泡体ダクトは、平均肉厚が0.5〜1.5mmであり、発泡セル径の小さい発泡セルが均一に分布しており、外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内である。
本実施の形態による発泡体ダクトは、軽量で断熱性に優れ、さらに肉厚均一性、軽量性、経済性に優れる。以下に構成と効果の関係について説明する。
(1)ブロー成形時パリソンが挟まれて分割形式の金型ピンチオフにて成形されるパーティングライン5を設けることは、パリソンのブロー比を調節抑制するためである。
(2)上記パーティングライン5を三次元方向に曲折することにより、パリソンが空気の供給通路に沿って適正に配置され、パリソンがパーティングライン5を起点として膨脹するため、ダクト壁面の肉厚均一性を確保することができる。
(3)内部の空気供給通路の軸線が三次元方向に曲折した一体にブロー成形した空調用の発泡体ダクトは、従来の多くの分割ダクトを組立てる構成に比べ、製造工程が削減される。
(4)平均肉厚が0.5〜1.5mmの比較的薄肉であっても肉厚均一性が確保されるので、断熱性を維持することができる。
(5)発泡セル径の小さい発泡セルが均一に分布しており、外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内であるので、従来の発泡体ダクトに比べ結露性に優れる。
なお、上記構成の空調用の発泡体ダクトを製造するに際しては、熱可塑性樹脂に発泡剤として超臨界流体を添加した発砲ブロー成形が好ましいが、発泡剤として超臨界流体を添加しない発泡ブロー成形であっても適用可能である。
また、パーティングラインは全長に亘ってパリソンが挟まれる必要はなく、肉厚均一性の問題となる箇所を中心として実質的にパリソンが挟まれればよい。
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製ニューフォーマーFB3312)を成形材料とし、シリンダにガス供給口を有するスクリュ式押出機を備えた発泡ブロー成形機(株式会社日本製鋼所製P−50−L/D34)を用い、ガス供給口より二酸化炭素(CO2 )の超臨界流体を添加し、図1に示したものと同様の形状の三次元的に屈曲した屈曲部を有する発泡体ダクトのサンプルを下記の成形条件で発泡倍率を変化させて発泡ブロー成形した。

成形条件
パリソンの外径:120mm
ダイの出口における樹脂温度:172℃
パリソンの肉厚:5mm
発泡体ダクトの最も薄い部分の肉厚0.3mm
結露率は、発泡体ダクト内を0℃の冷水で満たし、温度40℃、湿度90%の恒温槽に10分間放置したのち、発泡体ダクトの外表面に結露した水および滴下した水を布に染み込ませてその重量変化(結露量)を計測し、計測された結露量(g)を発泡体ダクトの表面の単位面積(cm2 )当りに換算した値である。
発泡セルの発泡セル径の測定は、ミクロトーム(LEICA社製 RM2145)で発泡体ダクトを切断し、切断断面をCCDカメラ(キーエンスVH−6300)で撮影した。そして、発泡セルの平均的な楕円形状の長径の長さを発泡セル径とした。
図2は、本発明の発泡体ダクトの切断面における発泡セルの倍率100の写真である。発泡セル径は500μm以下である。
図3は比較例の発泡体ダクトの切断面における発泡セルの倍率100の写真である。発泡セル径は1500μm以上である。
発泡体ダクトの各サンプルの表面粗さは、表面粗さ測定機(株式会社東京精密製サーフコム470A)を用いて計測したRt(最大高さ)を示す。発泡体ダクトの表面粗さの測定部位は、パリソンの押し出し方向後方側に比べて外表面の表面粗さが粗くなる前方側に対応する部位(図1に示した他端側屈曲部1c)とした。
(比較例1)
二酸化炭素の超臨界流体を発泡剤として添加するかわりに炭酸ガスを発泡剤として添加した以外は、実施例1と同様に発泡体ダクトのサンプルを発泡ブロー成形し、実施例1と同様に結露量を測定した。
その結果を表1に示す。
核剤を添加した以外は〔実施例1〕と同様に発泡体ダクトのサンプルを発泡ブロー成形した。
(比較例2)
核剤を添加した以外は(比較例1)と同様に発泡体ダクトのサンプルを発泡ブロー成形した。
その結果を表2に示す。
ポリプロピレンを成形材料とし、230℃におけるメルトテンションを変化させた以外は、実施例1と同様に発泡体ダクトのサンプルを発泡ブロー成形した。
(比較例3)
ポリプロピレンを成形材料とした以外は比較例1と同様に発泡体ダクトのサンプルを発泡ブロー成形した。
その結果を表3に示す。
表1〜3のそれぞれのサンプル1〜6、サンプル7〜10の各データから明らかなように、本発明に係る発泡体ダクトは、その外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内であることが必要条件である。表面粗さがRt45μmより大きくなると結露が生じ易くなる。
一実施の形態による発泡体ダクトの模式斜視図である。 本発明に係る発泡体ダクトを切断した断面をCCDカメラで撮影した倍率100の写真である。 従来例に係る発泡体ダクトを切断した断面をCCDカメラで撮影した倍率100の写真である。
符号の説明
1 発泡体ダクト
1a 中央部
1b 一端側屈曲部
1c 他端側屈曲部
2 膨出部
3 接続部
4 閉鎖部
5 パーティングライン

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂に発泡剤として超臨界流体を添加した発泡ブロー成形によって成形された発泡体ダクトであって、
    前記発泡体ダクトは、発泡セル径の小さい発泡セルが均一に分布しており、外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内であることを特徴とする発泡体ダクト。
  2. 発泡セルは、2.5〜7重量%の範囲以内の核剤の添加により発泡セル径が100μm〜500μm以下であることを特徴とする請求項1記載の発泡体ダクト。
  3. 熱可塑性樹脂は、230℃におけるメルトテンションが0.029N〜0.049Nの範囲以内のポリプロピレンであることを特徴とする請求項1または2記載の発泡体ダクト。
  4. 発泡体ダクトは、三次元的に屈曲する屈曲部を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の発泡体ダクト。
  5. 内部の空気供給通路の軸線が三次元方向に曲折した発泡性樹脂にて一体にブロー成形した空調用の発泡体ダクトであって、ブロー成形時にパリソンが挟まれて分割形式の金型ピンチオフにて成形されるパーティングラインを三次元方向に曲折し、前記空調用の発泡体ダクトは、平均肉厚が0.5〜1.5mmであり、発泡セル径の小さい発泡セルが均一に分布しており、外表面における表面粗さがRt45μm以下で、発泡倍率が2.5〜5倍の範囲以内であることを特徴とする発泡体ダクト。
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