JP2013010263A - ダクトの成形方法及びダクト - Google Patents

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Abstract

【課題】ピンホールを発生させることなく、ダクト内面に整流板を有するダクトを提供する。
【解決手段】パーティングライン(PL)を介して接着される第1の壁部(201)と第2の壁部(202)とを有して構成する樹脂製のダクト(200)であり、少なくとも一方の壁部(201,202)の内面に凹部(300)を有し、凹部(300)に整流板(27)が取り付けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ダクト内面に整流板を有するダクトの成形方法及びダクトに関する。
本発明よりも先に出願された技術文献として、空気整流板を一体的に設けた車両用ダクトをブローで成形した技術について開示された文献がある(例えば、特許文献1:特開2002-1801号公報参照)。
上記特許文献1では、パリソンを成形型内に降下させて成形型を閉じ、パリソンの内部に高圧空気を充填してパリソンを成形型に押し付け、パリソンが硬化しない間に、パリソンをダクトの対向壁面に向かって板状の押圧刃により押圧し、パリソンの先端を対向壁面に当接させて空気整流板を形成し、空気整流板を一体的に設けたダクトを成形している。
特開2002−1801号公報(図7)
なお、ブロー成形で整流用のリブ(特許文献1の空気整流板に相当)をダクトに形成する場合は、リブを薄くすることは難しい。これは、リブを薄くするために、リブ形成用の突起部(特許文献1の押圧刃に相当)を薄くすると、パリソンがその部分だけ顕著に引き伸ばされ、ピンホールが発生し易くなるためである。
例えば、特許文献1の方法では、パリソンの一方の壁面を対面壁面に向かって押し出すため、その押し出した箇所のパリソンの伸びが局所的に大きくなり、ピンホールが発生し易くなる。このため、特許文献1の方法では、パリソンで空気整流板を形成することが難しく、特に、薄肉のダクトを成形する場合は、ピンホールが更に発生し易くなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ピンホールがなく、ダクト内面に整流板を有するダクトの成形方法及びダクトを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有する。
本発明にかかるダクトの成形方法は、
溶融状態の2枚の樹脂シートを金型間に配置する配置工程と、
前記樹脂シートを前記金型に吸引する吸引工程と、
吸引した前記樹脂シートに整流板を圧着する圧着工程と、
前記金型を型締めし、前記樹脂シートを前記金型形状に沿った形状に成形し、ダクト内面に前記整流板を有するダクトを形成する型締工程と、
を有することを特徴とする。
本発明にかかるダクトは、
パーティングラインを介して接着される第1の壁部と第2の壁部とを有して構成する樹脂製のダクトであって、
少なくとも一方の壁部の内面に凹部を有し、前記凹部に整流板が取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ピンホールがなく、ダクト内面に整流板を有するダクトを得ることができる。
本実施形態のデフロスタダクト200の構成例を示す図である。 図1に示すデフロスタダクト200の断面構成例を示す図である。 デフロスタダクト200の内部に設けられる整流板27の構成例を示す図である。 本実施形態のテフロスタダクト200を成形する成形装置100の構成例を示す図である。 図4に示す成形装置100において、分割金型32内に熱可塑性樹脂シートPを配置し、分割金型32のキャビティ116の間を型枠33により閉じた工程を示す図である。 図5に示す態様から熱可塑性樹脂シートPを、分割金型32のキャビティ116に真空吸引させた工程を示す図である。 熱可塑性樹脂シートPの間に整流板27を挿入した状態を示す図である。 図7に示す態様から分割金型32を型締めした状態を示す図である。 図8に示す態様から分割金型32を型開きした状態を示す図である。 ブロー比を説明するための断面図である。
<本実施形態のダクト200の概要>
まず、図2、図4〜図9を参照しながら、本実施形態のダクト200について説明する。
本実施形態のダクト200は、図2に示すように、パーティングラインPLを介して接着される第1の壁部201と第2の壁部202とを有して構成する樹脂製のダクト200である。
本実施形態のダクト200は、少なくとも一方の壁部201,202の内面に凹部300を有し、その凹部300に整流板27が取り付けられている。
本実施形態のダクト200は、図4に示すように、溶融状態の2枚の樹脂シートPを金型32の間に配置する。次に、図5の工程を経て、図6に示すように、樹脂シートPを金型32に吸引し、図7に示すように、金型32に吸引した樹脂シートPに整流板27を圧着する。次に、図8に示すように、金型32を型締めし、樹脂シートPを金型形状に沿った形状に成形し、ダクト内面に整流板27を有するダクトを形成する。これにより、少なくとも一方の壁部201,202の内面の凹部300に整流板27が取り付けられたダクト200を成形することができる。
また、本実施形態のダクト200は、凹部300に整流板27が取り付けられていることで、ピンホールがなく、ダクト内面に整流板27を有するダクト200を成形することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態のダクト200について詳細に説明する。但し、以下の実施形態では、ダクト200として図1に示すデフロスタダクト200を成形する場合を例に説明する。
<デフロスタダクト200の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態のデフロスタダクト200の構成例について説明する。図1(a)は、デフロスタダクト200の外観斜視図であり、図1(b)は、デフロスタダクト200の内部構成図である。
本実施形態のデフロスタダクト200は、自動車の空調ユニットからフロントウインドならびに側部ウインドにデフロスタ風を導くデフロスタダクトである。
本実施形態のデフロスタダクト200は、自動車の車室前端部に設けられた空調ユニット(図示せず)に連結するための吸入口21と、フロントウインド(図示せず)にデフロスタ風を噴出させるフロントデフロスタノズル22と、側部ウインド(図示せず)にデフロスタ風を案内するサイドデフロスタ送出口23と、を有して構成する。
フロントデフロスタノズル22は、フロントウインドの左部と右部とのデフロスタ風を噴出する左右一対のもので内部に第2の整流板24が設けられている。サイドデフロスタ送出口23は、左右の側部ウインドにデフロスタ風を案内する左右一対のものである。
デフロスタダクト200のダクト部26は、フロントデフロスタ用とサイドデフロスタ用とに共用され、吸入口21からダクト部26の中間部にかけてフロントデフロスタ用とサイドデフロスタ用との風量配分比を決定する第1の整流板27が設けられている。
本実施形態のデフロスタダクト200は、第1の整流板27でフロントデフロスタ用とサイドデフロスタ用との風量配分比を決定し、第2の整流板24で整流したデフロスタ風をフロントデフロスタノズル22から噴出する。
本実施形態のデフロスタダクト200は、図2に示すように、パーティングラインPLを介して接着される第1の壁部201と第2の壁部202とを有して構成し、第1の整流板27は、第1の壁部201と第2の壁部202との内面に取り付けられている。図2は、図1(b)のA-A'で切断したデフロスタダクト200の断面構成例を示し、第1の整流板27が第1の壁部201と第2の壁部202との内面に取り付けられている状態を示している。なお、第2の整流板24も図2に示す第1の整流板27と同様に第1の壁部201と第2の壁部202との内面に取り付けられることになるが、本実施形態では、第1の整流板27を例に説明する。
本実施形態のデフロスタダクト200を構成する壁部201,202は、樹脂で構成しており、整流板24,27は、壁部201,202と同様な材質で構成している。整流板24,27の材質を壁部201,202と同様な材質で構成することで、整流板24,27を壁部201,202に容易に溶着することができると共に、整流板24,27が壁部201,202から外れることも防止することができる。但し、整流板24,27を構成する材料は、特に限定せず、公知の整流板に使用されている材質を用いることも可能である。但し、ダクト200の成形性を考慮し、整流板24,27は、整流板24,27を壁部201,202内面に容易に溶着することが可能な材質で構成することが好ましい。
本実施形態のデフロスタダクト200を構成する壁部201,202の内面には、図2に示すように、凹部300を有しており、その凹部300に第1の整流板27が取り付けられている。なお、第1の整流板27の端部には、第1の整流板27を凹部300に取り付けるための取付部400を有しており、その取付部400を凹部300に圧着して取り付けることで、第1の整流板27が凹部300に取り付けられることになる。第1の整流板27の端部に取付部400を設け、その取付部400を凹部300に圧着して取り付けることで、第1の整流板27を適切な位置に取り付けることができる。なお、第1の整流板27は、壁部201,202の内面に形成された凹部300に取付部400を圧着して取り付けるため、凹部300の肉厚は、凹部300が形成されていない壁部201,202の肉厚よりも薄くなっている。
また、凹部300に取り付けた取付部400の上面401は、壁部201,202の内面と同一平面上に位置するようにしている。これにより、壁面201,202の内面に取り付けた第1の整流板27の取付部400がデフロスタダクト200の内面を流通する流体の流路を妨害しないようにすることができる。
本実施形態のデフロスタダクト200を構成する第1の壁部201と第2の壁部202との平均肉厚(ダクト全体の平均肉厚)は、0.3〜1.0mmであり、第1の壁部201の平均肉厚と第2の壁部202の平均肉厚との肉厚差は、0.3mm以下である。また、デフロスタダクト200全体の肉厚の変動係数は、0.3以下である。本実施形態のデフロスタダクト200は、肉厚差が0.3mm以下であり、且つ、変動係数が0.3以下であることで、デフロスタダクト200のフランジ間隔の変化に与える影響が小さく、且つ、開口部変化に与える影響を小さくすることができる。その結果、成形後のデフロスタダクト200に反りが発生しないようにすることができる。
本実施形態においてダクト全体の平均肉厚は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定した肉厚の平均値を意味する。中空の樹脂成形品であれば、パーティングラインPLを介して接着される第1の壁部201と第2の壁部202との各々の壁部においてそれぞれパーティングラインPL90°方向の位置の肉厚を測定し、その測定した肉厚の平均値を意味する。但し、測定位置に、分割金型等で圧縮された部分を含まないようにしている。中空延伸方向とは、樹脂成形品において中空部が延びる方向であり、流体が流れる方向である。パーティングラインPL90°方向の位置とは、中空延伸方向垂直断面において、一方のパーティングラインPL1と他方のパーティングラインPL2とを結ぶ線分の中点を通り、当該線分に直交する直線と交わる位置を意味する。但し、上記直線と交わる位置が、整流板27が取り付けられた凹部300に該当する場合は、凹部300に近接する位置を測定する。
なお、本実施形態のデフロスタダクト200の第1の壁部201側の平均肉厚は、第1の壁部201側の数カ所で測定した肉厚の平均値である。また、第2の壁部202側の平均肉厚は、第2の壁部202側の数カ所で測定した肉厚の平均値である。デフロスタダクト200全体の平均肉厚は、第1の壁部201側の平均肉厚と、第2の壁部202側の平均肉厚と、を平均した肉厚である。
デフロスタダクト200全体の肉厚の変動係数は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定した肉厚のばらつきを示し、樹脂成形品の各部位で測定した肉厚の標準偏差をその各部位の肉厚の平均値で割った値である(変動係数=肉厚の標準偏差/肉厚の平均値)。なお、肉厚の測定位置は、パーティングラインPL90°方向とする。
なお、図2では、第1の整流板27は、第1の壁部201と第2の壁部202との2つの壁部201,202の内面に取り付けるようにした。しかし、第1の整流板27は、第1の壁部201と第2の壁部202との少なくとも一方の壁部の内面に取り付けるようにすることも可能である。但し、第1の整流板27が2つの壁部201,202の内面に取り付けられていることで、第1の整流板27が壁部201,202から外れてしまうのを防止できると共に、第1の整流板27を壁部201,202内部で安定させることができる。例えば、第1の整流板27が一方の壁部201の内面のみに取り付けられている構成の場合は、第1の整流板27の一方の端部が壁部内面に固定されていないため、ダクト内部を流通する流体により第1の整流板27が揺れ動いてしまい、第1の整流板27の安定性に欠けることになる。これに対し、第1の整流板27が2つの壁部201,202の内面に取り付けられている構成の場合は、第1の整流板27の両端が壁部201,202の内面に固定されているため、ダクト内部を流通する流体により第1の整流板27が揺れ動いてしまうのを防止し、第1の整流板27を安定させることができる。このため、第1の整流板27が2つの壁部201,202の内面に取り付けられていることが好ましい。なお、第1の整流板27の一方の端部を一方の壁部の内面に取り付け、第1の整流板 27の他方の端部を他方の壁部の内面に当接するように構成することも可能である。この場合も、第1の整流板27が2つの壁部201,202の内面に取り付けられている構成と同様な効果を奏することができる。
また、図2では、第1の整流板27は、凹部300に取り付けた取付部400の上面401が壁部201,202の内面と同一平面上に位置するように取り付けることにした。しかし、図3(a)に示すように、凹部300に取り付けた取付部400が壁部201,202に埋め込まれ、取付部400の上面401の少なくとも一部が壁部201,202を構成する樹脂で覆われているようにすることも可能である。例えば、整流板27の取付部400を、壁部201,202を構成する樹脂に押し付けて、樹脂の一部を取付部400の上面401よりもダクト内側に盛り上がらせた後に、ダクト内にブロー圧を付与することで、取付部400の上面401の一部を樹脂で覆うことができる。これにより、第1の整流板27が壁部201,202から外れてしまうのを確実に防止することができる。なお、図3(a)では、取付部400の形状を略四角形にしたが、取付部400の形状は、特に限定せず、第1の整流板27を壁部の内面に取り付けた際に、壁部201,202を構成する樹脂が取付部400を覆うことが可能であれば、あらゆる形状が適用可能であり、例えば、台形や、三角形などの形状で構成することも可能である。また、図3(b)に示すように、取付部400に切欠部や穴を設け、取付部400を壁面を構成する樹脂に押し付けたときに、その切欠部や穴に樹脂が入り込むようにすることも可能である。これにより、整流板27の取り付けを強固にすることができる。
なお、整流板27の取付部400を凹部300に取り付ける場合は、取付部400と凹部300との間に隙間が発生しないようにする必要がある。これは、隙間が発生すると、取付部400と凹部300との取付強度が低下すると共に、デフロスタダクト200の内面の流体の流路に影響を及ぼす場合があるためである。このため、取付部400の形状と凹部300の形状とは略同一サイズで構成することが好ましい。取付部400と凹部300との形状を略同一サイズで構成することで、取付部400を凹部300に取り付けた場合に隙間を発生させないようにすることができる。また、取付部400の形状を凹部300の形状よりも大きいサイズで構成することも可能である。取付部400の形状を凹部300の形状よりも大きいサイズで構成することで、取付部400を凹部300に取り付けた場合に、凹部300を構成する樹脂が取付部400の周囲に流出し、取付部400の周囲を樹脂で覆うことができる。なお、隙間が発生しないように取付部400を凹部300に取り付ける場合は、取付部400と凹部300との間に空気が残存してしまう場合がある。このため、取付部400は、取付部400を凹部300に取り付けた場合に、取付部400と凹部300との間に残存する空気を外部に逃すことが可能な形状で構成することが好ましい。例えば、図2、図3では、取付部400が凹部300と接する部分の面の形状を直線形状にしたが、曲線形状にすることも可能である。直線形状の場合は、取付部400を凹部300に取り付けた場合に面全体が同時に接することになり、空気が残存してしまう場合が発生するが、曲線形状にすることで、面全体が同時に接することなく、順次接するため、空気の逃げ場を確保することができる。これにより、空気が残存するのを防止することができる。また、図3(b)に示すように穴を設けることで、穴から空気を逃すことができるため、空気が残存するのを防止することができる。
また、上記実施形態では、図2(b)、図3(a)に示すように、壁部201,202の内面に凹部300を形成し、その凹部300に取付部400を圧着して整流板27を取り付けることにした。しかし、図3(c)に示すように、壁部201,202の内面に取付部400を圧着して整流板27を取り付けることも可能である。この場合も、取付部400の上面401が壁部201,202の内面と同一平面上に位置するように圧着して取り付けることも可能である。
<デフロスタダクト200の成形方法例>
次に、図4〜図9を参照しながら、本実施形態のデフロスタダクト200の成形方法例について説明する。図4は、本実施形態のテフロスタダクト200を成形する成形装置100の構成例を示し、図4〜図9は、本実施形態のテフロスタダクト200を成形する成形工程例を示す図である。
まず、図4を参照しながら、本実施形態のテフロスタダクト200を成形する成形装置100の構成例について説明する。
本実施形態のテフロスタダクト200を成形するための成形装置100は、押出装置12と、型締装置10と、整流板装着装置(図示せず)と、を有して構成し、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPを押出装置12から型締装置10に押し出し、型締装置10に押し出した熱可塑性樹脂シートPに整流板27を整流板装着装置で装着し、整流板27を装着した熱可塑性樹脂シートPを型締装置10で型締めし、図1に示すテフロスタダクト200を成形する。
押出装置12は、ホッパ16が付設されたシリンダ18と、シリンダ18内に設けられたスクリュ(図示せず)と、スクリュに連結された電動モータ20と、シリンダ18と連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22と連通したプランジャ24と、Tダイ28と、を有して構成する。
本実施形態の押出装置12は、ホッパ16から投入された樹脂ペレットが、シリンダ18内で電動モータ20によるスクリュの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂(溶融樹脂)を形成する。次に、溶融樹脂がアキュムレータ22に移送されて一定量貯留され、プランジャ24の駆動により、Tダイ28に向けて溶融樹脂を送り、Tダイ28の押出スリット(図示せず)から連続的なシート状の熱可塑性樹脂シートPを押し出す。Tダイ28の押出スリットから押し出された熱可塑性樹脂シートPは、間隔を隔てて配置された一対のローラ30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、熱可塑性樹脂シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置されることになる。
押出装置12の押出能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は、好ましくは1〜10kgであり、押出スリットからの熱可塑性樹脂シートPの押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは、700kg/時以上である。また、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、熱可塑性樹脂シートPの押出は、なるべく短いことが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出は、40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのが好ましい。
このため、熱可塑性樹脂の押出スリットからの単位面積(1cm2)、単位時間(h)当たりの押出量は、50kg/h cm2以上、より好ましくは、150kg/h cm2以上である。例えば、スリット間隔が0.5mm、スリットの幅方向の長さが1000mmのTダイ28の押出スリットから、密度0.9g/cm3の熱可塑性樹脂を用いて、厚さ1.0mm、幅1000mm、押出方向の長さが2000mmの熱可塑性樹脂シートPを15秒間で押し出す場合は、1.8kgの熱可塑性樹脂を1ショット15秒間で押し出したことになり、押出速度は432kg/時であり、単位面積当りの押出速度は約86kg/h cm2と算出することができる。
なお、Tダイ28に設けられる押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された熱可塑性樹脂シートPは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようになっている。押出スリットは、スリット間隔を可変にすることで、熱可塑性樹脂シートPの厚みを変更することができる。
但し、Tダイ28から押し出された熱可塑性樹脂シートPは、分割金型32の間に垂下された状態で、つまり、整流板27を熱可塑性樹脂シートPに装着する時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット間隔を押出開始から徐々に広げ、押出終了時に最大となるように変動させることもできる。これにより、Tダイ28から押し出される熱可塑性樹脂シートPの厚みは、押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された熱可塑性樹脂シートPは、自重により引き伸ばされてシートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット間隔を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
本実施形態の成形装置100は、一対のローラ30の間に挟み込まれた熱可塑性樹脂シートPを一対のローラ30の回転により下方に送り出すことで、熱可塑性樹脂シートPを延伸薄肉化することができ、Tダイ28により押し出される熱可塑性樹脂シートPの押出速度と、一対のローラ30により送り出される熱可塑性樹脂シートPの送出速度と、の関係を調整することで、熱可塑性樹脂シートPのドローダウンあるいはネックインの発生を防止することができる。このため、採用する樹脂の種類、特に、MFR値、MT値、単位時間当たりの押出量に対する制約を軽減することができる。
一対のローラ30は、押出スリットから下方に垂下する形態で押し出される熱可塑性樹脂シートPに関して、線対称となるように配置される。ローラ30の直径およびローラ30の軸方向の長さは、成形すべき熱可塑性樹脂シートPの押出速度、熱可塑性樹脂シートPの押出方向の長さ、幅、樹脂の種類などに応じて適宜設定する。また、一対のローラ30のそれぞれの外表面には、凹凸状のシボが設けられている。凹凸状のシボは、ローラ30の外表面において、熱可塑性樹脂シートPと接触する面全体に亘って均一に分布するように設けることが好ましく、その深さや密度は、一対のローラ30により熱可塑性樹脂シートPを円滑に下方に送り出すことが可能なように、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する熱可塑性樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じない点を考慮して適宜定めればよい。なお、凹凸状のシボは、例えば、サンドブラスト処理によって形成できるが、ブラスト機において粗さ60番程度を採用して形成することが好ましい。
なお、一対のローラ30のそれぞれに設ける凹凸状のシボは、熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写するために設けるのではなく、あくまで、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する熱可塑性樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じるのを防止するために設けている。
熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写する場合は、一対のローラ30のうち、一方をシボロールとし、他方をゴムロールとするのが通常であるが、本実施形態の一対のローラ30においては、一対のローラ30のそれぞれの外表面にシボを設けることにより、一対のローラ30のそれぞれが熱可塑性樹脂シートPの対応する表面を確実に把持するようにする半面、一対のローラ30による熱可塑性樹脂シートPの押圧力を制限することで、一対のローラ30により熱可塑性樹脂シートPを送り出す直後に、熱可塑性樹脂シートPの表面にシボ模様を転写しないようにすることができる。
一対のローラ30は、金属製、例えば、アルミニウム製であり、一対のローラ30にはそれぞれ、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度に応じて、ローラ30の表面温度を調整する表面温度調整手段が付設され、その構成は、ローラ30の内部に冷媒を通し、この冷媒を循環させることにより、ローラ30の表面が一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の熱可塑性樹脂シートPにより過度に加熱されないように熱交換するようにしている。
一対のローラ30の外表面は、一対のローラ30が溶融状態の熱可塑性樹脂シートPに接触することにより熱伝導を通じて加熱されるところ、一対のローラ30の外表面を内側から冷却することにより、一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の熱可塑性樹脂シートPがローラ30の外表面にへばり付き、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付き、熱可塑性樹脂シートPが下方に送り出されないような事態を防止することにしている。この場合、巻き付き防止の観点から、ローラ30の表面温度を低くするのが好ましいが、後に、熱可塑性樹脂シートPを成形する観点から、ローラ30の表面温度を低くし過ぎると、ローラ30の表面により逆に溶融状態の熱可塑性樹脂シートPが過冷却され、成形時に支障が生じることになる。このため、一対のローラ30のそれぞれの表面温度を一対のローラ30に向かって押し出される溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定する必要がある。この所定温度の範囲は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの種類に応じて定められ、例えば、熱可塑性樹脂シートPが非晶性樹脂の場合は、所定温度の範囲が約80℃〜95℃の範囲となり、熱可塑性樹脂シートPが結晶性樹脂の場合は、所定温度の範囲が約50℃〜90℃の範囲となる。この場合、一対のローラ30の表面温度を温度調整するために、一対のローラ30のそれぞれの内部を水冷する際は、熱可塑性樹脂シートPの種類に応じて、冷媒の温度を設定するのがよく、冷媒の温度は、熱可塑性樹脂シートPを成形中、一定温度に保持するようにする。
本実施形態の型締装置10は、分割金型32と、分割金型32を熱可塑性樹脂シートPの供給方向に対して略直交する方向に開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置(図示せず)と、を有して構成する。
分割金型32は、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれのキャビティ116が略鉛直方向を向くように配置される。キャビティ116の表面には、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられている。また、分割金型32のキャビティ116の周りには、ピンチオフ部118が形成されている。このピンチオフ部118は、キャビティ116の周りに環状に形成されており、対向する分割金型32に向かって突出している。これにより、分割金型32を型締めした際に、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、成形品の周縁にパーティングラインを形成することができる。
また、分割金型32の外周部には、型枠33が摺動可能に配置されており、その型枠33が分割金型32に対して相対的に移動可能になっている。より詳細には、一方の型枠33Aは、分割金型32Bに向かって突出しており、分割金型32の間に配置された熱可塑性樹脂シートPの一方の側面に当接可能であり、また、他方の型枠33Bは、分割金型32Aに向かって突出しており、分割金型32の間に配置された熱可塑性樹脂シートPの他方の側面に当接可能である。
分割金型32は、金型駆動装置(図示せず)により駆動し、開位置において、分割金型32の間に、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPを配置可能にしている。また、閉位置において、分割金型32のピンチオフ部118が互いに当接し、分割金型32内に密閉空間を形成するようにしている。なお、開位置から閉位置への各分割金型32の移動について、閉位置は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの中心線の位置とし、各分割金型32が金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
熱可塑性樹脂シートPは、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂などから形成する。本実施形態の熱可塑性樹脂シートPは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で分割金型32への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.5g/10分以下のものが適用可能である。MFRが3.5g/10分より大きくなると、ドローダウンが激しくなり、薄肉の成形品を成形するのが困難になる。
また、本実施形態の熱可塑性樹脂シートPは、デフロスタダクト200全体の平均肉厚が0.3〜1.2mm、肉厚の変動係数が0.3以下のテフロスタダクト200を成形するため、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の粉状の無機フィラー、または、ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状の無機フィラーを添加することにしている。これにより、デフロスタダクト200全体の平均肉厚を薄くすることができ、且つ、複雑な形状のテフロスタダクト200を成形することができる。なお、無機フィラーは、添加量が多くなると、成形品の表面に荒れが発生し、ピンホールが発生し易くなる。このため、成形品の表面の荒れを抑え、且つ、ピンホールを発生し難くするために、無機フィラーは、30重量%未満で添加することが好ましい。また、本実施形態のテフロスタダクト200を成形する際は、繊維状のフィラーよりも粉状のフィラーを適用することが好ましい。これは、繊維状のフィラーは、繊維が押出し方向を向くため、押出方向と直交する方向の皺を抑え難いためである。また、粉状のフィラーの中でも、特に、タルクを適用することがより好ましい。これは、タルクは、樹脂中での分散性が良いためである。
また、熱可塑性樹脂シートPには、衝撃により割れが生じることを防止するために、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加することも可能である。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が適用可能である。
また、熱可塑性樹脂シートPには、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等を添加することも可能である。
次に、図4〜図8を参照しながら、本実施形態のテフロスタダクト200の成形工程例について説明する。
まず、図4に示すように、熱可塑性樹脂シートPをTダイ28から押し出し、その押し出した熱可塑性樹脂シートPを一対のローラ30を通過させて熱可塑性樹脂シートPの肉厚を調整し、一対の分割金型32の間に垂下させる。
本実施形態の成形装置100は、熱可塑性樹脂シートPの押出速度と、熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30により下方に送り出される送出速度と、の相対速度差を、一対のローラ30の回転速度で調整し、熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30の間を通過する際に、一対のローラ30により下方に引っ張られ、それにより熱可塑性樹脂シートPが延伸薄肉化され、その結果、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することにしている。
この場合、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の表面に凹凸状のシボを設けると共に、ローラ30の一端に歯車機構を設けることにより、回転駆動ローラ30BAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30BBに、また、回転駆動ローラ30AAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30ABに、それぞれ伝達することにより、回転駆動ローラ30Aと被回転駆動ローラ30Bとの間で回転速度差が生じないようにし、それにより、熱可塑性樹脂シートPの表面に、皺あるいはせん断痕が発生するのを防止している。
また、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の内部に冷媒を循環させることにより、ローラ30を冷却し、ローラ30のそれぞれの外表面の温度を溶融状態の熱可塑性樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定し、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPが一対のローラ30により挟み込まれる際に、溶融状態の熱可塑性樹脂シートPがローラ30の表面にへばりつき、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付くのを防止する一方、成形時に適した溶融状態に保持するようにしている。
なお、一対のローラ30の回転数の調整と共に、押出スリットの間隔調整を連動して行うことも可能である。
図4に示すように、2枚の熱可塑性樹脂シートPを分割金型32の間に配置した後は、図5に示すように、分割金型32の型枠33を熱可塑性樹脂シートPに向かって移動させ、分割金型32の外周に位置する型枠33を熱可塑性樹脂シートPの側面に当接させる。これにより、熱可塑性樹脂シートP、型枠33、キャビティ116により、密閉空間が形成される。
次に、図6に示すように、密閉空間内の空気を真空吸引室120から吸引穴122を介して吸引し、熱可塑性樹脂シートPをキャビティ116に吸着させ、熱可塑性樹脂シートPをキャビティ116の表面に沿った形状に賦形する。本実施形態のキャビティ116は、凹部117を有しているため、熱可塑性樹脂シートPをキャビティ116の表面に沿った形状に賦形することで、キャビティ116の凹部117に対応する形状の凹部300を熱可塑性樹脂シートPに形成することができる。
また、本実施形態では、吸引前の熱可塑性樹脂シートPの上下方向の厚みを一様にしているため、ブロー比により引き起こされる厚みの分布に起因して、賦形工程が満足に行われないような事態を防止することができる。
次に、図7に示すように、整流板装着装置で整流板27を熱可塑性樹脂シートPの内側に挿入し、整流板27の端部に設けられた取付部400を、熱可塑性樹脂シートPに形成された凹部300に圧着して取り付ける。これにより、整流板27を熱可塑性樹脂シートPに装着することができる。
次に、図8に示すように、型枠33と分割金型32とを一体で、互いに近接するように移動させ、分割金型32の型締めを行い、分割金型33のピンチオフ部118により熱可塑性樹脂シートPの周縁部同士を溶着する。なお、本実施形態のように、整流板27の両端を熱可塑性樹脂シートPに取り付ける場合は、整流板装着装置で整流板27を熱可塑性樹脂シートPの内側に挿入した後に、整流板27の一方の端部に設けられた取付部400を一方の熱可塑性樹脂シートPの凹部300に圧着して取り付け、分割金型32を型締めする際に、整流板27の他方の端部に設けられた取付部400を他方の熱可塑性樹脂シートの凹部300に圧着して取り付ける。これにより、整流板27の両端を熱可塑性樹脂シートPに取り付けることができる。なお、本実施形態では、整流板27を凹部300に圧着して取り付けているため、凹部300が形成されている部分の熱可塑性樹脂シートPの厚さは、凹部300が形成されていない部分の熱可塑性樹脂シートPの厚さよりも薄くなっている。
次に、図9に示すように、型枠33と分割金型32とを一体で、互いに遠ざかるように移動させ、分割金型32の型開きを行い、成形された樹脂成形品を取り出し、外周部のバリを除去する。これにより、図1に示すテフロスタダクト200が完成する。
<本実施形態のテフロスタダクト200の作用・効果>
このように、本実施形態のテフロスタダクト200は、溶融状態の2枚の熱可塑性樹脂シートPを分割金型32の間に配置する。次に、熱可塑性樹脂シートPを分割金型32に吸引し、熱可塑性樹脂シートPに凹部300を形成する。次に、熱可塑性樹脂シートPに形成した凹部300に取付部400を取り付け、熱可塑性樹脂シートPに整流板27を圧着する。次に、分割金型32を型締めし、熱可塑性樹脂シートPを分割金型形状に沿った形状に成形し、ダクト内面に整流板27を有するテフロスタダクト200を形成する。これにより、少なくとも一方の壁部201,202の内面の凹部300に整流板27が取り付けられたテフロスタダクト200を成形することができる。
なお、本実施形態のテフロスタダクト200は、上述したシートダイレクト成形で成形することが好ましい。シートダイレクト成形で成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、冷熱サイクルによるテフロスタダクト200の変形を抑制することができる。これにより、冷熱サイクルによるテフロスタダクト200の変形が少なく、且つ、自由度の高い形状のテフロスタダクト200を成形することができる。
例えば、本実施形態のテフロスタダクト200をパリソンブロー成形により成形する場合は、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との差が顕著になり、冷熱サイクルによるテフロスタダクト200の変形も顕著になる。
これに対し、本実施形態のテフロスタダクト200をシートダイレクト成形で成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合(例えば、0.05以上の場合)でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、冷熱サイクルによるテフロスタダクト200の変形を抑制することができる。特に平均ブロー比の差が0.1以上の場合は変形抑制効果が大きい。
なお、本実施形態においてブロー比は、例えば、図10に示すように、中空延伸方向垂直断面において、一方のパーティングラインL1と他方のパーティングラインL2とを結ぶ線分の長さAに対する、この線分と、この線分から最も離れた内壁面との間の距離Bの割合(B/A)である。図10の場合は、断面の形状に凹凸が見られる場合は、ブロー比は、0.5となる。また、平均ブロー比は、樹脂成形品の中空延伸方向に約100mmの等間隔で測定したブロー比の平均値である。
また、冷却された空気や清浄な空気を供給するダクトにおいては、ダクト周辺の壁面に沿わせたり、周辺位置を避けて空気の供給通路を設けたりする必要があるため、その供給通路が曲がりくねった形状であることが少なくない。このため、ブロー成形されたダクトの壁面において、ブロー比の高い部分と低い部分とのギャップがはげしくなり、薄肉部の発生、さらにはピンホールの発生をきたす問題がある。その結果、ブロー比のギャップがはげしい場合は、ピンホール防止のため、ブロー成形の設定肉厚を全体的に厚くすることが行われている。特に、発泡性樹脂をブロー成形する場合は、非発泡の樹脂の場合に比べて、パリソンの伸びが低下するため、ピンホール防止を目的とした厚肉の設定肉厚を余儀なく行っている。その結果、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合は、ダクトの肉厚差が大きくなり、ダクトに反りが発生してしまう場合がある。
これに対し、シートダイレクト成形でダクトを成形する場合は、第1の壁部201の肉厚と第2の壁部202の肉厚との双方を調整することができるため、第1の壁部201と第2の壁部202との平均ブロー比の差が大きい場合でも、双方の肉厚差を小さくすることができるため、ダクトに反りが発生しないようにすることができる。
また、パリソンブロー成形では、無端状のパリソンの内面に整流板を配置する必要があるため、パリソンの内面に整流板を複数配置することが困難であり、特に、パリソンの押出方向に対して整流板を複数配置することは極めて困難である。また、パリソンの内面に整流板を配置できる領域が限られてしまう。
これに対し、シートダイレクト成形では、有端状の熱可塑性樹脂シートPの内面に整流板24,27を配置するため、熱可塑性樹脂シートPの内面に複数の整流板24,27を容易に配置することができ、熱可塑性樹脂シートPの押出方向に対しても複数の整流板24,27を容易に配置することができる。また、熱可塑性樹脂シートPの任意の内面に整流板24,27を自由に配置できるため、例えば、図1に示すフロアダクト200のように複数の整流板24,27を有するフロアダクト200を容易に成形することができる。即ち、シートダイレクト成形を用いることで、熱可塑性樹脂シートPの押出方向に複数の整流板24,27を有するフロアダクト200を容易に成形することができる。また、本実施形態では、分割金型32のキャビティ116に形成された凹部117により、熱可塑性樹脂シートPに凹部300を形成し、その凹部300に整流板24,27を圧着して取り付けるため、整流板24,27を熱可塑性樹脂シートPに容易に取り付けることが可能になると共に、整流板24,27の取付精度を高めることができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
P 熱可塑性樹脂シート
200 テフロスタダクト
21 吸入口
22 フロントデフロスタノズル
23 サイドデフロスタ送出口
24、27 整流板
26 ダクト部
201 第1の壁部
202 第2の壁部
PL パーティングライン
400 取付部
401 上面
100 成形装置
12 押出装置
10 型締装置
16 ホッパ
18 シリンダ
20 電動モータ
22 アキュムレータ
24 プランジャ
28 Tダイ
30 ローラ
32 分割金型
33 型枠
116 キャビティ
118 ピンチオフ部
120 真空吸引室
122 吸引穴

Claims (6)

  1. 溶融状態の2枚の樹脂シートを金型間に配置する配置工程と、
    前記樹脂シートを前記金型に吸引する吸引工程と、
    吸引した前記樹脂シートに整流板を圧着する圧着工程と、
    前記金型を型締めし、前記樹脂シートを前記金型形状に沿った形状に成形し、ダクト内面に前記整流板を有するダクトを形成する型締工程と、
    を有することを特徴とするダクトの成形方法。
  2. 前記金型は、前記樹脂シートと接する箇所に凹部を有し、
    前記吸引工程は、前記樹脂シートを前記金型に吸引し、前記金型の前記凹部に対応する形状の凹部を前記樹脂シートに形成し、
    前記圧着工程は、前記樹脂シートに形成された凹部に前記整流板を圧着することを特徴とする請求項1記載のダクトの成形方法。
  3. パーティングラインを介して接着される第1の壁部と第2の壁部とを有して構成する樹脂製のダクトであって、
    少なくとも一方の壁部の内面に凹部を有し、前記凹部に整流板が取り付けられていることを特徴とするダクト。
  4. 前記凹部の位置に対応する前記壁部の外面に前記凹部形状に対応する形状の凸部を有することを特徴とする請求項3記載のダクト。
  5. 前記整流板の端部には、前記整流板を前記凹部に取り付けるための取付部を有し、前記凹部に取り付けられた前記取付部の上面は、前記壁部の内面と同一平面上に位置することを特徴とする請求項3または4記載のダクト。
  6. 前記整流板の端部には、前記整流版を前記凹部に取り付けるための取付部を有し、前記凹部に取り付けられた前記取付部は、前記壁部に埋め込まれており、前記取付部の上面の少なくとも一部が前記樹脂で覆われていることを特徴とする請求項3または4記載のダクト。
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