JP5769078B2 - 樹脂製熱伝達ユニットの製造方法 - Google Patents
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Description
この床暖房パネルユニットは、金属薄膜と熱可塑性樹脂層とを接着し、金属薄膜側に放熱配管を収容する長溝を形成した伝熱シートと、熱可塑性樹脂製シートと、発泡樹脂製基体との矩形平板状の3層の積層構造から概略構成され、伝熱シートを上側、発泡樹脂製基体を下側にして床面に配置される。
しかしながら、このような床暖房パネルユニットには、放熱配管と床暖房パネルユニットとが別々であることに起因して、以下のような技術的問題点が存する。
すなわち、放熱配管を含めた床暖房システムの効率的な製造が困難な点である。
特に、放熱配管は、通常、ループ状の蛇行形態で床全面に張り巡らされることから、直線部とU字状湾曲部とから構成され、直線部とU字状湾曲部とを交互に接続する必要があった。
しかしながら、放熱配管を含め、2枚の樹脂製板状体を溶着することにより一体のパネル状とした場合に、たとえば2枚の樹脂製板状体それぞれにおいて、放熱配管の一部を構成する凹部(たとえば、半円状断面)を形成し、凹部の開口同士を突き合わせる態様でこの2枚の樹脂製板状体を突き合わせ溶着するとすれば、新たな技術的問題点が引き起こされる。
より詳細には、平面状の床面に対して、2枚の樹脂製板状体のいずれかが突き合わせされて、突き合わせ面を通じて伝導形態で熱が伝達されるところ、放熱配管の一部を構成する凹部のために、樹脂製板状体の突き合わせ面には、外方に突出する凸部が形成されることになることから、床面と樹脂製板状体との間で密着した面接触が確保されず、その分、非効率な熱伝導形態となる。
このように、内部に流体が流れる内部配管を設け、流体を放熱用として外部へ熱を放熱、あるいは流体を受熱用として外部から熱を受熱する用途に用いる熱伝達ユニットにおいて、効率的な熱交換を維持しつつ、効率的な製造を可能にする樹脂製熱伝達ユニットの製造方法が業界で要望されている。
しかしながら、高周波溶着方法は、2枚の樹脂製シートの溶着すべき部分同士を押圧しつつ加熱した状態で、高周波により振動させることにより溶着させるものであり、溶融粕が生じ、冷却して樹脂の粉体を発生したり、あるいは内部流路内へ樹脂の染み出しが生じることがあり、そのための後処理工程が必要となる。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、内部流路形状を精度よく形成可能な樹脂製熱伝達ユニットの製造方法を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、内部流路形状を精度よく形成可能であり、要求される機能に応じた所望の肉厚を実現可能な樹脂製熱伝達ユニットの製造方法を提供することにある。
放熱用あるいは受熱用流体の内部流路を有する平板状の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法であって、
互いのキャビティを対向させて配置され、型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型を準備する段階と、
表面に内部流路の一部を形成すべき溶融状態の一方の熱可塑性樹脂製シートと、伝熱板を構成する他方の熱可塑性樹脂製シートとを互いに間隔を隔てて、それぞれキャビティからはみ出す形態で、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、
一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、一方の熱可塑性樹脂製シートを吸引して、内部流路と相補形状の凹部を表面に設けた対応するキャビティに沿って賦形して、キャビティに対向する内表面側に突出する第1凹溝を形成する段階と、
前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの外表面のうち、該第1凹溝以外の平面部と、他方の熱可塑性樹脂製シートの外表面とを面溶着させて、該第1凹溝を閉鎖することにより内部流路を形成する段階と、
を有する構成としている。
さらに、両方の熱可塑性樹脂製シートに凹溝を形成したうえで、両方の熱可塑性樹脂製シートを溶着することにより内部流路を形成するとすれば、溶着の際の位置ずれに伴って、形成される内部流路の断面形状が変わる可能性が高いところ、このようなリスクを回避することも可能であり、溶着の際、従来のように、高周波溶着方法を用いずに、分割金型の型締めを利用して、溶融状態の熱可塑性樹脂製シート同士を溶着することにより、高周波溶着方法に起因する樹脂の粉体の発生、あるいは樹脂の染み出し等の不都合を未然に防止することが可能である。
加えて、本樹脂製熱伝達ユニットの製造方法によれば、熱伝導面を形成するいずれかの熱可塑性樹脂製シートの外表面を平面状とすることにより、たとえば、熱を伝達すべき床面に対して密着して突き合わせることが可能であり、効率的な熱交換が可能であるとともに、従来のように、熱媒体の流通用配管を別途製造することなしに、樹脂製熱伝達ユニットの内部に内部流路を一体で形成することにより、効率的な製造が可能である。
前記第1凹溝形成段階と併行して、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、他方の熱可塑性樹脂製シートを吸引して、前記流入開口および前記流出開口に対して前記第1凹溝と協働して相補形状をなす凹部を表面に設けた対応するキャビティに沿って賦形して、キャビティに対向する内表面側に突出する第2凹溝を形成する段階をさらに有し、
前記型締め段階により、一方の熱可塑性樹脂製シートの第1凹溝と、他方の熱可塑性樹脂製シートの第2凹溝とを突き合わせることにより、前記流入開口および前記流出開口がそれぞれ形成され、
さらに、前記内部流路形成後に、前記流入開口および前記流出開口それぞれに対して外部管路を接続する段階を有するのがよい。
加えて、前記型締め段階後に、前記型締めにより形成される前記一対の金型間の密閉空間内にブロー圧をかけて、さらに前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれを賦形する段階を有するのがよい。
さらに、前記型締め段階後に、前記型締めにより形成される前記一対の金型間の密閉空間内にブロー圧をかけつつ、前記一方および/または前記他方の熱可塑性樹脂製シートを対応するキャビティから真空引きすることにより、さらに前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれを賦形する段階を有するのがよい。
加えて、前記一方の熱可塑性樹脂製シートの厚みは、前記他方の熱可塑性樹脂製シートの厚みより厚く設定するのがよい。
加えて、前記一方および前記他方の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを下方に垂下する形態で、前記一対の分割金型の間に向かって押し出す段階を有するのがよい。
さらに、前記押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態のパリソンを押し潰してシート状に形成されるのがよい。
さらにまた、内部流路と相補形状の、前記キャビティの前記凹部の端部は、対応するキャビティの上下方向の縁部を抜けるように設けられるのがよい。
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
Tダイに設けられた所定間隔の押出スリットから溶融状態のシート状に下方に垂下するように、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、を有し、
それにより、押出スリットから熱可塑性樹脂製シートが所定の厚みにて所定押出速度で下方に押し出され、
下方に押し出された熱可塑性樹脂製シートの最下部が、押出スリットの下方に配置され、かつ間隔が熱可塑性樹脂製シートの前記所定の厚みより広げられた一対のローラー間を通過した後に、一対のローラー同士を相対的に近接させることにより、一対のローラーで熱可塑性樹脂製シートを挟み込み、ローラーの回転駆動により前記所定押出速度以上の速度で下方へ送り出す段階とを有するのがよい。
それにより、押出スリットから押し出された際の厚み以下の範囲で前記一対のローラーを通過後の熱可塑性樹脂製シートの厚みを延伸薄肉化し、金型の側方に配置された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの厚みを押し出し方向に略一様に形成するのがよい。
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
Tダイに設けられた所定間隔の押出スリットから溶融状態のシート状に下方に垂下するように、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、を有し、
sそれにより、押出スリットから熱可塑性樹脂製シートが所定の厚みにて所定押出速度で下方に押し出され、
前記一対の分割金型の間への配置する段階前に、熱可塑性樹脂製シートの下部を下方にけん引することにより、シートの肉厚を調整する段階を有するのがよい。
加えて、前記一対の金型の少なくとも一方の金型のキャビティの表面に、内部流路と相補形状の前記凹部とは連通しない第2凹部を設け、
前記一対の分割金型の型締めにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの前記第1凹溝以外の平面部と他方の熱可塑性樹脂製シートの外表面とを面溶着させる際、前記内部流路と連通しない密閉中空部を形成するのでもよい。
さらに、前記一対の分割金型の型締の際、対向するキャビティの表面同士の間隔が、一方の熱可塑性樹脂製シートの厚みおよび他方の熱可塑性樹脂製シートの厚みの合計より少なくとも小さくなるように設定され、
前記一方の熱可塑性樹脂製シートに対応するキャビティの前記凹部の縁に沿って、対向するキャビティに向かって突出する突出部を設け、
それにより、前記前記一対の分割金型の型締の際、前記第1凹溝の縁に沿って前記他方の熱可塑性樹脂製シートの外表面との溶着性を高める段階を有するのがよい。
さらにまた、前記一対の分割金型の少なくとも一方に、キャビティを取り囲むようにピンチオフ部を設け、
該ピンチオフ部の高さは、前記一対の分割金型の型締の際、対向するキャビティの表面同士の間隔が、一方の熱可塑性樹脂製シートの厚みおよび他方の熱可塑性樹脂製シートの厚みの合計より少なくとも小さくなるように設定されるのがよい。
図1ないし図3に示すように、樹脂製床暖房パネルユニット200は、2枚の樹脂製シート216、218を貼り合わせたパネル状の2層構造をなし、第1樹脂製シート216の内表面224と第2樹脂製シート218の内表面226とを面溶着することにより、内部に内部流路202が形成されている。内部流路202は、樹脂製床暖房パネルユニット200面内において蛇行するように、全体に亘って形成されている。
床暖房パネルユニット200は、第2樹脂製シート218を上側、第1樹脂製シート216を下側にして床面Fに配置され、より具体的には、たとえば床合板の上に敷設され、床暖房パネルユニット10の上には、床仕上げ材が設けられ、床暖房パネルユニット10は、第2樹脂製シート218の高い熱伝導性により上方の床仕上げ材への熱伝導を促進するように構成されている。なお、床合板および床仕上げ材は、たとえば木製が採用され、主に放熱あるいは熱伝導の観点からその厚みが適宜定められる。
内部流路202は、図1に示すように、流入開口210から流出開口212に向かって、曲管部204と直管部206とが交互に連なる構成であり、直管部206は、互いに平行に配置されている。内部流路202の断面は、図3に示すように、外表面220側に突出する半円状に形成されている。
より詳細には、第1樹脂製シート216の内表面224には、半円状断面の蛇行凹溝205が成形され、第2樹脂製シート218は、平坦に成形されており、それらを貼り合わせて内部流路202が形成されている。内部流路202の流路断面、特に内径、および蛇行流路の全長、湾曲部の径等は、要求される暖房機能との関係で内部流路202内を流す流体の流量等から定めればよい。
図3に示すように、第1樹脂製シート216の外表面220には、内部流路202の縁部に相当する部分に沿って、切り込み207が形成されている。これは、後に説明するように、第1樹脂製シート216の内表面224のうち蛇行凹溝205が形成される部分以外の平面部と、第2樹脂製シート218の内表面226とを面溶着する際、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2が押圧されることにより、内部流路202内に流れ込むのを防止する観点から、蛇行凹溝205の縁部を第2樹脂製シート218の内表面226に対して相対的に強く押圧することにより、形成されたものである。
図2に示すように、内部流路202の端部は、拡径の円形断面状に形成され、樹脂製床暖房パネルユニット200の外縁部で開口している。より詳細には、第1樹脂製シート216の蛇行凹溝205の内部流路202の端部に相当する位置に、第2樹脂製シート218の凹溝209が部分的に形成され、それにより、円形断面の流入開口210および流出開口212が形成されている。この内部流路202の各端部には、図1に示すように、接続管路214の一端部が挿入される。
図4に示すように、樹脂製床暖房パネルユニット200の成形装置10は、押出装置12と、押出装置12の下方に配置された型締装置14とを有し、押出装置12から押出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを型締装置14に送り、型締装置14により溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを成形するようにしている。ここに、2枚の熱可塑性樹脂それぞれを押し出して、型締装置14まで送るまでの装置は、同様であるので、一方のみ説明し、他方については同様な参照番号を付することによりその説明は省略する。
熱可塑性樹脂製シートP1は、内部流路202に相当する蛇行凹溝205を成形するのに用いられ、一方熱可塑性樹脂製シートP2は、蛇行凹溝205を閉鎖するのに用いられ、熱可塑性樹脂製シートP2の外表面が、床仕上げ材に面接触する。
なお、一対のローラー30の代替として、熱可塑性樹脂製シートPを一対の分割金型23の間に配置する前に、たとえば、既知のクランパにより、熱可塑性樹脂製シートPの下部を挟持して下方にけん引することにより、熱可塑性樹脂製シートPの肉厚を調整してもよい。
それぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべき熱可塑性樹脂製シートPの押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー30間に熱可塑性樹脂製シートPを挟み込んだ状態で、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー30Aの径は、被回転駆動ローラー30Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300ミリの範囲であることが好ましく、熱可塑性樹脂製シートPとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎても熱可塑性樹脂製シートPがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
一方、型締装置14も、押出装置12と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bと、金型32A,Bを溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置とを有する。
より詳細には、熱可塑性樹脂製シートP1を成形する一方の金型32Aのキャビティ116Aの表面には、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面121に内部流路202の一部を構成する蛇行凹溝205を形成するように、蛇行凹溝205と相補形状の凹部119が設けられている。
凹部119はキャビティ116Aの表面において、図1の内部流路202の向きと同じに設けられ(図1の上下方向が、熱可塑性樹脂製シートPの押し出し方向に相当する)、後に説明するように、キャビティ116Aの水平方向の縁部には、型枠33が設置されることから、凹部119の各端部は、対応するキャビティ116Aの上下方向の縁部を抜けるように設けられる。
また、凹部119の縁に沿って、対向するキャビティ116Bに向かって突出する突出部(図示せず)を設け、それにより、一対の分割金型32を型締することにより、熱可塑性樹脂製シートP1と熱可塑性樹脂製シートP2とを溶着する際、突出部に相当する熱可塑性樹脂製シートP1の部分に対して、他の部分に比べ高い押圧力が付加され、上述のように、切り込み207が形成され、蛇行凹溝205の縁に沿って熱可塑性樹脂製シートP2の外表面との溶着性を高めるようにしてある。
より詳細には、密閉中空部を設けることにより、面溶着面積を小さくし、面溶着部分で押し潰された溶融状態の樹脂の逃げ場を形成している。
この点において、金型32Aのキャビティ116Aの表面でなく、金型32Bのキャビティ116Bの表面に第2凹部を設けてもよいし、あるいは金型32Bのキャビティ116Bの表面の第2凹部に対応する位置にも第3凹部を設け、第2凹部と第3凹部とが協働して密閉中空部を形成してもよい。
一方、金型32Bのキャビティ116Bの表面の、キャビティ116Aの凹部119の各端部に対応する位置には、凹部(図示せず)が形成され、分割形式の金型32A,Bを型締めした際、凹部119と凹部とが協働して、図2に示すような、円形断面の流入開口210あるいは流出開口212が賦形され、それにより、外部管路と接続可能にしている。
ピンチオフ部118の先端部同士が当接した際の対向するキャビティ116A,Bの表面同士の間隔は、熱可塑性樹脂製シートP1の厚みおよび熱可塑性樹脂製シートP2の厚みの合計より少なくとも小さくなるように設定され、それにより、分割形式の金型32A,Bを型締する際、熱可塑性樹脂製シートP1と熱可塑性樹脂製シートP2とが面溶着可能なようにしている。なお、ピンチオフ部118は、いずれか一方の金型32A,Bに設けてもよい。
なお、熱可塑性樹脂製シートP1用の押出装置および一対のローラーと、熱可塑性樹脂製シートP2用の押出装置および一対のローラーとは、この閉位置に関して対称に配置されている。
一方、分割金型32Bには、金型32A、Bを型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。
さらに、熱可塑性樹脂製シートP1、P2には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
以上の構成を有する樹脂製床暖房パネルユニット200の成形装置10を利用した樹脂製床暖房パネルユニット200の製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
次いで、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出す。
すなわち、ピストンーシリンダー機構96を駆動することにより、図5(B)に示すように、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出す。その際、ローラー30の回転によりスウェルした状態の熱可塑性樹脂製シートPが一対のローラー30に送られている間、一対のローラー30による熱可塑性樹脂製シートPの下方への送り出し速度が、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度以上となるようにローラーの回転速度を調整する。
このとき、時間経過とともにローラーの回転速度を低下させて、送り出し速度を熱可塑性樹脂製シートPの押出速度に近づけるように調整する。
いずれの場合であっても、時間経過とともに、一対のローラー30の回転による熱可塑性樹脂製シートPの下方への送り出し速度と、熱可塑性樹脂製シートPの押出速度との相対速度差が縮まることから、熱可塑性樹脂製シートPの上部ほど一対のローラー30による下方への引っ張り力が低下し、相対的にこのような引っ張り力に伴う延伸薄肉化が低減され、ドローダウンあるいはネックインに伴う薄肉化を相殺し、ドローダウンあるいはネックインを有効に防止し、以て押出方向に一様な厚みを形成することが可能である。
このように一対のローラー30を用いて、熱可塑性樹脂製シートPの厚みを調整する際、熱可塑性樹脂製シートP1は、内部流路202の一部を構成する凹溝を成形することに起因してブロー比が高いことから、賦形後の最小肉厚部が所定肉厚以上となるように厚みを決定し、一方、熱可塑性樹脂製シートP2は、床仕上げ材との面接触を確保するために、円形断面の流出開口212あるいは流入開口210を成形するための凹部が形成される以外は平面状であり、熱可塑性樹脂製シートP1と比較して、ブロー比が低いことから、賦形後の最大肉厚部が所定肉厚以下となるように厚みを決定するのがよい。特に、熱可塑性樹脂製シートP1の厚みは、熱可塑性樹脂製シートP2の厚みより厚く設定するのがよい。このようなそれぞれの熱可塑性樹脂製シートP1およびP2の厚みに応じて、対向する一対のローラーを用いて厚みを調整すればよい。
以上の工程を、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれについて行い、熱可塑性樹脂製シートP2と熱可塑性樹脂製シートP1とを互いに間隔を隔てた状態で、分割金型32A,B間に配置する。
この場合、上述のように、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2はそれぞれ、互いに独立に、押し出しスリット34の間隔、あるいは一対のローラ30の回転速度を調整することにより、分割金型32A,B間に配置される際の厚みを調整可能である。
次いで、図7に示すように、型枠33Aを金型32Aに対して、熱可塑性樹脂製シートP1に向かって、金型32Aに対向する熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117に当たるまで移動させる。
蛇行凹溝205の形成段階と併行して、同様に、熱可塑性樹脂製シートP2と一対の金型32の対応する金型32Bとの間に密閉空間を形成して、密閉空間から空気を減圧することにより、熱可塑性樹脂製シートP2を吸引して、流入開口210および流出開口212に関連して、キャビティ116Aの凹部119と協働して相補形状をなす凹部(図示せず)を設けたキャビティ116Bに沿って賦形して、キャビティ116Bに対向する内表面側に突出する凹溝209を形成する。
なお、このような熱可塑性樹脂製シートP1およびP2の対応するキャビティ116への吸引賦形により、後に説明する金型の型締めの際、熱可塑性樹脂製シートP1およびP2同士がくっつき合って成形不良となる事態を防止することが可能である。
また、熱可塑性樹脂製シートP1に対応するキャビティ116Aの凹部119の縁に沿って、対向するキャビティ116Bに向かって突出する突出部(図示せず)を設けているので、一対の分割金型32の型締の際、他の部分に比べて高い押圧力が付加されることで、蛇行凹溝205の縁に沿って熱可塑性樹脂製シートP2の外表面との溶着性が高められ、同様に、面溶着部分で押し潰された溶融状態が内部流路202内にあふれ出すのを有効に防止することが可能である。
次いで、図10に示すように、分割金型32A,Bを型開きして、成形された樹脂製床暖房パネルユニット200を取り出し、ピンチオフ部118A,Bの外側のバリ部分Bを切断し、これで成形が完了する。
次いで、流入開口210および流出開口212それぞれに対して外部管路を接続する。これで、樹脂製床暖房パネルユニット200が完成する。
さらに、両方の熱可塑性樹脂製シートPに凹溝を形成したうえで、両方の熱可塑性樹脂製シートPを溶着することにより内部流路202を形成するとすれば、溶着の際の位置ずれに伴って、形成される内部流路202の断面形状が変わる可能性が高いところ、このようなリスクを回避することも可能であり、溶着の際、従来のように、高周波溶着方法を用いずに、分割金型32の型締めを利用して、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP同士を溶着することにより、高周波溶着方法に起因する樹脂の粉体の発生、あるいは樹脂の染み出し等の不都合を未然に防止することが可能である。
加えて、本樹脂製熱伝達ユニットの製造方法によれば、熱伝導面を形成するいずれかの熱可塑性樹脂製シートPの外表面を平面状とすることにより、たとえば、熱を伝達すべき床面に対して密着して突き合わせることが可能であり、効率的な熱交換が可能であるとともに、従来のように、熱媒体の流通用配管を別途製造することなしに、樹脂製熱伝達ユニットの内部に内部流路202を一体で形成することにより、効率的な製造が可能である。
また、本実施形態においては、押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを利用して、樹脂製床暖房パネルユニット200としてダイレクトに賦形・成形するものとして説明したが、それに限定されることなく、賦形・成形するのに必要な溶融状態を実現する限り、いったん押出成形し、冷却した熱可塑性樹脂製シートPを再度加熱して溶融状態とした材料を利用して賦形・成形を行ってもよい。
さらにまた、本実施形態においては、Tダイよりシート状に押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを利用したが、それに限定されることなく、溶融状態の筒状パリソンを押し潰してシート状に形成するものでもよい。
加えて、本実施形態においては、樹脂製床暖房パネルユニット200を成形する際、内部流路内への溶融樹脂の流れ込み、あるいは良好な面溶着を確保するために、内部流路と連通しない密閉中空部を形成するとともに、内部流路の一部を形成する熱可塑性樹脂製シートP1の凹溝の縁部と熱可塑性樹脂製シートP2との溶着性を高めたが、それに限定されることなく、面溶着の広さ、面溶着の強さ等に応じて、いずれか一方とするのでもよい。
10 成形装置
12 押出装置
14 型締装置
16 ホッパー
18 シリンダー
22 油圧モーター
24 アキュムレータ
26 プランジャー
28 Tダイ
30 ローラー
32 分割金型
33 型枠
34 押出スリット
94 ローラー回転駆動手段
96 ローラー移動手段
98 回転駆動モータ
102 端周面
104 第1歯車
106 端周面
108 第2歯車
110 ピストンーシリンダ機構
111 回転数調整装置
112 浅溝
116 キャビティ
118 ピンチオフ部
200 樹脂製熱伝達ユニット
202 内部流路
204 曲管部
205 凹溝
206 直管部
207 切り込み
208 上下方向縁部
209 凹溝
210 流入開口
212 流出開口
214 接続管路
216 第1樹脂製シート
218 第2樹脂製シート
220 外表面
222 外表面
224 内表面
226 内表面
Claims (17)
- 放熱用あるいは受熱用流体の内部流路を有する平板状の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法であって、互いのキャビティを対向させて配置され、型締め位置と開放位置との間で相対移動可能な一対の分割金型を準備する段階と、賦形されることにより内部流路の一部を形成すべき溶融状態の一方の熱可塑性樹脂製シートと、伝熱板を構成する他方の熱可塑性樹脂製シートとを互いに間隔を隔てて、それぞれキャビティからはみ出す形態で、開放位置の一対の分割金型の間に配置する段階と、一方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応する金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、一方の熱可塑性樹脂製シートを吸引して、内部流路と相補形状の凹部を表面に設けた対応するキャビティに沿って賦形して、キャビティに対向する内表面側に底部を有する第1凹溝を形成する段階と、前記一対の分割金型を型締め位置まで移動させることにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの外表面のうち、該第1凹溝以外の平面部と、他方の熱可塑性樹脂製シートの外表面とを面溶着させて、該第1凹溝を閉鎖することにより内部流路を形成する段階と、を有することを特徴とする樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。
- 前記内部流路は、樹脂製熱伝達ユニットの縁部に設けられ、外部流路に接続される流入
開口から、樹脂製熱伝達ユニットの縁部に設けられ、外部流路に接続される流出開口まで
蛇行状に延び、
前記第1凹溝形成段階と併行して、他方の熱可塑性樹脂製シートと一対の金型の対応す
る金型との間に密閉空間を形成して、該密閉空間から空気を減圧することにより、他方の
熱可塑性樹脂製シートを吸引して、前記流入開口および前記流出開口に対して前記第1凹
溝と協働して相補形状をなす凹部を表面に設けた対応するキャビティに沿って賦形して、
キャビティに対向する内表面側に突出する第2凹溝を形成する段階をさらに有し、
前記型締め段階により、一方の熱可塑性樹脂製シートの第1凹溝と、他方の熱可塑性樹
脂製シートの第2凹溝とを突き合わせることにより、前記流入開口および前記流出開口が
それぞれ形成され、
さらに、前記内部流路形成後に、前記流入開口および前記流出開口それぞれに対して外
部管路を接続する段階を有する、請求項1に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記一方および/または前記他方の熱可塑性樹脂製シートは、予め予備成形され、再加
熱して溶融状態とされる、請求項1に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記型締め段階後に、前記型締めにより形成される前記一対の金型間の密閉空間内にブ
ロー圧をかけて、さらに前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂製シートそれぞれを賦形
する段階を有する、請求項1または請求項2に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記型締め段階後に、前記型締めにより形成される前記一対の金型間の密閉空間内にブ
ロー圧をかけつつ、前記一方および/または前記他方の熱可塑性樹脂製シートを対応する
キャビティから真空引きすることにより、さらに前記一方および前記他方の熱可塑性樹脂
製シートそれぞれを賦形する段階を有する、請求項1または請求項2に記載の樹脂製熱伝
達ユニットの製造方法。 - 前記一方の熱可塑性樹脂製シートは、賦形後の最小肉厚部が所定肉厚以上となるように厚みを決定し、前記他方の熱可塑性樹脂製シートは、賦形後の最大肉厚部が所定肉厚以下となるように厚みを決定する、請求項1に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。
- 前記一方および前記他方の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを下方に垂下する形態で、前
記一対の分割金型の間に向かって押し出す段階を有する、請求項1に記載の樹脂製熱伝達
ユニットの製造方法。 - 前記押し出される熱可塑性樹脂製シートは、溶融状態のパリソンを押し潰してシート状に
形成される、請求項7に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 内部流路と相補形状の、前記キャビティの前記凹部の端部は、対応するキャビティの上
下方向の縁部を抜けるように設けられる、請求項7または請求項8に記載の樹脂製熱伝達
ユニットの製造方法。 - 熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
Tダイに設けられた所定間隔の押出スリットから溶融状態のシート状に下方に垂下するよ
うに、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、
を有し、
それにより、押出スリットから熱可塑性樹脂製シートが所定の厚みにて所定押出速度で下
方に押し出され、
下方に押し出された熱可塑性樹脂製シートの最下部が、押出スリットの下方に配置され、
かつ間隔が熱可塑性樹脂製シートの前記所定の厚みより広げられた一対のローラー間を通
過した後に、一対のローラー同士を相対的に近接させることにより、一対のローラーで熱
可塑性樹脂製シートを挟み込み、ローラーの回転駆動により前記所定押出速度以上の速度
で下方へ送り出す段階とを有する、請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の樹脂
製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記ローラーによる送り出し段階において、熱可塑性樹脂製シートの前記所定押出速度に
応じて、一対のローラーによる送り出し速度が前記所定押出速度以上となる範囲で前記ロ
ーラーの回転速度を変動させる段階を有し、
それにより、押出スリットから押し出された際の厚み以下の範囲で前記一対のローラーを
通過後の熱可塑性樹脂製シートの厚みを延伸薄肉化し、金型の側方に配置された溶融状態
の熱可塑性樹脂製シートの厚みを押し出し方向に略一様に形成する、請求項10に記載の
樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 熱可塑性樹脂を溶融混練する段階と、
溶融混練した熱可塑性樹脂を所定量貯留する段階と、
Tダイに設けられた所定間隔の押出スリットから溶融状態のシート状に下方に垂下するよ
うに、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す段階と、
を有し、
それにより、押出スリットから熱可塑性樹脂製シートが所定の厚みにて所定押出速度で下
方に押し出され、
前記一対の分割金型の間への配置する段階前に、熱可塑性樹脂製シートの下部を下方に
けん引することにより、シートの肉厚を調整する段階を有する、請求項7ないし請求項9
のいずれか1項に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記減圧段階は、前記一対の分割金型それぞれの周縁に対して型締め方向に移動自在に
外嵌する外枠を対応する熱可塑性樹脂製シートの外表面に向かって移動させる段階を有し
、前記対応する熱可塑性樹脂製シートの外表面、前記外枠の内周面および前記一対の分割
金型のそれぞれのキャビティにより密閉空間を構成する、請求項1または請求項2に記載
の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記一方の熱可塑性樹脂製シートの厚みは、前記他方の熱可塑性樹脂製シートの厚みよ
り厚く設定する、請求項6に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記一対の金型の少なくとも一方の金型のキャビティの表面に、内部流路と相補形状の
前記凹部とは連通しない第2凹部を設け、
前記一対の分割金型の型締めにより、一方の熱可塑性樹脂製シートの前記第1凹溝以外の
平面部と他方の熱可塑性樹脂製シートの外表面とを面溶着させる際、前記内部流路と連通
しない密閉中空部を形成する、請求項1に記載の樹脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記一対の分割金型の型締の際、対向するキャビティの表面同士の間隔が、一方の熱可
塑性樹脂製シートの厚みおよび他方の熱可塑性樹脂製シートの厚みの合計より少なくとも
小さくなるように設定され、
前記一方の熱可塑性樹脂製シートに対応するキャビティの前記凹部の縁に沿って、対向
するキャビティに向かって突出する突出部を設け、
それにより、前記前記一対の分割金型の型締の際、前記第1凹溝の縁に沿って前記他方
の熱可塑性樹脂製シートの外表面との溶着性を高める段階を有する、請求項1に記載の樹
脂製熱伝達ユニットの製造方法。 - 前記一対の分割金型の少なくとも一方に、キャビティを取り囲むようにピンチオフ部を
設け、
該ピンチオフ部の高さは、前記一対の分割金型の型締の際、対向するキャビティの表面
同士の間隔が、一方の熱可塑性樹脂製シートの厚みおよび他方の熱可塑性樹脂製シートの
厚みの合計より少なくとも小さくなるように設定される、請求項1に記載の樹脂製熱伝達
ユニットの製造方法。
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