JP2005239937A - 活性光線硬化型インク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

活性光線硬化型インク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 低粘度かつ高感度で、高硬度で且つ柔軟な塗膜を様々な印字環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても形成することが出来る活性光線硬化型インク、それを用いたインクジェット用インク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 光重合性化合物として下記一般式(A)で表されるオキセタン環を有する化合物の少なくとも1種とエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
【化1】
Figure 2005239937

【選択図】 なし

Description

本発明は、本発明は、活性光線硬化組成物に関するものであり、低粘度で高感度で硬化し、更には形成された塗膜は密着性及び硬さと柔軟性に優れる活性光線硬化型インク、及びそれを用いたインクジェットインク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紫外線や電子線などの活性エネルギー線または熱により硬化する硬化組成物は、プラスチック、紙、木工及び無機質材等の塗料、接着剤、印刷インキ、印刷回路基板及び電気絶縁関係等の種々の用途に実用化されている。近年、その中でも印刷インキ、塗料、接着剤等ではより一層の耐候性と付着性の改善が望まれている。また、これらを使用したインクジェット用インクとしては、紫外線で硬化する紫外線硬化型ジェトインクがある。この紫外線硬化インクを用いたインクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されて(例えば、特許文献1、2参照。)いる。この分野においては、低粘度であることに加え、形成される膜がより強固であること及び柔軟であることが求められている。インクジェット用インクに可塑剤を添加することにより可塑性をもたせることができることが開示されて(例えば、特許文献3参照。)いる。しかし、溶融型インクにおけるものであり、紫外線硬化型インクジェットインクについての記載は無い。
また、これらのインクを用いた場合、記録材料の種類や作業環境によって、硬化感度が変動しやすいという問題がある。
ラジカル重合性化合物を用いたインクは、酸素阻害作用を受けるため、インク液滴量が少ない場合には硬化阻害が起こりやすい。また、カチオン重合性化合物を用いたインク(例えば、特許文献4〜7参照。)は、酸素阻害作用をうけることはないが、分子レベルの水分(湿度)の影響を受けやすいといった問題がある。
特開平6−200204号公報 特表2000−504778号公報 特開平8−3493号公報 特開2001−220526号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2002−188025号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2002−317139号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2003−55449号公報(特許請求の範囲、実施例)
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、低粘度かつ高感度で、高硬度で且つ柔軟な塗膜を様々な印字環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても形成することが出来る活性光線硬化型インク、それを用いたインクジェット用インク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
光重合性化合物として下記一般式(A)で表されるオキセタン環を有する化合物の少なくとも1種とエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
Figure 2005239937
〔式中、R101、R102、R103、R104、R105、R106は置換基を表し、m11、n11は0または1を表す。R107は炭素数4以上の置換あるいは無置換のアルキル基を表し、このアルキル基は直鎖アルキル基でも分岐アルキル基または環状のアルキル基でも良い。〕
(請求項2)
エポキシ化合物が下記一般式(B)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク。
Figure 2005239937
〔式中、R201、R202は置換基を表し、m20、n20は0、1または2を表す。r0は1〜3を表す。L0は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr0+1価の連結基または単結合を表す。〕
(請求項3)
光重合性化合物として、前記一般式(A)で表されるオキセタン化合物と共に、2位に置換基を有さないオキセタン環を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項4)
一般式(A)のR107が炭素数7以上の置換、無置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項5)
一般式(A)のR107がアルコキシ基で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項6)
エポキシ化合物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
Figure 2005239937
〔式中、R211、R212は置換基を表し、m21、n21は0、1または2を表す。p1、q1はそれぞれ0または1を表す。r1は1〜3を表す。L1は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr1+1価の連結基または単結合を表す。〕
Figure 2005239937
〔式中、R221、R222は置換基を表し、m22、n22は0、1または2を表す。p2、q2はそれぞれ0または1を表す。r2は1〜3を表す。L2は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr2+1価の連結基または単結合を表す。〕
(請求項7)
エポキシ化合物が下記一般式(III)または(IV)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
Figure 2005239937
〔式中、R231、R232は置換基を表し、m23、n23は0または1を表す。p3、q3はそれぞれ0または1を表す。r3は1〜3を表す。L3は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr3+1価の連結基または単結合を表す。〕
Figure 2005239937
〔式中、R241、R242は置換基を表し、m24、n24は0または1を表す。p4、q4はそれぞれ0または1を表す。r4は1〜3を表す。L4は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr4+1価の連結基または単結合を表す。〕
(請求項8)
2位に置換基を有さないオキセタン環を有する化合物が二つ以上のオキセタン環を有する多官能のオキセタン化合物であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項9)
活性光線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項10)
活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項11)
活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項12)
活性光線の照射により酸を発生する化合物が下記一般式(I−1)、(I−2)または(I−3)で表されるスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
Figure 2005239937
〔式中、R11、R12、R13は置換基を表し、m、n、pは0〜2の整数を表す。X11 -は対イオンを表す。〕
Figure 2005239937
〔式中、R14は置換基を表し、qは0〜2の整数を表す。R15、R16は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X12 -は対イオンを表す。〕
Figure 2005239937
〔式中、R17は置換基を表し、rは0〜3の整数を表す。R18は水素原子または置換、無置換のアルキル基を表し、R19、R20は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X13 -は対イオンを表す。〕
(請求項13)
25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項14)
顔料を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
(請求項15)
インクジェット記録ヘッドより、請求項14に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射し、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
(請求項16)
インクジェット記録ヘッドより、請求項14に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
(請求項17)
請求項15又は16に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、活性光線硬化型インク及び記録ヘッドを35〜100℃に加熱した後、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
(請求項18)
請求項15又は16に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、35〜60℃に加温した記録媒体に、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
本発明により、低粘度かつ高感度で、高硬度で且つ柔軟な塗膜を様々な印字環境下、特に湿度の高い雰囲気下においても形成することが出来る活性光線硬化型インク、それを用いたインクジェット用インク、画像形成方法、及びインクジェット記録装置を提供することができた。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討を行った結果、オキセタン環の2位に特定の置換基を有するオキセタン化合物とエポキシ化合物を共に含有するインクジェットインクを用いた場合に、低照度の光源でも環境湿度に影響を受けずに強固で、かつ柔軟な硬化膜を形成し、高画質な画像が得られることを見いだし、本発明に至った次第である。
本発明の2位置換型オキセタン化合物と同様にオキセタン環の2位に電子供与性の置換基を有するベンゼン環の置換した単官能のオキセタンとしては特開2001−181386号公報に記載されている2−(4−メトキシ−フェニル)−3,3−ジメチル−オキセタンがあるが、この特許ではエポキシ化合物との併用によるメリットは述べられておらず、両者を共に用いた場合に強固で、かつ柔軟な硬化膜を形成することについての言及もない。
本発明の2位置換型オキセタン化合物は3位に置換基を持たせることで、インク組成物として用いる場合に、その他の重合性化合物との相溶性を向上させることができ、安全性、疎水性、粘度、表面張力、その他の物性なども適宜設計することが可能となった。
本発明のインクジェットインクにおいては、2位置換型オキセタン化合物と共に用いるエポキシ化合物として、脂環式エポキシ化合物と併用することで、より好ましい反応性の向上、硬化膜強度の強化が可能となる。
以下、本発明の詳細について説明する。一般式(A)のR101〜R106で表される置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、等)、炭素数1〜6個のアルキ二ル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、等が挙げられる。
101とR102、R103とR104は、同一炭素上の2つの置換基が互いに末端で結合して2価の基となり環を形成してもよい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙がられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
本発明のオキセタンとしてはオキセタン環の3位には1つ以上の置換基を有するのが好ましい。好ましい置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。これらはさらに置換されていても良く、置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
本発明のオキセタンとしては、3位に置換、無置換のアルキル基が置換されているのが好ましく、2つのアルキル基で置換されることでオキセタンの3位が3級の炭素になることがより好ましい。アルキル基の置換基として好ましいものは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
本発明のオキセタンは、4位に電子吸引性基を置換することで、より反応性を高くすることが可能である。電子吸引性基とはハメットの置換基定数σpが正の値を取る置換基のことであり、電子吸引性基の具体例としては、−NO2、−CN、−SO2−Alkyl、−SO2−Aryl、−CO−Alkyl、−CO−Aryl、−CO−O−Alkyl、−CO−O−Aryl、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。本発明のオキセタン化合物において4位の置換基として好ましい電子吸引性基はα〜γ位の炭素原子上に前記の電子吸引性基の置換したアルキル基であり、特にフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
一般式(A)において、R107は炭素数4以上の置換、無置換のアルコキシ基を表す。このアルキル基は直鎖アルキル基でも分岐アルキル基または環状アルキル基でも良い。
107として炭素数3以下のアルキル基ではインク硬化膜の柔軟性が不充分である。炭素数4以上のアルキル基にすることで硬化膜への柔軟性付与効果が発現する。柔軟性付与の点からは炭素数はより大きくなる方が好ましいが、同時に硬化速度の低下を伴うためR107の炭素数は大きくなり過ぎるのも好ましくない。炭素数7〜15程度が好ましい。
107は置換基を有しても良い、置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)である。
これらの置換基のうち置換が可能なものはさらに置換基を有しても良い、置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、置換、無置換のアルコキシ基である。
以下に、本発明のオキセタン化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005239937
Figure 2005239937
Figure 2005239937
Figure 2005239937
本発明のオキセタン化合物の合成は、以下に文献に記載の方法に準じて、行うことができる。
A:Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
B:A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
C:Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
D:Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaoka and Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
E:Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
F:Chem.Ber.101,1850(1968)
G:“Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley & Sons,New York(1964)
H:Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
I:Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
J:Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
K:特開平6−16804号公報
L:ドイツ特許第1,021,858号
前記文献に従って、例示化合物の合成例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例1〕
例示化合物OX−1:1−n−Butoxy−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量とn−ブトキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHg(1mmHgは133.322Paである)の減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−(4−n−Butoxy−phenyl)−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.81&0.85(s,6H,CH3−)、1.00(t,3H,CH3−)、1.50(m,2H,−CH2−)、1.76(m,2H,−CH2−)、3.05(d,1H,−OH)、3.40(m,1H,−OH)、3.45〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、3.95(m,2H,−CH2−)、4.60(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.85(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.23(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−1のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR (CDCl3) δ(ppm):0.79(s,3H,CH3−)、0.98(t,3H,CH3−)、1.37(s,3H,CH3−)、1.50(m,2H,−CH2−)、1.77(m,2H,−CH2−)、3.96(m,2H,−CH2−)、4.25(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.90(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例2〕
例示化合物OX−2:1−iso−Butoxy−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量とiso−ブトキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−(4−iso−Butoxy−phenyl)−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.82&0.85(s,6H,CH3−)、1.03(d,6H,CH3−)、2.08(m,1H,>CH−)、3.21(d,1H,−OH)、3.40(m,1H,−OH)、3.45〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、3.71(m,2H,−CH2−O−)、4.59(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.85(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.23(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−2のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.85(s,3H,CH3−)、1.03(d,6H,CH3−)、1.37(s,3H,CH3−)、2.07(m,1H,>CH−)、3.71(d,2H,−CH2−O−)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.90(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例3〕
例示化合物OX−23:1−(2−Methoxy−ethoxy)−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量と2−メトキシエトキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−〔4−(2−Methoxy−ethoxy)−phenyl〕−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.80&0.83(s,6H,CH3−)、3.43(s,3H,CH3−)、3.25(m,1H,−OH)、3.40(m,1H,−OH)、3.45〜3.55(d,2H,−CH2−OH)、3.74&4.10(m,4H,−O−CH2−CH2−O−)、4.56(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.88(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.22(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−23のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.78(s,3H,CH3−)、1.37(s,3H,CH3−)、3.46(s,3H,CH3−)、3.75&4.12(m,4H,−O−CH2−CH2−O−)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.94(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.21(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例4〕
例示化合物OX−30:1−(1−Methyl−2−Methoxy−ethoxy)−4 −(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量と1−メチル−2−メトキシエトキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−〔4−(1−Methyl−2−Methoxy−ethoxy)−phenyl〕−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.81&0.85(s,6H,CH3−)、1.31(m,3H,CH3−CH<)、3.40(s,3H,CH3−O−)、3.07(m,1H,−OH)、3.15(m,1H,−OH)、3.47(m,2H,−CH2−CH<)、3.50〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、4.52(m,1H,>CH−CH2−O−)、4.57(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.89(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.22(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−30のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.86(s,3H,CH3−)、1.31(m,3H, CH3−CH<)、1.36(s,3H,CH3−)、3.41(s,3H,CH3−O−)、3.50&3.58(m,2H,−CH2−CH<)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.56(m,1H,>CH−CH2−O−)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.94(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例5〕
例示化合物OX−8:1−(2−Ethylhexyl−oxy)−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量と2−エチルヘキシルオキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−〔(2−Ethylhexyl−oxy)−phenyl〕−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.82&0.85(s,6H,CH3−)、1.00(d,6H,CH3−)、1.40〜1.60(m,8H,−CH2−)、2.05(m,1H,>CH−)、3.22(d,1H,−OH)、3.41(m,1H,−OH)、3.45〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、3.93(m,2H,−CH2−O−)、4.59(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.85(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.23(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−8のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.86(s,3H,CH3−)、1.03(t,6H,CH3−)、1.38(s,3H,CH3−)、1.40〜1.60(m,8H,−CH2−)、2.07(m,1H,>CH−)、3.96(m,2H,−CH2−)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.90(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例6〕
例示化合物OX−9:1−(3,3,5−Trimethylhexyl−oxy)−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量と3,3,5−トリメチルヘキシルオキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−〔(3,3,5−Trimethylhexyl−oxy)−phenyl〕−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.82&0.85(s,6H,CH3−)、1.10(s,9H,CH3−)、1.20(d,2H,−CH2−)、1.70(m,1H,>CH−)、1.75(m,2H,−CH2−)、3.21(d,1H,−OH)、3.40(m,1H,−OH)、3.45〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、3.95(m,2H,−CH2−O−)、4.59(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.85(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.23(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−9のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.85(s,3H,CH3−)、1.12(s,9H,CH3−)、1.20(d,2H,−CH2−)、1.37(s,3H,CH3−)、1.70(m,1H,>CH−)、1.76(m,2H,−CH2−)、3.96(d,2H,−CH2−O−)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.90(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
〔合成例7〕
例示化合物OX−33:1−(3−Methoxy−butoxy)−4−(3,3−dimethyl−oxetan−2−yl)−benzenの合成
イソブチルアルデヒド2.5当量と3−メトキシブトキシベンズアルデヒド1.0当量をメタノールに溶解し、室温で、水酸化カリウム1.5当量のメタノール溶液を滴下した。次いで60℃で4時間反応した後、反応液から酢酸エチルで抽出を行い、酢酸エチル抽出液を減圧濃縮した。濃縮後の混合物から1mmHgの減圧下に低沸点物を減圧溜去し粘調オイルの1−〔4−(3−Methoxy−butoxy)−phenyl〕−2,2−dimethyl−1,3−propanediolを得た。収率は60〜65%だった。
1H NMR(CD3OD)δ(ppm):0.81&0.85(s,6H,CH3−)、1.16(d,3H,CH3−CH<)、2.01(m,2H,−CH2−CH<)、3.07(m,1H,−OH)、3.15(m,1H,>CH−OCH3)、3.20(m,1H,−OH)、3.40(s,3H,CH3−O−)、3.95(m,2H,−CH2−)、3.50〜3.60(d,2H,−CH2−OH)、4.57(d,1H,−CH(−OH)−ベンジル位)、6.89(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.22(d,2H,−CH−ベンゼン環)
このテトラオール化合物を1.1倍モルの塩化メタンスルホニルと2.2倍モルのトリエチルアミンを用いてトルエン中でスルホネートとした。反応液を水層のpHが7になるまで水洗した後、1モル%のテトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩と50%水酸化ナトリウム溶液(10当量分)を加えて30±5℃で6時間反応した。反応液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、目的のオキセタンを得た。粗収率は90〜95%だった。
この粗製物をヘキサンでアルミナカラム精製し、例示化合物OX−33のオキセタン化合物を得た。収率は80〜85%だった。
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):0.86(s,3H,CH3−)、1.16(d,3H,CH3−CH<)、1.36(s,3H,CH3−)、2.01(m,2H,−CH2−CH<)、3.16(m,1H,>CH−OCH3)、3.41(s,3H,CH3−O−)、3.53&3.60(m,2H,−CH2−CH<)、3.95(m,2H,−CH2−)、4.24(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、4.50(d,1H,−O−CH2−オキセタン環)、5.44(s,2H,−CH−O−オキセタン環上ベンジル位)、6.94(d,2H,−CH−ベンゼン環)、7.20(d,2H,−CH−ベンゼン環)
その他の本発明のオキセタン化合物も、同様の方法で収率良く合成できる。
本発明のオキセタン化合物の添加量としては、10〜40質量%含有することが好ましい。10質量%未満であると硬化膜への柔軟性の付与が不充分になり。40質量%を超えると、硬化後の膜物性が弱く、使えない。本発明では、本発明のオキセタン化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインクジェットインクにおいては、一般式(A)で表されるオキセタン化合物と共に、エポキシ化合物を含有することが必須の構成要件である。
エポキシ化合物において、芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、迅速な硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
脂環式エポキシドとして好ましいのは前記一般式(B)で表される多官能のエポキシ化合物である。一般式(B)において、R201、R202は置換基を表す、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
20、n20は0〜2を表し、0または1が好ましい。
0は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr0+1価の連結基あるいは単結合を表す。主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基の例としては以下の基およびこれらの基と−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
メチレン基[−CH2−]
エチリデン基[>CHCH3
イソプロピリデン基[>C(CH32
1,2−エチレン基[−CH2CH2−]
1,2−プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]
1,3−プロパンジイル基[−CH2CH2CH2−]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(CH32CH2−]
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CH2C(OCH32CH2−]
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基
[−CH2C(CH2OCH32CH2−]
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH3)CH2CH2−]
1,4−ブタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2−]
1,5−ペンタンジイル基[−CH2CH2CH2CH2CH2−]
オキシジエチレン基[−CH2CH2OCH2CH2−]
チオジエチレン基[−CH2CH2SCH2CH2−]
3−オキソチオジエチレン基[−CH2CH2SOCH2CH2−]
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CH2CH2SO2CH2CH2−]
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基
[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
3−オキソペンタンジイル基[−CH2CH2COCH2CH2−]
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCH2OCH2CO−]
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−]
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基
[−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−]
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基
[−CH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2OCH(CH3)CH2−]
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CH2CH2OCH2C(CH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CH2CH2OCH2C(OCH32CH2OCH2CH2−]
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CH2CH2OCH2C(CH2OCH32CH2OCH2CH2−]
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基
[−CH2CH2O−COCH2CH2CO−OCH2CH2−]
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基
[−CH2CH2CO−OCH2CH2O−COCH2CH2−]
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C58−]
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C610−]
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C610−]
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C610−]
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−C46O−]
p−フェニレン基[−p−C64−]
m−フェニレン基[−m−C64−]
α,α′−o−キシリレン基[−o−CH2−C64−CH2−]
α,α′−m−キシリレン基[−m−CH2−C64−CH2−]
α,α′−p−キシリレン基[−p−CH2−C64−CH2−]
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42O−CH2−]
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH2−C42S−CH2−] イソプロピリデンビス−p−フェニレン基
[−p−C64−C(CH32−p−C64−]。
3価以上の連結基としては以上に挙げた2価の連結基から任意の部位の水素原子を必要なだけ除いてできる基およびそれらと−O−基、−S−基、−CO−基、−CS−基を複数組み合わせてできる基を挙げることができる。
0は置換基を有していても良い。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
0としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
高硬度の硬化膜を生成し、さらに硬化膜の基材密着性を良くすると言う点で特に好ましい脂環式エポキシドは前記一般式(I)または(II)で表される化合物である。
一般式(I)または(II)において、R211、R212、R221、R222は置換基を表す、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
21、n21、m22、n22は0〜2を表し、0または1が好ましい。
1は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr1+1価の連結基あるいは単結合を表し、L2は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr2+1価の連結基あるいは単結合を表す。
主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基の例としてはL0の説明で示したものを同じものが挙げられる。
1、L2としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
硬化感度が高く、さらに印字環境の変動によっても硬化感度が影響されにくいという点で特に好ましい脂環式エポキシドは前記一般式(III)または(IV)で表される化合物である。
一般式(III)または(IV)において、R231、R232、R241、R242は置換基を表す、置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基である。
23、n23、m24、n24は0〜2を表し、0または1が好ましい。
3は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr3+1価の連結基あるいは単結合を表し、L4は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr4+1価の連結基あるいは単結合を表す。
主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基の例としてはL0の説明で示したものを同じものが挙げられる。
3、L4としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
以下に、好ましい脂環式エポキシドの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005239937
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Figure 2005239937
エポキシ化合物の添加量としては、10〜80質量%含有することが好ましい。10質量%未満であると硬化環境(温度、湿度)により硬化性が著しく変わってしまい使えない。80質量%を超えると、硬化後の膜物性が弱く、使えない。より好ましい添加量としては20〜40質量%含有することが好ましい。本発明では、エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物は、その製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed. by Alfred Hasfner, The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes, John & Wiley and Sons, An Interscience Publication, New York, 1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号、特開平4−36263号、特開平4−69360号公報等の文献を参考にして合成できる。
本発明のインクジェットインクにおいては、一般式(A)で表されるオキセタン化合物と共に、2位が置換されていないオキセタン化合物を併用することで、感度向上効果あるいは硬化膜物性の改良効果を得ることができ好ましい。
以下、2位が置換されていないオキセタン化合物について説明する。2位が置換されていないオキセタン化合物の一例としては、下記一般式(101)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
一般式(101)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、2個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(102)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2005239937
一般式(102)において、R1は上記一般式(101)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては、下記一般式(103)、(104)及び(105)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
Figure 2005239937
一般式(103)において、R4は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
Figure 2005239937
一般式(104)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、またはC(CH32を表す。
Figure 2005239937
一般式(105)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に下記一般式(106)で示される基から選択される基も挙げることができる。
Figure 2005239937
一般式(106)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
例示化合物11は、前記一般式(102)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物12は、前記一般式(102)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(105)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
一般式(107)において、R1は前記一般式(101)のR1と同義である。
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(108)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
一般式(108)において、R1は前記一般式(101)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3または4である。
Figure 2005239937
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物13が挙げられる。
Figure 2005239937
更に、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(109)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
一般式(109)において、R8は前記一般式(106)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
Figure 2005239937
Figure 2005239937
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison, J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005239937
本発明のインクジェット用インク組成物においては、本発明のオキセタン化合物と共に、光酸発生剤を含有することが好ましい。
カチオン重合型インクで用いる光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、p−CH364SO3 -塩、CF3SO3 -塩などのスルホン酸塩を挙げることができる。
対アニオンとしてボレート化合物をもつものおよびPF6 -塩が酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
Figure 2005239937
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
Figure 2005239937
第3に、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
Figure 2005239937
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
Figure 2005239937
本発明で用いられる光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩誘導体(例えば、ユニオン・カーバイド社製のサイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6974、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−172)、アリルヨードニウム塩誘導体(例えば、ローディア社製のRP−2074)、アレン−イオン錯体誘導体(例えば、チバガイギー社製のイルガキュア261)、ジアゾニウム塩誘導体、トリアジン系開始剤及びその他のハロゲン化物等の酸発生剤が挙げられる。光酸発生剤は、カチオン重合性を有する化合物100質量部に対して、0.2〜20質量部の比率で含有させることが好ましい。光酸発生剤の含有量が0.2質量部未満では、硬化物を得ることが困難であり、20質量部を越えて含有させても、更なる硬化性向上効果はない。これら光酸発生剤は、1種または2種以上を選択して使用することができる。
本発明で用いられる光酸発生剤として好ましいのはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、等のオニウム塩であり、中でもスルホニウム塩化合物が好ましい。より好ましいスルホニウム塩化合物の構造として、前記一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩が挙げられる。
一般式(I−1)中、R11、R12、R13は置換基を表し、m、n、pは0〜2の整数を表す。X11 -は対イオンを表す。
一般式(I−2)中、R14は置換基を表し、qは0〜2の整数を表す。R15、R16は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X12 -は対イオンを表す。
一般式(I−3)中、R17は置換基を表し、rは0〜3の整数を表す。R18は水素原子または置換、無置換のアルキル基を表し、R19、R20は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X13 -は対イオンを表す。
更に、一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩について説明する。一般式(I−1)で、R11、R12、R13は置換基を表す。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基等)、炭素数1〜6個のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数1〜6個のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数4〜8のヘテロ原子含有芳香族環基(例えば、フリル基、チエニル基等)、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基である。これらの置換基のうち可能なものは更に置換されていてもよい。m、n、pは0〜2の整数を表しそれぞれが1以上であることが好ましい。X11 -は対アニオンを表す。対アニオンとしては、BF4 -、B(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -などの錯イオン、p−CH364SO3 -、CF3SO3 -などのスルホネートイオンを挙げることができる。対アニオンとしてはボレートイオンおよびPF6 -が酸発生能力が高く好ましい。
一般式(I−2)で、R14は置換基を表す。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基等)、炭素数1〜6個のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数1〜6個のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、炭素数6〜10のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基等)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数4〜8のヘテロ原子含有芳香族環基(例えば、フリル基、チエニル基等)、ニトロ基、シアノ基、等が挙げられる。好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。これらの置換基のうち可能なものは更に置換されていてもよい。qは0〜2の整数を表し1以上であることが好ましく、より好ましくは2である。
15、R16として好ましくは、置換、無置換のアルキル基、または置換、無置換のアリール基であり、置換基として好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、水酸基である。
12 -は対アニオンを表す。対アニオンとしては、BF4 -、B(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -などの錯イオン、p−CH364SO3 -、CF3SO3 -などのスルホネートイオンを挙げることができる。対アニオンとしてはボレートイオンおよびPF6 -が酸発生能力が高く好ましい。
一般式(I−3)で、R17は置換基を表す。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基等)、炭素数1〜6個のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、炭素数4〜8のヘテロ原子含有芳香族環基(例えば、フリル基、チエニル基等)、ニトロ基、シアノ基、等が挙げられる。好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基である。rは0〜3の整数を表し1以上であることが好ましく、より好ましくは2である。
18は水素原子または置換、無置換のアルキル基を表し、R19、R20は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基等)、炭素数1〜6個のアルキニル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、炭素数4〜8のヘテロ原子含有芳香族環基(例えば、フリル基、チエニル基等)、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基である。
18として好ましくは、水素原子または無置換の低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)であり、R19、R20として、好ましくは置換、無置換のアルキル基、または置換、無置換のアリール基であり、置換基として、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基である。X13 -は対アニオンを表す。対アニオンとしては、BF4 -、B(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -などの錯イオン、p−CH364SO3 -、CF3SO3 -などのスルホネートイオンを挙げることができる。対アニオンとしてはボレートイオンおよびPF6 -が酸発生能力が高く好ましい。
以下に、一般式(I−1)、(I−2)、(I−3)で表されるスルホニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005239937
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Figure 2005239937
光重合促進剤としては、アントラセン、アントラセン誘導体(例えば、旭電化工業社製のアデカオプトマーSP−100)、フェノチアジン(10H−フェノチアジン)、フェノチアジン誘導体(例えば、10−メチルフェノチアジン、10−エチルフェノチアジン、10−デシルフェノチアジン、10−アセチルフェノチアジン10−デシルフェノチアジン−5−オキシド、10−デシルフェノチアジン−5,5−ジオキシド、10−アセチルフェノチアジン−5,5−ジオキシド)が挙げられる。これらの光重合促進剤は1種または複数を組み合わせて使用することができる。
本発明のインクジェット用インク組成物には、上記説明した構成要素の他に、各種の添加剤を用いることができる。
本発明のインクジェット用インク組成物で用いる色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材が使用出来るが、耐候性の点から顔料が好ましい。
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I.Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I.Pigment Orange−16、36、38、
C.I.Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I.Pigment Violet−19、23、
C.I.Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I.Pigment Green−7、36、
C.I.Pigment White−6、18、21、
C.I.Pigment Black−7、
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる活性光線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤ではなく重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化の感度を維持することができる。
本発明のインクジェット用インク組成物においては、色材濃度として、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
本発明においては、吐出安定性、保存性を向上させる目的で、熱塩基発生剤も用いることができる。
熱塩基発生剤としては、例えば、加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位等の反応により分解してアミン類を放出する化合物や、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出するものが好ましく用いられる。具体的には、英国特許第998,949号明細書に記載のトリクロロ酢酸の塩、米国特許第4,060,420号明細書に記載のアルファースルホニル酢酸の塩、特開昭59−157637号公報に記載のプロピール酸類の塩、2−カルボキシカルボキサミド誘導体、特開昭59−168440号公報に記載の塩基成分に有機塩基の他にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いた熱分解性酸との塩、特開昭59−180537号公報に記載のロッセン転位を利用したヒドロキサムカルバメート類、加熱によりニトリルを生成する特開昭59−195237号公報に記載のアルドキシムカルバメート類等が挙げられる。その他、英国特許第998,945号、米国特許第3,220,846号、英国特許第279,480号の各明細書、特開昭50−22625号、同61−32844号、同61−51139号、同61−52638号、同61−51140号、同61−53634号〜同61−53640号、同61−55644号、同61−55645号の各公報に記載の熱塩基発生剤が有用である。
更に具体的に例を挙げると、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウムがある。上記の熱塩基発生剤は広い範囲で用いることができる。
本発明のインクジェット用インク組成物は、特開平8−248561号、同9−34106号の各公報をはじめとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することも可能である。
本発明のインクジェット用インク組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め、顔料高濃度の濃縮液を調製しておき、活性エネルギー線硬化性化合物で希釈することが好ましい。通常の分散機による分散でも充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーがかからず、多大な分散時間を必要としないため、インク成分の分散時の変質を招きにくく、安定性に優れたインクが調製される。インクは、孔径3μm以下、更には1μm以下のフィルターにて濾過することが好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物は、25℃での粘度が5〜50mPa・sと高めに調整することが好ましい。25℃での粘度が5〜50mPa・sのインクは、特に通常の4〜10KHzの周波数を有するヘッドから、10〜50KHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示す。粘度が5mPa・s未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められ、50mPa・sを越える場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても吐出特性そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となり、全く吐出できなくなる。
また、本発明のインクジェット用インク組成物は、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。また、コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には、0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
本発明においては、インクの25℃における表面張力が、25〜40mN/mの範囲にあることが好ましい。25℃におけるインクの表面張力が25mN/m未満では、安定した出射が得られにくく、また40mN/mを越えると所望のドット径を得ることができない。25〜40mN/mの範囲外では、本発明のように、インクの粘度や含水率を制御しながら出射、光照射しても、様々な支持体に対して均一なドット径を得ることが困難となる。
表面張力を調整するために、必要に応じて、界面活性剤を含有させてもよい。本発明に使用される界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、重合性基を有する界面活性化合物などが挙げられる。これらの中で特に、シリコーン変性アクリレート、フッ素変性アクリレート、シリコーン変性エポキシ、フッ素変性エポキシ、シリコーン変性オキセタン、フッ素変性オキセタンなど、不飽和結合やオキシラン、オキセタン環など重合性基を有する界面活性化合物が好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物には、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。記録媒体との密着性を改善するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その使用量は0.1〜5%の範囲であり、好ましくは0.1〜3%である。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる。
本発明の画像形成方法においては、インク出射時にはインクをインクジェットノズルごと加温し、インク液を低粘度させることが好ましい。加熱温度としては、30〜80℃、好ましくは35〜60℃である。
本発明において、インクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した記録材料のカール・しわの問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。
本発明においては、高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早い方が好ましいが、本発明においては、インクの粘度または含水率が好ましい状態となるタイミングで光照射を開始することが好ましい。
詳しくは、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線照射を開始することが好ましく、より好ましくは0.001〜0.4秒である。また、0.1〜3秒後、好ましくは0.2〜1秒以内に、インクの流動性が失われる程度まで光照射を行なった後、終了させることが好ましい。上記条件とすることにより、ドット径の拡大やドット間の滲みを防止することができる。
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号公報に開示されている。これによると、記録ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式で記録ヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号明細書では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源を記録ヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、かつ、全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
活性光線照射で用いる光源の例としては、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプ、低圧水銀ランプ、UVレーザー、キセノンフラッシュランプ、捕虫灯、ブラックライト、殺菌灯、冷陰極管、LEDをなどがあるが、これらに限定されないが、この中でも蛍光管が低エネルギー・低コストであり、好ましい。光源波長としては250〜370nm、好ましくには270〜320nmに発光波長のピークがある光源が、感度の点で好ましい。照度は、1〜3000mW/cm2、好ましくは1〜200mW/cm2である。また、電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
本発明のインクジェット用インク組成物を用いて、被記録媒体(基材ともいう)への画像印字を行うが、被記録媒体としては、従来各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂を全て用いることができ、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。
本発明で用いることのできる基材としては、通常の非コート紙、コート紙などの他に、非吸収性支持体を用いることができるが、その中でも、基材として非吸収性支持体を用いることが好ましい。
本発明においては、非吸収性支持体としては、各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類やガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材はインクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含むが、基材として、濡れ指数が40〜60mN/mであることが好ましい。
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
次いで、本発明の記録装置について説明する。
以下、本発明の記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明の記録装置の一態様であり、本発明の記録装置はこの図面に限定されない。
図1は、本発明の記録装置の要部の構成を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、記録材料Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、記録材料Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
記録材料Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行なう。
ヘッドキャリッジ2は記録材料Pの上側に設置され、記録材料P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ホワイト(W)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型インク(例えば、紫外線硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から記録材料Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出される紫外線硬化インクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
記録ヘッド3は記録材料Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に記録材料Pの他端まで移動するという走査の間に、記録材料Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して紫外線硬化インクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けて紫外線硬化インクの吐出を行なった後、搬送手段で記録材料Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対して紫外線硬化インクの吐出を行なう。
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3から紫外線硬化インクを吐出することにより、記録材料P上に紫外線硬化インク滴の集合体からなる画像が形成される。
照射手段4は特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、冷陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ管、冷陰極管、水銀ランプ管もしくはブラックライトが好ましい。特に波長365nmの紫外線を発光する冷陰極管及びブラックライトが滲み防止、ドット径制御を効率よく行なえ、かつ、硬化の際の皺も低減でき好ましい。ブラックライトを照射手段4の放射線源に用いることで、紫外線硬化インクを硬化するための照射手段4を安価に作製することができる。
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によって紫外線硬化インクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(紫外線硬化型インクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、記録材料Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と記録材料Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と記録材料Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
図2は、インクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す図である。
図2で示したインクジェット記録装置は、ラインヘッド方式と呼ばれており、ヘッドキャリッジ2に、各色のインクジェット記録ヘッド3を、記録材料Pの全幅をカバーするようにして、複数個、固定配置されている。ヘッドキャリッジ2は遮光されている。
一方、ヘッドキャリッジ2の下流側には、同じく記録材料Pの全幅をカバーするようにして、インク印字面全域をカバーするように配置されている照射手段4が設けられている。照明手段4に用いられる紫外線ランプは、図1に記載したのと同様のものを用いることができる。
このラインヘッド方式では、ヘッドキャリッジ2及び照射手段4は固定され、記録材料Pのみが、搬送されて、インク出射及び硬化を行って画像形成を行う。
実施例1
硬化組成物の作製
光重合性化合物、光重合開始剤、本発明の化合物及びその他添加剤を表1に示すように添加、溶解させて光硬化性組成物を作製した。
硬化組成物の硬化
以下の方法によって、塗膜を形成した後、硬化させた。得られた硬化組成物を合成紙(ユポ・コーポレーション(株)社製の合成紙ユポFGS)に膜厚が3μmになるように塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより1秒以内で照射し、硬化物を得た。
硬化物の評価方法
得られた硬化物の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
1)鉛筆引っかき試験:JIS K 5400に従って、荷重1000gで鉛筆(三菱ユニ)によって各硬化物の硬度を測定した。
即ち、JIS K5401に準拠した鉛筆引っ掻き試験機を用いた試験機法によって硬化膜の硬度を試験した。荷重は1000gで三菱ユニ鉛筆を使用して行なった。評価は、塗膜のすり傷で判定し、濃度記号の隣り合う2つの鉛筆について、すり傷が2回以上と2回未満とになる1組を求め、2回未満となる鉛筆の濃度記号を塗膜の鉛筆引っかき値とした。
2)基盤目テープ剥離残留付着率試験:JIS K 5400の碁盤目試験で得た硬化組成物試料に粘着テ−プ(スコッチ#250、住友スリ−エム製)を張り合わせて2kgのロ−ラ−で1往復圧着した後、一気に剥がし、残留している碁盤目状の試料の数を調査した。
3)柔軟性の評価:硬化組成物を合成紙(ユポ・コーポレーション(株)社製の合成紙ユポFGS)に膜厚が30μmになるように塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより1秒以内で照射し、硬化物を得た。得られた硬化膜をJIS K 5600 の耐屈曲性評価の方法にのっとり評価した。結果は表2に示す。
Figure 2005239937
使用した化合物を以下に示す。
セロキサイド2021P:ダイセル化学工業社製
オキセタンA:2−(4−メトキシ−フェニル)−3,3−ジメチル−オキセタン
OXT−221:東亞合成社製
OXT−212:東亞合成社製
Vf7010:Vikoflex7010(ATOFINA社製)
UVI−6992:ダウ・ケミカル社製 プロピオンカーボネート50%液
SP−152:アデカオプトマーSP−152 旭電化社製
塩基性化合物A:N−エチルジエタノールアミン
塩基性化合物B:トリイソプロパノールアミン
Figure 2005239937
表2より、本発明の試料は、膜硬度の劣化が殆ど無く、且つ、密着性及び柔軟性が向上していることが判る。
実施例2
《インク組成》
分散剤(PB822 味の素ファインテクノ社製)を5質量部と、表3に記載の各光重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間かけて撹拌、混合して溶解させた。次いで、この溶液に各種顔料を3質量部添加した後、直径1mmのジルコニアビーズ200gと共にポリ瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて2時間分散処理を行った。次いで、ジルコニアビーズを取り除き、各光重合開始剤、塩基性化合物、界面活性剤等の各種添加剤を表3に記載の組み合わせで添加し、これをプリンター目詰まり防止のため0.8μmメンブランフィルターで濾過して、インク組成物セットを調製した。
使用した顔料は下記の通り
K:CI pigment Black 7
C:CI pigment Blue 15:3
M:CI pigment Red 57:1
Y:CI pigment Yellow 13
W:酸化チタン(アナターゼ型:粒径0.2μm)
Lk:CI pigment Black 7
Lc:CI pigment Blue 15:3
Lm:CI pigment Red 57:1
Ly:CI pigment Yellow 13
《インクジェット画像形成方法》
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた図1に記載の構成からなるインクジェット記録装置に、上記調製した各硬化組成物インクを装填し、巾600mm、長さ20mの長尺の各記録材料へ、下記の画像記録を連続して行った。インク供給系は、インクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなり、前室タンクからヘッド部分まで断熱して50℃の加温を行った。なお、各硬化組成物インクの粘度にあわせてヘッド部を加温し、2〜15plの液滴量のマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動して、上記記載の硬化組成物インクを連続吐出した。また、記録材料は面ヒーターにより50℃に加温した。着弾した後、キャリッジ両脇の照射光源A:高圧水銀ランプVZero085(INTEGRATION TECHNOLOGY社製)または、照射光源B:メタルハライドランプ(日本電池社製 MAL400NL 電力=3kW・hr 120W/cm)により瞬時(着弾後0.5秒未満)に硬化させた。画像記録後に、総インク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmの範囲であった。なお、インクジェット画像の形成は、上記方法に従って、30℃・80%RHと25℃・20%RHの環境下で印字を行った。
なお、各照射光源の照度は、岩崎電機社製のUVPF−A1を用いて、254nmの積算照度を測定した。
また、記載した各記録材料の略称の詳細は、以下の通りである。
合成紙:ユポコーポレーション社製合成紙 ユポFGS
PVC:polyvinyl chioride
粘度の測定
25℃、せん断速度10001/s時の粘度を測定した。
射出性の評価
連続でインクを30分間吐出させた後、インク欠の状況を目視にて評価した。
◎:欠がなく、良好なレベル
○:欠がわずかにあるが、問題の無いレベル
△:欠があり、画質に影響を与えるレベル
×:欠が多発し、許容できないレベル。
インクジェット記録画像の評価
上記画像形成方法で記録した各画像について、下記の各評価を行った。目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価し、下記の基準に則り文字品質の評価を行った。
◎:ガサツキなし
○:僅かにガサツキが見える
△:ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×:ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル。
(色混じり(滲み、皺))
720dpiで、Y、M、C、K各色1ドットが隣り合うように印字し、隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、滲み及び皺の具合を目視観察し、下記の基準に則り色混じりの評価を行った。
◎:隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
○:隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△:隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれているが、ギリ
ギリ使えるレベル
×:隣り合うドットが滲んで混じりあっており、また、重なり部に皺の発生が
あり、使えないレベル。
硬化膜硬度、硬化膜の耐屈曲性の評価
シアン顔料を分散したシアンインクを用い上記のインクジェット画像形成方法によって印刷して作製した硬化膜の物理的特性を下記に示す試験で評価した。
1)鉛筆引っかき試験:JIS K 5400に従って、各硬化物の硬度を測定した。
2)柔軟性の評価:硬化組成物を合成紙(ユポ・コーポレーション(株)社製の合成紙ユポFGS)に膜厚が30μmになるように射出塗布した後、800mJ/cm2の紫外線をメタルハライドランプにより1秒以内で照射し、硬化膜を得た。得られた硬化膜をJIS K 5600 の耐屈曲性評価の方法にのっとり評価した。結果を表4に示す。
Figure 2005239937
使用した化合物を以下に示す。
F1405:メガファックスF1405
145P:ハリタック145P(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製)
R100:ハリタックR100(ロジン変性マレイン酸樹脂 播磨化学社製)
Figure 2005239937
表4の結果より、本発明の試料は、射出性も良く、かつ、画質も向上していることが判る。本発明の試料は、環境の違いによらず、良好な硬化性を示すことが判る。
本発明に用いられる記録装置の要部の構成を示す図である。 本発明に用いられる別の記録装置の要部の構成を示す図である。
符号の説明
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
4 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P 記録材料

Claims (18)

  1. 光重合性化合物として下記一般式(A)で表されるオキセタン環を有する化合物の少なくとも1種とエポキシ化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする活性光線硬化型インク。
    Figure 2005239937
    〔式中、R101、R102、R103、R104、R105、R106は置換基を表し、m11、n11は0または1を表す。R107は炭素数4以上の置換あるいは無置換のアルキル基を表し、このアルキル基は直鎖アルキル基でも分岐アルキル基または環状のアルキル基でも良い。〕
  2. エポキシ化合物が下記一般式(B)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インク。
    Figure 2005239937
    〔式中、R201、R202は置換基を表し、m20、n20は0、1または2を表す。r0は1〜3を表す。L0は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr0+1価の連結基または単結合を表す。〕
  3. 光重合性化合物として、前記一般式(A)で表されるオキセタン化合物と共に、2位に置換基を有さないオキセタン環を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インク。
  4. 一般式(A)のR107が炭素数7以上の置換、無置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  5. 一般式(A)のR107がアルコキシ基で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  6. エポキシ化合物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
    Figure 2005239937
    〔式中、R211、R212は置換基を表し、m21、n21は0、1または2を表す。p1、q1はそれぞれ0または1を表す。r1は1〜3を表す。L1は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr1+1価の連結基または単結合を表す。〕
    Figure 2005239937
    〔式中、R221、R222は置換基を表し、m22、n22は0、1または2を表す。p2、q2はそれぞれ0または1を表す。r2は1〜3を表す。L2は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr2+1価の連結基または単結合を表す。〕
  7. エポキシ化合物が下記一般式(III)または(IV)で表される化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
    Figure 2005239937
    〔式中、R231、R232は置換基を表し、m23、n23は0または1を表す。p3、q3はそれぞれ0または1を表す。r3は1〜3を表す。L3は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr3+1価の連結基または単結合を表す。〕
    Figure 2005239937
    〔式中、R241、R242は置換基を表し、m24、n24は0または1を表す。p4、q4はそれぞれ0または1を表す。r4は1〜3を表す。L4は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15のr4+1価の連結基または単結合を表す。〕
  8. 2位に置換基を有さないオキセタン環を有する化合物が二つ以上のオキセタン環を有する多官能のオキセタン化合物であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  9. 活性光線の照射により酸を発生する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  10. 活性光線の照射により酸を発生する化合物がオニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
  11. 活性光線の照射により酸を発生する化合物がスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
  12. 活性光線の照射により酸を発生する化合物が下記一般式(I−1)、(I−2)または(I−3)で表されるスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求項9に記載の活性光線硬化型インク。
    Figure 2005239937
    〔式中、R11、R12、R13は置換基を表し、m、n、pは0〜2の整数を表す。X11 -は対イオンを表す。〕
    Figure 2005239937
    〔式中、R14は置換基を表し、qは0〜2の整数を表す。R15、R16は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X12 -は対イオンを表す。〕
    Figure 2005239937
    〔式中、R17は置換基を表し、rは0〜3の整数を表す。R18は水素原子または置換、無置換のアルキル基を表し、R19、R20は置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアルケニル基、置換、無置換のアルキニル基、または置換、無置換のアリール基を表す。X13 -は対イオンを表す。〕
  13. 25℃における粘度が7〜40mPa・sであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  14. 顔料を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インク。
  15. インクジェット記録ヘッドより、請求項14に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射し、該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該活性光線硬化型インクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線を照射して活性光線硬化型インクを硬化させることを特徴とする画像形成方法。
  16. インクジェット記録ヘッドより、請求項14に記載の活性光線硬化型インクを記録材料上に画像様に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法であって、該インクジェット記録ヘッドの各ノズルより吐出する最小インク液滴量が、2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
  17. 請求項15又は16に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、活性光線硬化型インク及び記録ヘッドを35〜100℃に加熱した後、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
  18. 請求項15又は16に記載の画像形成方法に用いられるインクジェット記録装置であって、35〜60℃に加温した記録媒体に、吐出することを特徴とするインクジェット記録装置。
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