JP2004051924A - インクジェット記録用インクの保存方法及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】文字品質に優れ、色混じりの発生がない高精細な画像を安定に記録することができる活性光線硬化型インクジェット記録用インクの保存方法、画像形成方法を提供すること。
【解決手段】カチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェット記録用インクであって、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉することを特徴とするインクジェット記録用インクの保存方法。
【選択図】 なし
【解決手段】カチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェット記録用インクであって、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉することを特徴とするインクジェット記録用インクの保存方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な記録材料に高精細な画像を安定に再現できるインクジェット記録用インクの保存方法、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号、特開平6−200204号、特表2000−504778号において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、様々な記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
例えば、紫外線硬化型インクとしては、アクリル系組成物を中心としたラジカル重合型紫外線硬化型インクとカチオン重合型紫外線硬化型インクがある。ラジカル重合型紫外線硬化型インクは、その重合メカニズム上、酸素が介在した環境では酸素阻害作用を受けるため硬化性が落ちる問題がある。一方、カチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用を受けることはないが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受け易いといった問題があり、また暗反応が進み易く保存性に問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は文字品質に優れ、色混じりの発生がない高精細な画像を安定に記録することができる活性光線硬化型インクジェット記録用インクの保存方法、画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0009】
1)カチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェット記録用インクであって、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉することを特徴とするインクジェット記録用インクの保存方法。
【0010】
2)インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキセタン化合物を含有することを特徴とする前記1)に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
【0011】
3)インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキシラン基を有する化合物を含有することを特徴とする前記1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
【0012】
4)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性光線を照射することを特徴とする画像形成方法。
【0013】
5)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
6)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
7)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッド及び前記インクを35〜100℃に加熱して吐出することを特徴とする画像形成方法。
【0016】
8)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録材料上に着弾した前記インクに活性光線を照射し、且つ該記録材料上に着弾した前記インクを加熱することを特徴とする画像形成方法。
【0017】
9)記録材料が非吸収性の材料であることを特徴とする前記4)〜8)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
10)非吸収性の材料の表面エネルギーが3.5〜6.0×10−2Nm−1であることを特徴とする前記9)に記載の画像形成方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる活性光線硬化型インクジェット記録用インクは、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉され保存される。例えば、20℃、80%RHの高湿下でインクを容器に密閉することで、上記範囲の含水率にすることができるが、この限りでない。1.50質量%よりも低いと保存によるインク粘度のバラツキが大きくなり、記録ヘッドからの吐出が安定しない。特に、吐出するインク液滴量が小さい場合に厳しくなる。5.00質量%よりも高いとインクの硬化性が著しく劣ってしまう。特に、画質向上の為、インクが記録材料上に着弾後直ぐにインクを硬化させたい場合には厳しくなる。
【0020】
上記含水率の範囲内で保存されたカチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクを用いることで、インクの保存環境(温度・湿度)及び印字環境(温度・湿度)に左右されずに、安定に高精細な画像を形成することが可能となる。また、インク容器から記録ヘッドまでのインク供給系を密閉系とすることが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0021】
また、カチオン重合性モノマーとして、オキセタン化合物を含有する場合には、インク保存時の含水率の制御が特に有効である。オキセタン化合物とオキシラン基を有する化合物を併用する場合には、更に有効である。
【0022】
開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編・「イメ−ジング用有機材料」・ぶんしん出版(1993年)・187〜192ページ参照、技術情報協会・「光硬化技術」・2001年、に紹介されている光酸発生剤)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【0023】
【化1】
【0024】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0025】
【化2】
【0026】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【0027】
【化3】
【0028】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0029】
【化4】
【0030】
本発明のインクは、特開平8−248561号、同9−34106号を始めとして、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、更なる吐出安定性向上を可能とする。
【0031】
次に、本発明のインクに用いられるオキセタン化合物について説明する。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、例えば、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0032】
オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、又組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0033】
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
【0034】
【化5】
【0035】
式(1)において、R1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
【0036】
本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。次に、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0037】
【化6】
【0038】
式(2)において、R1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。又、R3は下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基でもある。
【0039】
【化7】
【0040】
式(3)において、R4は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0041】
【化8】
【0042】
式(4)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2又はC(CH3)2である。
【0043】
【化9】
【0044】
式(5)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。R7は下記式(6)で示される基から選択される基でもある。
【0045】
【化10】
【0046】
式(6)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。mは0〜100の整数である。2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物等が挙げられる。
【0047】
【化11】
【0048】
例示化合物1は式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。例示化合物2は式(2)において、R1がエチル基、R3が式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。式(7)において、R1は前記一般式(1)におけるものと同様の基である。
【0049】
【化12】
【0050】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(8)で示される化合物等が挙げられる。
【0051】
【化13】
【0052】
式(8)において、R1は前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R9は、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3又は4である。
【0053】
【化14】
【0054】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。又、上記Dにおいて、pは1〜10である。
【0055】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0056】
【化15】
【0057】
更に、上記した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物がある。
【0058】
【化16】
【0059】
式(9)において、R8は式(6)におけるものと同様の基である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4〜6がある。
【0060】
【化17】
【0061】
上記オキセタン環を有する化合物の製造方法は特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。又、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する、1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0062】
【化18】
【0063】
オキシラン基を含有するエポキシ化合物の中で、芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0064】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0065】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0066】
本発明の画像形成方法においては、インクをインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射することで、インクを硬化して画像形成する。
【0067】
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0068】
本発明において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることが好ましい。ここで「総インク膜厚」とは記録材料に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね(3次色)、4色重ね(白インクベースなど)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、記録材料のカール・しわの問題だけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。
【0069】
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述したように吐出安定性が特に厳しくなる。
【0070】
本発明の画像記録方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
【0071】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
【0072】
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0073】
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射し、且つインクを加熱することで、インクを硬化することが、高精細画像を形成する上で好ましい。
【0074】
次に、本発明に係るインクジェット記録装置の一例を具体的に説明する。
図1は本発明で用いることのできる加熱手段を有するインクジェットプリンタの全体の斜視図、図2はインクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートとの位置関係を示す概略平面図、図3はインクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートの位置関係を示す概略正面図である。
【0075】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プリンタ本体2の上方位置に配置され、印刷媒体である記録材料3をセットする給紙部4と、この給紙部4にセットされた記録材料3をインクジェット記録ヘッド5の副走査方向(用紙搬送方向と同一方向)に所定速度で搬送する図示しない用紙搬送手段と、この用紙搬送手段により搬送される記録材料3に印刷を施すインクジェット記録ヘッド5と、このインクジェット記録ヘッド5の噴射するカチオン重合型の活性光線硬化型のインクの着弾位置に、活性光線として紫外線を照射する紫外線照射装置Aと、着弾した活性光線硬化型のインクを加熱する加熱手段であるヒートプレート9と、インクジェット記録ヘッド5により印刷された記録材料3を排紙する排紙部7とを有する。
【0076】
インクジェット記録ヘッド5は、シリアルタイプオンデマンド型であり、ヘッド移動手段6のガイドロッド6aに沿って図2の右位置と図2の左位置との間を主走査方向(用紙搬送方向の直交方向)に移動自在に設けられている。図2の右位置では左側の光ファイバー11bが、図2の左位置では右側の光ファイバー11aがそれぞれ記録材料3の印刷領域端の少なくとも外側に位置するように移動範囲が設定されている。インクジェット記録ヘッド5は、インクジェット式の4つのノズルヘッド部8a〜8dを有し、この4つのノズルヘッド部8a〜8dは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のカチオン重合型の活性光線硬化型のインクを記録材料3に対してそれぞれ噴射可能に設けられている。各ノズルヘッド部8a〜8dは噴射データに基づいて噴射タイミングを制御される。
【0077】
図1において、紫外線照射装置Aは、図示しない紫外線ランプを内蔵し、紫外線を発生する紫外線発生部10と、この紫外線発生部10より発生した紫外線を導く2系統の光ファイバー11a、11bとを有し、この2系統の光ファイバー11a、11bの先端はインクジェット記録ヘッド5の主走査方向の両側位置に固定されている。光ファイバー11a、11bは柔軟で可撓性を有し、インクジェット記録ヘッド5の移動に対応して撓み状態を調節することによってインクジェット記録ヘッド5と共に主走査方向に光ファイバー11a、11bの先端が移動される。
【0078】
インクジェット記録ヘッド5から噴射された活性光線硬化型のインクの記録材料3への着弾位置と光ファイバー11a、11bの紫外線の照射位置との関係を説明する。図3に示すように、インクジェット記録ヘッド5が右から左方向に移動する場合には、右側の光ファイバー11aが着弾直後の着弾位置をスキャンし、インクジェット記録ヘッド5が左から右方向に移動する場合には、左側の光ファイバー11bが着弾直後の着弾位置をスキャンするように設けられている。つまり、2系統の光ファイバー11a、11bのそれぞれにインクジェット記録ヘッド5の各走査方向の照射を担当させるように配置されている。
【0079】
ヒートプレート9は、給紙部4の記録材料3を印刷箇所を介して排紙部7に搬送ガイドするガイドプレートの一部として構成され、インクジェット記録ヘッド5の噴射ポイントから搬送下流に亘って配置されている。ヒートプレート9は内部に発熱体を有し、密着する記録材料3に熱を直接伝導させて着弾した活性光線硬化型のインクを加熱する。
【0080】
上記構成において、インクジェット記録ヘッド5よりカチオン重合型の活性光線硬化型のインクが記録材料3に噴射されると、その着弾直後(10秒以内)に活性光線硬化型のインクに紫外線が追従して照射される。又、着弾した活性光線硬化型のインクがヒートプレート9の熱によって加熱される。以上より、着弾した活性光線硬化型のインクが所定の温度以上で紫外線を受けるため、硬化反応が活性化されることにより活性光線硬化型のインクが多湿環境下でも順次硬化する。従って、多湿環境下においてもカチオン重合型活性光線硬化型のインクを使用して良好な印刷ができる。又、インクが滲み易い記録材料3を使用した場合にもインク滲みが生じず、擦れに強い印刷物が得られる。
【0081】
この実施形態では、紫外線照射装置Aは、紫外線を発生させる紫外線発生部10と、この紫外線発生部10より発生した紫外線をインクジェット型ヘッド5の近傍位置まで導く光ファイバー11a、11bとを有し、この光ファイバー11a、11bの先端より紫外線を照射するので、記録材料3に対して近距離でインク着弾位置にスポット的に紫外線を照射することから、弱い紫外線によって十分に所定量の紫外線量を照射できるため、紫外線照射装置Aが小型で、且つ、低コストなもので足りる。又、紫外線ランプは印刷幅に応じたものを用意する必要がなく、又、紫外線ランプ自体を移動させる必要もないため、安全性、耐久性等の点でも優れている。
【0082】
この実施形態では、光ファイバー11a、11bの先端をインクジェット記録ヘッド5に固定したので、インクジェット記録ヘッド5の印刷速度に連動し、活性光線硬化型のインクの着弾直後に着弾位置を照射するように主走査方向に移動できる。従って、紫外線発生部10を移動させる必要がなく、単に光ファイバー11a、11bの先端のみを移動させればよいため、紫外線の追従照射が容易にできる。又、光ファイバー11a、11bの先端を移動させるのに特別にファイバー移動手段を設ける必要がないため、部品点数の増加防止や制御の容易性等に寄与する。
【0083】
この実施形態では、光ファイバー11a、11bを2系統設け、この2系統の光ファイバー11a、11bの各先端をインクジェット記録ヘッド5の主走査方向の両側位置に配置し、2系統の光ファイバー11a、11bのそれぞれにインクジェット記録ヘッド5の各走査方向の照射を担当させるように配置したので、インクジェット記録ヘッド5がどの方向に走査する場合にもインク着弾直後に有効に紫外線を照射できる。従って、光ファイバー11a、11bの先端から照射する紫外線の照射位置を変えることなく活性光線硬化型のインクを硬化させることができる。
【0084】
この実施形態の変形例として光ファイバーを1系統のみ設けてもよい。但し、主走査方向の双方向で印刷動作を行うインクジェット記録ヘッド5に対応させる場合には、インクジェット記録ヘッド5がどの方向に走査する場合にもインク着弾直後に有効に紫外線を照射できるように、光ファイバーの先端から照射する紫外線の照射位置を変える必要がある。尚、主走査方向の一方向でのみ印刷動作を行うインクジェット記録ヘッド5の場合には光ファイバーの先端から照射する紫外線の照射位置をもちろん変える必要がない。
【0085】
又、インクジェット記録ヘッドをラインタイプオンデマンド型としてもよく、この場合には光ファイバーを主走査方向に移動する移動手段が必要である。
【0086】
又、この実施形態では、加熱手段はヒートプレート9にて構成したが、記録材料3に着弾した活性光線硬化型のインクに熱風を吹き付ける熱風吹き付け手段として構成してもよい。このように構成すれば、着弾した活性光線硬化型のインクに熱風吹き付け手段より熱風が吹き付けられて活性光線硬化型のインクが加熱される。ここで、熱風吹き付け手段は、紫外線発生部10から発する熱をチューブ等でインクジェット記録ヘッド5の近傍まで導くことにより構成すれば、別途に熱風発生部を設ける必要がなく、部品点数の削減、コンパクト化、コスト安等になり、好ましい。
【0087】
なお、上記説明においては、インクジェット記録ヘッド5が複数のノズルヘッド部8a〜8dを有するカラー対応のヘッドであったが、単一のノズルヘッドを有する単一色のものでも用いることができる。
【0088】
本発明に係る色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材が使用出来るが、耐候性の点から顔料が好ましい。
【0089】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42
C.I Pigment Orange−16、36、38
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101
C.I Pigment Violet−19、23
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29
C.I Pigment Green−7、36
C.I Pigment White−6、18、21
C.I Pigment Black−7
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0090】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0091】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0092】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0093】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0094】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材はインクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0095】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが3.5〜6.0×10−2Nm−1の広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0096】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
【0097】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
〔インク組成〕
表1、2、3記載のインク組成物を作製し、表4、5、6に示すようにカールフィッシャー法にて含水率を測定後、ポリエチレン容器に密閉し、25℃と50℃で2週間保存した。比較は20℃、40%RHの環境下で密閉し、本発明は30℃、80%RHの環境下で密閉した。インク組成1、2の粘度は25℃で50mPa.s、インク組成3の粘度は25℃で60mPa.sである。
【0099】
なお、表中の記号の意味するところは、以下の通りである。
K:濃ブラックインク、C:濃シアンインク、M:濃マゼンタインク、Y:濃イエローインク、W:ホワイト、Lk:淡ブラックインク。Lc:淡シアンインク、Lm:淡マゼンタインク、Ly:淡イエローインク
色材1:C.I Pigment Black 7
色材2:C.I Pigment Blue 15:3
色材3:C.I Pigment Red 57:1
色材4:C.I Pigment Yellow 13
色材5:酸化チタン(アナターゼ型:粒径0.2)
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【化19】
【0104】
【化20】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
〔インクジェット記録〕
ピエゾ型インクジェットノズルを用いたインクジェット記録装置によって、表4に記載の表面エネルギーをもつ幅600mmの記録材料へ画像記録を行った。インク供給系はインクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなる。記録ヘッド部は55℃に温度調整した。また、インク容器からインクタンク及び記録ヘッドまでのインク供給系を密閉系とした。ピエゾヘッドは2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動し、吐出した。着弾後の照射条件は表5、6に示す通りとした。また、着弾後の記録材料を搬送ガイドプレートにより加熱し、記録材料表面が表5、6に示す通りになるようにした。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmであった。
【0109】
〔評価〕
10℃、20%RHの環境での記録、25℃、50%RHの環境での記録、32℃、80%RHの環境での記録の結果を表7に示す。
【0110】
《文字品質》
YMCK各色目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価した。
【0111】
◎・・・ガサツキなし
○・・・僅かにガサツキが見える
△・・・ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×・・・ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル
《色混じり(滲み)》
印字した高精細画像中の隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、滲み具合を目視評価した。
【0112】
◎・・・隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
○・・・隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△・・・隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれているが、ギリギリ使えるレベル
×・・・隣り合うドットが滲んで混じりあっており、使えないレベル
【0113】
【表7】
【0114】
表7より本発明に基づく試料は比較に比し、文字品質、色混じりの発生において優れていることは明らかである。
【0115】
【発明の効果】
本発明によって、文字品質に優れ、色混じりの発生がない高精細なインクジェット画像を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできる加熱手段を有するインクジェットプリンタの全体の斜視図である。
【図2】インクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートとの位置関係を示す概略平面図である。
【図3】インクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートの位置関係を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 プリンタ本体
3 記録材料
4 給紙部
5 インクジェット記録ヘッド
6 ヘッド移動手段
6a ガイドロッド
7 排紙部
8a〜8d ノズルヘッド部
9 ヒートプレート
10 紫外線発生部
11a、11b 光ファイバー
A 紫外線照射装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な記録材料に高精細な画像を安定に再現できるインクジェット記録用インクの保存方法、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、例えば、特公平5−54667号、特開平6−200204号、特表2000−504778号において、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、様々な記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
例えば、紫外線硬化型インクとしては、アクリル系組成物を中心としたラジカル重合型紫外線硬化型インクとカチオン重合型紫外線硬化型インクがある。ラジカル重合型紫外線硬化型インクは、その重合メカニズム上、酸素が介在した環境では酸素阻害作用を受けるため硬化性が落ちる問題がある。一方、カチオン重合型紫外線硬化型インクは、酸素阻害作用を受けることはないが、重合反応の性質上、分子レベルの水分(湿度)の影響を受け易いといった問題があり、また暗反応が進み易く保存性に問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は文字品質に優れ、色混じりの発生がない高精細な画像を安定に記録することができる活性光線硬化型インクジェット記録用インクの保存方法、画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0009】
1)カチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェット記録用インクであって、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉することを特徴とするインクジェット記録用インクの保存方法。
【0010】
2)インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキセタン化合物を含有することを特徴とする前記1)に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
【0011】
3)インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキシラン基を有する化合物を含有することを特徴とする前記1)又は2)に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
【0012】
4)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性光線を照射することを特徴とする画像形成方法。
【0013】
5)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする画像形成方法。
【0014】
6)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
7)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッド及び前記インクを35〜100℃に加熱して吐出することを特徴とする画像形成方法。
【0016】
8)インクジェット記録ヘッドより前記1)〜3)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録材料上に着弾した前記インクに活性光線を照射し、且つ該記録材料上に着弾した前記インクを加熱することを特徴とする画像形成方法。
【0017】
9)記録材料が非吸収性の材料であることを特徴とする前記4)〜8)のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【0018】
10)非吸収性の材料の表面エネルギーが3.5〜6.0×10−2Nm−1であることを特徴とする前記9)に記載の画像形成方法。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる活性光線硬化型インクジェット記録用インクは、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉され保存される。例えば、20℃、80%RHの高湿下でインクを容器に密閉することで、上記範囲の含水率にすることができるが、この限りでない。1.50質量%よりも低いと保存によるインク粘度のバラツキが大きくなり、記録ヘッドからの吐出が安定しない。特に、吐出するインク液滴量が小さい場合に厳しくなる。5.00質量%よりも高いとインクの硬化性が著しく劣ってしまう。特に、画質向上の為、インクが記録材料上に着弾後直ぐにインクを硬化させたい場合には厳しくなる。
【0020】
上記含水率の範囲内で保存されたカチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクを用いることで、インクの保存環境(温度・湿度)及び印字環境(温度・湿度)に左右されずに、安定に高精細な画像を形成することが可能となる。また、インク容器から記録ヘッドまでのインク供給系を密閉系とすることが本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0021】
また、カチオン重合性モノマーとして、オキセタン化合物を含有する場合には、インク保存時の含水率の制御が特に有効である。オキセタン化合物とオキシラン基を有する化合物を併用する場合には、更に有効である。
【0022】
開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編・「イメ−ジング用有機材料」・ぶんしん出版(1993年)・187〜192ページ参照、技術情報協会・「光硬化技術」・2001年、に紹介されている光酸発生剤)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【0023】
【化1】
【0024】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0025】
【化2】
【0026】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【0027】
【化3】
【0028】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0029】
【化4】
【0030】
本発明のインクは、特開平8−248561号、同9−34106号を始めとして、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、更なる吐出安定性向上を可能とする。
【0031】
次に、本発明のインクに用いられるオキセタン化合物について説明する。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、例えば、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0032】
オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、又組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0033】
1個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
【0034】
【化5】
【0035】
式(1)において、R1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基である。R2はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基或いは3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基或いはフェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基或いはブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基或いはブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、又はエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基或いはペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。
【0036】
本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。次に、2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0037】
【化6】
【0038】
式(2)において、R1は、前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基或いはブチレン基等の線状或いは分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基或いはポリ(プロピレンオキシ)基等の線状或いは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基或いはブテニレン基等の線状或いは分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、又はカルバモイル基を含むアルキレン基等である。又、R3は下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基でもある。
【0039】
【化7】
【0040】
式(3)において、R4は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基或いはブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子或いは臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基である。
【0041】
【化8】
【0042】
式(4)において、R5は酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2又はC(CH3)2である。
【0043】
【化9】
【0044】
式(5)において、R6はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。R7は下記式(6)で示される基から選択される基でもある。
【0045】
【化10】
【0046】
式(6)において、R8はメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。mは0〜100の整数である。2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物等が挙げられる。
【0047】
【化11】
【0048】
例示化合物1は式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。例示化合物2は式(2)において、R1がエチル基、R3が式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。2個のオキセタン環を有する化合物において、上記した化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。式(7)において、R1は前記一般式(1)におけるものと同様の基である。
【0049】
【化12】
【0050】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記一般式(8)で示される化合物等が挙げられる。
【0051】
【化13】
【0052】
式(8)において、R1は前記一般式(1)におけるものと同様の基である。R9は、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは3又は4である。
【0053】
【化14】
【0054】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。又、上記Dにおいて、pは1〜10である。
【0055】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0056】
【化15】
【0057】
更に、上記した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物がある。
【0058】
【化16】
【0059】
式(9)において、R8は式(6)におけるものと同様の基である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4〜6がある。
【0060】
【化17】
【0061】
上記オキセタン環を有する化合物の製造方法は特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。又、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する、1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの例として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0062】
【化18】
【0063】
オキシラン基を含有するエポキシ化合物の中で、芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0064】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0065】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0066】
本発明の画像形成方法においては、インクをインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射することで、インクを硬化して画像形成する。
【0067】
インクの吐出条件としては、記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型インクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0068】
本発明において、インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が、2〜20μmであることが好ましい。ここで「総インク膜厚」とは記録材料に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね(3次色)、4色重ね(白インクベースなど)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、記録材料が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、記録材料のカール・しわの問題だけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため使えない。
【0069】
また、本発明では、各ノズルより吐出する液滴量が2〜15plであることが好ましい。高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述したように吐出安定性が特に厳しくなる。
【0070】
本発明の画像記録方法においては、発生光線の照射条件として、インク着弾後0.001〜2.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜1.0秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
【0071】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらのいずれの照射方法も用いることができる。
【0072】
また、活性光線を照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、且つ全印字終了後、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
【0073】
本発明の画像形成方法においては、インク組成物をインクジェット記録方式により記録材料上に吐出、描画し、次いで紫外線などの活性光線を照射し、且つインクを加熱することで、インクを硬化することが、高精細画像を形成する上で好ましい。
【0074】
次に、本発明に係るインクジェット記録装置の一例を具体的に説明する。
図1は本発明で用いることのできる加熱手段を有するインクジェットプリンタの全体の斜視図、図2はインクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートとの位置関係を示す概略平面図、図3はインクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートの位置関係を示す概略正面図である。
【0075】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プリンタ本体2の上方位置に配置され、印刷媒体である記録材料3をセットする給紙部4と、この給紙部4にセットされた記録材料3をインクジェット記録ヘッド5の副走査方向(用紙搬送方向と同一方向)に所定速度で搬送する図示しない用紙搬送手段と、この用紙搬送手段により搬送される記録材料3に印刷を施すインクジェット記録ヘッド5と、このインクジェット記録ヘッド5の噴射するカチオン重合型の活性光線硬化型のインクの着弾位置に、活性光線として紫外線を照射する紫外線照射装置Aと、着弾した活性光線硬化型のインクを加熱する加熱手段であるヒートプレート9と、インクジェット記録ヘッド5により印刷された記録材料3を排紙する排紙部7とを有する。
【0076】
インクジェット記録ヘッド5は、シリアルタイプオンデマンド型であり、ヘッド移動手段6のガイドロッド6aに沿って図2の右位置と図2の左位置との間を主走査方向(用紙搬送方向の直交方向)に移動自在に設けられている。図2の右位置では左側の光ファイバー11bが、図2の左位置では右側の光ファイバー11aがそれぞれ記録材料3の印刷領域端の少なくとも外側に位置するように移動範囲が設定されている。インクジェット記録ヘッド5は、インクジェット式の4つのノズルヘッド部8a〜8dを有し、この4つのノズルヘッド部8a〜8dは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のカチオン重合型の活性光線硬化型のインクを記録材料3に対してそれぞれ噴射可能に設けられている。各ノズルヘッド部8a〜8dは噴射データに基づいて噴射タイミングを制御される。
【0077】
図1において、紫外線照射装置Aは、図示しない紫外線ランプを内蔵し、紫外線を発生する紫外線発生部10と、この紫外線発生部10より発生した紫外線を導く2系統の光ファイバー11a、11bとを有し、この2系統の光ファイバー11a、11bの先端はインクジェット記録ヘッド5の主走査方向の両側位置に固定されている。光ファイバー11a、11bは柔軟で可撓性を有し、インクジェット記録ヘッド5の移動に対応して撓み状態を調節することによってインクジェット記録ヘッド5と共に主走査方向に光ファイバー11a、11bの先端が移動される。
【0078】
インクジェット記録ヘッド5から噴射された活性光線硬化型のインクの記録材料3への着弾位置と光ファイバー11a、11bの紫外線の照射位置との関係を説明する。図3に示すように、インクジェット記録ヘッド5が右から左方向に移動する場合には、右側の光ファイバー11aが着弾直後の着弾位置をスキャンし、インクジェット記録ヘッド5が左から右方向に移動する場合には、左側の光ファイバー11bが着弾直後の着弾位置をスキャンするように設けられている。つまり、2系統の光ファイバー11a、11bのそれぞれにインクジェット記録ヘッド5の各走査方向の照射を担当させるように配置されている。
【0079】
ヒートプレート9は、給紙部4の記録材料3を印刷箇所を介して排紙部7に搬送ガイドするガイドプレートの一部として構成され、インクジェット記録ヘッド5の噴射ポイントから搬送下流に亘って配置されている。ヒートプレート9は内部に発熱体を有し、密着する記録材料3に熱を直接伝導させて着弾した活性光線硬化型のインクを加熱する。
【0080】
上記構成において、インクジェット記録ヘッド5よりカチオン重合型の活性光線硬化型のインクが記録材料3に噴射されると、その着弾直後(10秒以内)に活性光線硬化型のインクに紫外線が追従して照射される。又、着弾した活性光線硬化型のインクがヒートプレート9の熱によって加熱される。以上より、着弾した活性光線硬化型のインクが所定の温度以上で紫外線を受けるため、硬化反応が活性化されることにより活性光線硬化型のインクが多湿環境下でも順次硬化する。従って、多湿環境下においてもカチオン重合型活性光線硬化型のインクを使用して良好な印刷ができる。又、インクが滲み易い記録材料3を使用した場合にもインク滲みが生じず、擦れに強い印刷物が得られる。
【0081】
この実施形態では、紫外線照射装置Aは、紫外線を発生させる紫外線発生部10と、この紫外線発生部10より発生した紫外線をインクジェット型ヘッド5の近傍位置まで導く光ファイバー11a、11bとを有し、この光ファイバー11a、11bの先端より紫外線を照射するので、記録材料3に対して近距離でインク着弾位置にスポット的に紫外線を照射することから、弱い紫外線によって十分に所定量の紫外線量を照射できるため、紫外線照射装置Aが小型で、且つ、低コストなもので足りる。又、紫外線ランプは印刷幅に応じたものを用意する必要がなく、又、紫外線ランプ自体を移動させる必要もないため、安全性、耐久性等の点でも優れている。
【0082】
この実施形態では、光ファイバー11a、11bの先端をインクジェット記録ヘッド5に固定したので、インクジェット記録ヘッド5の印刷速度に連動し、活性光線硬化型のインクの着弾直後に着弾位置を照射するように主走査方向に移動できる。従って、紫外線発生部10を移動させる必要がなく、単に光ファイバー11a、11bの先端のみを移動させればよいため、紫外線の追従照射が容易にできる。又、光ファイバー11a、11bの先端を移動させるのに特別にファイバー移動手段を設ける必要がないため、部品点数の増加防止や制御の容易性等に寄与する。
【0083】
この実施形態では、光ファイバー11a、11bを2系統設け、この2系統の光ファイバー11a、11bの各先端をインクジェット記録ヘッド5の主走査方向の両側位置に配置し、2系統の光ファイバー11a、11bのそれぞれにインクジェット記録ヘッド5の各走査方向の照射を担当させるように配置したので、インクジェット記録ヘッド5がどの方向に走査する場合にもインク着弾直後に有効に紫外線を照射できる。従って、光ファイバー11a、11bの先端から照射する紫外線の照射位置を変えることなく活性光線硬化型のインクを硬化させることができる。
【0084】
この実施形態の変形例として光ファイバーを1系統のみ設けてもよい。但し、主走査方向の双方向で印刷動作を行うインクジェット記録ヘッド5に対応させる場合には、インクジェット記録ヘッド5がどの方向に走査する場合にもインク着弾直後に有効に紫外線を照射できるように、光ファイバーの先端から照射する紫外線の照射位置を変える必要がある。尚、主走査方向の一方向でのみ印刷動作を行うインクジェット記録ヘッド5の場合には光ファイバーの先端から照射する紫外線の照射位置をもちろん変える必要がない。
【0085】
又、インクジェット記録ヘッドをラインタイプオンデマンド型としてもよく、この場合には光ファイバーを主走査方向に移動する移動手段が必要である。
【0086】
又、この実施形態では、加熱手段はヒートプレート9にて構成したが、記録材料3に着弾した活性光線硬化型のインクに熱風を吹き付ける熱風吹き付け手段として構成してもよい。このように構成すれば、着弾した活性光線硬化型のインクに熱風吹き付け手段より熱風が吹き付けられて活性光線硬化型のインクが加熱される。ここで、熱風吹き付け手段は、紫外線発生部10から発する熱をチューブ等でインクジェット記録ヘッド5の近傍まで導くことにより構成すれば、別途に熱風発生部を設ける必要がなく、部品点数の削減、コンパクト化、コスト安等になり、好ましい。
【0087】
なお、上記説明においては、インクジェット記録ヘッド5が複数のノズルヘッド部8a〜8dを有するカラー対応のヘッドであったが、単一のノズルヘッドを有する単一色のものでも用いることができる。
【0088】
本発明に係る色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材が使用出来るが、耐候性の点から顔料が好ましい。
【0089】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙する。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42
C.I Pigment Orange−16、36、38
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101
C.I Pigment Violet−19、23
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29
C.I Pigment Green−7、36
C.I Pigment White−6、18、21
C.I Pigment Black−7
また、本発明において、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げる為に、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、吐出量が多くなるため、前述した吐出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
【0090】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としてはAvecia社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0091】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0092】
本発明に係るインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0093】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0094】
本発明で用いることのできる記録材料としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの記録材料の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材はインクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0095】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、記録材料によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが3.5〜6.0×10−2Nm−1の広範囲の記録材料に良好な高精細な画像を形成できる。
【0096】
本発明において、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録材料を使用する方が有利である。
【0097】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
〔インク組成〕
表1、2、3記載のインク組成物を作製し、表4、5、6に示すようにカールフィッシャー法にて含水率を測定後、ポリエチレン容器に密閉し、25℃と50℃で2週間保存した。比較は20℃、40%RHの環境下で密閉し、本発明は30℃、80%RHの環境下で密閉した。インク組成1、2の粘度は25℃で50mPa.s、インク組成3の粘度は25℃で60mPa.sである。
【0099】
なお、表中の記号の意味するところは、以下の通りである。
K:濃ブラックインク、C:濃シアンインク、M:濃マゼンタインク、Y:濃イエローインク、W:ホワイト、Lk:淡ブラックインク。Lc:淡シアンインク、Lm:淡マゼンタインク、Ly:淡イエローインク
色材1:C.I Pigment Black 7
色材2:C.I Pigment Blue 15:3
色材3:C.I Pigment Red 57:1
色材4:C.I Pigment Yellow 13
色材5:酸化チタン(アナターゼ型:粒径0.2)
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【化19】
【0104】
【化20】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
〔インクジェット記録〕
ピエゾ型インクジェットノズルを用いたインクジェット記録装置によって、表4に記載の表面エネルギーをもつ幅600mmの記録材料へ画像記録を行った。インク供給系はインクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク、フィルター付き配管、ピエゾヘッドからなる。記録ヘッド部は55℃に温度調整した。また、インク容器からインクタンク及び記録ヘッドまでのインク供給系を密閉系とした。ピエゾヘッドは2〜15plのマルチサイズドットを720×720dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動し、吐出した。着弾後の照射条件は表5、6に示す通りとした。また、着弾後の記録材料を搬送ガイドプレートにより加熱し、記録材料表面が表5、6に示す通りになるようにした。記録後、トータルインク膜厚を測定したところ、2.3〜13μmであった。
【0109】
〔評価〕
10℃、20%RHの環境での記録、25℃、50%RHの環境での記録、32℃、80%RHの環境での記録の結果を表7に示す。
【0110】
《文字品質》
YMCK各色目標濃度で6ポイントMS明朝体文字を印字し、文字のガサツキをルーペで拡大評価した。
【0111】
◎・・・ガサツキなし
○・・・僅かにガサツキが見える
△・・・ガサツキが見えるが、文字として判別でき、ギリギリ使えるレベル
×・・・ガサツキがひどく、文字がかすれていて使えないレベル
《色混じり(滲み)》
印字した高精細画像中の隣り合う各色ドットをルーペで拡大し、滲み具合を目視評価した。
【0112】
◎・・・隣り合うドット形状が真円を保ち、滲みがない
○・・・隣り合うドット形状はほぼ真円を保ち、ほとんど滲みがない
△・・・隣り合うドットが少し滲んでいてドット形状が少しくずれているが、ギリギリ使えるレベル
×・・・隣り合うドットが滲んで混じりあっており、使えないレベル
【0113】
【表7】
【0114】
表7より本発明に基づく試料は比較に比し、文字品質、色混じりの発生において優れていることは明らかである。
【0115】
【発明の効果】
本発明によって、文字品質に優れ、色混じりの発生がない高精細なインクジェット画像を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできる加熱手段を有するインクジェットプリンタの全体の斜視図である。
【図2】インクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートとの位置関係を示す概略平面図である。
【図3】インクジェット記録ヘッドと光ファイバーの先端との位置関係及びヒートプレートの位置関係を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 プリンタ本体
3 記録材料
4 給紙部
5 インクジェット記録ヘッド
6 ヘッド移動手段
6a ガイドロッド
7 排紙部
8a〜8d ノズルヘッド部
9 ヒートプレート
10 紫外線発生部
11a、11b 光ファイバー
A 紫外線照射装置
Claims (10)
- カチオン重合性モノマー及び開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェット記録用インクであって、カールフィッシャー法による測定含水率が1.50〜5.00質量%である状態で容器に密閉することを特徴とするインクジェット記録用インクの保存方法。
- インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキセタン化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
- インクがカチオン重合性モノマーとして少なくとも1種のオキシラン基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクの保存方法。
- インクジェット記録ヘッドより請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾した後、0.001〜2.0秒の間に活性光線を照射することを特徴とする画像形成方法。
- インクジェット記録ヘッドより請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、前記インクが着弾し、活性光線照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることを特徴とする画像形成方法。
- インクジェット記録ヘッドより請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッドの各ノズルより吐出するインク液滴量が2〜15plであることを特徴とする画像形成方法。
- インクジェット記録ヘッドより請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録ヘッド及び前記インクを35〜100℃に加熱して吐出することを特徴とする画像形成方法。
- インクジェット記録ヘッドより請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクの保存方法により保存した活性光線硬化型インクを記録材料上に噴射して該記録材料上に印刷を行う画像形成方法において、該記録材料上に着弾した前記インクに活性光線を照射し、且つ該記録材料上に着弾した前記インクを加熱することを特徴とする画像形成方法。
- 記録材料が非吸収性の材料であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 非吸収性の材料の表面エネルギーが3.5〜6.0×10−2Nm−1であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
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