JP2007224226A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】活性放射線の照射により高感度で硬化し、密着性に優れ、保存安定性の良好であるインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供すること。
【解決手段】(a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、(d)カチオン重合開始剤、並びに、(e)着色剤を含有することを特徴とするインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物。

Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、インクジェット記録方法、及び、これを用いた印刷物に関するものである。詳しくは、放射線の照射に対して、高感度で硬化し、高画質の画像を形成することができ、かつ、保存安定性の良好なインクジェット記録用に好適なインク組成物、インクジェット記録方法、及び、これを用いた印刷物に関するものである。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高くかつ廃材が出るなどの問題がある。一方インクジェット方式は、安価な装置で、且つ必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインク組成物、特にインクジェット記録用インク(放射線硬化型インクジェット記録用インク)は、十分に高い感度及び高画質の提供が求められている。高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不十分硬化に基づく低分子物質の発生の防止等、多くの利益が生じる。
特許文献1には、光重合性に優れ、硬化性が良い活性エネルギー線硬化型インクとして、1)オキシラン基含有化合物10〜50重量%、2)オキセタン環含有化合物50〜90重量%、及び3)ビニルエーテル化合物0〜40重量%からなる液状成分に、4)顔料を分散してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキが開示されている。
また、特許文献2には、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を記録することができ、かつ印刷物のしわやカールの発生が無いインクジェット記録方法による画像形成方法、印刷物及び記録装置を提供することを目的として、光酸発生剤と疎水性基を有するオキセタン化合物とを含有するインクが開示されている。
更に特許文献3には、有機溶剤を用いずに顔料分散性、硬化性、耐溶剤性が良好なジェットインク記録用紫外線硬化型インク組成物を提供することを目的として、顔料分散に用いる分散剤と、該分散剤を溶解するモノマー及び/又はオリゴマーを含有することを特徴とする無溶剤系の紫外線硬化型ジェットインク組成物が開示されている。
しかし、これらのインク組成物では、活性エネルギー線に対する感度、印刷物の密着性及びインクの保存安定性を全て十分に満足することができなかった。
特開2002−188025号公報 特開2004−18577号公報 特開2002−179967号公報
本発明の目的は、活性放射線の照射により高感度で硬化し、密着性に優れ、保存安定性の良好であるインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することにある。
上記目的は、以下の<1>、<6>及び<7>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<5>と共に以下に示す。
<1> (a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、(d)カチオン重合開始剤、並びに、(e)着色剤を含有することを特徴とするインク組成物、
<2> 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、分子内の酸素原子の総数が1又は2であり、前記酸素原子が全てエーテル結合を形成している化合物である上記<1>に記載のインク組成物、
<3> 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、1つ又は2つのエーテル結合、及び、炭化水素鎖のみから構成される化合物である上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、下記式(I)で表される構造単位を1つ有する化合物である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
Figure 2007224226
(式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。)
<5> インクジェット記録用である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物。
<6> (a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び、(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法であって、前記インク組成物が上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物であるインクジェット記録方法、
<7> 上記<6>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
本発明によれば、放射線の照射に対して高感度で硬化し、密着性に優れ、保存安定性の良好なインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することができる。
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、(a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、(d)カチオン重合開始剤、並びに、(e)着色剤を含有することを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)インク組成物に含まれる成分
本発明のインク組成物は、放射線により硬化可能であり、(a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、(d)カチオン重合開始剤、並びに、(e)着色剤を含有し、必要に応じて、(f)増感剤、(g)共増感剤、(h)他の重合性化合物、(i)他の重合開始剤、(j)その他の成分を含んでいてもよい。
本発明で言う「放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものであるが、なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
尚、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りのない限りな、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば「アルキル基」とは、置換又は無置換のアルキル基を意味する。
また、本発明において特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りのない限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても無置換でも良い。例えば「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
また、本発明においては、オキセタン化合物とオキシラン化合物とを総称し、「環状エーテル化合物」ともいう。
(a)多官能オキセタン化合物、多官能オキシラン化合物(多官能環状エーテル化合物)
本発明のインク組成物は、少なくとも多官能オキセタン化合物又は多官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「(a)成分」又は「多官能環状エーテル化合物」ともいう。)を含有する。
また、本発明のインク組成物は、多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物の両方を含有することが好ましい。多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物の両方を併用すると、良好な硬化特性が得られるため好ましい。
本発明のインク組成物は、多官能環状エーテル化合物(多官能オキセタン化合物と多官能オキシラン化合物との総量)の含有率が、インク全体の20〜70重量%であることが好ましく、30〜60重量%であることがより好ましい。尚、本発明における「含有率」とは、固形分換算の含有率であり、インク組成物から溶媒等の揮発成分を除いた成分中の含有率を意味する。
(a−1)多官能オキセタン化合物
多官能オキセタン化合物とは、同一分子内にオキセタン環を2つ以上有する化合物である。本発明において、多官能オキセタン化合物は、1種類を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。
多官能オキセタン化合物は、オキセタン環を分子内に2つ以上有するが、2〜6つ有することが好ましく、2〜4つ有することがより好ましい。分子内に有するオキセタン環の数が上記範囲内であると、良好な硬化性と、良好な硬化膜の柔軟性が得られるので好ましい。
分子内に2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)、(2)で示される化合物等が例示できる。
Figure 2007224226
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 2007224226
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又は、C(CH32を表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
Figure 2007224226
式(1)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)が好ましく例示できる。また、式(2)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株))が好ましく例示できる。
分子内に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(3)で示される化合物が例示できる。
Figure 2007224226
式(3)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 2007224226
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に用いることができるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(4)で示される化合物が例示できる。
Figure 2007224226
式(4)において、Ra1及びRa8は前記式におけるのと同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、特開2003−341217号公報、段落番号0021ないし0084に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に用いることができる。また、特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に用いることができる。段落番号0022ないし0058に詳細に記載されている。
(a−2)多官能オキシラン化合物
多官能オキシラン化合物とは、同一分子内にオキシラン環を2つ以上有する化合物である。本発明において、多官能オキシラン化合物は、1種類を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。
本発明において、多官能オキシラン化合物は、分子内にオキシラン環を2つ以上有するが、2〜6つ有することが好ましく、2〜4つ有することがより好ましい。分子内に有するオキシラン環の数が上記範囲内であると、良好な硬化性と、良好な硬化膜の柔軟性が得られるため好ましい。
多官能オキシラン化合物としては、多官能芳香族オキシラン化合物、多官能脂環式オキシラン化合物、多官能脂肪族オキシラン化合物などが挙げられ、芳香族オキシラン化合物としては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
多官能脂環式オキシラン化合物としては、少なくとも2個のシクロへキセン環又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。また、シクロヘキサジエン環又はシクロペンタジエン環等のシクロアルカジエン環を有する化合物をエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンジオキサイド、シクロペンテンジオキサイド含有化合物も例示できる。
多官能脂肪族オキシラン化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる多官能オキシラン化合物を詳しく例示する。
例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらの多官能オキシラン化合物のなかでも、多官能芳香族オキシラン化合物及び多官能脂環式オキシラン化合物が、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に多官能脂環式オキシラン化合物が好ましい。
(b)高極性単官能オキセタン化合物、高極性単官能オキシラン化合物(高極性環状エーテル化合物)
本発明のインク組成物は、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「(b)成分」又は「高極性環状エーテル化合物」ともいう。)を含有する。
高極性単官能オキセタン化合物又は高極性単官能オキシラン化合物とは、極性の高いオキセタン又はオキシラン化合物であり、より詳しくは、分子内に高極性基を有するオキセタン又はオキシラン化合物である。
本発明のインク組成物は、高極性単官能環状エーテル化合物を含有することにより、良好な分散性を得ることができる。
高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物は、1種類を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。また、高極性単官能オキセタン化合物のみを使用することもできるし、高極性単官能オキシラン化合物のみを使用することもできるし、両者を併用することもできる。
尚、本発明にて使用される高極性単官能化合物としては、分子のlogP値(オクタノール/水分配係数)が1.0未満の化合物であり、低極性単官能化合物としては、分子のlogP値が1.0以上の化合物が挙げられる。
本発明において、高極性基とは、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい、アミノ基、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合、ビスフェノキシ結合、含窒素環状化合物基、含酸素環状化合物基、アルキレングリコール構造等の高極性基を含有する官能基を示す。アルキレングリコール構造としては、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖、テトラエチレングリコール鎖等のアルキレングリコール鎖及び、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリテトラエチレングリコール鎖等のポリアルキレングリコール鎖が挙げられる。
本発明に用いることができる高極性単官能オキセタン化合物又は高極性単官能オキシラン化合物は、高極性基としてアルキレングリコール構造、又は、ポリアルキレングリコール構造を有することが好ましく、エチレングリコール構造、ポリエチレングリコール構造、プロピレングリコール構造、又は、ポリプロピレングリコール構造を有することがより好ましい。
高極性単官能環状エーテル化合物が分子内に有する酸素原子の総数は、3以上であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。酸素原子の総数が3以上であると、十分高い極性が得られ、良好な分散安定性が得られるので好ましい。
また、本発明において、高極性単官能オキセタン化合物又は高極性単官能オキシラン化合物は、水素結合性基を有しないことが好ましい。ここで水素結合を有する置換基とは、水素原子を置換基として有する電気陰性度の高いヘテロ原子を有する分子間で水素結合可能な官能基、又は、連結基を含む置換基を意味し、具体的には、ヒドロキシル基、モノ、ジヒドロ置換アミノ基、チオール基、アミド結合、ウレア結合等を含む置換基があげられる。置換基として水素結合を有さないと、インク組成物を低粘度に保ちかつ良好な分散安定性を与えるので好ましい。
本発明に用いることができる高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物は、環状エーテルを含む部分構造(オキセタン環又はオキシラン環。以下、適宜「環状エーテル構造」ともいう。)と、下記式(II)で表される部分構造(以下、適宜「アルキレングリコール構造」ともいう。)とをその分子構造内に有する化合物であることが特に好ましい。
Figure 2007224226
式(II)で表される部分構造中、R1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、又は、これらの基を2以上組み合わせた基を表す。nは1以上の整数を示す。尚、nが2以上の場合、アルキレングリコール構造は、ポリアルキレングリコール構造である。
高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物は、環状エーテル構造を1つ有する。
環状エーテル構造は、炭素原子数2又は3のエーテル環、すなわち、オキシラン環又はオキセタン環構造である。
高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物における環状エーテル構造を含む分子構造として、具体的には、反応性や入手容易性の観点から、下記に示す構造が好ましく例示できる。尚、波線部は他の構造との結合部位である。
Figure 2007224226
高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物における環状エーテル構造は、導入可能な場合にはエーテル環上に更に置換基を有していてもよい。
該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基が挙げられる。
これら置換基は、可能な場合には、前記置換基が更に前記置換基で置換されていてもよい。また、2つの置換基が連結し環構造を形成していてもよく、環状エーテル構造以外の他の構造部分と連結し環構造を形成していてもよい。
前記式(II)で表される部分構造(アルキレングリコール構造)中、R1は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、又は、これらの基を2以上組み合わせた基を表す。
1で表されるアルキレン基としては、炭素原子数2〜12のアルキレン基が好ましく挙げられ、炭素原子数2〜8であることがより好ましく、炭素原子数2〜6であることが更に好ましい。具体的には、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく挙げられる。
1で表されるシクロアルキレン基としては、炭素原子数4〜12のシクロアルキレン基が好ましく挙げられ、炭素原子数4〜8であることがより好ましく、炭素原子数5〜7であることが更に好ましい。具体的には、シクロヘプチル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基、ビシクロ環基等の基から水素原子を1個除した基が好ましく挙げられる。
1で表されるアリーレン基としては、炭素原子数6〜18のアリーレン基が好ましく挙げられ、炭素原子数6〜12であることがより好ましく、炭素原子数6〜8であることが更に好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の基から水素原子を1個除した基が好ましく挙げられ、フェニル基から水素原子を1個除した基であることがより好ましい。
また、R1としては、これらの基を2以上組み合わせた基であってもよく、ベンジル基から水素原子を1個除した基であることがより好ましい。
1は、導入可能な場合、置換基を有していてもよい。
該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基が挙げられる。
1としては、置換基を有さないアルキレン基、置換基を有さないシクロアルキレン基、又は、置換基を有さないアリーレン基であることが特に好ましい。
nは1以上の整数を示し、1〜8の整数が好ましく、1〜6の整数がより好ましく、2〜4の整数が特に好ましい。
前記アルキレングリコール構造は、環状エーテル(オキセタン環又はオキシラン環)中の任意の炭素原子に、アルキレン基等の連結基を介して連結することが好ましい。
また、前記アルキレングリコール構造は、高極性単官能オキセタン化合物、高極性単官能オキシラン化合物の分子構造中に1個含まれていてもよいし、2個以上含まれていてもよい。
(b)成分としては、高極性基を有する単官能オキセタン化合物又は単官能オキシラン化合物であり、R1が炭素数1〜4のアルキレン基及びnが2〜4の整数である化合物であることが好ましい。また、高極性基を有する単官能オキセタン化合物又は単官能オキシラン化合物の総酸素原子数が3以上である総酸素原子数は、3〜7であることがより好ましい。総酸素原子数が3以上であると、良好な分散安定性を与えるであるので好ましい。
本発明において、高極性基としてアルキレングリコール構造を有することが好ましく、特にポリアルキレングリコール構造を有することが好ましい。更に、エチレングリコール構造、プロピレングリコール構造、ポリエチレングリコール構造、及びポリプロピレングリコール構造を有することが好ましい。
以下、本発明に用いることができるの代表的な具体例〔例示化合物(1)〜(57)〕を挙げるが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。尚、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。また、後述する化合物においても簡略構造式で記載することがある。
Figure 2007224226
Figure 2007224226
Figure 2007224226
本発明のインク組成物における(b)成分の含有率が、インク全体の2〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましく、5〜30重量%であることが更に好ましい。
(b)成分の含有率が上記範囲であると、良好な分散安定性が得られるので好ましい。
(c)低極性単官能オキセタン化合物、低極性単官能オキシラン化合物(低極性環状エーテル化合物)
本発明のインク組成物は、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「(c)成分」又は「低極性環状エーテル化合物」ともいう。)を含有する。
低極性単官能オキセタン化合物又は低極性単官能オキシラン化合物とは、極性の低いオキセタン又はオキシラン化合物であり、より詳しくは、分子内に高極性基のないオキセタン又はオキシラン化合物である。
本発明に用いることができる低極性単官能環状エーテル化合物は、分子内の酸素原子の総数が1つ又は2つであり、前記酸素原子の全てがエーテル結合を形成している化合物であることが好ましく、オキセタン環又はオキシラン環以外の分子構造が、炭化水素鎖のみ、又は、炭化水素鎖及び1つのエーテル結合で構成されている化合物であることがより好ましい。
本発明に用いることができる低極性単官能オキセタン化合物及び低極性単官能オキシラン化合物は、環状エーテルを含む部分構造と、下記式(I)で表される部分構造(以下、適宜「アルコキシ構造」ともいう。)とをそれぞれ1つ、その分子構造内に有する化合物であることが好ましい。
Figure 2007224226
(式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。)
式(I)中、R1は、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表し、置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4以上のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。
低極性単官能オキセタン化合物及び低極性単官能オキシラン化合物は、環状エーテル構造を1つ有する。
低極性単官能オキセタン化合物及び低極性単官能オキシラン化合物における環状エーテル構造は、炭素原子数2又は3のエーテル環、すなわち、オキシラン環又はオキセタン環構造である。
低極性単官能オキセタン化合物及び低極性単官能オキシラン化合物における環状エーテル構造を含む分子構造として、具体的には、反応性や入手容易性の観点から、下記に示す構造が好ましく例示できる。尚、波線部は他の構造との結合部位である。
Figure 2007224226
前記環状エーテル構造及び式(I)におけるR1は、導入可能な場合には置換基を有していてもよい。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基等が例示できる。
これら置換基は、可能な場合には、前記置換基が更に前記置換基で置換されていてもよい。また、2つの置換基が連結し環構造を形成していてもよく、環状エーテル構造以外の他の構造部分と連結し環構造を形成していてもよい。ただし、分子内にオキセタン構造及びオキシラン構造が合計2つ以上の形成されることはない。
式(I)で表される部分構造を表す。
1で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基が挙げられる。また、炭素数30以下であること好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−ステアリル基、ベンジル基等が例示できる。
1で表されるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよい炭素数4以上の脂環式炭化水素基が挙げられる。また、炭素数30以下であること好ましい。具体的には、シクロヘプチル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基、ビシクロ環基等が例示できる。
1で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜18のアリール基が好ましく挙げられ、炭素原子数6〜12であることがより好ましく、炭素原子数6〜8であることが更に好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、p−ノニルフェニル基等が例示できる。
前記アルコキシ構造は、環状エーテル中の炭素原子に、アルキレン基等の連結基を介して連結する。連結基としては2価の炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
前記アルコキシ構造は、低極性単官能オキセタン化合物中、又は、低極性単官能オキシラン化合物中に1個含まれていてもよいし、2個以上含まれていてもよい。
以下、本発明に用いることができる低極性単官能オキセタン化合物又は低極性単官能オキシラン化合物の好ましい具体例〔例示化合物(1)〜(30)〕を挙げるが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2007224226
Figure 2007224226
Figure 2007224226
単官能オキセタン化合物及び単官能オキシラン化合物(高極性及び低極性の両方を含む)の含有率がインク全体の5重量%〜70重量%であり、多官能オキセタン化合物の含有率がインク全体の10重量%以上50重量%未満であり、多官能オキシラン化合物の含有率がインク全体の10重量%以上50重量%未満であり、多官能オキセタン化合物と多官能オキシラン化合物とを合計した多官能環状エーテル化合物の含有率がインク全体の70重量%以下ことが好ましい。より好ましくは単官能オキセタン化合物及び単官能オキシラン化合物の含有率がインク全体の5重量%〜40重量%であり、更に好ましくは5重量%〜30重量%である。
本発明のインク組成物における、低極性単官能オキセタン化合物及び低極性単官能オキシラン化合物と、高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物との重量比は、5:95〜95:5が好ましい。より好ましくは5:95〜70:30であり、更に好ましくは10:90〜50:50である。
(d)カチオン重合開始剤
本発明のインク組成物は、(d)カチオン重合開始剤を含有する。本発明に用いることができるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明に用いることができる(d)カチオン重合開始剤は、単独で使用しても、2種以上の併用してもよい。本発明において、(d)カチオン重合開始剤は、カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲で含有されるのが適当である。
(e)着色剤
本発明のインク組成物は、(e)着色剤を含有する。
本発明に用いることのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しないことが好ましい。これは、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないためである。
(e−1)顔料
本発明に用いることのできる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
即ち、赤あるいはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、白色顔料としては、Pigment White 6,18,21などが目的に応じて使用できる。
(e−2)油溶性染料
以下に、本発明に用いることのできる油溶性染料について説明する。
本発明に用いることのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤が含有されていてもよい。
本発明に用いることのできる前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に用いることのできる前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に用いることのできる前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合の対カチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。その好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
特に好ましい油溶性染料としては、下記式(1)又は(2)で表されるアゾ又はアゾメチン染料を挙げることができる。下記式(2)で表される染料は、写真材料において酸化によりカプラー及び現像主薬から生成する染料として知られている。
Figure 2007224226
前記式(1)及び(2)において、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
前記式(1)及び(2)において、特に、R2は上記置換基のうち、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基又はスルホンアミド基であることが好ましい。
尚、本発明において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。前記脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例には、R1〜R4の説明で挙げた置換基を挙げることができる。置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
また、本発明において、芳香族基はアリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、R1〜R4の説明で挙げた置換基を挙げることができる。
前記式(1)及び(2)において、Aは−NR56又はヒドロキシ基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。Aは−NR56であることが好ましい。R5とR6とは互いに結合して環を形成していてもよい。R5及びR6はそれぞれ、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であるのがより好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル基又は炭素原子数が1〜18の置換アルキル基であることが最も好ましい。
前記式(1)及び(2)において、B1は=C(R3)−又は=N−を表し、B2は−C(R4)=又は−N=を表す。B1及びB2が同時に−N=にならない場合が好ましく、B1が=C(R3)−で且つB2が−C(R4)=となる場合が更に好ましい。R1とR5、R3とR6及びR1とR2のいずれかが、互いに結合して芳香族環又は複素環を形成していてもよい。
前記式(1)において、Yは不飽和複素環基を表す。Yとしては、5員又は6員環の不飽和複素環が好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
前記不飽和複素環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ピリミジン環、ピリジン環、及びキノリン環等が好ましい。また、前記不飽和複素環基は、前記R1〜R4で挙げた置換基を有していてもよい。
前記式(2)において、Xはカラー写真カプラーの残基を表す。前記カラー写真カプラーの残基としては以下に挙げるものが好ましい。
イエローカプラー:米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号公報の段落0008の式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17、19(カラム17)、II−24(カラム19))。
マゼンタカプラー:米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下)、L−68(12頁右下)、L−77(13頁右下))、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号公報のM−1(6頁)、同4−362631号公報の段落0237のM−22、米国特許3,061,432号、同3,725,067号。
シアンカプラー:米国特許4,052,212号、同4,146,396号、同4,228,233号、同4,296,200号、欧州特許73,636号、特開平4−204843号公報のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号公報の請求項1の式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー。
その他、特開昭62−215272号公報(91頁)、特開平2−33144号公報(3頁,30頁)、EP 355,660A(4頁,5頁,45頁,47頁)記載のカプラーも有用である。
前記式(1)で表される油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては下記式(3)で表わされる染料が特に好ましく用いられる。
Figure 2007224226
前記式(3)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上1.0以下の電子吸引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記式(3)において、Z2は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。
前記式(3)において、R1〜R6は、前記式(1)の各々と同義である。
前記式(3)において、Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。中でも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。その中でも特に芳香族基又は複素環基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子又は炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサン環、スルホラン環及びチアン環等が挙げられ、これらの環が更に置換基を有する場合、該置換基としては、前記式(1)の置換基R1〜R4で例示した基が挙げられる。
尚、前記式(3)で表される化合物の好ましい構造については、特開2001−335714号明細書に記載されている。
前記式(2)で表される染料のうち、マゼンタ染料としては下記式(4)で表される染料が特に好ましく用いられる。
Figure 2007224226
前記式(4)において、Gは水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基又はスルホンアミド基を表す。
前記式(4)において、R1、R2、A、B1及びB2は、前記式(2)の各々と同義であり、それらの好ましい範囲も同じである。
前記式(4)において、Lは脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、エステル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、ウレイド基、ウレタン基、アシル基、アミド基及びスルホンアミド基の少なくとも1つで置換されていてもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表し、この複素環は更に別の環と縮合環を形成していてもよい。
前記式(4)で表される化合物において、Aは−NR56が好ましく、Lは5員の含窒素複素環を形成するのが好ましく、5員の含窒素複素環の例にはイミダゾール環、トリアゾール環及びテロラゾール環が含まれる。
以下に、前記式(1)及び前記式(2)で表される染料のうち、マゼンタ染料の例示化合物(M−0〜6、a−21〜25)を示すが、これらは、本発明を詳しく説明するためのものであって、これらにより本発明は限定されるものではない。
また、本発明において、M−0、M−4、M−6、a−21を用いることができ、特にM−4、M−6、a−21を好ましく用いることができる。
Figure 2007224226
Figure 2007224226
Figure 2007224226
Figure 2007224226
その他、本発明に用いることができる着色剤の化合物としては、例えば、特開2001−240763号明細書、同2001−181549号明細書、特開2001−335714号明細書に記載されているが、これらに限定されるものではない。
前記式(3)で表される化合物は、例えば、特開2001−335714号明細書、特開昭55−161856号公報に記載された方法を参考にして合成することができる。また、前記式(4)で表される化合物は、例えば、特開平4−126772号及び特公平7−94180号等の各公報、並びに特開2001−240763号明細書に記載された方法を参考にして合成することができる。
前記式(2)で表される染料のうち、シアン染料としては、下記式(5)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン染料が特に好ましく用いることができる。
Figure 2007224226
前記式(5)において、A、R1、R2、B1及びB2は、前記式(2)の各々と同義であり、それらの好ましい範囲も同じである。
前記式(5)において、Z3及びZ4はそれぞれ独立に、前記式(4)におけるGと同義である。また、Z3とZ4は互いに結合して、環構造を形成してもよい。Z3がハメット置換基定数σp値0.30以上の電子吸引性基であるものは、吸収がシャープであり、より好ましい。更に、Z3はハメット置換基定数σp値0.45以上の電子吸引性基であるのがより好ましく、ハメット置換基定数σp値0.60以上の電子吸引性基が最も好ましい。そして、Z3及びZ4のハメット置換基定数σp値の和が0.70以上のものはシアン色として優れた色相を呈し、更に好ましい。
前記式(5)において、Mは前記式(5)中の5員環に縮合した1,2,4−トリアゾール環を形成する原子団であって、5員環との縮合部の2つの原子B3及びB4は、いずれか一方が窒素原子で、他方が炭素原子である。
尚、前記式(5)で表される化合物は、シアン染料として用いるのが好ましいが、置換基の変更でマゼンタ染料として用いることもできる。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書中に見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、前記式(1)〜(5)の中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフルオロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフルオロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフルオロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
また、本発明において、下記式(A−I)で表される油溶性染料を好ましく用いることができる。
Figure 2007224226
式(A−I)中:X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12、−CO21及びスルホ基から選択される基を表す。ここで、Zは置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。ただしR1、R2の両方が水素原子であることはない。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表し、それぞれ独立に、0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上である。
前記式(A−I)で表される油溶性染料のうち、下記式(A−II)で表される油溶性染料が特に好ましく使用できる。
Figure 2007224226
式(A−II)中:X11〜X14、Y11〜Y18及びMは、式(A−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4、Mとそれぞれ同義である。a11〜a14は、それぞれ独立に、1又は2の整数を表す。
前記式(A−II)の具体例として、例示化合物(AII−17)を示すが、これは、本発明を詳しく説明するためのものであって、これらにより本発明は限定されるものではない。
Figure 2007224226
本発明では、酸化電位が1.0V(SCE)よりも貴である油溶性染料を用いることが好ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(SCE)よりも貴であるものがより好ましく、1.2V(SCE)より貴であるものが最も好ましい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP. Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年、Interscience Publishers社刊)やA. J. Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年、技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-4〜1×10-6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィー装置により、作用極として炭素(GC)を、対極として回転白金電極を用いて酸化側(貴側)に掃引したときの酸化波を直線で近似して、この直線と残余電流・電位直線との交点と、直線と飽和電流直線との交点(又はピーク電位値を通る縦軸に平行な直線との交点)とで作られる線分の中間電位値をSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年、技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
尚、上記の測定溶媒とフタロシアニン化合物試料の濃度範囲では、非会合状態の酸化電位が測定される。
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。
酸化電位が低い染料を使用すると、染料による重合阻害が大きく、硬化性が低下する。酸化電位が貴である染料を使用した場合には、重合阻害がほとんど無い。
本発明に用いることができる着色剤は、本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることであり、高分子分散剤としては、例えば、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。本発明において、これらの分散剤及び分散助剤は、着色剤100重量部に対し、1〜50重量部添加することが好ましい。
着色剤は、本発明のインク組成物に直接添加してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加してもよい。本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物に添加することが好ましい。更に使用する重合性化合物としては、最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
本発明において、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは、0.015〜0.3μmである。また、着色剤の最大粒径は、好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは0.3〜3μmである。このような最大粒径となるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
着色剤はインク組成物中、インク組成物全体の重量で1〜20重量%添加されることが好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
(f)増感剤
本発明のインク組成物は、オニウム型重合開始剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有することも好ましい。増感剤としては、オニウム型重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。増感剤としては、増感色素が好ましい。
本発明に使用する増感色素としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
中でも本発明における増感剤には、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、チオキサントン類、ジスチリルベンゼン類、スチリルベンゼン類と組み合わせるのが開始効率の観点で好ましく、ジスチリルベンゼン類、スチリルベンゼン、ジフェニルブタジエン類と組み合わせるが最も好ましい。
具体的には以下の化合物が例示できる。尚、下記の化合物中、Meはメチル基、Buはブチル基を表す。
Figure 2007224226
本発明のインク組成物において、増感剤として増感色素を使用する場合、その含有量は、インクの着色性の観点から、インク組成物の全重量に対し、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、増感剤とオニウム型重合開始剤とのインク組成物中における含有比としては、オニウム型重合開始剤の分解率向上と照射した光の透過性の観点から、重量比で、(オニウム型重合開始剤)/(増感剤)=100〜0.5が好ましく、50〜1がより好ましく、10〜1.5が更に好ましい。
(g)共増感剤
本発明のインク組成物は、(g)共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としてはチオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
共増感剤はインク組成物中、インク組成物全体の重量(固形分換算)で1〜20重量%添加されることが好ましく、1〜5重量%がより好ましい。上記範囲であると、良好な感度を適度な使用量で得られるため好ましい。
(h)他の重合性化合物
本発明のインク組成物は、多官能オキセタン化合物、多官能オキシラン化合物、単官能オキセタン化合物、単官能オキシラン化合物と共に(h)他の重合性化合物を併用することもできる。本発明に併用することのできる重合性化合物としては、(a)〜(c)に該当しないカチオン重合性化合物や、ラジカル重合性化合物が挙げられる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
本発明に用いることができるラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合(エチレン性不飽和結合)を1つ以上有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物を併用すると、ラジカル重合の特徴である高感度性と、カチオン重合の特徴である低体積収縮性より、高感度性、及び、密着性を兼備した印刷物、又は、平版印刷版が得られるので好ましい。
また、カチオン重合性化合物であるビニルエーテル化合物を併用することもできる。ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロロブチルビニルエーテル、クロロエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
(i)他の重合開始剤
本発明のインク組成物は、(d)カチオン重合開始剤と、(i)他の重合開始剤を併用することもできる。併用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤が挙げられる。前記他の重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。本発明に用いることのできる重合開始剤は、活性放射線に感応する放射線感応型ラジカル重合開始剤、いわゆる光ラジカル重合開始剤が好ましい。
本発明で併用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)有機過酸化物、(c)チオ化合物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(k)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(k)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。
(j)その他の成分
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、塩基性化合物、ラジカル重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
ラジカル重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加することが好ましい。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物及びインクジェット記録用インク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との密着性を改良するために添加され得る。有機溶剤を添加すると、揮発性有機化合物(VOC)の問題が回避できるので有効である。有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の重量に対し、例えば、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
インク組成物に用いることのできる着色剤の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤との組み合わせ、及び、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤との組み合わせの他、これらの重合性化合物及び重合開始剤を併用したラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとしてもよい。
この他に、必要に応じて公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
(2)インク組成物の性質
得られたインク組成物を、インクジェット記録用として用いる場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜30℃)において、インク組成物の粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは7〜500mPa・s、より好ましくは7〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、例えば好ましくは20〜35mN/m、より好ましくは23〜33mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで35mN/m以下が好ましい。
(3)インクジェット記録方法及び装置
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として使用されることが好ましい。
本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法について、以下説明する。
(3−1)インクジェット記録方法
本発明は、上記インク組成物を、被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、もってインクを硬化して画像を形成する方法を提供する。即ち、本発明は、
(a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び
(b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、
を含むインクジェット記録方法であって、
前記インク組成物が本発明のインク組成物であるインクジェット記録方法に関する。
硬化したインク組成物は、被記録媒体上に画像を形成する。
活性放射線のピーク波長は200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがより好ましい。また、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cm2であり、更に好ましくは、20〜1,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜800mJ/cm2である。
(3−1−2)インク組成物を被記録媒体上に吐出する工程
本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物を被記録媒体の表面上に吐出する場合、インク組成物又はインクジェット記録用インク組成物を好ましくは40〜80℃、より好ましくは25〜30℃に加熱して、インク組成物の粘度を好ましくは7〜30mPa・s、より好ましくは7〜20mPa・sに下げた後に吐出することが好ましい。特に、25℃におけるインク粘度が7〜500mP・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることが出来るので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インク組成物又はインクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
(3−1−3)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させる工程
被記録媒体の表面上に吐出された上記インク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明の上記インク組成物に含まれる重合開始系中のカチオン重合開始剤が放射線を吸収して酸を発生し、重合性化合物がカチオン重合して硬化するためである。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。また、本発明では、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、例えば、2,000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2,000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1,000mJ/cm2、更に好ましくは、50〜800mJ/cm2の照射エネルギーであることが適当である。また、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
本発明の上記インク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは0.01〜0.3秒、より好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。尚、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明の上記インク組成物は、活性放射線の照射により硬化し、疎水性画像を前記親水性支持体表面上に形成する。
(3−2)インクジェット記録装置
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む。
インク供給系は、例えば、本発明の上記インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4,000×4,000dpi、好ましくは、400×400〜1,600×1,600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。尚、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェットには、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、熱発生による基材へのダメージが少ないことから、UV−LEDが好ましく、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
また、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例で使用した化合物を以下に記載する。
(顔料)
C顔料(シアン顔料):IRGALITTE BLUE GLVO(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
M顔料(マゼンタ顔料):CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
Y顔料(イエロー顔料):NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製)
K顔料(ブラック顔料):SPECIAL BLACK 250(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
(分散剤)
BYK168(BYK Chemie社製)
(多官能オキセタン化合物)
OXT−221(東亞合成(株)製)
化合物A:下記構造の化合物
Figure 2007224226
Figure 2007224226
(多官能オキシラン化合物)
Cylacure UVR6105(Dow Chemical社製)
セロキサイド3000(ダイセル化学工業社製)
Figure 2007224226
Figure 2007224226
(高極性単官能オキセタン化合物)
例示化合物(1)
(高極性単官能オキシラン化合物)
例示化合物(20)
(低極性単官能オキセタン化合物)
例示化合物(58)
(低極性単官能オキシラン化合物)
例示化合物(73)
(重合開始剤)
Esacure1064(Lamberti社製)
(添加剤)
TPM:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dow Chemical社製)
(界面活性剤)
BYK307(BYK Chemie社製)
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITTE BLUE GLVO 300重量部
OX221 500重量部
BYK168 200重量部
以上の成分を撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。尚、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで6時間分散を行った。
(マゼンタミルベースBの調製)
CINQUASIA MAGENTA RT−335 D 300重量部
OX221 300重量部
BYK168 400重量部
以上の成分を撹拌混合し、マゼンタミルベースBを得た。尚、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
(イエローミルベースCの調製)
NOVOPERM YELLOW H2G 300重量部
OX221 300重量部
BYK168 400重量部
以上の成分を撹拌混合し、イエローミルベースCを得た。尚、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
(ブラックミルベースDの調製)
SPECIAL BLACK 250 300重量部
OX221 300重量部
BYK168 400重量部
以上の成分を撹拌混合し、ブラックミルベースDを得た。尚、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散を行った。
(インクの調製)
ミルベースA〜D、各重合成化合物、重合開始剤、添加剤をそれぞれ表1に示す処方で混合し、高速撹拌することでインク組成物を得た。
(実施例2〜20、比較例1〜7)
実施例1で使用した各成分を下記表に示したように変更した以外は全く同様にしてインク組成物を調製した。
《インク粘度の測定》
調製した各インク組成物の25℃における粘度をB型粘度計(LVDV−1、Brookfirld社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
《インクジェット画像記録》
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度700mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ((株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製)を使用した。尚、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用いた。
《インクジェット画像の評価》
次いで、各形成した画像について、下記に記載の方法に準じて、硬化に必要な感度、膜柔軟性、保存安定性の評価を行った。
(硬化感度の測定)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm2)を硬化感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
3・・・ 150mJ/cm2以下
2・・・ 150mJ/cm2を超えて600mJ/cm2未満
1・・・ 600mJ/cm2以上
(折り曲げテスト)
被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用い、露光エネルギーを900(mJ/cm2)で一定として、画像部の平均膜厚が12μm、24μm、36μmの3つのベタ画像を描画した。折り曲げテストは画像を形成した被記録材を25℃条件下で1回折り曲げ、画像部の割れの有無によって評価した。一般に平均膜厚が厚くなると、画像部を折り曲げた際に画像部にかかる歪が大きくなり、割れを生じやすくなる。即ち、より厚い膜厚で画像部に割れが生じないかをテストすることで、柔軟性の尺度とすることができる。
評価基準は以下の通りである。
4・・・ 平均膜厚12μm、24μm、36μm全てのサンプルで割れが発生しない。
3・・・ 平均膜厚12μm、24μmのサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚36μmのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
2・・・ 平均膜厚12μmのサンプルでは割れが発生しないが、平均膜厚24μm、36μmのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
1・・・ 平均膜厚12μm、24μm、36μmすべてのサンプルで、画像部の折り曲げた部分に割れが入る。
(密着性評価)
被記録媒体として、ポリカーボネート板(レキサン9034クリア、膜厚2mm、旭ガラス社製)、アクリル板(レプソールキャストアクリルクリアー、膜厚2mm、Repsol社製)、PVC板(Sintra、膜厚2mm、Alcan composites社製)を用い、露光エネルギーを900(mJ/cm2)で一定として、画像部の平均膜厚が12μmのベタ画像を描画した。画像を形成した被記録材上に25℃条件下で縦、横に10本(それぞれ長さ5cm)のクロス状の切りきずを入れ、その上に粘着テープを貼り、勢い良くはがした際の、画像部の剥がれの程度を評価した(一般にいうクロスハッチテストを実施した)。
評価基準は以下の通りである。
3・・・ テープが粘着された部分のうち、10%以下の面積しか画像が剥がれない。
2・・・ テープが粘着された部分のうち、10%以上、80%以下の面積の画像が剥がれた。
1・・・ テープが粘着された部分のうち、80%以上の面積の画像が剥がれた。
(保存安定性の評価)
作製したインクを75%RH、60℃で3日保存した後、射出温度でのインク粘度を測定し、インク粘度の増加分を、保存後/保存前の粘度比で表した。粘度が変化せず1.0に近いほうが保存安定性が良好であり、1.5を超えると射出時に目詰まりを起こす場合があり好ましくない。
保存安定性は以下の基準で評価した。
3 ・・・ 保存後/保存前の粘度比が1.0以上1.20未満
2 ・・・ 保存後/保存前の粘度比が1.20以上1.50未満
1 ・・・ 保存後/保存前の粘度比が1.50以上
これらの評価結果を表2に示す。
Figure 2007224226
(実施例21〜26、比較例8〜14)
《インクジェット画像記録》
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV―LED光を露光面照度300mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。UV−LEDランプには、NCCU033(日亜化学社製)を使用した。尚、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡社製)を用いた。
硬化性試験の判定基準を下記とする以外は、実施例(1〜20)と同様にして、硬化性、柔軟性、密着性試験を行った。保存安定性試験に関しては、インクそのものの特性であるので、省略した。結果を表3に示す。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
3 ・・・ 300mJ/cm2以下
2 ・・・ 300mJ/cm2を超えて900mJ/cm2未満
1 ・・・ 900mJ/cm2以上
Figure 2007224226
表3より、本発明の(a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、(b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、(c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、(d)カチオン重合開始剤、並びに、(e)着色剤を含有することを特徴とするインク組成物は、高感度であり、密着性に優れ、また、保存安定性の良好であることが分かる。

Claims (7)

  1. (a)多官能オキセタン化合物及び/又は多官能オキシラン化合物、
    (b)高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物、
    (c)低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物、
    (d)カチオン重合開始剤、並びに、
    (e)着色剤を含有することを特徴とする
    インク組成物。
  2. 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、分子内の酸素原子の総数が1又は2であり、前記酸素原子が全てエーテル結合を形成している化合物である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、1つ又は2つのエーテル結合、及び、炭化水素鎖のみから構成される化合物である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物が、下記式(I)で表される構造単位を1つ有する化合物である請求項1〜3のいずれか1つに記載のインク組成物。
    Figure 2007224226
    (式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基を表す。)
  5. インクジェット記録用である請求項1〜4のいずれか1つに記載のインク組成物。
  6. (a)被記録媒体上にインク組成物を吐出する工程、及び、
    (b)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、
    を含むインクジェット記録方法であって、
    前記インク組成物が請求項1〜5のいずれか1つに記載のインク組成物である
    インクジェット記録方法。
  7. 請求項6に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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