JP2008075057A - インク組成物 - Google Patents

インク組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008075057A
JP2008075057A JP2006259358A JP2006259358A JP2008075057A JP 2008075057 A JP2008075057 A JP 2008075057A JP 2006259358 A JP2006259358 A JP 2006259358A JP 2006259358 A JP2006259358 A JP 2006259358A JP 2008075057 A JP2008075057 A JP 2008075057A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink composition
meth
acrylate
pigment
ether
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006259358A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukari Kobayashi
由香里 小林
Ippei Nakamura
一平 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006259358A priority Critical patent/JP2008075057A/ja
Publication of JP2008075057A publication Critical patent/JP2008075057A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】顔料の分散性とその安定性に優れ、低粘度化が可能であり、インクジェット記録に適用した場合にインクジェットノズルの詰まりを発生させないインク組成物を提供すること。また、顔料の分散性とその安定性に優れ、且つ、高い隠蔽性と着色性とを有する硬化膜を形成しうるインク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明のインク組成物は、(a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、及び(d)重合開始剤を含有することを特徴とする。(a)顔料が、粒子径Pと粒子径Pとにピークを持つ粒度分布を有する場合、該粒子径Pと該粒子径Pとの関係が、P>P、且つ、P/P=1.5〜15を満たすことが好ましい態様である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物に関し、より詳細には、インクジェット記録に好適な硬化型のインク組成物に関するものである。
従来より、インクの性能としては、高い隠蔽性と着色力とが必須である。これは、隠蔽性が低いと印刷媒体の色が透け、色再現性が劣る結果となるためである。このことから、高い隠蔽性と着色力とを達成するために、インクは、顔料濃度を高くする必要があり、その結果、分散安定化のために粘度が高くなっている。
一方、インクジェット用インクは、従来の印刷方式に比べて簡便かつコンパクトであること、また、非接触型印刷であることから、立体的な媒体への印刷が可能となり、更に利用が拡大している。このように、インクジェット記録方式を用いたことにより、従来のスクリーン印刷による問題点は解決され、立体媒体への印刷や、微細な描写が可能となっている。
しかし、インクジェット方式による印刷では、装置の都合上、インク粘度が低いことが要求される。そのため、従来のインク、即ち、顔料濃度が高く、粘度が高いインクは、その粘度が問題点となり、使用することができない。また、このようなインクは、顔料の沈降が生じ易く、このインクを用いると、インクジェットノズルにつまりが発生し、印刷画像が鮮明とならない、或いは印刷されない事態となる。
そこで、高い隠蔽性と着色力とを維持しつつも、低粘度にすべく広く研究が行われている。
例えば、顔料の分散媒体として熱可塑性樹脂を用い、白色顔料としてルチル型酸化チタンを使用したジェットプリンター用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、アナターセ型の酸化チタンを使用し、分散安定性、吐出安定性を向上させたインクが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このように酸化チタンは隠蔽性、着色力が大きいため白色インク用顔料として優れている。しかしながら、酸化チタンは顔料の中でも特に沈降し易く、また一度沈降すると再度分散させるのが困難である。このため低粘度で吐出安定性に優れ、かつ、黒地の基材に対する印刷物の視認性に優れた紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物は未だ得られていないのが現状であり、そのような優れた特性を持った紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物が求められている。
特開昭62−64874号公報 特開2000−336295号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は以下の通りである。
即ち、本発明の目的は、顔料の分散性とその安定性に優れ、低粘度化が可能であり、インクジェット記録に適用した場合にインクジェットノズルの詰まりを発生させないインク組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、顔料の分散性とその安定性に優れ、且つ、高い隠蔽性と着色性とを有する硬化膜を形成しうるインク組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、顔料の粒径に着目し、それを制御することで、顔料の分散安定性が向上したインクジェット用インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明のインク組成物は、(a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、及び(d)重合開始剤を含有することを特徴とする。
また、前記(a)顔料が、粒子径Pと粒子径Pとにピークを持つ粒度分布を有する場合、該粒子径Pと該粒子径Pとの関係が、P>P、且つ、P/P=1.5〜15を満たすことが好ましい態様である。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
本発明のインク組成物のように、粒径分布の異なる顔料を併用することにより、隠蔽率に優れる大粒径の顔料と、分散安定性に優れる小粒径の顔料の特性を併せ持つことができ、高い隠蔽性と顔料の沈降のし難さを両立できているのではないかと考えられる。また、粒径分布の異なる顔料は粒径分布に応じた、異なる熱力学物性を有するため、組成物の経時に対する応答性が明瞭でなくなるために分散安定性が向上したものとも考えられる。
また、本発明のインクジェット用インクは、被記録媒体上に、インク組成物を吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法に適用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、顔料の分散性とその安定性に優れ、低粘度化が可能であり、インクジェット記録に適用した場合にインクジェットノズルの詰まりを発生させないインク組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、顔料の分散性とその安定性に優れ、且つ、高い隠蔽性と着色性とを有する硬化膜を形成しうるインク組成物を提供することができる。
本発明のインク組成物は、(a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、及び(d)重合開始剤を含有することを特徴とする。
まず、この(a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料について、詳細に説明する。
〔(a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料〕
本発明における顔料は、2つ以上のピークを持つ粒度分布を有することを要する。
ここで、「2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する」とは、本発明のインク組成物中の顔料の粒度分布を測定した際に、横軸に粒子径をとり、縦軸に散乱強度をとった場合の頻度の極大値であるピークが2つ以上存在することを意味する。
このような粒度分布を有する顔料を用いることで、インク組成物中の顔料の分散性、及びその安定性に優れ、且つ、そのインク組成物から形成される画像(硬化膜)の隠蔽性、及び着色性が向上する。また、顔料の分散安定性に優れることから、低粘度化が可能であり、インクジェット記録に適用した場合にインクジェットノズルの詰まりの発生を防止することも可能となる。
上記の顔料の粒度分布は、市販の光散乱光度計(例えば、堀場製作所(株)製LA−920光度計、大塚電子(株)製FPAR−1000光度計など)により測定することができる。
本発明のインク組成物は、調製が容易である点から、2つのピークを持つ粒度分布を有する顔料を含有することが好ましい。
本発明において、顔料が粒子径Pと粒子径Pとにピークを持つ粒度分布を有する場合、つまり、2つのピークを有する場合、粒子径Pと粒子径Pとの関係が、P>P、且つ、P/P=1.5〜15を満たすことが好ましい態様である。
即ち、本発明のインク組成物が2つのピークを持つ粒度分布を有する顔料である場合、2つのピークのうち、粒子径の大きい方のピークにおける粒子径を粒子径Pとし、粒子径の小さい方のピークにおける粒子径が粒子径Pとすれば、粒子径Pに対して粒子径Pが1.5〜15倍であることが好ましい。
また、P/P=1.6〜10の範囲であることがより好ましく、P/P=1.7〜4の範囲であることが更に好ましい。
より具体的には、粒子径Pが0.20〜1.2μmの範囲であり、粒子径Pが0.02〜0.70μmの範囲であることが好ましい組み合わせであり、粒子径Pが0.20〜1.0μmの範囲であり、粒子径Pが0.05〜0.40μmの範囲であることがより好ましい組み合わせである。
このように粒子径を管理することにより、本発明の効果をより高めることができると共に、インク透明性や、硬化感度を維持することも可能である。
本発明のインク組成物において、2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料を含有する状態を得るためには、本発明のインク組成物を調製する際に、平均粒子径が異なる顔料を2種以上用いればよい。その際、その顔料は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、粒子径の制御のためには、顔料、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を、適宜、設定する方法を用いることもできる。
以下、本発明において使用することができる顔料について説明する。
本発明に使用することができる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
即ち、赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21などが目的に応じて使用できる。
上記の中でも、隠蔽性に優れた画像を形成しうる白色顔料は、分散安定性を得ることが困難であるため、本発明のインク組成物は、このような白色顔料を用いた場合に特に優れた効果が得られる。以下、本発明で最も好ましく用いられる白色顔料について説明する。
白色顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての無機白色顔料、有機白色顔料、又は中空粒子を用いることができる。更に、顔料を、分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることもできる。
無機白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、所謂シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、所謂ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、所謂チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、所謂チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の無機白色顔料と比べると比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは、一般に未処理で使用されることは少なく、シリカ、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、有機物処理が行われ、処理方法によって耐候性や親油水性が異なる。本発明においては、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、塩基性有機物処理されたものが好ましい。混合処理が行われた酸化チタンに関しては、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、塩基性有機物による処理量が50%以上であることが好ましい。
もちろん、必要に応じて他の無機白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
有機白色顔料は、無機白色顔料に比べて比重が小さいため、粘度の低い分散物中で安定に存在することができる。
有機白色顔料の具体例としては、ハッコーケミカル社製シゲノックスシリーズなどが挙げられる。
白色顔料としての中空粒子は、粒子内の空隙部の光散乱により高い隠蔽性を発揮すると共に、無機白色顔料に比べて比重が小さく、粘度の低い分散物中で安定に存在することができる。本発明においては、無機、有機、無機有機混合中空粒子の利用が可能である。
中空粒子の具体例としては、日産化学工業社製 オプトビーズシリーズ、JSR社製SXシリーズ、松本油脂製薬製マイクロスフェアーMFLシリーズなどが挙げられる。
これらの顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
本発明のインク組成物において顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を用いてもよいし、また、無溶媒で、低分子量成分である後述する(c)重合性化合物を分散媒として用いてもよい。本発明のインク組成物は、(c)重合性化合物、及び(d)重合開始剤を含有する硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(c)重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが、分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
本発明のインク組成物は、前述のように、平均粒子径が異なる顔料を、適宜、混合すればよく、ここで用いられる顔料の平均粒子径は、0.05〜1.0μmであることが好ましく、0.10〜0.6μmであることがより好ましい。
また、本発明のインク組成物中の顔料粒子の最大粒径は5μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。
本発明のインク組成物は、平均粒子径が異なる2種以上の顔料を用意しておき、これらの顔料を他の構成成分と混合し、分散することで調製してもよい。また、顔料と他の構成成分とを混合し、分散してなる分散液を、顔料の平均粒子径毎に複数種用意しておき、それらを、適当な組み合わせや割合で混合する方法を用いることも可能である。
例えば、平均粒子径が大きな顔料を含有する分散液と、平均粒子径が小さな顔料を含有する分散液と、を混合する場合には、全分散液に対する平均粒子径が小さな顔料を含有する分散液は、5〜90質量%であることが好ましい。(頂いた原稿の請求項3に相当)
本発明のインク組成物における(a)顔料の含有量は、総量で、1〜30質量%の範囲であり、より好ましくは2〜25質量%の範囲である。この含有量において、隠蔽力及び着色力に優れた画像形成が可能となる。
〔(b)高分子分散剤〕
本発明のインク組成物は、(a)顔料の分散安定性を得るために、(b)高分子分散剤を含有する。この高分子分散剤は、インク組成物の粘度を上昇させる懸念があるため、顔料に効率よく吸着すると共に、その吸着力が強いことが望まれる。
本発明おいて用いられる高分子分散剤は、用いる(a)顔料の表面電荷により使い分けることが好ましい。極性顔料分散には、酸・塩基相互作用が重要であり、表面が正電荷であれば、負電荷をも持つ分散剤が好ましく、逆に負電荷の表面には静電荷をもつ分散剤を用いるとよい。また、非極性顔料の分散には、分子間相互作用を利用した分散剤を用いるとよい。
また、本発明おいて用いられる高分子分散剤は、顔料への吸着を向上させ、また、顔料の分散性安定性を得るために、分散媒である(c)重合性化合物に溶解することが好ましい。
本発明における高分子分散剤として、具体的には、公知の分散剤を使用することができる。
正電荷をもつ分散剤としては、官能基として、1級、2級、又は3級アミノ基を有するものや、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素へテロ環等を有するものを挙げることができる。
負電荷をもつ分散剤としては、官能基として、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸を有するものを挙げることができる。
分子間相互作用を利用する分散剤としては、シナジスト型分散剤が使用できる。
その他、水素結合や双極子モーメントを利用することで、分散効率を上げることができる。
より具体的には、味の素ファインテクノ製アジスパーシリーズ、アビシア製のソルスパーズシリーズ、BYK−Chemie製のディスパービックシリーズ、楠本化成のディスパロンシリーズ、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられるが、これらに限定されることはない。
本発明において使用する(b)高分子分散剤の添加量は、(a)顔料の総量に対して、1〜20質量%の範囲が好ましく、特に1〜15質量%の範囲が好ましい。高分子分散剤の添加量が顔料に対して1〜10質量%の範囲であると、顔料への吸着性及び分散性がより向上し、かつ、高分子分散剤のためのインク組成物が高粘度化も起らず、界面活性剤作用でインク組成物の表面張力が低下し、インクジェット記録に適用しても、塗出不良が起ることもない。
〔(c)重合性化合物〕
本発明のインク組成物は(c)重合性化合物を含有する。この重合性化合物は、共存する重合開始剤から発生した開始種により硬化して画像(硬化膜)を形成する。
本発明において使用される重合性化合物には特に制限はなく、一般に知られている重合性基(好ましくは、光硬化性基)を有する化合物であれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、併用する(b)高分子分散剤との関連やインク組成物の粘度を考慮すれば、モノマー或いは比較的低分子量のオリゴマーなどが好ましい。
重合性化合物は、反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で、1種のみを用いてもよいし、また、複数を混合して用いることもできる。
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物を用いることができる。以下、それぞれの化合物について説明する。
[ラジカル重合性化合物]
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。このようなラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また、目的とする特性を向上するために、任意の比率で2種以上を併用してもよい。また、単官能化合物よりも官能基を2つ以上持つ多官能化合物の方がより好ましい。更に好ましくは多官能化合物を2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
本発明のインク組成物においては、ラジカル重合性化合物として、(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記の化合物を挙げることができる。
なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両方の構造をとり得ることを表す。以下、同様である。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
本発明においては、重合性化合物として、(1)三官能以上の(メタ)アクリレートを少なくとも1種と、(2)単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種と、を含むように構成することが、粘度調整や架橋密度の調整、硬化後の物性制御(強度、接着性など)の点で好ましい。この場合、(1):(2)の混合比(モル比)は、15:85〜40:60が好ましく、20:80〜50:50が更に好ましい。
また、列挙した前記化合物以外のラジカル重合性化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。具体的には、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアセトンアクリルアミド等のアクリル酸誘導体、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三編、1981年大成社)、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(加藤清視編、高分子刊行会(1985年))、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(ラドテック研究会編、79頁(1989年)、シーエムシー)、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、日刊工業新聞社(1988年))等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いる場合、ラジカル重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%が更に好ましく、50〜90質量%が特に好ましい。
[カチオン重合性化合物]
カチオン重合性化合物は、重合性の程度やインク組成物の物性等を調整する目的で任意に選択可能である。中でも、重合速度や汎用性の観点から、オキシラン化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル類、又はスチレン類などが好ましい。これらは単独で用いることもでき、2種以上併用してもよい。以下にそれらの例を示す。
(オキシラン化合物)
オキシラン化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのオキシラン化合物の中でも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
また、オキシラン化合物のうち官能基数が少ないものは、上述したように溶解性及び粘度の調整作用も同時に兼ね備えることができるため、好ましい。
本発明で用いられる単官能エポキシドの例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
多官能エポキシドの例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
(オキセタン化合物)
本発明におけるオキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526、同2001−310937、同2003−341217の各公報に記載されるような、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましく、上述したように、中でもインク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で用いられるオキセタン化合物には、単官能オキセタンの例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
また、多官能オキセタンとしては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
(ビニルエーテル類)
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
(スチレン類)
スチレン類の具体的な例として、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
本発明においては、重合性化合物として、カチオン重合性化合物であるオキシラン化合物及びオキセタン化合物から選択される少なくとも1種とを含むように構成することが、硬化速度の点で好ましい。
なお、オキシラン化合物とオキセタン化合物とを併用する場合、オキシラン化合物:オキセタン化合物の混合比(モル比)は90:10〜10:90が好ましく、70:30〜30:70が更に好ましい。
また、オキセタン化合物とスチレン類とを併用する場合、90:10〜50:50の混合比で用いることも好ましい。
重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いる場合、カチオン重合性化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%が更に好ましく、50〜90質量%が特に好ましい。
〔(d)重合開始剤〕
本発明のインク組成物は(d)重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、外部から付与されたエネルギーにより開始種を発生し、(c)重合性化合物を硬化させることができる公知の重合開始剤を含有することが好ましい。この重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤を用いることができ、用いられる(c)重合性化合物、即ち、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物に適合するものを選択し、組み合わせて用いることが好ましい。
[カチオン重合開始剤]
(c)重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いる場合、本発明のインク組成物には、カチオン重合開始剤(光酸発生剤)を含有することが好ましい。カチオン重合開始剤とは、活性光線又は活性放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
本発明におけるカチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらのカチオン重合開始剤、又はそれと同等の作用を有する基若しくは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
カチオン重合開始剤は1種単独で使用してもよいし、また、2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としてカチオン重合開始剤を用いる場合、インク組成物中のカチオン重合開始剤の含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。カチオン重合開始剤の含有量が上記範囲において、優れた硬化性が得られ、且つ、得られた硬化インク画像の脆化や残存開始剤による酸の発生などの問題が生じない。
[ラジカル重合開始剤]
(c)重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いる場合、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
本発明で使用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては、(1)芳香族ケトン類、(2)アシルホスフィンオキシド化合物、(3)芳香族オニウム塩化合物、(4)有機過酸化物、(5)チオ化合物、(6)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(7)ケトオキシムエステル化合物、(8)ボレート化合物、(9)アジニウム化合物、(10)メタロセン化合物、(11)活性エステル化合物、(12)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(13)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明においてラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。
重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いる場合、(c)重合性化合物の総量に対して、0.01〜35質量%の範囲が好ましく、0.1〜30質量%の範囲がより好ましく、0.5〜30質量%の範囲が更に好ましい。
本発明のインク組成物には、前記必須成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
〔(e)増感色素〕
本発明のインク組成物には、前述の(d)重合開始剤の活性放射線(外部エネルギーの一つ)による分解を促進させるために(e)増感色素を添加することができる。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして、即ち、分解して、開始種(ラジカル、酸、或いは塩基)を生成する。
増感色素は、インク組成物に使用される(d)重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、且つ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
即ち、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられる。
より好ましい増感色素の例としては、下記式(I)〜式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008075057
(式(I)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。)
Figure 2008075057
(式(II)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは式(I)に示したものと同義である。)
Figure 2008075057
(式(III)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。)
Figure 2008075057
(式(IV)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。)
Figure 2008075057
(式(V)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子又は=NR67を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
式(I)〜式(V)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008075057
Figure 2008075057
これらの(e)増感色素は、インク組成物中、0.1〜7質量%添加されることが好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
〔共増感剤〕
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
〔油溶性染料〕
本発明のインク組成物は、隠蔽性及び着色性をより向上させるために、必要に応じて、上述の顔料に加え、下記に示す油溶性染料を併用することができる。この油溶性染料は、本発明の効果を損なわない範囲で含有されることができる。
以下に、本発明のインク組成物に用いることができる油溶性染料について説明する。
本発明に用いることのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色材が含有されていてもよい。
本発明に用いることのできる油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えば、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えば、ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えば、ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としては、キノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に用いることのできる油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えば、カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えば、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えば、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えば、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に用いることのできる油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合の対カチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。その好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99、100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
特に好ましい油溶性染料としては、下記式(1)又は式(2)で表されるアゾ又はアゾメチン染料を挙げることができる。下記式(2)で表される染料は、写真材料において酸化によりカプラー及び現像主薬から生成する染料として知られている。
Figure 2008075057
前記式(1)及び式(2)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
前記式(1)及び式(2)において、特に、Rは上記置換基のうち、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基又はスルホンアミド基であることが好ましい。
なお、本発明において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。前記脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例には、R〜Rの説明で挙げた置換基を挙げることができる。置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
また、本発明において、芳香族基はアリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例には、R〜Rの説明で挙げた置換基を挙げることができる。
前記式(1)及び式(2)において、Aは−NR又はヒドロキシ基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。Aは−NRであることが好ましい。RとRとは互いに結合して環を形成していてもよい。R及びRはそれぞれ、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基であるのがより好ましく、水素原子、炭素原子数が1〜18のアルキル基又は炭素原子数が1〜18の置換アルキル基であることが最も好ましい。
前記式(1)及び式(2)において、Bは=C(R)−又は=N−を表し、Bは−C(R)=又は−N=を表す。B及びBが同時に−N=にならない場合が好ましく、Bが=C(R)−で且つBが−C(R)=となる場合が更に好ましい。RとR、RとR及びRとRのいずれかが、互いに結合して芳香族環又は複素環を形成していてもよい。
前記式(1)において、Yは不飽和複素環基を表す。Yとしては、5員又は6員環の不飽和複素環が好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
前記不飽和複素環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ピリミジン環、ピリジン環、及びキノリン環等が好ましい。また、前記不飽和複素環基は、前記R〜Rで挙げた置換基を有していてもよい。
前記式(2)において、Xはカラー写真カプラーの残基を表す。前記カラー写真カプラーの残基としては以下に挙げるものが好ましい。
イエローカプラー:米国特許3,933,501号、同4,022,620号、同4,326,024号、同4,401,752号、同4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許1,425,020号、同1,476,760号、米国特許3,973,968号、同4,314,023号、同4,511,649号、欧州特許249,473A号、同502,424A号の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17、19(カラム17)、II−24(カラム19))。
マゼンタカプラー:米国特許4,310,619号、同4,351,897号、欧州特許73,636号、米国特許3,061,432号、同3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、同No.24230(1984年6月)、特開昭60−33552号、同60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許4,500,630号、同4,540,654号、同4,556,630号、国際公開WO88/04795号、特開平3−39737号(L−57(11頁右下)、L−68(12頁右下)、L−77(13頁右下))、欧州特許456,257号の〔A−4〕−63(134頁),〔A−4〕−73,−75(139頁)、同486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁)、同571,959A号のM−45(19頁)、特開平5−204106号公報のM−1(6頁)、同4−362631号公報の段落0237のM−22、米国特許3,061,432号、同3,725,067号。
シアンカプラー:米国特許4,052,212号、同4,146,396号、同4,228,233号、同4,296,200号、欧州特許73,636号、特開平4−204843号公報のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号公報の請求項1の一般式(Ia)又は(Ib)で表されるカプラー。
その他、特開昭62−215272号公報(91頁)、特開平2−33144号公報(3頁,30頁)、EP 355,660A(4頁,5頁,45頁,47頁)記載のカプラーも有用である。
〔重合禁止剤〕
本発明においては、重合禁止剤を併用することが好ましい。
適当な重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物及びキノン類、N−オキシド化合物類、ピペリジン 1−オキシル フリーラジカル化合物類、ピロリジン 1−オキシル フリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、及びカチオン染料類からなる群より選択される化合物である。好ましい重合禁止剤としては、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、レゾルシノール、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及びその誘導体、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド及びその誘導体等、ピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル フリーラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン 1−オキシル フリーラジカル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット及びビクトリアピュアブルーBOH等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、インク組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
〔紫外線吸収剤〕
本発明のインク組成物には、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成分の0.01〜10質量%程度である。
〔酸化防止剤〕
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜1質量%程度である。
〔溶剤〕
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
〔高分子化合物〕
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、スチレン系重合体、アクリル系重合体、環状エーテル重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、スチレン系モノマー、アクリル系のモノマー、環状エーテルの共重合が好ましい。更に、高分子化合物の共重合組成として、「環状エーテル基含有モノマー」、「ビニルエーテル基含有モノマー」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.01〜10.0質量%程度である。
〔界面活性剤〕
本発明のインク組成物には界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、具体的には、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の0.001〜5.0質量%程度である。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
〔インク組成物の好ましい物性〕
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に適用した際の吐出性を考慮し、吐出時の温度において、インク粘度が50mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは30mPa・s以下であり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。なお、25℃でのインク粘度は、10〜300mPa・s、好ましくは10〜100mPa・sである。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更に、インク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。25℃におけるインク粘度が10mPa・s未満では、滲み防止効果が小さく、逆に500mPa・sより大きいと、インク液のデリバリーに問題が生じる場合がある。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、更に好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では30mN/m以下が好ましい。
本発明のインク組成物は、前述したように、外部エネルギーが付与されることにより、重合反応が生起して硬化膜(画像)を形成するが、この外部エネルギーとしては、熱及び活性放射線に大別される。ここで、活性放射線として、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。中でも、紫外線を含む活性放射線を用いることが好ましい。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。本発明のインク組成物が適用可能なインクジェット記録方式には特に制限はなく、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出する電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出する音響型インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、発生した圧力を利用するサーマル型インクジェット方式、等のいずれであってもよい。なお、このインクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数吐出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式、が含まれる。
本発明のインク組成物は、これらの方式のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)のインクジェット記録用のインクとして好適である。
本発明のインク組成物を適用したインクジェット記録方法について、以下に詳細に説明する。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインク組成物を適用したインクジェット記録方法としては、本発明のインク組成物を被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法が挙げられる。このように、本発明のインク組成物が外部エネルギーとして活性放射線を用いることにより画像を形成しうる、放射線硬化型のインク組成物である場合、以下に示すインクジェット記録方法が好ましく適用される。
即ち、(i)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(ii)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法に適用することができる。
このインクジェット記録方法は、上記の2つの工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
上記(i)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
〔インクジェット記録装置〕
上記(i)工程に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、(i)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物のような硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物を吐出する場合は、インク組成物を、好ましくは40〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは7〜30mPa・s、より好ましくは7〜25mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sであるものを用いると、大きな効果を得ることができるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような硬化型インクは、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(ii)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出された本発明のインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる(d)重合開始剤が外部エネルギーの付与(ここでは、活性放射線の照射)により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能により(c)重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において(d)重合開始剤と共に(e)増感色素が存在すると、系中の(e)増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、(d)重合開始剤と接触することによって(d)重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることが更に好ましい。
また、本発明のインク組成物の重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cmであり、更に好ましくは、20〜1,000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜800mJ/cmである。
更に、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm、好ましくは、20〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、本発明のインク組成物が紫外線光硬化型のインク組成物であれば、使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cmであることが好ましく、20〜1,000mW/cmであることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cmである。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、所謂シャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインク組成物を用いたインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明インク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
〔被記録媒体〕
本発明のインク組成物が適用される被記録媒体としては、特に限定されず、寸度的に安定な支持体であれば、目的に応じていずれも使用することができる。また、必ずしも平面状のものではなく、曲面を有する媒体にも記録可能である。
被記録媒体に用いる材料としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
[白色インク組成物1の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、白色インク組成物1を調製した。
(白色インク組成物1の組成)
(a)顔料:アルミナ処理酸化チタン 15質量%
(平均粒径:0.65μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse41000(アビシア社製) 2質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 45質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 22質量%
(d)重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩 15質量%
(UVI−6992、ダウケミカル社製)
(e)増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 1質量%
[白色インク組成物2の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、白色インク組成物2を調製した。
(白色インク組成物2の組成)
(a)顔料:アルミナ処理酸化チタン 14質量%
(平均粒径:0.21μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse41000(アビシア社製) 5質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 45質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 22質量%
(d)重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩 15質量%
(UVI−6992、ダウケミカル社製)
(e)増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 1質量%
〔実施例1〕
上述のようにして得られた白色インク組成物1と白色インク組成物2とを、白色インク組成物1:白色インク組成物2=3:4(質量比)で混合し、実施例1の白色インク組成物を調製した。
得られた白色インク組成物中の顔料の粒度分布を堀場製作所(株)製LA−920光度計により測定したところ、粒子径(P)0.60μmと、粒子径(P)0.25μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=2.40であった。
〔比較例1、2〕
上述のようにして得られた白色インク組成物1を比較例1の白色インク組成物とし、白色インク組成物2を比較例2の白色インク組成物とした。
この比較例1、2の白色インク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、比較例1の白色インク組成物は粒子径0.65μmのみにピークを有し、また、比較例2の白色インク組成物は粒子径0.21μmのみにピークを有することが分かった。
〔実施例2〕
[白色インク組成物3の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、白色インク組成物3を調製した。これを実施例2の白色インク組成物とした。
(白色インク組成物3の組成)
(a)顔料:アルミナ処理酸化チタン 10質量%
(平均粒径:0.28μm)
(a)顔料:アルミナ処理酸化チタン 5質量%
(平均粒径:0.15μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse41000(アビシア社製) 2質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 45質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 22質量%
(d)重合開始剤:トリフェニルスルフォニウム塩 15質量%
(UVI−6992、ダウケミカル社製)
(e)増感色素:9,10−ジブトキシアントラセン 1質量%
得られた実施例2の白色インク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、粒子径(P)0.30μmと、粒子径(P)0.18μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=1.67であった。
[イエローインク組成物1の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、イエローインク組成物1を調製した。
(イエローインク組成物1の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントイエロー 13 5質量%
(平均粒径:0.48μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 4.3質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 35.7質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
[イエローインク組成物2の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、イエローインク組成物2を調製した。
(イエローインク組成物2の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントイエロー 13 5質量%
(平均粒径:0.20μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 9.1質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 30.9質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
〔実施例3〕
上述のようにして得られたイエローインク組成物1とイエローインク組成物2とを、イエローインク組成物1:イエローインク組成物2=3:2(質量比)で混合し、実施例3のイエローインク組成物を調製した。
得られたイエローインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、粒子径(P)0.50μmと、粒子径(P)0.23μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=2.17であった。
〔比較例3、4〕
上述のようにして得られたイエローインク組成物1を比較例3のイエローインク組成物とし、イエローインク組成物2を比較例4のイエローインク組成物とした。
この比較例3、4のイエローインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、比較例3のイエローインク組成物は粒子径0.48μmのみにピークを有し、また、比較例4のイエローインク組成物は粒子径0.20μmのみにピークを有することが分かった。
[マゼンタインク組成物1の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、マゼンタインク組成物1を調製した。
(マゼンタインク組成物1の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントレッド 57:3 5質量%
(平均粒径:0.40μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 2.6質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 35.4質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
[マゼンタインク組成物2の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、マゼンタインク組成物2を調製した。
(マゼンタインク組成物2の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントレッド 57:3 5質量%
(平均粒径:0.13μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 5.4質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 34.6質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
〔実施例4〕
上述のようにして得られたマゼンタインク組成物1とマゼンタインク組成物2とを、マゼンタインク組成物1:マゼンタインク組成物2=3:2(質量比)で混合し、実施例4のイエローインク組成物を調製した。
得られたマゼンタインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、粒子径(P)0.40μmと、粒子径(P)0.15μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=2.67であった。
〔比較例5、6〕
上述のようにして得られたマゼンタインク組成物1を比較例5のマゼンタインク組成物とし、マゼンタインク組成物2を比較例2のマゼンタインク組成物とした。
この比較例3、4のマゼンタインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、比較例3のマゼンタインク組成物は粒子径0.40μmのみにピークを有し、また、比較例4のマゼンタインク組成物は粒子径0.13μmのみにピークを有することが分かった。
[シアンインク組成物1の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、シアンインク組成物1を調製した。
(シアンインク組成物1の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントブルー 15:3 3質量%
(平均粒径:0.36μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 1.4質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 38.6質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
[シアンインク組成物2の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、シアンインク組成物2を調製した。
(シアンインク組成物2の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントブルー 15:3 3質量%
(平均粒径:0.11μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 2.7質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 37.3質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
〔実施例5〕
上述のようにして得られたシアンインク組成物1とシアンインク組成物2とを、シアンインク組成物1:シアンインク組成物2=3:1(質量比)で混合し、実施例5のシアンインク組成物を調製した。
得られたシアンインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、粒子径(P)0.38μmと、粒子径(P)0.14μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=2.71であった。
〔比較例7、8〕
上述のようにして得られたシアンインク組成物1を比較例7のシアンインク組成物とし、シアンインク組成物2を比較例8のマゼンタインク組成物とした。
この比較例7、8のシアンインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、比較例7のシアンインク組成物は粒子径0.36μmのみにピークを有し、また、比較例8のシアンインク組成物は粒子径0.11μmのみにピークを有することが分かった。
[ブラックインク組成物1の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、ブラックインク組成物1を調製した。
(ブラックインク組成物1の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントブラック 7 3質量%
(平均粒径:0.33μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 1.2質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 38.8質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
[ブラックインク組成物2の調製]
下記の配合比で、(a)顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、(d)重合開始剤、及び(e)増感色素を分散機で分散し、ブラックインク組成物2を調製した。
(ブラックインク組成物2の組成)
(a)顔料:C.I.ピグメントブラック 7 3質量%
(平均粒径:0.10μm)
(b)高分子分散剤:Solsperse32000(アビシア社製) 2.5質量%
(c)重合性化合物1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 50質量%
(c)重合性化合物2:トリエチレングリコールジビニルエーテル 37.5質量%
(d)重合開始剤:IRGACURE 184(CSC製) 5質量%
〔実施例6〕
上述のようにして得られたブラックインク組成物1とブラックインク組成物2とを、ブラックインク組成物1:ブラックインク組成物2=3:1(質量比)で混合し、実施例6のブラックインク組成物を調製した。
得られたブラックインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、粒子径(P)0.33μmと、粒子径(P)0.11μmと、にピークを有することが分かった。また、P/P=3.00であった。
〔比較例9、10〕
上述のようにして得られたブラックインク組成物1を比較例9のブラックインク組成物とし、ブラックインク組成物2を比較例10のマゼンタインク組成物とした。
この比較例9、10のブラックインク組成物中の顔料の粒度分布を実施例1と同様の方法で測定したところ、比較例9のブラックインク組成物は粒子径0.33μmのみにピークを有し、また、比較例10のブラックインク組成物は粒子径0.10μmのみにピークを有することが分かった。
<インク組成物の評価>
実施例1〜6、比較例1〜10のインク組成物の粘度、沈降性、保存安定性、吐出安定性、及び硬化性を下記の方法により評価した。結果はまとめて表1に示す。
(1.粘度)
得られた各インク組成物の40℃における粘度をE型粘度計(東機産業製)を用いて測定した。評価指標は以下の通りである。
A:30mPas未満
B:30mPas以上、100mPas未満
C:100mPas以上(吐出上問題のあるレベル)
(2.沈降性)
得られた各インク組成物を50mlガラス容器に入れ、室温で1ヶ月放置後の顔料の沈降状態を目視により評価した。沈降量の少ない順に、「3,2,1」の3段階評価を行った。
(3.保存安定性)
得られた各インク組成物を、75%RH、60℃で3日保存した後、25℃(インクジェット記録時における吐出温度)での粘度を測定し、インク粘度の増加分を、保存後/保存前の粘度比で表した。粘度が変化せず1.0に近いほうが保存安定性良好であり、1.5以上又は0.9以下になると沈降又は凝集が発生していることを示す。
(4.吐出安定性)
得られた各インク組成物を、インクジェットプリンタ(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)により、60分連続印字した。吐出状態、形成された画像を観察し、以下の基準により評価した。
A:60分間、問題なく吐出できた。
B:一部にサテライトを生じた。
C:画像にノズル欠が生じた。
D:60分経過する前に、ノズルつまりにより印字不能となった。
(5.硬化性)
得られた各インク組成物を、アート紙上に、インクジェットプリンタ(印字密度300dpi、打滴周波数4kHz、ノズル数64)で印字してから、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で300mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光し、印字サンプルを得た。
印字後10分経ったサンプルの印字面をタックフリーテストにて評価した。即ち、硬化皮膜を指で触れて、べたつきの有無を確認し、以下の基準で評価した。
A:べたつきが無い場合
B:僅かにべたつきがある場合
C:著しくべたつく場合
<インク組成物により形成された硬化膜の評価>
実施例1〜6、比較例1〜10のインク組成物により形成された硬化膜の隠蔽性、及び着色性を下記の方法により評価した。結果はまとめて表1に示す。
(6.隠蔽性)
得られた各インク組成物を、黒紙及び白紙上にバーコーターで塗布し、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で300mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光し、硬化膜を形成した。得られた黒紙上の硬化膜と白紙上の硬化膜との明度差を目視により評価した。明度差の小さいものを隠蔽力が大きいとする。隠蔽性の良好な順に、「3,2,1」の3段階評価を行った。
(7.着色性)
得られた各インク組成物を、ガラス板上にバーコーターで塗布し、Deep UVランプ(ウシオ製、SP−7)で300mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光し、硬化膜を形成した。得られた硬化膜の色の濃さを目視により比較し、その差異の程度により、「3,2,1」の3段階評価を行った。
有色顔料については、色の薄いものを着色力が小さいとし、白色顔料については、明度の高いものを着色力が大きいとした。
Figure 2008075057
表1に明らかなように、2つのピークを持つ粒度分布を有する顔料を含有する実施例1〜6のインク組成物は、低粘度であり、沈降性、保存安定性、及び吐出安定性に優れている。更に、これらのインク組成物により形成された硬化膜は、隠蔽性、及び着色性に関して、良好な評価を得ることができた。
また、このようなインク組成物は、低粘度で、顔料の分散安定性に優れるため、吐出安定性に優れ、インクジェット記録に適用した際に、インクジェットノズルの詰まりの発生を防止することができる。
これに対して、比較例のインク組成物は、インクの粘度、分散性、及びその安定性(沈降性、保存安定性)に劣り、吐出安定性を満足させることができなかった。

Claims (2)

  1. (a)2つ以上のピークを持つ粒度分布を有する顔料、(b)高分子分散剤、(c)重合性化合物、及び(d)重合開始剤を含有することを特徴とするインク組成物。
  2. 前記(a)顔料が、粒子径Pと粒子径Pとにピークを持つ粒度分布を有する場合、該粒子径Pと該粒子径Pとの関係が、P>P、且つ、P/P=1.5〜15を満たすことを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
JP2006259358A 2006-09-25 2006-09-25 インク組成物 Pending JP2008075057A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006259358A JP2008075057A (ja) 2006-09-25 2006-09-25 インク組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006259358A JP2008075057A (ja) 2006-09-25 2006-09-25 インク組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008075057A true JP2008075057A (ja) 2008-04-03

Family

ID=39347425

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006259358A Pending JP2008075057A (ja) 2006-09-25 2006-09-25 インク組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008075057A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010511747A (ja) * 2006-11-30 2010-04-15 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. インクジェット用インク
JP2019073569A (ja) * 2017-10-12 2019-05-16 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録用白色インク及びその製造方法
WO2021124744A1 (ja) * 2019-12-20 2021-06-24 Dic株式会社 顔料組成物、活性エネルギー線硬化型オフセットインキ、及び顔料組成物の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010511747A (ja) * 2006-11-30 2010-04-15 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. インクジェット用インク
JP2019073569A (ja) * 2017-10-12 2019-05-16 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録用白色インク及びその製造方法
WO2021124744A1 (ja) * 2019-12-20 2021-06-24 Dic株式会社 顔料組成物、活性エネルギー線硬化型オフセットインキ、及び顔料組成物の製造方法
JPWO2021124744A1 (ja) * 2019-12-20 2021-06-24
JP7099645B2 (ja) 2019-12-20 2022-07-12 Dic株式会社 顔料組成物、活性エネルギー線硬化型オフセットインキ、及び顔料組成物の製造方法
CN114945637A (zh) * 2019-12-20 2022-08-26 Dic株式会社 颜料组合物、活性能量射线固化型胶印油墨以及颜料组合物的制造方法
CN114945637B (zh) * 2019-12-20 2023-10-13 Dic株式会社 颜料组合物、活性能量射线固化型胶印油墨以及颜料组合物的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4902216B2 (ja) インクジェット用インク組成物
WO2014051026A1 (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、ビスアシルホスフィンオキシド化合物、及び、モノアシルホスフィンオキシド化合物
JP2009221416A (ja) インクセット、及び、インクジェット記録方法
JP2008214395A (ja) インクジェット記録用インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2008246793A (ja) 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録装置
JP5860787B2 (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、及び、モノアシルホスフィンオキシド化合物
JP2010076138A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法
JP2007253401A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
JP2007254550A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
JP2010180376A (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2010059244A (ja) インク組成物及びインクジェット記録方法
EP2760947A2 (en) Inkjet ink composition and inkjet recording method
JP5752652B2 (ja) インクジェットインク組成物及びその製造方法、インクジェット記録方法、並びに、顔料分散物及びその製造方法
JP2007254546A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
EP1834998B1 (en) Mixture, method for storing ink composition, ink container, and image formation method
JP5013801B2 (ja) インク組成物
JP2007270085A (ja) 粒子分散物及びそれを用いたインク組成物
JP2006282875A (ja) インク組成物並びにこれを用いた画像形成方法及び記録物
JP5241211B2 (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP5030562B2 (ja) インクジェット用インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2008189887A (ja) インクジェット記録用インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2008081517A (ja) Uv硬化型インクジェット用インク組成物
JP2010070665A (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP2010235776A (ja) 顔料分散物、インクジェット記録用インク及びその製造方法、並びに、インクジェット記録方法
JP2008075057A (ja) インク組成物