JP2008214395A - インクジェット記録用インク組成物、及び、インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化後の画像が被記録媒体との高い接着性を有し、且つ、形成された画像の柔軟性に優れたインクジェット記録用インク組成物、及び、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)より選択される少なくとも1種の構造を含み、且つ、分子内に炭素−炭素二重結合を2以上有する脂環式化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)着色剤と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。下記一般式(1)〜(3)において、R〜R15は各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R〜R15のいずれか2以上が結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜R15の全てが水素原子であることはない。
Figure 2008214395

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用として用いられるインク組成物、及び、該インクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、且つ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット方式は、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット記録用インク組成物に用いうる、紫外線などの活性放射線の照射により硬化可能なインク組成物(放射線硬化型インク組成物)としては、高感度で硬化し、高画質の画像を形成しうるものが求められている。
放射線硬化型インク組成物の高感度化を達成することにより、活性放射線の照射による高い硬化性が得られるため、消費電力の低減や活性放射線発生器への負荷軽減による機器の高寿命化などの利点の他、未硬化の低分子物質の揮発抑制、形成された画像強度の低下抑制などの種々の利点をも有することになる。また、放射線硬化型インク組成物の高感度化による硬化被膜強度の向上は、このインク組成物により形成した画像部に高い強度と耐久性をもたらすことになる。
このようなインク組成物は、様々な基材表面に任意に画像を形成しうるという利点を有するが、特に、可撓性の基材表面に画像形成する場合や曲面に画像形成する場合には、形成された画像の柔軟性が重要になる。また、膜の柔軟性に欠ける場合、被記録媒体上の画像にひび割れが生じやすくなり、画像の耐久性が低下するという問題もある。
紫外線硬化型のインク組成物としては、例えば、単官能モノマー又は多官能モノマーのうち、互いに異なる官能基を有するモノマーを組み合わせて用いるインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、放射線硬化性組成物として多官能アクリレートを含む組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらのインク組成物は硬化速度に優れ、滲みのない画像を形成しうるものの、硬化時の体積収縮により、被記録媒体との接着性(密着性)が低下するという問題を有していた。
紫外線硬化型のインク組成物を用いたインクジェット記録方式により高感度で画像を形成する技術として、重合性化合物として脂環構造を有する2官能アクリレート(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)を用いたインクジェット用インク組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。ここで用いられるアクリレート化合物は、剛直な構造を有し反応性も非常に高い多官能アクリレートであるために、高感度で硬化するものの、形成された膜の柔軟性が低下し、被記録媒体上においてひび割れや剥離等を生じやすくなり、形成された画像の耐久性に問題があった。
このように、一般に画像(皮膜)の硬化性とその柔軟性とは両立しがたく、被記録媒体との接着性に優れ、優れた硬化感度、画像強度を維持しながらも、形成された皮膜の柔軟性に優れたインク組成物が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
特開平5−214280号公報 特開平8−41133号公報 特開2004−182808公報
本発明の目的は、活性放射線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた画像を形成することができ、被記録媒体との高い接着性を有し、柔軟性に優れた画像を形成しうるインクジェット記録用インク組成物、及び、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、インク組成物に分子内に複数の二重結合を有する特定の脂環式化合物を使用することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明のインクジェット記録用インク組成物、及び、本発明のインクジェット記録方法を完成するに至った。
即ち、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、(A) 下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)より選択される少なくとも1種の構造を含み、且つ、分子内に炭素−炭素二重結合を2以上有する脂環式化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)着色剤と、を含有することを特徴とする。
Figure 2008214395
一般式(1)において、R〜Rは各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R〜Rのいずれか2以上が結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子であることはない。
一般式(2)において、R〜Rは各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R〜Rのいずれか2以上が結合して環構造を形成していてもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子であることはない。
一般式(3)において、R10〜R15は各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R10〜R15のいずれか2以上が互いに結合して環構造を形成してもよい。但し、R10〜R15の全てが水素原子であることはない。
特に、本発明のインクジェット記録用インク組成物が透明な画像を形成する場合には、着色剤はとくに必要とされないが、着色画像を形成する場合や、インクによる画像形成領域の視認性を向上させようとする場合には、(C)着色剤を更に含有することが好ましい態様である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、(i−1)被記録媒体上に、本発明のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程、及び、(i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、活性放射線の照射に対する感度が高く、硬化性に優れた画像を形成することができ、被記録媒体との高い接着性を有し、柔軟性に優れた画像を形成しうるインクジェット記録用インク組成物、及び、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
[インクジェット記録用インク組成物]
本発明のインクジェット記録用インク組成物(以下、単に、「インク組成物」と称する場合がある。)は、(A)下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)より選択される少なくとも1種の構造を含み、且つ、分子内に炭素−炭素二重結合を2以上有する脂環式化合物(以下、適宜「特定脂環式化合物」と称する。)と、(B)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴とする。
以下、本発明のインクジェット記録用インク組成物に必須の成分について説明する。
<(A)一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)より選択される少なくとも1種の構造を含み、且つ、分子内に炭素−炭素二重結合を2以上有する脂環式化合物(特定脂環式化合物)>
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、(A)特定脂環式化合物を含有することを特徴とする。
(A)特定脂環式化合物としては、以下に詳述する一般式(1)、(2)及び(3)より選択されるいずれかの構造を有するとともに、分子内に2以上の炭素−炭素二重結合を有し、且つ、脂環構造を有する化合物であれば、いずれも用いることができる。
炭素−炭素二重結合の位置には特に制限はなく、脂環構造に直接又は適切な連結基を介して結合していてもよく、脂環構造内の二重結合として存在していてもよいが、少なくとも1つは末端にあることが、硬化速度の観点から好ましい。
Figure 2008214395
一般式(1)、一般式(2)および、一般式(3)において、R〜R15は各々独立に水素原子または1価の置換基を表す。
ここで、一般式(1)におけるR〜Rは互いに結合して環構造を形成してもよく、また、R〜Rの全てが水素原子であることはなく、少なくともいずれか1つは1価の置換基を表す。
一般式(2)におけるR〜R互いに結合して環構造を形成してもよく、また、R〜Rの全てが水素原子であることはなく、少なくともいずれか1つは1価の置換基を表す。
一般式(3)におけるR10〜R15互いに結合して環構造を形成してもよく、また、R10〜R15の全てが水素原子であることはなく、少なくともいずれか1つは1価の置換基を表す。
〜R15が1価の置換基を表す場合の該置換基としては、好ましくは、非金属原子により構成される1価の原子団であり、例えば、炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられ、なかでも、有機基、水酸基、ハロゲン原子などが好ましい。
ここで有機基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが好ましいものとして挙げられ、アルキル基であることが好ましい。この有機基としては、その構造内にS、Nなどのヘテロ原子を含むものであってもよい。
アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル、n−ヘキシル基、n−ノニル基が好ましく挙げられる。
なお、インク組成物としての硬化速度の観点からは、R〜Rのいずれか1つ、R〜Rのいずれか1つ、R10〜R15のいずれか1つは水素原子であることが好ましい。
〜R15で表される1価の置換基はアルキル基である場合が好ましいが、アルキル基内のメチレン基(−CH−)は、−O−、−S−又は−NR16−から選択される2価の基で置換されてもよく、エーテル結合(−O−)で置換される場合が好ましい態様として挙げられる。ここで、R16はアルキル基を表し、好ましいアルキル基としては、R〜R15がアルキル基である場合と同様のものが挙げられる。
〜R15で表される1価の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。該置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
(A)特定化合物にこれらの部分構造を2以上含むとは、例えば、一般式(1)で表される構造を2つ有し、ここにおける2組のR〜Rのいずれかが互いに連結して環を形成し、末端に炭素−炭素二重結合を2つ有する脂環構造をもつ化合物を構成する、或いは、一般式(2)で表される構造により形成された炭素−炭素二重結合を有する環構造と、一般式(1)で表される構造中のR〜Rのいずれかが互いに連結して形成された脂環構造とが縮環して化合物を形成する、2以上の一般式(1)で表される構造が、適切な連結基を介して結合して化合物を形成するなどといった例が挙げられる。
(A)特定脂環式化合物は、分子内に脂環構造を有するが、この脂環構造は、一般式(1)〜(3)中における任意のR〜R15が互いに連結して形成された脂環構造であってもよく、一般式(1)〜(3)においてR〜R15で表される1価の置換基に、直接又は2価の連結基を介して、別の脂環構造が結合される態様であってもよい。
分子内の脂環構造の数は、1つでもよく、2つ以上であってもよいが、インク組成物に対する溶解性や、インク組成物の粘度を適性に保つ観点から1〜2であることが好ましく、1つであることが好ましい。
まず、R〜Rのいずれか2以上、R〜Rのいずれか2以上、或いは、R10〜R15のいずれか2以上が、互いに結合脂環構造を形成する場合について説明する。
〜R15で表される1価の置換基のうち任意の2以上が互いに結合して環構造を形成する場合の該環構造としては、3〜12員環であることが好ましく、4〜8員環であることがより好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
環構造は、さらに縮環構造を形成して、ビシクロ環骨格やトリシクロ環骨格を形成することが特に好ましい。縮環構造の中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格またはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格が好ましい構造として挙げられる。
なお、ここでビシクロ環骨格又はトリシクロ環骨格とは、鎖式構造まで開くのに必要な環原子間結合の切断の数が3回の場合をトリシクロ環、2回の場合をビシクロ環といい、そのような環構造をトリシクロ環骨格、ビシクロ環骨格と称する。その構造内の環を形成する原子に制限はないが、炭素原子および酸素原子より選択される原子からなる環が好ましく、炭素原子のみからなる環がより好ましい。
次に、R〜R15で表される置換基の少なくとも1つに、直接又は2価の連結基を介して、脂環構造が結合する場合について説明する。
〜R15で表される1価の置換基に、直接又は2価の連結基を介して、脂環構造が結合される場合の2価の連結基としては、前述のR〜R15がアルキル基である場合から水素原子を除したアルキレン基が好ましく、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましい。
アルキレン基としては、具体的には、炭素数3〜12程度のアルキレン基が好ましく、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。
連結基としてのアルキレン基内のメチレン基(−CH−)は、−O−、−S−又は−NR17−から選択される2価の基で置換されてもよく、エーテル結合(−O−)で置換される場合が好ましい態様として挙げられる。R17は前記したR16と同義である。
また、これらの2価の連結基は2種以上の連結基を組み合わせて構成された2価の連結基であってもよい。
連結される脂環構造は、3〜12員環であることが好ましく、4〜8員環であることがより好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
該環構造は、さらに縮環構造を形成して、ビシクロ環骨格やトリシクロ環骨格を形成することが特に好ましい。縮環構造の中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格またはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格が好ましい構造として挙げられ、該縮環構造内に炭素=炭素二重結合を有する態様も好ましい。
前記いずれの場合においても、(A)特定脂環式化合物中に含まれる脂環構造は、縮環構造を形成しても、ビシクロ環、トリシクロ環を形成していてもよく、これらの環構造中に二重結合を有する態様が、膜の柔軟性の観点から好適であるが、これらの環構造において、すくなくとも1つが二重結合を有しない脂環構造であることを要するのは言うまでもない。
本発明にて好適に用いることのできる、(A)特定脂環式化合物の具体例〔例示化合物(A−1)〜(A−18)〕を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。また、各例示化合物において立体異性体が存在する場合は、それらのいずれを用いてもよく、立体異性体の混合物を用いてもよい。
Figure 2008214395
Figure 2008214395
これらの具体例の中でも、(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−6)、(A−12)、(A−13)、(A−18)等が好ましく、(A−1)、(A−2)、(A−6)がより好ましい。
特定脂環式化合物は、例えば、旧東ドイツ公開特許DD211549A1号公報、英国特許公報GB932144号公報、英国特許公報GB1248004A号公報、特開平11−349505号公報、米国特許US3373214号公報、Journal of Organic Chemistry 63巻16号5318〜5323頁(1998年)等に記載の公知の合成方法により製造することができる。
また、一部のものは、シグマアルドリッチジャパン、東京化成工業等の試験研究用試薬として市販品としても入手可能である。
特定脂環式化合物は、本発明のインクジェット記録用インク組成物中に1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明のインク組成物における特定脂環式化合物の含有量は、硬化速度、硬化膜の被記録媒体への密着性(接着性)、及び、硬化膜の柔軟性の観点から、インク組成物全体の質量に対して、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、2〜25質量%の範囲が更に好ましい。
<(B)ラジカル重合開始剤>
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、ラジカル重合開始剤を含有することを要する。
ラジカル重合開始剤としては、公知の重合開始剤を、併用する重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用するラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
熱重合開始剤及び光重合開始剤としては公知の化合物が使用できる。
本発明で使用し得る好ましいラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明においてラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。効果の観点からは、2種以上のラジカル重合開始剤を併用することが好ましい
本発明におけるラジカル重合開始剤は、特定脂環式化合物及び後述する着色剤の総量に対して、或いは、特定脂環式化合物、後述する他の重合性化合物、及び着色剤を併用する場合には、特定脂環式化合物、後述する他の重合性化合物、及び着色剤の総量に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、2〜40質量%の範囲がより好ましく、5〜35質量%の範囲が更に好ましい。
また、ラジカル重合開始剤は、後述の必要に応じて用いることのできる増感色素に対して、重合開始剤:増感色素の質量比で、200:1〜1:200、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、20:1〜1:5の範囲で含まれることが適当である。
<(C)着色剤>
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、特に着色画像を形成することは必須ではないが、着色画像を形成しようとするときには着色剤を含有する。
本発明に使用することのできる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、油溶性染料、水溶性染料、分散染料、等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。この中でも、着色剤としては、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料、油溶性染料が好ましく、顔料であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
−顔料−
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257,Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88,Pigment Orange 13,16,20,36、等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7,26,36,50、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7,28,26、等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、PigmentWhite 6,18,21、等が挙げられる。
これらの顔料は、目的に応じて適宜選択して使用できる。
−油溶性染料−
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
−分散染料−
また、本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で、分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、本発明のインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることであり、高分子分散剤としては、例えば、Zeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。本発明において、これらの分散剤及び分散助剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
着色剤は、本発明のインクジェット記録用インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤、又は本発明における特定脂環式化合物や、所望により併用される他の重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、特定脂環式化合物のいずれか1つ又はそれらの混合物に予め添加して、配合することが好ましい。
なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
着色剤は、インクジェット記録用インク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、本発明のインクジェット記録用インク組成物中において、固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは、0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明のインクジェット記録用インク組成物における着色剤の含有量は、インク組成物の使用目的により適宜選択されるが、インク物性、着色性を考慮すれば、一般的には、インク組成物全体の質量に対して、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましい。
なお、本発明のインクジェット記録用インク組成物が、酸化チタン等の白色顔料を着色剤とする白色インク組成物である場合における着色剤の含有量は、隠蔽性を確保するために、インク組成物全体の質量に対して、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用インク組成物には、前記必須成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
<(D)他の重合性化合物>
本発明のインク組成物には、(A)特定脂環式化合物に加えて、他の重合性化合物を含むことも好ましい。本発明に併用可能な他の重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物が挙げられる。他の重合性化合物は、目的とする諸特性、或いは、前記ラジカル重合開始剤との関連において適宜選択して用いればよい。
本発明のインクジェット記録用インク組成物において、重合性化合物の総含有量、即ち、特定脂環式化合物と他の重合性化合物との総含有量は、本発明のインクジェット記録用インク組成物全体の質量に対し、45〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%である。
また、本発明のインクジェット記録用インク組成物において、特定脂環式化合物は、インク組成物に含有される重合性化合物の総含有量(即ち、特定脂環式化合物及び他の重合性化合物の総含有量)に対し、1〜60質量%の範囲であることが好ましく、2〜50質量%の範囲であることがより好ましく、5〜40質量%の範囲であることが更に好ましい。
以下、本発明に適用しうる他の重合性化合物について更に説明する。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのアクリレート類及びメタクリレート類の中でも、硬化性と硬化後の膜物性の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート等のエーテル酸素原子を有するアルコールのアクリレートが好ましいものとして挙げられる。また、同様の理由から、脂環構造を有するアルコールのアクリレートも好ましく、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のビシクロ環構造又はトリシクロ環構造を有するアクリレートが好ましいものの具体例として挙げられ、中でも、脂環構造内に二重結合を有する、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートが特に好ましいものとして挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインクジェット記録用インク組成物に適用することができる
更に、ラジカル重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物を用いることが好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、Rapi−Cure DVE−3、Rapi−Cure DVE−2(いずれも、ISP Europe製)、等の市販品を用いることもできる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、接着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、他の重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマー或いはプレポリマー、エポキシ系モノマー或いはプレポリマー、ウレタン系モノマー或いはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステル(以下、適宜、アクリレート化合物と称する。)を用いてもよく下記に示す化合物が化合物例として挙げられる。
即ち、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート、等が挙げられる。
これらのアクリレート化合物は、UV硬化型インクに用いられてきた重合性化合物として、皮膚刺激性や感作性(かぶれ易さ)が小さく、比較的低粘度で安定したインク吐出性が得られ、重合感度、被記録媒体との接着性が良好であるため好ましい。
ここで他の重合性化合物として列挙されているモノマーは、低分子量であっても感作性が小さいものであり、かつ、反応性が高く、粘度が低く、記録媒体への接着性に優れる。
感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善するためには、他の重合性化合物成分として、モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい態様である。
特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレート、前述の特定足環式化合物から選択される1種と、他の重合性化合物から選択される多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて接着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
更に、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善することができるという観点から、好ましい態様として挙げられる。
モノアクリレートとしてはステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
モノアクリレートと併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%以下の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
本発明において、他の重合性化合物として、前記アクリレート化合物を使用する場合、他の重合性化合物の全質量に対して、前記アクリレート化合物が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、他の重合性化合物のすべてを、前記アクリレート化合物とすることもできる。
なお、本発明における重合開始剤と重合性化合物の選択に関して言えば、種々の目的に応じて(例えば、インク組成物に使用する着色剤の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として)、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤との組み合わせの他、これらと共に、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤とを併用したラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとしてもよい。
本発明に用いうるカチオン重合性化合物は、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂に適用される重合性化合物として、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。これらも本発明のインクジェット記録用インク組成物に適用することができる。
本発明にカチオン重合性化合物を使用する際に併用しうるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
上記如きカチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
〔(E)増感色素〕
本発明のインク組成物には、ラジカル重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために増感色素を添加することができる。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基の生成を促進させるものである。
増感色素は、インク組成物に使用されるラジカル重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよい。一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられ、多核芳香族類及びチオキサントン類が好ましい類として挙げられる。
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(4)〜(8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008214395
一般式(4)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
Figure 2008214395
一般式(5)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。Wは式(1)に示したものと同義である。
Figure 2008214395
一般式(6)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
Figure 2008214395
一般式(7)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−、又は−NR62−を表し、R62は置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
Figure 2008214395
一般式(8)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子又は=NR67を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
一般式(4)〜(8)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008214395
Figure 2008214395
<(F)共増感剤>
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
<(G)その他の成分>
本発明のンクジェット記録用インク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインクジェト記録用インク組成物は、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用インク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との接着性を改良するために添加され得る。有機溶剤を添加すると、VOCの問題が回避できるので有効である。
有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の質量に対し、例えば、0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
この他に、必要に応じて、公知の化合物を本発明のンクジェット記録用インク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への接着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
〔インクジェット記録用インク組成物の性質〕
本発明のインクジェット記録用インク組成物の好ましい物性について説明する。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、本発明のインクジェット記録用インク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは10〜50mPa・s、より好ましくは12〜40mPa・sである。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。
本発明のインクジェット記録用インク組成物の表面張力は、好ましくは20〜30mN/m、より好ましくは23〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法に適用しうるインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、(i−1)被記録媒体上に、本発明のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程、及び、(i−2)吐出されたインクジェット記録用インク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(i−1)及び(i−2)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法における(i−1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置が用いることができる。
−インクジェット記録装置−
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(i−1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、8〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインクジェット記録用インク組成物のような放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いた、本発明のインクジェット記録用インク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは40〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは7〜30mPa・s、より好ましくは7〜25mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインクジェット記録用インク組成物として、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sであるものを用いると、大きな効果を得ることができるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインクジェット記録用インク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(i−2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれるラジカル重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの開始種を発生し、その開始種の機能により特定脂環式化合物や、所望により併用される他の重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物においてラジカル重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、ラジカル重合開始剤と接触することによってその分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。特に電子線、紫外線、可視光線のいずれかであることが好ましい。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることが更に好ましい。
また、本発明のインクジェット記録用インク組成物に適用される重合開始系は、低出力の活性放射線であっても充分な感度を有するものである。従って、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cmであり、更に好ましくは、20〜1,000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜800mJ/cmである。
更に、活性放射線は、露光面照度が、例えば、10〜2,000mW/cm、好ましくは、20〜1,000mW/cmで照射されることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cmであることが好ましく、20〜1,000mW/cmであることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cmである。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、このような活性放射線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、接着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインクジェット記録用インク組成物により、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に高精細で、高強度の画像を形成することができる。また、被記録媒体との接着性に優れた画像を形成することができる。
更に、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、インクジェット装置に適用した際に、インクジェットヘッド等の周辺で含有成分の析出等が生じることがなく、吐出安定性に優れたインク組成物であることから、安定した画像形成を行うことができる。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。なお、以下の実施例は各色のUVインクジェット記録用インクに係るものである。また、以下の説明においては、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・特定脂環式化合物〔例示化合物(A−1):(A)成分〕 11.0部
・N−ビニルカプロラクタム 25.5部
・トリデシルアクリレート 11.0部
(Sartomer社製SR498E)
・2−フェノキシエチルアクリレート 23.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 5.0部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO(BASF社製光開始剤:(B)成分) 8.5部
・ベンゾフェノン(光開始剤:(B)成分) 4.0部
・Irgacure 184 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分)
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 0.5部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
(インクの評価)
得られた実施例1のシアン色インク組成物と、ピエゾ型インクジェットヘッド(東芝テック製のCA3ヘッド)を有するインクジェット記録装置を用いて、ポリ塩化ビニル製のシート上に記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなり、ノズル部分が常に45℃±3℃となるよう、温度制御を行った(100%被覆画像を印刷)。インク組成物を吐出後、鉄ドープ処理した紫外線ランプ(パワー120W/cm)の光線下に40m/minの速度で通過させることにより照射を行って、インクを硬化させ、印刷物を得た。
このとき、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<硬化感度>
硬化における露光エネルギーを光量積算計(EIT社製UV PowerMAP)により測定した。この数値が小さいほど、高感度で硬化すると評価する。その結果、実施例1のシアン色インク組成物は、シート上での紫外線の積算露光量が約330mJ/cmであり、高感度で硬化していることが確認された。
<硬化性>
硬化性は、得られた印刷物における硬化後の画像部を触診することにより評価した。硬化性は、硬化膜表面の粘着性の有無で評価する。
その結果、硬化後の粘着性は完全に消失しており、硬化性に優れることを確認した。
<被記録媒体との接着性>
被記録媒体との接着性は、クロスハッチテスト(EN ISO2409)により評価し、ASTM法による表記5B〜1Bで表す。5Bが最も接着性に優れ、3B以上で実用上問題のないレベルであると評価する。
その結果、実施例1のインク組成物は、高い接着性を有し、その値は、ASTM法による表記で4Bを示した。
<柔軟性>
柔軟性の評価は、インクにより画像形成したシートを10回折り曲げた後に硬化膜に生じた亀裂の程度によって評価した。この折り曲げ試験は、亀裂がまったく生じない状態を5点とした5段階評価で行い、3点以上を実用上問題のない状態と評価する。
その結果、実施例1では、印刷画像に影響を与えないわずかな亀裂の発生を認めるにすぎず、4点と評価された。
〔実施例2〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インクを得た。
(マゼンタ色インク組成物)
・特定脂環式化合物〔例示化合物(A−2):(A)成分〕 2.0部
・N−ビニルカプロラクタム 26.0部
・トリデシルアクリレート 7.0部
(Sartomer社製SR498E)
・2−フェノキシエチルアクリレート 24.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 5.0部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cinquasia Mazenta RT−355D〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 4.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 8.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 3.0部
・Irgacure 184 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・Irgacure 369 1.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 1.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られたマゼンタ色インクを、ポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔実施例3〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。
(イエロー色インク組成物)
・特定脂環式化合物 13.0部
〔例示化合物(A−2)と(A−6)の混合物(混合比約1:1):(A)成分〕
・N−ビニルカプロラクタム 24.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート 32.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 2.0部
(Sartomer社製SR351)
・ジプロピレングリコールジアクリレート〔(D)成分〕 3.0部
(Sartomer社製SR508)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cromophtal Yellow LA〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 2.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 6.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 4.0部
・Irgacure 184 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・Irgacure 819 2.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分)
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 1.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られたイエロー色インクを、ポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔実施例4〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、黒色のUVインクジェット用インクを得た。
(黒色インク組成物)
・特定脂環式化合物〔例示化合物(A−2):(A)成分〕 8.0部
・N−ビニルピロリドン 28.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート〔(D)成分〕 22.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 6.0部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Microlith Black C−K〔(C)成分〕 2.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 8.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 4.0部
・Irgacure 184 4.5部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 0.5部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られた黒色インクをポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔実施例5〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・特定脂環式化合物〔例示化合物(A−18):(A)成分〕 12.0部
・N−ビニルカプロラクタム 25.0部
・2−フェノキシエチルアクリレート 33.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 2.0部
(Sartomer社製SR351)
・ジプロピレングリコールジアクリレート〔(D)成分〕 2.0部
(Sartomer社製SR508)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 2.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 8.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 4.0部
・Irgacure 184 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 1.0部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られたシアン色インクをポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔実施例6〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、白色のUVインクジェット用インクを得た。
(白色インク組成物)
・特定脂環式化合物〔例示化合物(A−2):(A)成分〕 6.0部
・ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート 26.0部
(日立化成工業(株)製ファンクリルFA−512A)
・フェニキシエチルアクリレート 29.0部
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 4.9部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 36000(Noveon社製分散剤) 2.5部
・MICROLITH WHITE R−A 16.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Irgacure 369 1.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・Irgacure 819〔特定重合開始剤(P−19)〕 7.5部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・Irgacure 2959 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られた白色インクをポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・N−ビニルカプロラクタム 25.5部
・トリデシルアクリレート 22.0部
(Sartomer社製SR498E)
・2−フェノキシエチルアクリレート 23.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 5.0部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 8.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 4.0部
・Irgacure 184 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 0.5部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られたシアン色インクをポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔比較例2〕
以下の成分を、高速水冷式攪拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。
(シアン色インク組成物)
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 11.0部
(Sartomer社製SR833S)
・N−ビニルカプロラクタム 25.5部
・トリデシルアクリレート 11.0部
(Sartomer社製SR498E)
・2−フェノキシエチルアクリレート 23.4部
(Sartomer社製SR339)
・トリメチロールプロパントリアクリレート〔(D)成分〕 5.0部
(Sartomer社製SR351)
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO〔(C)成分〕 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製重合抑制剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 3.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル化合物)
・Lucirin TPO〔BASF社製光開始剤:(B)成分〕 8.5部
・ベンゾフェノン〔光開始剤:(B)成分〕 4.0部
・Irgacure 184 4.0部
〔Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤:(B)成分〕
・イソプロピルチオキサントン(ITX) 0.5部
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
得られたシアン色インクをポリ塩化ビニル製のシート上に実施例1と同様に吐出し、硬化を行った。このインクによる印刷物を実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
Figure 2008214395
表1に明らかなように、実施例1〜6のインク組成物は、硬化感度の結果はいずれもシート上での紫外線の積算露光量が約330mJ/cmであり、高感度で硬化うることがわかった。また、画像部の硬化性に優れ、さらに、被記録媒体との接着性が良好であり、形成された画像の柔軟性にも優れ、すべての評価項目において優れていることがわかる。
一方、(A)特定脂環式化合物(A−1)11.0部に代えて、(D)成分に包含される重合性化合物であるトリデシルアクリレートを等量添加した比較例1のインク組成物は、実施例1と同条件の露光によっては十分に硬化せず、表面のベトツキが著しいため、その他の評価が行えなかった。
また、(A)特定脂環式化合物(A−1)に代えて、(D)成分に包含される重合性化合物として、多官能アクリレートであるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを併用した以外は、実施例1と同様に調製した比較例2のインク組成物は、硬化性に優れるものの、被記録媒体との接着性及び膜の柔軟性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. (A)下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)より選択される少なくとも1種の構造を含み、且つ、分子内に炭素−炭素二重結合を2以上有する脂環式化合物と、(B)ラジカル重合開始剤と、(C)着色剤と、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 2008214395
    一般式(1)において、R〜Rは各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R〜Rのいずれか2以上が結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子であることはない。
    一般式(2)において、R〜Rは各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R〜Rのいずれか2以上が結合して環構造を形成していてもよい。但し、R〜Rの全てが水素原子であることはない。
    一般式(3)において、R10〜R15は各々独立に水素原子または1価の置換基を表し、R10〜R15のいずれか2以上が互いに結合して環構造を形成してもよい。但し、R10〜R15の全てが水素原子であることはない。
  2. (C)着色剤を更に含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. (i−1)被記録媒体上に、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物を吐出する工程、及び、
    (i−2)吐出されたインクジェット記録用インク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、
    を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
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